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1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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資 料 -6 平 成 20 年 度 第 2 回 北 陸 地 方 整 備 局 事 業 評 価 監 視 委 員 会 特 定 構 造 物 改 築 事 業 事 後 評 価 説 明 資 料 平 成 20 年 11 月 北 陸 地 方 整 備 局 -0-

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議

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入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

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高 第 3 種 17m 第 3 種 20m 第 3 種 30m 第 3 種 40m 第 3 種 30m 40m 建 築 物 の 各 部 分 の 高 さは 当 該 部 分 から 前 面 道 路 1 建 築 物 の 高 さは20メートル

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所令要綱

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Transcription:

国内のウォーターフロント開発地区における地区計画 景観条例に関する調査 / 石田崇 これらのことをまとめると 地区計画において容積率 の最高限度を設定している地区は 4 地区と少ないものの ウォーターフロント開発の中核となる商業 業務 交通 文化 商業 業務街区 ターミナル機能を導入する地区において 高い容積率の 最高限度が設定され 集積度を一定のレベル以下に抑え ようとされているケースがみられる 4 住宅 教育街区 容積率の最低限度 一定規模の集積のある地区を形成する観点から 容積 図-5 神戸港ハーバーランド地区地区計画 率の最低限度が定められている地区もある 横浜港みなとみらい 21 中央地区においては 5 ゾーン これらのことをまとめると ウォーターフロント開発 のうちウォーターフロントゾーンを除く 4 ゾーンにおい の中核となる商業 業務 研究 文化機能を導入する地 て 100%以上とされている 区において 一定規模のまとまりのある開発を行う必要 神戸港東部新都心地区においては 5 ゾーンのうち 3 性から 容積率の最低限度を設定するケースがみられる ゾーンにおいて それぞれの地区の特性に応じた容積率 の最低限度が定められている 具体的には 業務 研究 5 街区 A において 200% 業務研究街区 B において 150% 住 地区計画等が定めれれている 12 地区中 7 地区において 建築物の敷地面積の最低限度 宅街区 B において 70%とされている 業務 研究街区は 建築物の敷地面積の最低限度が設定されている 表-1 当地区の核として地区中央部に位置し 中枢業務機能 参照 新しい産業の育成や健康に関する研究機能並びに震災復 敷地面積の最低限度については 各地区 各ゾーンの 興及びインナーーシティーの活性化の拠点となる種種の 特性に合わせて設定されるのが原則であるが 2,000m2 機能の導入を図る とされている 2,500 m2 と設定されている地区が多い 特に大きな街区形成が必要とされる地区においては 神戸港神戸ハーバーランド地区については 文化 商 業 業務街区においては 200%とされている 文化 商業 大きな面積の最低限度が設定されている 横浜港みなと 業務地区は大きく 2 地区に区分される 神戸駅から港に みらい 21 中央地区のうち ビジネスゾーン A においては 向けての軸線上は 情報施設 文化施設及び商業業務施 5,000m2 また商業ゾーン A