マイクロ 波 衛 星 画 像 と 地 理 情 報 システムを 利 用 して 水 稲 作 付 け 地 を 高 い 精 度 で 推 定 する 生 態 系 計 測 研 究 領 域 石 塚 直 樹 第 1 章 はじめに 我 が 国 では 農 林 水 産 省 統 計 部 生 産 流 通 消 費 統 計 課 によって 農 地 面 積 調 査 ( 以 下 統 計 調 査 と いう)が 実 施 されおり 水 田 を 含 めた 耕 地 面 積 および 作 物 収 穫 量 統 計 に 必 要 な 作 付 面 積 が 把 握 さ れている この 面 積 は 約 4 万 カ 所 の 標 本 圃 場 について 現 地 調 査 を 実 施 し 統 計 的 手 法 を 用 いて 算 出 されている この 統 計 値 は 米 の 生 産 調 整 いわゆる 減 反 政 策 の 元 となる 重 要 なデータでもある しかしなが ら 減 反 面 積 を 割 り 当 ててゆくという 行 政 指 導 の 減 反 政 策 も いわゆる 田 湧 き 現 象 ( 減 反 の 割 り 当 て 面 積 が 増 えるにつれ 割 り 当 ての 基 準 となる 水 田 の 総 面 積 が 増 える 現 象 )によって 実 質 的 な 作 付 面 積 が 減 らないなど 問 題 を 抱 えていた そこで 2003 年 末 に コメ 政 策 大 綱 がまとめられ 今 までの 減 反 政 策 は 2008 年 までに 廃 止 することが 決 定 され 農 業 者 や 生 産 者 団 体 が 自 ら 米 の 生 産 量 を 決 め 調 整 してゆくことになった 前 述 のような 背 景 からも 各 市 町 村 より 水 田 の 水 稲 作 付 面 積 の 把 握 水 稲 作 以 外 の 作 物 栽 培 奨 励 施 策 の 実 施 状 況 や 地 域 振 興 政 策 への 利 用 のためにこの 統 計 値 を 利 用 したいという 要 望 が 強 い しかしながら 統 計 部 のデータは 都 道 府 県 レベルでの 精 度 を 保 証 しているが 市 町 村 レベルでの 精 度 を 保 証 していないという 問 題 がある 近 年 国 都 道 府 県 市 町 村 での 農 業 行 政 の GIS 化 が 進 みつつあり 集 計 表 としての 数 値 だけでは 無 く 水 稲 作 付 分 布 図 としての 公 表 要 望 も 増 え 始 め ている 面 的 な 広 がりをもつ 農 地 を 対 象 として 現 況 図 を 作 成 するためには リモートセンシング 技 術 は 最 も 有 効 な 手 段 である 統 計 調 査 は 先 に 述 べたように 全 国 約 4 万 カ 所 の 標 本 圃 場 を 実 測 により 調 査 しているために 多 くの 労 力 を 必 要 としているのが 実 態 である この 調 査 労 力 の 軽 減 と 効 率 的 な 調 査 体 系 の 改 善 が 求 められており リモートセンシング 技 術 を 活 用 した 面 積 調 査 の 開 発 研 究 が 進 められている 既 に 光 学 センサで 観 測 適 期 に 良 好 な 画 像 を 得 ることができれば 精 度 の 良 い 結 果 を 得 る 技 術 はほぼ 確 立 している しかし 光 学 センサは 雲 があると 観 測 できないという 問 題 があるため 雲 を 透 過 して 観 測 できる 合 成 開 口 レーダ(Synthetic Aperture Radar; 以 下 SAR とする)を 利 用 す る 研 究 がなされるようになった SAR データは 従 来 の 光 学 センサと 比 べると 特 有 の 現 象 が 多 く 扱 いが 複 雑 であるため SAR によ る 水 田 観 測 はまだ 知 見 が 十 分 とは 言 えず これら SAR を 使 った 研 究 においても SAR データのみ で 作 付 面 積 を 求 めたものはほとんどない 本 研 究 は 雲 の 影 響 によりデータの 適 期 取 得 の 困 難 な 光 学 センサに 代 わり 地 理 情 報 と SAR デ ータを 用 いて 水 稲 作 付 面 積 を 精 度 良 く 安 定 して 計 測 できる 方 法 の 開 