要旨 健診の血液検査の基準範囲は 受診者の正常 異常を判別する上に重要な指標となっている しかし 現在の血圧 BMI 血液検査などの基準範囲の表示は健診機関によりまちまちである したがって 全健診機関に適用可能な基準範囲の設定が望まれている ごく最近 日本人間ドック学会 ( 以下本学会 ) と健康保

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2 行目以降の健診結果レコードレイアウト 1 01 KNSKNCD 健診機関コード X 10 健診機関コードテーブルに存在する健診機関コード 2 01 KNSNKBN 健診区分 X 1 1 : 一般健診 2 : 一般健診及び付加健診 3 :20 30 歳代子宮がん検診 3 01 KENSAKBN 検

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Ⅱ. 参加番号および参加費 参加コースは 1~13 に分かれています 1~13 までの参加番号より 申し込みを希望する番号を選択してください ただし 実施項目が重複する参加番号の組み合わせは選択できません ( 例 :1 番と 11 番 2 番と 3 番 4 番と 5 番 6 番と 7 番 等 ) 参

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データを正しく 活用していただくために 今回は 平成 23 年度に市町村国保で実施した特定健診結果のみ集計しています 今後 協会けんぽ沖縄支部の結果とあわせて 改めてデータ集を発行する予定です 1. 集計対象者 今回の集計対象者は 平成 23 年度に特定健康診査を受診した者 ( 市町村国保分のみ )

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はじめに

1. 背景及び趣旨我が国は 急速な少子高齢化 経済の低成長への移行 疾病構造の変化など 大きな環境変化に直面している 今まで築いてきた国民皆保険制度を堅持し 医療制度を将来にわたり持続可能なものとしていくためには その構造改革が急務である 国民の実態を見ると 高齢化の急速な進展と生活習慣病の増加によ

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心電図心臓の筋肉に流れる電流を体表面から記録する検査です 電流の流れ具合にがないかがわかります また1 分間に電気が発生す回数である心拍数も測定されます 別途用語解説集参照 聴力低音と高音の両者が聞こえるかを調べます 1000Hz の低い音では 30dB( 音の大きさ ) 以下の音が聞こえれば正常で

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目次 1. 目的 2 2. 人工透析患者の年齢等の分析 3 性別 被保険者 被扶養者 3. 人工透析患者の傷病等の分析 8 腎臓病 併存傷病 平成 23 年度新規導入患者 4. 人工透析 健診結果 医療費の地域分析 13 二次医療圏別 1

Transcription:

新たな健診の基本検査の基準範囲日本人間ドック学会と健保連による 150 万人のメガスタディー 日本人間ドック学会 健康保険組合連合会検査基準値及び有用性に関する調査研究小委員会 実行委員長渡辺清明 1

要旨 健診の血液検査の基準範囲は 受診者の正常 異常を判別する上に重要な指標となっている しかし 現在の血圧 BMI 血液検査などの基準範囲の表示は健診機関によりまちまちである したがって 全健診機関に適用可能な基準範囲の設定が望まれている ごく最近 日本人間ドック学会 ( 以下本学会 ) と健康保険組合連合会 ( 以下健保連 ) では共同研究事業を立ち上げ 約 150 万人に及ぶ人間ドック健診受診者の健診データについて肥満度 血圧 脂質 血糖等の検査値を受診者個々に蓄積し メガスタディーによる新たな検査値の基準範囲を作成した 今回設定した項目は血圧 BMI 血糖 コレステロール AST ALT クレアチニン 尿酸などの健診基本検査の 27 項目である 基準範囲の設定は国際的に認知されている米国 Clinical Laboratory Standard Institute(CLSI) の基準に準じて行い 一部市原らの潜在異常値除外法を用いた 本方法を用い いわゆる健康人を定義づけて抽出した所 人間ドック受診者約 150 万人から約 34 万人が選び出された この中から約 1/7 の集団をアトランダムに取り出し それらの集団につき 市原らの潜在値除外法を用いてさらに二次除外を行った これらの最終的に選び出された超健康人 ( スーパーノーマルの人 ) の約 1 万 ~1 万 5 千人の個々の検査値から基準範囲を求めた なお男女差および年齢差については統計学的に明らかなものを その差が存在するとした 原則として 基準範囲は 30 歳 -64 歳の間のデータを用いて作成した なお本研究では基準個体の数は年代別に異なっていたので 年齢分布を一様化して解析を行った 具体的には検査毎に各年代を 10 年ごとに分けて 各年代のデータ数を無作為抽出法により 30 歳台の集団のデータ数に調整を行った ただ年齢別の基準範囲においては 年齢を 30-44 歳 ( 壮年期 ) 45-64 歳 ( 中年期 ) 65 80 歳 ( 高齢者 )3 グループに分けて算出した この場合は年齢分布の一様化を行っていない 最終的な結果は表に示した 男女差および年齢差を認めない検査が 7 項目 男女差を認める検査が 11 項目 男女いずれかが年齢差を認める項目が 8 項目 男女とも年齢差を認める検査が 1 項目あった 従来 本学会で設定してある検査の判別値である いわゆる学会基準値とは近似するものもあったが それを逸脱する項目もあった ただ 各検査の関連の専門学会の定める基準値とは大部分は近似していた この中で特に学会基準とかけ離れたのは LDL- コレステロール関連の検査であり 従来の基準値より上限値がかなり高くなった しかし 今回設定した基準範囲は各専門学会が推挙する基準値とは定義や設定方法が異なるので 同一に比較はできない したがって ここで示した基準範囲はいわゆるスーパーノーマルの人はこの検査値の範囲である事を意味するものであり 専門学会がガイドラインで示している疾患判別値とは異なる ただ 本基準範囲は 150 万人のメガスタディーによる新たな検査値の基準範囲 2

