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中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 中 国 人 大 学 ( 院 ) 生 による 初 対 面 会 話 を 例 に 131 望 月 雄 介 キーワード 初 対 面 会 話 自 己 開 示 話 題 管 理 上 位 者 優 位 1.はじめに 初 対 面 会 話 は 人 間 関 係 を 構 築 する 出 発 点 であり 会 話 参 加 者 が 初 対 面 の 状 況 下 でどのような 話 題 を 提 供 し どのように 会 話 を 展 開 するかは 非 常 に 重 要 な ことである そして 初 対 面 会 話 の 中 では 自 己 紹 介 など 自 身 に 関 する 情 報 を 提 供 するのが 一 般 的 である つまり 初 対 面 会 話 において 自 己 開 示 (self-disclosure) は 会 話 を 組 み 立 てる 際 に 必 要 であり 会 話 参 加 者 が 自 身 に 関 する 情 報 を 提 供 す ることにより 活 発 な 情 報 交 換 が 行 われ その 結 果 人 間 関 係 が 築 き 上 げられ る また 自 己 開 示 と 文 化 には 深 い 関 わりがある 中 国 と 日 本 では 文 化 が 異 なり 提 供 して 良 い 話 題 や 避 けられるような 話 題 も 異 なるため 中 国 語 会 話 と 日 本 語 会 話 における 自 己 開 示 の 仕 方 や 内 容 にも 違 いが 見 られる 本 稿 では 中 国 人 大 学 ( 院 ) 生 の 初 対 面 会 話 のデータを 使 い 三 牧 (2013) の 研 究 方 法 を 基 礎 として 中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 の 特 徴 を 分 析 し さら に 日 本 語 母 語 話 者 の 会 話 との 違 いを 考 察 する 2. 先 行 研 究 自 己 開 示 の 研 究 は 心 理 学 の 分 野 で 発 展 し その 後 言 語 学 の 分 野 においても 焦 点 が 当 てられ 現 在 では 個 別 言 語 における 談 話 レベルでの 研 究 や 対 照 言 語 学 分 野 での 研 究 も 行 われている 言 語 学 における 自 己 開 示 研 究 は 各 研 究 者 によ って 定 義 の 仕 方 や 研 究 内 容 方 法 も 異 なる 2.1 唐 瑩 (2015)の 研 究 唐 瑩 (2015)は 中 日 大 学 ( 院 ) 生 の 会 話 データを 使 用 し 初 対 面 会 話 での 自 己 開 示 の 分 析 を 行 っている 個 人 情 報 経 験 事 実 などの 内 容 を 主 とする 客

132 望 月 雄 介 観 的 自 己 開 示 と 心 情 評 価 見 解 意 見 などの 内 容 を 主 とする 主 観 的 自 己 開 示 とに 分 け 中 国 語 母 語 話 者 は 主 観 的 自 己 開 示 が 多 く 日 本 語 母 語 話 者 は 客 観 的 自 己 開 示 が 多 いと 述 べている 話 題 選 択 についても 中 国 語 母 語 話 者 と 日 本 語 母 語 話 者 の 間 で 違 いがあることを 示 している さらに 主 観 的 自 己 開 示 に 関 して 両 母 語 話 者 の 開 示 の 仕 方 が 異 なることも 指 摘 している 中 国 語 母 語 話 者 は 感 情 を 語 る 表 現 が 豊 富 であり 相 手 に 合 わせることなく 自 己 開 示 するのに 対 し 日 本 語 母 語 話 者 は 過 去 の 心 情 を 引 用 するなどして 相 手 との 会 話 の 中 に 感 情 を 取 り 入 れ 協 同 的 に 開 示 することが 多 いと 述 べている 2.2 岩 田 (2015)の 研 究 岩 田 (2015:39)は 自 己 開 示 を 自 分 の 個 人 的 情 報 や 体 験 考 え 感 情 など を 会 話 の 中 で 相 手 に 伝 えようとする 言 語 的 行 動 (linguistic behavior to express and try to convey others one s own personal information and experiences, thoughts and feelings during a conversation) と 定 義 し 日 本 語 会 話 5 本 と 英 語 会 話 15 本 (イ ギリス アメリカ オーストラリア 各 5 本 )の 会 話 データを 使 用 して 日 英 語 初 対 面 会 話 における 自 己 開 示 の 機 能 について 分 析 している 英 語 会 話 では 話 し 手 が 自 己 紹 介 場 面 において 自 己 開 示 を 積 極 的 に 行 い また 会 話 中 では 聞 き 手 の 役 割 も 重 要 であり 聞 き 手 は 質 問 やコメントなどをして 話 し 手 の 自 己 開 示 を 促 すという 特 徴 が 見 られる さらに 自 己 開 示 の 内 容 について 話 し 手 は 失 業 仕 事 方 面 学 業 方 面 での 苦 労 や 困 難 不 安 などといった 負 の 情 報 も 開 示 する 傾 向 があると 述 べている これに 対 して 日 本 語 会 話 は 英 語 会 話 と 異 なり 話 し 手 は 自 己 紹 介 場 面 で 積 極 的 に 自 己 開 示 を 行 わず さらに 他 の 会 話 参 加 者 も 話 し 手 に 対 して 質 問 などせず 詳 しい 情 報 の 提 供 を 促 すこともないた め 自 己 開 示 の 程 度 は 英 語 会 話 に 比 べて 小 さい また 聞 き 手 の 役 割 が 日 本 語 会 話 と 英 語 会 話 では 異 なり 日 本 語 母 語 話 者 の 聞 き 手 はあいづちを 打 ちながら 相 手 の 意 見 を 聞 くという 特 徴 も 見 られる 日 本 語 会 話 の 自 己 開 示 の 内 容 につい ては 負 の 情 報 が 現 れることはないと 述 べている 日 英 語 会 話 における 自 己 開 示 の 特 徴 について 話 し 手 が 自 身 の 情 報 を 提 供 した 後 聞 き 手 も 話 し 手 の 話 題 に 関 連 した 自 分 の 経 験 などを 提 供 するといった 話 し 手 へのラポールを 示 す 聞 き 手 の 自 己 開 示 を 共 通 点 として 指 摘 している 以 上 から 日 英 語 初 対 面 会 話 における 自 己 開 示 には(1) 距 離 を 縮 める 機 能 (2)アイデンティティの 構 築 としての 機 能 (3) 話 し 手 へのラポールを 示 す 機 能 (4) 会 話 を 発 展 させる 機 能 という 4 つの 機 能 があるとまとめている 2.3 三 牧 (2013)の 研 究