発 をすることを 目 的 とする 第 2 章 合 成 開 口 レーダ(SAR)とは? レーダは 当 初 偵 察 ナビゲーション 射 程 距 離 測 定 用 機 器 として 第 2 時 世 界 大 戦 以 前 に 開 発 が 始 まった( 飯 坂 (1998) i ) その 後 実 開 口 レーダによる 映 像 型 レーダが 夜 間 爆 撃 支 援 のため 開 発 され 1950 年 代 後 半 に 航 空 機 搭 載 型 の SAR が 開 発 された 1960 年 代 に 軍 事 機 密 から 解 除 と なり 地 形 解 析 や 天 然 資 源 調 査 などに 利 用 されはじめた SAR は 衛 星 航 空 機 などの 高 速 で 移 動 するプラットフォームに 積 まれたセンサから 偏 波 面 と 19
位 相 をそろえたマイクロ 波 パルスを 照 射 し 対 象 に 当 たって 散 乱 したもののうち センサ 方 向 に 戻 ったマイクロ 波 ( 後 方 散 乱 波 )を 観 測 している SAR は 合 成 開 口 レーダと 呼 ばれるように プ ラットフォームの 移 動 によって 起 こるドップラー 効 果 を 利 用 し アンテナを 並 べたような 大 きな 仮 想 的 アンテナで 観 測 した 場 合 と 同 等 の 結 果 を 得 ることができ 高 分 解 能 を 可 能 にしている マイクロ 波 の 定 義 は 使 う 人 によって 異 なっているが 概 ね 波 長 1mm~1m( 周 波 数 300GHz~ 0.3GHz)の 電 磁 波 を 指 す 数 cm 以 上 の 波 長 のマイクロ 波 を 利 用 すると 降 雨 による 散 乱 も 小 さ く 大 気 の 透 過 率 はほぼ 100%であるので 雲 を 透 過 し 地 表 を 観 測 することができる 先 頃 打 ち 上 げに 成 功 した ALOS(だいち)に 搭 載 された PALSAR も SAR センサであり 今 後 安 価 なデー タ 入 手 が 可 能 になることが 期 待 されている このように SAR は 雲 に 左 右 されず 高 分 解 能 で 地 表 の 観 測 ができるという 利 点 を 有 しているが いくつかの 問 題 もある まず 現 在 運 用 されている 衛 星 搭 載 SAR のほとんどは 単 波 長 単 偏 波 で 観 測 するため モノクロの 画 像 しか 取 得 できない また スペックルと 呼 ばれるノイズが 非 常 に 大 きいため SAR 画 像 は 非 常 にザラザラとした 画 像 となる さらに SAR は 地 表 面 にマイクロ 波 を 斜 めに 照 射 しているため 地 表 に 起 伏 があると 画 像 が 歪 んだり 撮 影 されない 部 分 が 生 じる 第 3 章 解 析 手 法 1.2 時 期 SAR 画 像 による 水 稲 作 付 地 の 抽 出 リモートセンシングを 用 いて 水 田 を 検 出 するには 水 田 の 最 も 特 徴 的 な 地 表 状 態 である 湛 水 し た 時 期 の 画 像 を 取 得 し 解 析 するのが 効 果 的 かつ 一 般 的 である 特 に SAR では 衛 星 から 斜 め 下 方 に 照 射 されたマイクロ 波 が 水 面 で 鏡 面 反 射 して 後 方 散 乱 が 小 さくなるため 湛 水 した 水 田 は 黒 く 映 しだされる この 黒 くなった 部 分 を 閾 値 を 用 いて 2 値 化 処 理 し 抽 出 するのが 最 も 簡 便 な 方 法 である しかしながら 日 本 では 米 の 生 産 調 整 が 行 われており 管 理 水 田 や 調 整 水 田 を 呼 ばれるものは 夏 期 の 雑 草 対 策 として 作 付 水 田 と 同 様 に 湛 水 を 行 う 正 確 に 水 稲 作 付 面 積 を 求 めるには 調 整 水 田 のような 作 付 されていない 水 田 を 除 外 する 必 要 がある 従 来 の 1 時 期 の SAR データを 用 いた 手 法 では 補 助 データとして 光 学 センサ 画 像 を 用 いて 作 付 されていない 水 田 をマスクする 必 要 があ ったが その 光 学 画 像 