SS12 観 光 関 連 産 業 の 仕 組 み エコインストラクター 人 材 育 成 事 業 テキスト 無 断 転 用 転 載 禁 止 執 筆 者 : 鈴 木 晴 江 氏 ( 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 ) 近 年 旅 行 市 場 の 変 化 により 体 験 滞 在 型 ツアーやガイド 付 き 自 然 観 察 等 の 高 付 加 価 値 商 品 が 注 目 されています 自 然 学 校 やエコツ アー 事 業 者 の 中 には 地 域 の 宿 泊 交 通 事 業 者 や 都 市 部 の 旅 行 会 社 との 積 極 的 な 連 携 により 体 験 プログラムを 旅 行 商 品 の 一 部 として 組 み 込 み 提 供 しているケースもあり 今 後 もこの 傾 向 は 増 加 する と 予 測 されます ここでは 観 光 関 連 産 業 の 仕 組 みや 体 験 プログラ ム 提 供 事 業 者 の 位 置 づけを 理 解 します 1 観 光 関 連 産 業 の 仕 組 み 1) 観 光 産 業 の 意 味 観 光 産 業 とは 経 済 的 な 利 益 を 得 ることを 目 的 として 人 々の 観 光 行 動 に 対 応 した 財 やサービス ( 1)を 提 供 する 企 業 業 種 の 集 まりのことで 単 一 業 種 を 指 すのではなく 複 合 的 な 概 念 です 人 々 の 観 光 行 動 は 時 代 とともに 変 化 しており それに 対 応 して 観 光 産 業 のあり 方 も 変 化 し 続 けています 見 るだけでなく 何 かを 実 際 に 体 験 したいというニーズの 高 まりにより 近 年 は 体 験 を 可 能 とさせる 各 種 業 種 が 観 光 産 業 に 加 わるようになってきています 1 財 は 物 質 的 精 神 的 に 何 らかの 効 用 を 持 っているもののことである また そのようなものの 中 で 有 形 なものを 財 無 形 なものをサービスと 呼 び 財 とサービスと 表 現 する 場 合 もある 出 展 :フリー 百 科 事 典 ウ ィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/ 2) 観 光 産 業 の 構 成 業 種 観 光 関 連 産 業 は 提 供 される 財 やサービスの 機 能 と 財 やサービスを 提 供 する 場 所 による 2 通 りの 捉 え 方 があります (1) 機 能 による 捉 え 方 1 基 幹 的 な( 核 となる) 機 能 の 提 供 基 幹 的 な( 核 となる) 機 能 には 旅 行 業 交 通 運 輸 業 宿 泊 サービス 業 イベント コン ベンション 業 観 光 土 産 品 業 観 光 施 設 業 などによって 提 供 される 機 能 が 考 えられます 2 周 辺 機 能 の 提 供 周 辺 機 能 には 農 林 水 産 業 や 商 工 業 など 地 域 の 産 業 によって 提 供 される 機 能 が 考 えられます (2) 場 所 による 捉 え 方 1 旅 行 市 場 側 旅 行 市 場 側 とは 旅 行 の 発 生 する 需 要 サイドのことで 俗 に 発 地 と 呼 ばれています 旅 行 市 場 側 の 主 な 業 種 は 旅 行 業 と 交 通 運 輸 業 です この 他 ガイドブックを 発 行 する 出 版 社 102
なども 該 当 します 2 観 光 地 側 観 光 地 側 とは 旅 行 の 目 的 地 となる 供 給 サイドのことで 俗 に 着 地 と 呼 ばれています 観 光 地 側 の 主 な 業 種 は 宿 泊 サービス 業 交 通 運 輸 業 観 光 土 産 品 業 観 光 施 設 業 などが 該 当 します 従 来 市 場 側 で 提 供 されることが 多 かった 旅 行 業 については 近 年 の 法 改 正 なども 追 い 風 となり 観 光 地 側 で 増 加 する 傾 向 にあります また 新 しいサービスとしての 体 験 事 業 も 基 本 的 にはこの 観 光 地 側 での 提 供 と 考 えることができます 旅 行 市 場 側 ( 需 要 側 発 地 ) 観 光 地 側 ( 供 給 側 着 地 ) < 基 幹 的 な 機 能 > 農 畜 産 