とゾーン 設を配置し 街区の北部は業務施設が集積する地区とさ A については 街区全体を一敷地として使用する とさ れている れている 業務 研究 街区A 大阪港此花西部臨海地区においては USJ の導入を図 業務 研究 街区B る C 地区について 10,000m2 と設定されている 神戸港東部新都心地区 神戸港神戸ハーバーランド地 住宅街区A 住宅街区A 区 広島港宇品内港地区の 3 地区については 選択的に 住宅地区についてのみ敷地面積の最低限度を設定してお 住宅街区B 図-4 り 着目に値する 住宅街区B 文化交流街区 6 神戸港東部新都心地区地区計画 地区計画等が定められている 12 地区中 8 地区において 建築物の高さの最高 最低 限度 建築物の高さの最高 最低 限度が設定されている 表 -1 参照 横浜港みなとみらい 21 中央地区においては 建築物等 の高さの最高限度が 例えば当地区中央部において IC ゾーン D 60m IC ゾーン B 100m プロムナードゾーン 120m ビジネスゾーン B 180m となっており 海側から 山側にかけて徐々に高く設定されている また WF ゾー -6-

国総研資料 No.302 ンは 60m と低く 先程の商業ゾーン A とビジネスゾーン A は 300mとかなり高く設定されている 図 6 参照 7 建築物等の形態又は意匠の制限 地区計画等が定められている 12 地区中 8 地区において ウォーターフロント ゾーン 建築物等の形態又は意匠の制限が設定されている 表-1 ゾーンC ゾーンD その制限内容の多くは 建築物などの形態及び色彩を ゾーンB ビジネスゾーンA 参照 周辺と調和のとれたものにすること 地区全体として一 ゾーンA プロムナード ゾーン 体的で調和したまちづくりにすることといった内容であ る 多くの制限の中でも特徴的な制限について 下記に 商業 ゾーンA 記述する 商業 ゾーンB a) ビジネスゾーンB 函館港函館駅周辺地区 建築物の外壁 柱および屋根の色彩は けばけばしい 色彩は避け 周辺との調和に配慮する 屋外設備等は 道路等の公共空間から見えない位置に 図-6 みなとみらい 21 中央地区地区計画 配置するよう努める b) 横浜港みなとみらい 21 新港地区においては 建築物の 八戸港沼館地区 再開発 建築物等の外壁 もしくはこれにかわる柱の色彩は 高さの最高限度について 突堤内の C 地区においては 20 原色を避け 周辺の水と緑に調和した色調とする mと低く設定されているが 内陸側の地区 A 地区 B c) 地区 については 31m と高く設定されており 中央地区 駐車場 屋外広告物 高架水槽 クーリングタワー と同様の方針となっている また 水際線に面する街区 等を設ける場合には 周囲と調和し 周辺地区から では 水際線プロムナード境界から奥行き 10m の範囲の の景観に配慮した設置位置 設置方法及び色彩にし 建築物の最高高さをおおむね 10m とする という規制は なければならない 横浜港みなとみらい21新港地区 当地区にユニークなものである これは港の開放感を演 屋上に広告物を設置してはならない 出するため 建築物の高さを低く抑えるものである ま d) た 新港 3 号線沿いの街区では 建築物の軒の高さをお 文化 商業 業務街区について 神戸ハーバーランド おむね 20m とする とされている これらの規制は 港 線に面する建築物等の1階又は2階部分のシャッター と歴史を感じることができる ゆったりとした街並みの は透視可能なものとし また同線に面して車の出入り 形成 に大きく寄与している 図-7 参照 口を設けてはならない 神戸港神戸ハーバーランド地区 e) 博多港中央ふ頭地区 高架水槽等の屋外設置物及び工作物は 露出面積を C地区 少なくする等景観に配慮するものとする B地区 A地区 5. ウォーターフロント開発地区における景観条例 5.1 現在は地方分権 少子高齢化 情報化 住民運動の活 新港3号線 軒高さ20m 図-7 景観条例制度の特徴 発化など社会システムが大きく変化しようとしており 景観づくりに関して総合的 計画的な取り組みを進めて みなとみらい 21 新港地区地区計画 いくことが求められている その実効性を担保する制度 的枠組みとして景観条例がある 神戸港神戸ハーバーランド地区においては 文化 商 業 業務街区においては 商業施設や業務施設を集積さ 景観条例は 美観を創出することのみならず 対象地 せる地区である観点から 建築物の高さの最低限度が 域での景観づくりの基本方針を広く示すとともに 地域 15m と設定されている 対象地区で唯一 の取り組みを促進する支援や誘導の枠組みを示すもので -7-

