平成 25 年度の県内の児童相談所が相談対応した被虐待児童の年齢構成を見ると 0~ 学齢前だけで全体の 41.6% を占めています 平成 25 年度被虐待児の年齢構成 ( 県 ) 中学生 11.9% 高校生 その他 7.1% 3 歳未満 20.3% 小学生 39.5% 3 歳 ~ 学齢前児童 21.

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⑤5 地方公共団体における検証等に関する調査結果

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乳児家庭全戸訪問事業(一部改正)

はじめての子どもが生まれる前に 赤ちゃんの世話をしたことがある割合 (25 年度と 20 年度の 比較 ) 利用ニーズ把握のための調査 ( 平成 20 年 ( 市民意識調査 ) 25 年 ( 未就学児 )) < 平成 20 年 > 無回答 2.9% < 平成 25 年 > 無回答 %

併せて 妊娠 出産 更年期など女性特有の生涯にわたる健康問題を気軽に相談できるよう 対 応を充実させる必要があります はじめての子どもが生まれる前に 赤ちゃんの世話をしたことがある割合 (25 年度と 20 年度の 比較 ) 横浜市利用ニーズ把握のための調査 ( 平成 20 年 ( 市民意識調査 )

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時期場面子ども自身の問題 乳 児 期 乳児訪問 1~2 か月訪問 乳児健診 (3~4 か月 7~8 か月 10 か月 ) 健診時に要チェック項目がある ( 体重増加が悪い 先天性の疾患がある等 ) 既往歴がある ( 硬膜下血腫 頭蓋骨骨折 ) 気持ちを苛立たせるような泣き声 あやしても泣き止まない

Ⅲ 各種施策及び事業の動向 第 1 妊娠 出産期から乳幼児期にかけての子育て支援 4 乳児健康診査 (1) 根拠法令等 母子保健法 厚生省児童家庭局長通知 仙台市乳児健康診査実施要領 (2) 制度の概要 事業目的 対象者 実施機関 一般健康診査 精密健康診査 乳児の心身の異常を早期に発見し, 早期に

スライド 1

児童虐待防止対策体制総合強化プラン 平成 30 年 12 月 18 日 児童虐待防止対策に関する関係府省庁連絡会議決定 1. 目的 2016 年 5 月に全会一致で成立した児童福祉法等の一部を改正する法律 ( 平成 28 年法律第 63 号 以下 平成 28 年改正法 という ) においては 子ども

資料1-1 HTLV-1母子感染対策事業における妊婦健康診査とフォローアップ等の状況について

1. 子育て短期支援事業の概要 根拠法 子育て短期支援事業 は 児童福祉法 ( 昭和 22 年法律第 164 号 以下 法 という ) 第 6 条の 3 第 3 項に規定する市町村が実施する事業 用語の意味 児童 児童福祉法第 4 条に規定する者をいう 保護者 児童福祉法第 6 条に規定する者をいう

乳幼児健康診査について

別添2 乳児家庭全戸訪問事業の実施状況

愛知県アルコール健康障害対策推進計画 の概要 Ⅰ はじめに 1 計画策定の趣旨酒類は私たちの生活に豊かさと潤いを与える一方で 多量の飲酒 未成年者や妊婦の飲酒等の不適切な飲酒は アルコール健康障害の原因となる アルコール健康障害は 本人の健康問題だけでなく 家族への深刻な影響や飲酒運転 自殺等の重大

横浜市育児支援家庭訪問事業実施要綱 制 定平成 17 年 5 月 20 日福子地第 126 号 最近改正平成 28 年 10 月 1 日ここ第 2713 号 ( 目的 ) 第 1 条この要綱は 児童福祉法 ( 法律第 164 号 昭和 22 年 12 月 12 日 ) 第 21 条の10の2 及び養

目次 1 目的 4P 2 運用 5P 3 妊婦 親子連絡票を用いた連携手順 6P 資料 [ 別紙 1] 気がかりな妊婦 親子管理台帳 [ 別紙 2] 妊婦 親子連絡票 ( 発信用 ) [ 別紙 3] 妊婦 親子連絡票 ( 返信用 ) [ 別紙 4] 気がかりな妊婦 親子管理台帳 ( 受信 ) [ 添

スライド 1

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(1) 庁内外の関係機関と密に連携を図りつつ必要に応じてひとり親家庭を訪問 1 背景ひとり親家庭からの相談窓口に寄せられる相談件数は増加傾向にある また養育に問題を抱える父母からの相談 父母や子どもが精神的に不安定であるケースに関する相談等 相談内容やその背景も複雑化してきていることから 碧南市では

