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コンクリート工学論文集 第 22 巻第 1 号 2011 年 1 月 強制撹拌型ミキサを用いた超高強度繊維補強コンクリートの練混ぜ方法に関する研究 坂本淳 * 1 新藤竹文 * 2 宇治公隆 * 3 概要 : 本論文では, 超高強度繊維補強コンクリートの練混ぜ時間短縮を目的として強制撹拌型ミキサを用いた練混ぜ方法に関して検討した結果について示す 内羽根, 外羽根の周速を適切に設定し, 外羽根に対する内羽根の周速比を 1~1.5 程度とし, 各周速の積を 4(m/s) 2 以上とすることにより, 目標とした練混ぜ時間 10 分以内に所要の流動性を確保できることを容量規模の異なる 2 種類の同型ミキサにより実証した また, この条件内で練混ぜ時間をなるべく短くするために最適な各羽根の周波数設定条件は, ミキサ容量 100 500 リットルのどちらとも内羽根が 47.1Hz, 外羽根が 55Hz であった キーワード : 超高強度繊維補強コンクリート, 強制撹拌型ミキサ, 練混ぜ 1. はじめに高強度, 高じん性, 高耐久性などの優れた特性を有する超高強度繊維補強コンクリート ( 以下,UFC と記す ) は, 道路橋や床版部材など近年様々な構造物へ適用されている 1),2) 土木学会 超高強度繊維補強コンクリートの設計 施工指針 ( 案 ) 3) ( 以下,UFC 指針 ( 案 ) と記す ) に示されているように, 同コンクリートは粒径 2.5mm 以下の骨材, セメント, シリカフュームなどの微粉末材, 水, 高性能減水剤および補強用繊維から構成され, 標準配合粉体を使用した配合の水粉体比は 8% 程度と極めて低い このため, 一般のコンクリートに比べると粘性が高いために, 練混ぜ時間もかなり長くなることが指摘されている 3) 一方,UFC は短期間に硬化後の組織を緻密化する目的から, 蒸気養生などの熱養生を施すことを標準としているため, プレキャスト部材としての利用が現時点では一般的である このため, 同コンクリートのプレキャスト部材を大量に工場製作する際には, 練混ぜ作業に要する時間が製作サイクル上のクリティカルポイントとなる場合が多いと考えられる したがって, 練混ぜ時間を短縮することは部材製作効率の向上において有効な対策の一つであると考えられるが, このような UFC に関する技術的課題について検討した事例はこれまでにほとんど報告されていない 3) 国内初の UFC 歩道橋部材の製作事例においては, パン型強制練りミキサ ( 容量 1.75m 3 ) を用いて標準配合粉体を使用した UFC の練混ぜが行われており, 繊維投入前 7 分, 繊維投入時 5 分, および繊維投入後 2 分の合計 14 分間を標準的な 1 バッチあたりの練混ぜ時間として実施された また,Aft 系 UFC を対象とした汎用的な水平二軸式強制練りミキサ ( 容量 2.5m 3 ) による製造実験においても同様に, 繊維投入時間も含めて 12~14 分程度の練混ぜ時間が必要であることが報告されている 4) 本研究では UFC の練混ぜ時間短縮を目的として, 強制撹拌型ミキサを用いた練混ぜ方法について検討した結果を示す 2. 小容量強制撹拌型ミキサによる練混ぜ方法の事前検討実験 2.1 使用ミキサ本研究では, 容量 500 リットルの中容量強制撹拌型ミキサの練混ぜ試験を実施する前に, 図 -1 に示す容量 100 リットルの小容量強制撹拌型ミキサを使用して練混ぜ方法に関する事前検討実験を行った さらに, 事前検討実験における練混ぜ時間短縮に関する目標値などを定めるため, 図 -1 と同タイプで容量 50 リットルの強制撹拌型ミキサを用いて予備実験を行った したがって, 本研究では容量の異なる 3 種類の強制撹 *1 大成建設 ( 株 ) 主任研究員技術センター土木技術開発部工修 ( 正会員 ) 245-0051 神奈川県横浜市戸塚区名瀬町 344-1 *2 大成建設 ( 株 ) 主席研究員技術センター土木技術研究所工博 ( 正会員 ) 245-0051 神奈川県横浜市戸塚区名瀬町 344-1 *3 首都大学東京教授都市環境科学研究科博 ( 工 ) ( 正会員 ) 192-0397 東京都八王子市南大沢 1-1 11

