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第 9 回社会保障審議会年金部会平成 2 0 年 6 月 1 9 日 資料 1-4 現行制度の仕組み 趣旨 国民年金保険料の免除制度について 現行制度においては 保険料を納付することが経済的に困難な被保険者のために 被保険者からの申請に基づいて 社会保険庁長官が承認したときに保険料の納付義務を免除す

質問 1 11 月 30 日は厚生労働省が制定した 年金の日 だとご存じですか? あなたは 毎年届く ねんきん定期便 を確認していますか? ( 回答者数 :10,442 名 ) 知っている と回答した方は 8.3% 約 9 割は 知らない と回答 毎年の ねんきん定期便 を確認している方は約 7 割

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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228 平田智子 図 1 年齢階級別納付率 ( 平成 27 年度 ) 出所 ) 平成 27 年度の国民年金の加入 保険料納付状況 3) より作成 いる. この状況が続けば, 現在 20 代の若者が老後を迎えたとき, 年金保険料の未納により, 年金給付額が低いあるいは無年金になりかねないのではなかろう

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14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

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第14章 国民年金 

相対的貧困率の動向: 2006, 2009, 2012年

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博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

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2017 年 2 月 27 日株式会社カカクコム 価格.com 生命保険 に関する調査結果を発表加入率は約 8 割 若年層ほど低い傾向 加入中の生命保険は終身タイプがトップ将来への不安?20 代の加入目的 老後保障 貯蓄 が他世代よりも高い結果に補償内容への理解度 十分理解できていない加入者が 53

                                        

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2.3.2 公的年金制度の財源と支出 1年間の年金給付費はいくらなのか 公的年金制度の財源には保険料のほかに 積立金の運用収入や税金などがある 1年間でどれだけの金額が年金制度に使われているのでしょうか 以下の図 に 公的年金制度の財源と給付費を示します 財源については 保険料による

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1 老後の生活設計について (1) 何歳まで仕事をしたいか ( したか ) 問 1 あなたは 何歳頃まで収入を伴う仕事をしたいと考えますか 既に退職し 今後働く予定のない方は 何歳頃に収入を伴う仕事を退職しましたか この中から 1 つだけお答えください 30 歳以下 2.6% 31 歳 ~40 歳

事例検証 事例 1 37 歳の会社員の夫が死亡し 専業主婦の妻と子ども (2 歳 ) が遺される場合ガイドブック P10 計算例 1 P3 事例 2 42 歳の会社員の夫が死亡し 専業主婦の妻と子ども (7 歳 4 歳 ) が遺される場合 P4 事例 3 事例 3A 事例 3B 53 歳の会社員の夫

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上乗部分Q1. 基金制度のどの給付区分が分配金の対象となるのか A1 基金の給付区分は 国の厚生年金の一部を代行している 代行部分 と 基金独自の 上乗部分 から構成されています 代行部分は 解散により国に返還され 解散後は国から年金が支給されますので 分配金の対象となるのは基金独自の上乗部分となり

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法及び国民年金法の規定によって 少なくとも 5 年ごとに国民年金及び厚生年金の財政検証を行っている 直近で行われたのは平成 26 年で 様々な経済や人口の前提に基づいて将来的な給付水準 ( 所得代替率 ) をシミュレーションしており 2050 年 60 年時点での所得代替率はいずれも約 50% にと

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2/5 ヘ ーシ Q1. 年金通算とは何ですか? A. これまで各企業や基金では 加入者の老後の安定の一助となるよう さまざまな年金制度をつくり運営してきました しかし 従来の終身雇用を前提とした制度では 現代のライフスタイルに対応することが難しくなってきています 転職など雇用の流動化に対応し これ

質問 1 何歳から 長生き だと思いますか? 男性 女性ともに 80 歳 がトップ ( 合計 :42.3% 男性 :43.2% 女性 41.3%) 平均すると 男性が 81.7 歳 女性が 83.0 歳 と女性の方がより高年齢を 長生き と思うという 傾向があり 女性の 5 人に 1 人 (20.8