安心して育 子育てに自信 集計後設定 児ができる母が持てない母 親の増加 親の割合 父親の育児参加に満足する母親の割合 産後うつ病のリスクのある産婦の割合 子どもの健やかな成長のためには 母親が安心かつ自信を持って育児することが重要である 引き続き 育児不安の軽減や虐待予防に取り組む必要があり 健や


会場対象者申込み方法 刈谷市保健セン初妊婦とその夫保健師 助産師 保育士電話または来所で予約ふれあい遊び 沐浴体験 妊婦体験 ハイリスク者向け事業 ( 多胎児 外国人 転入者対象 MCG 等 ) 名称時期 回数会場対象者申込み方法 マタニティサロン 広場等 名称フレッシュ ママクラスマタニティーサロ

3 母子保健事業の量の見込みと提供体制 1 安心して妊娠期を過ごし出産を迎えることができる 親になるための準備と産じょく期の支援 子どもや母親の健康の確保 (1) 母子健康手帳の発行 現状と課題妊娠 出産期から子育てまでの途切れない支援の出発点として 母子健康手帳の交付を保健師が行うことで 妊婦の健


【資料3】「児童福祉法等の一部を改正する法律」の概要(7.22現在)

歯科中間報告(案)概要

学力向上のための取り組み

⑦7 課題と提言

基本標 2 子育てを楽しむことができる () 子どもの成長に応じた関わりができる (2) 気持ちにゆとりを持ち子育てができる エジンバラ産後うつ病質問紙票実施率 ( 5) 楽しく子育てしている割合 (.6 歳児 ) ( 6) 楽しく子育てしている割合 ( 7) 心と体が順調と答えた保護者の割合 (.

Microsoft Word 医療団体用通知.docx

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Microsoft PowerPoint - 中板委員提出資料

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1 子ども 子育て支援新制度がはじまります 子ども 子育て支援法 等の成立により すべての子どもと子育て家庭を総合的に支援していく 子ども 子育て支援新制度 が平成 27 年 4 月から全国的にスタートします 子ども 子育て支援新制度 では 幼稚園や保育所 地域の子育て支援の充実を図るとともに 認定

1 現状と課題

Microsoft Word - ☆結果の概要.doc

45,000 ( 人 ) 40,000 乳少幼年児人人口口 35,000 < 世田谷区の人口の推移 > 世田谷区の総人口 児童人口ともに増加傾向にあり 特に乳幼児の増加が著しい <この 5 年間の人口の増減 ( 平成 22 年 27 年 )> 総人口 26,985 人増 0~5 歳の人口 4,904

希望をかなえるまちづくり 結婚 出産 子育て 結婚 出産 子育ての希望実現 1 結婚や出産に対する支援の充実 一人ひとりが結婚や出産について諦めることなく取 り組める環境をつくることによって まちに家族を持つこ との幸せをもたらします 結婚を希望する人の未婚率の改善 結婚や妊娠 出産に関するライフプ

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要保護児童対策地域協議会の支援対象3 母子保健 子育て支援における児童福祉分野との役割分担 ~ 杉並区の要保護児童対策地域協議会の仕組み~ (1) 進行管理の役割分担杉並区では平成 24 年 6 月 児童福祉法や関係法令 通知に基づき 杉並区要保護児童対策地域協議会設置要綱を改正し 子ども家庭支援セ

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市町村名 岡崎市 窓口 岡崎市保健部健康増進課 住所 岡崎市若宮町 2 丁目 1 番地 1 電話 FAX URL

- 目次 - Ⅰ 計画策定の趣旨等 1 Ⅱ 船橋市における自殺の現状 2 Ⅲ 船橋市の自殺対策における取組 3 Ⅳ 船橋市の自殺対策推進体制 6

かわごえ子育てプラン(川越市次世代育成支援対策行動計画)

長野県プレスリリース 平成16年7月23日

13 Ⅱ-1-(2)-2 経営の改善や業務の実行性を高める取組に指導力を発揮している Ⅱ-2 福祉人材の確保 育成 Ⅱ-2-(1) 福祉人材の確保 育成計画 人事管理の体制が整備されている 14 Ⅱ-2-(1)-1 必要な福祉人材の確保 定着等に関する具体的な計画が確立し 取組が実施されている 15