であり 今までに類のない調査結果であるので 今後健診機関の共用基準範囲として健診の現場で用いられる事が期待される 1. 基準範囲設定の経緯と目的現在 日本人間ドック学会 ( 以下本学会 ) には人間ドック健診が実際に国民の健康増進に寄与していることを公に示す必要性を求められているが 現存の活動は人間ドック全国集計による単なる現状調査に留まっている したがって今回 本学会においては健康保険組合連合会 ( 以下健保連 ) との共同で 人間ドック健診の有用性をより明確にし 多くの加入者の生活の質の向上と医療費適正化に資することを目的に調査研究を実施する事になった そのために 本学会と健保連の共同研究事業で まず人間ドック健診受診者の健診データについて肥満度 血圧 脂質 血糖等の検査値を受診者個々に蓄積し 現在判定区分に使用されている臨床判断値ではなく 新たに一定の健康条件を満たす個体の標準的な臨床検査値の分布域 ( 基準範囲 ) を作成する事となった さらに最終的には 人間ドック健診受診者を一つの集団として 縦断的に健診データの少なくとも 5 年間の変動を追跡調査することにより 人間ドック健診の有用性を検証する事となっている 2. 本研究の特長特長の一つは本学会が実施している健保連人間ドック事業の中から 本学会が認定している人間ドック健診施設機能評価認定 200 施設 ( 以下認定施設 ) より 人間ドック健診受診者約 150 万人の人間ドック健診データを集積して 臨床検査項目毎のデータおよびその分布などを解析する事である つまり このような大規模調査による基準範囲の策定は今までになく エビデンスレベルの非常に高いデータとなる また 十分なデータ数を用いて性別 年齢階級別などの詳細な臨床検査の基準範囲を作成する事により現存する基準範囲とは異なる男女別 年齢別の基準範囲の策定が可能である 次に本調査結果は人間ドック健診受診者を対象としているので まさに予防医学的なベースから設定した基準範囲となる 3. 研究対象検査項目本学会が定める基本臨床検査項目の中から以下の 27 項目を対象とした 収縮期血圧 拡張期血圧 BMI 蛋白 : 総蛋白 アルブミン クレアチニン 尿酸 脂質 : 総コレステロール LDL コレステロール HDL コレステロール Friedewald 式による LDL コレステロール (FW LDL コレステロール ) non HDL コレステロール 中性脂肪 糖質 : 空腹時血糖 HbA1c 肝機能 : 総ビリルビン AST ALT γ-gtp アルカリホスファターゼ 末梢血 : 赤血球数 ヘモグロビン量 ヘマトクリット値 MCV 白血球数 血小板数 3

