122
し ゅ よ う 腫 瘍 /がんの 診 療 の 流 れ この 図 は 腫 瘍 /がんの 受 診 から 経 過 観 察 への 流 れです 大 まかでも 流 れがみえると 心 にゆとりが 生 まれます ゆとりは 医 師 とのコミュニケーションを 後 押 ししてくれるでしょう あなたらしく 過 ごすためにお 役 立 てください
目 次 腫 瘍 /がんの 診 療 の 流 れ 1. 腫 瘍 /がんといわれたあなたの 心 に 起 こること 1 2. 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんとは 3 3. 検 査 と 診 断 5 4. 病 期 (ステージ) 8 5. 治 療 9 1 2 3 4 手 術 ( 外 科 治 療 ) 9 放 射 線 治 療 10 抗 がん 剤 治 療 ( 化 学 療 法 ) 11 ホルモン 療 法 11 6. 経 過 観 察 12 7. 転 移 12 8. 再 発 13 診 断 や 治 療 の 方 針 に 納 得 できましたか? 14 セカンドオピニオンとは? 14 メモ/ 受 診 の 前 後 のチェックリスト 15 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
1. 腫 瘍 /がんといわれたあなたの 心 に 起 こること 腫 瘍 /がんという 診 断 は 誰 にとってもよい 知 らせではありませ ん それはとてもショックな 出 来 事 ですし 何 かの 間 違 いではない か 何 で 自 分 が などと 考 えるのは 自 然 な 感 情 です 腫 瘍 /がんはどのくらい 進 んでいるのか 果 たして 治 るのか 治 療 費 はどれくらいかかるのか 家 族 に 負 担 や 心 配 をかけたくない 人 それぞれ 悩 みはつきません 気 持 ちが 落 ち 込 んでしまうのも 当 然 です しかし あまり 思 いつめてしまっては 心 にも 体 にもよくあり ません この 一 大 事 を 乗 りきるためには 腫 瘍 /がんに 向 き 合 い 現 実 的 かつ 具 体 的 に 考 えて 行 動 していく 必 要 があります そこで まずは 次 の2つを 心 がけてみませんか あなたに 心 がけて 欲 しいこと 情 報 を 集 めましょう 腫 瘍 /がんという 自 分 の 病 気 についてよく 知 ることです 担 当 医 は 最 大 の 情 報 源 です 担 当 医 と 話 すときには あなたが 信 頼 す る 人 にも 同 席 してもらうといいでしょう わからないことは 遠 慮 な く 質 問 してください また あなたが 集 めた 情 報 が 正 しいかどうか を あなたの 担 当 医 に 確 認 することも 大 切 です 知 識 は 力 なり 正 しい 知 識 は あなたの 考 えをまとめるとき に 役 に 立 ちます 1
腫 瘍 /がんといわれたあなたの 心 に 起 こること 1 病 気 に 対 する 心 構 えを 決 めましょう 腫 瘍 /がんに 対 する 心 構 えは 積 極 的 に 治 療 に 向 き 合 う 人 治 るという 固 い 信 念 をもって 臨 む 人 なるようにしかならないと 受 け 止 める 人 などいろいろです どれがよいということはなく その 人 なりの 心 構 えでよいのです そのためには あなたが 自 分 の 病 気 のことをよく 知 っていることが 大 切 です 病 状 や 治 療 方 針 今 後 の 見 通 しなどについて 担 当 医 からきちんと 説 明 を 受 け いつでも 率 直 に 話 し 合 い そのつど 十 分 に 納 得 したうえで 治 療 に 向 き 合 うことにつきるでしょう 情 報 不 足 は 不 安 と 悲 観 的 な 想 像 を 生 み 出 すばかりです あなた が 自 分 の 病 状 について 知 ったうえで 治 療 に 取 り 組 みたいと 考 えて いることを 担 当 医 や 家 族 に 伝 えるようにしましょう お 互 いが 率 直 に 話 し 合 うことがお 互 いの 信 頼 関 係 を 強 いものに し しっかりと 支 え 合 うことにつながります きょうせんし ゅ きょうせん では これから 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんについて 学 ぶことにしましょう 2 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