の 取 得 は 天 候 に 左 右 されてしまう そこで SARデータのみで 調 整 水 田 を 除 外 するため 2 時 期 の SARデータを 利 用 することとした 作 付 水 田 の 稲 が 生 長 している 時 期 に 湛 水 状 態 である 水 田 が 調 整 水 田 である つまり 田 植 え 期 に 湛 水 状 態 で 生 長 期 に 湛 水 状 態 でないところが 水 稲 作 付 地 となる( 図 1) この 方 法 は 調 整 水 田 のみならず 湖 沼 や 河 川 といった 水 域 を 除 外 することもできる さらに 滑 走 路 や 広 いグラウンドといった 水 面 でないが 平 坦 であるため 鏡 面 反 射 を 起 こすような 地 物 も 除 外 することが 可 能 である 2. 閾 値 決 定 方 法 日 本 全 国 に 適 用 できる 水 稲 作 付 面 積 の 計 測 方 法 を 提 案 するためには 客 観 的 かつ 汎 用 性 の 高 い 2 値 化 処 理 の 閾 値 決 定 方 法 が 必 要 であり 本 研 究 においては P-tile 法 を 応 用 した 方 法 を 考 案 し た P-tile 法 とは 求 めたい 対 象 の 画 像 内 でのおよその 面 積 比 率 p が 既 知 の 場 合 2 値 画 像 中 の 求 めたい 対 象 の 画 素 の 割 合 が p となるように 閾 値 を 定 める 方 法 である 本 研 究 は 水 稲 作 付 面 積 を 測 ることが 目 的 であるため 画 像 全 体 におけるこの p の 値 は 不 明 とい うことになる そこで 地 図 などから 明 らかに 湛 水 地 および 非 湛 水 地 とわかる 部 分 を 画 像 からま んべんなく 同 じ 画 素 数 サンプリングし p の 比 率 を 50%と 考 え サンプル 画 素 のヒストグラムの 20
比 率 が 半 々になる 値 を 閾 値 とした しかし SAR はその 原 理 上 水 域 のような 低 い 後 方 散 乱 の 中 に 突 起 のようなものがあった 場 合 その 突 起 部 分 による 高 い 後 方 散 乱 に 周 囲 の ピクセルが 引 っ 張 られて 高 い 値 になるという 現 象 が 見 られる したがって 先 の P-tile 法 で 求 められた 閾 値 を 使 うと 抽 出 される 湛 水 地 が 本 来 の 湛 水 地 面 積 より 減 ってしまう そこで 減 った 部 分 を 補 うために 閾 値 の 補 正 が 必 要 とな る 補 正 の 最 適 値 を 求 めるため 圃 場 の 面 積 をほ ぼ 正 確 に 求 めることができる 1/2,500 国 土 基 本 図 と 比 較 する 同 数 をサンプリングして 求 めた 閾 値 を 基 準 として 既 知 の 面 積 比 のわかる 部 分 における 閾 値 との 差 を 閾 値 の 修 正 値 とする 3. 地 理 情 報 (GIS データ) 利 用 方 法 リモートセンシングは 広 範 囲 のデータが 得 ら れる 利 点 がある 一 方 解 像 度 の 制 約 による 境 界 の 曖 昧 さや 瞬 時 値 であるが 故 の 難 点 がある リ モートセンシングデータのみで 精 度 を 上 げるに は 限 界 があるため 近 年 整 備 が 進 みつつある 地 理 情 報 (GIS データ)を 組 み 合 わせて 精 度 の 向 上 を 図 る GIS データが 整 備 配 布 されるようになりつ つあるが 現 在 の GIS データの 多 くは 元 々 地 図 であったものをデジタル 化 したものであり 5 図 1 2 時 期 SAR 画 像 による 年,10 年 という 単 位 の 過 去 のデータである こ 水 稲 作 付 地 の 検 出 の GIS データにおける 水 田 分 布 は やはり 過 去 田 植 期 に 鏡 面 反 射 をし, 生 長 期 に 大 きな 後 方 散 乱 値 を 示 す 部 分 を 水 稲 作 付 地 ( 白 )とする 画 像 右 下 に 非 作 付 地 の 分 布 である しかしながら 現 在 の 日 本 にお がみられる いては 新 しく 水 