平和安全法制などの整備法整備の経緯 図表 Ⅱ 閣議決定 の概要と法制整備 閣議決定 の項目 概要 法制整備 警察や海上保安庁などの関係機関が それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応す 治安出動 海上 1 武力攻撃に 至らない るとの基本方針の下 対応能力を向上させ連携を強化するな

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前提 新任務付与に関する基本的な考え方 平成 28 年 11 月 15 日 内 閣 官 房 内 閣 府 外 務 省 防 衛 省 1 南スーダンにおける治安の維持については 原則として南スー ダン警察と南スーダン政府軍が責任を有しており これを UNMISS( 国連南スーダン共和国ミッション ) の部

奮戦

テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案要綱

の方が違憲の問題を指摘しています ポイントは 我が国が 武力の行使をする際の要件として 相手国からの我が国に対する武力攻撃が必要条件か という点にあります この点について政府は 我が国に対する武力攻撃が無くても 我が国の存立が脅かされ他に方法が無いような場合 すなわち新三要件が満たされる場合には 限

インド洋におけるテロ対策海上阻止活動及び海賊行為等対処活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法案要綱

縦軸)我が国 国民に関する事項ための活動を実施可能に(国際社会に関する事項 平和安全法制 の主要事項の関係 在外邦人等輸送 ( 現行 ) 自衛隊法 在外邦人等の保護措置 ( 新設 ) 自衛隊の武器等防護 ( 現行 ) 自衛隊法 米軍等の部隊の武器等防護 ( 新設 ) 平時における米軍に対する物品役

安全保障会議 ( 現行 ) の概要 ( 構成 ) 委員長 : 内閣官房長官 委 安全保障会議 ( 構成 ) 議長 : 内閣総理大臣 事態対処専門委員会 内閣総理大臣の諮問に基づき 以下の事項を審議 国防の基本方針 防衛計画の大綱 対処基本方針 武力攻撃事態 / 周辺事態等への対処 / 自衛隊法第 3

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三衆議院議員稲葉誠一君提出自衛隊の海外派兵 日米安保条約等の問題に関する質問に対する答弁書一について1 我が国が安全保障理事会の常任理事国となるためには 国連憲章の改正が必要であるが 安全保障理事会の常任理事国は 国連憲章の改正についても いわゆる拒否権を有しており 一般的にいつて 国連憲章の改正に

大綱コンセプトの変遷 初めて策定した 51 大綱 (1976 年策定 ) においては 自らが力の空白となって我が国周辺地域における不安定要因とならないよう 必要最小限度の防衛力を保有するという考え方 すなわち 基盤的防衛力構想 を採用 その後 東西冷戦の終結といった国際情勢の変化 より安定した安全保

平和安全法制整備法案と国際平和支援法案

朝日 TV 2015/4/18-19 原発政策安倍内閣は 今後の電力供給のあり方について検討しているなかで 2030 年時点で 電力の 2 割程度を 原子力発電で賄う方針を示しています あなたは これを支持しますか 支持しませんか? 支持する 29% 支持しない 53% わからない 答えない 18%

れにMINUSTAH 軍事部門司令部において行われる企画及び調整の分野並びに我が国のMINUSTAHに対する協力を円滑かつ効果的に行うための連絡調整の分野における国際平和協力業務を行わしめるとともに 自衛隊の部隊等により ハイチ地震の被災者の支援等の分野における国際平和協力業務を実施することとする

条第一項に規定する国際平和協力業務の実施等に関する重要事項九自衛隊法 ( 昭和二十九年法律第百六十五号 ) 第六章に規定する自衛隊の行動に関する重要事項 ( 第四号から前号までに掲げるものを除く ) 十国防に関する重要事項 ( 前各号に掲げるものを除く ) 十一国家安全保障に関する外交政策及び防衛政

3 議事概要 (1) 安倍総理から 冒頭挨拶の中で 1 我が国を取り巻く安全保障環境は 我が国が独立を果たして以来激変した 2とりわけ近年顕著なのは グローバルなパワーバランスの急激な変化であり 東アジアの安全保障環境は第一次報告書が提出された6 年前に比べても一層厳しさを増している 3 大量破壊兵

