三世代で暮らしている人の地域 親子関係 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室的場康子 < 減り続ける > 戦後 高度経済成長を迎えた我が国においては 産業構造の変化により都市化 工業化が進む中で 多くの人が地方から都市に移動し核家族化が進んだ 低成長経済に移行した後

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調査実施の背景 2015 年 4 月から子ども 子育て支援新制度 以下 新制度 が施行され 保育事業の拡大が図られます そのため保育人材の確保が重要な課題となっており 保育士確保のための取組が強化されています しかし保育士のみでは必要量を満たせないことから 子育て分野で働くことに関心のある地域住民に

調査実施の背景 わが国では今 女性活躍を推進し 誰もが仕事に対する意欲と能力を高めつつワークライフバランスのとれた働き方を実現するため 長時間労働を是正し 労働時間の上限規制や年次有給休暇の取得促進策など労働時間制度の改革が行なわれています 年次有給休暇の取得率 ( 付与日数に占める取得日数の割合

調査の概要 少子高齢化が進む中 わが国経済の持続的発展のために今 国をあげて女性の活躍推進の取組が行なわれています このまま女性正社員の継続就業が進むと 今後 男性同様 女性も長年勤めた会社で定年を迎える人が増えることが見込まれます 現状では 60 代前半の離職者のうち 定年 を理由として離職する男

調査実施の背景 わが国は今 人口構造の変化に伴う労働力の減少を補うため 女性の活躍を推進し経済成長を目指しています しかし 出産後も働き続ける女性は未だ多くないばかりでなく 職場において指導的な立場に就く女性も少ない状況が続いています 女性の活躍を促進させるためには 継続就業のための両立支援策ととも

調査実施の背景 近年 ライフスタイルの多様化が著しく進んでいます 生涯未婚率が上昇し 単身世帯 一人親世帯も増加するなど 世帯構成が大きく変化しました また 25 歳から 39 歳の就業率が上昇し 共働き世帯も増加しました においては 管理職の積極的な登用が推進される一方で非正規社員の占める割合は高

調査の背景 埼玉県では平成 29 年度から不妊に関する総合的な支援施策として ウェルカムベイビープロジェクト を開始しました 当プロジェクトの一環として 若い世代からの妊娠 出産 不妊に関する正しい知識の普及啓発のため 願うときに こうのとり は来ますか? を作成し 県内高校 2 年生 3 年生全員

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 経済状況に関する事項

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参考 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに 家

平成24年度 団塊の世代の意識に関する調査 日常生活に関する事項

調査の実施背景 介護保険制度が 2000 年に創設されてから 10 年余りが過ぎました 同制度は 家族介護をあてにせずに在宅介護ができる支援体制を整えることを目的として発足されたものですが 実際には 介護の担い手としての家族の負担 ( 経済的 身体的 精神的負担 ) は小さくありません 今後 ますま

参考 1 男女の能力発揮とライフプランに対する意識に関する調査 について 1. 調査の目的これから結婚 子育てといったライフ イベントを経験する層及び現在経験している層として 若年 ~ 中年層を対象に それまでの就業状況や就業経験などが能力発揮やライフプランに関する意識に与える影響を把握するとともに

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「学び直し」のための教育訓練給付制度の活用状況|第一生命経済研究所|的場康子

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( 2 ) % % % % % % % % 100% 20 90% 80% 70% 60%

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調査の背景 わが国は今 女性の活躍推進を掲げ 結婚や出産をしても働き続けることを後押しする社会を目指しています しかしながら 出産後も働き続ける女性は未だ半数にとどまっているばかりでなく 職場において指導的な立場に就く女性も多くありません こうした中 北海道においても地域や職場 家庭などのさまざまな

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親およびその子どものうち小学 4 年生 ~ 中学 3 年生までの子 該当子が複数いる場合は最年長子のみ 2. サンプル数父親 母親 1,078 組子ども 567 名 3. 有効回収数 ( 率 ) 父親 927

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第 1 子出産前後の女性の継続就業率 及び出産 育児と女性の就業状況について 平成 30 年 11 月 内閣府男女共同参画局