Ⅰ 基本構想の策定 1 策定の趣旨魚津市では 平成 14 年から毎年 1 か所ずつ分娩施設の休業等が続き 平成 18 年 8 月には 市内には分娩できる施設がなくなりました 以来 魚津市民や里帰りされる方々は 止むを得ず市外で出産せざるを得ない状況となっていました この間 多くの市民からは 市内で安

出産・育児調査2018~妊娠・出産・育児の各期において、女性の満足度に影響する意識や行動は異なる。多くは子どもの人数によっても違い、各期で周囲がとるべき行動は変わっていく~

PowerPoint プレゼンテーション

赤ちゃんのために 出生届 生まれた日から 1 4 日以内に届け出てください 出生地 本籍地 住所地のいずれかの区市町村窓口で受け付けます 出生届 をご覧ください 帰島後訪問 出産後に帰島されたお子様の発育 栄養 生活環境 疾病予防等必要に応じて保健師が訪問し 相談を行います また 村の母子健康事業の

に養育されるよう また 児童を家庭及び当該養育環境において養育することが適当でない場合は 児童ができる限り 良好な家庭的環境 において養育されるよう 必要な措置を講ずることとする ( 同法第 3 条の2) なお 家庭 とは 実父母や親族等を養育者とする環境を 家庭における養育環境と同様の養育環境 と

奈良市母子保健計画

和光市保育の必要性の認定に関する条例施行規則 ( 制定準備資料 ) 資料 2 1 条例第 3 条第 1 項関係 ( 保育の必要性の基準 ) 市長は 小学校就学前子どものうちその保護者のいずれもが次の各号のいずれかの事由 ( 以下 保育の必要性の基準 という ) に該当するものを法第 19 条第 1

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

計画の概要 太田市地域福祉計画 太田市地域福祉活動計画とは? 太田市地域福祉計画市民のみなさまからご意見を伺いながら作成した 今後の地域福祉の方向性 将来像を示した太田市の計画です 太田市地域福祉活動計画社会福祉法人太田市社会福祉協議会が策定した 地域の社会福祉を推進するための具体的な活動計画です

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第2節 茨木市の現況

Microsoft PowerPoint - 参考資料

事務連絡 平成 26 年 11 月 12 日 各 都道府県 政 令 市 特 別 区 母子保健主管部 ( 局 ) 御中 厚生労働省雇用均等 児童家庭局母子保健課 健やか親子 21( 第 2 次 ) の指標及び目標の決定並びに今後の調査方法について 母子保健行政及び 健やか親子 21 の推進につきまして

保健師管理栄養士 窓口 電話 FAX メール 保健師 栄養士の会に分けることで よりきめ細かな内容になっている 就労している方にも参加しやすいように 土曜日開催日を設けている ハイリスク者向け事業 ( 多胎児 外国人 転入者対象 MCG 等 ) ティーンズママの会 ( 子ども ノーバディズパーフェク

PowerPoint プレゼンテーション

Microsoft Word - P11~19第2部② 母子保健の現状

1 発達とそのメカニズム 7/21 幼児教育 保育に関する理解を深め 適切 (1) 幼児教育 保育の意義 2 幼児教育 保育の役割と機能及び現状と課題 8/21 12/15 2/13 3 幼児教育 保育と児童福祉の関係性 12/19 な環境を構成し 個々 1 幼児期にふさわしい生活 7/21 12/

Microsoft Word - ㆤㆥ㆓.doc

整整合合 本計画は 第三次宜野湾市総合計画 ( 案 ) に則するものとして位置づけられます また 第 2 次宜野湾市男女共同参画計画 や他の関連する計画との整合性をもったものとして定めています 一方 本計画には母子の健康確保を盛り込むことが定められていることから 宜野湾市母子保健計画 は本計画に包含


Microsoft Word - 第1章~第5章.doc

15 第1章妊娠出産子育てをめぐる妻の年齢要因

高齢者虐待防止対応マニュアル別冊 6 関係機関との連携 (1) 各機関の役割 市町村や地域包括支援センター等の関係機関は それぞれ対応可能な範囲があります 範囲を超えた対応は行うことができません また 事例によって関係機関の対応を依頼する場合があります 市町村が中心となるコアメンバー会議によって 大

資料 3 全国精神保健福祉センター長会による自殺予防総合対策センターの業務のあり方に関するアンケート調査の結果全国精神保健福祉センター長会会長田邊等 全国精神保健福祉センター長会は 自殺予防総合対策センターの業務の在り方に関する検討チームにて 参考資料として使用されることを目的として 研修 講演 講

