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C-052-36 C-052 酸 性 物 質 の 負 荷 が 東 アジア 集 水 域 の 生 態 系 に 与 える 影 響 の 総 合 的 評 価 に 関 する 研 究 (3) タイ 熱 帯 季 節 林 集 水 域 における 物 質 収 支 解 析 に 基 づく 酸 性 沈 着 の 生 態 系 影 響 評 価 財 団 法 人 日 本 環 境 衛 生 センター 酸 性 雨 研 究 センター 生 態 影 響 研 究 部 佐 瀬 裕 之 < 研 究 協 力 者 > 京 都 大 学 大 学 院 農 学 研 究 科 太 田 誠 一 山 下 尚 之 酸 性 雨 研 究 センター 生 態 影 響 研 究 部 上 迫 正 人 タイ 国 王 室 林 野 局 Jesada Luangjame タイ 国 環 境 研 究 研 修 センター Hathairatana Garivait 平 成 17~19 年 度 合 計 予 算 額 22,426 千 円 (うち 平 成 19 年 度 予 算 額 6,899 千 円 ) 上 記 の 合 計 予 算 額 には 間 接 経 費 5,176 千 円 を 含 む [ 要 旨 ] 本 サブテーマでは これまで 熱 帯 地 域 への 適 用 例 がほとんどなかった 集 水 域 単 位 の 生 物 化 学 的 物 質 循 環 を 基 礎 とした 酸 性 沈 着 の 生 態 影 響 モニタリング 地 点 を タイ 国 東 北 部 の 丘 陵 地 帯 に 分 布 する 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 に 設 定 し 継 続 観 測 を 実 施 した また 新 潟 県 に 設 定 された 既 存 試 験 地 の 解 析 結 果 との 比 較 から 異 なる 気 候 帯 の 集 水 域 の 特 質 を 明 らかにした 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 に 設 定 されたサケラートSRS 試 験 地 は 1000 mm 以 上 の 蒸 発 散 量 により 物 質 の 流 出 が 大 きく 制 限 された 物 質 集 積 型 の 生 態 系 であることが 示 唆 された 本 試 験 地 のように 乾 季 と 雨 季 に 明 確 に 分 かれている 熱 帯 季 節 林 帯 においては 乾 季 の 間 に 大 気 中 に 滞 留 したSO 2-4 NO - 3 を 多 く 含 むガス 状 粒 子 状 の 汚 染 物 質 が 雨 季 初 期 に 降 水 によってウォッシュアウトされ 沈 着 量 が 著 しく 増 大 することが 明 らかとなった また 本 集 水 域 内 の 土 壌 酸 性 は 季 節 空 間 変 動 を 示 すこ とが 明 らかとなり 特 に 大 気 沈 着 の 影 響 を 広 域 的 にモニタリングする 場 合 空 間 変 動 を 考 慮 し た 反 復 サンプリングが 必 要 なことが 示 唆 された さらに 土 壌 中 のN 動 態 の 評 価 にも 季 節 空 間 変 動 を 十 分 に 考 慮 する 必 要 があることが 示 唆 された 渓 流 水 質 は 乾 季 雨 季 という 気 候 的 特 性 や それによって 変 化 する 土 壌 化 学 性 や 内 部 循 環 の 影 響 を 受 けながら 明 確 な 季 節 性 を 示 すこと が 明 らかとなった 渓 流 水 質 へのN 沈 着 の 直 接 的 影 響 は 現 時 点 では 明 らかではないが 大 気 沈 着 に 由 来 すると 考 えられるSO 2-4 が 流 出 することにより 一 時 的 な 渓 流 水 の 酸 性 化 が 生 じていることが 明 らかとなった 東 アジア 地 域 の 森 林 集 水 域 は モンスーンの 影 響 を 強 く 受 け 大 気 沈 着 について 明 確 な 季 節 性 を 示 す 一 方 で 渓 流 水 質 を 含 む 物 質 循 環 過 程 は 各 地 域 の 気 候 的 土 壌 学 的 特 質 の 影 響 を 強 く 受 け 大 きく 異 なることが 明 らかとなった 本 サブテーマで 得 られた 各 集 水 域 の 特 質 は 今 後 各 地 域 の 影 響 を 評 価 する 上 で 重 要 な 基 礎 情 報 となり EANETモニタリングへの 貢 献 も 期 待 できる [キーワード] 酸 性 沈 着 熱 帯 季 節 林 物 質 収 支 東 アジア 酸 性 雨 モニタリングネットワーク (EANET) 集 水 域

C-052-37 1. はじめに 酸 性 雨 モニタリングネットワーク(EANET)は 東 アジアにおける 酸 性 雨 問 題 の 状 況 に 関 する 共 通 理 解 の 形 成 や 酸 性 沈 着 による 環 境 への 悪 影 響 を 防 ぐため 政 策 決 定 に 有 益 な 情 報 を 提 供 するこ となどを 目 的 に 東 アジア13ヵ 国 が 参 加 している 国 際 的 枠 組 みであり 酸 性 物 質 の 大 気 からの( 湿 性 乾 性 ) 沈 着 および 土 壌 植 生 陸 水 などの 生 態 影 響 に 関 するモニタリングを 実 施 している EANETでは 将 来 的 に 陸 域 生 態 系 評 価 に 資 する 観 測 手 法 を 開 発 するため 集 水 域 (キャッチメント: 流 域 )を 単 位 とした 大 気 沈 着 から 渓 流 水 までを 含 めた 包 括 的 なモニタリング 手 法 について 検 討 している 雨 や 土 壌 河 川 などを 別 々に 見 るのではなく 森 林 内 部 ( 林 冠 や 土 壌 中 )での 物 質 の 流 れを 考 えながら 同 じ 集 水 域 内 で 同 時 に 監 視 していくことが 酸 性 沈 着 の 陸 域 生 態 系 への 影 響 を 定 量 的 に 評 価 するためには 有 効 であると 考 えられている EANETネットワークセンターである 酸 性 雨 研 究 センターでは 国 内 では 日 本 海 側 の 季 節 風 の 森 林 生 態 系 への 影 響 を 明 らかにすることを 目 的 に 平 成 13 年 度 (2001 年 度 )から 日 本 海 側 に 面 する 新 潟 県 加 治 川 村 ( 現 新 発 田 市 )に 小 集 水 域 試 験 地 ( 加 治 川 試 験 地 )を 設 定 し 継 続 調 査 を 実 施 してきた 平 成 17 年 度 (2005 年 度 )からは その 解 析 結 果 や 現 地 調 査 におけるノウハウも 参 考 に 東 アジアに 特 有 な 季 節 性 を 考 慮 しながら タ イ 国 EANET 関 係 機 関 と 共 同 で 熱 帯 季 節 林 において 集 水 域 調 査 を 開 始 した 東 アジア 地 域 は モンスーンの 影 響 を 強 く 受 け 季 節 性 が 明 確 である 特 に 熱 帯 地 域 は 欧 米 や 日 本 などの 先 行 研 究 が 多 い 亜 寒 帯 温 帯 地 域 とは 気 象 土 壌 植 生 等 が 著 しく 異 なり 集 水 域 研 究 の 適 用 例 はほとんどない 特 に 雨 季 乾 季 が 明 確 な 熱 帯 季 節 林 では 乾 季 には ほとんど 降 雨 がないため ガス 状 粒 子 状 の 酸 性 物 質 が 多 量 に 大 気 に 滞 留 しているものと 考 えられる ま た 仮 に 樹 木 や 土 壌 表 面 に 沈 着 ( 乾 性 沈 着 )しても 降 水 量 が 少 ないため 物 質 移 動 が 限 定 され 生 態 系 外 への 流 出 がほとんど 起 こらず 酸 性 物 質 が 大 気 中 および 森 林 生 態 系 内 に 滞 留 蓄 積 され ていることが 予 測 される このように 乾 季 に 蓄 積 された 酸 性 物 質 が 雨 季 の 始 まりとともに 一 気 に 洗 浄 流 出 されることにより 沈 着 量 や 生 態 系 からの 流 出 量 の 急 激 な 増 大 を 引 き 起 こし 生 態 系 内 での 物 質 循 環 の 攪 乱 などを 生 じさせる 可 能 性 もある また これらの 地 域 には 高 温 高 湿 環 境 下 で 強 い 風 化 作 用 を 受 けた 酸 緩 衝 能 が 低 い 土 壌 が 広 く 分 布 することから 今 後 酸 性 物 質 排 出 量 の 増 加 が 予 測 される 東 アジアにおいて 熱 帯 特 有 の 気 候 条 件 下 での 生 態 系 影 響 の 評 価 は 大 きな 課 題 である 2. 研 究 目 的 本 サブテーマでは タイ 熱 帯 季 節 林 に 設 定 した 集 水 域 試 験 地 における 物 質 の 循 環 収 支 を 基 礎 として 雨 季 と 乾 季 の 季 節 変 化 に 伴 う 酸 性 物 質 の 挙 動 の 特 性 を 明 らかにすること 大 気 沈 着 によ る 当 該 生 態 系 への 影 響 を 解 析 すること EANETで 集 水 域 流 域 調 査 を 行 うための 問 題 点 を 抽 出 し マニュアル 作 成 のための 基 礎 的 な 情 報 を 得 ること 等 を 目 的 とした タイの 集 水 域 試 験 地 においては 流 入 量 ( 大 気 沈 着 量 )および 渓 流 からの 流 出 量 の 季 節 変 動 を 明 らかにするとともに 当 該 森 林 生 態 系 内 における 物 質 挙 動 について 検 討 を 行 った また 物 質 挙 動 に 関 わる 機 構 として 集 水 域 内 における 土 壌 酸 性 の 季 節 的 空 間 的 変 動 と 窒 素 成 分 の 土 壌 中 でのフラックスを 明 らかにした さらに 新 潟 の 加 治 川 試 験 地 における 結 果 を 解 析 することによ り 日 本 海 沿 岸 域 ( 温 帯 地 域 )における 大 気 沈 着 の 季 節 性 とその 物 質 循 環 への 影 響 を 明 らかにし 熱 帯 地 域 との 比 較 から 各 地 域 の 物 質 循 環 の 特 性 をより 明 確 化 した これらの 情 報 を 基 に EANET