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仕事と生活の調和 ( ワーク ライフ バランス ) に関する意識調査について Ⅰ. 調査目的 本調査は 仕事と生活の調和 ( ワーク ライフ バランス ) の現状及び仕事と生活の調和の実現を推進するための新たな国民運動である カエル! ジャパンキャンペーン に関して 国民の意識やニーズを把握し 今後

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調査レポート

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中小企業のための「育休復帰支援プラン」策定マニュアル

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相対的貧困率の動向: 2006, 2009, 2012年

調査実施の背景 今日 様々な調査において 仕事上重要な能力の1つとして コミュニケーション能力 が上位にあげられています しかし 一言でコミュニケーション能力といっても 企業で求められるそれは多岐にわたり 具体的にどのような能力がどのような人で重要ととらえられ 各人においてそれぞれのコミュニケーショ

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男女共同参画に関する意識調査

3 調査項目一覧 分類問調査項目 属性 1 男女平等意識 F 基本属性 ( 性別 年齢 雇用形態 未既婚 配偶者の雇用形態 家族構成 居住地 ) 12 年調査 比較分析 17 年調査 22 年調査 (1) 男女の平等感 (2) 男女平等になるために重要なこと (3) 男女の役割分担意

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国の中学 3 年生までの子どもをもつ父親 母親およびその子どものうち小学 4 年生 ~ 中学 3 年生までの子 該当子が複数いる場合は最年長子のみ 2. サンプル数父親 母親 1,078 組子ども 567 名 3. 有効回収数 ( 率 ) 父親 927

平成29年高齢者の健康に関する調査(概要版)

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

第 1 章アンケートの概要 1-1 調査の目的 1-2 対象者 1-3 調査方法 1-4 実施期間 1-5 調査結果サンプル数 第 2 章アンケート調査結果 2-1 回答者自身について (1) 問 2: 年齢 (2) 問 5: 同居している家族 2-2 結婚について (1) 問

平成25年度 高齢期に向けた「備え」に関する意識調査結果(概要版)2

調査の実施背景 近年の消費スタイルは 長引く不況下での節約志向の定着の中で 環境問題や節電が 心がけられたり 東日本大震災の復興支援を目的とした応援消費 支援消費が意識され るなど 単に 安くていいもの を基準としたコストパフォーマンスだけでは説明でき なくなってきています こうした動きの中で 消費

第2章 調査結果の概要 3 食生活

問 3 あなたの家族構成は ひとり暮らし世帯 7.5% 夫婦のみの世帯 29.3% 2 世代同居世帯 48.3% 3 世代同居世帯 13.3% 1.0% 0.6% 家族構成は 2 世代同居世帯 が 48.3% と最も比率が高く 以下 夫婦のみの世帯

( ウ ) 年齢別 年齢が高くなるほど 十分に反映されている まあまあ反映されている の割合が高くなる傾向があり 2 0 歳代 では 十分に反映されている まあまあ反映されている の合計が17.3% ですが 70 歳以上 では40.6% となっています

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国に居住する 20 歳から 59 歳の会社員の男女 2. サンプル数 700 名 3. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 4. 調査方法質問紙郵送調査法 5. 実施時期 2007 年 2 月 6. 有効回収数 ( 率 ) 601 名

平成28年 高齢者の経済・生活環境に関する調査結果(概要版)2/4

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調査実施の背景 第一生命経済研究所は 生活者の意識や行動の現状と変化をとらえるため 1995 年より 今後の生活に関するアンケート を実施し ライフデザイン白書 を出版してまいりました 第 8 回目となる ライフデザイン白書 2015 ( ) では 家族 地域 消費 就労 健康 介護 人生設計 とい

2. 調査結果 1. 回答者属性について ( 全体 )(n=690) (1) 回答者の性別 (n=690) 回答数 713 のうち 調査に協力すると回答した回答者数は 690 名 これを性別にみると となった 回答者の性別比率 (2) 回答者の年齢層 (n=6

第 5 章管理職における男女部下育成の違い - 管理職へのアンケート調査及び若手男女社員へのアンケート調査より - 管理職へのインタビュー調査 ( 第 4 章 ) では 管理職は 仕事 目標の与え方について基本は男女同じだとしながらも 仕事に関わる外的環境 ( 深夜残業 業界特性 結婚 出産 ) 若