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< 目次 > Ⅰ 基本構想の策定 1 策定の趣旨 2 基本構想の位置づけ 3 現状と課題 めざす姿 4 基本理念 5 基本方針 6 基本方針を実現するために 7 新施設のイメージ Ⅱ 各機能の概要 1 分娩できる施設 ( 産科施設 ) (1) 整備の背景 (2) 整備の概要 (3) 新生児への対応

第2節 茨木市の現況

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資料 1 ~ ケース会議会議に向けて ~ 児童生徒生徒を理解理解しよう!! ケース会議を開催する前に 児童生徒の情報を整理することはとても大切です 情報を整理する中で 児童生徒に対して あるいは支援の在り方について 新たな発見や可能性を見出すことにつながります アセスメントシートアセスメントシート

柏市母子保健計画

Ⅰ 障害福祉計画の策定にあたって

多くの大学においては 新入生のオリエンテーション時やサークルの代表者に 未成年者の飲酒の防止と イッキ飲み 等過剰飲酒の禁止に関する指導や啓発が行われています また 平成 27 年度からは 県保健所 精神保健福祉センター等が中心となり 大学生向けのアルコール健康障害や適正飲酒の知識に関する出前講座を

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資料 4 医療等に関する個人情報 の範囲について 検討事項 医療等分野において情報の利活用と保護を推進する観点から 医療等に関する個人情報 の範囲をどのように定めるべきか 個別法の対象となる個人情報としては まずは 医療機関などにおいて取り扱われる個人情報が考えられるが そのほかに 介護関係 保健関

9 ( ) 養育支援訪問事業 家族等から日中の家事や育児の支援が得られず また 育児ストレスや心身の疾病 養育力の不足などにより不適切な養育状態にあるため 養育支援が必要と認められる家庭に支援を行う事業です 児童虐待の予防の観点からも専門的知識や経験を有する者が相談や指導を行うとともに 養育支援ヘル


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Taro-H291228改正通知 新生児聴覚検査の実施について(課長通知)

府立高校 <P138> 支援学校 <P138> 保健センター <P139> 支援の必要な家庭の発見 子ども 保護者 親族からの相談 登校状況などを通して支援の必要な家庭を発見 (P50 表 2-3-4) 4 割程度が保護者の相談支援を実施 (P4 図 2-1-2) ケースに対応する中での課題として

出産・育児に関する実態調査(2014)

2 保険者協議会からの意見 ( 医療法第 30 条の 4 第 14 項の規定に基づく意見聴取 ) (1) 照会日平成 28 年 3 月 3 日 ( 同日開催の保険者協議会において説明も実施 ) (2) 期限平成 28 年 3 月 30 日 (3) 意見数 25 件 ( 総論 3 件 各論 22 件

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

第3部 次世代育成支援対策(前期行動計画) 第3章 子どもの心身の健やかな成長に資する教育環境の整備

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Microsoft PowerPoint - 1-③-中根先生)300129全国保健所長会研修会

アレルギー疾患対策基本法 ( 平成二十六年六月二十七日法律第九十八号 ) 最終改正 : 平成二六年六月一三日法律第六七号 第一章総則 ( 第一条 第十条 ) 第二章アレルギー疾患対策基本指針等 ( 第十一条 第十三条 ) 第三章基本的施策第一節アレルギー疾患の重症化の予防及び症状の軽減 ( 第十四条

Microsoft Word - 児扶法改正(Q&A)

Transcription:

(3) 妊娠期からの児童虐待防止の促進 健やか親子 21 の最終評価において 児童虐待による死亡数については 現状では年度毎のばらつきが大きく 減少傾向という目標を達成している状況ではないとの評価でした 児童相談所における児童虐待相談の対応件数 については 社会的な関心の高まりによる影響があるものの 年々増加しています これまでの子ども虐待による死亡事例等の検証において 日齢 0 日児の事例では母子健康手帳の未交付や妊婦健康診査未受診の事例が見られるとされており 養育支援を必要とする家庭への妊娠期 出産後早期からの支援を充実することが求められます 県の状況をみると 児童相談所及び市町における児童虐待対応件数が年々増加しており 平成 25 年度においては1,566 件と過去最高となりました 全国の児童相談所で対応した児童虐待対応件数 80,000 70,000 73,765 件 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 56,384 33,408 23,274 6,932 1,171 H3 H5 H7 H9 H11 H13 H15 H17 H19 H21 H23 H25 資料 : 厚生労働省発表 ( 全国 207 か所の児童相談所が把握した児童虐待の件数 ) 栃木県における児童虐待相談対応件数の推移 児童相談所市町村合計 件 1,800 1,600 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 1508 1566 1008 255 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 資料 : こども政策課調べ - 48 -