中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 133 三 牧 (2013)は 日 本 語 母 語 話 者 大 学 ( 院 ) 生 20 組 ( 男 子 10 組 女 子 10 組 ) の 会 話 を 基 に 自 己 開 示 について 分 析 している 会 話 参 加 者 は 同 性 の 2 名 で 会 話 参 加 者 間 には 学 年 差 が 設 定 され 話 題 設 定 無 しの 初 対 面 会 話 を 調 査 対 象 と している 三 牧 (2013:191)では 自 己 開 示 を 自 己 に 関 する 情 報 を 提 供 する 行 為 と 定 義 し 情 報 の 要 求 と 提 供 や ある 話 題 に 関 して 会 話 参 加 者 双 方 が 自 己 開 示 をする 対 称 的 な 情 報 交 換 パターンと 会 話 参 加 者 の 一 方 は 自 己 開 示 をするが もう 一 方 は 自 己 開 示 しないという 非 対 称 的 な 情 報 交 換 パタ ーンという 観 点 から 日 本 語 母 語 話 者 大 学 ( 院 ) 生 の 自 己 開 示 を 分 析 し 以 下 4 つの 自 己 開 示 の 特 徴 があると 述 べている (Ⅰ) 男 性 上 位 者 のみに 観 察 された 支 配 的 話 題 管 理 (Ⅱ) 男 性 上 位 者 のみに 観 察 された 一 方 的 情 報 提 供 (Ⅲ) 女 性 上 位 者 の 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 (Ⅳ) 女 性 下 位 者 による 積 極 的 話 題 管 理 支 配 的 話 題 管 理 とは 話 し 手 が 一 方 的 に 又 は 強 引 に 談 話 を 展 開 すること であり 一 方 的 情 報 提 供 とは 話 し 手 が 自 発 的 に 話 題 を 導 入 し 一 方 的 に 情 報 を 提 供 することである 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 とは 話 し 手 が 支 持 的 な 発 話 を 織 り 交 ぜ 話 題 を 導 入 方 向 づけることであり 積 極 的 話 題 管 理 とは 話 し 手 が 積 極 的 に 新 たな 話 題 を 導 入 し 会 話 の 話 題 を 管 理 することである 以 上 の 3 つの 先 行 研 究 では 会 話 参 加 者 の 自 己 開 示 の 内 容 や 方 法 について 述 べられているが 中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 についての 論 文 は 唐 瑩 (2015) 以 外 あまりないようである よって 本 論 文 では 岩 田 (2015)の 自 己 開 示 の 定 義 を 使 い 自 己 開 示 か 否 かを 判 断 し 三 牧 (2013)の 枠 組 みを 参 考 にして 中 国 語 母 語 話 者 大 学 ( 院 ) 生 がどのように 自 己 開 示 を 行 うのかを 調 査 する 3. 調 査 3.1 調 査 会 話 調 査 は 2015 年 7 月 6 日 に 名 古 屋 大 学 で 行 い 会 話 参 加 者 は 全 て 中 国 人 大 学 生 または 大 学 院 生 である 表 1 は 会 話 参 加 者 の 情 報 であり A と B C と D がそ れぞれの 会 話 のペアである この 調 査 では 中 国 人 の 女 性 同 士 且 つ 年 齢 差 有 りの 初 対 面 会 話 でどのように 自 己 開 示 がされるのかを 明 らかにすることを 目 的 とするため 会 話 参 加 者 がお 互 いパーティー 会 場 で 初 めて 会 ったという 場 面 を 設 定 した そして 表 2 は 調 査 会 話 に 関 する 説 明 である

134 望 月 雄 介 30 分 の 自 由 会 話 終 了 後 それぞれ 個 別 にフォローアップインタビューを 行 い (1)30 分 の 会 話 が 全 体 的 に 自 然 であったか (2) 会 話 の 中 で 不 自 然 に 感 じた ところはあったか (3a)( 不 自 然 に 感 じたところがある 場 合 )どんな 時 に 不 自 然 に 感 じたか (3b)なぜ 不 自 然 に 感 じたか (4) 会 話 の 中 で 聞 き 手 に 対 して 配 慮 したことはなにか (5) 会 話 の 中 で 困 ったことはあったかという 質 問 をした 発 話 者 出 身 地 学 年 A 内 蒙 古 博 士 3 年 B 上 海 学 部 2 年 C 天 津 修 士 2 年 D 河 南 学 部 2 年 表 1 会 話 参 加 者 場 面 初 対 面 人 数 2 人 時 間 30 分 性 別 同 性 ( 女 性 ) 上 下 関 係 年 齢 差 話 題 設 定 なし( 自 由 会 話 ) 表 2 調 査 会 話 3.2 文 字 化 の 規 則 本 論 文 で 使 用 する 文 字 化 記 号 は 次 の 通 りである 語 尾 の 音 が 下 がり 区 切 りがついたことを 示 す 短 いポーズを 示 す ( 秒 ) 沈 黙 の 秒 数 を 示 す? 語 尾 の 音 が 上 がることを 示 す 疑 問 文 とは 限 らない / 同 時 発 話 の 始 まりを 示 す 中 略 を 示 す 特 定 の 個 人 情 報 を 示 す ( 個 人 情 報 保 護 のため)