1 調査目的 今年度策定する 津山市総合戦略 で 子どもを産み 育てやすい環境づくりに 向けた取組みを進めるにあたり 出産 子育ての現状を把握するために実施した 2 調査内容の背景と設問設定理由国では 出生率を 2.07 まで高めることで 2060 年に現状の社会構造を維持できる人口 1 億人程度を

2

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人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

平成26年度「結婚・家族形成に関する意識調査」報告書(全体版)

男女共同参画に関する意識調査

調査の実施背景 戦後 日本の平均寿命は飛躍的に延び 平成 年 7 月に厚生労働省が発表した 平成 年簡易生命表 によると 65 歳の平均余命は 男性は 8.86 歳 女性は.89 歳となっています 約 0 年あるセカンドライフをより有意義に 楽しく暮らすためには人生設計や事前の準備が必要なのではない

第4章妊娠期から育児期の父親の子育て 45

調査実施の背景 2015 年 1 月からの相続税における基礎控除の引き下げを前に 孫等への教育資金一括贈与の非課税制度に対する社会的反響が続いています 一般社団法人信託協会のとりまとめによれば この制度に基づく教育資金贈与信託の受託契約件数は取り扱い開始以降増加を続け 2014 年 9 月現在で 8

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出産・育児調査2018~妊娠・出産・育児の各期において、女性の満足度に影響する意識や行動は異なる。多くは子どもの人数によっても違い、各期で周囲がとるべき行動は変わっていく~

PowerPoint プレゼンテーション

(市・町)        調査

結婚しない理由は 結婚したいが相手がいない 経済的に十分な生活ができるか不安なため 未婚のに結婚しない理由について聞いたところ 結婚したいが相手がいない (39.7%) で最も高く 経済的に十分な生活ができるか不安なため (2.4%) 自分ひとりの時間が取れなくなるため (22.%) うまく付き合え

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3. 民泊の利用経験 SQ1: あなたは 民泊 を利用したことがありますか ( いくつでも ) 回答者属性 不在民不在民利用し不在民不在民利用し H 民泊 - H 民泊 - H 民泊 - H 民泊 - 泊 - 国泊 - 海たこと泊 - 国泊 - 海たこと国内海外国内海外内外はない内外はない 100.

第 1 章調査の実施概要 1. 調査の目的 子ども 子育て支援事業計画策定に向けて 仕事と家庭の両立支援 に関し 民間事業者に対する意識啓発を含め 具体的施策の検討に資することを目的に 市内の事業所を対象とするアンケート調査を実施しました 2. 調査の方法 千歳商工会議所の協力を得て 4 月 21

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スライド 1

第1回「離婚したくなる亭主の仕事」調査

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

アンケート調査の実施概要 1. 調査地域と対象全国に居住する 30~60 代の既婚男女 2. サンプル数 800 名 3. サンプル抽出方法第一生命経済研究所生活調査モニター 4. 調査方法質問紙郵送調査法 5. 実施時期 2006 年 1 月 6. 有効回収数 ( 率 ) 769 名 (96.1%

基本情報調査 性別 年齢 合計 合計男性女性その他不明 18~19 歳 20~29 歳 30~39 歳 40~49 歳 50~59 歳 60~64 歳 65~69 歳 70 歳以上不明 性別 男性女性その他不明 合計

ポイント

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15 第1章妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因

調査の背景と目的 健康長寿社会の実現がわが国の重要課題となる中 企業が人々の健康づくりに取り組むことを促す動きが広がっています また 健康経営 という観点から 企業が従業員の健康づくりに取り組んだり それを推進したりする動きもあります こうした動きと並行して 従業員の健康づくりへの取り組み状況等に関

人生100年時代の生活に関する意識と実態

コメコメ人生設計 アンケート結果

長く働き続けるための「学び直し」の実態と意識

3 地域コミュニティ活動について 地域コミュニティ活動 への参加について よく参加している 時々参加している とい う回答は 55.4% となりました また 参加したことはない と回答された方以外を対象に 地域コミュニティ団体の課題と 思うもの を尋ねたところ 回答が多かったものは 以下のとおりです