平成 25 年度の県内の児童相談所が相談対応した被虐待児童の年齢構成を見ると 0~ 学齢前だけで全体の 41.6% を占めています 平成 25 年度被虐待児の年齢構成 ( 県 ) 中学生 11.9% 高校生 その他 7.1% 3 歳未満 20.3% 小学生 39.5% 3 歳 ~ 学齢前児童 21.3% 資料 : 中央児童相談所調べ また 平成 24 年度に全国で把握した心中以外の虐待死事例 (51 人 ) のうち 0 歳児の死亡人数は22 人であり 心中以外の虐待死による死亡人数全体の約 4 割以上を占めています その中でも 生後 24 時間以内の死亡と考えられる日齢 0 日児の死亡事例と日齢 1 日以上月齢 1か月未満児の死亡事例を合わせた0 日 0か月児の心中以外の虐待死事例は11 人でした 0 日 0か月児事例が0 歳児の死亡事例の半数を占めていることがわかります 0 歳児の心中以外の虐待死事故の死亡人数の推移 ( 全国 ) 区分 第 1 次報告第 2 次報告第 3 次報告第 4 次報告第 5 次報告第 6 次報告第 7 次報告第 8 次報告第 9 次報告第 10 次報告 H15 年度 H16 年度 H17 年度 H18 年度 H19 年度 H20 年度 H21 年度 H22 年度 H23 年度 H24 年度 人数 11 23 20 20 37 39 20 23 25 22 240 割合 44.0 46.0 35.7 32.8 47.4 58.2 40.8 45.1 43.1 43.1 44.0 資料 : 社会保障審議会児童部会児童虐待等保護事例の検証に関する専門委員会第 10 次報告 第 1 次報告は 対象期間が平成 15 年 7 月 1 日から同年 12 月末日 ( 半年間 ) 第 5 次報告は平成 19 年 1 月 1 日から平成 20 年 3 月 31 日まで (1 年 3 ヶ月間 ) と 対象期間 ( 月間 ) が他の報告と異なる 総数 0 日 0 か月児事例の死亡人数の推移と 0 歳児の心中以外の虐待死事例における割合 - 49 -

子ども虐待は 身体的 精神的 社会的 経済的等の要因が複雑に絡み合って起こると考えられています しかし それらの要因を多く有しているからといって 必ずしも虐待につながるわけではありません 虐待のおそれを適切に判断するためには リスク要因とともに 虐待を発生させることを防ぐ家族のストレングス ( 強み ) とのバランスを意識してアセスメントすることが重要です 一方で 虐待する保護者には 経済不況等の世相の影響 あるいは少子化 核家族化の影響からくる未経験や未熟さ 育児の知識や技術の不足 さらに世代間連鎖等多岐にわたる背景が見られます また 地域社会からの孤立や人的なサポートの希薄さも感じられます これらの状況を早期から把握して支援につなぐことが虐待の発生予防となり 子どもの生命と人権を守り 子どもの健全な成長 発達を保障することにつながります 子ども虐待はどこにでも起こりうるという認識にたち 通常実施している母子保健事業を充実させることが重要です 虐待発生の主な要因は次のとおりです 妊娠そのものを受容することが困難 ( 望まぬ妊娠 10 代の妊娠 ) 子どもへの愛着形成が十分に行われていない ( 妊娠中に早産等何らかの問題が発生したことで胎児への受容に影響がある 長期入院 ) 保護 マタニティーブルーズや産後うつ病等精神的に不安定な状況者 元来性格が攻撃的 衝動的側 医療につながっていない精神障害 知的障害 慢性疾患 アルコール依存 薬物依存 被虐待経験 育児に対する不安やストレス ( 保護者が未熟等 ) 等 乳児期の子ども子ど 未熟児も 障害児側 何らかの育てにくさを持っている子ども等 未婚を含む単身家庭 内縁者や同居人がいる家庭 虐待に至るおそれのある要因 ( リスク要因 ) 子連れの再婚家庭養 夫婦関係を初め人間関係に問題を抱える家庭育 転居を繰り返す家庭環境 親族や地域社会から孤立した家庭 生計者の失業や転職の繰り返し等で経済不安のある家庭 夫婦不和 配偶者からの暴力等不安定な状況にある家庭 定期的な健康診査を受診しない等 - 50 -