平和安全法制関連法案の国会審議

I. 集団的自衛権 A. 集団的自衛権とは集団的自衛権は 国際連合の成立の際に 初めて国際法上で創設され 国連憲章第 51 条に明文化された権利である 具体的には 自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を 自国が直接攻撃されていないにもかかわらず 実力をもって阻止する権利 であり 日本政府もこの

第 4 回日豪外務 防衛閣僚協議 日本とオーストラリア : 平和と安定のための協力 共通のビジョンと目標 1. 玄葉光一郎日本国外務大臣, 森本敏日本国防衛大臣, ボブ カー オーストラリア外務大臣, スティーブン スミス オーストラリア国防大臣は,9 月 14 日にシドニーにおいて会談し, 地域的

1 駆け付け警護 とは 駆け付け警護 とは,PKO 協力法 3 条 5 号が規定する国際平和協力業務の1つであり, 正確には 安全確保業務 (3 条 5 号ト ) と 駆け付け警護 (3 条 5 号ラ ) の2つから成ります このうち, 安全確保業務 は, 端的に言えば, 住民保護 治安維持活動のこ

はじめに 日本の平和と安全を維持し その存立を全うすることは 政府 の最も重要な責務です また 日本の安全保障政策を高い透明性をもって示すことも政府が果たすべき役割です 日本は 戦後 70 年以上にわたり 平和国家として歩んできました 自由 民主主義 人権 法の支配を擁護し 地域そして世界の平和と繁

安全保障法制改定法案に対する意見書

3 議事概要 (1) 安倍総理から 冒頭挨拶の中で 1 政府は 日本国民の生存と日本国の存立を守る責任を有している 2 憲法前文にあるとおり 日本は一国平和主義ではなく 国連の集団安全保障体制の下で自国及び国際の平和と安全を維持することを安全保障の課題としてきた 3 我が国を取り巻く厳しい国際環境を

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平和安全法制における米軍等の部隊の武器等防護の国内法上の位置付け

1 自衛隊に対する関心 問 1 あなたは自衛隊について関心がありますか この中から 1 つだけお答えください 平成 30 年 1 月 関心がある ( 小計 ) 67.8% 非常に関心がある 14.9% ある程度関心がある 52.9% 関心がない ( 小計 ) 31.4% あまり関心がない 25.9%

論点 ( ポイント ) それでは早速入りますが まずポイントですね 憲法に反するのか ということ 安全保障に関してどんな政策をとるかは 政治の判断することです 我々が選挙で選んだ政治家が判断する しかし 安倍さんだから何でも自由にできるという訳ではない 安倍さんの発言を聞いていますと国民の命を預かる

平成 29 年 ( ワ ) 第 125 号安保法制違憲 国家賠償請求事件 原 告 阿部裕ほか224 名 被 告 国 準備書面 (3) ( 朝鮮半島有事の際の新安保法制による米軍への軍事的支援活動と他国間戦争にまきこまれる具体的現実的危険 ) 宮崎地方裁判所 民事第 2 部合議係御中 2017( 平成

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新 日米防衛協力のための指針 ( ガイドライン )

各府省からの第 1 次回答 1. 災害対策は 災害対策基本法に規定されているとおり 基礎的な地方公共団体である市町村による第一義的な応急対応と 市町村を包括する広域的な地方公共団体である都道府県による関係機関間の総合調整を前提としている を活用してもなお対応できず 人命又は財産の保護のため必要がある

自衛隊の補給支援活動に関する特別世論調査 の要旨 平成 21 年 3 月内閣府政府広報室 調査時期 : 平成 21 年 1 月 22 日 ~2 月 1 日調査対象 : 全国 20 歳以上の者 3,000 人有効回収数 ( 率 ):1,684 人 (56.1%) 1 補給支援活動の認知度 平成 21