国 内 のウォーターフロント 開 発 地 区 における 地 区 計 画 景 観 条 例 に 関 する 調 査 / 石 田 崇 あり, 地 域 の 景 観 形 成 の 基 本 となる 条 例 である.また, まちづくりの 基 本 法 である 都 市 計 画 法, 建 築 基 準 法, 屋 外 広 告 物 条 例 などの 法 令 と 深 い 関 連 を 持 っている. 景 観 条 例 において 規 定 される 主 な 項 目 としては, 下 記 のものが 挙 げられる. (ア) 景 観 形 成 方 針 (イ) 景 観 形 成 基 本 計 画 (ウ) 景 観 形 成 のための 地 区 (エ) 景 観 形 成 基 準 修 景 ガイドライン (オ) 景 観 審 議 会 (カ) 建 築 物 等 の 届 出 勧 告 制 度 (キ) 景 観 上 重 要 な 建 築 物 等 の 指 定 (ク) 市 民 組 織 の 認 定 (ケ) 補 助 助 成 制 度 (ハード,ソフト) (コ) 景 観 アドバイザーの 指 名 制 度 (サ) 専 門 家 派 遣 制 度 (シ) 景 観 に 関 する 表 彰 制 度 5.2 ウォーターフロント 開 発 に 関 係 する 景 観 条 例 の 概 要 調 査 の 結 果, 以 下 の 景 観 条 例 等 がウォーターフロント 開 発 地 区 に 適 用 されていることが 分 かった.それぞれの 景 観 条 例 の 概 要 は, 付 録 -B ウォーターフロント 開 発 地 区 における 景 観 条 例 の 概 要 に 示 す 通 りである. (ス) 小 樽 の 歴 史 と 自 然 を 生 かしたまちづくり 景 観 条 例 ( 小 樽 港 若 竹 地 区 ) (セ) 横 須 賀 市 景 観 条 例 ( 横 須 賀 港 浦 賀 地 区 ) (ソ) 大 阪 市 都 市 景 観 条 例 ( 大 阪 港 此 花 西 部 臨 海 地 区, 大 阪 港 天 保 山 地 区 ) (タ) 神 戸 市 都 市 景 観 条 例 ( 神 戸 港 ハーバーランド 地 区 ) (チ) 関 門 景 観 条 例 ( 下 関 港 あるかぽーと 地 区 ) (ツ) 福 岡 市 都 市 景 観 条 例 ( 博 多 港 博 多 中 央 地 区 ) (テ) 心 やさしい 海 辺 のまち 佐 世 保 の 景 観 づくり 要 綱 ( 佐 世 保 港 三 浦 地 区 ) また, 横 浜 港 みなとみらい 21 新 港 地 区 については, み なとみらい 21 街 並 み 景 観 ガイドライン という 景 観 ガイ ドラインが 定 められている. 5.3 ウォーターフロント 開 発 地 区 における 景 観 条 例 の 内 容 (1) 景 観 形 成 地 域 等 全 ての 景 観 条 例 に 共 通 して, 市 長 が 景 観 形 成 地 域 等 を 指 定 することとされている. 小 樽 港 においては 特 別 景 観 形 成 地 区 ( 第 21 条 ), 横 須 賀 港 においては 景 観 推 進 地 区 ( 第 8 条 ), 大 阪 港 においては 景 観 形 成 地 域 ( 第 6 条 ), 神 戸 港 において は 都 市 景 観 形 成 地 域 ( 第 10 条 ), 下 関 港 においては 関 門 景 観 形 成 地 区 ( 第 7 条 ) 博 多 港 においては 都 市 景 観 形 成 地 区 ( 第 10 条 ), 佐 世 保 港 においては 景 観 形 成 地 区 ( 第 7 条 )と 名 称 はそれぞれ 異 なるものの, 都 市 景 観 の 形 成 を 図 る 必 要 がある 地 域 について 景 観 形 成 地 域 等 を 定 めることとされている. (2) 景 観 形 成 方 針 等, 景 観 整 備 方 針 等 また, 景 観 形 成 地 域 が 定 められた 地 区 においては,そ れぞれ 名 称 は 異 なるものの 景 観 形 成 方 針 等, 景 観 整 備 指 針 等 が 定 められている. 