1 母子保健における子ども虐待防止への取組県健康福祉センター ( 保健所 ) や市町の母子保健担当部署は 地域保健対策の推進に関する基本的な指針 ( 平成 6 年厚生省告示第 376 号 ) 等を踏まえ 母子保健活動 精神保健活動 障害児 ( 者 ) への支援活動等様々な地域保健活動を行っています また これらの活動や医療機関との連携を通じて 養育支援が必要な家庭に対して積極的な支援を実施する等虐待の発生防止に向けた取組をはじめ 虐待を受けた子どもとその保護者に対して家族全体を視野に入れた在宅支援を行っています 母子保健における子ども虐待防止への取組については 平成 8 年に 母子保健施策の実施について ( 平成 8 年 11 月 20 日児発第 933 号厚生省児童家庭局長通知 ) の中で 乳幼児健康診査や相談等の母子保健事業において 虐待兆候の早期発見に努めるとともに 保護者の不安や訴えを受け止め 家庭環境等に配慮しながら 学校保健 福祉等の諸施策と連携して 子ども虐待の防止に努めることが明記されています その後も 地域保健における児童虐待防止対策の取組の推進について ( 平成 14 年 6 月 19 日雇児発第 0619001 号厚生労働省健康局長 雇用均等 児童家庭局長通知 ) 地域保健対策の推進に課する基本的な指針の一部を改正する告示について ( 平成 15 年 5 月 1 日厚生労働省告示第 201 号 ) 児童虐待防止対策における適切な対応について ( 平成 16 年 1 月 30 日雇児総発第 0130001 号厚生労働省雇用均等 児童家庭局総務課長通知 ) 家庭の養育力 に着目した母子保健対策の推進について ( 平成 16 年 3 月 31 日雇児母発第 0331001 号厚生労働省雇用均等 児童家庭局母子保健課長通知 ) などの通知が発出され 保健所や市町村保健センター等が 関係機関との適切な連携の下に 養育力の不足している家庭に対して早期に必要な支援を行い 子ども虐待防止対策の取組を推進することが明記されています また 平成 13 年から開始された 健やか親子 21( 母子保健の 2010 年までの国民運動計画 ) においても 保健所 市町村保健センター等ではこれまで明確ではなかった児童虐待対策を母子保健の主要事業の一つとして明確に位置付け 積極的な活動を展開するように提言されています 具体的な取組としては 一次予防として特にハイリスク母子に対して保健師 助産師等の周産期からの家庭訪問等による育児サポートとともに 乳幼児健康診査の場における母親の育児不安や親子関係の状況の把握に努め 未受診児の家庭に対して保健師による訪問指導等を行うなどの対応強化を求めています また 医療機関と地域保健とが協力して虐待を受けた子どもの発見 保護 再発防止 子どもの心身の治療 親子関係の修復 長期のフォローアップについての取組を進めるよう求めています - 51 -

2 一次予防の取組 妊娠から分娩まで 母子保健事業は 子ども虐待に対して 予防的な関わりができる重要な役割をもっています 育児不安が危惧されるハイリスク妊婦のスクリーニングによる早期発見と支援が重要です 母子健康手帳を発行する際に 各種の母子保健事業案内や妊娠出産に関するパンフレット等を渡し 妊婦が自己の健康管理を行っていくことの動機づけを行います 特定妊婦は児童福祉法第 6 条で 養育支援訪問事業を行う対象者のひとつとして 出産後の養育について出産前から支援を行うことが特に必要と認められる妊婦 とされています また 児童福祉法第 25 条の 2 では 地方公共団体は 単独でまたは共同して 要保護児童の適切な保護または要支援児童もしくは特定妊婦への適切な支援を図るため ( 中略 ) 要保護児童対策地域協議会を置く とされ ネットワークで支援する対象者でもあります 特定妊婦は 妊娠中から支援を行うことで養育環境が改善される または悪化を防ぐことができる対象者であり 以下のように整理して考えることができます アすでに養育の問題がある妊婦要保護児童 養育支援児童を養育している妊婦イ支援者がいない妊婦未婚またはひとり親で親族など身近な支援者がいない妊婦 夫の協力が得られない妊婦などウ妊婦の自覚がない 知識がない妊婦 出産の準備をしていない妊婦エ望まない妊娠をした妊婦育てられない もしくはその思い込みがある 婚外で妊娠をした妊婦 すでに多くの子どもを養育しているが経済的に困窮している状態で妊娠した妊婦などオ若年妊婦カこころの問題がある妊婦 知的な課題がある妊婦 アルコール依存 薬物依存などキ経済的に困窮している妊婦ク妊娠届の未提出 母子健康手帳未交付 妊婦健康診査未受診または受診回数の少ない妊婦 ( 未受診となった背景を把握することが重要 ) このような対象層は 妊娠届出を行わず妊婦健康診査を受診しない場合も多いため 既存の行政サービスだけで把握することは困難であり 分娩を取り扱う医療機関や要保護児童対策地域協議会など関係機関との連携を強化することが重要です また 母親 ( 両親 ) 学級などへの参加を勧めることも大切です 平成 25 年の人口動態調査の結果では 99.8% の分娩が病院 診療所 助産所で行われており 多くの人たちは病院等においても さまざまな教室の受講の機会があります しかし 近隣社会と孤立しがちな母親たちにとっては 居住地域においてのお互いの出会いの場が必要であり 母親 ( 両親 ) 学級においても正しい知識の提供だけでなく 不安の軽減や友達づくりをするなど お互いに交流できる場の提供が望まれます さらに 妊娠中の病院等で行われる健康診査の場や母親 ( 両親 ) 学級等でハイリスク妊婦が発見されることもあり 医療機関等と地域とのつながりを基盤とした助産師 看護師 保健師によるフォローアップが今後期待されます - 52 -