2. 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんとは 胸 腺 は 胸 骨 の 裏 側 心 臓 の 上 前 部 にあり Tリンパ 球 と 呼 ばれ る 白 血 球 をつくっている 臓 器 です その 大 きさは 握 りこぶしほ どで 幼 児 期 から 小 児 期 にかけては 体 の 免 疫 を 担 う 重 要 な 働 き をしています 胸 腺 は 成 長 するに 従 って 徐 々に 小 さくなってい き 成 人 になると 退 化 して 脂 肪 組 織 となり その 働 きを 終 えます 胸 腺 腫 は この 退 化 した 胸 腺 の 細 胞 から 発 生 する 腫 瘍 です 腫 瘍 細 胞 が 増 殖 するスピードは 比 較 的 ゆっくりとしており 胸 腺 を ひ ま く おおっている 膜 ( 被 膜 と 呼 びます)の 外 に 広 がることはまれです きょうくう が 進 行 すると 周 囲 の 肺 心 臓 大 血 管 や 胸 腔 に 広 がっていくこ ともあります 図 1. 胸 腺 の 位 置 と 周 囲 の 臓 器 3
胸 腺 腫 と 胸 腺 がんとは 2 胸 腺 がんは 以 前 は 胸 腺 腫 の 一 部 として 扱 っていましたが 特 に 腫 瘍 細 胞 の 増 殖 のスピードが 速 く 別 の 部 位 に 転 移 するといっ た 性 質 を 示 すものを 胸 腺 がん と 呼 んでいます 胸 腺 腫 胸 腺 がんでは 腫 瘍 /がんが 大 きくなることで 周 囲 の しんじゅん 臓 器 を 圧 迫 したり 浸 潤 ( 周 囲 に 広 がること)することによって せ き た ん け い ぶ 胸 の 痛 み 咳 痰 が 出 やすい 呼 吸 困 難 顔 面 首 ( 頸 部 )のうっ 血 ふ し ゅ や 浮 腫 (むくみ)などの 症 状 が 出 現 します これらの 症 状 は か なり 進 行 してから 現 れてきます 従 って 初 期 の 段 階 では 無 症 状 の 場 合 が 多 く 定 期 検 診 などの 胸 部 X 線 写 真 で 偶 然 に 発 見 される ことがほとんどです 胸 腺 腫 の 患 者 さんは 他 の 病 気 ( 合 併 症 )を 持 っている 場 合 があ り 合 併 症 としては 免 疫 系 に 関 係 する 病 気 が 多 く 中 でも 最 も 多 じゅうしょうきんむりょくしょう いのが 重 症 筋 無 力 症 です これは 体 の 筋 肉 を 動 かしていると 疲 か れてしまう 病 気 で まぶたが 下 がる 食 事 のときに 物 を 噛 んだり 飲 みこむのが 難 しい 顔 の 表 情 がつくりにくい 字 が 書 けない 息 苦 しいなどの 症 状 が 現 れ 特 に 夕 方 になると 症 状 が 強 くなりま せ き が き ゅ う す また 赤 芽 球 ろうという 血 液 の 病 気 を 併 発 することがあり ( 患 者 さんの5% 以 下 ) この 場 合 は 貧 血 症 状 がみられます 胸 腺 腫 胸 腺 がんは30 歳 以 上 の 成 人 に 多 くみられる 病 気 で 男 女 による 発 生 率 の 差 はありません 胸 腺 腫 胸 腺 がんはまれな 病 気 で 同 時 期 に 診 断 された 数 を 同 じ 胸 部 の 病 気 である 肺 がん と 比 べると1% 程 度 です( 国 立 がん 研 究 センター 中 央 病 院 ) 4 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
