株式会社歯愛メディカル ~ 海外調達から海外販売へ ~ (Ci 商品を北陸から海外の歯科業界へ ) 歯科材料の通信販売で国内シェア No.1 1
海外展開に取り組んだ理由 国内市場で一定の地位 ( マーケットシェア No.1) を獲得 次は海外へ 国内歯科業界は飽和状態のため 比較的スキマのある海外へ 歯科治療が日本より遅れている地域に 歯科材料を提供する Made in Japan のオリジナル商品を 海外で販売したいという強い思い 割高な商品でも海外で通用させたい ( ターゲットは富裕層 ) 異文化国への商品投入で得られる新たなアイデアを商品化へフィードバック 歯科材料の通信販売が未発達地域の調査 インターネット 通信販売 宅配システムが開発途上である地域でのトライアル 現地の健康保険制度や 歯科治療に関する知識を得ることで今後の進出の礎とする 2
輸出倍増事業モデル 商品 歯ブラシを中心とした オーラルケア商品 ターゲット 歯科医が設計開発した Made in Japan の歯ブラシを求める富裕層がターゲット 価格では中国製品には勝てない上に日本からの輸送コストもかかる 毎日使うヘルスケア商材である歯ブラシに対して 高級商品の要望は必ず存在するとの推測 対象国 アジア地域中国 韓国 台湾 ベトナム シンガポール マレーシア インドネシア タイ フィリピン パキスタン スリランカ インドなど 理由欧米などに比べ 日本よりも歯科事情が遅れている可能性があり 進出のチャンスが大きい 取引先 ( 調達 ) も多く 現地の情報を入手しやすい 3
輸出額倍増に効果的だった取り組み事例 1 取組内容 英語版カタログを作成 取組を行った理由 課題 全 20ページ日本製中心価格は高め写真豊富 最初にカタログと価格を聞かれる 販促材料としてカタログは必須 エンドユーザー価格のみ表示 ( 代理店価格は別紙に記載 ) 適切な英語表現の工夫に苦心 取組から得られた成果 うまく行かない場合にどう成果に結びつけたか [ 商品面 ] 海外では子供用や高齢者用の種類が少ないため特に注目される [ 価格 ] かなりの業者から 高い といわれる もともと富裕層中心のため変更せず 英語表現については 歯磨き粉で世界シェアの高い米国企業など 他社 WEB サイトを研究 カタログだけで説明できない会社概要は別途会社案内 ( 英語版 ) を作成 ビジネスで英語可能な人材 10 名のうち 3 名が担当 4
輸出額倍増に効果的だった取り組み事例 1 英語版カタログ 英語版会社概要 5
輸出額倍増に効果的だった取り組み事例 2 取組内容 海外展示会に出展 ( 年 1 回 ) 取組を行った理由 課題 会社の知名度 信頼度が低い 実物を見せないと商談にならない 視察型では商談スペースがない 2012 年シンガポール 2013 年ドイツ 取組から得られた成果 うまく行かない場合にどう成果に結びつけたか [2012 年 ] マレーシア ベトナム企業と取引開始 [2013 年 ] 韓国 中国企業と取引開始ヨーロッパからも問い合わせ多数 価格中心の交渉にならないよう 機能面 ( 歯科医が開発した商品 ) デザイン面 ( グッドデザイン賞受賞経験 ) やラインアップの豊富さ ( 歯ブラシだけで 40 種 ) を中心に英語版カタログで説明 ( 社員が英語で直接商談 ) 日本からの輸出では中国勢には勝てないため 価格中心の商談は早々に切り上げるなど対応 6
輸出額倍増に効果的だった取り組み事例 3 取組内容 同じ業者に何度もアタック 取組を行った理由 課題 展示会でブース訪問し売り込みを行っても 一回目では概ね断られる しかし 他の展示会で同じ人物に何度もアタックすることで 徐々に信頼度が上がり 購入をしていただけることになった 会社の知名度や信頼度が低い 取組から得られた成果 うまく行かない場合にどう成果に結びつけたか 韓国企業と取引開始 韓国の大手ディーラー 展示会では 長時間の打ち合わせは困難 ダメ元でアタックし会社を知ってもらうことから開始 2~3 か月毎の各国展示会で 社長自らが毎回声掛けし コミュニケーションが増えることで 最終的に販売に結び付いた 7
輸出額倍増に効果的だった取り組み事例 4 取組内容 エクスクルーシブ契約 取組を行った理由 課題 韓国企業とエクスクルーシブ契約を締結 ( 低いコミット金額で試験実施 ) 客先からの強い要求 ( 商品は良いがブランド力が弱いので販促費が必要 ) 販売力のある総合商社で 1 年間マーケティング的にトライアルしたい 矯正展示会 ( 韓国 ) 取組から得られた成果 強い販売成果を実現 1 社だけで 8 か月で大きな売上を実現 うまく行かない場合にどう成果に結びつけたか 急な納期対応要求に応じられないことがあったが コミュニケーションを密にして ( サンプル送付など ) 最優先で対応し会社のイメージアップを心がけた 8