田 が 開 発 されることは 希 であり さらに 水 田 は 畑 地 のように 作 付 場 所 が 年 々 移 動 することはないため 地 図 において 水 田 とされ ているところは 水 田 である 可 能 性 のある 最 大 限 の 領 域 と 考 えられる したがって 地 図 から 水 田 を 抽 出 すれば それ 以 外 の 部 分 は 非 水 稲 作 付 領 域 マスクとして 利 用 することができる 本 研 究 は 日 本 全 国 に 適 用 可 能 な 方 法 を 開 発 することを 念 頭 においている そこで 実 用 的 なマス クを 作 成 するために 日 本 全 国 刊 行 されている 数 値 地 図 25,000( 地 図 画 像 ) を 使 って 水 田 を 抽 出 することとした 数 値 地 図 25,000( 地 図 画 像 ) は 1 ピクセルが 約 2.5mでラスター 化 された GIS データであ る しかし 水 田 や 畑 という 地 目 属 性 はピクセル 毎 に 与 えられておらず カラー 情 報 以 外 の 情 報 はない そこで 数 値 地 図 25,000( 地 図 画 像 ) から 自 動 的 に 水 田 の 地 図 記 号 を 抽 出 し 地 図 記 号 から 水 田 を 十 分 に 覆 うバッファを 作 ることにより 水 田 域 を 抽 出 することとした 21
第 4 章 結 果 と 考 察 1. 対 象 地 域 佐 賀 平 野 および 筑 後 平 野 の 一 部 を 対 象 地 域 とした 対 象 地 域 は 有 明 海 の 北 部 に 位 置 し 筑 後 川 と 背 振 山 系 を 擁 する 気 温 は 温 暖 で 年 平 均 気 温 は 16 降 水 量 も 春 から 秋 にかけて 豊 富 で 年 平 均 1,836mm となっている 佐 賀 平 野 はわが 国 有 数 の 穀 倉 地 帯 で 米 作 を 中 心 に 小 麦 野 菜 等 に 高 い 生 産 をあげている( 福 原 ら, 1993) ii 福 岡 県 柳 川 市 大 川 市 を 中 心 としてイグサの 栽 培 も 盛 んである 対 象 地 域 において 品 種 による 多 少 の 違 いはあるが 6 月 中 旬 から 下 旬 にかけてほぼ 同 時 期 に 田 植 えが 行 われ ほとんどの 品 種 は 7 月 下 旬 に 中 干 しが 行 われ 10 月 中 旬 に 刈 り 入 れが 行 われる 2. 使 用 したデータ RADARSAT 画 像 はスタンダードモードで 空 間 分 解 能 が 12.5m 入 射 角 は 38.38 度 の Standard2(S2) モードを 用 いた 全 ての 水 田 で 田 植 えが 終 わった 状 態 の 2000 年 7 月 3 日 のシーン および 稲 が 生 長 して 後 方 散 乱 が 大 きくなっている 2000 年 7 月 27 日 の 2 シーンをリモートセンシング 技 術 セ ンター(RESTEC) 経 由 で 入 手 した 地 図 情 報 には ラスター 型 の 国 土 地 理 院 数 値 地 図 25,000 の ( 地 図 画 像 ) 福 岡 熊 本 と ベクター 型 である 数 値 地 図 25,000( 行 政 界 海 岸 線 ) を 用 いた また Digital Elevation Model (DEM)データとして 国 土 数 値 情 報 50m メッシュ( 標 高 ) を 使 用 した 3. 閾 値 の 決 定 2000 年 7 月 3 日 2000 年 7 月 27 日 の 画 像 から 対 象 地 にまんべんなく 散 らばるように 湛 水 地 と 非 湛 水 地 のサンプルをそれぞれ 240 ピクセルずつ 計 480 ピクセルを 抽 出 し P-tile 法 に 基 づき 面 積 比 が 50%となる 部 分 を 閾 値 とした その 結 果 2000 年 7 月 3 日 における 閾 値 は 0.00dB 2000 年 7 月 27 日 は 0.45dB となった 補 正 の 最 適 値 を 求 めるため 衛 星 画 像 と 1/2,500 国 土 基 本 図 を 重 ね その 面 積 比 がほぼ 同 じに なる 値 を 求 めた その 結 果 求 められた 閾 値 の 補 正 値 は+0.5dB となり 2000 年 7 月 3 日 におけ る 水 面 と 非 水 面 の 分 離 閾 値 は 0.5dB となった 4. 