業 申 し 込 み 代 金 支 払 手 配 仕 入 支 払 宿 泊 サービス 業 消 費 者 旅 行 業 販 売 ( 代 行 ) 販 売 依 頼 ( 手 数 料 支 払 ) 手 配 仕 入 支 払 申 し 込 み 代 金 支 払 交 通 運 輸 業 観 光 土 産 品 業 観 光 施 設 業 旅 行 業 林 業 漁 業 サービス の 提 供 交 通 運 輸 業 商 業 イベント コンベンション 業 イベント コンベンション 業 出 版 業 など 体 験 事 業 ガイド 業 など 工 業 図 1: 観 光 関 連 産 業 の 仕 組 み(イメージ 図 ) 2 旅 行 市 場 ( 需 要 側 発 地 )の 動 向 1) 旅 行 市 場 の 変 化 旅 行 市 場 ( 需 要 )は 経 済 の 高 度 成 長 を 背 景 として1980 年 代 ごろまでに 一 気 に 成 長 し その 後 は 社 会 環 境 の 影 響 を 受 けながら 安 定 的 に 推 移 しています 特 に 1960 年 代 後 半 からの 航 空 機 近 代 的 設 備 のホテル 等 による 大 量 輸 送 大 量 消 費 が 旅 行 の 大 衆 化 を 可 能 としました ( 社 ) 日 本 観 光 協 会 が 1964 年 以 降 実 施 している 国 民 の 観 光 レクリエーションの 実 態 調 査 観 光 の 実 態 と 志 向 によると 1968 年 までの 宿 泊 観 光 旅 行 では 半 数 以 上 の 旅 行 の 目 的 が 慰 安 旅 行 ですが 2005 年 では 16.0%まで 落 ち 込 んでいます 一 方 自 然 名 所 スポーツなどの 見 物 や 行 楽 といっ た 観 光 旅 行 は 堅 調 に 推 移 しています また スポーツ レクリエーション は 2000 年 を 境 に 増 加 傾 103
向 に 転 じ 温 泉 に 入 る 湯 治 は 着 実 に 増 加 を 続 けています 慰 安 旅 行 等 の 団 体 型 旅 行 が 減 少 する 中 で 家 族 や 友 人 等 との 個 人 型 旅 行 が 増 加 し 旅 行 スタイルは 大 きく 変 化 しています それに 伴 い 需 要 の 高 度 化 観 光 行 動 の 多 様 化 が 進 んでいます 表 1: 旅 行 目 的 の 変 化 (%) 70 60 50 40 30 20 慰 安 旅 行 スポーツ レクリ エーション 自 然 名 所 スホ ーツ などの 見 物 や 行 楽 温 泉 に 入 る 湯 治 10 0 196466 68 70 72 74 76 78 80 82 84 86 88 90 92 94 96 98 99 00 01 02 03 04 05 調 査 対 象 の 旅 行 年 資 料 :( 社 ) 日 本 観 光 協 会 観 光 の 実 態 と 志 向 調 査 対 象 となる 旅 行 は 1998 年 までは 前 年 9 月 ~ 当 年 8 月 に 実 施 したもの 1999 年 からは 当 年 4 月 ~ 翌 年 3 月 に 実 施 したもの 2) 旅 行 市 場 (マーケット)の 構 造 (1) 旅 行 市 場 (マーケット)の 区 分 多 様 化 したニーズ 個 人 旅 行 の 増 加 などといわれる 旅 行 市 場 を 構 成 する 市 場 には 以 下 のような 5 区 分 があり 捉 える 方 法 には 表 2 のように 費 用 の 負 担 者 を 軸 にする 考 えと 旅 行 形 態 を 軸 にした 考 えと 大 きく 2 通 りあります 旅 行 市 場 の 区 分 1 観 光 レクリエーション 旅 行 個 人 的 な 楽 しみのための 観 光 旅 行 スポーツ 旅 行 旅 行 会 社 のパック 旅 行 に 参 加 した 場 合 も 含 めます 2 帰 省 や 家 事 のための 旅 行 帰 省 や 冠 婚 葬 祭 関 連 の 旅 行 ( 帰 省 ついでに 行 った 観 光 旅 行 は 観 光 レクリエーション 旅 行 ) 3 組 織 が 募 集 する 団 体 旅 行 町 内 農 協 郵 便 局 信 金 宗 教 団 体 サークルなどが 募 集 する 旅 行 4 出 張 や 業 務 旅 行 104