3. 検 査 と 診 断 胸 腺 腫 胸 腺 がんが 疑 われると 腫 瘍 /がんの 状 態 や 位 置 周 辺 の 臓 器 との 関 係 を 正 確 に 調 べるために 胸 部 X 線 検 査 のほかに 胸 部 CT 胸 部 MRIなどの 検 査 が 行 われます また 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんを 鑑 別 するために 腫 瘍 組 織 の 一 部 を 採 って 顕 微 鏡 で 腫 瘍 / がん 細 胞 の 有 無 を 調 べる 病 理 検 査 をします 胸 腺 腫 胸 腺 がんの 広 がりを 調 べる 検 査 としては CT MRIに 加 え 超 音 波 (エコー) 検 査 が 行 われることもあります 1 胸 部 X 線 検 査 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんの 発 見 のために 胸 部 X 線 検 査 を 行 います 最 も 簡 便 な 方 法 ですが 胸 腺 は 骨 や 心 臓 の 陰 影 と 重 なっているた め 腫 瘍 /がんがある 程 度 大 きくないと 確 認 できません 2 胸 部 CT 検 査 CTは X 線 を 使 って 体 ( 胸 部 )の 内 部 を 描 き 出 し 胸 腺 腫 胸 腺 がんの 状 態 や 位 置 周 辺 臓 器 との 関 係 を 調 べます ま た 別 の 臓 器 への 転 移 を 調 べる 目 的 で も 行 います 造 影 剤 を 使 用 する 場 合 アレルギーが 起 きることがあり ます アレルギーの 経 験 のあ る 人 は 医 師 に 申 し 出 てくださ い 5
検 査 と 診 断 3 3 針 生 検 確 定 診 断 のために 行 う 検 査 です 胸 部 CTなどを 用 いて 場 所 を 確 認 しながら 針 を 腫 瘍 に 刺 し 腫 瘍 組 織 の 一 部 を 取 り 出 して 顕 微 鏡 で 腫 瘍 /がんの 有 無 を 調 べます きょうくうきょう 4 胸 腔 鏡 検 査 全 身 麻 酔 をかけ 胸 に 穴 を 開 けて 特 殊 な 内 視 鏡 である 胸 腔 鏡 を 胸 腔 内 に 入 れて 病 変 の 組 織 を 採 ります 針 生 検 より 大 きな 組 織 を 取 り 出 すことができます 5 開 胸 手 術 ( 生 検 ) 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんを 鑑 別 するために 全 身 麻 酔 をかけ 手 術 で 胸 を 開 いて 腫 瘍 /がんの 状 態 や 組 織 を 確 認 します 開 胸 手 術 の 際 は 診 断 とともに 治 療 ( 切 除 )を 兼 ねます 6 MRI 検 査 MRIは 磁 気 を 使 用 して 体 の 内 部 を 描 き 出 し 胸 腺 腫 胸 腺 がん と 大 血 管 や 心 臓 骨 との 関 係 を 評 価 したり 腫 瘍 /がんの 状 態 を 調 べます MRIは ほかの 腫 瘍 と 紛 らわしいとき( 鑑 別 が 必 要 な とき)に 行 われます 造 影 剤 アレルギーの 経 験 のある 人 は 医 師 に 申 し 出 てください 6 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
7 超 音 波 (エコー) 検 査 ふ く じ ん 体 内 における 超 音 波 の 反 響 を 利 用 し 肝 臓 や 副 腎 などへの 転 移 を 検 査 します 胸 腔 内 で 腫 瘍 /がんがばらまかれたように 広 が は し ゅ っている( 播 種 など) 兆 候 がみられる 場 合 や 痛 みなどの 症 状 があ って 転 移 を 疑 う 場 合 に CTやMRIに 加 えて 超 音 波 (エコー) 検 査 を 行 うことがあります 7