非 水 稲 作 付 地 マスクの 作 成 非 水 稲 作 付 地 マスク 作 成 の 流 れを 図 2に 示 した 水 田 の 地 図 記 号 は 他 の 土 地 利 用 の 記 号 と 違 い 水 色 となっているので 水 色 のみを 2 値 化 して 抽 出 した 抽 出 されたものには 水 田 記 号 以 外 に 水 域 の 境 界 線 と 細 い 河 川 が 含 まれていた 次 に 水 田 記 号 のみを 抽 出 するために 長 さの 情 報 に 注 目 した 線 分 1 つ 1 つに 地 理 参 照 座 標 上 における 長 さの 属 性 を 与 え 条 件 式 を 4m< 水 田 記 号 <20m とすることによ り ほぼ 水 田 記 号 のみが 抽 出 された ただ し ほぼ 同 様 な 長 さの 破 線 で 描 かれている 地 下 水 路 などは 取 り 除 けないため 一 部 手 作 業 で 修 正 した 今 回 は 水 田 を 十 分 に 含 む 必 要 があり さ らに 衛 星 画 像 との 位 置 ずれなどを 考 慮 し 水 田 記 号 から 半 径 100mでバッファを 作 成 し それ 以 外 の 部 分 を 非 水 稲 作 付 地 マスク とした 図 2 数 値 地 図 25,000( 地 図 画 像 ) からの 水 稲 作 付 可 能 性 領 域 の 作 成 22
5. 水 稲 作 付 地 の 抽 出 2 時 期 の SAR 画 像 は 前 処 理 として DEM を 用 いて 地 形 補 正 をすると 共 に 幾 何 補 正 を 行 っ た まず 田 植 え 後 の 1 シーン 目 2000 年 7 月 3 日 の SAR データより マイクロ 波 の 鏡 面 反 射 による 後 方 散 乱 の 低 下 を 利 用 し 閾 値 をもっ て 湛 水 地 を 抽 出 した この 抽 出 された 湛 水 地 は 湛 水 された 水 田 及 び 水 域 を 含 んでいること になる 次 に 水 稲 生 長 後 の SAR データより 同 じく 閾 値 を 用 いて 湛 水 地 を 抽 出 した この 2 シーン 目 2000 年 7 月 27 日 において 抽 出 さ れた 湛 水 地 は 調 整 水 田 のような 作 付 されて いない 水 田 及 び 水 域 を 含 んでいることになる 1 シーン 目 で 抽 出 された 湛 水 地 から 2 シーン 目 で 抽 出 された 湛 水 地 を 差 し 引 いたものに GIS データとして 非 水 稲 作 付 地 マスクを 適 用 し 最 終 的 な 水 稲 作 付 地 を 抽 出 した 図 3に フローを 示 した 2 時 期 RADARSAT+GIS データ 併 用 方 法 によ RADARSAT RADARSAT (transplanting period) (growing period) Geometric Correction and Georeference Water+Paddy Water Area Area(Land Part) (Land Part) Digital Map Paddy Possibility Map Subtraction Rice planted Area 図 3 2 時 期 RADARSAT+GIS データ 併 用 方 法 フローチャート る 抽 出 を 行 った 結 果 と 統 計 値 との 比 較 を 図 4に 示 した このとき 佐 賀 県 の 精 度 は 100.7% 福 岡 県 が 103.1% 全 体 で 102.1%という 非 常 に 良 い 結 果 を 得 ることができた 従 来 の 光 学 センサを 併 用 した 方 法 が 高 精 度 のマスクと 1 時 期 の SAR データで 高 精 度 の 結 果 を 得 ているのに 対 し 本 方 法 は 実 用 十 分 なマスクと SAR データで 高 精 度 に 作 付 地 のみを 抽 出 して いるといえる しかし 本 方 法 は 光 学 センサ 併 用 方 法 にない 最 大 の 利 点 として マスク 作 成 も 衛 星 データの 取 得 も 天 候 の 影 響 を 受 けないという 点 があげられる この 2 時 期 RADARSAT+GIS デー タ 併 用 方 法 によって 天 候 に 左 右 されずに 毎 年 確 実 に 光 学 センサを 併 用 した 時 と 同 じ 精 度 で 水 稲 作 付 面 積 の 計 測 が 可 能 な 方 法 を 確 立 できた 6. 