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冷媒回収処理フロン大気排出削減ガイド フロン排出ゼロ化に向けて 本ガイドは 現在 フロン回収処理に直接携わっておられる またはその予定のある実務担当者並びに管理監督に当たられる方々を対象としています フロンの回収作業から充てんした容器を最終処理施設に持ち込むまでの大気排出事例のうち重要事項を16 項目にまとめてあり 関係の方々に実用的なガイドとして周知頂くための教材です 冷凍空調機器の整備時 廃棄 移設等の際 フロン回収から 保管 ( 貯蔵 ) 移動に至るまで フロン回収の実効を妨げている要因には 以下のような要因があると考えられます 十分な知識 技術力と適正な管理により 排出のポテンシャルを減らし 漏らさず 逃がさず フロン排出ゼロ化に向け率先して実践頂くことが 社会的に求められています 本ガイドはその趣旨から 冷媒回収処理技術 のサブテキストとして業務にご活用下さい <フロン回収の実効を妨げている要因 > ⑴ 法の遵守に対する意識の不足 ⑵ 知識 技術力不足 経験の不足 ⑶ 事前準備の不足 ⑷ 実封入量が不明確 ⑸ 不適切な機器 工具の使用 ⑹ 回収作業に十分な時間を確保できない ⑺ 不可抗力で漏えい ⑻ フロンが目に見えない ( 漏えいしても気づかない ) * 本ガイドでは どの作業段階で必要な対策なのか どの段階での漏えいを防止するのか をわかりやすく表すために 4つのマークを各事例に付加しました マークの分類とその解説は次のとおりです マークの分類と解説 フロン回収の事前準備 現場での漏えいを防止する対策 冷凍空調機器内の残存フロンをできるだけ少なくして ( 1 台あたりからの回収量を増やし て ) 整備時や最終的な機器分解時のフロンの大量漏えいを防止する対策 フロンの漏えいとともに 重大事故につながる危険性の高いもの 違法行為 法律違反となるもの ( このマークがない事例でも 違法行為 法律違反となる場合があります )

No 排出の事例マーク ページ番号 A フロンを不法に大気排出 2 B-1 回収装置停止後 一定時間放置すると基準圧力以上に上昇する 3 B B-2 回収装置の保護回路が作動し 正常に回収できない 4 不十分な回収 B-3 配管 機器類のフロン閉じ込め 4 B-4 チャージホース内のフロン排出 4 B-5 回収装置 ホース 接続配管内フロンの 未回収 5 C-1 フレアジョイント部 5 C-2 ホース接続部 6 C-3 容器バルブ 6 C-4 チャージホース 6 C リーク C-5 回収装置安全弁よりフロン排出 7 C-6 回収作業中に容器溶栓 ( 安全弁 ) よりフロン排出 7 C-7 容器の腐食によりフロン排出 8 C-8 運搬中容器よりフロン排出 8 C-9 低圧ドラム缶よりフロン排出 8 D 容器破裂によりフロン全量排出 9

A. フロンを不法に大気排出 1. 回収機器 容器バルブ開放 冷媒配管の切断等により故意に大気へ排出 ( 液冷媒は徐々に自然放出される ) 1.1 フロン回収 破壊法の遵守 フロン類のみだり排出の禁止 ( 第 38 条 * ) 警 告 違反した場合 1 年以下の懲役または 50 万円以下の罰金に処せられます 容器バルブの開放 日陰に保管 冷媒配管の切断 2 知識 技量不足によりフロンを大量に排出 ( 例 ) (1) 夏場炎天下に充てん容器を放置して溶栓 ( 安全弁 ) から回収フロンを全量大気排出 (C-6 参照 ) (2) 凍傷 酸欠等の労働災害の危険 2.1 RRC 登録冷媒回収技術者 冷凍空気調和機器施工技能士 冷凍機械製造保安責任者など知見を有する者が自ら行う またはその立会いの下に作業する ( 第 20 条 省令第 6 条 * ) 容器の溶栓からの吹き出し * フロン回収 破壊法