中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 135 : : の 前 の 音 節 が 長 く 延 ばされ : の 数 が 多 いほど 長 く 発 せられたこ とを 示 す { } 非 言 語 行 動 を 示 す 4. 結 果 4.1 全 体 像 まず 始 めに 今 回 行 った 調 査 会 話 の 全 体 像 を 見 てみる 会 話 の 状 況 を 把 握 する 必 要 があるので ここでは 発 話 量 1 と 発 話 交 替 を 表 示 する 会 話 1 会 話 2 発 話 者 発 話 量 発 話 交 替 A 5,711(79.2%) 93 B 1,501(20.8%) 92 合 計 7,212(100%) 185 C 3,245(46.5%) 128 D 3,733(53.5%) 132 合 計 6,978(100%) 260 表 3 会 話 の 全 体 像 会 話 1 では A と B の 発 話 量 に 差 があり A の 発 話 量 が 圧 倒 的 に 多 い A があ る 話 題 を 提 供 してから 次 から 次 へと 話 題 を 転 換 し 会 話 を 盛 り 上 げるという 特 徴 があった そして B はあいづちを 多 く 打 ちながら A の 質 問 に 時 々 答 え るが すぐに 質 問 をして 発 話 権 を 相 手 に 譲 ってしまうことが 多 かったため 発 話 交 替 の 数 では 差 が 見 られないが 発 話 交 替 の 内 容 が A と B では 全 く 異 なった さらに A は 沈 黙 が 起 きた 際 に 発 話 権 を 取 り 話 し 始 める 傾 向 があったが B は 主 に 割 り 込 み 失 敗 による 発 話 交 替 が 多 かった A の 1 発 話 がとても 長 いこ とから B は 何 とかして A の 発 話 に 割 り 込 もうとするが すぐに 発 話 権 を 取 るの をやめた A が 年 上 ということもあり B は A に 配 慮 したと 考 えられる 会 話 2のC と D では 割 り 込 みやオーバーラップは 少 ない お 互 いが 話 し 終 わるまで 発 話 権 を 行 使 せず 相 手 の 発 話 が 終 了 してから 発 話 交 替 が 行 われてい る 沈 黙 が 起 きた 際 に 下 位 者 の D が 発 話 権 を 取 った 場 面 があったため D の 発 話 交 替 が 若 干 多 くなった なお 会 話 参 加 者 にはお 互 いの 年 齢 を 伝 えていない 会 話 1 のフォローアッ プインタビューで B は 自 分 の 年 齢 が 若 く A の 容 姿 や 話 し 方 から 会 話 開

136 望 月 雄 介 始 直 後 に 自 身 が 下 位 者 だと 思 った と 答 え A も 自 分 は 博 士 課 程 の 学 生 だか ら 会 話 開 始 直 後 に 自 身 が 上 位 者 だと 思 った と 答 えた 一 方 会 話 2 の C と D は 会 話 開 始 直 後 の 自 己 紹 介 で 共 に 年 齢 差 を 認 識 した 4.2 フォローアップインタビューのまとめ 会 話 1 での A の 発 話 量 が 多 かったことに 対 して A は 自 ら 指 摘 したが 会 話 全 体 は 不 自 然 ではなかったと 答 えた B は 自 身 も 多 く 話 したかったが A が 年 上 ということもあり 遠 慮 したと 答 えた そして 一 方 的 に A が 情 報 を 提 供 した ことに 関 して A は 気 付 かなかったと 答 え B も 何 も 不 自 然 に 感 じなかったと 答 えた 会 話 2 では オーバーラップや 割 り 込 みが 少 なく 相 手 の 話 をしっかりと 聞 きながら 発 話 していたことに 関 して C は 自 身 が 日 本 語 の 影 響 を 受 けている 可 能 性 があり 会 話 全 体 が 少 し 不 自 然 だったと 答 え D も C の 答 えと 同 様 に 会 話 全 体 が 中 国 語 の 会 話 ではないような 気 がしたと 答 えた 会 話 1 と 会 話 2 では 自 然 な 会 話 だったかどうかという 点 で 差 が 見 られた 4.3 自 己 開 示 の 量 的 分 析 次 に 自 己 開 示 が 行 われた 回 数 を 示 す 自 己 開 示 情 報 の 数 え 方 に 関 しては 1 小 話 題 2 に 関 して 各 会 話 参 加 者 が 自 己 に 関 する 情 報 を 提 供 したか 否 かのみを 問 題 にし その 中 で 提 供 されたより 詳 細 な 情 報 は 数 え 上 げない ( 三 牧 2013:193) とする 自 己 開 示 の 回 数 は 以 下 の 表 4 で 示 す 会 話 発 話 者 回 数 割 合 A 36 73.5% 会 話 1 B 13 26.5% 合 計 49 100% C 24 64.9% 会 話 2 D 13 35.1% 合 計 37 100% 表 4 自 己 開 示 回 数 2 組 とも 上 位 者 (A と C)の 自 己 開 示 回 数 が 下 位 者 (B と D)の 回 数 を 上 回 っ

