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2. 改正の趣旨 背景 (1) 問題となっていたケース < 親族図 > 前提条件 1. 父 母 ( 死亡 ) 父の財産 :50 億円 ( すべて現金 ) 財産は 父 子 孫の順に相続する ( 各相続時の法定相続人は 1 名 ) 2. 子 子の妻 ( 死亡 ) 父及び子の相続における相次相続控除は考慮

相続税・贈与税の基礎と近年の改正点

(1) 相続税の納税猶予制度の概要 項目 納税猶予対象資産 ( 特定事業用資産 ) 納税猶予額 被相続人の要件 内容 被相続人の事業 ( 不動産貸付事業等を除く ) の用に供されていた次の資産 1 土地 ( 面積 400 m2までの部分に限る ) 2 建物 ( 床面積 800 m2までの部分に限る

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税法入門コース 相続税 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 4 回 第 4 回 第 1 章 第 2 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 4 章 第 5 章 テーマ 1 相続税 贈与税とは? テーマ 2 用語の説明 テーマ 1 相続人となれる人は? テ

<4D F736F F D208E968BC68FB38C7082CC964097A596E291E882C982C282A282C42E646F63>

例えば毎年 子供 2 人に対し110 万円づつ贈与し続けるのであれば 10 年間で2,200 万円の財産を無税で子供に移すことができます 贈与税の基礎控除額を上手く活用する方法だけでも 計画的に行うことがどれだけ大切なのかご理解いただけると思います とにかく財産を所有している人が高齢になればなるほど

(2) みなし相続財産ものか13 第1 章12 2 課税される 相続財産 の範囲 海外にある財産も課税対象となる 贈与税の暦年課税適用財産も 3 年以内は課税対象となる 葬式費用 墓地や墓碑 仏壇 仏具等は非課税 相続税の課税対象となる相続財産は (1) 被相続人が亡くなったときに所有していた財産

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〔問 1〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した

である 12 遺留分とは 遺言の内容にかかわらず一定の相続人が確実に受け取ることができる一定の 割合のことである 直系尊属のみが相続人である場合は 被相続人の財産の 1/3 その 他の場合には 被相続人の財産の 1/2 である ただし 兄弟姉妹には遺留分はない 13 相続の放棄は 被相続人の生前に行

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土地の譲渡に対する課税 農地に限らず 土地を売却し 譲渡益が発生すると その譲渡益に対して所得税又は法人税などが課税される 個人 ( 所得税 ) 税額 = 譲渡所得金額 15%( ) 譲渡所得金額 = 譲渡収入金額 - ( 取得費 + 譲渡費用 ) 取得後 5 年以内に土地を売却した場合の税率は30

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役員の債務保証料 1. 概要オーナー社長の場合は 自社の銀行借入金に代表者個人が連帯債務保証をしている場合があります このような場合は 法人からオーナー個人に債務保証料 ( 信用保証料 ) を支払うことが出来ます 当然 会社では法人税の計算上で損金計上することが出来ます 2. 注意点 (1) 債務保

配偶者の税額軽減特例の有利な受け方 配偶者がいる場合の 相続税の具体的な計算例は以下の通りです 1. 設例 自宅 預貯金等の相続財産の遺産額 =2 億円 法定相続人 = 配偶者 + 子 2 人の合計 3 人 実際の遺産分割は 法定相続分の通りとする 未成年者控除 外国税額控除 生命保険金の非課税枠金

(1) 改正の内容 内容 現行制度 特例制度 納税猶予対象株式 納税猶予税額 発行済議決権株式総数の 3 分の 2 に達するまでの株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係る贈与税の全額 相続の場合 : 納税猶予対象株式に係る相続税の 80% 取得した全ての株式 贈与の場合 : 納税猶予対象株式に係

平成 25 年度税制改正解説相続税 ~ 基礎控除の引き下げ 税率構造の見直し等 法定相続人の数と基礎控除法定相続人の数と基礎控除 法定相続人の数 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 60,000 千円 70,000 千円 80,000 千円 90,000 千円 100,000 千円 36,000

[2] 税率構造の見直し 相続税の税率構造が現行の6 段階から8 段階に変更されるとともに 最高税率が 50% から 55% に引き上げられることとなりました ただし 各法定相続人の取得金額が2 億円以下の場合の税率は と変わりありません この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続または遺