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2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

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2 給付と負担における世代間の大きな格差給付と負担を比較すると 後の世代ほど負担がより重くなっており 世代間の不公平感が高まっている 3 職業や世帯形態による制度の違い負担面での一元化が行われておらず ( 注 3) また 被用者の扶養配偶者 (3 号被保険者 ) の取扱いは 女性の就業意欲を妨げる要

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ポイント 〇等価尺度法を用いた日本の子育て費用の計測〇 1993 年 年までの期間から 2003 年 年までの期間にかけて,2 歳以下の子育て費用が大幅に上昇していることを発見〇就学前の子供を持つ世帯に対する手当てを優先的に拡充するべきであるという政策的含意 研究背景 日本に

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図 1 60 歳 61 歳 62 歳 63 歳 64 歳 65 歳 生年月日 60 歳到達年度 特別支給の 男性 S24.4.2~S 平成 21~24 年度 女性 S29.4.2~S 平成 26~29 年度 男性 S28.4.2~S 女性 S33.4.2~S35.

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2004 年の制度改革案の審議中に国会議員の未納問題が話題になり 公的年金の実態は国民の誰もが注目するものになった そもそも公的年金 国民年金は日本の福祉政策の中で最も大きなもののひとつであり 国民皆保険というように国民すべてが加入の義務を負う 国民すべてが働ける間は保険料を納め 老後になると年金を

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平成 29 年 4 月から 保険料の軽減率が変わります 後期高齢者医療保険料は 1 被保険者全員に納めていただく定額部分 ( 均等割 ) と 2 所得に応じて納めていただく部分 ( 所得割 ) があります 平成 29 年 4 月から 保険料が下のように変わります 1 均等割の額が変わる方 元被扶養者

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7,5 7,376 7, 6,556 6,5 6,187 6,57 5,834 5,941 6, 5,59 5,5 5, 5,378 4,964 4,5 4,85 4, 3,5 3,

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要 旨 2009 年の年金財政検証によると 標準的な厚生年金世帯 であれば 世代間格差はあるものの 将来世代においても 平均寿命 (60 歳時点の平均余命 ) まで生存すれば 負担した保険料の 2.3 倍の給付が受けられる見通しであることが明らかにされた これはこの倍率の分母である負担に事業主負担が

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Ⅰ 調査の概要 1. 調査の目的 本調査は 今後の公的年金制度について議論を行うにあたって 自営業者 被用者 非就業者を通じた横断的な所得に関する実態を総合的に把握し その議論に資する基礎資料を得ることを目的とする なお 本調査は 平成 22 年公的年金加入状況等調査 の特別調査として 当該調査の調

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世帯主年齢別にみると 加入 追加加入意向あり の割合は 概ね若年齢層ほど高くなって おり 30~34 歳 では 59.3% となっている ( 図表 Ⅱ-75) 図表 Ⅱ 75 今後の加入 追加加入意向 ( 世帯主年齢別 ) - 加入 追加加入意向あり の割合

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Transcription:

年金加入行動と年金教育 佐々木一郎 ( 同志社大学商学部准教授 ) 1 はじめに現在わが国では 老後の経済不安をいだく人々が増加している 老後の経済的リスクを処理する手段として重要な役割を果たすものが年金である 終身タイプの年金は 生存を条件に所定の年金を生涯にわたり受給することで 生涯消費を平準化でき 老後の経済不安の緩和に寄与する だが 現実の社会に目を向けてみると 公的年金については多くの未加入 未納がみられ また 民間生命保険会社の個人年金保険 ( 以下 個人年金と略 ) については多くの未加入が存在する 年金未加入 未納の人々は 年金以外で有効な老後準備手段を十分に確保しているなどの理由で 合理的に未加入 未納を選択しているのであろうか それとも 何らかの非合理的な理由から 未加入 未納を選択しているのであろうか 後者の非合理的理由によるものであるならば その理由 要因を明らかにし 当該要因に働きかけることで 最適な年金選択を促進でき 人々の老後不安解消に役立つことが考えられる 本研究では 未知の年金未加入 未納の影響要因として 年金知識 77