小 樽 港 においては 地 区 景 観 形 成 計 画 ( 第 23 条 ), 地 区 景 観 形 成 基 準 ( 第 23 条 ), 横 須 賀 港 においては 景 観 づくりに 関 する 指 針 ( 地 区 指 針 ) ( 第 9 条 ) 大 阪 港 に おいては 景 観 形 成 方 針 ( 第 6 条 ), 景 観 整 備 指 針 ( 第 7 条 ), 神 戸 港 においては 景 観 形 成 方 針 ( 第 11 条 ), 景 観 形 成 基 準 ( 第 11 条 ), 下 関 港 においては 関 門 景 観 基 本 構 想 ( 第 4 条 ), 関 門 景 観 形 成 指 針 ( 第 8 条 ), 博 多 港 においては 地 区 景 観 整 備 方 針 ( 第 11 条 ), 地 区 景 観 形 成 基 準 ( 第 11 条 ), 佐 世 保 港 においては 景 観 形 成 計 画 ( 第 7 条 ), 景 観 形 成 基 準 ( 第 7 条 )を 定 めることとされている. 景 観 形 成 方 針 等 については, 景 観 形 成 の 目 標, 景 観 形 成 のための 基 本 方 針 ( 整 備 方 針 ),その 他 景 観 形 成 に 必 要 な 事 項 が 定 められることとされている. 景 観 形 成 整 備 指 針 等 については, 概 ね 下 記 の 項 目 につ いて 定 めることとされている. (ト) 建 築 物 等 の 規 模, 位 置 (ナ) 建 築 物 等 の 形 態, 色 彩, 意 匠 (ニ) 土 地 の 形 質 (ヌ) 樹 木 の 態 様 ( 緑 化 および 外 構 等 ) これらの 項 目 の 他 には, 広 告 物 の 規 模, 位 置, 形 態, 意 匠 などを 挙 げているのは, 小 樽 港, 横 須 賀 港, 神 戸 港 の 3 地 区 である. 建 築 物 の 一 階 部 分 および 屋 上 の 形 態 を 挙 げているのは, 神 戸 港 と 博 多 港 の 2 地 区 である. 照 明 を 挙 げているのは, 横 須 賀 港, 神 戸 港, 下 関 港 の 3 地 区 である.また, 神 戸 港 においては 独 自 に 眺 望 点 からの 見 え 方 を 挙 げている. (3) 市 長 への 届 け 出 景 観 形 成 地 域 等 が 指 定 されることに 伴 い, 様 々な 行 為 について 市 長 への 届 出 が 必 要 となる. 代 表 的 なものを 下 記 に 記 載 する. - 8 -

国 総 研 資 料 No.302 (ネ) 建 築 物 等 の 新 築, 増 築, 改 築, 移 転, 除 却, 外 観 の 変 更 を 伴 う 修 繕, 模 様 替 え, 色 彩 の 変 更 等 ( 全 ての 地 区 ) (ノ) 広 告 物 の 設 置, 改 造, 移 転, 修 繕, 表 示 の 変 更 など( 小 樽 港, 神 戸 港, 佐 世 保 港 ) (ハ) 土 地 の 区 画 形 質 の 変 更 ( 小 樽 港, 神 戸 港, 下 関 港, 博 多 港, 佐 世 保 港 ) (ヒ) 樹 木 の 伐 採 ( 小 樽 港, 神 戸 港, 博 多 港, 佐 世 保 港 ) (4) 指 定 景 観 形 成 物 等 都 市 景 観 の 形 成 上 重 要 である 建 築 物 等 について, 小 樽 港, 大 阪 港, 神 戸 港, 博 多 港 の 4 地 区 においては, 市 長 は 指 定 景 観 形 成 物 等 として 指 定 することとされている. ( 小 樽 港 : 登 録 歴 史 的 建 築 物, 大 阪 港 : 指 定 景 観 形 成 物 等, 神 戸 港 : 景 観 形 成 指 定 建 築 物 等, 景 観 形 成 重 要 建 築 物 等, 博 多 港 : 都 市 景 観 形 成 建 