その他:e-GFR 4. 研究方法原則として国際的に認められている定義に基づき基準個体 ( いわゆる健康人 ) を定義づけ さらに基準個体対象者に潜在する異常値を解析し その二次除外をした その後 データ分布の正規化などを行い最終的に基準範囲とした 1) 基準個体米国の National Committee for Clinical Laboratory Standards (NCCLS, 現 Clinical Laboratory Standard Institute(CLSI)) の定義 1) に従って基準個体を設定した つまりこの定義によれば 個人の健康状態をよく定義づけられたクライテリアに基づき適宜定めて基準個体とするとされる したがって 今回の研究では本委員会は人間ドック認定施設の健診受診者約 150 万人の健診データより 以下の基準をすべて満たしている者を基準個体とした i) 既往歴に悪性腫瘍 慢性肝疾患 慢性腎疾患などの疾患のない者 ないしは入院歴のない者 ii) 退院後 1 か月以上経過している者 iii) 現病歴で下記の事象がない者 薬物の常用 ( 高血圧 糖尿病 脂質異常症 高尿酸血症などの疾患の治療のため ) B 型肝炎あるいは C 型肝炎 iv) BMI 値 :25 未満 v) 喫煙なし vi) 飲酒 1 合 / 日未満 vii) 血圧 130/85 mmhg 未満なお血圧と BMI は基準個体の条件からそれぞれのしばりを外して解析した 本基準は従来の臨床検査の基準範囲の設定で用いられたものの中では 最も厳しい条件で健康人 ( 基準個体 ) を抽出したものと言える この結果元の約 150 万人から約 34 万人の基準個体対象者が抽出された 2) 潜在異常値除外法による基準個体の二次除外本研究での基準個体の二次除外はこの方法にて実施し それらを最終的に基準個体の対象者とした その方法が潜在異常値除外法であり 患者や健診受診者などから基準範囲を求める場合に使用する方法の一つである この方法は本委員会のメンバーの一人である市原らにより提唱されたものである これは基準範囲を設定しようとする検査項目と共に同時測定されている関連の検査の検査成績を用いて 基準範囲として相応しいデータを選択的に抽出する方法論 2) である 具体的には基本検査 9 項目のデータ分布の上限 下限のそれぞれ ±2.5% を二次除外した基準個体を対象とした 図 1に尿酸を例にとり方法の概要を示した なお その方法の詳細は文献 3) を参照されたい 全年代および男女差別の基準範囲は 原則として 30 歳 -64 歳の間のデータを用いて作成した なお本研究では基準個体の数は年代別に異なっていたので 4

年齢分布を一様化して解析を行った 具体的には検査毎に各年代を 10 年ごとに分けて 各年代のデータ数を無作為抽出法により 30 歳台の集団のデータ数に調整を行った 本二次除外により約 4.4 万人の対象者から 検査項目により人数は異なるが 少ないもので約 9 千人 多いもので約 2 万 2 千人が抽出された したがって 最終的にこの集団を基準個体として全年代の基準範囲を設定した 一方 年代別の基準範囲において 年齢を 30-44 歳 ( 壮年期 ) 45-64 歳 ( 中年期 ) 65 80 歳 ( 高齢者 )3 グループに分けて算出した この場合は年齢分布の一様化を行う事なく 壮年期および中年期は各 5 万人 高齢期は約 2-3 万人のデータを対象とした これらは本二次除外により 検査項目および男女別などで人数は異なるが 壮年期および中年期は少ないもので約 6 千人 多いもので約 2 万 4 千人が抽出された なお高齢期に該当する人数は少ないもので約 3 千人 多いもので約 8 千人が抽出された 3) 3) 基準範囲の統計学的解析各検査項目の測定値は正規分布を示さないので 全測定値をべき乗変換という統計学的な手法を用いて正規化した その後 これらのデータの 95% 信頼区間を計算し その区間の下限値と上限値を逆変換したものを基準範囲とした ( パラメトリック法 ) 4) 性差および年齢差の階層化法性差 年齢差については 各項目の基準値を性別 年齢別に群分けし枝分かれ分散分析 4) により群間差を表す標準偏差 (SD) を計算し それを個体間 SD に対する比で表す群間差指数 (SD ratio 以下 SDR) により判別した 3) 各項目の SDR 値は表 1に示した通りである これらの SDR 値に基づき 原則として SDR 値が 0.4 以上のものを性差 年齢差を認めるとした 5. 研究結果 1) 実例呈示まず 実際のデータがどのようになっているかを呈示する 図 2 に実例として HDL-コレステロールおよび LDL-コレステロールの今回の研究で得られたデータの分布を示した 図中では男性のデータを青のドットで 女性のデータは赤のドットで示した HDL-コレステロールの基準範囲は明らかに性差があり LDL-コレステロールのそれでは女性において 45 歳 60 歳にかけて増加しており年齢差を認めている ( 各基準範囲のデータは後述 ) 全ての検討項目につき これらと同様なデータを収集し 解析を行った 2) 基準範囲表 2 から表 5 に今回の研究で得られた基準範囲を示した 表 2 には性差 年齢差を認めない項目の基準範囲を示し 表 3 には性差を認めた検査項目の基準範囲を示した 表 4 には男女いずれかが年齢差を認める項目の基準範囲を示した HbA1c やコレステロールなどは女性で年齢差を認め 5