調査の概要 1 調査目的 人口減少社会に関する意識の傾向を分析するため 全世代を対象に 子育てや親世代と の同居 近所づきあいや移住に関する意識調査を実施した 2 調査方法 アンケート調査をエム アール アイリサーチアソシエイツ株式会社に委託し インタ ーネットモニター会社に登録しているモニターに対

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第 1 章調査の概要 1 調査の目的 県民の結婚や子どもを持つこと 子育てに関する意識や現状を把握し 奈良県において子どもを 生み育てやすい環境づくりを進める取組を検討するための基礎資料を得ることを目的に実施した 2 調査の実施概要 (1) 調査対象 夫婦調査 : 平成 30 年 9 月 1 日現在

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2015年 「働き方や仕事と育児の両立」に関する意識(働き方と企業福祉に関する

子供・若者の意識に関する調査(平成28年度)

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第 3 章各調査の結果 35

中国帰国者以外 フィリピン アジア諸国 中米南米諸国 欧米系諸国 全体 就業の状態 (1) 現在の職業表 -2.5 は 国籍グループ別に有業者の現在の職業をみたものである

続・女性のライフコースの理想と現実-人気の「両立コース」の実現には本人の資質より周囲の影響が大

Transcription:

2016 年 2 月 23 日 三世代で暮らしている人の地域 親子関係 第一生命保険株式会社 社長渡邉光一郎 のシンクタンク 株式会社第一生命経済研究所 社長矢島良司 では 政府が 一億総活躍社会 実現のために 環境を整備すべき事項の一つに挙げているに注目し 全国を対象とした独自のアンケート調査を基に レポートを執筆しましたのでご紹介します なお本レポートは 当研究所ホームページにも掲載しています URL http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/pdf/ldi/2015/fc1602.pdf 目次 減り続ける P.1 年代別にみた世帯構造の構成割合 P.2 の方が正規で働くが多い P.3 の方が近所の人と 親しくつきあっている 人の割合が高い P.3 の方が 現在住んでいる地域に愛着がある と思っている人が多い P.4 の方が子どもと学校や進路のことを話している人が多い P.4 のの約 5 人に1 人が現在介護している P.6 のには家族介護に対する困惑がある P.6 の介護負担に対する支援の必要性 P.7 < お問い合わせ先 > 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室広報担当 津田 新井 TEL.03-5221-4771 FAX.03-3212-4470 URL http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/index.html

2016.2.22 三世代で暮らしている人の地域 親子関係 第一生命経済研究所ライフデザイン研究本部研究開発室的場康子 < 減り続ける > 戦後 高度経済成長を迎えた我が国においては 産業構造の変化により都市化 工業化が進む中で 多くの人が地方から都市に移動し核家族化が進んだ 低成長経済に移行した後は 高齢化の進展 非婚者の増加等によって 現在まで単独世帯 夫婦のみ世帯が増え続けている これらの間 親と子ども家族が同居するは一貫して減少している 図表 1 図表 1 世帯構造別にみた世帯数の構成割合の年次推移 1986 年 18.2 14.4 41.4 5.1 15.3 5.7 1995 年 22.6 18.4 35.3 5.2 12.5 6.1 2004 年 23.4 21.9 32.7 6.0 9.7 6.3 2010 年 25.5 22.6 30.7 6.5 7.9 6.8 2014 年 27.1 23.3 28.8 7.1 6.9 6.8 単独世帯 夫婦のみの世帯 夫婦と未婚の子のみの世帯 ひとり親と未婚の子のみの世帯 その他の世帯 資料 : 厚生労働省 平成 25 年国民生活基礎調査の概況 2014 年 7 月より筆者作成 の減少など世帯構造の変化は これまでのように家族や地域で助け合って家事 育児 介護などをおこなう社会から 子育てや介護を外部化して社会的に支える社会への変化を余儀なくし 子ども 子育て支援制度や介護保険制度など 社会保障制度の改革が求められるようになった こうした中 少子高齢化に直面したわが国の経済の活性化のために一億総活躍国民 1