目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

PowerPoint プレゼンテーション

掃海を挙げているが これを実質的に見れば (1) の 今まさにそこにある危機 というよりもむしろ (2) の日米同盟の強化の意味合いが大きい そのため 政権が武力行使の要件として示す 存立危機事態 には 実質上 日米同盟存立危機事態 の要素が入り込み それが 武力行使の限界の外縁を曖昧にしている 以

2 加わって海外で武力を行使したりしないこと)を大きく逸脱するものです 今年3月20 日に その法案化に向けての与党協議会での合意文書がまとめられ 4月17 日には全体像が提示されました これについて自民 公明両党からの強い異存は出なかったとされています 4月下旬での与党合意や日米防衛協力のための指

グループ発表 PKO 賛成派平和のための PKO 2015/06/16 山上咲子 1.PKO( 国連平和維持活動 ) とは何か PKO は一般的に 国連の安全保障理事会の決議に基づいて 加盟国による特別な部隊を作り 紛争の起った地域に派遣して紛争の拡大 再発防止 停戦後の平和維持のために行う活動 と

Security declaration

体内で使われているエネルギー基質を推定するのに呼吸商を用いるが,その説明として妥当なものはどれか

平成 28 年 ( ワ ) 第 2407 号自衛隊南スーダン PKO 派遣差止等請求事件 原告平和子 被告国 文書提出命令申立書 2019( 平成 31) 年 1 月 10 日 札幌地方裁判所民事第 1 部合議係 B 御中 申立人 ( 原告 ) 訴訟代理人 弁護士佐藤博文 外 申立人 ( 原告 )

検査若しくは修理又は補給 ( 武器の提供を行う補給を除く ) エ自然災害によって被害を受けた施設又は設備であってその被災者の生活上必要なものの復旧又は整備のための措置オ宿泊又は作業のための施設の維持管理 3 国際平和協力業務の実施の方法 (1) 実施計画及び実施要領の範囲内において 事務総長等による

続報を伝達しますので 引き続き屋内に避難していて下さい 弾道ミサイルが日本の上空を通過した場合には 他に追尾しているミサイルやミサイルから分離した落下物が我が国の領土 領海に落下する可能性が無いことを確認した後 弾道ミサイルが通過した旨の情報をお知らせします ((2)2) 引き続き屋内に避難する必要

エチオピア 2017 年 2 月 エチオピアは FATF 及び ESAAMLG( 東南部アフリカ FATF 型地域体 ) と協働し 有効性強化及び技術的な欠陥に対処するため ハイレベルの政治的コミットメントを示し 同国は 国家的なアクションプランや FATF のアクションプラン履行を目的とした委員会

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安倍戦争法の危険 1 安倍戦争法の実際の危険 2 さらに危険な段階に入った日本の軍国主義 3 戦争法阻止のために全力を


A: 最近の韓国での出来事だとか 日本での出来事などについて率直に意見交換をしたわけでございますが 私が感じたのは長官の話を通じて 韓国のこの平和と朝鮮半島の平和と安定 これは日本にとっても安全保障上 大変重要なことでございまして 韓国の防衛政策も伺えましたけど 非常にしっかりとしたものであります

NSS-summary

130306異議申立て対応のHP上の分かりやすいQA (いったん掲載後「早く申請してください」を削除)

4 議事概要 (1) 冒頭 柳井座長から 以下のような発言があった 1 本日安倍総理に報告書を提出できることとなり 大変喜ばしい 2008 年に報告書を提出した後 我が国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増している 昨年 2 月に安倍総理から 我が国の平和と安全を維持するために何をなすべきか 安全

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I. 2 II III IV

必要な自衛の措置をとるための実力組織としての自衛隊を保持する との憲法改正案に反対する決議 第 1 決議の趣旨当会は 必要な自衛の措置をとるための実力組織としての自衛隊を保持するとの憲法改正案については 憲法の基本原則の一つである恒久平和主義を著しく損なう危険性が大きいので 反対する 第 2 決議の