たが アルブミンは男性のみ年齢差を認めた 表 5 には男女とも年齢差を認めた e-gfr の基準範囲を示した 結果的に 男女差および年齢差を認めない検査が 7 項目 男女差を認める検査が 11 項目 男女いずれかが年齢差を認める項目が 8 項目 男女とも年齢差を認める検査が 1 項目あった なお 各表中に本学会で定めてある基準値を参考までに記載した 従来 本学会で設定してある検査の判別値である いわゆる学会基準値とは近似するものもあったが それを逸脱する項目もあった ただ 各検査の関連の専門学会の定める基準値とは大部分は近似していた この中で特に学会基準とかけ離れたのは LDL- コレステロール関連の検査であり 従来の基準値より上限値がかなり高くなった 6. 今回解析した基準範囲の意義と今後の展望基準範囲とは 国際的に認められている方法で 一定の条件を満たすいわゆる健康人 ( 基準個体 ) をある集団から抜粋し その試料を検査して測定値を得て設定するものである すなわち ここでは約 150 万人の中から 既往歴 現病歴 検査値などで異常がないとされた個体を選別し その後に他の関連検査項目における異常値の有無で二次除外を施行した その数は検査項目で異なるが 最終的には約 1 万 ~1 万 5 千人の健康人の集団の検査値である これに対し 健診などに使用される臨床検査の判断値は 基準範囲とは異なり疾患の疫学的研究によって得られた成績を基に 専門学会などで設定されたものである したがって両者は互いに異なるものであるが 一般的には基準範囲イコール正常値あるいは疾患判別値と理解されるケースがしばしばある そのため 基準範囲が一人歩きし 疾患の診断や治療に影響を与える可能性がある ここで設定した基準範囲はあくまで上記定義に基づいて 人間ドック受診者の検査データを用いて予防医学的な観点から設定したものである事をよく認識して頂きたい したがって今回の基準範囲の人間ドックに於ける運用に関しては今後の本学会及び健保連にて充分議論した後に進めていくべきと考える さらに今回のいわゆる健康人のデータを 5~10 年間追跡調査を行い 基準範囲の妥当性を検討する必要がある また 最近日本臨床検査標準協議会 (JCCLS) からも同様な共用基準範囲が示されている したがって これとの整合性も今後の課題である 文献 1) NCCLS : How to define and determine reference intervals in the clinical laboratory; Approved Guideline. NCCLS Document C28-P Vol. 12 No.2,1995. 2) 市原清志. 潜在基準値法による日常検査情報の活用. 臨床検査 49 : 1471-85, 2005. 3) Ichihara K, Boyd J. An appraisal of statistical procedures used in derivation of 6

reference intervals. Clin Chem Lab Med 48:1537-51, 2010. 4) Ichihara K, Ceriotti F, Tam TH et al. The Asian project for collaborative derivation of reference intervals: (1) strategy and major results of standardized analytes. Clin Chem Lab Med 51:1429 1442, 2013. 日本人間ドック学会 健康保険組合連合会検査基準値及び有用性に関する調査研究小委員会メンバー 学術委員長山門實 実行委員長渡辺清明 三井記念病院総合健診センター特任顧問 東京臨床検査医学センター理事長 委員市原清志 山口大学医学部病態検査学講座検査管理学教授 加藤公則 社団法人新潟県労働衛生医学協会医長 髙谷典秀 医療法人社団同友会理事長 冨田照見 一般財団法人関西労働保健協会理事長 石川良樹 みずほ健康保険組合大手町健康開発センター所長 松本義幸 健康保険組合連合会参与 小松原祐介健康保険組合連合会保健事業グループマネージャー 7