打 ち 合 わせや 会 議 施 設 目 的 の 旅 行 5 会 社 がらみの 団 体 旅 行 職 場 旅 行 や 招 待 報 奨 旅 行 団 体 で 行 動 する 旅 行 エコインストラクター 人 材 育 成 事 業 テキスト 無 断 転 用 転 載 禁 止 表 2: 旅 行 市 場 の 区 分 と 市 場 区 分 別 シェア( 国 内 旅 行 ) 0% 20% 40% 60% 80% 100% 51.0% 23.9% 5.1% 14.2% 3.1% 2.8% 観 光 レクリエーション 旅 行 帰 省 や 家 事 組 織 団 体 旅 行 出 張 業 務 会 社 団 体 旅 行 その 他 の 旅 行 旅 行 費 用 の 負 担 者 別 にみるシェア 費 用 負 担 者 市 場 区 分 国 内 旅 行 旅 行 形 態 (2006 年 ) 観 光 レクリエーション 旅 行 個 人 負 担 法 人 負 担 帰 省 や 家 事 のための 旅 行 組 織 が 募 集 する 団 体 旅 行 出 張 や 業 務 旅 行 会 社 がらみの 団 体 旅 行 80.0% 17.3% その 他 の 旅 行 2.8% 出 典 : 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 旅 行 者 動 向 2007 旅 行 形 態 別 にみるシェア 市 場 区 分 国 内 旅 行 (2006 年 ) 観 光 レクリエーション 旅 行 個 人 旅 行 団 体 旅 行 帰 省 や 家 事 のための 旅 行 出 張 や 業 務 旅 行 組 織 が 募 集 する 団 体 旅 行 会 社 がらみの 団 体 旅 行 89.1% 8.2% その 他 の 旅 行 2.8% (2) 多 様 化 するマーケットの 特 徴 これまで 性 別 年 代 別 等 により 旅 行 の 特 徴 が 捉 えられてきましたが 旅 行 の 実 態 には 既 婚 未 婚 子 供 の 有 無 子 供 の 年 齢 などライフステージが 大 きく 影 響 していることが 分 かってきました ここでは 個 人 旅 行 と 団 体 旅 行 に 分 けて そのうち 個 人 旅 行 はライフステージ 別 の 旅 行 行 動 をセグ メント 化 することで 多 様 化 する 旅 行 市 場 を 捉 えます 1 個 人 旅 行 ( 表 3 参 照 ) ア ( 小 学 生 中 高 生 連 れ) 家 族 旅 行 小 学 生 連 れの 家 族 旅 行 は 全 体 の 18.1% 中 高 生 連 れとあわせれば 約 25%のマーケットシェアを 占 めます 家 族 旅 行 は 子 供 の 楽 しみを 中 心 に 計 画 されることが 多 く このマーケットはテーマパー クなどを 訪 れる 旅 行 と 並 んで 自 然 の 中 での 遊 びを 重 視 しています マイカーでの 旅 行 比 率 が 高 い ホテルや 旅 館 以 外 の 宿 泊 施 設 の 利 用 が 多 い 旅 行 業 者 利 用 率 が 低 い 旅 行 消 費 単 価 が 低 いといった 観 光 産 業 への 依 存 度 が 低 いという 特 徴 があります 加 えて 旅 行 実 施 日 が 週 末 や 夏 休 みなどに 限 ら れます 自 然 に 対 する 志 向 が 高 いので 価 格 設 定 や 旅 行 実 施 日 を 配 慮 することによって 体 験 プログ ラムへの 多 くの 参 加 が 見 込 まれます イ 2( 子 育 て 後 ) 夫 婦 旅 行 熟 年 の 夫 婦 旅 行 の 市 場 シェアは 10.8%と 小 学 生 連 れの 家 族 旅 行 に 次 いで 大 きいマーケットです 高 齢 化 の 進 展 もあって 観 光 産 業 界 は 最 優 良 マーケットと 位 置 づけています 自 然 をゆっくり 親 しみ 105
たい 地 域 をじっくり 味 わいたいという 志 向 が 強 い 上 に 一 人 当 たりの 旅 行 単 価 が 高 い 平 日 出 発 の 比 率 が 高 い ホテルや 旅 館 への 宿 泊 比 率 が 高 い マイカー 利 用 率 が 低 く 公 共 交 通 手 段 の 利 用 が 高 いという 特 徴 があり 地 域 や 地 元 の 観 光 産 業 全 体 にとても 重 要 なマーケットです ウ ( 子 育 て 後 女 性 ) 友 人 旅 行 熟 年 の 夫 婦 旅 行 と 同 様 に 平 日 の 出 発 比 率 観 光 産 業 への 依 存 度 が 高 いので 地 域 にとっても 優 良 