年金加入行動と年金教育 不足に焦点を当てる 人々の年金未加入 未納に影響する要因として これまでの先行研究では 年金知識不足に十分に焦点を当てることは殆どなかった 年金知識が不足する場合 老後準備における年金の役割や重要性が過小評価され 年金未加入 未納が誘発されることが考えられる だが先行研究では 年金知識不足に注目してこなかった 年金知識不足と年金未加入 未納の分析については 公的年金と民間生命保険会社の個人年金の両方の領域について重要な研究課題であると思われる 本研究では まずは公的年金を対象とし 年金知識不足が年金未加入 未納に影響している可能性が高いこと さらに 年金教育の有効性 重要性について考察する 本研究の考察結果を受け 民間生命保険会社の個人年金を対象とした分析については 今後の研究課題とする 2 年金未納問題を看過できない2つの理由公的年金の領域については 若者を中心に多くの人々が年金未納 未加入者になっている ではそもそもなぜ 年金未納問題は解決する必要があるのであろうか 年金未納は個人の自由意思として看過してもよいという考え方もあると思われる 以下では 年金未納はマクロ ミクロの両面から大きなリスクがあるため問題であり 解決の必要があることを説明する 2-1 マクロ的側面 皆年金のしくみを揺るがすリスクの予防 第 1は 年金未納は皆年金のしくみを揺るがすリスクがあるからである わが国の公的年金制度は 皆年金の仕組みであり 20 歳以上 60 歳までの人々はすべて加入する義務がある 国民年金への加入は 義務であると同時に 老後に年金を受け取ることができる権利の獲得にもつながる なぜ皆年金 つまり強制加入を維持する必要があるのか 任意加入 78

あるいは年金未納ではいけないのか その理由の1つは 任意加入を認めると 相対的に長生きの人々が国民年金に集中し 平均および平均未満の人々は国民年金に加入しにくくなるためである 国民年金は 生存を条件に生涯にわたり年金を受給できる いわゆる終身年金である 終身年金である国民年金は 長生きの人々ほど 生涯に受け取れる年金総額が大きいため 有利になる そのため 国民年金に加入するかどうかを任意にすると 長生きに自信のある人々が国民年金に集中することになる 長生きの人々が集中すると 年金給付総額がその分だけ大きくなるので それに見合うように 負担する掛け金総額も高めに設定する必要が生じてくる すると 平均寿命および平均寿命未満の人々にとっては 割に合わない年金になってしまい 加入しにくくなる 1) 第 20 回生命表 ( 完全生命表 ) ( 厚生労働省 ) と 生保標準生命表 2007( 年金開始後用 ) ( 日本アクチュアリー会 ) を参考にして わが国全体と民間個人年金加入者群とで 平均寿命がどの程度異なるのか また 寿命の違いが受給年金総額にどのくらいの差をもたらすかを 具体的な数字からみてみよう 2) 1) 終身年金については 長寿を期待する人々が集中して年金に加入することで 平均寿命や平均未満の寿命を期待する人々にとっては不公平な料率になる可能性がある この可能性を除去できることが公的年金を強制加入にすることの必要性の 1 つの根拠とされている しかし わが国の公的年金の場合 少子高齢化のもとで賦課方式を採用していることで 若年世代ほど料率は不公平になりやすくなっている 結果的には 公的年金を強制加入にしていても 世代による違いで 生涯負担総額と生涯期待受給総額が等しくなるような公平な料率の年金を提供できていないのが実情である 2) わが国全体の生命表については 厚生労働省により 2 種類の生命表が作成されている 1 つは完全生命表であり 国勢調査のデータに基づき 5 年に 1 度作成されている いま 1 つは簡易生命表であり 10 月 1 日現在の推計人口に基づき 毎年作成されている 79