図 1 潜在異常値除外方法基本検査に異常のある人は 基準範囲設定対象検査にも異常をきたしやすい 健常者だが 基準個体 1 0 1 0 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 基本検査に異常のある人 ( 潜在異常値 ) を除外 潜在病態を除外しないときの尿酸の分布 基本検査に異常のない人の尿酸の分布 基本検査 3 項目に異常 基本検査 1 項目に異常 基本検査 4 項目に異常 3 1 1 1 4 基準範囲は広くなる基準範囲 8

mg/dl 図 2 実例呈示 : 血清コレステロールの基準範囲 青のドット : 男性 赤のドット : 女性 mg/dl HDL- コレステロール LDL- コレステロール 男女差あり女性 : 年齢差あり 9

表 1 SDR 値 性差 年齢差男性女性 BP_S 0.36 0.00 0.20 BP_D 0.42 0.14 0.09 TP 0.00 0.00 0.00 Alb 0.28 0.43 0.08 CRE 1.57 0.00 0.00 UA 1.16 0.00 0.19 TC 0.00 0.10 0.60 HDL 0.59 0.00 0.00 LDL 0.00 0.00 0.53 FW LDL 0.00 0.00 0.56 NonHDL 0.10 0.00 0.57 TG 0.48 0.00 0.26 TBil 0.37 0.00 0.00 AST 0.27 0.00 0.42 ALT 0.58 0.00 0.30 GGT 0.67 0.00 0.22 ALP 0.25 0.00 0.61 Glu 0.46 0.23 0.28 HbA1c 0.00 0.32 0.48 RBC 1.05 0.34 0.12 WBC 0.16 0.00 0.11 Hb 1.31 0.20 0.15 Ht 1.30 0.15 0.20 PLT 0.14 0.19 0.10 MCV 0.15 0.40 0.26 egfr 0.00 0.43 0.46 BMI 0.45 0.10 0.11 10

表 2 男女差および年齢差を認めない項目の基準範囲 基準範囲 項目 単位 男女差指数 n 下限 上限 学会基準値 血圧収縮期 (SBP) mmhg 0.37 11,949 88 147-129 * 血圧拡張期 (DBP) mmhg 0.39 11,943 51 94-84 血清総蛋白 (TP) g/dl 0 11,411 6.5 7.9 6.5-8.0 総ビリルビン (TB) mg/dl 0.37 12,875 0.4 1.6 平均赤血球容積 (MCV) fl 0.15 17,128 84 98 白血球数 (WBC) /μl 0.16 21,553 3,036 7,611 3,200-8,500 血小板数 (PLT) /μl 0.14 18,844 15 33 13.0-34.9 11

表 3 男女差を認める項目の基準範囲 男女差 項目 単位 指数 男性の基準範囲女性の基準範囲学会基準値 n 下限上限 n 下限上限 * BMI kg/m 2 0.45 5,696 18.5 27.7 6,530 16.8 26.1-25 クレアチニン (CRE) mg/dl 1.49 5,375 0.66 1.08 7,192 0.47 0.82 男性 - 1.00 女性 - 0.70 尿酸 ( 血清 )(UA) mg/dl 1.14 6,781 3.6 7.9 9,350 2.6 5.9 2.1-7.0 中性脂肪 (TG) mg/dl 0.48 6,706 39 198 9,254 32 134 30-149 HDL-C mg/dl 0.56 6,436 40 92 8,982 49 106 40-119 ALT U/l 0.55 6,714 10 37 9,136 8 25 0-30 γ-gt(ggt) U/l 0.66 6,574 12 84 8,996 9 40 0-50 空腹時血糖 (Glu) mg/dl 0.42 5,015 83 114 6,685 78 106-99 赤血球数 (RBC) 10 4 /μl 1.00 9,851 437 536 12,634 392 485 男性 400 539 女性 360-489 血色素量 (Hb) g/dl 1.28 9,370 13.7 16.4 12,062 11.9 14.6 男性 13.1-16.6 女性 12.1-14.6 ヘマトクリット値 (Ht) % 1.23 8,908 41 48 11,975 36 44 男性 38.5-48.9 女性 35.5-43.9 12