なマーケットです 公 共 交 通 手 段 への 依 存 度 が 高 く 観 光 バスや 観 光 タクシーといった 旅 行 先 での 活 動 メニューの 提 案 をよく 利 用 する 層 なので 体 験 プログラムが 受 け 入 れられる 可 能 性 も 高 くなっ ています エ ( 未 婚 女 性 ) 友 人 旅 行 新 タイプの 旅 行 に 最 初 に 興 味 を 示 すのが 若 年 の 女 性 層 です これまでもアジアリゾートブーム などいくつものムーブメントを 先 導 してきた 流 行 に 敏 感 なマーケットです 屋 久 島 などで 実 施 され ている 体 験 プログラム 参 加 者 の 中 で 最 も 高 い 構 成 比 を 占 めているとみられています 開 発 した 体 験 プログラムが このマーケットに 受 け 入 れられるかどうかは 商 品 の 品 質 や 販 売 促 進 の 成 果 を 図 る バロメーターともなります 2 団 体 旅 行 / 教 育 旅 行 ア 組 織 が 募 集 する 団 体 旅 行 会 社 がらみの 団 体 旅 行 組 織 が 募 集 する 団 体 旅 行 の 場 合 は 事 前 期 待 や 満 足 度 は 参 加 者 によって 大 きく 異 なりがちなので プログラムの 内 容 や 水 準 には 十 分 に 配 慮 しなければなりません 一 度 に 大 人 数 の 申 込 みを 受 けるこ とができるので 効 率 と 収 入 の 大 きさという 面 において 手 間 のかかる 個 人 客 マーケットとは 異 なる うまみがあります イ 教 育 旅 行 教 育 現 場 では 体 験 学 習 的 要 素 が 重 視 されており 自 然 地 域 を 巡 ることによる 自 然 への 理 解 環 境 問 題 への 意 識 づけ 地 域 理 解 などへの 期 待 が 高 まっています また 修 学 旅 行 は 従 来 の 歴 史 文 化 見 学 型 から 体 験 型 への 転 換 期 にあり とりわけ 環 境 面 での 学 習 効 果 が 発 揮 される 旅 行 日 程 に 対 する 要 望 が 高 くなってきています また 学 校 の 年 間 行 事 の 場 合 は 特 に 早 い 時 期 から 企 画 を 開 始 するの で 事 業 者 にとっては 早 い 時 期 に 収 入 が 見 込 めるため 年 間 収 支 計 画 などがたてやすいというメリ ットもあります 106
表 3: 同 行 者 ライフステージで 捉 えたマーケットセグメント( 国 内 旅 行 ) 観 光 レクリエーション 旅 行 のマーケットセグメント( 国 内 旅 行 ) マーケットセグメント 旅 行 の 同 行 者 ライフステージ シェア 2006 年 (%) 幼 児 連 れの 家 族 旅 行 子 供 連 れ 既 婚 長 子 が 未 就 学 8.5 小 学 生 連 れの 家 族 旅 行 子 供 連 れ 既 婚 小 学 生 の 子 がいる 18.1 家 族 旅 行 中 高 生 連 れの 家 族 旅 行 子 供 連 れ 既 婚 末 子 が 中 高 生 6.3 子 供 連 れ 既 婚 末 子 が18 歳 以 上 大 人 の 親 子 旅 行 9.6 親 を 連 れて - 3 世 代 の 家 族 旅 行 3 世 代 で - 6.4 (その 他 の 家 族 旅 行 ) 小 計 0.3 49.2 カップル 旅 行 カップルで - 3.5 夫 婦 旅 行 子 育 て 前 の 夫 婦 旅 行 夫 婦 で 既 婚 子 どもなし 3.1 子 育 て 中 の 夫 婦 旅 行 夫 婦 で 既 婚 18 歳 未 満 の 子 あり 1.3 子 育 て 後 の 夫 婦 旅 行 夫 婦 で 小 計 既 婚 末 子 が18 歳 以 上 10.8 18.7 未 婚 男 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 未 婚 男 性 1.8 子 育 て 前 の 男 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 既 婚 男 性 子 どもなし 0.9 子 育 て 中 の 男 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 既 婚 男 性 18 歳 未 満 の 子 あり 1.1 友 