拌型ミキサを用いて UFC への適用性を検討するとともに, 容量 100 リットルの小容量ミキサで定めた最適練混ぜ条件の容量 500 リットルの中容量ミキサへの適用性についても検証した 本章では, 容量 50 リットルのミキサを用いて行った予備実験結果, および容量 100 リットルのミキサを用いて行った事前検討実験結果を示す 本研究で実験の対象とした強制撹拌型ミキサはコンクリート製造業のほか, 製鉄業, 窯業など様々な分野における粉体の混合や汚泥の造粒 混練などの目的で使用されている 図 -1 および写真 -1 に示すように, 本ミキサはコーン型の容器の中心部にスパイラル状の羽根 ( 以下, 内羽根と称する ) を有する軸を有している さらに, 別途設けられた 5 本のアーム先には容器内側面に添って外羽根 ( 以下, 外羽根と称する ) が配置されており, 内 外羽根のモータは個別に設置されている コンクリート試料は, 内羽根の回転によりせん断作用と拡散作用を与えられながら上方へ搬送される また, それと同時に試料は容器内側を内羽根とは逆方向に回転している外羽根によって, 攪拌作用を受けながら下向きかつ内羽根に向かって押し込まれる作用を受ける したがって, これら内 外の 2 種類の羽根が相互に逆回転して試料を練り混ぜることにより, 試料へ強いせん断力を与えることができるため, 二軸式強制練りミキサなどの一般的なミキサに比べて練混ぜ時間を短縮できることが期待される 本研究では, 鋼繊維添加前の練混ぜにおける内 外羽根の周速を適宜設定し, 最適な練混ぜ方法を検討した 2.2 使用材料および対象配合本研究で実験の対象とした UFC の配合, および使用材料を表 -1に示す UFC 指針 ( 案 ) 3) に示される標準配合粉体の材料構成を参考とし, 市販の材料を組み合わせたノンプレミックス型 UFC 配合を実験の対象とした 粉体材料としては低熱ポルトランドセメント, シリカフュームを主として使用し, その他に中間粒子となる混和材料として高炉スラグ微粉末を主として添加した 骨材としては絶乾状態の 4~7 号硅砂を使用し, その他, 上水道水, ポリカルボン酸系高性能減水剤, および鋼繊維を使用した 鋼繊維は UFC 指針 ( 案 ) 3) に示されている標準配合粉体と共に使用されているもの (φ0.2 15mm) と材質は同等であるが, 長さが 2mm 短い市販の繊維材である 鋼繊維添加量は 2vol.% とした 2.3 本研究における目標値の設定 (1) 練混ぜ時間短縮に関する目標値はじめに, 容量 50 リットルの強制撹拌型ミキサおよび同規模 ( 容量 55 リットル ) の水平二軸式強制練りミキサを用いて表 -1に示すノンプレミックス型 UFC 配合を練り混ぜて, 強制撹拌型ミキサによる練混ぜ時間短縮における目標値を定めた 前者のミキサ機構は図 -1 に示す容量 100 リットルの場合と同様であるが, 容量が少な 1000 360 図 -1 容量 100 リットルの 761 強制撹拌型ミキサ概要図 ( 単位 :mm) 写真 -1 容量 100 リットルの強制撹拌型ミキサ内部 表 -1 ノンプレミックス型 UFC 配合および使用材料 (W+Ad)/(P+S) 単位量 (kg/m 3 ) (%) W P S SF Ad 材料品種 ( 記号 ) 水 (W) 粉体材料 (P) 骨材 (S) 混和剤 (Ad) 繊維材 (SF) 8.5 151 1322 857 157 34 