フィリピン 人 看 護 師 候 補 者 の 就 労 と 研 修 の 現 状 ー 看 護 師 として 働 くための 国 家 試 験 対 策 を 中 心 にー 静 岡 赤 十 字 病 院 副 院 長 看 護 部 長 望 月 律 子
フィリピン 人 看 護 師 候 補 者 受 け 入 れまでの 意 思 決 定 と 経 過 平 成 20 年 12 月 ; 日 本 赤 十 字 社 として5 名 の 受 け 入 れが 決 定 された ことを 受 け 当 院 として 受 け 入 れの 意 思 を 表 明 平 成 21 年 2 月 ; 本 社 で 受 け 入 れ 病 院 を 決 定 足 利 赤 十 字 病 院 2 名 静 岡 赤 十 字 病 院 2 名 平 成 21 年 3 月 ; 国 際 厚 生 事 業 団 の 仲 介 により 27 名 の 希 望 者 から 平 成 21 年 5 月 ; 候 補 者 来 日 5 名 を 選 抜 し 2 名 マッチングした 海 外 技 術 者 協 会 での 日 本 語 研 修 開 講 式 の 場 で 初 対 面 平 成 21 年 11 月 ; 当 院 職 員 として 採 用
当 院 がフィリピン 人 看 護 師 候 補 者 を 受 け 入 れた 目 的 1. 異 なる 文 化 や 医 療 環 境 で 就 業 していた 医 療 従 事 者 と 共 に 働 く 機 会 を 得 ることで 職 員 の 視 野 を 広 げる 2.フィリピン 人 看 護 師 候 補 者 たちが 職 場 及 び 地 域 に 適 応 し 国 家 試 験 合 格 のための 支 援 をとおし 共 にキャ リアアップする 3. 将 来 的 に 予 測 される 医 療 看 護 介 護 に 関 わる 人 材 不 足 に 対 し 外 国 人 労 働 者 活 用 構 想 への 示 唆 を 得 る 受 け 入 れ 要 件 から 判 断 し 看 護 師 不 足 対 応 への 即 労 働 力 とし ての 受 け 入 れ 目 的 ではなかった
日 課 : 就 業 開 始 ~H22 年 3 月 まで 曜 日 8:30~14:00 14:00~17:00 月 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 火 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 水 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 木 国 家 試 験 対 策 研 修 ( 白 鳥 講 師 ) 金 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 土 休 日 日 休 日 ( 教 会 礼 拝 ) 講 師 :デ ラ サール 大 学 (マニラ) 客 員 教 授 白 鳥 文 子 氏
日 課 :H22 年 4 月 ~ 現 在 曜 日 8:30~16:00 16:00~17:00 月 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 火 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 水 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 木 国 家 試 験 対 策 研 修 e ラーニング 金 病 棟 での 看 護 助 手 業 務 自 己 学 習 レクチャー 土 休 日 日 休 日 ( 教 会 礼 拝 ) 講 師 :デ ラ サール 大 学 (マニラ) 客 員 教 授 白 鳥 文 子 氏
日 常 生 活 適 応 状 況 住 居 ; 当 院 看 護 師 マンション 個 室 使 用 ( 住 居 費 個 人 負 担 ) ベット 机 カーテン 家 電 食 器 類 等 は 病 院 で 新 規 購 入 及 び 職 員 からの 寄 付 食 事 ;2 名 で 共 同 で 自 炊 昼 食 は 弁 当 持 参 通 勤 : 自 転 車 で10 分 弱 日 曜 日 は 教 会 で 礼 拝 就 業 当 時 は 経 済 基 盤 が 弱 く 経 費 をかなり 気 にしていたが 現 在 は 収 入 を 得 て 安 定 した 生 活 をしている 休 日 はフィリヒ ンの 友 人 訪 問 など 県 外 にも 出 かけるようになった 看 護 師 たちとインフォーマルな 関 係 も 保 っており 問 題 はない
職 場 適 応 状 況 適 応 支 援 と 配 属 先 1. 日 本 語 能 力 が 不 十 分 なため メ ンタル 面 を 考 慮 し 英 語 に 堪 能 な 看 護 師 がいる 病 棟 に 最 初 の 一 ヶ 月 は 固 定 配 置 した 2. 病 院 環 境 に 慣 れてきてから 今 後 の 研 修 の 基 礎 作 りのため に 外 科 系 内 科 系 病 棟 をローテーションしながら 手 術 室 内 視 鏡 検 査 部 などの 見 学 を 組 み 入 れた 3. 就 労 当 時 は 日 本 語 能 力 が 不 十 分 であったため 担 当 責 任 者 を 決 め 看 護 学 生 の 実 習 同 様 に 必 ず 説 明 しながらペア で 行 った 4. 本 年 4 月 から 整 形 病 棟 内 科 病 棟 に 固 定 配 置 した