医療機関等から家庭へ 一般的に 産後 1ヶ月間は 新しい家族を受け入れていくプロセスの中では 不安も大きくなりがちです また 里帰り出産の場合には 産後 1ヶ月に限らず 実家から自宅に戻った時期等に不安が増大し 母親が精神的に不安定になることもあります 育児不安が増大しがちな産後 1ヶ月間を重視して その時期の母親の心の状態を見極める手段としてエジンバラ産後うつ病質問票 (EPDS) を用いた 産後うつ病の早期発見がありますが これは 母親とともに心の状態に向き合うことであり 母親に効果的にメンタルケアを行うことができます また 未熟児や低体重児 障害児等を出産した場合は 母親は 自分を責める気持ちに押しつぶされそうになっていることがあります その中で 子どもを受け入れることが困難になったり 育児そのものの負担が増えるリスクを多く抱えることもあります このような場合は 子どもが入院中から 母親と一緒に病院に出向くことや病院の医師や助産師と顔合わせをしたり 電話相談やサービスの利用方法を紹介したり さらには 母親を支える父親を支援することも必要になってきます なお 父親に対しては 妊娠中から子育て全般についての知識や 母親をサポートする際の注意点 乳幼児揺さぶられ症候群等について周知啓発していくことも重要です 乳幼児揺さぶられ症候群については 父親のみでなく祖父母や母親にも 早くから情報提供していくことも必要です 乳幼児揺さぶられ症候群 の周知啓発 乳児家庭全戸訪問事業( こんにちは赤ちゃん事業 ) すべての乳児のいる家庭を訪問し 子育ての孤立化を防ぐために その居宅において様々な不安や悩みを聞き 子育て支援に関する必要な情報提供を行うとともに 支援が必要な家庭に対しては適切なサービス提供に結びつけることにより 地域の中で子どもが健やかに育成できる環境整備を図ることを目的とした 広く一般を対象とした子育て支援事業です 原則として生後 4 か月を迎えるまでの すべての乳児のいる家庭を事業の対象とします ただし 生後 4か月を迎えるまでの間に 健康診査等により乳児及びその保護者の - 53 -