材料名 水 低熱ポルトランドセメント シリカフューム 4~7 号珪砂 高性能減水剤 鋼繊維 内羽根 各アーム先端の外羽根 上水道水 品質 密度 3.22g/cm 3, 比表面積 3,450cm 2 /g 密度 2.22g/cm 3, 比表面積 200,000cm 2 /g 表乾密度 2.64g/cm 3, 吸水率 0.2%, 粗粒率 1.47 ポリカルボン酸系 φ0.2 13mm, 密度 7.85 g/cm 3, 引張強度 2,000N/mm 2 以上 いため外羽根の枚数は 3 枚である どちらのミキサも練混ぜの手順については, 以下の方法を基本とした はじめに粉体材料および骨材をミキサ上部の開口部より投入し,30 秒間空練りした後, 水, 高 12

性能減水剤を投入して練り混ぜた 本研究では, 鋼繊維を投入する前までに行う前記の練混ぜ作業を一次練り, 一次練りを終了した後, 鋼繊維を添加して練り混ぜる作業を二次練りと称する 空練りおよび一次練りの設定条件は各ミキサの標準的な回転数設定とし, 強制撹拌型ミキサについては内羽根の周波数 53.4Hz( 周速 2.7m/s), 外羽根の周波数 50.0Hz ( 周速 1.5m/s)) とし, 水平二軸式強制練りミキサは周波数 50.0Hz とした 練混ぜ量は, 各ミキサ容量の 80% 相当とした 強制撹拌型ミキサにおける周速 V は以下に示す式 (1) より算出した V =π L N/60 (1) ここで,V: 内羽根または外羽根の周速 (m/s) L: 内羽根の最外径 (m) または外羽根位置の最外径 (m) N: 内羽根または外羽根の回転速度 (rpm) また, 上式における回転速度 N は次式より算出した N =120 F/P/(1 S) α (2) ここで,F: 内羽根または外羽根の周波数 (Hz) P: 内羽根または外羽根のモータ極数 S: 内羽根または外羽根のモータすべり α: 内羽根または外羽根のモータ減速機による減速比以上の 2 式を用いて, 設定した内 外羽根のモータ周波数より周速 V を算出したが, 式 (2) においてモータ極数 P は内 外羽根ともに 4 であり, モータすべりは 0 とした 本節に示す実験で使用した容量 50 リットルの強制撹拌型ミキサのほか, 次節以降に示す容量 100 リットル, 500 リットルのミキサにおける内 外羽根の最外径など式 (1),(2) に含まれる各容量のミキサ固有の設定値を表 - 2に示す 一次練りの練混ぜ途中でミキサを 3 回停止し, それぞれの停止の際に試料を採取してフレッシュ時の品質確認試験としてフロー試験 (JIS R 5201, 落下なし ) を行い, フロー値およびフロー値が 200mm に到達するまでの時間 ( 以下,200mm フロー到達時間と称する ) を測定した 一次練り時のミキサ内試料の混合状態については,UFC 指針 ( 案 ) 3) に示される責任技術者が目視確認し, 試料が均質な状態であると判断した上で, ミキサ上部の開口部より試料を 0.5~1.0 リットル採取した また, フロー試験は 5 分間程度で実施し, 測定後の試料は速やかにミキサ内へ戻して, 練混ぜ試験に再度供した 表 -2 周速算出のための各諸元 内羽根外羽根ミキサ最外径 L モータ最外径 L モータ容量 (l) (m) 減速比 α (m) 減速比 α 50 0.30 1/9.4 0.73 1/38 100 0.34 1/10 1.00 1/34 500 0.58 1/10 1.70 1/50 フロー (mm) 200mm フロー到達時間 (sec) 280 260 240 220 二軸式 200 0 30 60 50 40 30 20 練混ぜ時間 ( 分 ) 強制攪拌型 10 0 30 練混ぜ時間 ( 分 ) 図 -2 二軸式強制練りミキサと強制攪拌型ミキサにおける 一次練混ぜ時間とフロー 200mm フロー到達時間 の関係 