C-052-38 における 集 水 域 モニタリングマニュアル 作 成 のための 基 礎 情 報 を 集 約 した 3. 研 究 方 法 (1)タイ 集 水 域 試 験 地 における 物 質 循 環 1) 調 査 地 点 の 概 要 タイ 東 北 部 第 3の 都 市 であるナコン ラチャシマ(コラート 市 )の 郊 外 の 丘 陵 地 帯 に 位 置 する 熱 帯 季 節 林 に 関 する 研 究 が 多 く 行 われているサケラート 試 験 研 究 林 をサイトして 選 定 した 王 室 林 野 局 (RFD)が 管 理 するサケラート 林 業 研 究 ステーション(Sakaerat Silvicultural Research Station:サケラートSRS)の 試 験 研 究 林 内 に 小 集 水 域 試 験 地 ( 約 35ha)において 下 記 の 現 地 調 査 を2005 年 10 月 より 開 始 した 気 候 区 は 熱 帯 モンスーン 気 候 (Am) 植 生 は 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 (dry evergreen forest) 主 な 土 壌 種 は 陽 イオン 交 換 容 量 や 塩 基 飽 和 度 が 低 い 強 酸 性 の 赤 黄 色 土 (Orthic Acrisols)である 過 去 10 年 間 の 気 象 データを 基 に 気 候 図 プロットから 解 析 した 結 果 サケラ ートSRS 試 験 地 において 乾 季 は11~3 月 雨 季 は4~10 月 また 特 に 4~6 月 および8~10 月 は 過 湿 期 であると 推 定 された サケラートSRSの 構 内 には EANETの 湿 性 沈 着 乾 性 沈 着 モニタリング のステーションもあり ウェット オンリー 型 の 降 水 捕 集 装 置 およびフィルターパック 法 による 大 気 濃 度 測 定 が 行 われている 流 入 量 推 計 に 関 しては これらのデータも 活 用 することが 可 能 で ある 2) 大 気 沈 着 量 及 び 渓 流 からの 流 出 イオン 量 の 通 年 観 測 総 沈 着 量 推 計 のため 林 内 雨 樹 幹 流 捕 集 装 置 を 試 験 地 内 5 地 点 に 設 置 した また 試 験 地 近 傍 のオープンスペース(1 地 点 )に 林 外 雨 捕 集 装 置 と 大 気 濃 度 測 定 用 のパッシブサンプラー(SO 2 NO 2 NO X NH 3 O 3 の 各 項 目 )を 設 置 した 試 験 地 最 下 部 の 渓 流 に ロガー 内 蔵 型 水 位 計 を 設 置 した ま た 近 傍 で 定 期 的 な 採 水 水 位 流 速 の 実 測 を 開 始 した 各 プロットの 設 置 イメージは 図 1のと おり 降 水 大 気 濃 度 測 定 など 沈 着 量 に 関 わる 調 査 は 10 月 初 旬 から 月 2 回 ( 毎 月 15 日 と 末 日 に 回 収 )の 頻 度 で 試 料 捕 集 を 開 始 した 同 時 に 渓 流 水 についても 月 2 回 の 採 水 を 実 施 した 流 入 水 量 は 林 外 雨 のサンプラーで 得 られた 捕 集 水 量 を 基 に 算 出 し 流 出 水 量 は 当 該 集 水 域 の 最 下 部 に 設 置 した 水 位 ロガーのデータと 採 水 時 の 実 測 流 量 から 水 位 流 量 曲 線 を 作 成 し 推 計 した 捕 集 した 試 料 は 速 やかにバンコクに 輸 送 し 研 究 協 力 機 関 である 環 境 研 究 研 修 センター(ERTC) において ph EC アルカリ 度 ( 渓 流 水 のみ)を 測 定 した 後 イオンクロマトグラフにより SO 2-4 NO - 3 Cl - Ca 2+ Mg 2+ K + Na + + NH 4 等 の 主 要 なイオンの 分 析 を 行 った また サブテーマ1との 連 携 として 信 州 大 学 のグループによって 林 外 雨 調 査 地 点 (1 地 点 3 反 復 ) 林 内 雨 樹 幹 流 プロット(5 地 点 ) 土 壌 プロット 内 の 斜 面 上 ( 上 中 下 各 5 反 復 )に イオン 交 換 樹 脂 を 用 いたサンプラーが 設 置 された これらのデータは 林 内 雨 および 林 内 雨 樹 幹 流 法 の 検 証 評 価 にも 用 いた

C-052-39 林 内 雨 樹 幹 流 サンプラー ( 試 験 地 内 に5プロット 設 定 ) 500 渓 流 土 壌 リターフォールプロット (350m 40m) 流 量 測 定 地 点 ( 水 位 ロガー 設 置 ) サケラート 図 1.サケラート 集 水 域 試 験 地 における 各 プロットの 設 置 イメージ 試 験 地 近 傍 のオープンスペースに 林 外 雨 捕 集 装 置 パッシブサンプラーを 設 置 した また タイ 東 部 におけるサケラート 試 験 地 の 位 置 づけ 特 徴 を 明 らかにするために ナコン ラチャシマ 州 内 の2つの 国 立 公 園 (Thap Lan 国 立 公 園 Khao Yai 国 立 公 園 : 世 界 遺 産 登 録 地 域 )に おいて 渓 流 水 を 採 取 し 同 時 期 のサケラート 試 験 地 内 の 渓 流 水 質 との 比 較 を 行 った 採 水 は Thap Lan 国 立 公 園 2ヶ 所 Khao Yai 国 立 公 園 内 4ヶ 所 で 行 った 3) 土 壌 酸 性 の 季 節 空 間 変 動 主 渓 流 を 挟 む 両 側 の 斜 面 に350m 40mの 長 方 形 プロットを 設 置 した 2005 年 11 月 の 雨 季 と2006 年 3 月 の 乾 季 に 土 壌 を 採 取 した 長 方 形 プロットを10m 10mの 格 子 に 区 分 し 各 格 子 点 においてオガ ーを 用 いて0-5cm 5-15cm 25-35cm 45-55cmの 各 深 度 から 土 壌 を 採 取 した さらに プロットの 長 辺 に 平 行 な 中 心 線 上 で 各 10m 格 子 点 の 間 で1mもしくは2m 間 隔 で5 地 点 から0-5cm 土 壌 を 採 取 した 得 られた 試 料 を 用 いてpH(H 2 O KCl) 交 換 性 Ca 2+ Mg 2+ K + Na + (ph7.0の 酢 酸 アンモニウムによる 抽 出 )と 交 換 酸 度 (Al 3+ H + :1MKClによる 抽 出 )を 測 定 した 交 換 性 Ca 2+ Mg 2+ K + Na + と 交 換 酸 度 の 総 量 をECECとし 交 換 性 Ca 2+ Mg 2+ K + Na + の 和 をECECで 除 したものを 塩 基 飽 和 度 とした ま た ジオスタティスティクス( 地 球 統 計 学 )を 用 いて 各 土 壌 特 性 値 のセミバリオグラムを 求 めた 4) 土 壌 植 生 系 における 窒 素 (N)フラックスの 季 節 空 間 変 動 長 方 形 プロットの 片 側 斜 面 において 東 側 斜 面 の 上 部 中 部 下 部 に 深 度 20cm~60cmの 土 壌 断 面 を 作 成 し 0-5cm 5-20cm 20~40cm 40~60cmの 各 深 度 において 土 壌 サンプルの 採 取 無 機 化 硝 化 速 度 の 測 定 のためのベリードバッグ( 現 地 培 養 法 )と 鉛 直 方 向 フラックス 測 定 のためのイオ ン 交 換 樹 脂 の 設 置 回 収 をおこなった 斜 面 上 部 は 鉱 質 土 壌 層 が30cm~50cmと 浅 かったため 0-5cm と5-20cmの2 深 度 のみを 対 象 とした サンプリングは2006 年 6 月 より 開 始 し 雨 季 中 期 (6 月 ~8 月 ) 雨 季 後 期 (9 月 ~11 月 ) 乾 季 (12 月 ~2 月 ) 雨 季 初 期 (3 月 ~5 月 )の4 期 間 1 年 間 にわたり 実 施 し た ベリードバッグは 各 期 間 の 培 養 後 に 現 地 でKCl 抽 出 をおこない 培 養 前 後 の 無 機 態 N 濃 度 を 測 定 して 純 無 機 化 硝 化 フラックスを 算 出 した イオン 交 換 樹 脂 は0 5 20 40 60cmに 設 置 し 各 期 間 後 に 回 収 してKCl 抽 出 をおこない 無 機 態 N 濃 度 を 測 定 して 各 深 度 における 流 入 と 溶 脱 を 算