B. 不十分な回収 B-1 回収装置停止後 一定時間 ( 約 1 時間 ) 放置すると基準圧力以上に上昇する 回収率 ( 回収量 / 実充てん量 ) が低い 1. ガス回収運転により機器内で低温凝縮液化が発生 重 要 冷凍空調機器内の受液器 サブタンクなどに溜まっているフロンの低温凝縮を避けるため 事前の暖機運転 ポンプダウンを行います 霜付き 1.1 回収終了前には 必ず一定時間放置し 吸入側圧力が基準内に入っていることを確認する 1.2 冷媒回路内の閉鎖弁 電磁弁の全開を確認する 1.3 吸入側圧力を確認しながら放置 自然蒸発 回収運転 放置 回収運転を繰り返し行う 可能であれば機器を温水で 40 程度まで加温する 1.4 機器廃棄の場合 受液器やサブタンクなどの下部銅管にピアシングツールを複数使用し ヘッダーを使用して直接液回収する アキュムレータの冷え込みによる霜付き 2. 潤滑油中に多量のフロンの溶け込みがあり 回収装置の運転開始と同時に油温が更に低下 油中フロンが回収不能 注 意 外気温の影響で油温が 20 であれば約同量のフロンが溶け込んでいる (R 22 の場合 ) 2.1 回収作業前に暖気運転をする 2.2 圧縮機油だめ部を加温する ( ヒートガン バンドヒータ等で ) 2.3 回収作業完了まで クランクケースヒータは通電状態とする ( 可能な場合 ) 長期間使用していると 圧縮機底部やアキュムレータ底部のオイルにフロンが溶け込んでいるため 回収時フロンが蒸発し冷却されます このため フロンがオイル中に寝込んでしまいます 回収時ここを暖めることによって寝込んだフロンを回収できます 圧縮機及びアキュムレータ底部の霜付き

B-2 回収装置の保護回路が作動し 正常に回収できない 回収装置 1. 高圧遮断スイッチが作動 吸入側継手部より空気漏れがある 過負荷運転 外気温度が高く 回収容器温度が高い 1.1 吸入側継手部より空気漏れがあり 点検 補修する 1.2 回収容器の真空引き不足のため 真空引きした容器と交換する 1.3 吸入側のバルブを絞り負荷を軽減する 1.4 セルフクーリング機能を使い ボンベを冷やす 高圧遮断 SW の作動 2. 低圧遮断スイッチの作動 大型機用の回収装置で小形機器の回収を行った 外気温度が低く 機器内の圧力が低い 2.1 フロンの種類 回収能力 (g / min) が回収対象機器に適合したものを使用する 2.2 回収対象機器を複数台連結し回収する 3. 回収装置凝縮器の能力低下 3.1 凝縮器コイルの汚れなど点検の上 洗浄する 3.2 補助凝縮器を追加する B-3 配管 機器類のフロン閉じ込め 1. 前後の電磁弁 閉鎖弁 ( 自動 手動 ) により仕切られ回収できていない 業務用冷凍装置 1.1 電磁弁は電磁弁オペレータ等を使用して強制解除 閉鎖弁も全て全開して再度回収作業を行う 室内機 室外機 電磁弁等による閉鎖冷媒回路 B-4 チャージホース内のフロン排出 1. チャージホース内のフロンを未回収 電磁弁オペレータ操作手順 1 電磁弁のカバーをはずします 2 電磁弁シャフトに電磁弁オペレータをかぶせると 磁力で電磁弁が強制的に開きます 1.1 閉止弁付きチャージホースを使い 確実に回収する 注 意 チャージホース両端が共に閉止弁付の場合は 同時に閉止すると液封になりますので注意してください フロン回収時接続したチャージホース

B-5 回収装置 ホース 接続配管内フロンの未回収 1. 回収装置内の凝縮器の残ガス未回収 残ガス 1.1 残圧を確認のうえ 回収装置のセルフクリーニング機能などを使って残ガスを回収する 1.2 チャージホース端にあらかじめコントロールバルブ クイックシールバルブ ストップバルブ等の閉止弁を取り付ける 残ガスのある回収装置 排出の事例原因解決策 C. リーク C-1 フレアジョイント部 1. フレア部の振動 過大荷重 ( 管端部の振動は 0.4mm 以内 ) 1.1 銅管は O 材 または OL 材を使用する 1.2 振動の原因を調べ 配管支持などの対策を行う 1.3 異常がない場合は締め直し 増し締め ( トルク管理 ) フレア継手からの漏えい 2. 銅配管のフレア表面のキズ クラック 片締め 変形 ゴミなど 2.1 フレア点検 異常ありの場合は補修する 作業標準に則り適切なフレアツールを使用して作業する R410A は第 2 種フレアツールを使用する ( フレア部が第 1 種より大きくなる ) コーン 位置不良によるキズ リーマ やすりがけの切子の付着 コーンに付着したゴミによるキズ 応力腐食割れによる漏えい 加工後の衝撃による変形 バリ取り不足による段差 曲ったパイプ使用による扁平 閉め過ぎによる破損