年金加入行動と年金教育 表 1 年金教育と年金未納をめぐる本研究の問題意識 自動車や住宅購入と同様に 大きな経済的支出を伴うにもかかわらず なぜ人々は 年金制度を理解しないまま 加入 納付を決定しているのか? これらの生命表を参考にすると わが国全体の平均寿命は 男性は 78.56 歳 女性は85.52 歳である また 民間生命保険会社の個人年金に加入している人々の平均寿命は 男性は84.35 歳 女性は92.82 歳である 民間生命保険会社の個人年金は 加入するかどうかは自由な任意の年金である 民間個人年金の加入者の平均寿命は 国全体の平均寿命と比較すると 男性で5.79 歳 女性で7.30 歳だけ 長寿である 2011 年 4 月時点における国民年金の1 年間の給付額は 40 年フル納付の場合 78 万 8892 円である 日本人全体の平均寿命者と比較すると 民間個人年金加入者は 国民年金だけについてみても 男性で約 457 万円 (=1 年あたり78 万 8892 円 5.79 年間分 ) 女性で576 万円 (1 年あたり78 万 8892 円 7.30 年間分 ) より多く受給できる計算になる このように 国民年金を任意加入にすると 長生きに自信のある人々が国民年金に集中し 負担する掛け金総額も高めに設定されることから 平均寿命および平均寿命未満の人々にとっては加入しにくくなる 寿命の長短にかかわらず 誰でも年金に加入しやすくするようにする主要な方法の1つが 強制加入 皆年金である 年金未納を認めてしまうと 国民年金は強制加入であるということを人々に浸透させていくことが難しくなり 皆年金のしくみを維持できなくなってしまう 2-2 ミクロ的側面 個々人の老後の無年金 無貯蓄を引き起こすリスクの予防 第 2は 年金未納は老後の無年金 無貯蓄のリスクを高めることから問題であるということである 公的年金未納で無年金でも 民間の 80

個人年金に加入することで老後をやりくりするという行動もあるように思われる だが 平成 20 年国民年金被保険者実態調査結果の概要 ( 厚生労働省 ) から 実際のデータをみてみると 年金納付者と比較して 年金未納者は 収入が低く個人貯蓄をする余地は小さく しかも 個人年金加入率も低い 国民年金未納者は民間個人年金で老後をカバーするどころか むしろ 国民年金納付者よりも民間個人年金加入率は低いのである 収入面について まず世帯所得をみてみると 国民年金納付者世帯は平均 555 万円であるのに対して 国民年金未納者世帯は平均 342 万円である 本人収入でみると 国民年金納付者は平均 178 万円であるのに対して 国民年金未納者は平均 113 万円である また 国民年金未納者のうち民間個人年金の加入者は8.1% であり 1 割に満たない 国民年金未納者の多くは低所得者であり さらに 国民年金未納者のうち9 割以上は 国民年金と民間個人年金の両方について低年金 無年金に直結しやすい このような状況であるため 特に若い世代の年金未納をこのまま看過することは 30 年 40 年先の将来には 無年金 無貯蓄で老後に困窮する人々を多く出現させることになる このことは 最終的には 公的扶助の増加 社会保障費の増加につながり 社会的コストをアップさせるリスクの増大にもつながる可能性がある 3 年金教育からのアプローチ 年金未納問題の解決策 それでは 年金未納問題をどのようにして解決することができるのだろうか 本研究では その解決策の1つとして 年金教育の可能性に焦点を当てる 年金未納問題を解決するうえで なぜ年金教育に着目するかというと 国民年金という財 サービスが通常の財 サービスとは異なり大 81