中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 137 ている これは 一 体 何 を 意 味 するのだろうか 自 己 開 示 内 容 については 2 組 共 に 自 己 紹 介 から 始 まり 会 話 開 始 後 5 分 ぐらいまでの 間 にいずれの 会 話 参 加 者 も 名 前 所 属 学 年 などの 自 己 開 示 を 行 った 会 話 の 序 盤 では 上 位 者 と 下 位 者 の 自 己 開 示 の 回 数 はおおよそ 同 じで 自 己 開 示 の 内 容 も 以 下 のようにほぼ 対 称 的 となっている ( 下 線 部 は 自 己 開 示 を 表 す ) (1) 自 己 紹 介 の 場 面 において 01 D 你 好 [こんにちは ] 02 C 你 好 哎? 你 是 哪 个 大 学 的? [こんにちは あ どこの 大 学 から 来 ましたか?] 03 D 我 是 那 个 大 学 的 然 后 交 换 到 这 儿 来 的 留 学 生 現 在 の 所 属 [ 私 は 大 学 から 来 ました 交 換 留 学 生 として 来 ました ] 04 C 噢 那 : 你 在 日 本 呆 多 久 啊? [ 日 本 にはどれくらい 居 ますか?] 05 D 一 共 一 年 然 后 现 在 已 经 呆 了 三 个 月 了 你 呢? 留 学 期 間 [ 一 年 間 です もう 三 ヶ 月 が 過 ぎました あなたは?] 06 C 我 是 :: 大 学 毕 业 以 后 来 日 本 的 然 后 在 这 边 呆 了 很 多 年 留 学 期 間 然 后 我 是 去 年 考 到 大 学 的 現 在 の 所 属 [ 私 は 大 学 を 卒 業 してから 日 本 に 来 ました 日 本 には 結 構 居 て 去 年 大 学 に 入 学 しました ] 07 D 你 现 在 读 什 么 呀? [ 今 は 何 を 専 攻 していますか?] 08 C 我 现 在 读 就 是 现 代 汉 语 現 在 の 専 攻 [ 今 は 現 代 中 国 語 を 専 攻 しています ] 4.4 自 己 開 示 の 質 的 分 析 女 性 中 国 語 母 語 話 者 における 自 己 開 示 について 三 牧 (2013)が 述 べた(Ⅰ) 支 配 的 話 題 管 理 (Ⅱ) 一 方 的 情 報 提 供 (Ⅲ) 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 (Ⅳ) 積 極 的 話 題 管 理 という 観 点 から 分 析 する 4.4.1 女 性 上 位 者 による 支 配 的 話 題 管 理 三 牧 (2013)において 支 配 的 話 題 管 理 は 男 性 のみの 特 徴 であった 会 話 2 では 支 配 的 話 題 管 理 が 見 られなかったが 会 話 1 では 上 位 者 A による 支 配 的 話 題 管 理 が 見 られた

138 望 月 雄 介 (2) 中 国 のある 場 所 で 働 くことになったことを 話 題 とした 会 話 01 A 中 国 也 只 有 一 个 我 就 跟 家 人 说 了 我 爸 他 觉 得 你 行 吗? 然 后 但 是 我 妈 妈 她 说 行 你 既 然 要 是 工 作 稳 定 啊 你 就 别 去 留 学 了 / 多 好 啊 働 く 時 の 家 族 との 話 ( 過 去 の 経 験 談 ) [ 中 国 にも( 働 く 予 定 の 職 場 は) 一 つしかなく すぐ 家 族 に 話 しました お 父 さんは 大 丈 夫 か?と 思 っていて お 母 さんは 大 丈 夫 よ もし 仕 事 が 安 定 したら 留 学 に 行 かなくていいんだから いいことじゃないと 言 いました ] 02 B / 对 对 啊 我 也 觉 得 意 見 提 示 [そうですね 私 もそう 思 います ] 03 A 事 实 上 那 个 里 的 人 也 很 好 都 是 不 过 他 们 除 了 日 本 人 就 是 上 海 人 好 像 就 有 两 个 外 地 人 就 有 我 一 个 然 后 我 他 们 天 天 不 是 说 日 语 就 是 说 上 海 话 嘛 大 概 半 年 以 后 我 可 以 跟 他 们 说 上 海 话 了 你 会 说 吧? 以 前 の 職 場 環 境 や 同 僚 について [ 実 際 に ( 職 場 )の 人 はとてもいい 人 達 で 日 本 人 以 外 は 上 海 の 人 で たしか 他 の 地 方 の 人 が 二 人 いたような その 中 の 一 人 は 私 で みんなは 毎 日 日 本 語 ではなくて 上 海 語 を 話 していました 大 体 半 年 後 にはみんなと 上 海 語 で 話 せるようになりました 話 せるよね?] 04 B 嗯 嗯 / 我 听 得 懂 我 听 得 懂 能 力 開 示 [はい ( 聞 いて) 分 かりますよ ] 05 A / 你 听 得 懂 吧? [ 分 かるでしょ?] 06 A 我 说 ( 上 海 话 ) [ 上 海 語 を 言 う ] 07 B 哦 哦 你 说 得 好 巧 啊 [おぉ とても 上 手 です ] 08 A 最 难 忘 的 一 件 事 情 就 是 (2.5) 那 个 忘 年 会 的 时 候 和 那 个 日 本 驻 上 海 总 领 事 然 后 是 大 家 必 须 要 抽 签 儿 坐 一 个 日 本 人 对 一 个 中 国 人 大 家 都 抽 的 是 一 般 的 我 就 抽 到 总 领 事 { 笑 う} 哎 哟 我 紧 张 得 不 得 了 结 果 坐 在 总 领 事 的 对 面 我 都 不 敢 吃 然 后 人 家 说 你 快 给 总 领 事 倒 酒 啊 倒 酒 结 果 一 倒 吧 把 总 领 事 的 杯 子 打 翻 了 { 笑 う} 当 时 我 很 紧 张 然 后 他 问 我 最 近 仕 事 忙 しいですか? う