会議が11 月 26 日に発表した 一億総活躍社会の実現に向けて緊急に実施すべき対策 では に注目し 子育てを家族で支え合える三世代同居 近居がしやすい環境づくり を進め 三世代の 同居 や 近居 の環境を整備するため 三世代同居に向けた住居建設 UR 賃貸住宅を活用した親子の近居等を支援する ことを打ち出した 子育て世代からみて親と子の三世代で支えあって暮らす家族のあり方に改めて注目し このような暮らし方を希望する人々を後押ししようとしている こうした背景から本稿では 当研究所が ライフデザイン白書 2015 年 を発行するために実施したアンケート調査をもとに 近所付き合いや子育て 介護等に関する意識や実態についてととの比較をおこない 子育て世代から見てにどのような特徴や利点があるのかを考える < 年代別にみた世帯構造の構成割合 > まず 本調査における性 年代別の世帯構造の分布を示す 図表 2 本稿で注目する世帯は 本人が父母 以下同様 すなわち子育て世代 回答者本人 が自分たち夫婦の親及び子どもと同居している世帯である その比較対象として 本人が親 以下同様 すなわち子育て世代 回答者本人 と子どもから成る世帯をみる 図表 2によると はでは5.7% である 図表 1よりも割合が低いのは 子どもの祖父母が回答者のが含まれていないためであると思われる 年代別にみると 40 代と50 代での割合が9% 台であり 他の年代よりも高い 回答者 人 図表 2 世帯構造別みた世帯数の構成割合 年代別 単身世帯 夫婦だけ世帯 本人が親 本人が子 本人が父母 単位 :% その他 7,256 14.2 20.3 33.4 21.5 5.7 4.9 18~19 歳 216 19.3 0.0 0.9 65.1 2.4 12.3 20 代 1,169 22.7 5.1 13.2 45.7 1.5 11.8 30 代 1,536 13.9 13.6 41.0 22.5 4.7 4.3 40 代 1,423 11.0 14.7 46.6 16.6 9.2 1.8 50 代 1,377 11.8 22.3 39.5 14.5 9.4 2.6 60 代 1,535 12.2 44.7 28.3 6.8 3.7 4.3 注 : 本人が親 は回答者本人夫婦と子どもから成る世帯 本人が子 は回答者本人と回 答者本人の親から成る世帯 本人が父母 は回答者本人夫婦と回答者本人夫婦の親と回答者本人 夫婦の子どもから成る世帯である 資料 : 第一生命経済研究所 今後の生活に関するアンケート調査 2015 年 1 月調査 対象は全国の 18~69 歳の男女 サンプル数 7,256 人 調査方法はインターネット調査 3

< の方が正規で働くが多い> 就労状況についてととを比較すると のは 無職 専業主婦を含む が 58.9% であるのに対して のは42.1% と のの方が働いている人が多い 図表 3 のの方が子育てをしながら働いている人が多いことが示された しかも のは 正社員 正職員 が 9.0% であるのに対して のは 正社員 正職員 が 21.4% であり 正規で働いている人の割合が高い 図表 3 就労状況 世帯構造 性別 単位 :% 経営者 役員 正社員 正職員 契約社員 嘱託社員 派遣社員 パート アルバイト 学生を除く 自営業 家族従業者含む 自由業 農林漁業 学生 その他 無職 専業主婦等を含む 5.8 67.7 5.5 2.1 10.5 0.6 7.8 0.7 9.0 3.0 23.5 3.7 1.2 58.9 6.8 59.3 7.1 2.5 15.9 0.9 7.5 2.2 21.4 3.6 23.4 5.7 1.7 42.1 注 : は 回答者本人夫婦と子どもから成る世帯であり は回答者本人夫婦と回答者本人夫婦の 親と回答者本人夫婦の子どもから成る世帯である 以下図表 4~9 も同じ < の方が近所の人と 親しくつきあっている 人の割合が高い> 地域社会における人々のつながりの希薄化が指摘されている中 どの程度の近所付き合いをしているかをみる とで暮らしている人とを比較すると 親しくつきあっている の回答割合はが14.1% が20.9% であり の方が高い 図表 4 図表 4 あなたは ふだん 近所の人とどの程度のつきあいをしていますか 世帯構造別 12.3 69.8 17.9 14.1 77.5 8.3 20.9 70.8 8.3 親しくつきあっているあいさつをする程度つきあいはほとんどしていない 4