相続税の節税対策としての生前贈与 相続税 贈与税はともに相手に渡る財産の金額に対して累進的な税率により税金がかかりま す そこで 相続税の税率よりも低い税率で贈与をすれば 相続税の節税になります 下の 図で相続税と贈与税税率を確認して下さい 贈与税は 相続税に比べ 基礎控除額が低く さらに税率が高く

参考. 改正前の制度概要 ( 改正対象は太字 ) (1) 税の納税猶予の全体像 ( 概要 ) の要件 会社の代表者であったこと 時には代表権を有していないこと と同族関係者で決議数の 50% 超の株式を保有かつを除いた同族内で筆頭株主であったこと 認定対象会社の要件 の要件 会社の代表者であること

事業承継支援について

海外財産の相続 : 事例研究 ~ 米国の財産の相続手続き ( 第 4 回 ) 三輪壮一氏三菱 UFJ 信託銀行株式会社リテール受託業務部海外相続相談グループ米国税理士 これまで 海外に財産を保有する場合の 海外相続リスク の存在 特にプロベイト手続き等の相続手続きの煩雑さについて 米国の例を基に説明

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相続税 贈与税の基本がよくわかる! 誰が相続人になるの? 税額はどのようにして求めるの? 土地 建物の評価はどうするの? 住宅取得資金の贈与は最大 3,000 万円が非課税に? 教育資金や結婚 子育て資金の贈与は非課税に? 新しくできる配偶者居住権ってどんなもの? etc.

債務控除できるもの できないもの 1. 概要相続税の申告で 債務控除できるものや葬式費用には 被相続人名義の銀行借入金や未納の所得税等の公租公課 未払医療費等のいわゆる債務の金額 葬式費用が挙げられます ( 相法 13) 斎場へのタクシー代や式後の飲食代なども含みますが 通常必要とされる範囲内とされ

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A は 全ての遺産を社会福祉施設に寄付すると遺言に書き残し死亡した A には 配偶者 B と B との間の子 C と D がある C と D 以外にも A と B との子 E もいたが E は A が死亡する前にすでに死亡しており E の子 F が残されている また A には 内妻 G との子 (

問題 1 1 問題 1 1 納税義務者 相続税の納税義務者及び課税財産の範囲 課税価格 1 納税義務者 ⑴ 次に掲げる者は 相続税を納める義務がある 1 居住無制限納税義務者 ( 法 1 の 3 1 一 ) 相続又は遺贈により財産を取得した個人でその財産を取得した時において法施行地に住所を有するもの

土地建物等の譲渡損失は 同じ年の他の土地建物等の譲渡益から差し引くことができます 差し引き後に残った譲渡益については 下記の < 計算式 2> の計算を行います なお 譲渡益から引ききれずに残ってしまった譲渡損失は 原則として 土地建物等の譲渡所得以外のその年の所得から差し引くこと ( 損益通算 )

株主間契約書 投資事業有限責任組合 ( 以下 A という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 B という ) 投資事業有限責任組合 ( 以下 C といいい A B C を総称し 投資者 といい 個別に 各投資者 という ) と 以下 D という ) と ( 以下 D という ) ( 以下 E といい

<TAC> 無断複写 複製を禁じます ( 税 18) 相上 (8)C10-1 相続税法 上級 演習 8 テキスト 2 第 8 回 - 解答 点 - 第一問 問 1 持分の定めのない法人に対し財産の贈与又は遺贈があった場合において 税負担の不当減少を防 止

金庫株を活用した事業承継対策 1. 概要 非上場株式を相続して相続税が発生する場合は 相続で取得した自社株を相続税の申告期限後 3 年以内に金 庫株すればみなし配当課税しない (= 譲渡所得とする ) 特例があります ( 措置法 9 条の 7) 所得税の特例の内容 ( 自己株式をみなし配当課税しない

ビジネスメールの基礎知識

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

課税遺産総額 = 各人の課税価格 ( ア ) の合計額 - 遺産に係る基礎控除額ウ相続税の総額の計算 1 課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものと仮定し 各人ごとの取得金額を計算する 2 1に税率をかけ 各人の税額を合計する (= 相続税の総額 ) エ各人の相続税額の計算相続税の総

13. 平成 29 年 4 月に中古住宅とその敷地を取得した場合 当該敷地の取得に係る不動産取得税の税額から 1/2 に相当する額が減額される 14. 家屋の改築により家屋の取得とみなされた場合 当該改築により増加した価格を課税標準として不動産 取得税が課税される 15. 不動産取得税は 相続 贈与

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2015 年 1 月いよいよ施行! 相続税増税の影響と対策 Part 1 相続税はどう変わる? 影響は? Part 2 相続税の負担を軽減するには?