なお, 本研究で対象とした UFC 配合は水粉体比が極めて小さく, 練上がり後は試料表面が乾燥し易い このため, 実験前に同等配合による捨て練りを行ってもミキサ内に乾燥した試料が残って次バッチの試験結果に悪影響を及ぼすことも考えられたことから, 本研究では捨て練りは行わず, 前バッチの残試料はミキサ内から極力掻き落として排出し, 次バッチの材料投入直前に霧吹きにてミキサ容器内部や羽根を水で湿らせることで, 各バッチ間において練混ぜ前のミキサ内の状態を一定な湿潤条件となるよう実験を行った 一次練混ぜ時間とフロー値および 200mm フロー到達時間との関係を図 -2に示す 自己充てん性を有するフロー下限値に相当するとされている 230mm 3) のコンシステンシーが得られる一次練混ぜ時間は, 一般的な二軸式強制練りミキサの場合は約 20 分間を要するのに対し, 強制撹拌型ミキサではその半分程度の時間 ( 約 10 分間 ) に短縮することが可能であった 13

また, その時点での 200mm フロー到達時間は前者が 30 秒程度, 後者が 24 秒程度であり, 強制撹拌型ミキサ で練り混ぜた方が同程度のフローであっても流動速度が速くなっていることから, 同ミキサにより粘性は低減され, 粉体材料の分散性が向上しているように思われた 既往の研究 5) では, 二軸式強制練りミキサ内のコンクリートの流動は 2 本のシャフトによるらせん流動がミキサ中央で接触する 局部交錯流動 と, 逆方向に進行するらせん流動が相互に繰り返されることにより形成される 全体循環流動 が存在すると指摘されている また, どちらの流動もセメント粒子と水の水和反応に必要な固液界面接触を円滑に行うための 微視的な練混ぜ に貢献するが, 細骨材や粗骨材などの粒子群を均一に混合し, その粒子空隙間にセメントペーストを密実に充てんさせる 巨視的練混ぜ には 全体循環流動 を卓越させることが有効であるとされている 6) UFC は一般のコンクリートとは異なり, 粒径の大きな骨材を混入せず水, 混和剤, セメント等の粉体材料, および珪砂など最大でも粒径 2.5mm 以下の骨材から構成されていることから, その練混ぜには 微視的な練混ぜ を向上させることが必要と考えられる 強制撹拌型ミキサでは, 内 外の 2 種類の羽根が相互に逆回転することによりコンクリート試料へ高速せん断流動作用を与えていると考えられ, これが 微視的な練混ぜ に対して二軸式強制練りミキサより有効的に働いた結果, このような練混ぜ性能の差が生じたものと考えられる 本検討結果より, 二軸式強制練りミキサに比較して強制撹拌型ミキサは UFC の練混ぜ時間短縮に対して有効であることを確認した また, 強制撹拌型ミキサによる一次練り終了の目標時間は, 二軸式強制練りミキサを用いた場合の所要練混ぜ時間の半分以下に相当する 10 分以内とし, 本研究では練混ぜ時間をなるべく短くするために必要な練混ぜ条件を詳細検討することとした (2) 一次練り終了判定のための 200mm フロー到達時間の目標値次に, 本実験で設定した練混ぜ条件の良否を一次練りのフロー性状により判断することで実験の効率化を図るため, 一次練り終了時のフロー性状と二次練り終了時の性状を事前に比較し, 一次練り終了時の目標品質を把握することとした 前項と同様に, 表 -1に示す UFC 配合を容量 50 リットルの強制撹拌型ミキサにより練り混ぜた 一次練りでは内羽根の回転数は 53.4Hz( 周速 2.7m/ s) もしくは 62.5Hz( 周速 3.1m/s) で, 外羽根は 50~65Hz( 周速 1.5 ~2.0m/s) の範囲内で任意に設定した 二次練りではミキサを停止した状態, もしくは試料を低速回転 ( 内羽根の回転数 30Hz, 外羽根の回転数 50Hz) させた状態で鋼繊維を投入し, 鋼繊維投入後も同等の低速回転で 2 分間練り混ぜた 