年金加入行動と年金教育 きな特殊性をもっているからである 国民年金の特殊性から一般の人々がふだんの生活において十分な年金知識を得ることは難しいこと 不十分な年金知識しかない状況で年金加入 納付決定を行う必要に迫られることが多く そのことが年金未納の主原因になっているとも考えられるからである もし 年金制度の複雑さ 分かりにくさから年金未納が生じているとすれば 年金教育により年金制度理解を促すことが非常に重要になってくるといえる 4 国民年金のサービス特殊性以下では 国民年金を1つのサービスとしてとらえた場合 通常のサービスと比べてどのような特殊性があるのかを考察する 4-1 1 度のみの消費経験国民年金の特殊性として 第 1は 購入経験に関するものである 自動車など 一生涯のなかで複数回購入する機会のあるものであれば 当該商品 サービスが自分にとって本当に必要かどうかを判断したり あるいは どの商品 サービスを選択すればよいかなどの知識 情報を収集 蓄積していくことができる しかし 一生涯を若年期 中高年期 高齢期に分類した場合 年金というサービスを消費するのは 高齢期の1 度きりである 高齢期になって初めて年金を消費し その有用性を実感することができる そのため 実際には必要度 重要度が高いとしても 高齢期に実際に消費するまではその必要度 重要度が理解できないため 特に近視眼的な人々にとっては年金の有用性が過小評価されやすくなる 年金の掛け金は 長期にわたって少しずつ掛け金を支払っていくため 高齢期に年金の価値に気づいても その時にはすでに遅いということになりかねない 82

4-2 価値循環の転倒性第 2は 年金の受け取りが支払よりもあとに来ることである 年金に加入する年齢は20 歳であるが 受取は原則 65 歳からであり 50 年近くも遠い先のことになる 老後は1 度しか経験できず しかも 若者からみるとずっと先のことであるから 老後に年金が必要であるとはいっても なかなか年金の必要性を実感できない 必要性が実感しづらく しかも 最初の40 年間 支払だけが続くため 負担感が大きくなりやすく 年金の価値が過小評価されやすいと考えられる 4-3 条件付きの給付第 3は 年金の給付が生存を条件としていることである 通常の財 サービスであれば 代金を支払うことで 必ず当該財 サービスを受けとることができる しかし 公的年金の場合 年金の特性から 生きている場合にのみ受給することができるが 死亡すれば受給することができない また 目に見える財 サービスではないため 視覚的にとらえることも難しい 4-4 支払と給付の長期性 ( 金融知識の必要性 ) 第 4は 年金の掛け金と受取が何十年間もの長期に及ぼすことである 国民年金について寿命 80 歳を想定すると 20 才から60 歳までの40 年間にわたり掛け金を支払い 65 歳から寿命年齢の 80 歳までの15 年間 年金給付を受ける 60 年間のお金の支払と給付の流れがあるが お金の価値は時間とともに変化していく そのため 20~60 歳までの支払総額の価値と 65 歳以降の受け取り総額の価値を 額面だけで単純比較することはできない 現在の価値に換算しなおして 比較しなくてはいけない しかし このような作業は 金融の知識のない一般の人々 83

年金加入行動と年金教育 には難しい 3) そのため 国民年金に加入することの正味の価値を実感することは難しい 4-5 負担と給付の世代間格差国民年金については その時々の現役世代が支払う掛け金は そのときどきの老齢世代の年金給付にあてられる そのため 生まれる世代によって年金の掛け金負担総額と年金期待受給総額は異なり 世代間格差がある このような世代間格差の存在は 自分自身の負担と給付の比較をますます分かりづらくする 4-6 支払総額の高額性第 6は 生涯にわたる支払総額が非常に高額になることである 個々の消費者は 自動車や住宅など高価な商品 サービスを購入する場面では ふだんよりも手間と時間をかけて 性能 品質 仕組みなどについて積極的に情報収集することが多いだろう 自動車や住宅と同様に 公的年金もまた 個々人にとって大きなお金の支出と流入を伴うものである 厚生労働省の 平成 21 年財政検証結果レポート によると 公的年金のベースとなる国民年金については 1950 年生まれの世代の場合 保険料負担総額は500 万円 年金給付総額は1300 万円である また 1970 年生まれの世代の場合 保険料負担総額は1000 万円 年金給付総額は1500 万円である さらに 1990 年生まれの世代の場合 保険料負担総額は1400 万円 年金給付総額は2200 万円である 3)Lusardi and Mitchell[2007] を参考にすると 個人の多くは 金融に関する基本的な計算ができない 例えば 複利計算ができる人々の割合は 17.8% にすぎないという そのため 将来のお金の価値を現在のお金の価値になおすこと つまり 割引現在価値の概念を理解している人々の割合についても 非常に少ないことが考えられる 84