目次 はじめに 1 Ⅰ. 憲法解釈の現状と問題点 4 1. 憲法解釈の変遷と根本原則 4 (1) 憲法解釈の変遷 4 (2) 憲法第 9 条の解釈に係る憲法の根本原則 8 2. 我が国を取り巻く安全保障環境の変化 我が国として採るべき具体的行動の事例 13 Ⅱ. あるべき憲法解釈 17

集団的自衛権の行使を 容認する閣議決定 終戦 日本の敗戦 日本国憲法公布 自衛隊発足 政府見解 集団的自 衛権の行使は憲法上許さ れない 自衛権発動の3要件

Microsoft Word 懇談会議事要旨.doc

自衛隊による在外邦人等の陸上輸送

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資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

首相は 朝鮮半島有事などで日本人を運ぶ米軍艦船を防護する場合や 日本に原油を運ぶタンカーが通る中東 ホルムズ海峡が機雷により封鎖され これを取り除く掃海活動などを挙げてきた ただ 公明党はホルムズ海峡が封鎖され日本が経済的な打撃を受けただけでは 存立危機事態には該当しないと主張する 日米両政府が先月

PowerPoint プレゼンテーション

の自由 妨げられない通商活動 自制と 1982 年の国連海洋法条約 (UNCLOS) を含む国際法の普遍的な原則に従った紛争の平和的手段による解決を推進することの重要性を強調した 我々は ARF や ASEAN 海洋フォーラム拡大会合等を通じた情報共有や能力構築を含む 海洋安全保障及び海上の安全に関

個人情報保護規定

(2) 日本の領土 領海の上空を通過した場合 旧 1 ミサイル発射情報 避難の呼びかけ 新 ミサイル発射情報 ミサイル発射情報 先程 北朝鮮からミサイルが発射された模様です 続報が入り次第お知らせします ミサイル発射 ミサイル発射 北朝鮮からミサイルが発射された模様です 頑丈な建物や地下に避難して下

制度見直しに関する主な方向性については 次の通り考えるものとする 1. ビッグデータ時代におけるパーソナルデータ利活用に向けた見直し 個人情報及びプライバシーの保護に配慮したパーソナルデータの利用 流通を促進するため 個人データを加工して個人が特定される可能性を低減したデータに関し 個人情報及びプラ

防衛交流の基本方針について(通達)

撃のリスクが 全ての地域と加盟国に影響する可能性があることに懸念を表明し 民間航空に対するテロ攻撃について深刻な懸念を表明しそしてそのような攻撃を強く非難し 民間航空が 外国人テロ戦闘員による輸送手段として用いられる可能性があることにまた懸念を表明し そして 1944 年 12 月 7 日にシカゴで

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

輸出許可一般的な輸出申告による輸出通関 搬出許可概 要 輸出通関における保税搬入原則の見直しが施行されました - お知らせ - 輸出通関における保税搬入原則の見直しについては 当該見直しを盛り込んだ関税改正法が平成 23 年 3 月 31 日に成立し 同年 10 月 1 日より施行されました これに

内閣官房内閣情報調査室 Cabinet Intelligence and Research Office 2013

資料2-1 「個人情報の保護に関する法律」説明資料

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監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

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はじめに 全国防衛協会連合会は かって調査研究として 日本の防衛 Q&Aよくわかる国の守り を取り纏め 会員を中心に参考資料として配布したところでありますが その後 10 年近くが経過し 近年の内外情勢の変化 特にわが国周辺における安全保障環境の厳しさを受け わが国防衛政策にも大きな変化が生じていま

自衛隊と海上保安庁の国際活動をめぐる論点 <緒言>

日本人と憲法 2017 調査 単純集計結果 調査方法 個人面接法 調査時期 2017 年 3 月 11 日 ( 土 )~26 日 ( 日 ) 調査対象 全国 18 歳以上の国民 調査相手 住民基本台帳から層化無作為 2 段抽出 4,800 人 (400 地点 12 人 ) 調査有効数 ( 率 ) 2