築 物 )なお,その 場 合 市 長 は 所 有 者 の 了 解 を 得 なければならない. そのうち 博 多 港 を 除 く 3 地 区 においては, 建 築 物 の 増 築, 改 築, 移 転, 除 却, 外 観 の 変 更 を 伴 う 修 繕, 模 様 替 え, 色 彩 の 変 更 等 が 市 長 への 届 出 の 対 象 となっている. また その 所 有 者 は 現 状 を 変 更 し, 又 は 所 有 権 を 移 転 す る 時 は, 市 長 に 届 け 出 なければならないとされている. ただし, 大 阪 港 は 所 有 権 の 移 転 時 のみである. 小 樽 港 に おいては, 歴 史 的 建 造 物 として 保 全 すべき 登 録 歴 史 的 建 築 物 が 登 録 できるとされている. 市 長 は 登 録 歴 史 的 建 造 物 の 保 全 についての 計 画 ( 保 全 計 画 )を 作 成 しなけ ればならないとされている. (5) 空 地 に 係 る 助 言 及 び 指 導 小 樽 港, 神 戸 港, 博 多 港 の 3 地 区 において, 市 長 が 景 観 形 成 地 区 内 等 において, 空 地 が 著 しくその 周 辺 の 景 観 を 阻 害 している 認 められるときは,その 所 有 者 に 対 して 指 導, 助 言, 勧 告 できるとされている. 5.4 関 門 景 観 条 例 による 景 観 整 備 関 門 景 観 条 例 は, 第 3 条 の 基 本 理 念 において, 関 門 景 観 の 形 成 は, 両 市 ( 下 関 市 及 び 北 九 州 市 ) 及 び 両 市 民 は これを 連 携 して 行 わなければならない. ( 第 1 項 ), 関 門 景 観 の 形 成 は, 市 域 内 部 における 景 観 のみならず, 関 門 海 峡 の 対 岸 及 び 海 上 からの 眺 望 にも 配 慮 しなければな らない. ( 第 2 項 )の 2 点 が 記 述 されており,これらは 他 の 景 観 条 例 にはない 特 徴 であり 注 目 される. 複 数 の 自 治 体 が 県 域 を 越 えて 景 観 に 関 して 同 一 名 称 同 一 条 文 の 条 例 を 制 定 する 事 例 は, 関 門 景 観 条 例 が 始 めてである. 地 区 の 景 観 的 特 色 や 地 域 特 性 から, 関 門 景 観 形 成 地 区 は, ゲート 核 緑 まちなみ 水 際 の 5 つの 景 観 と 17 の 地 区 に 区 分 し, 誘 導 方 針 に 沿 った 景 観 形 成 を 図 っていくとされている 関 門 景 観 形 成 指 針 においては,17 地 区 について, 将 来 イメージ 配 置 高 さ 形 態 色 彩 建 築 設 備 等 広 告 物 緑 化 および 外 構 等 土 地 の 形 質 夜 間 照 明 公 共 施 設 の 各 項 目 について, 大 まかな( 定 性 的 な) 指 針 が 定 められている. 関 門 景 観 独 自 の 基 本 理 念 よりほとんどの 地 区 において 付 加 されている 項 目 としては, 下 記 のものが 挙 げられる. 高 さ に 関 しては, 建 築 物 等 は, 航 路 上 の 船 舶 や 対 岸 からみて, 周 辺 の 街 並 みから 突 出 しない 高 さとする./ 周 辺 と 連 続 感 やリズム 感 を 持 った 街 並 みとする.. 形 態 については, 海 峡 から 望 める 建 築 物 等 は, 海 峡 から の 見 え 方 に 配 慮 した 形 態 となるように 努 める.. 広 告 物 については, 船 舶 や 対 岸 から 見 える 大 規 模 な 広 告 物 は 掲 出 しない.. 緑 化 および 外 構 等 については, 駐 車 場 やその 他 の 付 帯 施 設 は, 船 舶 や 対 岸 からの 見 え 方 に 配 慮 した 配 置 や 緑 化 等 に 工 夫 する.. 色 彩 については, 定 性 的 な 指 針 が 定 められている ほか, 用 いてはならない 色 相, 明 度, 彩 度 が 定 められて いる 点 が 特 徴 的 である. 