病 期 (ステージ)4 4. 病 期 (ステージ) 病 期 とは 腫 瘍 /がんの 進 行 の 程 度 を 示 す 言 葉 で 英 語 をその まま 用 いてステージともいいます 説 明 などでは ステージ と いう 言 葉 が 使 われることが 多 いかもしれません 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんの 分 類 は 必 ずしも 統 一 されたものではありません 一 般 的 にはローマ 数 字 が 使 われ I 期 II 期 III 期 IV 期 (IVa IVb)に 分 類 されています この 病 気 では 被 膜 を 破 って 周 囲 の 臓 器 に 及 んでいるかどうか ( 浸 潤 の 有 無 )が その 後 の 経 過 に 大 きな 影 響 を 与 えることがわ かっており このことを 基 準 に 病 期 の 分 類 がなされています こ の 冊 子 では 現 在 最 も 多 く 使 われている 分 類 ( 正 岡 分 類 )を 示 し ます 病 期 によって 治 療 方 法 が 計 画 されます 図 2. 胸 腺 腫 の 病 期 分 類 ( 正 岡 分 類 ) I 期 II 期 III 期 完 全 に 被 膜 でおおわれているもの 腫 瘍 が 被 膜 を 破 って 周 囲 の 脂 肪 組 織 へ 浸 潤 するもの あるいは 被 膜 へ 浸 潤 するもの 隣 り 合 っている 臓 器 へ 浸 潤 するもの IV 期 ろ く ま く IVa: 胸 膜 ( 肋 膜 )や 心 膜 へ 播 種 しているもの IVb:リンパ 節 転 移 や 別 の 臓 器 への 血 行 性 転 移 がみられるもの ( 注 ) 胸 腺 がんの 病 期 分 類 は 胸 腺 腫 の 病 期 分 類 と 同 じものが 使 えます 胸 腺 がんの 場 合 は 診 断 の 時 点 ですでに 別 の 部 位 に 広 がっているのが 通 常 です 8 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
5. 治 療 胸 腺 腫 胸 腺 がんの 治 療 法 は 腫 瘍 /がんの 進 行 度 ( 病 期 )と 全 身 の 状 態 を 考 慮 して 決 められます 胸 腺 腫 胸 腺 がんでは 手 術 が 中 心 になりますが ほかに 放 射 線 治 療 や 抗 がん 剤 治 療 ホル モン 療 法 があります 次 に 示 すものは 胸 腺 腫 胸 腺 がんの 病 期 と 治 療 方 法 の 関 係 を 大 まかに 表 す 図 です 担 当 医 と 治 療 方 針 に ついて 話 し 合 う 参 考 にしてください 図 3. 胸 腺 腫 胸 腺 がんの 病 期 と 治 療 1 手 術 ( 外 科 治 療 ) 胸 腺 腫 胸 腺 がんの 治 療 法 として 最 も 多 く 行 われるのが 手 術 です I 期 では 腫 瘍 /がんを 含 めた 胸 腺 全 体 を 切 除 します III 9
治 療 5 期 では 腫 瘍 /がんが 浸 潤 している 心 膜 や 肺 血 管 などの 一 部 も 一 緒 に 切 除 します また 臓 器 への 浸 潤 が 著 しいときや 胸 腔 や 心 膜 腔 へ 腫 瘍 /がんが 広 がっているときは 腫 瘍 /がんを 完 全 に 取 りきれないこともあります 手 術 で 胸 腺 のみを 摘 出 した 場 合 はほとんど 問 題 なく 日 常 生 活 を 送 れるようになりますが 別 の 周 囲 の 臓 器 の 一 部 も 切 除 した 場 合 は それに 伴 う 症 状 が 出 ることもあります 例 えば 肺 を 切 除 し た 場 合 の 軽 い 息 切 れなどです また まれですが 胸 腺 を 摘 出 した 後 に 重 症 筋 無 力 症 を 発 症 することもあります 2 放 射 線 治 療 放 射 線 治 療 は 高 エネルギーのX 線 を 病 変 のある 部 位 にあて 腫 瘍 /がんを 殺 して 腫 瘍 /がんを 消 滅 させる 治 療 法 です 手 術 し た 領 域 に 残 っている 腫 瘍 /がん 細 胞 の 死 滅 や 腫 瘍 /がんの 再 発 予 防 のために 術 後 に 行 う 場 合 があります また 腫 瘍 /がんによ る 痛 みなどの 症 状 を 緩 和 する 目 的 ( 緩 和 ケア)でも 行 われます 放 射 線 治 療 の 副 作 用 副 作 用 は 主 として 放 射 線 が 照 射 された 部 位 に 起 こりますので 症 状 は 部 位 によって 異 なります 胸 腺 腫 では 肺 炎 食 道 炎 皮 膚 お う と 炎 などがあります 全 身 症 状 としてはだるさ 吐 き 気 嘔 吐 食 欲 低 下 白 血 球 減 少 などがあり 個 人 によって 程 度 が 異 なります 症 状 が 強 い 場 合 は 症 状 を 和 らげる 治 療 をしますが 通 常 は 治 療 後 2 4 週 ぐらいで 改 善 します 治 療 後 しばらくしてから 起 こる 副 作 用 もあります 10 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