他 年 次 データによる 検 証 最 終 的 に 確 立 された 実 用 的 な 2 時 期 RADARSAT+GIS データ 併 用 方 法 の 再 現 性 を 検 証 するため 2001 年 の RADARSAT 画 像 2 シーンを 用 いて 検 証 試 験 を 行 った 解 析 に 使 用 したシーンは 2001 年 6 月 28 日 と 2001 年 7 月 22 日 の 画 像 である 2000 年 の 画 像 と 同 様 に DEM を 用 いた 幾 何 補 正 を 行 った 後 に 解 析 を 行 った 閾 値 は 画 像 によって 異 な るものであり また 2000 年 と 2001 年 のデ ータは 同 じ 観 測 条 件 ながらも 受 信 局 およびデ ータ 処 理 が 違 うため 同 じ db 幅 を 用 いること ができない そこで 2001 年 の 閾 値 を 決 定 す るのに 2000 年 のデータにおいて 閾 値 決 定 に 利 用 したサンプル 箇 所 と 全 く 同 じ 箇 所 を 図 4 2 時 期 RADARSAT+GIS データ 併 用 方 法 の 2001 年 のデータでもサンプルとして 用 い ヒ 結 果 と 統 計 値 の 比 較 (2000 年 ) 23
ストグラムにおける 面 積 率 という 値 に 直 してから 修 正 を 行 った その 結 果 は 佐 賀 県 が 102.2% 福 岡 県 が 100.2% 全 体 で 101.5%という 良 い 結 果 が 得 られた このことから 本 研 究 において 考 案 された 2 時 期 RADARSAT+GIS データ 併 用 方 法 の 再 現 性 の 高 さ が 示 された 第 5 章 まとめ 田 植 え 期 と 生 長 期 の2 時 期 のSAR 画 像 を 用 いることにより 天 候 に 左 右 されずに 調 整 水 田 を 除 外 した 水 稲 作 付 地 を 抽 出 することができた また 非 水 田 部 分 へのマスクとして 従 来 よりマスクとして 利 用 されてきたDEMや 国 土 数 値 情 報 でなく 数 値 地 図 25,000( 地 図 画 像 ) の 色 情 報 や 長 さといった 情 報 から 水 田 記 号 を 抽 出 し マ スク 作 成 に 利 用 するという 新 しい 方 法 を 考 案 した それらを 組 み 合 わせた 2 時 期 RADARSAT+GIS データ 併 用 方 法 を 提 案 し その 結 果 101.5%とい う 高 い 精 度 が 得 られた さらに 同 じ 対 象 地 で 異 なる 年 のデータを 用 いた 検 証 試 験 でも 高 い 精 度 が 得 られ 本 手 法 の 再 現 性 の 高 さも 確 認 した この 2 時 期 RADARSAT+GIS データ 併 用 方 法 によっ て 天 候 に 左 右 されずに 毎 年 確 実 に 光 学 センサを 併 用 した 時 と 同 様 に 高 い 精 度 で 水 稲 作 付 面 積 の 計 測 が 可 能 な 方 法 を 確 立 できた 今 後 誤 差 が 生 じやすい 中 山 間 地 において 本 手 法 がどの 程 度 有 効 であるかや 他 の 地 域 での 汎 用 性 などを 検 証 していく 予 定 である 引 用 文 献 i ii 飯 坂 讓 二 監 修 日 本 写 真 測 量 学 会 編 (1998): 合 成 開 口 レーダ 画 像 ハンドブック. 朝 倉 書 店, 東 京,208p. 福 原 道 一 今 川 俊 明 編 著 (1993):カラー 解 説 宇 宙 から 見 た 日 本 の 農 業. 農 業 環 境 技 術 研 究 所, 養 賢 堂. 24