C-052-40 出 した 無 機 態 N 濃 度 (NO 3 - NH 4 + )の 測 定 にはフローインジェクション(アクアラボ 製 )を 用 いた (2) 既 存 試 験 地 ( 新 潟 加 治 川 試 験 地 )のデータ 解 析 新 潟 県 日 本 海 沿 岸 に 位 置 する 加 治 川 試 験 地 では スギ 人 工 林 褐 色 森 林 土 に 覆 われた 小 集 水 域 ( 面 積 :3.84 ha)において 2002 年 から 通 年 観 測 が 実 施 されている 1) 流 入 量 は 林 内 雨 樹 幹 流 ( 各 3 斜 面 2 反 復 計 6 地 点 ) 林 外 雨 (1 地 点 ) 標 準 雨 量 計 (1 地 点 ) 等 により 大 気 沈 着 量 を 推 計 流 出 量 は 三 角 堰 とパーシャルフリュームにより 渓 流 水 流 出 量 の 連 続 測 定 を 行 った 2) 林 外 雨 林 内 雨 樹 幹 流 は4 週 間 毎 に 回 収 渓 流 水 は2 週 間 毎 に 採 水 し 化 学 分 析 に 供 した(2007 年 か らは 林 外 雨 等 も2 週 間 毎 に 回 収 ) 分 析 項 目 は タイの 試 験 地 と 同 様 である 本 サブテーマにおい ては 温 帯 特 に 日 本 海 沿 岸 域 の 特 徴 を 明 確 にし 熱 帯 季 節 林 との 相 違 点 を 検 討 するため 上 記 試 験 地 で 得 られた 過 去 5 年 間 のデータを 基 に 大 気 沈 着 とその 影 響 について 季 節 性 と 物 質 流 入 流 出 収 支 に 着 目 した 解 析 を 行 った (3)EANETにおける 集 水 域 モニタリングマニュアル 作 成 のための 基 礎 情 報 の 集 約 上 記 タイ サケラートSRS 試 験 地 新 潟 加 治 川 試 験 地 における 調 査 経 験 解 析 結 果 を 基 に EANETにおける 集 水 域 モニタリングマニュアル 作 成 のための 基 礎 情 報 の 集 約 について タイ 王 室 林 野 局 (RFD)のJesada 博 士 環 境 研 究 研 修 センター(ERTC)のHathairatana 博 士 らと 議 論 を 開 始 し た 4. 結 果 考 察 (1)タイ 集 水 域 試 験 地 における 物 質 循 環 1) 水 の 循 環 収 支 の 検 討 集 水 域 試 験 地 内 への 流 入 水 量 ( 林 外 雨 降 水 量 ) 及 び 流 出 水 量 ( 渓 流 水 量 )を 図 2に 示 した 目 安 として 雨 季 に 相 当 する 期 間 を 網 掛 けで 示 した 過 去 の 気 象 データの 解 析 から 本 地 域 では 4 月 に 雨 季 が 始 まり 5 月 頃 に 月 降 水 量 が100 mmを 超 える 過 湿 期 になるが 7-8 月 は 降 水 量 が 低 下 し ( 湿 潤 期 ) その 後 再 び9-10 月 にさらに 降 水 量 が 多 い 過 湿 期 を 迎 えることが 明 らかになってい る 2006 年 2007 年 については 雨 季 が3 月 中 旬 に 早 めに 始 まったものの その 後 は 5-6 月 に 前 半 の 過 湿 期 7 月 に 一 度 降 水 量 が 低 下 した 後 9-10 月 に 後 半 の 過 湿 期 を 迎 えており ほぼこれまで の 年 と 同 じようなパターンで 降 水 イベントが 見 られた( 図 2(a)) 一 方 で 流 出 水 量 を 見 ると 雨 季 後 半 においては 降 水 量 に 従 った 増 大 が 見 られるが 雨 季 前 半 5-6 月 の 過 湿 期 においては 流 量 はほとんど 増 えず 2006 年 の 場 合 は6 月 後 半 2007 年 の 場 合 は5 月 に 何 度 かほとんど 枯 れた 状 態 になった( 図 2(b)) 本 集 水 域 試 験 地 内 ではないが 同 じサケラー ト 試 験 林 構 内 の 乾 燥 常 緑 林 における 蒸 発 散 量 の 観 測 データによると 雨 季 6 月 の 蒸 発 散 (3.3 mm d -1 ) は 乾 季 1 月 の 観 測 値 (0.6 mm d -1 )を 大 きく 上 回 ることが 指 摘 されている 3) 雨 季 前 半 の 過 湿 期 に おいては 植 物 活 動 が 活 発 になり 降 水 は 土 壌 植 生 系 で 主 に 使 われ 蒸 散 量 が 増 大 するため 渓 流 にまで 水 が 流 れないと 考 えられた 乾 季 から 翌 年 の 乾 季 までを 水 の 循 環 の 一 年 ( 水 年 )とすると 本 試 験 地 においては 暦 年 を 水 年 とほぼ 等 しく 扱 うことが 可 能 であると 考 えられた 1 月 から12 月 の 流 入 水 量 を 積 算 すると 約 1350 mmであるにも 関 わらず 流 出 水 量 は 約 58 mmであり 5% 未 満 であった 熱 帯 地 域 の 水 収 支 において

C-052-41 は 蒸 発 散 量 の 寄 与 が 大 きいと 考 えられるが 上 述 したサケラート 試 験 林 の 雨 季 と 乾 季 の 蒸 発 散 量 から 年 間 蒸 発 散 量 を 推 計 した 場 合 は 約 960 mm 蒸 発 散 量 の 簡 易 的 な 推 計 法 として 用 いられるソ ーンスウェイト 法 ( 月 平 均 気 温 を 基 礎 として 算 出 )で 推 計 した 場 合 は 約 1500 mmとなり 1000 mm 単 位 の 蒸 発 散 が 生 じている 可 能 性 が 示 唆 された ここで 推 計 された 流 出 量 が 過 小 評 価 されている 可 能 性 はあるが 本 報 告 書 においては 上 記 の 水 収 支 を 基 に 物 質 収 支 を 算 出 した 図 2. 流 入 ( 降 水 量 :a) 流 出 ( 渓 流 水 量 :b) 水 量 の 季 節 変 化 流 入 流 出 量 とも 各 捕 集 期 間 の 水 量 を15 日 単 位 に 規 格 化 した 値 を 示 した 流 出 量 について は 集 水 域 面 積 を35haとしてmm 単 位 で 算 出 した 図 中 の 網 掛 けの 期 間 は 雨 季 の 白 抜 きの 期 間 は 乾 季 の 目 安 を 示 す 2) 雨 季 から 乾 季 の 大 気 沈 着 量 の 変 化 主 要 なイオンと 降 水 量 について 林 内 雨 樹 幹 流 法 及 び 林 外 雨 (バルクサンプラー)による 大 気 沈 着 量 の 季 節 変 化 を 図 3に 示 した 林 内 への 総 沈 着 量 ( 湿 性 沈 着 + 乾 性 沈 着 )と 考 えられる 林 内 雨 樹 幹 流 法 による 沈 着 量 は 2006 年 の3 月 中 旬 雨 季 の 始 まりとともに 全 てのイオンで 急 激 な 増 大 が 見 られた( 図 3(a)-(e)) 特 に SO 2-4 や NO - 3 は この 時 期 に 最 大 値 を 示 した その 後 は 5 月 から6 月 にかけて 降 水 量 ととも に 再 び 沈 着 量 が 増 大 し Cl - NH 4+ が 最 大 値 を 示 した K + は 雨 季 終 盤 の 最 も 降 水 量 の 多 い 時 期 に 再 び 沈 着 量 が 増 大 し 10 月 に 最 大 値 を 示 した 2007 年 は 雨 季 前 半 までのデータであるが 少 し 傾 向 は2006 年 とは 異 なるものの やはり 雨 季 の 始 まりとともに 沈 着 量 の 増 大 が 見 られた SO 2-4 や NO 3- が 最 大 沈 着 量 を 示 した 雨 季 の 始 まりには 降 水 量 はそれほど 多 くなく 濃 度 が 高 いことにより 沈 着 量 が 増 大 したことが 示 唆 される SO 2-4 やNO - 3 では 林 外 雨 との 差 は 比 較 的 小 さく 乾 性 沈 着 の 影 2- 響 よりも 乾 季 の 間 大 気 中 に 滞 留 していたSO 4 NO 3- を 多 く 含 むガス 状 粒 子 状 の 汚 染 物 質 が 降 水 によって ウォッシュアウトされたと 考 えられた 林 内 雨 量 は 林 外 とほぼ 同 じ 傾 向 を 示 し たが 林 冠 遮 断 によって 林 外 雨 量 よりも 低 い 値 を 示 す 時 期 が 多 かった( 図 3(f)) 2006 年 の 年

C-052-42 間 積 算 値 を 比 較 すると 林 冠 遮 断 は 約 40%であり 通 常 日 本 のスギ 林 などで 報 告 される 値 (20-30%)よりは 高 い 値 を 示 していた 2) 図 3. 林 内 雨 樹 幹 流 法 (TF+SF) 及 び 林 外 雨 (RF)による 大 気 沈 着 量 の 季 節 変 化 各 捕 集 期 間 の 沈 着 量 を15 日 間 単 位 に 規 格 化 した 値 を 示 した 林 内 雨 樹 幹 流 法 については 5 地 点 の 平 均 値 と 標 準 誤 差 を 示 した 網 掛 けは 雨 季 に 相 当 する 期 間 林 内 雨 樹 幹 流 法 による 沈 着 量 と 林 外 雨 の 沈 着 量 の 差 は 乾 性 沈 着 や 林 冠 反 応 ( 溶 出 吸 収 ) を 評 価 するために 用 いられ 林 冠 反 応 の 寄 与 が 小 さいと 考 えられるSO 2-4 やCl - ではほぼ 乾 性 沈 着 量 に 等 しいと 考 えられており 2006 年 の 年 間 値 では それぞれ 林 内 雨 樹 幹 流 法 の61% 60%であっ た 一 方 で N 化 合 物 (NO - 3 NH + 4 )は 林 冠 反 応 ( 吸 収 )の 影 響 を 強 く 受 け 多 くの 場 合 林 外 雨 と 林 内 雨 樹 幹 流 法 の 差 が 比 較 的 小 さく 特 にNH + 4 では 林 外 雨 による 沈 着 量 の 方 が 多 く 見 積 もられる 場 合 もあるが 1) 今 回 は 林 外 雨 によるN 化 合 物 の 沈 着 量 が 雨 季 に 入 って 林 内 雨 樹 幹 流 に 較 べ 著 し く 低 い 結 果 となった 例 えば 2006 年 の 年 間 沈 着 量 を NO - 3 NH + 4 の 和 である 溶 存 無 機 N(DIN)と して 算 出 すると 林 内 雨 樹 幹 流 法 では7.8 kg ha -1 であるのに 対 し 林 外 雨 では1.7 kg ha -1 であ った 特 に 林 外 雨 において 捕 集 期 間 中 に 微 生 物 による 消 費 が 生 じているものと 考 えられたため バイオサイド(チモール)を 添 加 し 比 較 試 験 を 行 ったところ N 化 合 物 の 沈 着 量 の 回 復 が 見 られる 場 合 があり 微 生 物 の 影 響 が 確 認 された しかしながら 森 林 地 域 でのバイオサイド 添 加 は 周 辺 土 壌 を 汚 染 する 可 能 性 があることから 本 地 域 では N 化 合 物 の 沈 着 量 については EANETステ ーションのウェット オンリー 捕 集 装 置 や サブテーマ(1)で 用 いたイオン 交 換 樹 脂 を 用 いたサン プラーで 得 られたデータを 参 考 とすることとした すでにデータが 公 表 されている2006 年 のEANET データによると DIN 沈 着 量 は6.0 kg ha -1 であった 一 方 で 他 のイオンについては Cl - ではEANET 2- データの 方 が 少 ないなどの 差 が 見 られるものの SO 4 を 含 む 多 くのイオンについて 林 外 雨 と EANETデータの 年 間 値 はほぼ 同 等 であった 林 外 雨 調 査 地 点 に 設 置 されたサブテーマ(1)によるイ オン 交 換 樹 脂 サンプラーのデータでは 2007 年 の 年 間 値 は 約 7 kg ha -1 であり 直 接 比 較 はできな