図表 3をみると 三世代で暮らしている人の方が 自営業 家族従事者含む 自由業 農林漁業 で働いている人が多い こうした地域に根ざした働き方をしている人が多いことも で親しく近所付き合いをしている人が多いことに関連があると思われる < の方が 現在住んでいる地域に愛着がある と思っている人が多い> 現在住んでいる地域に愛着があるかをたずねた結果をみると の方が A: 現在住んでいる地域に愛着がある に近い意見を持っている人 Aに近い と どちらかといえばAに近い の合計 が多い 図表 5 図表は省略するが 親しく近所つきあいをしている人ほど 住んでいる地域に愛着があると思っている人が多い傾向がみられ の方が 地域コミュニティに根ざして暮らしている人が多いことがうかがえる 図表 5 現在住んでいる地域に愛着があるか 世帯構造別 A: 現在住んでいる地域に愛着がある B: 現在住んでいる地域に特に愛着はない 23.4 49.2 18.3 9.2 22.7 51.3 18.3 7.7 28.2 51.4 14.1 6.3 A に近いどちらかといえば A に近いどちらかといえば B に近い B に近い < の方が子どもと学校や進路のことを話している人が多い> 次に 三世代で暮らす子育て世代の子どもとのコミュニケーションについてみる まず 子どもと学校のことについて話す に あてはまる と回答した人はで28.9% に対してでは35.5% である 図表 6 の方が子どもと学校のことについて話しているという人が多い それぞれの世帯構造について性別でみると の男女ともにを上回っており のは約 4 人に1 人が は約半数が あてはまる と回答している また 子どもと子どもの将来や進路のことについて話す についても同様であり よりもの方が あてはまる と回答した人の割合が高い 図表 7 5

図表 6 子どもと学校のことについて話す 世帯構造 性別 29.3 34.3 18.7 4.8 12.9 28.9 35.0 19.3 4.3 12.5 17.4 40.2 25.0 6.4 11.0 40.3 30.0 13.6 2.2 13.9 35.5 34.2 16.1 7.1 7.1 25.4 38.2 19.4 11.9 5.1 47.0 29.5 12.4 1.7 9.4 あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえない どちらかといえばあてはまらない あてはまらない 図表 7 子どもと子どもの将来や進路のことについて話す 世帯構造 性別 18.5 30.1 26.7 9.2 15.5 17.8 30.4 27.0 8.9 15.9 11.4 30.3 32.7 11.3 14.3 24.1 30.6 21.4 6.5 17.5 25.5 30.2 26.4 11.3 6.6 19.5 35.4 29.9 10.1 5.0 32.2 24.2 22.5 12.7 8.3 あてはまる どちらかといえばあてはまる どちらともいえない どちらかといえばあてはまらない あてはまらない 6

こうしたことから 三世代で暮らしている人は 地域での近所付き合いと同様 子どもとのコミュニケーションも相対的に活発であることがうかがえる それは一つには 子育て中の人々にとって親と同居することにより時間的余裕がうまれ 子どもと向き合う時間が取れるということもあるのではないかと考えられる < のの約 5 人に1 人が現在介護している> 介護経験についてたずねた結果をみると 現在介護している の回答割合が の4.0% に比べ が17.1% と大きく上回っている 図表 8 男女別でみても 男女ともによりもの方が 現在介護している 人の割合が高い では22.3% と 約 5 人に1 人が現在介護をしていると答えている 三世代で同居して住むことで 家族の介護をおこなっている人が少なからずいることがうかがえる 図表 8 家族を介護した経験 世帯構造 性別 5.8 15.7 78.5 4.0 14.7 81.3 2.9 11.7 85.4 4.9 17.3 77.8 17.1 12.8 70.1 12.4 10.7 76.9 22.3 15.2 62.5 現在介護している 現在は介護していないが 以前に介護したことがある 介護したことはない < のには家族介護に対する困惑がある> 家族を介護したことがある人 図表 8の 現在介護している と 現在は介護していないが 以前に介護したことがある の合計 に 介護をする した 際に どのようなことで困っているか 困ったか をたずねた結果が図表 9である 特にない 7