第 1 原則及び第 2 原則を踏み外さないための 歯止め として 以下の原則が派生する 3 他国の武力行使との一体化禁止 4 海外での自衛隊の活動は 後方地域 ( 非戦闘地域 ) における後方支援 人道復興支援に限定 ( 警護活動 安全確保活動 船舶検査活動のような危険な前線での活動禁止 ) 5 武

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自衛隊の役割と権限 1


2015 年は 日本の安全保障政策の歴史に残る年となった 4 月 27 日には 1997 年以来 18 年ぶりに新たな 日米防衛協力のための指針 ( 以下ガイドライン ) が策定された この新ガイドラインによって 日本の平和 安全の確保をガイドラインの中核的な役割として維持した上での協力の維持強化

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事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

11

Microsoft Word WT報告書最終版 (医療部会)

謝辞

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The Status of Sign Languages

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適用時期 5. 本実務対応報告は 公表日以後最初に終了する事業年度のみに適用する ただし 平成 28 年 4 月 1 日以後最初に終了する事業年度が本実務対応報告の公表日前に終了している場合には 当該事業年度に本実務対応報告を適用することができる 議決 6. 本実務対応報告は 第 338 回企業会計

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

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Microsoft Word - 安全法制論点整理0928.docx

資料4_1いじめ防止対策推進法(概要)

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3章平和安全法制などの整備208 平成 28 年版防衛白書第第 3 章 平和安全法制などの整備 法整備の経緯 1 法整備の背景 わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを 増しており 今や 脅威は容易に国境を越え もはや どの国も一国のみでは 自国の安全を守れない時代となった このような中 わが国の平和と安全を維持し その存立を全うするとともに 国民の命を守るためには まず 力強い外交を推進していくことが重要であるが 同時に 万が一の場合の備えも必要である 具体的には わが国自身の防衛力の適切な整備 維持 運用や 同盟国である米国をはじめ 関係国との協力関係を深めること 特に わが国及びアジア太平洋地域の平和と安定のために 日米安全保障体制の実効性を一層高め 日米同盟の抑止力を向上させることにより 武力紛争を未然に回避し わが国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠である その上で いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り 国際協調主義に基づく 積極的平和主義 の下 国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するためには 切れ目の 2 法整備の経緯 意義 閣議決定後 内閣官房国家安全保障局のもとに法案作成チームが立ち上げられたほか 防衛省においても防衛大臣を委員長とする 安全保障法制整備検討委員会 を設置し 安全保障法制の整備に向けた検討を行った 政府はこれらの検討体制の下 計 25 回の与党 1 我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案 2 国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案 ない対応を可能とする国内法制を整備する必要がある 安倍内閣総理大臣は13( 平成 25) 年 2 月 第 1 次安倍内閣において開催されていた 安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会 を再開し 同懇談会は計 7 回の会合を経て 14( 同 26) 年 5 月 安倍内閣総理大臣に報告書を提出した 同懇談会からの報告書を受け 安倍内閣総理大臣が示した検討の進め方についての基本的方向性に基づき 与党における協議と政府における検討が進められ 14( 同 26) 年 7 月 政府として あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法案の整備のための基本方針を示す 国の存立を全うし 国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について の閣議決定 ( 閣議決定 ) を行った 参照 図表 Ⅱ-3-1-1( 閣議決定 の概要と法制整備 ) 資料 23( 国の存立を全うし 国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について ) における協議を踏まえて検討を行い 15( 同 27) 1 年 5 月 14 日 平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案 2 の2 法案を閣議決定し 翌 15 日に第 189 回国会 ( 常会 ) へ提出した これらの2 法案は 例えば 平素における米軍等の部隊の武器等の防護 重要影響事態及び国際平和共同対処事態