表 4 男女いずれか年齢差を認める項目 項目単位 年齢差指 数 アルブミン g/dl (ALB) 男 :0.43 女 :0.16 AST U/l 男 :0.10 女 :0.43 HbA1c(NGSP 値 ) % 男 :0.34 女 :0.44 総コレステロ mg/dl ール (TC) 男 :0.20 女 :0.58 LDL-C mg/dl 男 :0.15 女 :0.53 FW LDL-C mg/dl 男 :0.16 女 :0.55 Non HDL-C mg/dl 男 :0.17 女 :0.58 アルカリホスファ U/l ターゼ (ALP) 男 :0.05 女 :0.63 男性の基準範囲女性の基準範囲年代学会基準値 n 下限上限 n 下限上限 30-44 5,754 4.1 4.9 45-64 65-80 30-44 45-64 65-80 30-44 45-64 65-80 30-44 45-64 65-80 30-44 45-64 65-80 30-44 45-64 65-80 30-44 45-64 65-80 30-44 45-64 65-80 5,746 2,674 4.0 3.9 14,624 6,500 13 29 14,614 3,374 8,577 3,718 4.97 6.03 8,509 2,004 13,746 6,169 151 254 13,710 3,214 14,785 6,685 72 178 14,517 3,381 13,848 6,232 77 170 13,832 3,259 13,846 6,232 92 194 13,832 3,259 13,431 6,232 119 303 13,370 3,094 4.8 6,075 4.0 4.8 4.0-4.7 12 13 15 4.83 4.96 5.11 145 163 175 61 73 84 66 79 91 77 91 105 94 105 123 24 28 0-30 31 5.83 6.03-5.5 6.20 238 273 140-199 280 152 183 60-119 190 147 178 185 162 196 205 237 316 341 * 13

表 5 男女とも年齢差を認める項目の基準範囲 年齢差 項目 単位 指数 年代 30-44 23,504 e-gfr ml/min/1.73m 2 0.46 45-64 24,181 基準範囲学会基準値 n 下限上限 65-80 8,511 50 94 62 55 111 100 60.0 - * * 学会基準値 : 日本人間ドック学会が定める基本項目において A 異常なし とされる検査値 ( なお基本項目に該当しない検査の基準値は記載していない ) 14

判定区分 (2014 年 4 月 1 日改定 ) 項 目 A 異常なし B 軽度異常 C 要経過観察 生活改善 D 要医療 D1 要治療 D2 要精検 *1 E 治療中 *7 体格指数 (BMI) kg/ m2 18.5-24.9-18.4, 25.0- 腹囲cm 血圧mm Hg (2 回測定 : 平均値 ) 男性 -84.9 85.0- 女性 -89.9 90.0- 収縮期 -129 130-139 140-159 160- 拡張期 -84 85-89 90-99 100- 心拍数 ( 仰臥位 ) 回 / 分 45-85 40-44,86-100 -39,101- 眼底検査 (Scheie 分類 ) 視力 ( 裸眼, 矯正両方の場合は矯正で判定 )( 悪い側で判定 ) 聴力 db 1000Hz 4000Hz 0 1 2 3-4 1.0-0.7-0.9-0.6-30 35 40- -30 35 40- 呼吸機能 ( スパイロメトリー ) 小数点 1 ケタ表記に変更 *2 1 秒率 (%) 70.0- -69.9-69.9 %1 秒量 ( 予測 1 秒量に対する %) 80.0- -79.9 % 肺活量 (%) 80.0- -79.9 総たんぱく g/dl 6.5-8.0 8.1-9.0 6.0-6.4-5.9, 9.1- アルブミン 4.0-3.6-3.9-3.5 クレアチニンmg /dl 男性 (egfrを優先して判定) -1.00 1.01-1.09 1.10-1.29 1.30- ( 小数点 2 ケタ表記に変更 ) 女性 -0.70 0.71-0.79 0.80-0.99 1.00- egfr(ml/ 分 /1.73m2による) ( 小数点 1ケタ表記に変更 ) 60.0-50.0-59.9-49.9 尿酸 g/dl mg /dl 2.1-7.0 7.1-7.5-2.0,7.6-8.9 9.0- 総コレステロールmg /dl *3 140-199 200-219 220-259 -139, 260- HDLコレステロール LDLコレステロール中性脂肪 AST(GOT) ALT(GPT) γ-gt(γ-gtp) mg /dl mg /dl mg /dl U/L U/L U/L 40-119 30-39 -29, 120-60-119 120-139 140-179 -59, 180-30-149 150-199 200-399 -29, 400-0-30 31-35 36-50 51-0-30 31-40 41-50 51-0-50 51-80 81-100 101- FPG( 血漿 ) 空腹時血糖 mg /dl HbA1c(NGSP) % *4 FPG:-99 かつ HbA1c:-5.5 1)FPG:100-109 かつ HbA1c:- 5.9 2)FPG:-99 かつ HbA1c:5.6-5.9 1),2) のいずれかのもの 1)FPG:110-125 2)HbA1c:6.0-6.4 3)FPG:126- かつ HbA1c:-6.4 4)FPG:-125 かつ HbA1c:6.5-1)~4) のいずれかのもの *5 FPG:126- かつ HbA1c:6.5- 赤血球数 白血球数 血色素量 10 4 /μl 10 3 /μl g/dl 男性 400-539 540-599 360-399 -359, 600- 女性 360-489 490-549 330-359 -329, 550-3.2-8.5 8.6-8.9 2.6-3.1-2.5, 9.0- 男性 13.1-16.6 16.7-17.9 12.0-13.0-11.9, 18.0- 女性 12.1-14.6 14.7-15.9 11.0-12.0-10.9, 16.0- ヘマトクリット % 男性 38.5-48.9 49.0-50.9 35.4-38.4-35.3, 51.0- 女性 35.5-43.9 44.0-47.9 32.4-35.4-32.3, 48.0- 血小板数 10 4 /μl CRP mg /dl ( 小数点 2ケタ表記に変更 ) 梅毒反応 13.0-34.9 35.0-39.9 10.0-12.9-9.9, 40.0- -0.30 0.31-0.99 1.00- 陰性 陽性 HBs 抗原 陰性 陽性 尿蛋白 (-) (+-) (+) (++)- 15