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09企業組織法-1

2. 制度の概要 この制度は 非上場株式等の相続税 贈与税の納税猶予制度 とは異なり 自社株式に相当する出資持分の承継の取り扱いではなく 医療法人の出資者等が出資持分を放棄した場合に係る税負担を最終的に免除することにより 持分なし医療法人 に移行を促進する制度です 具体的には 持分なし医療法人 への

定款規定不要必要経 3 売買価格決定のタイミング 4 当該株主以外の他の株主が自分の株式を買ってほしいという権利 ( 売主追加請求権 ) があるか否か 5 会社が買取る場合 財源上の制約があるか否かなお どのケースの場合も 株主総会の特別決議が必要です 決議にあたっては 対象となる株主 ( 売主 )

相続診断士試験

スポンサー企業 増減資により 再生会社をスポンサー企業の子会社としたうえで 継続事業を新設分割により切り分ける 100% 新株発行 承継会社 ( 新設会社 ) 整理予定の事業 (A 事業 ) 継続事業 会社分割 移転事業 以下 分社型分割により事業再生を行う場合の具体的な仕組みを解説する の株主 整

法人会の税制改正に関する提言の主な実現事項 ( 速報版 ) 本年 1 月 29 日に 平成 25 年度税制改正大綱 が閣議決定されました 平成 25 年度税制改正では 成長と富の創出 の実現に向けた税制上の措置が講じられるともに 社会保障と税の一体改革 を着実に実施するため 所得税 資産税についても

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プルータスセミナー 新株予約権の税務について 株式会社プルータス コンサルティング 平成 18 年 12 月 7 日

事業承継税制の全体像は ( 図表 1) の通りである ( 図表 1) 事業承継税制の全体像 経営者 1 代目 経営者 2 代目 一括贈与 大臣認定 贈与税の課税 贈与税の納税猶予の適用 相続税の納税猶予制度と同様 雇用確保を含む 5 年間の事業継続を行い その後も株式を継続保有 生前贈与により株式の

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

2 b. 廃業 3) 事業承継計画 1 現状の把握 a. 事業承継に係る関係者の状況 中小家の親族関係 その他の関係者 氏名 年齢続柄 備考 氏名年齢 備考 中小太郎 60 歳 本人 T 社の創始者 ( 代表取締役社長 ) A 63 歳 T 社の専務取締役 ( 太郎の右腕 最近病気がち ) 中小花子

テキスト編 第 1 章相続税 贈与税とはなにか 目次 1 相続税が課税される理由 1 2 どれくらいの遺産がある場合 相続税は課税されるか 2 3 贈与税が課税される理由 3 4 相続税と贈与税の関係 4 第 2 章相続人と相続分 1 相続人と相続順位 5 2 相続の承認と放棄 14 3 相続人の相

配偶者居住権の相続税評価額について 2018/12/28 田口税理士事務所 平成 30 年の民法改正により 配偶者の居住権を保護するために配偶者居住権が新設されましたが 相続税の評価にどう影響させるかについて 今回の税制改正大綱に記載されています まず 前提となる配偶者居住権について 説明します 1

目 次 最近における相続税の課税割合 負担割合及び税収の推移 1 地価公示価格指数と基礎控除(58 年 =100) の推移 2 最近における相続税の税率構造の推移 3 小規模宅地等の課税の特例の推移 4 相続税負担の推移( 東京都区部のケース ) 5 ( 補足資料 ) 相続税の概要 6 相続税の仕組

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[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

7.関係会社の概要

(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除

第 5 章 N

なぜ法人化するのか? 所得税 住民税 事業税 社会保険 医療費が高い! それは 所得 (= 収入 - 経費 ) が高いからです すべてにかかわります 特に所得税は超過累進税率です 住民税 :10% 事業税 ( 不動産 ):5% どういう場合に法人化するのか? 相続税対策が終わった場合 相続税が発生し