C-052-43 いものの 上 記 のEANETデータとほぼ 同 等 であり DIN 沈 着 量 については EANETデータおよびイオ ン 交 換 樹 脂 法 を 用 いるのが 適 当 であると 考 えられた 林 内 に 設 置 されたイオン 交 換 樹 脂 サンプラ ーによる2007 年 のDIN 沈 着 量 は 約 8 kg ha -1 であり 林 内 雨 樹 幹 流 法 では 捕 集 期 間 中 のNの 消 費 は 比 較 的 小 さいと 考 えられた 3) 土 壌 酸 性 の 空 間 季 節 変 動 1 空 間 変 動 とその 規 定 要 因 雨 季 後 期 乾 季 ともに 両 斜 面 の 土 壌 ph(h 2 O)は 約 4.5-6.5の 範 囲 で 空 間 的 に 大 きく 変 動 していた プロット 中 心 線 上 の50m~120mや250m~340mの 範 囲 のpHは130~240mの 距 離 にあるpHより 低 い 傾 向 がみられ さらに 多 くの 地 点 で 約 10~20mの 範 囲 内 でpH 変 動 が 認 められた( 図 4b) すなわち ph の 空 間 変 動 には 大 小 2つの 異 なるスケールをもつ 空 間 構 造 が 存 在 していると 考 えられた phのセミ バリオグラムにおいても20mの 短 レンジと110mの 長 レンジが 認 められ 2つの 空 間 構 造 の 存 在 を 支 持 していた 110mの 長 レンジは 斜 面 位 置 等 の 地 形 を 反 映 しているものと 考 えられた 一 方 ph の 空 間 変 動 は 深 度 方 向 に 減 少 し 45cm 以 深 ではほとんど 空 間 変 動 がみられなかった 中 心 線 におけるpH とCa 2+ Mg 2+ K + 濃 度 の 分 布 を 大 小 2つの 異 なる 空 間 構 造 に 注 目 して 詳 細 に 観 察 すると 約 20mの 小 スケールでは 両 者 の 分 布 に 対 応 関 係 が 観 察 された( 図 4b 4c) 交 換 性 塩 基 濃 度 はAo 層 の 堆 積 量 との 対 応 関 係 もみられたことから 小 スケールにおいてはAo 層 の 堆 積 量 やそ れに 影 響 する 植 生 等 が 交 換 性 塩 基 濃 度 とpHを 規 定 していたと 考 えられた しかし 約 110mの 大 ス ケールでは 各 値 の 分 布 は 一 致 しておらず 例 えば130~240m 付 近 のpHが 他 地 点 より 高 い 傾 向 を 示 し たのに 対 して 交 換 性 塩 基 濃 度 にはそうした 傾 向 が 見 られなかった( 図 4b 4c) 一 方 交 換 酸 度 は130~240m 付 近 で 明 らかに 他 地 点 より 低 い すなわち 高 いpHをもたらす 傾 向 を 示 しており 大 スケールにおいてpHと 調 和 的 に 変 動 していると 考 えられた( 図 4b,4d) 交 換 酸 度 の 大 部 分 を 占 める 交 換 性 Al 3+ は 粘 土 鉱 物 表 面 に 多 く 存 在 することから 地 形 による 粘 土 含 量 の 変 化 が 潜 在 的 な 可 溶 性 Al 3+ の 量 と 交 換 酸 度 の 濃 度 に 影 響 している 可 能 性 が 考 えられた

C-052-44 高 度 差 (m) 0-10 -20-30 渓 流 -40 0 100 距 離 (m) 200 300 a 8 7 雨 Rainy 季 後 期 乾 Dry 季 b ph (H 2 O) 6 5 4 0 100 200 300 距 離 (m) 20 cmol c / kg 15 10 5 Ex-Ca 2+ Ex-Mg 2+ KEx-K + c 0 0 100 200 300 距 離 (m) 5 cmol c / kg 4 3 2 1 交 Acidity 換 酸 度 d 0 0 100 200 300 距 離 (m) 図 4. プロット 中 心 線 における 地 形 と 表 層 (0-5cm)における 各 土 壌 特 性 値 の 空 間 分 布 (a, 中 心 線 上 の 地 形 b, 雨 季 後 期 と 乾 季 におけるpH(H 2 O)の 空 間 分 布 c, 雨 季 後 期 における 交 換 性 Ca 2+, Mg 2+, K + の 空 間 分 布 d, 雨 季 後 期 における 交 換 酸 度 の 空 間 分 布 ) 2 季 節 変 動 0-5cmにおける 雨 季 後 期 の 土 壌 ph(h 2 O)はほぼすべての 地 点 で 乾 季 より 高 く 0-5 cmの 全 地 点 の 平 均 値 は 雨 季 後 期 の 方 が 乾 季 よりも 有 意 に0.3 高 かった 中 心 線 上 において 両 者 の 空 間 変 動 のパタ ーンがほぼ 同 一 でありながら 雨 季 のpHが 一 様 に 乾 季 より 高 いことが 明 らかであった( 図 4b)

C-052-45 一 方 5cm 以 深 のpH (H 2 O) 全 深 度 におけるpH(KCl) 交 換 性 塩 基 濃 度 や 交 換 酸 度 に 有 意 な 季 節 間 差 はみられず 交 換 性 塩 基 や 交 換 酸 度 では 土 壌 phの 季 節 変 動 を 説 明 することは 困 難 であると 考 え られた 4) 土 壌 植 生 系 における 無 機 態 Nフラックスの 空 間 季 節 変 動 1 無 機 態 Nフラックスの 空 間 変 動 無 機 態 NのAo 層 から 鉱 質 土 壌 表 層 への 流 入 と 鉱 質 土 壌 から 基 岩 層 への 溶 脱 に 斜 面 位 置 間 の 大 き な 差 はみられなかった 斜 面 中 部 下 部 のNO - 3 の 鉛 直 方 向 フラックスは 0cmから40cmの 鉱 質 土 壌 内 で 深 度 方 向 に 減 少 40cmから60cmで 増 加 し( 図 5) NH + 4 もほぼ 同 様 の 傾 向 を 示 した 斜 面 上 部 ではNO - 3 は0cmから5cmにかけて 深 度 方 向 に 増 加 5cmから20cmで 減 少 し( 図 5) NH + 4 は 一 様 に 深 度 方 向 に 減 少 していた 斜 面 下 部 の 鉱 質 土 壌 におけるNの 純 無 機 化 硝 化 速 度 は 斜 面 中 部 上 部 より 大 きい 傾 向 にあった 斜 面 中 部 下 部 では 無 機 化 硝 化 の 大 部 分 が 深 度 0-20cmの 範 囲 で 生 じてい た( 図 6) 深 度 (cm) 0 20 40 NO 3- -N (kg/ha/3months) NO - 3 -N (kg/ha/3months) NO - 3 -N (kg/ha/3months) 0 5 10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 0 5 10 15 20 25 30 * * * 深 度 (cm) 深 度 (cm) 0 20 40 * * * * 深 度 (cm) 0 20 40 雨 季 初 期 雨 季 中 期 雨 季 後 期 乾 季 60 60 * 斜 面 上 部 斜 面 中 部 斜 面 下 部 60 * 図 5. 斜 面 上 部 中 部 下 部 におけるNO - 3 の 鉛 直 方 向 フラックスの 季 節 間 比 較 (*は 各 深 度 において t 検 定 によって 雨 季 初 期 と 乾 季 に 有 意 差 (p<0.05)があったことを 示 す) 深 度 (cm) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 10 20 30 40 NO 3 - -N (kg/ha/3months) NO 3- -N (kg/ha/3months) NO 3- -N (kg/ha/3months) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 10 10 * * * 20 20 深 度 (cm) 30 40 深 度 (cm) 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 0 30 40 * 50 50 50 60 斜 面 上 部 60 斜 面 中 部 60 斜 面 下 部 図 6. 斜 面 上 部 中 部 下 部 における 純 硝 化 速 度 の 積 算 値 の 季 節 間 比 較 (*は 積 算 値 でなく 深 度 ごとの 比 較 においてt 検 定 によって 雨 季 中 期 と 乾 季 に 有 意 差 (p<0.05)があ ったことを 示 す) 鉛 直 方 向 フラックスの 深 度 間 差 の 主 な 要 因 は 植 物 の 根 の 吸 収 による 減 少 あるいは 無 機 化 硝