C-2 ホース接続部 1. ホースパッキンの劣化 異種フロンの回収 経年劣化 酸化したオイルを回収 注 意 HFC 冷媒 (R410A など ) 回収用には専用のホースが必要です HCFC と HFC 用では回収対象機器に使用している潤滑油の種類が異なるためです 1.1 ホースメーカの整備基準に従い 定期的にパッキングを交換する 1.2 回収冷媒が圧縮機焼損などにより 事前にコンタミが予測される場合は 吸入ポート側にストレーナを取り付ける ( 機器メーカの指示によること ) ホースパッキンの劣化 C-3 容器バルブ 1. バルブシートのキズ 異物等の噛み込み 1.1 回収完了後 バルブ口金部には専用の金属製または樹脂製のシールキャップを取り付け 容器保管中 輸送中のスローリーク ( 微小漏れ ) 防止 防塵措置をとる 2. 保管 移動中の内部圧力の上昇 微小振動 2.1 保管中は 40 以下に保つ 容器バルブ 樹脂製のシールキャップ 金属製のシールキャップ C-4 チャージホース 1. チャージホースの外部損傷 経年劣化 ( 温度変化などによる硬化 ) 1.1 作業前の目視点検 1.2 フロン種別 回収対象機器 サイズ 長さなど考慮して交換 ひび割れ部 危 険 損傷 劣化ホースの使用はガス漏えいとともに 突然の噴出により災害の危険があります 劣化したチャージホース

C-5 回収装置安全弁よりフロン排出 1. 圧縮機吐出側の閉鎖弁を閉じた状態でうっかりスタート 1.1 うっかり事故の防止のためには 起動前にチェックポイントの指差し呼称などを行う 1.2 回収装置が停止しない場合は手動で緊急停止する 2. 高圧遮断スイッチ (SW) の設定値がずれている 2.1 高圧遮断スイッチは製造元の指示に従って交換する 回収装置内の安全弁 C-6 回収作業中に容器溶栓 ( 安全弁 ) よりフロン排出 1. FC3 回収装置で FC1 FC2 類のフロン (R22, R134a, R407C) などを夏場に回収したとき 吐出側の圧力が高圧遮断スイッチの作動前に冷媒温度が 60 相当の圧力を超えた (60 は 溶栓の溶融温度 ) 1.1 回収装置のクーリング機能 濡れ雑巾や氷などで回収容器を冷却し 圧力上昇を抑える 1.2 吸入側のバルブを絞り 回収能力を抑えて運転する 1.3 凝縮器の汚れを点検のうえ洗浄する 容器バルブの溶栓 溶融金属が溶け出した溶栓 ポイント 60 の飽和圧力 MPa R134a 1.6 R22 2.3 R407C 2.7 R404A 2.8 R410A 3.7 ボンベの種類 耐圧試験圧力 (MPa) 充てん可能なフロンの種類 FC1 類 3.0 R12, R134a, R22 等 FC2 類 4.0 R404A, R407A 等及び FC1 類 FC3 類 5.0 R410A, R32 等及び FC1 類, FC2 類