( 資産の部 ) ( 負債の部 ) Ⅰ 特定資産の部 1. 流動負債 366,211,036 1 年内返済予定 1. 流動資産 580,621,275 特定社債 302,000,000 信託預金 580,621,275 事業未払金 2,363, 固定資産 6,029,788,716 未払

将来 = 何年後 どのような状況になった時を明確に 誰に = 親族とは限らない どのように = 相続や提携や合併などの方法 どのような事業 = 既存事業とは限らない他事業との連携や転換も 自分や従業員 = 将来の家族も含めた生活保障重要な要素である 戦略を立て それを課題ごとに 時系列的に落とし込ん

2011年度税制改正大綱(相続・贈与税)

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このうち 申告納税額がある方 ( 納税人員 ) は640 万 8 千人で は41 兆 4,298 億円 申告納税額は3 兆 2,037 億円となっており 平成 28 年分と比較すると 人数 (+0.6%) (+ 3.4%) 及び申告納税額 (+4.6%) はいずれも増加しました 所得者区分別の状況イ

とを条件とし かつ本事業譲渡の対価全額の支払と引き換えに 譲渡人の費用負担の下に 譲渡資産を譲受人に引き渡すものとする 2. 前項に基づく譲渡資産の引渡により 当該引渡の時点で 譲渡資産に係る譲渡人の全ての権利 権限 及び地位が譲受人に譲渡され 移転するものとする 第 5 条 ( 譲渡人の善管注意義

相続税計算 例 不動産等の評価財産の課税評価額が 4 億 8 千万円 生命保険金の受取額が 2 千万円 現金 預金等が 4 千万円 ローン等の債務及び葬式費用等が 3 千万円である場合の相続税を計算します 相続人は妻と 2 人の子供の 3 人です ( 評価額を計算するには専門知識を要します 必ず概算

おき 太郎様 Inheritance Report 相続診断書 税理士法人おき会計 平成 28 年 7 月 20 日作成

未成年者控除 障害者控除の見直し 未成年者控除 障害者控除 6 万円 20 歳に達するまでの年数 6 万円 ( 特別障害者 :12 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 10 万円 20 歳に達するまでの年数 10 万円 ( 特別障害者 :20 万円 ) 85 歳に達するまでの年数 小規模宅地等につ

平成 22 年 4 月 1 日現在の法令等に準拠 UP!Consulting Up Newsletter 無対価での会社分割 バックナンバーは 当事務所のホームページで参照できます 1

住宅取得等資金の贈与に係る贈与税の非課税制度の改正

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[2] 財務上の影響 自己株式を 取得 した場合には 通常の有価証券の Ⅰ. 株主資本 ように資産に計上することはせず 株主との間の資本取 1. 資本金 引と考え その取得原価をもって純資産の部の株主資本 2. 資本剰余金 (1) 資本準備金 から控除します そのため 貸借対照表上の表示は金額 (2

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事業承継税制の概要 事業承継税制は である受贈者 相続人等が 円滑化法の認定を受けている非上場会社の株式等を贈与又は相続等により取得した場合において その非上場株式等に係る贈与税 相続税について 一定の要件のもと その納税を猶予し の死亡等により 納税が猶予されている贈与税 相続税の納付が免除される

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教育資金の一括贈与に係る非課税特例の創設

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第28期貸借対照表

住宅取得等資金贈与の非課税特例 教育資金一括贈与の非課税特例 結婚 子育て資金贈与の非課税特例 相続時精算課税制度 贈与者 贈与年の 1 月 1 日現在で 60 歳以上の父母または祖父母 受贈者 贈与者の直系卑属 ( 子 孫 ひ孫等 ) で贈与の年の 1 月 1 日現在 20 歳以上 受贈年の合計所

5 適用手続 ⑴ 相続時精算課税の適用を受けようとする受贈者は 贈与を受けた財産に係る贈与税の申告期間内に 相続時精算課税選択届出書 ( 贈与者ごとに作成が必要 ) を贈与税の申告書に添付して 納税地の所轄税務署長に提出する ( 相法 21の92) なお 提出された当該届出書は撤回することができない