状況が確認できており 対象家庭の都合等により生後 4か月を経過して訪問せざるを得ない場合は対象として差し支えないこととなっています できる限り早期に訪問し支援を行うことが望ましいことから 市町において独自に早期の訪問時期を定めることが適当です 本事業と母子保健法に基づく訪問指導は法的な位置づけや 第一義的な目的は異なるものの いずれも新生児や乳児がいる家庭へのサポートを行うものであり 密接な関係にあります このため 効果的かつ効率的な事業実施の観点からも 母子保健法に基づく新生児訪問等の乳児に対する訪問指導を実施している市町の判断により これらの訪問指導等と併せて本事業を実施するなど 効果的な取り組みを検討する必要があります なお 支援の必要性が高いと見込まれる家庭に対しては可能な限り保健師等の専門職が訪問することとし 市町と県健康福祉センターの母子保健担当との連携の下 母子保健法に基づく新生児訪問や乳児に対する訪問指導の必要性がある場合には 優先的にこれらを実施する必要があります その上で本事業を実施する場合は 事前の情報等を踏まえ 対象家庭の状況に配慮し 母子保健法に基づく訪問指導の際に本事業訪問者が同行する等の対応が望まれます 乳幼児健康診査 主なものとして 3~4か月児健康診査 1 歳 6か月児健康診査 3 歳児健康診査があります 乳幼児健康診査については 従来からの発達 育児のチェックや異常 病気の早期発見という疾病中心の健診から 子どもを取り巻く家族全体に目を向ける健診へと転換させていくことは 虐待予防の観点から大切です 健診に来る保護者は それまでの育児の評価をされることに対する緊張感を持ちながら参加します そして その場では 否定されたくない 認めてほしい 理解して共感してほしい と考えています 健診場面では 上手に子育てできていますね 等のように保護者達の日々の育児を認めることから始めることで 保護者は 今のままで大丈夫 と自信を高め 多少なりともその裏に隠している不安を 軽減あるいは解消に向かわせる力を発揮できるようになることも少なくありません これまでの健診では 医師や保健師の何げない一言 例えば 小さい 発育が悪い 母乳では不十分 ミルクを足した方が良い 言葉が遅い 発達に遅れがある可能性がある などの言葉が 認めてほしいと願い 緊張感を持ちながら参加する保護者の心に傷を与えていたこともあります 援助者は 専門家の発する一言の重みを真摯に受け止め 言葉かけには十分な配慮が必要であることを認識する必要があります 子育て中の親は 多かれ少なかれ 次のような悩みを経験します 母親らしく頑張らなければと思えば思うほど 子どもをガミガミ怒鳴りつけてしまう 子どもが自分の思いどおりにならないことで 自分自身の不安やいらだちを我慢できない 自分自身の残忍性や暴力性に気づき 弱い者( 子ども ) を支配してしまいたいとか 時には傷つけたいと思うことがある 悪いことだとは思うが 時々頭に浮かぶことがある しかし 子育ては そのことを通じて親自身が成長する機会を得ているともいえます 現代社会では その機会を成長機会と捉えることができずに ストレスを課す形になり - 54 -

やすい子育て環境であるため 全ての保護者が虐待行為に至る可能性を秘めているという共通理解を持つ必要があります その上で 健診場面では 生活のあらゆるシーンから虐待のリスクを見つめ その危機に陥りやすい家族や育児困難感を抱く保護者を早期に発見し 保護者の負担感や悩みに寄り添い そのリスクを軽減させるための支援を提供していく体制を整えることが必要なのです 健康診査を受けていない親には 必ず連絡をとり 子どもの成長 発達の状況や養育環境を家庭訪問等で積極的に把握し 養育上の問題を抱えている家庭に対して支援を行っていくべきです 保健師だけで対応するのではなく 要保護児童対策地域協議会の構成員や児童委員等地域の支援者を活用することも一つの方法です 訪問を拒否したり 育児についての質問等に対して 何も困っていない とか 相談することはない というような拒絶的な態度をとる親は虐待が疑われることがあります その場合 親を非難したり 心理的に追いつめるのではなく まず親の気持ちを受け止めることなどを通じて信頼関係を構築し その上で必要な支援を適切に行うことが重要です 3 虐待家族への対応による進行防止及び再発防止 再調整 ( 二次 三次予防 ) 虐待する家族やその危険性のある家族は 地域の乳幼児をほぼ全数把握している母子保健活動の中で発見することは十分可能です しかも その機会は 妊娠期から3 歳児健康診査までに 子どもの成長に合わせて数回にわたります 家庭訪問で生活場面を観察する場合は 子どもの身体 精神的状況と 家族の状況が重要なポイントになります 情報を整理し 必要であれば適宜要保護児童対策協議会の調整機関である児童福祉担当課と協議し個別ケース検討会議を活用し 対応を進めていきます 個別ケース検討会議では 情報の共有や認識の確認を行い 関係機関の役割分担を明確にし 子どもや家族に対して自立に至るまでの切れ目のない支援を行うことが必要です 保健師は これまで関わってきた経緯や関係者の情報等を的確に提供していくことが求められます また 個別の援助だけでなく 虐待する保護者や虐待をしそうと悩む保護者に対するグループミーティングも援助プログラムの一環として重要な取り組みです 資料 : 平成 25 年 8 月 23 日付け改正 子ども虐待対応の手引き ( 雇児総発 0823 第 1 号厚生労働省雇用均等 児童家庭局総務課長通知 ) - 55 -