MRO Japanはどのような目的で設立されたのですか米倉 : 機体を一定期間地上に留めて行うベースメンテナンスの分野で ANAグループは長年培ってきた豊富な経験と知識があり 高い整備技術力を持っています その高い整備技術力をこれからもっと大きなマーケットになると考えられるアジアの航空機整備市場で活かし 収益を上げていくことを目的にMRO Japan 株式会社を設立しました 当社は2015 年 9 月に伊丹空港で事業を開始しましたが 沖縄県が那覇空港に建設する航空機整備施設の2017 年度下期 ( 予定 ) の完成を待って 拠点を那覇空港に移すことにしています 那覇空港は航空機整備事業の需要が高まると予測されているアジア各国に近いという地理的なメリットも大きく 那覇空港に整備拠点を持つことは非常に大きなビジネスチャンスを得ることにつながると考え 主基地にすることを決めました MRO 事業のためのインフラが那覇空港に計画されて 米倉隆 MRO Japan 社長 ( 伊丹空港の格納庫前で ) いるということですか米倉 : はい 沖縄県は那覇空港で航空機整備基地など MRO 事業はどのくらいの市場規模があるのですか といわれ 平均して年率 5.3% のペースで成長を続けてい の空港を基盤とする航空周辺産業群の立地 いわゆる航 米倉 : 世界的にみて MRO 事業そのものは新しいビジネス くものと予測されています 2018 年には 1 兆 2,000 億円 空関連整備クラスターの形成を計画しています アジアで ではなく以前からありますが 航空業界で整備業務のア 2028 年には 2 兆円規模に達する見込みです とりわけ の先行事例としてシンガポールが挙げられますが 同地で ウトソーシング化が進み LCC の運航規模が拡大してい 航空需要の伸びが著しいアジアでは 市場規模が年率 は航空機整備を中心にエンジン整備 電子機器類などの くにつれ 航空機整備のマーケットは大きく成長してい 10% のペースで成長し 同じく 2028 年には 7,000 億円 装備品整備 部品加工などの周辺産業群を構築してい ます その中で 機体整備の市場規模は世界で約 1 兆円 になると考えられています 那覇空港の格納庫 ( 完成予想図 ) ます 5 6
那覇空港における本格展開時の整備能力 ( 予定 ) 想定する顧客 海外の MRO 事業会社と比べ近いエリアに位置している 対象 ベースメンテナンス 区分機種 C 整備注 1 重整備注 2 機体塗装 大型機受け入れ可能な全機種 中型機 ボーイング 767 型機 その他の中型機 ANA エアージャパン ANA ウイングス バニラエア Peach 国内 国内パートナー航空会社 国内 LCC 会社 海外 アジア LCC 会社など ため それらの時間やコストを軽減できます 当社の場合は 沖縄の地理的優位性を活かし 国内の航空会社はもちろんのこと 海外のお客様も獲得していきたいと考えています ボーイング 737 型機 が期待できるアジアの LCC にもお客様になっていただけ MRJ の整備も行うのですか 小型機ボンバルディア DHC-8-300 型機ボンバルディア注 3 リージョナル機 DHC-8-400 型機ボンバルディア DHC-8-CRJ 型機 MRO Japanの事業内容を教えていただけますか エアバス A320 型機 エアバス A321 型機 三菱 MRJ 注 1: 定期的に 1 週間程度 機体を地上に留めて行う整備のこと 注 2:C 整備に加えて機体の構造部位や客室の改修を同時に行う整備のこと 注 3: 国内の近距離路線などに用いられる旅客機のこと るように 努力していきます どのようにして国内の航空会社にお客様になっていた だくのですか 米倉 : 国内で運航している航空会社は MRO 事業を営む 他の会社に航空機整備を委託しており その多くはアジアにあります 私たちが想定する顧客と同じ層をターゲットにしている競合他社は シンガポール 中国 台湾 フィリピンなどに複数社あります 整備技術力は 他のMRO 事業会社には負けない自信がありますので 顧客となる航空会社の皆様にも その品 米倉 : 当社はMRJの製造とアフターサービスを担う三菱重工業からの出資を受けることもあり 同機のベースメンテナンスを行う能力を保有します また 不具合が発生して運航できなくなった場合は 当社の整備士が現地に赴き不具合箇所の修復を行い 早期に機体の運航が再開できるようにする役割を担うことも計画しています MRJはYS-11 型機以来半世紀ぶりに誕生する 国家プロジェクトに匹敵する国産航空機ですので その運航を 整備面からしっかりとサポートしていきます 事業戦略を語る米倉社長 能力を磨き コスト面でも筋肉質になるように生産性を高め 体力を蓄えていきます 現在 134 人の体制で事業をスタートしていますが 那覇では将来 300 人規模のスタッフになる見込みです 当社は沖縄県で毎年 10 20 名程度の人材を採用していく考えです 2016 年度か 質の高さを実感していただけると思います また 航空 ら新入社員の採用を予定しており 沖縄県の雇用創出に 米倉 : アジアでは小型機 リージョナル機が大幅に増え 機整備委託を前提としている国内の航空会社は整備のた も貢献していきたいと考えています ていくと予測されていますので それらの航空機整備を めにアジアの MRO 事業会社に航空機を運ぶ必要があり 着実に一歩一歩 成功を重ねながら そして世界に挑み 行うことが一つ それにハイレベルな技術を持つ機体塗 それに要する往復の時間 運ぶための燃料費などのコスト 羽ばたいていくという大きな目標を達成したいですね 装を手掛けていきます 現在 伊丹空港では小型機とリージョナル機のC 整備と重整備 機体塗装を行っていますが 那覇空港での本格展開時には 中型機のC 整備と重整備にも広げます は無視できません その点 那覇空港はライバルとなる 三菱 M R J( イメージ ) この事業に携わっていく抱負をお聞かせください 会社概要 商号 MRO Japan 株式会社 事業内容 航空機整備事業 機体塗装については 専用の格納庫で大型機からリージョ 米倉 : 日本で中型機を含めた航空機整備事業のビジネス 本店沖縄県那覇市 ナル機まで幅広い機種を対象に事業を行っていきます どのようなユーザーをお考えですか米倉 : 当面はANAグループの航空各社をはじめ ANA ホールディングスが出資している国内パートナー航空会社を考えていますが 将来は国内だけでなく大きな伸び 伊丹空港での C 整備作業風景 を立ち上げるのは 私たちが初めてであり チャレンジャブルな仕事であると思っています そして成功するためには 過去からの延長線上で物事を考えるのではなく 新しい風を入れて 新しい発想で 事業を進めていく必要があります そのためにも 那覇空港での本格展開までに さらに 資本金 株主構成 10 億円 ANA ホールディングス 45% ジャムコ 25% 三菱重工業 20% 沖縄金融公庫 2% 琉球銀行 2% 沖縄銀行 2% 沖縄海邦銀行 2% 沖縄電力 2% 資本金と株主構成については 那覇空港での事業開始時に予定しているものです それまでの資本金は 1,000 万円で ANA ホールディングスの 100% 出資会社です 7 8