暦年課税の贈与を毎年する人のデータ 暦年課税の贈与は 現金を贈与するのか不動産を贈与するのかで違ってきます 土地は路線価方式または倍率方式で評価し建物は固定資産税評価額で評価しますので 現金での贈与の場合よりも税率は低くなります ただし不動産の贈与では 土地や建物の贈与または共有持分の贈与になります

株式併合、単元株式数の変更および定款の一部変更に関するお知らせ

〔問 1〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか

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(4) 併合により減少する株主数本株式併合を行った場合 10 株未満の株式のみご所有の株主様 156 名 ( そのご所有株式数の合計は 198 株 ) が株主たる地位を失うことになります なお 当社の単元未満株式をご所有の株主様は 会社法第 192 条 1 項の定めにより その単元未満株式を買い取る

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Transcription:

従業員 10 数名の会社から1,000 人近くの会社まで 売上高 5,000 万円規模の会社から150 億円超規模の会社までそれこそ多種多様な会社の事業承継に携わってきた執筆陣が 日頃の経験から知っておいて欲しい数字 取りうる選択肢及びその理由をあますことなく解説します また 身内による事業承継に絞った部分では その得難い有利さとその前に立ちはだかる障害の克服手法まで他にないユニークな視点をもって展開していきます 第 4 回目の今回は自社株の後継者への移転や相続による事業用資産の移転の手法等 事業承継の具体的な方法について解説していきます 目 次 1 経営権 の承継とは 71 (1) 経営権 とは 71 (2) 中小企業固有の 経営権 における課題と影響 71 (3) 経営権 承継のポイントとプロセス 71 2 事業用不動産の承継の取組みの必要性 77 (1) 事業用不動産を取り巻く課題 77 (2) 事業用不動産を保有しない場合のリスク 77 3 個人保証の承継の取組みの必要性 79 (1) 個人保証 79 (2) 担保提供 80 4 自社株式の承継の取組みの必要性 82 (1) 株主の権利 82 (2) 株式を保有しない場合のリスクと対処法 82 (3) 自社株式の承継への対応策 84 5 経営権 財産 事業 の承継バランスと事業承継プラン 85 70 スタッフアドバイザー 2012.7

1 経営権 の承継とは 1 1 自社株式 多くの中小企業の特性である経営者はオーナー株主である 2 事業用不動産 事業に必要な不動産の保有が必要 3 連帯保証 事業に必要な借入金への保証の必要性 2 図表 1 中小企業の 経営権 における特性と事業承継への影響 中小企業の特性 経営者を中心とした同族関係者が 自社株式の大半を保有している 会社の所有と経営が一致している 資金調達を借入金に頼る割合が高い 借入に対して経営者の個人保証や個人資産の担保を提供している場合が多い 経営者個人名義の不動産を事業のために使用するなど 家業と企業が密接な関係を持つことが多い 事業承継への影響 後継者に代表取締役社長の地位を譲っただけでは事業承継にならず 同時に会社の経営権 (= 自社株式 ) も譲る必要がある 経営者が負担するリスクが大きいため 後継者を探す際に大きな障害となる 資産の引継ぎ 切り分けの問題で 親族外への事業承継がリスクとなることがある 3 1 経営権承継の あるべき姿 2012.7 スタッフアドバイザー 71

図表 2 経営権の承継 のモデルプロセス STEP1 STEP2 2/3 STEP3 STEP1 STEP2 72 スタッフアドバイザー 2012.7

STEP3 図表 3 遺言によっても排除できない相続人の権利 = 遺留分 2 後継者への移転方法 相続人 相続財産 ( ) に対する遺留分の割合 ( 子 直系尊属は下記割合を頭数で割る ) 配偶者 配偶者のみ 1/2 子 子のみ 1/2 直系尊属 ( 父母 祖父母 ) のみ 兄弟姉妹のみ 配偶者と子 1/4 1/4 直系尊属 1/3 配偶者と直系尊属 1/3 1/6 兄弟姉妹 配偶者と兄弟姉妹 1/2 無 相続財産 = ( 相続時の財産 + 原則 被相続人死亡の 1 年前までに贈与した財産 )- ( 被相続人の相続時の負債 ) 無 (a) 売買による場合 2012.7 スタッフアドバイザー 73