関 門 景 観 基 本 構 想 においては,6 つの 方 針 が 定 められ ている.(1) 景 観 のまとまりと 豊 かな 表 情 をつくる 山 並 みの 緑 の 保 全 修 復,(2) 海 峡 を 隔 てて 互 いに 魅 力 を 高 め 合 う まちなみ の 形 成,(3) 海 峡 沿 いの 両 岸 に 連 なる 水 際 の 形 成,(4) 海 峡 が 培 う 厚 みのある 歴 史 の 継 承 と 活 用,(5) 関 門 の 新 たな 魅 力 となり, 両 岸 に 広 がる 夜 景 の 演 出,(6) 両 市 両 市 民 事 業 者 の 連 携 による 景 観 づくり の 推 進 5.5 みなとみらい 21 地 区 街 並 み 景 観 ガイドラインの 特 徴 みなとみらい 21 地 区 街 並 み 景 観 ガイドラインは, 建 物 高 さ, 空 地 の 確 保 に 関 する 事 項, 街 並 み 形 成 に 関 する 事 項, 建 物 のスケール 感 デザインに 関 する 事 項 などを 港 湾 部 局 が 主 導 しているのが 特 徴 である. 建 物 高 さに 関 する 事 項 については, 内 陸 から 海 に 向 かって 徐 々に 低 減 させることを 目 標 にして, 誘 導 指 針 において, 臨 港 幹 線 道 路 から 関 内 地 区 側 については 31m, 同 海 側 については 20m, 両 突 堤 内 については 20m とされ ている.また, 水 際 に 面 する 部 分 は 建 物 の 高 さを 低 くし, 海 辺 の 開 放 感 を 演 出 することを 目 標 にして, 水 際 線 プロ ムナード 境 界 から 奥 行 き 10m の 範 囲 の 建 物 高 さは 10m と - 9 -

国 内 のウォーターフロント 開 発 地 区 における 地 区 計 画 景 観 条 例 に 関 する 調 査 / 石 田 崇 されている. 空 地 の 確 保 に 関 する 事 項 については, 歴 史 的 景 観 的 な 通 景 空 間 を 確 保 することを 目 標 にして, 誘 導 指 針 において, 汽 車 道 軸 から 赤 レンガ 倉 庫 へのビスタ 空 間 を 確 保 するとされているが, 他 地 区 では 見 られない 斬 新 な 誘 導 指 針 である. 街 並 み 形 成 に 関 する 事 項 の 誘 導 指 針 については, 建 物 の 低 層 部 において 街 に 活 気 を 生 み 出 すための 機 能 的, 形 態 的 配 慮 を 行 うため, 全 街 区 を 対 象 とした 低 層 部 にお ける 市 民 利 用 機 能 の 導 入 (アクティビティフロア)や, 新 港 3 号 線 沿 道 街 区 を 対 象 としたコロネードの 設 置 など によるセミパブリック 空 間 の 充 実 が 特 徴 的 な 項 目 として 挙 げられる. 建 物 のスケール 感,デザインに 関 する 事 項 の 誘 導 指 針 については, 建 物 のスケール 感 を 小 さく 抑 えて, 全 体 にヒューマンなスケールの 街 並 みを 形 成 するため, 建 物 の 分 節 化 を 誘 導 することや, 地 区 の 歴 史 性 を 継 承 し, また 周 辺 市 街 地 と 調 和 した 街 並 みを 形 成 するため,レン ガを 基 調 とした 素 材 色 調 を 選 択 することが 特 徴 的 な 項 目 として 挙 げられる. その 他 の 景 観 形 成 要 素 : 屋 外 広 告 物 に 関 する 事 項 の 誘 導 指 針 のうち, 建 物 のサインの 誘 導 が 具 体 的 に 指 針 を 定 めており 興 味 深 い.1)ビルサインの 種 類 の 限 定 ( 企 業, 建 物 所 有 者, 建 物, 施 設 名 称 に 限 定 ),2)ビル サインの 設 置 位 置, 大 きさ 等 の 制 限,3)ビルサインの 色 彩, 照 明 方 法 等 の 誘 導 の 3 項 目 が 挙 げられている. その 他 の 景 観 形 成 要 素 : 夜 景 景 観 の 演 出 等 に 関 する 事 項 において, 夜 景 景 観 の 演 出 が 誘 導 指 針 として 定 められているのは 先 進 的 である. 