人 旅 行 子 育 て 後 の 男 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 既 婚 男 性 末 子 が18 歳 以 上 6.8 未 婚 女 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 未 婚 女 性 4.5 子 育 て 前 の 女 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 既 婚 女 性 子 どもなし 0.5 ひ と り 旅 子 育 て 中 の 女 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 既 婚 女 性 18 歳 未 満 の 子 あり 1.2 子 育 て 後 の 女 性 による 友 人 旅 行 友 人 や 知 人 と 既 婚 女 性 末 子 が18 歳 以 上 6.2 小 計 23.0 男 性 のひとり 旅 自 分 ひとりで 男 性 3.4 女 性 のひとり 旅 自 分 ひとりで 女 性 3.0 小 計 (その 他 無 回 答 ) 出 典 : 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 旅 行 者 動 向 2007 6.3 2.8 3) 新 たな 動 きの 潮 流 需 要 の 高 度 化 観 光 行 動 の 多 様 化 等 の 市 場 の 変 化 は とりわけ 体 験 型 交 流 型 旅 行 のニーズ の 高 まりとなって 表 れています これらの 動 きに 対 し 国 や 地 域 では 地 域 独 自 の 魅 力 を 活 かした 新 た な 形 態 の 旅 行 商 品 (エコツーリズム ヘルスツーリズム 長 期 滞 在 型 観 光 等 の ニューツーリズム 旅 行 商 品 )の 創 出 と 流 通 を 促 進 する 動 きが 活 発 です 一 つの 商 品 に 大 量 送 客 することを 前 提 としてい た 従 来 の 旅 行 商 品 に 対 し ニューツーリズムの 旅 行 商 品 は 多 品 種 小 ロット 高 付 加 価 値 型 である ことが 特 徴 です 107
(1)ニューツーリズム 旅 行 商 品 と 旅 行 者 ニーズ 1エコツーリズム エコツーリズムの 実 践 形 がエコツアーであ り 自 然 を 楽 しみにしながら 自 然 や 文 化 環 境 などに 対 する 理 解 を 深 める 旅 のことです 今 後 の 参 加 意 向 については 回 答 者 の 半 数 以 上 が (ぜひ) 行 ってみたい と 好 意 的 な 回 答 をし ています 表 4:エコツアーの 消 費 者 ニーズ 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2006 年 9.3 46.4 35.9 8.4 2005 年 9.0 40.4 39.8 10.9 20048.0 年 41.6 40.1 10.3 20038.0 年 45.0 36.0 11.0 20027.2 年 42.5 39.8 10.4 ぜひ 行 って みたい 行 って みたい あまり 行 き たくない 全 く 行 き たくない 2グリーンツーリズム グリーンツーリズムは 農 山 漁 村 などの 環 境 ふるさと 体 験 を 楽 しむ 旅 行 です 今 後 の 参 加 意 向 については 行 ってみたい とする 回 答 は 伸 び 悩 んでいますが ぜひ 行 ってみたい と する 回 答 は 若 干 増 加 傾 向 にあります 表 5:グリーンツーリズムの 消 費 者 ニーズ 0% 20% 40% 60% 80% 100% 20066.8 年 30.0 20056.5 年 27.1 20046.9 年 32.3 20036.0 年 33.0 48.2 49.2 47.4 46.9 15.0 17.3 13.4 14.1 20025.5 年 37.1 43.9 13.5 ぜひ 行 って みたい 行 って みたい あまり 行 き たくない 全 く 行 き たくない 出 典 : 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 旅 行 者 動 向 2007 4) 旅 行 市 場 データの 収 集 これまでみてきたように 旅 行 