項 目 A 異常なし B 軽度異常 C 要経過観察 生活改善 D 要医療 D1 要治療 D2 要精検 *1 E 治療中 *7 尿糖 尿潜血 便潜血 2 回法 (-) (+-) (+)- (-) (+-) (+) (++)- 1 回目 (-) (+) 2 回目 (-) (+)(+),(+)(-),(-)(+) 子宮頚部細胞診 ベセスダ分類 NILM 不適正標本 = 判定不能 ( すみやかに再検査 ) ASC-US *6 ASC-H,LSIL,HSIL,SCC,AGC, AIS,Adenocarcinoma, Other malig HCV 抗体 *1 値の高低 所見によっての D1 要治療 D2 要精検のいずれかを採用するかは任意とする 陰性 *2 呼吸機能検査は検者 被験者の良好の関係が数値を微妙に変えるので注意するまた 1 秒率 %1 秒量の組み合わせで閉塞性障害の重症度を判定する 1 秒率が 70% 未満かつ %1 秒量 80% 以上が軽症 79% 以下が中等症以上と判定する 1 秒率 % 肺活量の組み合わせで閉塞性 拘束性 混合性換気障害と判定する *3 総コレステロールより LDL コレステロール判定を優先する *4 判定区分での HbA1c の表記は NGSP 値である HbA1c(NGSP 値 ) は =1.02 JDS 値 (%)+0.25% で変換可能である *5 空腹時血糖 HbA1c(NGSP) 併合判定 C 区分の 3)4) と判定した場合は OGTT を推奨する *6 不適性標本はすみやかに再検査 ASC-US は 6 か月後再検査とする *7 従前どおり治療中の場合は E 判定とする 項 目 検査方法 総たんぱく Biuret 法 アルブミン * BCG 法 BCP 改良法 総コレステロール 酵素法 LDLコレステロール 直接法 ( 非沈殿法 : 可視吸光光度法 紫外吸光光度法 ) HDLコレステロール 直接法 ( 非沈殿法 : 可視吸光光度法 紫外吸光光度法 ) 中性脂肪 酵素比色法 グリセロール消去 ( 可視吸光光度法 紫外吸光光度法 ) クレアチニン 酵素法 尿酸 ウリカーゼPOD 法 AST(GOT) JSCC 標準化対応法 ALT(GPT) JSCC 標準化対応法 γ-gt(γ-gtp) JSCC 標準化対応法 空腹時血糖 酵素法 電極法 HbA1c ラテックス凝集比濁法 HPLC 法 酵素法 梅毒反応 梅毒脂質抗原使用法 CRP ラテックス凝集免疫比濁法 免疫比濁法 免疫比朧法 * アルブミンの BCG 法と BCP 改良法の差異は下記を参照 http://www.jslm.org/others/news/20131225albumin.pdf 陽性 16