厚生年金については国民年金よりもさらに金額は大きくなる 1950 年生まれの世代の場合 保険料負担総額は1200 万円 年金給付総額は 4700 万円である また 1970 年生まれの世代の場合 保険料負担総額は2400 万円 年金給付総額は5900 万円である さらに 1990 年生まれの世代の場合 保険料負担総額は3600 万円 年金給付総額は8300 万円である 第 20 回生命表 ( 完全生命表 ) ( 厚生労働省 ) によると 現在 わが国の平均寿命は 男性で約 79 歳 女性で約 86 歳である 65 歳から年金が支給されるものとすると 男性で14 年間 女性で21 年間の老後の生活費のベースをまかなうものである これだけの長期間の老後生活をカバーする年金であるため 国民年金をベースとする公的年金は 支出も受取も非常に大きな金額になっている それにもかかわらず 年金周知度は低く 多くの人々は公的年金についてよく知らないまま 加入 納付あるいは未加入 未納を決定しているのが実情である 以上の6つの理由から 国民年金のしくみは複雑で理解することは難しいこと 国民年金の価値や必要性は実感することは難しく 過小評価されやすいと考えられる そのため 本来であれば 学校教育現場等で体系的な年金教育を実施することで 国民年金のしくみや役割を学習する機会を人々に提示し 老後準備における国民年金の重要性を人々が理解 納得できるようになった状況で 国民年金の加入 納付を推奨すべきである 5 年金教育不在と年金未納問題との関連性 5-1 不十分な年金教育の実態だが実際には 現在わが国では 学校教育などにおいて体系的に年金制度を学ぶ機会は殆ど存在していない そのため 国民年金制度に関する人々の知識や理解は 非常に低い水準にとどまっている 85

年金加入行動と年金教育 厚生労働省 平成 20 年国民年金被保険者実態調査結果の概要 によると 国民年金には 老後の年金保障のほかに 障害保障や遺族保障などの重要な機能があるが このことを知らない人々はおよそ4 割程度存在しているという また 国民年金についてその一部が国庫負担でまかなわれていることについても これを知らない人々の割合は6 割程度に達するという このように 多くの人々が国民年金のしくみや機能などをよく理解していない さらに 理解が非常に乏しいままで 国民年金の加入 納付決定を行っている 学校教育現場で年金制度について学ぶ機会として 第 1は 中学校や高校の教科書における年金制度の解説がある 社会保障の領域の1 つとして年金制度に焦点が当てられているが 多くの場合は数ページ以内の簡略な内容であり 年金制度を体系的に学ぶことは難しい 第 2は 旧社会保険庁による中学 高校等における生徒対象の年金セミナーである 都村 [2006] などを参考に説明すると 学ぶ内容は 公的年金には何歳から加入して 保険料は月々いくらかかるのか 何歳からいくらくらい年金を受給できるのか 老後の年金保障以外に障害を負ったときの保障など広くどのような保障があるのか などを解説するものである しかし この旧社会保険庁が実施していた年金セミナーについては 2009 年 12 月で廃止され 現在は行われていない このように わが国の学校教育現場では 公的年金制度について体系的に学ぶ機会は非常に限られているのが実情である 5-2 年金知識不足と年金未納問題の関係人々の国民年金制度の周知度を調査した厚生労働省 平成 20 年国民年金被保険者実態調査結果の概要 によると 国民年金未納者は 国民年金納付者よりも 年金知識が少ない また 社会保険庁 平成 16 年公的年金加入状況等調査結果の概要 から 国民年金未加入者は 国民年金加入者よりも 老後の生活設計について 考えていない 割 86