3 抗 がん 剤 治 療 ( 化 学 療 法 ) 胸 腺 腫 胸 腺 がんでの 抗 がん 剤 治 療 は 胸 腺 以 外 の 臓 器 に 転 移 がある 場 合 (IV 期 )に 行 われることが 多 いのですが それ 以 外 に も 手 術 による 切 除 が 難 しい 場 合 などには 前 もって 抗 がん 剤 治 療 を 行 って 腫 瘍 /がんを 縮 小 させておき その 後 に 手 術 をすること もあります( 術 前 化 学 療 法 といいます) 抗 がん 剤 の 副 作 用 抗 がん 剤 は 腫 瘍 /がん 細 胞 だけでなく 正 常 な 細 胞 にも 影 響 を 及 ぼします 特 に 髪 の 毛 口 や 消 化 管 などの 粘 膜 骨 髄 など 新 陳 代 謝 の 盛 んな 細 胞 が 影 響 を 受 けやすく 脱 毛 口 内 炎 下 痢 や 便 秘 が 起 こったり 白 血 球 や 血 小 板 の 数 が 少 なくなることがあります そ の 他 だるさ 吐 き 気 食 欲 不 振 末 梢 神 経 障 害 ( 手 足 のしびれ) 心 ど う き 臓 への 影 響 として 動 悸 や 不 整 脈 が また 肝 臓 や 腎 臓 心 臓 に 障 害 が 出 ることもあります ただし 薬 によって 現 れやすい 副 作 用 は 異 なります また 同 じ 抗 がん 剤 でも 人 によって 副 作 用 の 現 れ 方 はまちまちです 現 在 では 抗 がん 剤 の 副 作 用 による 苦 痛 を 軽 く する 方 法 が 進 んでいますし 副 作 用 が 著 しい 場 合 には 治 療 薬 の 変 更 や 治 療 の 休 止 中 断 などを 検 討 することもあります 4 ホルモン 療 法 ホルモンは 体 内 から 分 泌 される 物 質 で 中 には 腫 瘍 /がんを 増 殖 させるものがあります 胸 腺 腫 と 胸 腺 がんでは ステロイドと 呼 ばれるホルモン 剤 によって 腫 瘍 /がんの 成 長 を 抑 えることが でき 抗 がん 剤 治 療 と 併 用 されることがあります 11
経 過 観 察 6 転 移 7 6. 経 過 観 察 治 療 を 行 った 後 の 体 調 確 認 のため また 再 発 がないかどうかを 調 べるために 定 期 的 に 通 院 します CTなどの 検 査 を 行 います 胸 腺 腫 胸 腺 がんは 10 年 以 上 たってから 再 発 する 可 能 性 があ りますので 長 期 の 経 過 観 察 が 必 要 になります 7. 転 移 転 移 とは 腫 瘍 /がん 細 胞 がリンパ 液 や 血 液 の 流 れに 乗 って 別 の 臓 器 に 移 動 し そこで 成 長 したものをいいます 胸 腺 腫 は 比 較 的 進 行 が 遅 く 転 移 を 起 こしにくいことが 知 られています 胸 膜 や 心 膜 への 浸 潤 は 起 こることがありますが 肺 と 胸 部 の 外 への 転 移 ( 胸 部 外 のリンパ 節 肝 臓 脳 副 腎 甲 状 腺 骨 など)が 起 こる のは7% 以 下 です 一 方 胸 腺 がんの 場 合 は 進 行 が 速 いので 診 断 時 に 転 移 していることが 少 なくありません 12 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