平和安全法制などの整備法整備の経緯 図表 Ⅱ-3-1-1 閣議決定 の概要と法制整備 閣議決定 の項目 概要 法制整備 警察や海上保安庁などの関係機関が それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応す 治安出動 海上 1 武力攻撃に 至らない るとの基本方針の下 対応能力を向上させ連携を強化するなど 各般の分野における必要な取組を一層強化する 近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ちに対応できない場合における治安出動や海上における警備行動の早期の下令や手続の迅速化の方策について検討する 警備行動などの発令手続の迅速化 侵害への対処 自衛隊と連携してわが国の防衛に資する活動 ( 共同訓練を含む ) に現に従事している米軍等 自衛隊法の改正 2 国際社会の 平和と安定への 一層の貢献 3 憲法第 9 条の 下で許容される 自衛の措置 の部隊の武器等を防護するための自衛隊法第 95 条によるものと同様の極めて受動的かつ限定的な必要最小限の 武器の使用 を自衛隊が行うことができるよう 法整備をする アいわゆる後方支援と 武力の行使との一体化 ( 1) 他国が 現に戦闘行為を行っている現場 ではない場所で実施する補給 輸送などのわが国の支援活動については 当該他国の 武力の行使と一体化 するものではないという認識を基本とし わが国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動する他国軍隊に対して 必要な支援活動を実施できるようにするための法整備を進める わが国の支援対象となる他国軍隊が 現に戦闘行為を行っている現場 では 支援活動は実施しない 仮に 状況変化により わが国が支援活動を実施している場所が 現に戦闘行為を行っている現場 となる場合には 直ちにそこで実施している支援活動を休止又は中断する イ国際的な平和協力活動に伴う武器使用以下の考え方を基本として 国際連合平和維持活動などの 武力の行使 を伴わない国際的な平和協力活動におけるいわゆる 駆け付け警護 に伴う武器使用及び 任務遂行のための武器使用 のほか 領域国の同意に基づく邦人救出などの 武力の行使 を伴わない警察的な活動ができるよう法整備を進める 国際連合平和維持活動等については PKO 参加 5 原則の枠組みの下で 受入れ同意をしている紛争当事者以外の 国家に準ずる組織 ( 2) が敵対するものとして登場することは基本的にないと考えられる 自衛隊の部隊が 領域国政府の同意に基づき 邦人救出などの 武力の行使 を伴わない警察的な活動を行う場合には 領域国政府の同意が及ぶ ( 権力が維持されている ) 範囲で活動することは当然であり その範囲においては 国家に準ずる組織 は存在していない 受入れ同意が安定的に維持されているかや領域国政府の同意が及ぶ範囲等については 国家安全保障会議における審議等に基づき 内閣として判断する わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し これによりわが国の存立が脅かされ 国民の生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において これを排除し わが国の存立を全うし 国民を守るために他に適当な手段がない時に 必要最小限度の実力を行使することは 従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として 憲法上許容される 上記の 武力の行使 は 国際法上は 集団的自衛権が根拠となる場合がある この 武力の行使 には 他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とするものが含まれるが 憲法上は あくまでもわが国の存立を全うし 国民を守るため すなわち わが国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものである わが国ではなく他国に対して武力攻撃が発生した場合に 憲法上許容される 武力の行使 を行うために自衛隊に出動を命ずるに際しては 現行法令に規定する防衛出動に関する手続と同様 原則として事前に国会の承認を求めることを法案に明記する ( 米軍等の部隊の武器等の防護 ) 重要影響事態安全確保法 ( 周辺事態安全確保法の改正 ) 船舶検査活動法の改正 国際平和支援法の制定 国際平和協力法の改正 自衛隊法の改正 ( 在外邦人等の保護措置 ) 事態対処法制の改正 自衛隊法の改正 ( 防衛出動に関する規定等 ) 1 憲法第 9 条との関係で わが国による支援活動について 他国の 武力の行使と一体化 することにより わが国自身が憲法の下で認められない 武力の行使 を行ったとの法的評価を受けることがないよう これまでの法律においては 活動の地域を 後方地域 や いわゆる 非戦闘地域 に限定するなどの法律上の枠組みを設定し 武力の行使との一体化 の問題が生じないようにしてきた 2 いわゆる 駆け付け警護 に伴う武器使用や 任務遂行のための武器使用 については これを 国家又は国家に準ずる組織 に行った場合には 憲法第 9 条が禁ずる 武力の行使 に該当するおそれがある 第3章における他国軍隊等への支援活動 ( 後述 ) さらには 新三要件 3 を満たす場合における わが国を防衛するための必要最小限度の自衛の措置としての限定的な集団的自衛権の行使に至るまで あらゆる事態への切れ目のない対応を可能とするものであり 国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要不可欠なものである 2 法案は 戦後最長となる国会会期の延長がな された上で 衆議院において約 116 時間 参議院において約 100 時間の計約 216 時間という戦後の安保関係の法案審議において最長となる審議の結果 与党のみならず 日本を元気にする会 次世代の党 ( 当時 ) 新党改革の野党 3 党の賛成 (10 党のうち5 党 ) も得て 幅広い合意を形成した上で 同年 9 月 19 日に参議院本会議において可決 成立した その際 この5 党により 存立危機事 3 新三要件 とは 1 わが国に対する武力攻撃が発生したこと またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し これによりわが国の存立が脅かされ 国民の生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること 2 これを排除し わが国の存立を全うし 国民を守るために他に適当な手段がないこと 3 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと をいう 日本の防衛 209