合が高いことが示されており 年金意識も低い可能性もある もし仮に 年金知識 年金意識の低さから年金未納が誘発されているのであれば 年金教育の実施は 人々の年金知識 年金意識を高めることで 年金未納問題を解決へと導くことができる可能性がある 6 年金教育に関する調査 分析の必要性そもそもなぜ 年金教育に関する調査 分析を行うことが必要なのであろうか その理由 根拠やメリットとして 本研究では 次の3 点に着目する 年金教育にかかわる諸問題を調査 分析することは 年金教育の有効性と限界を明らかにできる可能性があるとともに 年金未納 未加入理由を解明するきっかけになる可能性も考えられる 6-1 年金未納問題が緩和される可能性第 1の理由は 年金教育の推進が昨今社会問題化している年金未納問題を緩和できる可能性があるため 年金教育をめぐる人々の意識を調査することが重要であると考えられるからである 既述のとおり 国民年金納付者と比較すると 国民年金未納者は 国民年金納付者よりも 年金知識が少ない さらに 老後の生活設計に関する意識も低い 年金教育研究から年金未納と年金知識不足との関係が仮に明らかになれば 年金教育により年金知識不足を解消することで 年金未納問題も解決される可能性がある 6-2 年金制度への満足 納得度が高まる可能性老後を支える手段には 公的年金以外にも 個人貯蓄 個人年金 家族内扶養などさまざまな手段があるが 現状では公的年金が老後準備において果たしている役割は非常に大きい 厚生労働省 平成 21 年国民生活基礎調査の概況 によると 公的年金受給の高齢者世帯のうち 総所得が公的年金のみしかない世帯は63.5% に達し およそ3 世 87

年金加入行動と年金教育 表 2 年金加入行動と年金教育をめぐる研究テーマ人々は どのような年金教育を求めているのか? 年金教育が充実すれば 年金未納問題は解決するのか? ( 年金未納は 年金知識不足が原因であるのか?) 年金教育を実施するかどうかは 個人の自由意思にゆだねてもいいか? ( 国がリーダーシップで推進すべきか?) 帯に2 世帯は公的年金だけで生計を立てていることが示されている だが このような老後準備における公的年金の重要性が人々から理解されていない場合 人々にとっては公的年金の負担感の側面が顕著にウェイトを増し 年金制度への信頼感や納得度の低下にもつながりかねない ここで年金教育を推進することで 年金保険料の負担と引きかえに 我々が老後に公的年金からどのようなプラスの効果を得ているかを学ぶことで 年金制度への信頼感や納得度は増大することも考えられる このように 年金教育を推進することで 年金未納問題が緩和されたり あるいは 年金制度への満足度 納得度が高まることが1つの可能性として考えられる そして 年金教育の実施の前提として そもそも現状において 人々は年金教育に対してどのようなニーズをもっているのか また 仮に年金教育を展開する場合に どのような形で実施することを望んでいるのか また一方で 課題や限界点は何かなどを調査 分析することが重要であると考えられる 6-3 先行調査 研究が少ないこと既述のように 年金未納減少や年金制度満足度増大など 年金教育にはいくつかの効果が期待できる可能性があるにもかかわらず 現在わが国では 学校教育現場での体系的な年金教育の実施はほぼ皆無である また 年金教育に関する人々のニーズや意識について調査した 88