8 の回答割合がは 19.1% であるのに対し は 22.2% である の方が 困ったことがないとしている人がやや多い 内容をみると いずれも 先の見通しが立たなかった 立たない が最も高くなっているが それ以外については の場合 家事や子育てに支障が生じた 生じている 24.4% 介護するために要介護者宅に通うのが大変だった 大変である 19.2% の回答が多い 特に のの約 3 割が介護で 家事や子育てに支障が生じた と感じている 一方 では 本人が介護サービスを受けることを嫌がった 自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった の回答が高く では 3 割近くに及んでいる の場合 要介護者本人の意思や家族の状況により家族介護をしているものの それに対し介護者の困惑があることが見て取れる結果となっている 図表 9 介護時に困ったこと 世帯構造 性別 < 複数回答 > 単位 :% < の介護負担に対する支援の必要性 > 以上 自分と子とのと 親と子ので暮らしている人の比較を行いながら 地域とのつながりや子どもとのコミュニケーション 介護の実態についてみてきた に比べては 自営業など地域に根ざした仕事をしている人が多いこともあり 地域コミュニティとのつながりを意識している人が多い また 子どもとのコミュニケーションにおいても の方が子どもと学校や将来のことについて話している人が多い 特にの場合 の方が多く働いており しかも正社員として働いている人の割合が高いが 子どもとコミュニケーションをよくしている人も多い 共働きをしているにとって 三世代での暮らし先の見通しが立たなかった 立たない 自分以外に家族や親戚で介護できる人がいなかった いない 本人が望む介護の方法がわからなかった わからない 本人が介護サービスを受けることを嫌がった 嫌がっている 働き方 勤務時間 形態 仕事の内容など を変えざるを得なかった介護施設への入所を申し込んでもなかなか入所できなかった できない 介護するために要介護者宅に通うのが大変だった 大変である 家事や子育てに支障が生じた 生じている 特にない 26.1 17.7 17.3 16.9 14.7 14.0 13.8 13.1 22.5 25.4 17.3 17.1 15.4 13.3 15.2 19.2 24.4 19.1 23.0 8.7 13.6 14.0 12.9 13.0 12.6 15.0 23.7 26.7 22.1 19.1 16.2 13.5 16.5 22.9 29.7 16.6 25.1 21.8 14.7 26.2 17.2 10.6 7.1 15.7 22.2 26.1 10.3 4.2 22.0 8.6 11.8 5.3 9.5 32.6 24.4 29.8 22.0 29.1 23.2 9.7 8.4 20.0 14.9

は良好な親子関係を築くことにも寄与していることがうかがえる また 親 夫婦のどちらかの母親 との同居 近居 別居別に完結出生児数 結婚持続期間 15~19 年の夫婦の平均出生児数 をみると 同居が2.09 人 近居 同じ市区町村内で別居している場合 が1.99 人 別居が1.84 人である 国立社会保障 人口問題研究所 平成 22 年第 14 回出生動向基本調査 結婚と出産に関する全国調査 第 1 報告書 親 夫婦のどちらかの母親 と同居している夫婦は近居や別居に比べて子ども数が多いという傾向がみられる こうしたことから同居という暮らし方は出生率にもプラスの影響を与える可能性があるとされている 他方 介護の実態をみると で現在介護をしている人が多い 介護が必要なために三世代で暮らしている人が多いということもいえるかもしれない これから急増する要介護者の増加に対応するためには 介護施設の増設とともに を増やすことも一方策になるという考え方もあろう ただ その前提として 家族のみに過重な介護の負担がかからないように行政や地域による家族介護への支援を強化することが必要である 子育て世代からみて三世代で暮らすということは 近所付き合いや子どもとのコミュニケーションなどの面では利点があるが 介護が必要になると家族に負担がかかるという側面もある の推進をおこなうのであれば 在宅介護を支援する施策の充実を図り 家族介護を社会的に支える体制を整えることが不可欠である まとばやすこ上席主任研究員 9