中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 139 んうんうん おいしい おいしい 以 前 の 失 敗 談 [ 一 番 忘 れられない 出 来 事 は 忘 年 会 の 時 に 在 上 海 日 本 国 総 領 事 館 の 総 領 事 と みんなくじを 引 いて 座 らなければならなかったんです 日 本 人 一 人 と 中 国 人 一 人 みんなは 普 通 の 席 を 引 きましたが 私 だけ 総 領 事 の 隣 を 引 いてしまったんです はぁ とても 緊 張 して 総 領 事 の 対 面 に 座 ったのはいいですが 食 べ 物 が 喉 を 通 りませんでした その 後 別 の 人 が 総 領 事 にお 酒 を 注 いでと 言 ったので 注 いだところ 総 領 事 のグラスをひっくり 返 してしまいました あの 時 はとても 緊 張 していたし その 後 総 領 事 は 私 に 最 近 仕 事 忙 しいですか? と 尋 ねました 私 は うんうんうん おいしい おいしい と 答 えま した ] この 場 面 において A は B の 質 問 に 支 えられて 自 己 開 示 を 行 うのではなく 自 発 的 に 自 己 開 示 を 行 いながら 話 題 を 管 理 し 自 分 が 話 したい 話 題 へと 導 いて いった さらに 会 話 の 序 盤 には A が 一 人 で 10 分 以 上 も 話 し 続 け 支 配 的 に 話 題 を 管 理 していた 場 面 もあったため この 会 話 では 上 位 者 A が 支 配 的 に 話 題 管 理 をしていることがわかる A に 対 するフォローアップインタビューの 中 で 話 し 続 けたことに 関 して 不 自 然 ではなかったかという 問 いに 対 して A は 少 し 多 く 話 したと 感 じたが 特 に 不 自 然 ではなかった と 答 えている A は 自 己 開 示 を 自 発 的 に 多 く 行 い 自 分 が 話 したい 話 題 へと 導 いて 会 話 の 主 導 権 を 握 ったと 言 ってよい それに 対 して C と D の 会 話 2 では 支 配 的 に 話 題 を 管 理 している 場 面 が 見 られなかったが C はフォローアップインタビューの 中 で 話 題 管 理 について 少 し 言 及 している C は 自 分 自 身 少 なからず 日 本 語 の 影 響 を 受 けたと 認 め さらに どこに 反 映 されていたかという 問 いに 対 しては 普 段 の 会 話 では 言 い たいことを 言 うが 初 対 面 の 相 手 なので 相 手 の 話 をしっかり 聞 いてから 話 し た と 答 えたため C は 相 手 の 話 している 話 題 や 話 し 終 わるタイミングなどに 配 慮 しながら 発 話 交 替 を 行 ったと 言 える そのため 会 話 2 では 支 配 的 に 話 題 を 管 理 した 場 面 が 見 られなかった 4.4.2 女 性 上 位 者 による 一 方 的 情 報 提 供 三 牧 (2013)において 一 方 的 情 報 提 供 は 男 性 上 位 者 のみの 特 徴 であったが 会 話 1 と 会 話 2 共 に 女 性 上 位 者 が 一 方 的 に 情 報 を 提 供 する 場 面 があった

140 望 月 雄 介 (3) 日 本 に 来 る 過 程 や 大 学 院 受 験 などについての 話 題 01 B 那 后 来 为 什 么 会 要 来 日 本 呢? [じゃあ その 後 なぜ 日 本 に 来 ることになったのですか?] 02 A 我 的 想 法 是 那 个 大 学 上 了 大 学 以 后 我 就 想 以 后 继 续 考 研 究 生 如 果 我 考 不 上 研 究 生 之 类 的 即 使 那 样 我 也 没 有 想 过 来 日 本 因 为 我 怎 么 说 過 去 の 考 え 然 后 我 就 考 (1.4) 考 了 两 次 那 个 大 学 第 一 次 是 分 数 线 受 験 に 関 する 事 実 [ 私 は 大 学 を 出 た 後 は 大 学 院 を 受 験 しようと 思 っていました たとえ 大 学 院 が 不 合 格 でも 日 本 に 来 ることは 考 えていなかったです どうやって 言 ったらいいのかな その 後 私 は 二 度 大 学 を 受 験 して 一 度 目 はボーダーラインを ] 03 A 第 二 次 是 因 为 分 数 线 过 了 但 是 复 试 没 有 通 过 過 去 の 事 実 [ 二 度 目 はボーダーラインを 超 えたんですが 二 次 試 験 は 不 合 格 で した ] 04 B 就 是 研 究 生 吗? [ 大 学 院 ですか?] 05 A 对 研 究 生 [そうです 大 学 院 です ] 06 A 我 想 教 汉 语 教 做 对 外 汉 语 的 老 师 将 来 の 願 望 [ 外 国 人 に 中 国 語 を 教 えたいです ] 07 A 初 试 我 超 过 了 好 几 十 分 我 觉 得 我 肯 定 能 考 上 把 我 的 那 个 行 李 衣 服 因 为 我 的 表 妹 在 那 儿 读 书 我 就 是 说 东 西 放 你 这 儿 吧 { 二 人 で 笑 う} 最 后 就 没 有 我 的 名 字 人 生 中 最 难 过 的 事 情 吧 { 二 人 で 笑 う} 受 験 時 の 体 験 談 [ 一 次 試 験 は 何 十 点 もボーダーを 超 えていたので 必 ず 合 格 すると 思 っていました 従 妹 がその 大 学 に 通 っているので 自 分 の 荷 物 や 服 を 置 いていくと 話 していました 最 終 的 に 私 の 名 前 はあり ませんでした 人 生 の 中 でも 最 もつらい 出 来 事 でした ] 08 B 然 后 后 来 后 来 呢? [その 後 は?] 09 A 因 为 我 现 在 结 婚 了, 我 丈 夫 在 上 海 結 婚 に 関 する 情 報 [ 私 は 現 在 結 婚 していて 夫 は 上 海 にいます ]