課題が残った 上手くいかなかった点 1 課題 1 内容 英語版カタログ作成について 2012 年 4 月の作成以降 毎年作成をしたかったが できなかった その理由 初版作成時は 輸出案件がごくわずかで リソースをカタログ作りに集中できた しかし 輸出案件が増えるにつれ 新規の問い合わせ輸出対応のため カタログ改訂の余裕がなくなった 輸出業務を担当する社員の退職も重なった 現状 幸い 歯科材料は値崩れしない商材が多く 2 年前のカタログであっても陳腐化はしていない 新商品が追加できていないので 別紙を作るなど テコ入れを行っていきたい カタログ初版 9
課題が残った 上手くいかなかった点 2 課題 2 内容 既存の取引先 ( 購入先 ) に対して現地での販売を依頼したが実を結ばず その理由 当社要望を直ちに断ることがない反面 結論が出るまで時間がかかることが多かった ( 結局断られることが多かった ) 先方担当窓口が異なるため 日常的に会話をすることが少なかった 購入と販売の両方の取引で 当社の窓口が一つであると 価格交渉もしづらい面があった 取引先が多く すべてに声掛けすると その対応だけで手を取られる状況になった 現状 既存の取引先には 可能性は打診するものの 深追いはしないこととした 展示会に出展しないような第 3 者を紹介していただくことも活動として行っている 取引先からの要請がある場合には 実現可能性が高い 中国 10
課題が残った 上手くいかなかった点 3 課題 3 内容 現地事情や輸出業務に関するノウハウ不足 その理由 韓国では 日本製品についての減税措置があり 原産地証明が必要になることがあった 原産地証明の取得方ノウハウがなく (WEB を調査しても解決せず ) で調査に時間を要した 現状 インターネットでの調査 ( 他県の商工会議所の FAQ など ) や 白山商工会議所へのヒアリングにより 証明書発行に関するノウハウを得たため スムーズに対応できるようになった 原産地証明 11
課題が残った 上手くいかなかった点 4 課題 4 内容 マレーシアの販売先 A 社の業務終了に伴い 商流調整が発生したが 収拾がつかない状態が 4 か月ほど継続した その理由 もともと A 社は販売店 B 社 を中心に販売していた 一方 A 社は仲のいい代理店 C 社を後継の代理店に指名したが B 社と C 社は相性が悪く B 社は直接取引を要請してきた 現状 十分なコミュニケーションの結果 B 社との直接取引 ( 非独占 ) を優先した その一方で C 社にも新規取引を打診していたが その後音信不通になった 現在 B 社と良好な関係で取引が継続している 関係図 B 社展開 ( マレーシア ) 歯愛メディカル 販売 業務終了 直接取引を要求 販売 A 社 後継指名 代理店 C 社 販売店 B 社 相性悪い 12
3 年間取り組んだ感想 3 年間の取り組みが国内事業等自社に与えた影響や効果について 国内市場が徐々に頭打ちになり 他の事業や他の市場に出ていく必要性が生じる中 海外市場への進出は至上命題になっています そのような状況下で 3 年前に取り組みを開始できたことは 大きなアドバンテージになりました 仕入れ額の約 3 分の 1 を海外輸入に頼っていますが 昨年からの為替の大幅変動で 非常に厳しい状況 輸入と同額程度の輸出が実現できれば 為替の影響も最小限にとどめることができるため 輸出に対する会社の期待は非常に大きいです 13
海外展開に関する今後の展望 3 年間の取り組みを踏まえた自社の今後の海外展開について 日本製品が海外 ( とりわけ中国や韓国 ) で通用するということは 日本人としてこの上なく嬉しいことです 値段だけではない 品質や付加価値といった部分で評価された結果です 未開拓の地域が殆どですので 今後もさらに拡大させていきたいと思います 海外展開を希望 計画している企業に対してのアドバイス 展示会の有効活用自ら出展することが重要と分かりました 出展している会社を訪問しても 説明員は営業マンのため 調達に興味がない場合が殆どです このため自ら出展し 展示会の来場者と話をしなければ販売につながらないと思いました また ブース出展することで 会社に対する一定の信頼を得ることができます 販売地域を限定していなければ 欧州の展示会に参加することも効果があります 業種により異なりますが アジアのバイヤーも欧州にまで足を運び調査に来る場合が多々あります ブース出展は自社単独で行いました壁掛けのタペストリーは日本で制作しましたが ブース内の什器類は展示会主催側からレンタル また 展示品は日本から空輸しました ( 設営 撤収を社員が行うことでコストを軽減しました ) 自社で単独で出展するほかに 共同出展のケースもありますが 自社のほうが目立つと思います 14