C-052-46 化 による 増 加 であると 考 えられる 斜 面 中 部 下 部 ではNO - 3 の 鉛 直 方 向 フラックスは 深 度 方 向 に 減 少 していたが これはAo 層 から 流 出 したNO - 3 の 大 部 分 が 植 物 によって 吸 収 されたことを 示 唆 してい た 一 方 斜 面 上 部 0-5cmにおいて 鉛 直 方 向 フラックスが 増 加 したのは Ao 層 からの 流 入 速 度 と 硝 化 に 伴 うNO - 3 の 生 成 が 吸 収 速 度 を 上 回 ったためと 考 えられた 斜 面 中 部 下 部 の40-60cmにおいて 無 機 態 Nの 鉛 直 方 向 フラックスが 増 加 ( 図 5)したのは 土 壌 下 層 部 においても 年 間 を 通 じて 少 量 の 無 機 化 硝 化 が 進 行 した( 図 6)ものの 植 物 による 吸 収 がほとんどおこなわれずにその 一 部 が 溶 脱 したためと 考 えられた 2 無 機 態 Nフラックスの 季 節 変 動 斜 面 位 置 にかかわらず 無 機 態 NのAo 層 から 表 層 土 壌 への 流 入 は 雨 季 初 期 において 乾 季 より 有 意 に 高 く 5-20cmでの 無 機 化 硝 化 フラックスは 雨 季 中 期 において 乾 季 より 有 意 に 高 かった( 図 5 6) Ao 層 からの 流 入 が 雨 季 初 期 に 最 大 になったのは 降 雨 の 開 始 によって 乾 季 にAo 層 内 で 蓄 積 し たNO - 3 NH + 4 が 一 度 に 流 入 したためと 考 えられた 雨 季 中 期 に 純 無 機 化 硝 化 速 度 が 最 大 になった のは 雨 季 初 期 にNH + 4 や 粒 状 有 機 物 (POM) 溶 存 有 機 物 (DOM)が 十 分 に 鉱 質 土 壌 内 に 浸 透 して 微 生 物 活 動 が 活 発 化 したためと 推 察 される 斜 面 中 部 下 部 において 40cmからのNO - 3 の 溶 脱 は 年 間 を 通 じて 少 なかったことから 雨 季 初 期 おける 流 入 と 生 成 雨 季 中 期 後 期 における 主 に 生 成 に よるNO - 3 の 増 分 はほとんど 植 物 によって 吸 収 されたと 考 えられた 5) 土 壌 緩 衝 能 と 無 機 態 Nフラックスの 季 節 空 間 変 動 とその 評 価 タイ 熱 帯 季 節 林 の 土 壌 酸 性 は 大 小 2つのスケールを 伴 う 大 きな 空 間 変 動 をもつことが 明 らかと なった 本 集 水 域 では 斜 面 位 置 などの 地 形 に 対 応 して 約 110mの 大 スケールでの 変 動 が 見 られた また Ao 層 が 厚 い 箇 所 では 交 換 性 塩 基 濃 度 が 高 くpHを 上 昇 させる 傾 向 にあり これは 約 20mの 小 ス ケールで 変 動 していた このことは 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 における 土 壌 酸 性 を 広 域 的 にモニタリング するにあたっては 地 形 やA0 層 に 影 響 する 植 生 等 を 考 慮 した 反 復 サンプリングが 有 効 であること を 示 していた 一 方 交 換 性 塩 基 濃 度 には 季 節 変 化 がみられないことから 必 ずしも 季 節 性 を 考 慮 した 土 壌 緩 衝 能 の 評 価 を 行 う 必 要 はないものと 考 えられた Ao 層 から 鉱 質 土 壌 表 層 への 無 機 態 Nの 流 入 は30~50 kg ha -1 y -1 無 機 化 硝 化 に 伴 う 無 機 態 Nの 生 成 は150~300 kg ha -1 y -1 であり 内 部 循 環 系 におけるNフラックスはすでに 述 べた 林 外 雨 による 流 入 や 後 に 述 べる 渓 流 からの 流 出 に 対 して 著 しく 大 きいことが 明 らかになった 鉱 質 土 壌 下 層 部 からの 流 出 は10~20 kg ha -1 y -1 であることから 流 入 や 生 成 による 無 機 態 Nの 増 加 分 はほとんど 溶 脱 せずに 植 物 によって 吸 収 されていると 推 察 された 生 成 には 空 間 変 動 がみられ 斜 面 下 部 で 特 に 大 きい 傾 向 にあった 同 時 に 季 節 変 動 もみられ 乾 季 には 流 入 生 成 ともに 低 調 であるものの 雨 季 初 期 にAo 層 からの 流 入 が 増 大 し 雨 季 中 期 には 鉱 質 土 壌 内 での 生 成 が 増 大 するといった 特 徴 が 明 らかになった 一 方 年 間 を 通 じて 土 壌 下 層 部 でも 少 量 の 生 成 がみられ その 一 部 は 吸 収 さ れずに 雨 季 初 期 に 溶 脱 する 可 能 性 があった 森 林 施 業 やN 沈 着 による 土 壌 中 のN 動 態 への 影 響 評 価 をおこなうにあたっては 以 上 のようなNフラックスの 季 節 空 間 変 動 を 十 分 に 考 慮 する 必 要 があ る

C-052-47 6) 渓 流 水 質 の 季 節 変 化 サケラートSRS 試 験 地 から 流 出 する 渓 流 水 の 水 位 と 水 質 について 図 7に 示 した 渓 流 水 位 は 2005-2006 年 の 乾 季 では 完 全 に 渇 水 することはなかったが 流 れもほとんどない5cm 未 満 の 時 期 がしばらく 続 いた( 図 7(a)) 雨 季 が 始 まると 少 し 水 位 は 上 がるが 上 述 した 湿 潤 期 に 入 ると 再 び 低 下 し ごく 短 期 間 ではあるが 渇 水 する 時 期 もあった 雨 季 後 半 再 び 降 水 量 が 増 え 過 湿 期 に 入 ると 水 位 は9-10 月 にかけて 急 激 に 上 昇 し 最 高 で53cmにも 達 した 2006-2007 年 の 乾 季 には 後 半 に 完 全 に 渇 水 し 雨 季 に 入 ってからもしばらく 水 の 流 れはなかったが 5 月 以 降 の 降 水 により 急 激 に 水 位 が 上 昇 した 本 試 験 地 では このように ほとんど 渇 水 してしまう 時 期 があるにもか かわらず ある 時 期 には 急 激 な 水 位 上 昇 が 起 こっているなど 季 節 による 流 出 量 が 大 きく 変 動 す ることが 明 らかになった 図 7. 渓 流 水 位 (a)とphおよびec(b) アルカリ 度 及 び 陽 イオン(c) 陰 イオン(d)の 季 節 変 化 網 掛 けは 雨 季 に 相 当 する 期 間 渓 流 水 質 について 2006 年 を 中 心 に 見 ていくと 2005 年 の 雨 季 の 終 わりから 乾 季 にかけてpHが - 5.6 以 下 までに 下 がり その 間 NO 3 濃 度 がわずかに 上 昇 した 雨 季 に 入 ると 水 質 はさらに 特 徴 的 な 変 化 を 示 した 過 湿 期 の5 月 に 入 るとECが 急 激 に 上 昇 し phも 同 時 に 上 昇 傾 向 を 示 した( 図 7(b)) これは アルカリ 度 Ca 2+ Mg 2+ NH 4+ の 濃 度 上 昇 によって 裏 付 けられていた( 図 7(c)) この 時 期 NO - 2-3 は 最 低 値 を 示 した( 図 7(d)) 7 月 に 入 ると ph ECは 低 下 し 同 時 に 急 激 なSO 4 濃 度 の 上 昇 2- が 見 られた SO 4 の 流 出 が 収 まると ph アルカリ 度 の 一 時 的 な 上 昇 が 見 られ その 後 最 高 水 位 が 記 録 された 雨 季 後 半 の 過 湿 期 にSO 2-4 N O - 3 と 同 時 にCl - 濃 度 の 上 昇 が 見 られ 同 時 にEC 上 昇 とpH 低 下 が 見 られた 2007 年 の 雨 季 においては 渇 水 時 期 が 長 く 2006 年 の 雨 季 初 期 に 見 られたアル

C-052-48 カリ 度 上 昇 などは 明 確 ではなかったが 急 激 な 水 位 上 昇 とともに 比 較 的 高 い 濃 度 のSO 2- - 4 NO 3 が 見 られ その 時 phは 比 較 的 低 く ECは 高 い 値 を 示 していた 上 記 の 渓 流 水 の 特 徴 的 な 現 象 においては 特 に 7 月 のSO 2-4 の 流 出 までの 水 質 変 化 は 比 較 的 水 位 が 低 い 期 間 に 水 位 変 化 とは 関 わりなく 起 こったものであったため 渓 流 水 の 濃 縮 や 希 釈 など ではなく 土 壌 植 物 系 における 生 物 地 球 化 学 的 な 物 質 循 環 を 反 映 したものであると 考 えられる 一 方 で その 後 の 過 湿 期 の 高 水 位 時 に 見 られたSO 2-4 NO - 3 Cl - の 濃 度 上 昇 は 地 下 水 位 上 昇 により 流 出 量 が 増 加 したと 考 えられることから 何 らかの 形 態 で 表 層 に 分 布 しているこれらのイオンが 流 出 した 可 能 性 を 示 唆 していた またこれらのイオン 濃 度 とECが 上 昇 する 一 方 で phは 低 下 して いたことから これらのイオンの 流 出 がH + の 流 出 を 伴 うものであることが 示 唆 された サケラートSRS 試 験 地 の 渓 流 水 を ナコン ラチャシマ 州 内 にある2つの 国 立 公 園 における 渓 流 水 と 比 較 したところ 本 試 験 地 の 渓 流 は 同 じナコン ラチャシマ 州 の 多 くの 渓 流 に 較 べ ph EC アルカリ 度 が 低 く 酸 性 沈 着 に 対 する 感 受 性 がより 高 いことが 示 唆 された( 表 1) また Khao Yai 国 立 公 園 の 最 上 流 部 (Lumthaklong)など 本 試 験 地 と 同 等 かより 低 い 地 点 も 見 つかった 表 1 に 示 したのは 平 成 18 年 8 月 の 採 水 結 果 であるが 同 年 11 月 の 採 水 でもほぼ 同 様 の 結 果 が 得 られて いる タイには 石 灰 岩 の 影 響 も 広 く 見 られるが 丘 陵 山 岳 地 域 においては 本 試 験 地 のよう に 酸 性 沈 着 に 対 する 感 受 性 が 高 い 集 水 域 も 分 布 している 可 能 性 が 示 唆 された 表 1. ナコン ラチャシマ 州 の 国 立 公 園 等 の 渓 流 水 質 ( 平 成 18 年 8 月 ) 7)サケラートSRS 試 験 地 における 物 質 動 態 1 物 質 収 支 本 試 験 地 における2006 年 の 年 間 物 質 収 支 を 図 8に 示 した 多 くのイオンが 大 気 沈 着 による 流 入 量 に 対 し わずか1~ 数 %しか 渓 流 に 流 出 していないと 推 定 された 最 も 多 く 流 出 しているのが H + であり 約 15%も 流 出 している 計 算 となった 通 常 多 くの 渓 流 水 においては 流 入 した 酸 は 十 分 に 中 和 されるが 本 試 験 地 においては 渓 流 水 のpHが6 未 満 であることが 多 く 大 気 から 流 入 あるいは 生 態 系 内 で 生 成 された 酸 は 強 風 化 された 酸 性 土 壌 (Acrisols)では 十 分 に 中 和 されず 流 出 しているものと 考 えられた 著 しく 低 い 他 のイオンの 流 出 割 合 は これらのイオンが 生 態 系 内 ( 土 壌 あるいは 植 物 体 )に 蓄 積 される 傾 向 にあることを 示 唆 しており 上 述 したCl - 2- やSO 4 などの 流 出 パターンを 裏 付 けてい た 仮 に 流 出 量 の 算 出 根 拠 となる 流 出 水 量 (58mm)を 過 小 評 価 しているとしても 本 試 験 地 の 降 水 量 (1350mm)と1000mm 以 上 の 蒸 発 散 量 を 考 慮 すると 流 出 割 合 がこの10 倍 以 上 になることは