中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 141 10 A 我 说 我 还 要 考 一 次 { 笑 う} 他 说 不 要 了 你 不 能 再 考 了 (2.4) 我 于 是 后 来 他 说 你 还 是 应 该 去 国 外 過 去 の 体 験 我 就 发 现 那 个 在 招 人 招 那 个 就 是 中 国 人 职 员 招 聘 最 后 一 天 如 果 你 愿 意 的 话 请 把 什 么 什 么 什 么 什 么 简 历 寄 到 我 们 这 儿 我 有 一 天 在 干 什 么 他 给 我 打 了 个 电 话 说 你 来 面 试 然 后 我 进 去 了 进 去 了 之 后 然 后 什 么 面 试 啊 笔 试 啊 就 職 過 程 [ 私 はまた 受 験 するつもりだと 言 いましたが 彼 はもう 受 験 しない 方 がいいと 言 い さらには 私 に 国 外 へ 行 くべきだと 言 いました 私 はすぐに ( 職 場 )が 人 を 募 集 していると 知 りました 募 集 の 最 終 日 応 募 するのであれば 履 歴 書 や を 送 って 下 さい(と 書 い てあったので ) ある 日 何 をしていたのかは 覚 えていませんが 職 員 の 方 が 電 話 で 面 接 に 来 て 下 さいと 言 ったんです 私 は ( 職 場 )の 中 へ 入 り 面 接 や 筆 記 試 験 など ] B は A に 対 し 情 報 の 提 供 を 要 求 しているが A は B の 要 求 以 上 に 自 身 の 情 報 を B に 提 供 している 結 果 的 に 一 方 的 な 情 報 提 供 になってしまったことに 関 し て A はフォローアップインタビューで 言 いたいことがたくさんあって 忘 れてしまう 前 に 言 おうと 思 った と 答 えた A は B に 比 べ 人 生 経 験 が 多 く 多 くの 事 を B に 伝 えたいという 思 いから 一 方 的 な 情 報 提 供 となり さらには 会 話 の 主 導 権 を 握 ったのであろう 会 話 2 においても 上 位 者 が 一 方 的 に 情 報 を 提 供 する 場 面 が 見 られた (4) 卒 業 後 についての 話 題 01 C 因 为 我 当 初 也 是 想 过 在 这 边 就 是 念 完 博 士 以 后 当 老 师 然 后 我 想 既 然 要 留 在 这 边 的 话 就 没 有 必 要 念 日 语 了 過 去 の 見 解 [ 当 初 も 日 本 で 博 士 課 程 を 修 了 した 後 は 教 師 になると 思 っていま した そして 日 本 に 残 るのであれば もう 日 本 語 を 専 攻 する 必 要 が ないと 思 っていました ] 02 D 啊 : 也 是 [えぇ そうですね ] 03 C 然 后 我 就 这 么 想 可 没 想 到 现 在 又 不 怎 么 想 念 博 士 了 現 在 の 心 境 [このように 考 えていたんですが 今 は 違 って そんなに 博 士 課 程 に 進 学 したくありません ] 04 D 你 以 后 想 因 为 你 日 语 已 经 学 好 了 然 后 就 想 以 后 留 在 这 边 教 日

142 望 月 雄 介 本 人 的 汉 语? [ 今 後 日 本 語 を 習 得 したので 日 本 に 残 って 日 本 人 に 中 国 語 を 教 えることは 考 えていますか?] 05 C (2.0) 啊 : 教 日 本 人 汉 语 的 话 问 题 是 现 在 教 汉 语 的 很 多 很 多 公 司 不 给 签 证 [あぁ 日 本 人 に 中 国 語 を 教 えるとなれば 今 は 中 国 語 を 教 えている 人 がたくさんいるし 多 くの 会 社 はビザを 与 えないことが 問 題 です ] 06 D 啊 : 对 [あぁ そうですね ] 07 C 然 后 就 想 还 是 回 国 吧 回 国 我 还 是 比 较 喜 欢 做 翻 译 但 是 我 比 较 倾 向 于 做 笔 译 然 后 想 要 不 进 一 个 专 门 的 翻 译 公 司 現 在 の 就 職 に 対 する 考 え [ 考 えたんですが やっぱり 帰 国 することにしました 私 は 通 訳 ではな く やっぱり 翻 訳 が 好 きで 翻 訳 を 専 門 とする 会 社 に 入 社 しようとも 思 いました ] 08 D 啊 : 好 厉 害 [すごいですね!] 09 C 没 有 没 有 没 有 就 是 在 这 边 耗 了 好 久 好 久 浪 费 了 很 多 时 间 [そんなことないです 日 本 で 無 駄 な 時 間 をたくさん 過 ごしてしまいま した ] 10 D 可 是 现 在 都 学 好 了 呀 日 语 也 学 好 了 然 后 又 在 这 边 又 进 修 了 中 文 像 我 们 现 在 还 是 本 科 阶 段 日 语 还 没 学 好 呢 [でも すでに 習 得 したじゃないですか 日 本 語 も 習 得 したし 日 本 で 中 国 語 も 専 攻 しているじゃないですか 私 たちのような 学 部 生 は ま だ 日 本 語 が 習 得 できていないです ] 11 C 感 觉 日 语 的 话 就 是 呆 的 时 间 长 啊 自 然 而 然 的 就 日 本 語 習 得 に 対 する 考 え [ 日 本 語 であれば 日 本 に 長 く 滞 在 すれば 自 然 と 習 得 できると 思 います よ ] ( 中 略 ) 12 C 但 汉 语 也 是 越 学 越 难 的 都 不 简 单 [でも 中 国 語 も 学 べば 学 ぶほど 難 しく 簡 単 ではないです ] 13 D 对 然 后 我 们 上 那 个 有 一 个 课 就 是 跟 日 本 人 学 生 一 起 上 的 就 翻 译 嘛 然 后 经 常 交 流 一 些 自 身 の 体 験 [そうですね 私 たちはあのー その 授 業 は 日 本 人 学 生 と 一 緒 に 受