3章平和安全法制などの整備210 平成 28 年版防衛白書第第 Ⅱ 部 わが国の安全保障 防衛政策と日米同盟 態の認定にかかる新三要件の該当性の判断に当たり留意すべき事項や 平和安全法制に基づく自衛隊の活動に対する常時監視及び事後検証のための国会の組織のあり方 国会関与の強化について 各党間で検討を行い 結論を得ることなどを盛り込んだ 平和安全法制についての合意書 ( 5 党合意 ) が合意されるとともに 当該合意の趣旨を尊重し 適切に対処する旨の閣議決定が行われ 平和安全法制は 16( 同 28) 年 3 月 29 日に施行された また 平和安全法制に関する5 党合意に基づき 国会関与のあり方などについて 5 党間で更なる検討が行われている 4 わが国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増している中 本法制の施行は 抑止力の向上と地域及び国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献することを通じて わが国の平和と安全を一層確かなものにしていくものであり 歴史的な重要性を持つものである 本法制は 世界から高く評価されており 同盟国である米国はもとより 豪州やインド 東南アジアや欧州の国々に加え ASEAN EUなどからも強い支持を受けている このような多くの支持は 本法制が日米同盟を強化し 抑止力を高める 解説 なぜ 今 平和安全法制の整備が必要か グローバルなパワーバランスの変化 大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発及び拡散 国際テロの脅威などにみられるように わが国を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増しており 脅威が世界のどの地域において発生しても わが国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況となっています もはや どの国も一国のみでは 自国の安全を守ることはできません 政府の最も重要な責務は わが国の平和と安全を維持し その存立を全うするとともに 国民の命を守ることです そのためには まず 力強い外交の推進により 脅威の出現を未然に防ぐとともに 紛争の発生に際してはその平和的な解決を図らなければなりません また わが国自身の防衛力を適切に整備するとともに 日米安全保障体制の実効性を一層高め 日米同盟の抑止力を向上させることなどにより わが国に脅威が及ぶことを未然に防ぐことが必要不可欠です その上で いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くとともに 国際協調主義に基づく 積極的平和主義 の下 国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するため 切れ目のない対応を可能とする 平和安全法制が必要なのです 4 5 党合意において 平和安全法制に基づく自衛隊の活動に対する常時監視及び事後検証のための国会の組織のあり方 重要影響事態及び PKO 派遣の国会関与の強化については 本法成立後 各党間で検討を行い 結論を得ること とされている