(b) 売買先の検討 図表 4 自社株式の売買先毎のメリット デメリット ( 個人株主からの買取の場合 ) 売却先売買価額メリットデメリット 後継者 会社 ( 自社 ) 財産評価基本通達による評価額 法人税法上の時価 持株会社 法人税法 ( 後継者に上の時価よる新設 ) 直接持株比率が増大 売買価格が他の手法に比べて安くなりやすい 発行済株式総数の減少による後継者の持株比率の増大 間接的に持株比率が増大 間接保有による将来の株価上昇の軽減 後継者自身での資金手当てが必要 売買価格が高くなりやすい みなし配当 課税により納税額が増加しやすい 会社の純資産額が減少し 信用力が下がる 売買価額が高くなりやすい 借入を実施した場合 返済原資の検討が必要 74 スタッフアドバイザー 2012.7

(c) 贈与による場合 図表 6 相続時精算課税制度のイメージ図 図表 5 株式に対する贈与税と所得税等の税率比較表 65 20 20 2,500 贈与の場合 基礎控除後の課税価格 税率 控除額 200 万円以下 10% - 300 万円以下 15% 10 万円 400 万円以下 20% 25 万円 600 万円以下 30% 65 万円 1,000 万円以下 40% 125 万円 1,000 万円超 50% 225 万円 売買の場合 譲渡所得に対して一律 20%( 所得税 15 % + 地方税 5%) 2012.7 スタッフアドバイザー 75

(d) まとめ 図表 7 自社株式等の移転手段別のメリット等比較表 移転手段 売 買 贈与暦年課税相続時精算課税 対象者 誰でも良い 誰でも良い 直系卑属 関連税目 所得税 贈与税 相続税 取得者 譲渡者の資金負担 取得者は 譲渡代金を支払うため負担は多大 譲渡者は 譲渡益に対して所得税が課される 贈与税のみの負担だが 税率が高いため 負担も大きい 相続税が適用されるため 負担する税率は贈与税より低い 生前贈与税が 2,500 万円超となると贈与税が一旦課されるため 資金負担が重くなる可能性もある メリット 譲渡代金が譲渡者に入るため 納税資金が確保できる 相続時の財産が減少するため 贈与時 の価格で相続することになるため 節税対策としては有効である価値の上昇が見込める財産には有効 デメリット 相続税上の節税対策にはならない 基礎控除額毎年 110 万円しかないため 財産移転に時間がかかる 価値が減少しても 贈与時 の価格で相続税の支払いをすることになる このほか 贈与者や受贈者の年齢等一定の要件があります 76 スタッフアドバイザー 2012.7

2 事業用不動産の承継の取組みの必要性 1 8 100 80 60 40 20 0 34.3 7.9 10.1 20.5 27.2 31.9 6.8 8.9 21.8 30.6 38.0 11.2 17.8 33.0 0.0 2006 10 2 2012.7 スタッフアドバイザー 77

図表 9 事業用不動産が事業に関係のない親族の手に渡った場合のリスク 1 賃料の大幅な増額要求リスク 2 第三者への売却リスク 3 金融機関への担保提供の拒否 4 高額な価格での買取請求 5 非換金資産であるため相続時の納税資金リスク 図表 10 事業用不動産の所有状況とその移転について 26.2 N=3,003 51.4 N=5,234 28.3 28.3 85.6 31.1 2009 12 図表 11 事業用不動産の移転先毎のメリット デメリット 移転先 メリット デメリット 会社 ( 自社 ) 直接保有による経営基盤の安定化 買取資金流出による資金繰り懸念 財務状況の脆弱化 後継者 間接保有による経営基盤の安定化 買取資金の確保 将来の相続税の権利分散懸念 78 スタッフアドバイザー 2012.7

図表 12 事例事業用借地契約 対策 下記条項の契約 ( 事業用借地権等 ) を ( 事業用不動産の所有者である ) 現経営者と会社で締結しておく 効果 後継者以外の相続人がその不動産を相続した 場合でも 会社の借地権は存続する 3 個人保証の承継の取組みの必要性 1 13 40 37.5 36.6 35 33.8 32.8 30 28.4 26.5 25 20 1 5 6 20 21 50 51 100 101 300 301 2006 2012.7 スタッフアドバイザー 79