中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 143 けていて 翻 訳 をしています よく 学 生 間 で 交 流 をします ] この 会 話 においても 上 位 者 C による 一 方 的 情 報 提 供 (01 03 07 11)が 行 われている しかし 例 (3)の 上 位 者 による 自 己 開 示 の 方 法 とは 異 なっている 例 (3)では A が 自 発 的 に 自 己 開 示 を 行 っているのに 対 し C は D のあいづち や 对 好 厉 害 などの 肯 定 的 発 言 (02 06 08 10) 及 び 質 問 による 話 題 の 導 入 (04)に 支 えられて 自 己 開 示 を 行 っている 会 話 1 と 会 話 2 において 一 方 的 に 情 報 を 提 供 する 場 面 は 見 られたが 談 話 の 展 開 上 2 つのタイプが 存 在 することが 分 かった 4.4.3 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 三 牧 (2013)では 女 性 日 本 語 母 語 話 者 上 位 者 の 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 が 特 徴 であると 述 べている 今 回 の 調 査 においても 上 位 者 が 質 問 して 新 たな 話 題 を 提 供 しながら 会 話 の 話 題 を 管 理 する 場 面 が 見 られたが 同 様 に 下 位 者 が 上 位 者 に 対 して 質 問 しながら 話 題 を 提 供 し 上 位 者 に 情 報 提 供 を 促 す 場 面 も 見 られた (5) 同 上 01 C 因 为 我 当 初 也 是 想 过 在 这 边 就 是 念 完 博 士 以 后 当 老 师 然 后 我 想 既 然 要 留 在 这 边 的 话 就 没 有 必 要 念 日 语 了 過 去 の 見 解 02 D 啊 : 也 是 03 C 然 后 我 就 这 么 想 可 没 想 到 现 在 又 不 怎 么 想 念 博 士 了 現 在 の 心 境 04 D 你 以 后 想 因 为 你 日 语 已 经 学 好 了 然 后 就 想 以 后 留 在 这 边 教 日 本 人 的 汉 语? 05 C (2.0) 啊 : 教 日 本 人 汉 语 的 话 问 题 是 现 在 教 汉 语 的 很 多 很 多 公 司 不 给 签 证 06 D 啊 : 对 07 C 然 后 就 想 还 是 回 国 吧 回 国 我 还 是 比 较 喜 欢 做 翻 译 但 是 我 比 较 倾 向 于 做 笔 译 然 后 想 要 不 进 一 个 专 门 的 翻 译 公 司 現 在 の 就 職 に 対 する 考 え 08 D 啊 : 好 厉 害 09 C 没 有 没 有 没 有 就 是 在 这 边 耗 了 好 久 好 久 浪 费 了 很 多 时 间 10 D 可 是 现 在 都 学 好 了 呀 日 语 也 学 好 了 然 后 又 在 这 边 又 进 修 了 中 文 像 我 们 现 在 还 是 本 科 阶 段 日 语 还 没 学 好 呢

144 望 月 雄 介 11 C 感 觉 日 语 的 话 就 是 呆 的 时 间 长 啊 自 然 而 然 的 就 日 本 語 習 得 に 対 する 考 え ( 中 略 ) 12 C 但 汉 语 也 是 越 学 越 难 的 都 不 简 单 13 D 对 然 后 我 们 上 那 个 有 一 个 课 就 是 跟 日 本 人 学 生 一 起 上 的 就 翻 译 嘛 然 后 经 常 交 流 一 些 自 身 の 体 験 この 会 話 は 例 (4)に 示 した 会 話 例 である 上 位 者 C は 一 方 的 に 情 報 を 提 供 しているが このきっかけを 作 ったのは 下 位 者 D である D は 02 06 08 10 で 協 調 的 な 態 度 を 示 し 04 で C に 対 して 質 問 をし 新 たな 話 題 を 提 供 している 結 果 D によって 次 に 展 開 される 話 題 が 定 められ C は D の 質 問 に 沿 って 情 報 を 提 供 している (6) 卒 業 後 についての 話 題 01 B 毕 业 了 以 后 以 后 要 干 吗 呢? [ 卒 業 後 はどうしますか?] 02 A 我 想 当 老 师 就 職 について [ 教 師 になりたいです ] 03 B 在 日 本 当 对 外 汉 语 的 老 师 吗? [ 日 本 で 中 国 語 教 師 になるんですか?] 04 A 也 可 以 或 者 是 回 国 当 对 外 汉 语 的 老 师 也 可 以 我 希 望 在 日 本 能 找 到 一 个 对 外 汉 语 的 老 师 的 工 作 就 職 について [それでもいいですし 中 国 に 戻 って 中 国 語 教 師 になってもいいです でも 日 本 で 中 国 語 教 師 の 仕 事 に 就 きたいです ] 05 B 那 这 样 { 笑 いながら} 那 你 的 老 公 怎 么 办 [そうなると 旦 那 さんはどうなりますか?] 06 A 对 呀 他 : 他 那 个 他 答 应 我 他 说 他 要 来 [そうなんですよ 彼 は(そのことを) 受 け 入 れてくれて こっちに 来 ると 言 っています ] この 会 話 も 例 (5)と 同 様 に 下 位 者 B が 上 位 者 A に 対 して 質 問 をしながら (01 03 05) 話 題 を 提 供 し A は B の 質 問 に 沿 って 自 分 の 情 報 を 提 供 してい る 例 (5)と 例 (6)は 下 位 者 が 上 位 者 に 質 問 して 新 たな 話 題 を 提 供 し 会 話 の 話 題 を 管 理 する 会 話 であるが 例 (7)はこれと 異 なり 上 位 者 が 下 位 者 に 対