8 再 発 8. 再 発 再 発 とは 治 療 によって 検 査 上 腫 瘍 /がんが 認 められなくなっ た 後 再 び 腫 瘍 /がんが 出 現 することをいいます 胸 腺 腫 胸 腺 がんの 再 発 に 対 しては 抗 がん 剤 治 療 などを 行 います しかし 胸 腺 腫 は 進 行 再 発 をしたからといってすぐに 抗 がん 剤 治 療 の 適 用 になるかどうかは 患 者 さんによって 差 が 大 きく 中 には 経 過 観 察 のみという 手 段 をとることもあります 再 発 といってもそれぞ れの 患 者 さんでの 状 態 は 異 なります 同 時 に 転 移 が 生 じている 場 合 には 治 療 方 法 も 総 合 的 に 判 断 する 必 要 があります それぞ れの 患 者 さんの 状 況 に 応 じて 治 療 やその 後 のケアを 決 めていき ます 13
診 断 や 治 療 の 方 針 に 納 得 できましたか?/セカンドオピニオンとは? 診 断 や 治 療 の 方 針 に 納 得 できましたか? 治 療 方 法 は すべて 担 当 医 に 任 せたいという 患 者 さんがいます 一 方 自 分 の 希 望 を 伝 えたうえで 一 緒 に 治 療 方 法 を 選 びたいとい う 患 者 さんもふえています どちらが 正 しいというわけではなく 患 者 さん 自 身 が 満 足 できる 方 法 がいちばんです まずは 病 状 を 詳 しく 把 握 しましょう あなたの 体 をいちばんよ く 知 っているのは 担 当 医 です わからないことは 何 でも 質 問 して みましょう 診 断 を 聞 くときには 病 期 (ステージ)を 確 認 しましょう 治 療 法 は 病 期 によって 異 なります 医 療 者 とうまくコミュニケーショ ンをとりながら 自 分 に 合 った 治 療 法 であることを 確 認 してください 診 断 や 治 療 法 を 十 分 に 納 得 したうえで 治 療 を 始 めましょう 最 初 にかかった 担 当 医 に 何 でも 相 談 でき 治 療 方 針 に 納 得 できれ ばいうことはありません セカンドオピニオンとは? 担 当 医 以 外 の 医 師 の 意 見 を 聞 くこともできます これを セカン ドオピニオンを 聞 く といいます ここでは 1 診 断 の 確 認 2 治 療 方 針 の 確 認 3その 他 の 治 療 方 法 の 確 認 とその 根 拠 を 聞 くことが できます 聞 いてみたいと 思 ったら セカンドオピニオンを 聞 きた いので 紹 介 状 やデータをお 願 いします と 担 当 医 に 伝 えましょう 担 当 医 との 関 係 が 悪 くならないかと 心 配 になるかもしれません が 多 くの 医 師 はセカンドオピニオンを 聞 くことは 一 般 的 なことと 理 解 していますので 快 く 資 料 をつくってくれるはずです 14 がんの 冊 子 胸 腺 腫 と 胸 腺 がん
メモ/ 受 診 の 前 後 のチェックリスト メモ ( 年 月 日 ) 腫 瘍 /がんの 種 類 [ ] 大 きさ [ ] cm 位 広 がり [ ] まで 別 の 臓 器 への 転 移 [ あり なし ] 受 診 の 前 後 のチェックリスト 後 で 読 み 返 せるように 医 師 に 説 明 の 内 容 を 紙 に 書 いてもらったり 自 分 でメモを 取 るようにしましょう 説 明 はよくわかりますか 整 理 しながら 聞 きましょう 自 分 にあてはまる 治 療 の 選 択 肢 と それぞれのよい 点 悪 い 点 につい て 聞 いてみましょう 勧 められた 治 療 法 が どのようによいのか 理 解 できましたか 自 分 はどう 思 うのか どうしたいのかを 伝 えましょう 治 療 についての 具 体 的 な 予 定 を 聞 いておきましょう 症 状 によって 相 談 や 受 診 を 急 がなければならない 場 合 があるかどう か 確 認 しておきましょう いつでも 連 絡 や 相 談 ができる 電 話 番 号 を 聞 いて わかるようにしてお きましょう 説 明 を 受 けるときには 家 族 や 友 人 が 一 緒 のほうが 理 解 できたり 安 心 できると 思 うなら 早 めに 頼 んでおきましょう 診 断 や 治 療 などについて 担 当 医 以 外 の 医 師 に 意 見 を 聞 いてみたけ れば セカンドオピニオンを 聞 きたいと 担 当 医 に 伝 えましょう 15
122 104-0045 5-1-1