C-052-49 ありえず 相 当 の 割 合 が 何 らかの 形 態 で 蓄 積 していると 考 えられた 一 方 で 土 壌 のNフラックスの 結 果 から 示 された 土 壌 最 下 層 からの 流 出 (10~20 N kg ha -1 y -1 ) との 差 も 大 きく 土 壌 から 渓 流 に 流 出 する 間 の 河 畔 帯 における 脱 窒 による 大 気 への 放 出 等 も さ らに 検 討 すべきであると 考 えられた 図 8.サケラートSRS 試 験 地 における2006 年 の 年 間 物 質 収 支 流 入 量 (Input)は 林 内 雨 樹 幹 流 法 の 値 を 用 い 流 出 量 (Output)は 渓 流 水 流 出 量 から 算 出 した 2 乾 季 から 雨 季 への 移 行 に 伴 う 物 質 挙 動 の 変 化 熱 帯 酸 性 土 壌 は 変 異 荷 電 性 を 有 し phの 変 化 により 有 効 陽 イオン 交 換 容 量 (ECEC)や 陰 イオン 交 換 容 量 (AEC)が 変 化 することが 知 られている 上 述 したように 本 試 験 地 では 土 壌 phが 雨 季 より 乾 季 の 方 が 低 いことが 明 らかになっており 交 換 性 塩 基 濃 度 には 有 意 な 季 節 間 差 は 見 られな かったものの 土 壌 phの 変 化 が 乾 季 から 雨 季 への 季 節 変 化 において イオンの 吸 脱 着 過 程 に 作 用 し 最 終 的 に 渓 流 水 質 に 影 響 した 可 能 性 はあると 考 えられる また 物 質 収 支 で 示 唆 された 蓄 積 傾 向 については 本 集 水 域 を 含 むタイ 東 北 部 における 比 較 的 大 きい 蒸 発 散 量 を 考 えると ある 程 度 説 明 が 可 能 である タイ 東 北 部 は 塩 害 が 起 こりやすい 地 域 として 知 られており 森 林 伐 採 などで 生 態 環 境 が 悪 化 すると 塩 を 含 む 地 下 水 が 地 表 からの 水 分 蒸 発 により 吸 い 上 げられ 地 表 面 で 塩 が 析 出 集 積 することが 報 告 されている 4) サケラートSRS は 塩 害 地 域 の 中 ではないが その 周 縁 部 に 位 置 しており 気 候 条 件 としては 同 等 であり 乾 季 はもちろん 雨 季 の 初 期 においても 植 物 が 蒸 散 とともに 根 から 水 を 吸 収 することから 土 壌 中 に おける 物 質 の 流 れは 上 部 方 向 に 向 いており 物 質 は 表 層 に 集 積 されやすい 条 件 であると 考 えられ る さらにCl - の 流 出 とともにH + の 流 出 が 見 られている 点 については 土 壌 中 のイオン 交 換 反 応 の 寄 与 が 考 えられる 海 塩 の 影 響 を 強 く 受 ける 地 域 においては 土 壌 中 のイオン 交 換 基 に 吸 着 されて いたH + が 海 塩 中 に 含 まれるNa + によって 交 換 され 土 壌 水 や 渓 流 水 の 酸 緩 衝 能 (ANC)を 下 げるこ とが 報 告 されている 5) 表 層 に 集 積 した 塩 類 が 過 湿 期 において 多 量 の 降 水 によって 流 された 時 に 土 壌 中 の 交 換 性 H + を 抽 出 し 渓 流 水 のpHを 下 げた 可 能 性 が 考 えられる 降 水 中 の 濃 度 変 化 を 直 接 受 けた 可 能 性 も 考 えられたが この 時 期 大 きな 季 節 変 化 は 見 られていない

C-052-50 上 記 の 考 察 を 基 に 大 気 沈 着 量 と 渓 流 水 質 の 季 節 変 化 土 壌 化 学 性 の 乾 季 と 雨 季 との 差 異 は 土 壌 特 性 を 考 慮 すると 以 下 のような 仮 説 である 程 度 説 明 が 可 能 である i. 乾 季 (12 月 -3 月 ) 大 気 : 汚 染 物 質 が 大 気 中 に 拡 散 滞 留 土 壌 : 植 物 吸 収 低 下 で 余 剰 のNO - 3 により 土 壌 ph 低 下 変 異 荷 電 によりECECは 低 下 AECは 上 昇 土 壌 表 面 での 蒸 発 散 増 大 により 塩 類 が 表 層 に 集 積 植 物 : 水 分 養 分 吸 収 の 低 下 渓 流 :NO - 3 の 流 出 ii. 乾 季 から 雨 季 前 半 (3-5 月 ) 大 気 : 滞 留 していた 汚 染 物 質 のウォッシュアウトにより 沈 着 量 増 大 (S Nとも) 土 壌 : 降 水 により 土 壌 微 生 物 活 性 化 有 機 物 分 解 を 促 進 ( 硝 化 無 機 化 : 乾 土 効 果 )SO 2-4 NO - 3 は 高 いAECによって 速 やかに 土 壌 に 吸 着 ECECが 低 いため 余 剰 の 陽 イオンが 流 出 降 水 による 溶 脱 作 用 もあり 土 壌 phはさらに 低 下 植 物 : 水 の 吸 収 Nの 選 択 的 吸 収 渓 流 : 陽 イオンの 流 出 アルカリ 度 EC phの 上 昇 iii. 雨 季 中 期 (6-8 月 ) 大 気 :7 月 に 入 ると 降 水 量 沈 着 量 が 一 時 的 に 低 下 ( 湿 潤 期 ) 土 壌 : 硝 化 無 機 化 が 最 大 余 剰 の 陽 イオンの 増 加 溶 脱 作 用 は 低 下 土 壌 phが 上 昇 ECEC 上 昇 AEC 低 下 により 吸 着 されていたSO 2-4 の 放 出 2- 渓 流 :SO 4 流 出 とともに 一 時 的 な 渓 流 水 ph アルカリ 度 の 低 下 iv. 雨 季 後 期 (9-11 月 ) 大 気 : 降 水 量 沈 着 量 が 再 び 増 大 ( 過 湿 期 ) 土 壌 : 集 積 していた 塩 類 の 流 出 により 土 壌 中 の 交 換 性 H + を 抽 出 渓 流 : 高 水 位 時 にCl - 等 の 流 出 とともに phが 低 下 乾 季 に 大 気 中 に 滞 留 していた 酸 性 物 質 が 雨 季 の 始 まりとともに 大 量 に 沈 着 し 土 壌 化 学 特 性 とも 関 連 しながら 雨 季 中 期 に 渓 流 水 質 の 一 時 的 な 酸 性 化 を 生 じさせる 可 能 性 が 示 唆 された 現 時 点 では 渓 流 水 質 の 季 節 変 化 には 気 候 的 特 性 や 生 態 系 の 内 部 循 環 の 寄 与 も 大 きいが 今 後 増 大 すると 考 えられる 大 気 沈 着 の 影 響 を 考 える 上 では これらの 自 然 環 境 要 因 を 十 分 考 慮 した 評 価 が 重 要 であると 考 えられた (2) 既 存 試 験 地 ( 新 潟 加 治 川 試 験 地 )のデータ 解 析 加 治 川 試 験 地 のデータ 解 析 から サケラートSRS 試 験 地 における 観 測 やデータ 評 価 をする 上 で また 今 後 のEANETにおける 集 水 域 モニタリングを 考 える 上 で 重 要 な 科 学 的 知 見 が 明 らかになっ た 1) 季 節 性 日 本 海 沿 岸 域 に 位 置 する 本 試 験 地 は 冬 季 季 節 風 の 影 響 を 強 く 受 け 秋 季 後 半 から 冬 季 にかけ 2- て 著 しく 大 気 沈 着 量 が 増 大 することが 明 らかとなった 非 海 塩 性 SO 4 なども 海 塩 成 分 ととも に 増 大 しており 大 陸 方 面 からの 人 為 起 源 の 汚 染 物 質 の 移 流 が 示 唆 された 1),2) 一 方 で 渓 流 水 質 は サケラートSRS 試 験 地 のような 明 確 な 季 節 性 を 示 さず 2) 熱 帯 季 節 林 集 水 域 の 特 徴 がより 明 確