市 場 は 主 に 量 と 質 からその 変 化 や 特 徴 を 捉 えてきました 主 なデー タの 出 所 を 記 しますので 定 期 的 にデータを 収 集 し 市 場 の 変 化 をチェックすると 良 いでしょう 表 6: 旅 行 市 場 データの 収 集 資 料 出 所 量 的 国 土 交 通 省 観 光 白 書 ( 旅 行 量 )データ ( 社 ) 日 本 観 光 協 会 観 光 の 実 態 と 志 向 ( 財 ) 日 本 交 通 公 社 観 光 経 済 レポート など 質 的 ( 財 ) 日 本 交 通 公 社 旅 行 者 動 向 ( 旅 行 内 容 )データ ( 社 ) 日 本 観 光 協 会 観 光 の 実 態 と 志 向 国 土 交 通 省 全 国 旅 行 動 態 調 査 (5 年 毎 ) など 108
3 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 の 位 置 づけ 1) 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 と 観 光 関 連 産 業 との 関 わり (1) 出 発 地 の 旅 行 会 社 との 連 携 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 には 都 市 部 の 旅 行 会 社 との 積 極 的 な 連 携 により 体 験 プログラムを 旅 行 商 品 の 一 部 として 組 み 込 み 提 供 しているケースがあります 個 人 旅 行 の 場 合 は 出 発 地 側 のパッ ケージ 商 品 の 組 み 込 みか パーソナル 商 品 のオプショナルツアーとして 提 供 されています 団 体 旅 行 の 場 合 は 主 に 修 学 旅 行 などに 提 供 されています 旅 行 会 社 は 幅 広 い 販 売 ルートを 有 しており 旅 行 者 への 宣 伝 販 売 を 進 めるには 非 常 に 効 果 的 と 考 えられます (2) 地 域 の 観 光 関 連 産 業 との 関 わり 修 学 旅 行 を 誘 致 するため 宿 泊 サービス 業 者 と 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 などが 窓 口 を1つにし て 販 売 促 進 を 行 う 例 はよくみかけますが 地 域 における 観 光 関 連 産 業 との 連 携 は 多 いとは 言 えないの が 現 状 です 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 は 地 域 の 中 で 単 独 で 存 在 しているのではなく 直 接 的 間 接 的 に 地 域 の 様 々な 産 業 と 深 く 関 わり 合 って 存 在 しています そして 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 が 地 域 を 訪 れ た 多 くの 旅 行 者 に 利 用 され 滞 在 が 長 引 けば 長 引 くほど また 他 の 観 光 産 業 や 地 場 産 業 と 連 携 して 事 業 を 行 うほど 地 域 内 での 観 光 消 費 は 高 まり 地 域 経 済 への 貢 献 度 は 大 きなものになります いわば 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 は 地 域 の 産 業 を 活 性 化 し 新 しい 産 業 を 創 出 する 機 会 を 地 域 にもたら す 可 能 性 を 持 っていると 言 えます 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 が 関 わりを 持 つ 観 光 関 連 産 業 を 挙 げる と 次 のようなものがあります 表 7: 旅 行 者 の 一 連 の 観 光 行 動 と 観 光 関 連 産 業 主 に 関 係 する 観 光 関 連 産 業 旅 行 者 の 一 連 の 観 光 行 動 交 通 運 輸 業 地 域 へのアプローチ 地 域 内 の 移 動 宿 泊 サービス 業 滞 在 中 の 宿 泊 飲 食 業 滞 在 中 の 飲 食 食 材 の 提 供 観 光 施 設 業 観 光 ポイントや 観 光 施 設 の 見 学 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 観 光 体 験 農 林 漁 業 体 験 地 域 の 伝 統 文 化 工 芸 体 験 など 観 光 土 産 品 業 地 場 産 品 の 購 入 109