14 40 36.6 30 22.5 20 11.6 10 7.3 4.5 1.3 0 1 5 6 20 21 50 51 100 101 300 301 2006 2 図表 15 個人保証切り替えイメージ H24.7.31 現在 後継者のみの保証に切り替わる 債務保証借入日返済期日現在 1 年後 2 年後 3 年後 4 年後 5 年後 6 年後 7 年後 8 年後 9 年後 10 年後 A 銀行証書借入 H21.1.31 H26.1.31 現経営者現経営者現経営者 - - - - - - - - A 銀行手形借入 H24.5.31 H24.11.30 現経営者 - - - - - - - - - - B 銀行証書借入 H22.8.31 H25.8.31 現経営者現経営者 - - - - - - - - - C 銀行証書借入 H25.7.31 H32.7.31 - D 銀行手形借入 H24.3.31 H25.3.31 - E 銀行社債 H26.1.31 H32.1.31 - - - - - - - - - - - - - - - - - F 銀行証書借入 H29.1.31 H32.1.31 - - - - - 後継者後継者後継者後継者後継者 - 80 スタッフアドバイザー 2012.7

16 40 30 20 10 0 37.6 33.0 11.7 17 5 60 50 40 30 20 10 0 6.1 10.6 12.5 26.5 15.1 54.4 8.3 17.8 図表 18 対処策例 1 ( 対象資産を引き継いだ者と協議の上 ) 従来から担保提供されていた資産を引続き担保提供してもらう 2 3 4 後継者の個人資産など代替の担保物件を用意する 金融機関に担保を外してもらう 承継前に債務を圧縮する 5 後継者の個人保証等の負担を軽減できるよう金融機関と粘り強く交渉する 6 後継者に対して個人保証などの負担に応じた報酬を用意する ただし 1~3 は ハードルが高いので 4~6 等で 後継者の負担を 減少させるための準備をすることが大切です 1. 2. 2007 3. 2006 2001 5 2012.7 スタッフアドバイザー 81

4 自社株式の承継の取組みの必要性 1 図表 19 主な株式の権利 権利の内容概要 配当請求権 議決権 株式の譲渡承認請求 ( 及びそれに伴う買取請求権 ) ( 反対株主の ) 買取請求権 ( 役員に対する ) 違法行為等の差止請求権 定款 計算書類等の閲覧請求権 配当を受ける権利 株主総会において議決権を行使する権利 非公開会社 ( 株式譲渡制限会社 ) において 株式を譲渡等する際に会社にその承認を求める権利及び承認しない場合にその株式を買い取るよう請求する権利 組織再編 一部定款変更等の際にその行為に反対する株主が会社に対して保有株式を買い取るよう請求する権利 非公開会社 ( 株式譲渡制限会社 ) においては保有期間を問わず 原則として 1 株でも有する株主は提訴可能 ( 公開会社においては 6 か月前から株式を保有していることが条件 ) 定款 貸借対照表等の計算書類などの閲覧を求める権利 ( 役員に対する ) 責任追及等の訴え 非公開会社 ( 株式譲渡制限会社 ) においては保有期間を問わず 原則として 1 株でも有する株主は提訴可能 ( 公開会社においては 6 か月前から株式を保有していることが条件 ) 請求額の多寡にかかわらず 裁判所に納める費用は一律 1 万 3,000 円 図表 20 主な議決権数ごとの決議内容一覧 種類決議要件主な決議事項 普通決議 特別決議 原則 議決権の過半数を有する株主が出席して その株主の議決権の過半数 原則 議決権の過半数を有する株主が出席して その株主の議決権の 3 分の 2 以上 役員報酬等の決議 剰余金の配当決議 役員の選任決議 定款変更決議 事業譲渡決議 解散決議 組織再編決議 ( 組織変更を除く ) 2 82 スタッフアドバイザー 2012.7