職 場 適 応 状 況 業 務 内 容 業 務 範 囲 ; 清 潔 ケア 排 泄 ケア 体 位 変 換 食 事 介 助 患 者 搬 送 など 看 護 助 手 業 務 の 範 囲 現 在 はナースチームの 一 員 として 清 潔 ケアなどは 単 独 で 可 能 な 業 務 が 増 えてきた 血 圧 測 定 術 後 観 察 など 診 療 介 助 に 関 する 業 務 もナースとペアで 行 い 業 務 範 囲 を 広 げている *フィリピンでは 患 者 のケアは 家 族 が 付 き 添 って 行 うため 業 務 範 囲 の 違 いに 驚 いていた * 患 者 からのクレームは 全 くなかった 丁 寧 やさしい という 評 価 あり * 患 者 の 言 葉 がわからないジレンマは 時 々ある ( 話 す 速 度 が 早 い 方 言 )
看 護 師 として 働 くための 国 家 試 験 対 策 1. 看 護 教 育 研 修 プログラムモデル 作 成 2. 外 国 人 看 護 師 候 補 者 のための 医 療 日 本 語 会 話 集 作 成 3. 国 家 試 験 に 出 題 される 漢 字 英 訳 集 作 成 4. 赤 十 字 副 学 校 長 会 発 行 国 家 試 験 合 格 への 道 を 一 部 英 訳 5. 効 率 的 な 自 己 学 習 支 援 対 策 臨 床 と 研 修 ( 理 論 と 実 践 )のリンク * 日 本 語 学 習 のみ 独 立 した 研 修 時 間 は 設 けなかった * 1.2の 教 材 は 静 岡 県 病 院 協 会 が 予 算 化 し 静 岡 県 病 院 協 会 会 員 病 院 に 配 布 した
看 護 師 として 働 くための 国 家 試 験 対 策 1 看 護 教 育 研 修 プログラムモデル 作 成 ( 国 際 厚 生 事 業 団 看 護 基 礎 教 育 機 関 のカリキュラムを 参 考 に 作 成 ) 構 成 : 到 達 目 標 達 成 のための 行 動 と 技 術 チェックリスト 支 援 者 の 役 割 りを 小 冊 子 にまとめた 到 達 目 標 ;ほぼ3カ 月 ごとに 1 国 試 対 策 2 日 本 語 継 続 学 習 3 職 場 適 応 生 活 習 慣 の 習 得 の 項 目 でプログラミング 候 補 者 の 行 動 目 標 と 支 援 者 の 役 割 を 明 記 技 術 チェックリスト; 業 務 に 必 要 な 基 礎 技 術 の 自 己 評 価 他 者 評 価 で 習 得 状 況 を 把 握 できる 様 式
看 護 師 として 働 くための 国 家 試 験 対 策 2 外 国 人 看 護 師 候 補 者 のための 医 療 会 話 集 候 補 者 の 講 師 として 依 頼 した 白 鳥 文 子 氏 と 共 に 日 本 の 医 療 環 境 ( 静 岡 赤 十 字 病 院 )への 早 期 適 応 と 理 解 のために 教 材 を 開 発 した 市 販 本 だけでは 臨 床 看 護 実 践 とつながりにくい * 音 声 言 語 を 理 解 するために 看 護 師 同 士 が 患 者 の 情 報 を 伝 達 する 場 面 を 収 録 し 多 く 使 われる 語 彙 に 英 訳 を 加 えた 略 語 業 界 用 語 現 場 の 状 況 が 理 解 しやすくなり 就 業 開 始 時 期 にはかなり 有 効 だった * 週 1 回 の 白 鳥 氏 の 講 義 の 基 礎 となる 参 考 書 として 活 用 作 成 当 時 よりは かなり 応 用 して 活 用 し 現 在 改 訂 版 を 作 成 中
看 護 師 として 働 くための 国 家 試 験 対 策 3 国 家 試 験 に 出 題 される 漢 字 英 訳 集 の 活 用 漢 字 習 得 対 策 として 過 去 の 問 題 集 から 設 問 ごとに 使 用 されている 漢 字 をピック アップし 英 訳 しファイルにした ( 白 鳥 文 子 氏 監 修 ) 市 販 の 漢 字 練 習 帳 を 使 用 し 就 業 当 時 はノルマを 与 え 宿 題 に していたが 主 体 的 に 学 習 できることが 確 認 できたため ノルマ は 必 要 なくなった AOTSで 使 用 していた 看 護 介 護 の 言 葉 と 漢 字 ワークブック も 並 行 して 活 用 していた 候 補 者 が 最 も 苦 労 しているのは 漢 字 の 音 読 み 訓 読 み 同 音 異 語 である