C-052-51 になった 2) 林 冠 におけるN 吸 収 本 試 験 地 のDIN 沈 着 量 は 林 外 雨 でも5 水 年 の 平 均 で18 kg N ha -1 y -1 以 上 にあり 全 国 的 にも 多 いことが 明 らかとなった 2) 一 方 で 林 内 雨 樹 幹 流 で 得 られたDIN 沈 着 量 との 差 から 林 冠 にお けるN 吸 収 が 明 らかとなり 森 林 地 域 でのDIN 沈 着 量 の 正 確 な 推 計 には 乾 性 沈 着 量 を 個 別 に 見 積 もる 必 要 性 が 示 唆 された 1) また 林 冠 におけるNの 吸 収 には 葉 面 の 濡 れ 性 の 変 化 が 関 係 してい ることが 明 らかにされた 1) 3) 渓 流 水 質 への 植 物 成 長 の 影 響 - 渓 流 中 のNO 3 濃 度 と 同 時 期 の 平 均 気 温 には 有 意 な 負 の 相 関 があり 植 物 成 長 期 におけるN 吸 収 が - NO 3 濃 度 の 規 定 要 因 の 一 つであることが 明 らかとなった 2) - その 一 方 で NO 3 濃 度 の 年 間 平 均 は45 µmol c L -1 最 も 低 い 時 期 でも30 µmol c L -1 と 比 較 的 高 く N 飽 和 が 進 みつつある 可 能 性 が 示 唆 され た 2) 4) 増 水 時 の 渓 流 水 質 の 変 化 増 水 時 の 集 中 観 測 から 流 量 増 大 に 伴 い 希 釈 的 な 効 果 により 多 くのイオン 濃 度 とECが 下 がる - 一 方 で NO 3 濃 度 の 増 大 とともにpHが 著 しく 低 下 することが 明 らかになった 2) サケラートSRS 試 験 地 では 増 水 時 の 集 中 観 測 は 行 われていないが 上 述 したように 高 水 位 時 に EC 上 昇 と 同 時 に ph 低 下 が 見 られるなど 特 徴 的 な 現 象 が 見 られており 熱 帯 季 節 林 集 水 域 との 差 がより 明 確 とな った 5) 物 質 収 支 上 記 のような 一 時 的 な 酸 性 化 は 見 られるものの 渓 流 水 質 は7 前 後 で 比 較 的 安 定 しており 流 入 した 酸 性 物 質 は 生 態 系 内 で 十 分 に 中 和 されているものと 考 えられた 2) 一 方 で 物 質 収 支 による と 流 入 量 の2~4 倍 のCaやMgが 流 出 していることから 土 壌 のANCは 減 少 しつつあることが 示 唆 され た (3)EANETにおける 集 水 域 モニタリングマニュアル 作 成 のための 基 礎 情 報 の 集 約 サケラートSRS 試 験 地 加 治 川 試 験 地 における 観 測 経 験 を 基 に 今 後 EANETにおける 集 水 域 モ ニタリングのマニュアルを 作 成 するための 基 礎 情 報 を タイ 王 室 林 野 局 (RFD)のJesada 博 士 が 中 心 となり 集 約 することとなった 集 約 された 基 礎 情 報 は 2008 年 7 月 に 開 催 が 予 定 されている EANET 土 壌 植 生 モニタリングタスクフォース 会 合 で 紹 介 され 今 後 具 体 的 にEANETの 機 構 の 中 での 議 論 が 始 まる 予 定 である 集 約 される 基 礎 情 報 の 中 には 本 プロジェクトで 指 摘 された 以 下 の 事 項 が 盛 り 込 まれる 予 定 で ある 1) 熱 帯 地 域 の 森 林 における 大 気 沈 着 量 推 計 における 留 意 点 捕 集 期 間 中 のN 成 分 の 微 生 物 作 用 による 消 失 割 合 が 大 きい 可 能 性 があること それを 補 うための イオン 交 換 樹 脂 サンプラーが 有 効 であること 森 林 地 域 におけるバイオサイド 使 用 の 問 題 点 など

C-052-52 2) 乾 性 沈 着 量 の 推 計 の 必 要 性 特 にNに 関 しては 林 冠 吸 収 の 寄 与 が 大 きく 林 内 雨 樹 幹 流 法 では 十 分 に 総 沈 着 量 を 推 計 するこ とができないこと 乾 性 沈 着 量 の 推 計 により より 正 確 な 総 N 沈 着 量 を 推 計 することが 可 能 となる こと など 3) 水 収 支 の 重 要 性 物 質 収 支 の 基 礎 となる 水 収 支 をなるべく 正 確 に 推 計 すること それが 可 能 な 地 域 を 選 定 するの が 重 要 であること など 4) 増 水 時 観 測 の 重 要 性 増 水 時 には 地 下 水 位 の 上 昇 とともに 常 時 観 測 では 把 握 できない 物 質 の 流 出 過 程 があること 渓 流 水 の 酸 性 化 について 検 討 する 上 で 重 要 であること など 5) 土 壌 分 析 空 間 変 動 を 考 慮 した 土 壌 分 析 が 必 要 であること タイのような 雨 季 乾 季 を 持 つ 地 域 ではpHが 季 節 変 化 を 持 つ 可 能 性 があること 交 換 性 塩 基 等 の 項 目 については 年 1 回 の 調 査 でも 大 きな 支 障 は ないこと など 上 記 だけでなく 観 測 から 得 られる 評 価 をする 上 での 今 後 の 集 水 域 モデルの 活 用 などについ ても 記 載 される 予 定 である 5. 本 研 究 により 得 られた 成 果 (1) 科 学 的 意 義 1)タイ 集 水 域 試 験 地 における 物 質 循 環 の 特 性 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 に 設 定 されたサケラートSRS 試 験 地 は 1000 mm 以 上 の 蒸 発 散 量 により 渓 流 へ の 流 出 量 が 非 常 に 限 られていることから 物 質 の 流 出 も 大 きく 制 限 されている 物 質 集 積 型 の 生 態 系 であることが 示 唆 された また 本 試 験 地 のように 乾 季 と 雨 季 に 明 確 に 分 かれている 熱 帯 季 節 林 帯 においては 乾 季 の 間 にSO 2-4 NO - 3 を 多 く 含 むガス 状 粒 子 状 の 汚 染 物 質 が 大 気 中 に 滞 留 し ており 雨 季 初 期 にはそれらの 汚 染 物 質 が 降 水 によってウォッシュアウトされ 沈 着 量 が 著 しく 増 大 することが 明 らかとなり 森 林 生 態 系 における 物 質 循 環 に 何 らかの 変 化 をもたらす 可 能 性 が 示 された さらに 熱 帯 地 域 におけるN 沈 着 量 の 推 計 においては 捕 集 期 間 中 の 微 生 物 による 消 費 変 質 の 影 響 が 大 きく ウェット オンリー 型 サンプラーやイオン 交 換 樹 脂 サンプラーなどの 複 数 の 手 法 を 組 み 合 わせながら データを 検 証 し 推 計 していくことが 重 要 であることが 示 唆 され た また 土 壌 酸 性 は 大 小 2つのスケールを 伴 う 大 きな 空 間 変 動 をもっていることが 明 らかになった 地 形 や 植 生 等 がこの 空 間 変 動 に 大 きく 影 響 する 可 能 性 もあることから 酸 性 沈 着 に 対 する 熱 帯 季 節 林 生 態 系 への 影 響 を 土 壌 phを 指 標 として 広 域 的 にモニタリングする 場 合 地 形 や 植 生 等 を 考 慮 した 反 復 サンプリングが 有 効 であることが 示 唆 されたた さらに 内 部 循 環 系 のNフラックスは 林 外 雨 による 流 入 や 渓 流 からの 流 出 と 比 べて 著 しく 大 きかったことから 現 時 点 では 人 為 起 源 のN 沈 着 による 本 生 態 系 への 影 響 は 軽 微 であると 推 察 された むしろ 森 林 を 適 切 に 管 理 することで 流 入 生 成 吸 収 の 各 フラックスのバランスを 維 持 する 必 要 があると 考 えられた 熱 帯 湿 潤 林 の 例 で 指 摘 されてきたように Nが 樹 木 成 長 の 制 限 要 因 でない 系 では 森 林 の 過 度 の 伐 採 やかく 乱 がN の 吸 収 を 妨 げることで 急 速 なNO - 3 の 流 出 とそれに 伴 う 酸 性 化 をもたらす 可 能 性 がある タイの 熱 帯

C-052-53 乾 燥 常 緑 林 もそうした 系 をもつ 可 能 性 があることが 本 研 究 によって 明 らかになった また 雨 季 初 期 における 鉛 直 方 向 フラックスの 増 加 や 斜 面 下 部 における 高 いN 無 機 化 速 度 などが 明 らかにな り 熱 帯 季 節 林 における 土 壌 中 のN 動 態 の 評 価 には 季 節 空 間 変 動 を 十 分 に 考 慮 する 必 要 があるこ とが 示 唆 された 渓 流 水 質 は 乾 季 雨 季 という 気 候 的 特 性 や それによって 変 化 する 土 壌 化 学 性 や 内 部 循 環 の 影 響 を 受 けながら 明 確 な 季 節 性 を 示 すことが 明 らかとなった 渓 流 水 質 へのN 沈 着 の 直 接 的 影 響 は 現 時 点 では 明 らかではないが 大 気 沈 着 に 由 来 すると 考 えられるSO 2-4 が 流 出 することにより 一 時 的 な 渓 流 水 の 酸 性 化 が 生 じていることが 明 らかとなり そのメカニズムには 熱 帯 地 域 に 特 徴 的 な 土 壌 の 変 異 荷 電 性 が 関 連 している 可 能 性 が 示 唆 された 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 においては 大 気 から 土 壌 植 物 渓 流 に 至 るまでの 生 物 化 学 的 循 環 の 中 で 乾 季 雨 季 という 季 節 性 が 大 きな 因 子 となり 土 壌 酸 性 や 大 気 沈 着 による 渓 流 水 の 一 時 的 な 酸 性 化 に 関 係 している 可 能 性 が 示 唆 さ れた 2) 日 本 海 沿 岸 域 における 物 質 循 環 の 特 性 スギ 人 工 林 に 設 定 された 加 治 川 試 験 地 は 冬 季 季 節 風 により 秋 季 後 半 から 冬 季 にかけて 大 陸 由 来 と 考 えられる 人 為 汚 染 物 質 を 含 む 大 気 沈 着 の 影 響 を 受 けていることが 明 らかとなった また 林 内 へのNやKの 沈 着 には 林 冠 反 応 ( 吸 収 溶 出 )が 大 きく 寄 与 しており それを 規 定 する 要 因 の 一 つとして 葉 面 の 濡 れ 性 が 関 わっていることが 明 らかになった さらに 本 地 域 のN 沈 着 量 は 全 - 国 的 にも 最 高 レベルにあり 現 時 点 では 渓 流 水 中 のNO 3 濃 度 の 季 節 性 は 樹 木 の 成 長 によって 規 定 されているが その 濃 度 は 夏 季 でも 高 く N 飽 和 に 近 付 いていることも 示 唆 された 3) 東 アジア 集 水 域 の 普 遍 性 と 特 異 性 について 上 記 2つの 試 験 地 の 観 測 結 果 から 東 アジア 地 域 の 森 林 集 水 域 は モンスーンの 影 響 を 強 く 受 け 大 気 沈 着 について 明 確 な 季 節 性 を 示 す 一 方 で 渓 流 水 質 を 含 む 物 質 循 環 過 程 は 各 地 域 の 気 候 的 土 壌 学 的 特 質 の 影 響 を 強 く 受 け 大 きく 異 なることが 明 らかとなった 今 後 増 大 すると 考 えられる 東 アジア 地 域 の 大 気 沈 着 量 に 対 して ここで 示 されたような 物 質 循 環 的 特 質 がプラス に 働 くのかマイナスに 働 くのかは 大 きな 課 題 であり 各 地 域 の 影 響 を 評 価 する 上 で 本 サブテー マで 得 られた 各 集 水 域 の 特 質 は 重 要 な 基 礎 情 報 となり 今 後 モデル 化 も 期 待 できる (2) 地 球 環 境 政 策 への 貢 献 本 サブテーマが 課 題 としている 集 水 域 を 基 礎 とした 物 質 収 支 解 析 は EANETにおいて 総 合 的 モニタリング 手 法 並 びに 酸 性 沈 着 による 生 態 系 影 響 評 価 のための 定 量 的 手 法 として 期 待 され ている サブテーマ 担 当 機 関 である 酸 性 雨 研 究 センターは EANETネットワークセンターに 指 定 さ れており タイ 国 のEANET 関 係 機 関 と 推 進 している 本 サブテーマの 研 究 進 捗 状 況 は 定 期 的 にEANET 関 連 の 国 際 会 合 ( 科 学 諮 問 委 員 会 上 級 技 術 者 会 合 等 )でも 紹 介 報 告 している また 上 述 し たように 本 サブテーマで 集 約 された 基 礎 情 報 は 2008 年 7 月 に 開 催 が 予 定 されているEANET 土 壌 植 生 モニタリングタスクフォース 会 合 で 紹 介 され 今 後 具 体 的 にEANETの 機 構 の 中 での 議 論 が 始 まる 予 定 である 本 サブテーマの 成 果 は 今 後 の 東 アジアにおけるモニタリング 活 動 や 影 響 評 価 に 大 きく 貢 献 するものと 考 えられる