図表 21 少数株主が存在することで起こり得る リスク と予想されるコスト 想定時少数株主の権利行使予想されるコスト備考 現経営者死亡後 現経営者死亡後 経営者 変更後 ( 後継者経営時 ) 組織再編時 ( 合併 分割等 ) 株券発行会社 非公開会社 ( 株式譲渡制限会社 ) における株式の譲渡承認請求権 ( 買取請求権 ) 株主から 会社もしくは後継者に対する保有株式買取の要求 ( 無益な ) 株主代表訴訟 計算書類等の閲覧請求その他株主としての権利行使の 濫用 ( 反対株主による ) 株式買取請求権 株券の占有者からの 株主 としての権利主張や保有株式買取の要求 株式の購入コスト 株価算定のための訴訟コスト ( 弁護士コスト 鑑定コストなど ) 相手方との交渉 訴訟遂行における労力 株式の購入コスト 相手方との交渉における労力 訴訟継続のためのコスト ( 弁護士コストなど ) 訴訟遂行における労力 株主への対応における労力 株式の購入コスト 株価算定のための訴訟コスト ( 弁護士コスト 鑑定コストなど ) 相手方との交渉 訴訟遂行における労力 相手方との交渉における労力その他 株主への対応における労力 株式の購入コスト 会社にとって好ましくない第三者への売買を阻止するためには会社もしくは後継者が買い取らざるを得ない 拒否した場合には その株主から株主の権利を濫用されるリスクその他後継者の円滑な経営を阻害する行為を行う可能性がある 経営に関与していない株主との間に感情的な対立が生まれた場合 金銭的なメリットの有無にかかわらず 円滑な経営を阻害する行為を行う可能性がある 円滑な事業承継の一環として株式交換その他の組織再編を行う場合があるが 買取請求権の行使により その手法を選択することが困難になる 無権利者 ( 株券を拾った人や盗んだ人 ) の所持する株券を譲り受けた場合に 譲受人が 譲渡人が無権利であること を知らず かつ知らないことに重過失がなければ その譲受人は株主としての権利を取得する 図表 22 経営に関与しない少数株主が存在する主な例 主な例 平成 2 年以前設立の株式会社 大株主の相続 少数株主の相続 株式の生前贈与 内容その他 当時 株式会社設立のためには発起人 7 名以上必要だったため 経営に関与しない者の名義を借りて設立するケースが存在した ( 名義借りの状態が続いている もしくは 持ち合い状態がそのままになっている ) 相続税や法定相続分を考慮しすぎて 株式が複数の相続人に分散した 株主の変更により 新しい株主の把握ができず 放置されている 相続税対策のみを考えて 経営に関与する予定のない者を含めた複数の親族 ( 推定相続人 ) に 贈与税が出ない範囲で株式を贈与 2012.7 スタッフアドバイザー 83

図表 23 会社法上の買取請求における株価決定の流れ 当事者間での合意 裁判所による 決定 お互いの主張の折り合った株価となる ( 当事者間で合意できない場合 ) 1 当事者が株価評価の鑑定書を裁判所に提出し株価算定を求める 自己に有利な株価の算定方法を主張 2 裁判所の裁量により株価を決定する 株価算定方式 ( 時価純資産方式 類似業種比準方式など ) のうちどれを採用するか その他どのような前提条件を考慮するかなどは 裁判所自身が検討し 決定する 当事者の予期しない株価が決定される可能性もある 3 図表 24 株式買取請求 67 3 9 3 2/3 1/3 2/3 1/3 84 スタッフアドバイザー 2012.7

5 経営権 財産 事業 の承継バランスと 事業承継プラン 事業承継プラン案 ( 抜粋 ) 生前に後継者へ株式集約をさせます ( プラン抜粋 ) 2012/7/31 現在 項目現在 1 年後 2 年後 3 年後 4 年後 5 年後 6 年後 7 年後 8 年後 9 年後 10 年後 親族 15% 15% 15% 15% 15% 15% 15% 15% 15% 15% 0% 現経営者 70% 70% 35% 35% 35% 35% 0% 0% 0% 0% 0% 後継者 10% 15% 50% 50% 50% 50% 85% 85% 85% 85% 100% その他 5% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 0% 移転方法 - 売買売買売買売買売買売買売買売買売買売買 債務保証 A 銀行証書借入現経営者現経営者現経営者 - - - - - - - - A 銀行手形借入現経営者 - - - - - - - - - - B 銀行証書借入現経営者現経営者 - - - - - - - - - C 銀行証書借入 - D 銀行手形借入 - E 銀行社債 - - - - - - - - - - - - - - - - - F 銀行証書借入 - - 後継者後継者後継者後継者後継者 - 随時 個人保証を後継者へスライドさせていきます 2012.7 スタッフアドバイザー 85