看 護 師 として 働 くための 国 家 試 験 対 策 4 国 家 試 験 合 格 への 道 英 訳 全 国 赤 十 字 副 学 校 長 会 発 行 国 家 試 験 合 格 への 道 2009 年 版 から 国 家 試 験 の 出 題 傾 向 重 点 項 目 の 部 分 を 一 部 英 訳 し 学 習 の 参 考 にした 現 在 は 国 際 厚 生 事 業 団 から 看 護 師 国 家 試 験 出 題 基 準 看 護 導 入 研 修 テキスト 等 が 発 行 されている 為 2010 年 の 英 訳 は 中 止 した 受 け 入 れ 当 初 から 現 在 のような 教 材 があれば 施 設 負 担 はかな り 軽 減 したと 思 われる
看 護 師 として 働 くための 国 家 試 験 対 策 5 臨 床 実 務 と 研 修 ( 理 論 と 実 践 )のリンク 本 日 の 振 り 返 り 用 紙 記 入 当 日 実 施 した 業 務 を 基 に 学 んだこと 理 解 できなかったこと 感 想 を 日 本 語 で 記 入 指 導 者 もコメントを 記 入 する 1 週 間 に1 枚 A4 用 紙 に 日 記 を 書 く 長 文 に 慣 れること 体 験 を 日 本 語 で 表 現 することを 目 的 に 400 字 詰 め 原 稿 用 紙 に 日 記 を 書 くことを 課 題 にし 看 護 副 部 長 が 添 削 * 毎 日 の 業 務 終 了 後 に 看 護 部 で 記 入 内 容 に 基 づき 表 現 の 誤 りや 理 解 不 足 の 内 容 をレクチャーする * 休 日 や 病 棟 での 様 子 理 解 度 などが 把 握 でき メンタル 面 でのフォローには 有 効 である
第 2 回 目 の 国 家 試 験 受 験 への 支 援 対 策 1. 病 棟 での 実 務 時 間 を 延 長 した 状 況 設 定 問 題 に 対 応 するためには 日 本 の 生 活 環 境 への 理 解 が 重 要 である( 家 庭 環 境 高 齢 者 看 護 など) 日 本 語 能 力 を 上 げるためには 現 場 で 学 ぶことが 早 道 2.モチベーションを 維 持 する 看 護 師 としての 能 力 を 維 持 する 機 会 を 増 やす チームカンファレンス や 新 人 看 護 師 や 研 修 医 対 象 の 採 血 注 射 技 術 研 修 に 参 加 し 技 術 力 を 維 持 する 日 本 での 先 進 医 療 を 学 べる 場 にいるという 実 感 を 得 る * フィリピン 人 患 者 への 通 訳
第 2 回 目 の 国 家 試 験 受 験 への 支 援 対 策 3.マスコミ 対 策 必 要 最 低 限 の 取 材 にし 精 神 的 な 負 担 を 軽 くする 4. 国 際 厚 生 事 業 団 の 支 援 フ ロク ラム 摸 擬 テストに 積 極 的 に 参 加 する 5. 苦 手 な 科 目 の 対 策 当 院 の 候 補 者 が 苦 手 な 領 域 : 精 神 科 在 宅 社 会 保 障 制 度 1) 老 人 健 康 保 健 施 設 見 学 実 習 2) 訪 問 看 護 に 保 健 師 と 同 行 し 在 宅 看 護 の 見 学 実 習 3) 社 会 保 障 制 度 に 関 して ケースワーカーから 集 中 講 義 4) 過 去 問 題 予 想 問 題 集 を 徹 底 的 に 活 用 する
候 補 者 が 安 定 して 就 労 するための 受 け 入 れのキーワード 1.ウエルカムな 環 境 立 場 を 理 解 して 受 け 入 れ 病 院 全 体 で 支 援 する 雰 囲 気 存 在 を 認 められることの 安 心 感 2. 実 務 と 研 修 のバランス モチベーションの 維 持 3. 受 け 入 れ 側 の 役 割 り 担 当 の 明 確 化 と 担 当 者 同 士 の 情 報 共 有 支 援 指 導 体 制 の 一 貫 性 * 受 け 入 れ 成 功 のキーワードは 候 補 者 の 資 質
H21 年 10 月 AOTS 在 籍 中 のメール 毎 日 しけん や しゅくだい が あります みんなは たいへん たいせつです もし たくさn べんきょうしたら たぶn じょずに なります 日 本 後 の べんきようが おわったら おせわに なります でわ また あいましょ どうも ありがとう ございます この エーメルは 3かい 送 りました 送 らないの げんいんは わかりません 彼 女 たちは 言 葉 がわからない 外 国 人 ではなく 看 護 の 有 資 格 者 であ る 資 質 を 生 かせる 有 効 な 支 援 があれば 成 果 は 必 ず 出 せる
当 院 としてのメリット 当 院 の 受 け 入 れ 目 的 は 間 違 っていなかった? 1. 職 員 の 興 味 視 野 の 拡 大 2. 超 高 齢 社 会 の 家 族 看 護 介 護 の 在 り 方 への 問 題 提 起 3. 教 材 開 発 への 関 わりからの 学 び 4. 当 院 の 役 割 を 地 域 に 発 信 する 機 会 の 増 大 * 候 補 者 たちが 資 格 を 取 得 し 看 護 師 として 就 業 できることを 期 待 し 受 け 入 れ 施 設 としての 責 任 を 果 たしていきたい