中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 について 145 して 質 問 をし 話 題 を 管 理 する 会 話 である (7) 卒 業 後 についての 話 題 01 C 啊 : 那 你 们 现 在 是 在 国 内 就 相 当 于 大 二 大 三 还 是 [あぁ じゃあ 今 は 中 国 でいう 大 学 二 年 生? 三 年 生?それとも ] 02 D 大 二 学 年 [ 大 学 二 年 生 です ] 03 C 大 二 啊 [ 大 学 二 年 生 ですか ] 04 D 但 是 现 在 到 这 儿 来 就 成 了 大 一 了 然 后 学 年 [だけどここに 来 て 大 学 一 年 生 になりました そして ] 05 C 那 那 你 们 是 毕 业 以 后 打 算 去 留 在 北 京 还 是 [じゃあ 卒 業 したらどこかへ 行 くの?それとも 北 京 に 居 るの?] 06 D 嗯 : 我 是 打 算 到 时 候 看 我 觉 得 现 在 本 科 工 作 不 好 找 还 是 得 我 还 是 得 想 考 研 的 事 卒 業 後 の 考 え [うーん その 時 に 考 えるつもりで 今 は 大 学 を 卒 業 しても 仕 事 が 見 つかりにくいと 思 うので 大 学 院 受 験 のことも 考 えないといけない です ] 07 C 啊 : 好 学 校 像 你 们 大 学 也 不 错 好 学 校 也 不 好 找 吗? [えぇ 大 学 のような 良 い 大 学 でも( 仕 事 が) 見 つからないの?] 08 D 但 是 你 知 道 在 北 京 好 学 / 校 又 多 呀 [ 知 っていると 思 いますが 北 京 には 良 い 学 校 がたくさんあるんですよ ] 三 牧 (2013)における 調 査 では 女 性 上 位 者 の 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 という 特 徴 があると 述 べられているが 会 話 1 や 会 話 2 においてもこの 特 徴 は 多 数 見 られた 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 という 特 徴 において 今 回 の 調 査 ではあまり 中 日 の 差 は 見 られなかったが 中 国 語 会 話 において 女 性 下 位 者 の 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 も 多 数 存 在 することが 分 かった また (Ⅳ) 積 極 的 話 題 管 理 という 特 徴 に 関 して 今 回 の 調 査 では 一 つも 見 ら れなかった 5.おわりに 三 牧 (2013)における 女 性 日 本 語 母 語 話 者 の 会 話 では(Ⅰ) 支 配 的 話 題 管 理 や(Ⅱ) 一 方 的 情 報 提 供 といった 会 話 の 主 導 権 において 上 位 者 優 位 のス

146 望 月 雄 介 タイルは 現 れなかったが 女 性 中 国 語 母 語 話 者 の 会 話 では 上 位 者 優 位 の 会 話 スタイルが 現 れたため 女 性 中 国 語 母 語 話 者 と 女 性 日 本 語 母 語 話 者 の 間 では 自 己 開 示 の 方 法 が 異 なると 分 かった そして (Ⅲ) 協 調 的 導 入 質 問 による 話 題 管 理 という 特 徴 においては 三 牧 (2013)の 調 査 と 同 様 に 女 性 中 国 語 母 語 話 者 の 会 話 中 にも 現 れたが (Ⅳ) 積 極 的 話 題 管 理 については 今 回 の 調 査 で 現 れ なかった 会 話 例 は 少 ないが 会 話 1 と 会 話 2 の 全 体 を 通 してみると 上 位 者 が 先 に 自 己 開 示 を 行 い 下 位 者 がその 後 に 自 己 開 示 を 行 うという 場 面 が 多 数 あり 自 己 開 示 において 上 位 者 優 位 の 傾 向 があると 分 かった 本 論 文 では 触 れられなかったが 自 己 開 示 の 内 容 や 上 位 者 と 下 位 者 の 自 己 開 示 のバランス さらに 中 国 語 会 話 における 自 己 開 示 と 会 話 の 主 導 権 との 関 連 性 などの 問 題 については 今 後 の 課 題 とする 注 1 発 話 量 については 文 字 数 を 基 本 単 位 とする 2 話 題 がさらに 階 層 的 な 構 造 を 示 す 場 合 上 位 話 題 を 大 話 題 下 位 話 題 を 小 話 題 と 称 す ( 三 牧 2013:14) 参 考 文 献 岩 田 祐 子 日 英 語 初 対 面 会 話 における 自 己 開 示 の 機 能 津 田 早 苗 村 田 泰 美 大 谷 麻 美 岩 田 祐 子 大 塚 容 子 著 日 英 語 談 話 スタイルの 対 照 研 究 三 十 七 頁 ~ 九 十 一 頁 ひつじ 書 房 2015 年 唐 瑩 初 対 面 の 相 手 に 対 する 自 己 開 示 の 中 日 対 照 研 究 中 日 大 学 ( 院 ) 生 同 士 の 会 話 データをもとに 日 中 言 語 対 照 研 究 論 集 第 17 号 百 七 頁 ~ 百 二 十 二 頁 白 帝 社 2015 年 三 牧 陽 子 ポライトネスの 談 話 分 析 初 対 面 コミュニケーションの 姿 としくみ くろしお 出 版 2013 年