2) 体 験 プログラム 提 供 事 業 者 に 求 められること エコインストラクター 人 材 育 成 事 業 テキスト 無 断 転 用 転 載 禁 止 (1) 魅 力 的 なプログラムを 提 供 する 従 来 の 観 光 では 味 わえない 魅 力 を 体 験 することで プログラムの 価 値 やおもしろさを 理 解 できる 内 容 とする 必 要 があります そのためには 参 加 者 の 目 に 自 分 達 のプログラムがどのように 映 っている か テーマはねらいどおりに 伝 わっているか 満 足 度 などに 関 する 評 価 が 不 可 欠 です それが 魅 力 的 な 体 験 プログラムを 長 期 にわたり 継 続 的 に 実 施 するポイントとなります (2) 安 全 環 境 地 域 に 配 慮 したプログラムを 提 供 する プログラム 提 供 の 大 前 提 は 参 加 者 が 安 心 して 参 加 できることです また 負 荷 をかけない 持 続 的 な 方 法 での 利 用 を 心 掛 け 将 来 に 渡 って 基 盤 とするフィールドの 状 態 を 注 意 深 くモニターする 必 要 が あります さらに 息 長 く 地 元 で 愛 される 事 業 として 育 て 続 けていくためには フィールドとする 地 元 から 良 い 評 価 を 得 ることが 重 要 です 地 元 での 評 判 が 良 いプログラムは 地 域 の 自 慢 にもなり 情 報 の 伝 播 力 や 地 域 ぐるみで 歓 迎 する 雰 囲 気 から 参 加 者 の 満 足 を 一 層 高 めることにもなります (3) 組 織 としての 健 全 性 を 持 つ 旅 行 会 社 や 地 域 等 から 信 頼 できる 事 業 者 であるためには 安 定 的 にプログラム 提 供 ができることは もちろんのこと 法 令 の 遵 守 理 念 やスタンスの 表 明 等 を 行 うなど 組 織 が 健 全 であること またそ のことの 証 明 を 行 うことが 重 要 となります 常 に 質 の 向 上 を 目 指 しており そのために 何 を 取 り 組 ん でいるのかがわかるようになっていることが 必 要 です 1 旅 行 会 社 との 契 約 の 際 一 般 的 に 体 験 プログラム 事 業 者 に 求 められること ア 法 人 格 イ 安 全 管 理 能 力 ウ 賠 償 責 任 能 力 エ 事 業 継 続 能 力 又 それに 必 要 と 思 われる 保 有 資 格 (ガイド 等 の 個 人 資 格 含 む) 2 旅 行 業 者 がこれらを 求 める 理 由 消 費 者 契 約 法 旅 行 者 保 護 の 観 点 自 社 の 選 定 責 任 安 全 管 理 義 務 など 参 考 文 献 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 旅 行 者 動 向 2007 (2007 ) 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 観 光 読 本 ( 第 2 版 ) (2004 ) 環 境 省 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 ( 編 ) エコツーリズム さあ はじめよう! (2004, 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 ) 国 土 交 通 省 総 合 政 策 局 監 修 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社 魅 力 ある 自 然 ガイドツアーづくりの 手 引 き ( 財 団 法 人 日 本 交 通 公 社,2005) JTB 能 力 開 発 編 観 光 学 基 礎 (2006) 日 本 観 光 協 会 編 観 光 の 実 態 と 志 向 (2005) 日 本 観 光 協 会 編 観 光 実 務 ハンドブック ( 丸 善 株 式 会 社,2007) 110