C-052-54 6. 引 用 文 献 1) Sase, H, Takahashi, A, Sato, M, Kobayashi, H, Nakata, M, and Totsuka, T. 2008. Seasonal variation in the atmospheric deposition of inorganic constituents and canopy interactions in a Japanese cedar forest. Environmental Pollution 152: 1-10. 2) Kamisako, M, Sase, H, Matsui, T, Suzuki, H, Takahashi, A, Oida, T, Nakata, M, Totsuka, T, and Ueda, H. 2008. Seasonal and annual fluxes of inorganic constituents in a small catchment of a Japanese cedar forest near the Sea of Japan. Water, Air, & Soil Pollution (in press) 3) 鈴 木 雅 一 2006. 熱 帯 モンスーンアジアにおける 降 水 変 動 が 熱 帯 林 の 水 循 環 生 態 系 に 与 える 影 響 科 学 技 術 振 興 機 構 水 の 循 環 系 モデリングと 利 用 システム 第 3 回 領 域 シンポジウム 要 旨 集 :37-47. 4) Thirapong, P., 飯 塚 敦 河 井 克 之.2007.タイ 東 北 部 の 塩 害 調 査 と ジグソーピーシス 作 戦. 地 盤 工 学 会 誌 土 と 基 礎 Vol.55 No.3 22-24. 5) Chapman, PJ, Clark, JM, Reynolds, B, and Adamson, JK. 2008. The influence of organic acids in relation to acid deposition in controlling the acidity of soil and stream waters on a seasonal basis. Environmental Pollution, 151: 110-120. 7. 国 際 共 同 研 究 等 の 状 況 本 サブテーマを 基 礎 として タイ 国 学 術 会 議 (National Research Council of Thailand: NRCT) の 承 認 を 得 て タイ 国 内 のEANET 関 係 機 関 と 国 際 共 同 研 究 を 実 施 した (1) 共 同 研 究 プロジェクト 名 :Joint Research Project on Catchment Analysis in Thailand (2)タイ 国 カウンターパート: 王 室 林 野 局 (Royal Forest Department: RFD) Jesada Luangjame 林 業 研 究 部 長 環 境 研 究 研 修 センター(Environmental Research and Training Center: ERTC) Hathairatana Garivait. 本 研 究 は EANETの 将 来 的 なモニタリング 手 法 や 生 態 系 影 響 評 価 に 資 するものであることから 上 記 関 係 機 関 だ け で な く タ イ 国 EANETナ シ ョナルフォーカルポイントである 公 害 規 制 局 (Pollution Control Department: PCD)とも 密 接 に 情 報 交 換 連 携 を 取 りながら 進 めた 8. 研 究 成 果 の 発 表 状 況 (1) 誌 上 発 表 < 論 文 ( 査 読 あり)> 1) H. Sase, A. Takahashi, M. Sato, H. Kobayashi, M. Nakata, and T. Totsuka: Environmental Pollution 152, 1-10 (2008) Seasonal variation in the atmospheric deposition of inorganic constituents and canopy interactions in a Japanese cedar forest 2) M. Kamisako, H. Sase, T. Matsui, H. Suzuki, A. Takahashi, T. Oida, M. Nakata, T. Totsuka, and H. Ueda: Water, Air, & Soil Pollution (2008)

C-052-55 Seasonal and annual fluxes of inorganic constituents in a small catchment of a Japanese cedar forest near the Sea of Japan (in press) < 査 読 付 論 文 に 準 ずる 成 果 発 表 > ( 社 会 科 学 系 の 課 題 のみ 記 載 可 ) 特 に 記 載 すべき 事 項 はない <その 他 誌 上 発 表 ( 査 読 なし)> 1) H. Sase, S. Nakayama, C.P. Leong, and H. Ueda: iforest Biogeosciences and Forestry (2008) QA/QC activities and ecological monitoring in the Acid Deposition Monitoring Network in East Asia (EANET) (in press) (2) 口 頭 発 表 ( 学 会 ) 1) H. Sase, T. Oida, M. Kamisako, T. Bulgan, T. Batchuluun, H. Shimizu, J. Luangjame, H. Garivait, N. Yamashita, S. Ohta, J. Shindo, and T. Totsuka: The 6th Conference of East Asia and Pacific Regional Network of International Long-Term Ecological Research (EAP-ILTER), Kyoto, Japan (2006) EANET ecological monitoring and related research projects 2) M. Kamisako, H. Sase, A. Takahashi, T. Matsui, H. Suzuki, M. Nakata, T. Oida, and T. Totsuka: The 6th Conference of East Asia and Pacific Regional Network of International Long-Term Ecological Research (EAP-ILTER), Kyoto, Japan (2006) Seasonal trends of elemental flux in a forested catchment near the Sea of Japan 3) 山 下 尚 之 太 田 誠 一 佐 瀬 裕 之 ジェサダ ルアンジェム ティティ ウィサラタナ ボ ピット キフティノン: 第 117 回 日 本 森 林 学 会 (2006) タイ 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 キャッチメントにおける 土 壌 酸 性 の 三 次 元 分 布 講 演 番 号 PG25 4) 上 迫 正 人 佐 瀬 裕 之 中 田 誠 戸 塚 績 : 第 47 回 大 気 環 境 学 会 年 会 (2006) 日 本 海 側 のスギ 林 集 水 域 における 大 気 沈 着 量 と 渓 流 水 質 の 季 節 変 動 P45. 5) 佐 瀬 裕 之 上 迫 正 人 ジェサダ ルアンジャメ ハタイラタナ ガリヴァイト 新 藤 純 子 : 第 47 回 大 気 環 境 学 会 年 会 (2006) タイ 熱 帯 季 節 林 集 水 域 における 大 気 沈 着 と 渓 流 水 質 の 特 性 P46. 6) 山 下 尚 之 太 田 誠 一 佐 瀬 裕 之 ジェサダ ルアンジェム ティティ ウィサラタナ ボ ピット キフティノン: 第 118 回 日 本 森 林 学 会 (2007) タイ 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 キャッチメントにおける 土 壌 酸 性 空 間 分 布 の 季 節 変 動 講 演 番 号 P1d11 7) 上 迫 正 人 佐 瀬 裕 之 中 田 誠 戸 塚 績 : 第 48 回 大 気 環 境 学 会 年 会 (2007) 日 本 海 からの 季 節 風 の 影 響 を 受 けるスギ 林 集 水 域 における 溶 存 無 機 物 質 の 年 間 収 支 1G0954. 8) 佐 瀬 裕 之 上 迫 正 人 ジェサダ ルアンジャメ ハタイラタナ ガリヴァイト ティティ ヴィサラタナ ボピット キエトヴッティノン 新 藤 純 子 : 第 48 回 大 気 環 境 学 会 年 会 (2007) タイ 熱 帯 季 節 林 集 水 域 における 乾 季 から 雨 季 への 移 行 期 の 大 気 沈 着 と 渓 流 水 質 1G0930 9) 山 下 尚 之 太 田 誠 一 佐 瀬 裕 之 ジェサダ ルアンジェム ティティ ウィサラタナ ボ

C-052-56 ピット キフティノン: 第 119 回 日 本 森 林 学 会 (2008) タイ 熱 帯 乾 燥 常 緑 林 土 壌 における 窒 素 動 態 の 季 節 間 比 較 講 演 番 号 P3b11 (3) 出 願 特 許 特 に 記 載 すべき 事 項 はない (4) シンポジウム セミナーの 開 催 ( 主 催 のもの) 特 に 記 載 すべき 事 項 はない (5) マスコミ 等 への 公 表 報 道 等 特 に 記 載 すべき 事 項 はない (6) その 他 特 に 記 載 すべき 事 項 はない