C-7 容器の腐食によりフロン排出 1. 充てん容器の保管場所の湿度が高く 外面腐食が進行し 夏場の温度上昇でフロン漏えい 1.1 保管している充てん容器は定期的に外観点検し 変形 腐食の進行が見られる場合は別容器に移充てんする 1.2 容器は再検査 または廃棄処理する 外面腐食が進行した回収容器 C-8 運搬中容器よりフロン排出 1. 容器温度が 60 近くまで上昇し 溶栓が溶解 基準 合 40 以下 転 防止 2. 運搬中の振動により 容器バルブが緩み フロンを排出 1.1 充てん容器を屋外に幌等をかけた状態では放置しない 直射日光が当たらなくとも夏場の炎天下では換気不足により容器温度は 60 を超えることがある 2.1 充てん容器の運搬は 夏場に周囲温度が 40 を超えないよう常時監視する 万一超えた場合は水を散布するなどして容器を応急的に冷却する C-9 低圧ドラム缶よりフロン排出 1. ドラム缶口金部に配管を挿入した回収方法 液状フロン ガス状フロン 周囲温度が使用冷媒の大気圧相当の飽和温度以下であっても 夏場 缶内でフラッシュガスが発生し大気排出される 1.1 低圧ドラム缶専用のフロン回収用の専用アダプタを付けて回収作業を行う ドラム缶用アダプタ ドラム缶専用アダプタ 低圧フロンの回収

D 容器破裂によりフロン全量排出 1. 過充てん 充てん容器の貯蔵 移動時の温度上昇により 容器内が液封状態になり 液圧により破裂 1.1 回収の際は 回収装置の過充てん防止機構の作動を事前確認する 1.2 回収終了後は 回収フロンに対して 周囲温度から 容器内圧が正常であることを確認する 1.3 回収終了後は 充てん質量から 全ての容器が過充てんになっていないことを確認する R507A R410A R404A 混合冷媒 破壊試験により破裂した 10kg ボンベ ( 例 ) 液膨張率 HFC 等の混合冷媒膨張率が大きい R507A R410A R404A R502 R407C R502 R407C R22 R134a R12 混合冷媒 単一冷媒 単一冷媒 R22 R134a R12 単一冷媒 温 度 各種フロンの液膨張率 ( 基準温度 -30 ) 警 冷媒回収処理において 過充てん 空気混入は 災害防止 冷媒の大量排出防止のうえで 絶対に避けなければならない最重要事項です 特に R410A R404A R507A などの混合冷媒は周囲温度による液膨張率が従来冷媒より大きいので回収後 充てん質量による安全確認が重要です 過充てん防止装置が液面検知方式の場合 液面設定が 90% 容器では 液封の危険性があります ( 上記 液膨張率のグラフ参照 ) 告 破壊試験により破裂した 100kg ボンベ ( 例 ) R410A 充てん時の容器容 80 充てん温度 10 空気混入量 6300atm cc 12 容器全圧飽和圧力 充てん容器の貯蔵 移動時の温度上昇により 容器内に混入した空気が圧縮され内部が異常高圧になり 破裂に至ります ( 液封温度に近くなると内部の圧力は急上昇します ) 容器内圧 (MPa) 10 8 6 4 2 0 0 FC3 耐圧 5MPa FC1 耐圧 5MPa 10 20 30 40 周囲温度 ( ) 50 60 液封状態 (50.8 ) 2. 回収容器に空気混入 吸入ラインの継手部から空気混入 容器内の残留空気 回収対象機器内から空気混入 周囲温度に対して 容器内圧が異常に高い 2.1 吸入側継手部漏れ点検 補修する 2.2 容器内を -0.1MPa まで完全に真空引きした容器と交換する 真空到達度の確認 チャージホース接続後 真空引き 放置漏れ検査 空気混入による圧力上昇の事例

R 冷媒回収処理フロン大気排出削減ガイド 平成 21 年 12 月 10 日初版発行 RRC 編集発行 Refrigerants Recycling Promotion and Technology Center 105-0011 東京都港区芝公園 3-5-8 機械振興会館 3F 日本冷凍空調設備工業連合会内 TEL:03-3435 - 9411 FAX:03-3435 - 9413 URL:http://www.rrc-net.jp e-mail:rrc@jarac.or.jp 無断複写転載を禁ず RRC は 冷凍空調機器の整備 廃棄時におけるフロン回収作業やそれに伴う容器等の移動 貯蔵時の災害 事故についてのいかなる保証及び責任を負うものではありません 本ガイドに掲載している写真は 合成 加工によるイメージ写真を含みます 本ガイドは 著作権法上の保護を受けています 本ガイドの一部あるいは全部について RRC から文書による許諾を得ずに いかなる方法においても無断で複写 複製することは禁じられています RRC J002-091210 10