研究は非常に少ないという実態がある つまり わが国では 年金教育が殆ど実施されていないとともに 年金教育に関連する学術的な先行調査 研究は非常に少ない 年金教育に直接アプローチした研究として 都村 [2006] は 旧社会保険庁が実施していた年金教育等に焦点を当て 学校教育における社会保障教育 年金教育がなぜ重要であるのかということや わが国の現状と課題について考察している 考察の結果 学校教育における現状の社会保障教育 年金教育は不十分であり 学校教育現場との連携が重要であることを指摘している 都村 [2006] など 年金教育に直接アプローチしたこれまでの研究では 実施者サイド ( 旧社会保険庁 ) に焦点を当てて その取り組みや課題を考察したものが多い 一方で 個人サイド ( 学習者 ) に焦点を当てた調査 研究は非常に少ない 個人サイド ( 学習者 ) に関する年金教育の調査 分析は 研究上の空白域になっている 7 年金教育をめぐる3つの研究テーマ以上を踏まえると 公的年金に関する年金教育をめぐっては 以下の3つの研究テーマが重要であると考えられる 7-1 年金教育ニーズの実態調査第 1は 個人サイド ( 学習者 ) に焦点を当たてたうえで 独自のアンケート調査データに基づき 個人サイド ( 学習者 ) が年金教育についてどのようなニーズや意識をもっているのかについて その実態を明らかにすることである 7-2 年金知識不足と年金未納の分析第 2は 年金教育 年金知識量は昨今わが国で問題になっている年金未納 未加入問題とどのような関係にあるのかを明らかにすること 89

年金加入行動と年金教育 である 年金知識不足は年金未納と無関係であるのか それとも 年金知識不足の低い人々ほど顕著に年金未納者になりやすいのかどうかについて分析を行うことである 7-3 年金教育実施と人々の自由意思第 3は 年金教育を実施するかどうかの判断について 人々の自由意思にゆだねてよいか それとも 国がリーダーシップで主導する必要があるかどうかを分析することである 年金知識量や年金理解度が低い人々ほど 年金教育を受ける必要性が高い 年金理解度の低い人々が年金教育を受けたいと思う傾向が強いかどうかを分析することで 人々のサイドに判断をゆだねても年金教育実施を行えるか それとも 人々のサイドに委ねた場合は年金教育の実施は選択されにくく国がリーダーシップをとる必要性が高いかどうかを分析する必要がある 以上の3つより わが国の年金教育ニーズの全体像を把握すること 年金知識不足のために年金未納が誘発されているかどうか 年金教育の実施は人々のサイドに委ねてよいかを明らかにすることが重要であると考えられる 8 今後の研究課題 民間生命保険会社の個人年金のケースへの拡張 本研究では 公的年金のケースに焦点を当て 年金知識不足が年金未加入 未納の主原因である可能性が高いこと および その対処法として年金教育が重要であることを考察した 今後の研究課題は 民間生命保険会社の個人年金のケースに分析対象を拡張することである 国の年金財政が厳しく 公的年金だけでは老後の年金額は十分とはいえないなかで 民間生命保険会社の個人年金に大きな関心が集まっている アンケート調査データによる分析から 民間生命保険会社の個人年金のケースについて まず 年金知識 90

不足と個人年金未加入はどのような関係があるのかを分析したい そのうえで 年金知識不足が解消されることで 民間生命保険会社の個人年金加入行動にどのような変化が生じるかについて明らかにしたい 参考文献 Bernheim,B.D.,Garret,D. and Dean M.Maki., Education and saving: The long-term effects of high school financial curriculum mandates, Journal of PublicEconomics,Vol.80,No.3,pp.435-465. Brown, Jeffrey R.,2008, Financial Education and Annuities, OECD Journal : General Papers,Vol.2008, No.3,pp.173-215. Lusardi,A., and Mitchell,O.,2007, Baby Boomer retirement security:the roles of planning,financial literacy,and housing wealth, Journal of Monetary Economics, Vol.54, No.1,pp.205-224. 厚生労働省,2009, 平成 21 年財政検証結果レポート. 厚生労働省,2009, 平成 21 年国民生活基礎調査の概況. 厚生労働省,2008, 平成 20 年国民年金被保険者実態調査結果の概要. 厚生労働省,2007, 第 20 回生命表 ( 完全生命表 ). 社会保険庁,2004, 平成 16 年公的年金加入状況等調査結果の概要. 都村敦子,2006, 学校教育における年金教育, 年金と経済,Vol.25,No.1,4-12. 日本アクチュアリー会,2007, 生保標準生命表 2007. 91