海 からの 眺 望, 周 辺 の 高 層 建 物 から 見 下 ろされる 景 観 に 配 慮 し, 魅 力 的 な 夜 景 景 観 の 演 出 を 行 うため,1) 水 際 の 広 場 や 通 景 空 間, 建 物 低 層 部 のセミパブリック 空 間 の 演 出,2) 赤 レンガ 倉 庫 等, ランドマークとなる 建 物 のライトアップの 2 項 目 が 挙 げられている. 6. おわりに 本 調 査 においては, 現 在 ウォーターフロント 開 発 が 進 められている 地 区 に 適 用 されている 地 区 計 画 と 景 観 条 例 を 調 査 し,それぞれの 特 徴 を 整 理 した. 地 区 計 画 については, 全 国 の 12 地 区 を 対 象 にゾーン 分 け, 建 築 物 の 用 途 制 限, 容 積 率 の 最 高 限 度, 容 積 率 の 最 低 限 度, 建 築 物 の 敷 地 面 積 の 最 低 限 度, 建 築 物 の 高 さの 最 高 ( 最 低 ) 限 度, 建 築 物 等 の 形 態 又 は 意 匠 制 限 の 各 項 目 について 整 理 を 行 った. 景 観 条 例 については, 景 観 形 成 地 域 等, 景 観 形 成 方 針 等 景 観 整 備 方 針, 市 長 への 届 け 出, 指 定 景 観 形 成 物 等, 空 地 に 係 る 助 言 及 び 指 導 などの 項 目 について 整 理 を 行 っ た.また, 関 門 景 観 条 例 やみなとみらい 21 地 区 街 並 み 景 観 ガイドラインの 特 徴 についても 整 理 した. これらの 調 査 結 果 が 国 内 において 今 後 ウォーターフロ ント 開 発 を 推 進 するための 参 考 資 料 とされることを 期 待 する. (2006 年 2 月 15 日 受 付 ) 参 考 文 献 井 上 聰 史, 石 渡 友 夫 (1986): 港 湾 の 空 間 計 画 に 関 する 基 礎 的 考 察, 港 湾 技 術 研 究 所 報 告 Vol25:No4, 運 輸 省 港 湾 技 術 研 究 所,pp57-101 川 口 宗 敏, 寺 嶋 俊 二 (1998): 都 市 型 ウォーターフロント 開 発 地 の 開 発 パターンの 分 類 化 と 利 用 者 特 性, 日 本 沿 岸 域 学 会 論 文 集,pp65-78 川 端 直 志 (1994): 地 域 修 復 型 ウォーターフロント 開 発, 都 市 計 画 188, 日 本 都 市 計 画 学 会,pp16-24. 桜 井 ら(1998):ウォーターフロントの 特 性 を 活 かす 住 宅 団 地 計 画 の 研 究, 日 本 建 築 学 会 計 画 系 論 文 集 第 513 号,pp301-306. 丹 野 光 明 (1994):ウォーターフロント 開 発 の 経 済 効 果 と リスクマネジメント- 民 活 事 業 を 中 心 に-, 都 市 計 画 188, 日 本 都 市 計 画 学 会,pp33-38. 西 禎 治 (2004):ウォーターフロントの 低 未 利 用 地 が 都 市 に 及 ぼす 影 響 に 関 する 研 究 - 東 京 湾 臨 海 部 の 自 治 体 が 捉 える 実 態 と 対 策 - 西 林 大 介, 岡 田 昌 彰 (2005):ウォーターフロント 夜 景 の 特 長 とその 評 価 に 関 する 研 究, 海 洋 開 発 論 文 集 第 21 巻,pp199-203 本 田 陽 子 ら(2000):ウォーターフロント 開 発 が 周 辺 地 域 に 及 ぼす 空 間 的 波 及 の 実 態 に 関 する 研 究, 第 37 回 日 本 都 市 計 画 学 会 学 術 研 究 論 文 集, 日 本 都 市 計 画 学 会,pp1087-1092 横 内 憲 久 (1994):ウォーターフロント 開 発 と 港 の 変 容, 都 市 計 画 188, 日 本 都 市 計 画 学 会,pp25-32. - 10 -