平和安全法制などの整備法整備の経緯 ものであるとともに 地域及び国際社会の平和と安定に資するものであることの証である ( コラム参照 ) 解説平和安全法制に関する諸外国の評価 平和安全法制に対しては 同盟国である米国はもとより 豪州やインド 東南アジアや欧州の国々に加え ASEAN EUなどからも強い支持と高い評価が寄せられています ( 本文参照 ) 例えば 米国は 15( 平成 27) 年 11 月の日米首脳会談において オバマ大統領から 平和安全法制の成立への祝意の表明があり 同法制は日本の防衛機能を高めるものであり 地域 世界において日米連携を更に広げていくことが可能となった旨の発言がありました また 米上院外交委員会及び軍事委員会も 同年 9 月に共同で平和安全法制の成立を歓迎し 重要な同盟を強化するもの との声明を出しました さらに 16( 同 28) 年 2 月 ハリス米太平洋軍司令官から 北朝鮮の弾道ミサイル発射への対応に関し 平和安全法制と新ガイドラインは日米の能力を向上させ 日米間の連携が向上した旨の発言がありました また 豪州は 同年 12 月の日豪共同声明において 日本が 積極的平和主義 に沿って 地域並びに世界の平和及び安定 繁栄に より一層積極的に貢献することを可能とする平和安全法制を成立させたことを歓迎し 支持しました その他 同年 11 月の日 ASEAN 首脳会議において ASEAN 側から 平和安全法制を支持し 地域の平和と安定に対する日本の貢献に期待する旨の発言がありました これらは この法制が 戦争を抑止し 世界の平和と安全に貢献する法律であることの何よりの証です 第3章日本の防衛 211

3章平和安全法制などの整備212 平成 28 年版防衛白書第第 Ⅱ 部 わが国の安全保障 防衛政策と日米同盟 解説 平和安全法制と憲法の関係について 憲法上 武力の行使 が許容されるのは 我が国に対する武力攻撃が発生したこと または我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し これにより我が国の存立が脅かされ 国民の生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること これを排除し 我が国の存立を全うし 国民を守るために他に適当な手段がないこと 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこととの新三要件が満たされる場合に限られます この新三要件の下で認められる 武力の行使 においても 憲法第 9 条はその文言からすると 国際関係における 武力の行使 を一切禁じているように見えるが 憲法前文で確認している 国民の平和的生存権 や憲法第 13 条が 生命 自由及び幸福追求に対する国民の権利 は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると 憲法第 9 条が 我が国が自国の平和と安全を維持し その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されない 一方 この自衛の措置は あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命 自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫 不正の事態に対処し 国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであり そのための必要最小限度の 武力の行使 は許容される との昭和 47 年の政府見解で示した憲法解釈の基本的論理は全く変わっていません また 新三要件の下で認められる 武力の行使 は 砂川事件に関する最高裁判決の範囲内です 同判決は 我が国が 自国の平和と安全を維持し その存立を全うするために必要な自衛の措置をとりうることは 国家固有の機能の行使として 当然のことと言わなければならないと述べています つまり 個別的自衛権 集団的自衛権の区別をつけずに 我が国が 自衛権を有することに言及した上で 自国の平和と安全を維持し その存立を全うするために必要な 自衛の措置 を取り得ることを認めたものであると考えられます この新三要件が過不足なく反映されている平和安全法制は 従来から政府が示してきた憲法解釈の基本的論理を維持したものであるとともに 憲法の解釈を最終的に確定する機能を有する唯一の機関である最高裁判所の出した砂川判決の範囲内であり 憲法に合致したものです 解説武器の使用と武力の行使について 一般に 憲法第 9 条第 1 項の 武力の行使 とは わが国の物的 人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為をいいます これに対し 自衛隊法などにおける 武器の使用 とは 直接人を殺傷し 又は武力闘争の手段として物を破壊することを目的とする機械などをその物の本来の用法に従って用いることをいいます 憲法第 9 条第 1 項の 武力の行使 は 武器の使用 を含む実力の行使にかかる概念ですが 武器の使用 が全て憲法第 9 条の禁ずる 武力の行使 に当たるとはいえません なお 憲法上 武力の行使 が許容されるのは 新三要件 (166ページ参照) が満たされる場合においてのみです