二次練り終了後の試料は, ミキサ下部の排 鋼繊維投入前のフロー (mm) 鋼繊維投入後のフロー (mm) 300 y = -29.98ln(x) + 328.8 280 R 2 = 0.921 260 2 2 200 0 鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間 (sec) 図 -3 鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間およびフロー値の関係 300 y = -26.84ln(x) + 317.0 280 R 2 = 0.850 260 2 2 200 0 鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間 (sec) 図 -4 鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間と鋼繊維投入後のフロー値の関係出口より練り舟へ排出して試験に供した 鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間およびフロー値の関係を図 -3に, 鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間と鋼繊維投入後のフロー値との関係を図 -4に示す 鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間と鋼繊維投入前 後のフロー値との関係には各々相関性が認められた 図 -4より, 自己充てん性を有するフロー下限値に相当するとされている鋼繊維投入後のフロー値 230mm 3) のコンシステンシーが得られる鋼繊維投入前の 200mm フロー到達時間は, 同図に示す近似式より 26 秒程度と推定された また, この 200mm フロー到達時間における鋼繊維投入前フロー値は, 図 -3に示す近似式から 230mm 程度と推定された 以上より, 一次練り終了時の品質は 200mm フロー到達時間により評価することとし, その目標品質は 25 秒以下として以降の実験を行うこととした 14

表 -3 一次練混ぜにおける回転条件の組合せ 周速 (m/s) 周波数 (Hz) 両羽根の周速比内外内外周速の積 ( 内 / 外 ) 羽根羽根羽根羽根 [(m/s) 2 ] 2.0 2.0 37.5 43.5 4.0 1.0 2.2 47.5 5.5 1.1 2.5 2.5 55.0 6.3 1.0 47.1 2.8 60.0 7.0 0.9 3.2 70.0 8.0 0.8 2.9 2.2 55.0 47.1 6.4 1.3 2.2 47.5 6.6 1.4 3.0 2.8 56.5 60.0 8.4 1.1 3.1 66.7 9.3 1.0 3.6 2.6 66.7 56.5 9.4 1.4 一次練混ぜ 2.4 実験方法 内羽根 2.5m/s, 外羽根 2.2m/s 内羽根 2.5m/s, 外羽根 3.2m/s 内羽根 2.0m/s, 外羽根 2.0m/s 4 6 8 12 一次練混ぜ時間 (min) 図 -5 一次練混ぜ時間と 200mm フロー到達時間の 関係 前節に示した予備実験結果を基に, 容量 100 リットル の強制撹拌型ミキサを用いて一次練混ぜにおける最適回転条件の事前検討実験を行った 本節ではその実験方法を示す 練混ぜ量は, ミキサ容量 100 リットルに対して 50~80 リットルの範囲で適宜調整した 一次練混ぜの手順については, 前記の方法を基本とした 表 -3に示すように, 本実験では一次練りにおける内 外羽根の回転条件をスランプ 8cm の普通コンクリートを対象とした本ミキサの標準的な設定値 ( 内羽根の周速 2.7m/s, 外羽根の周速 2.3m/s) を参考に, 内羽根の周速を 2.0~3.6m/s の範囲で, 外羽根の周速を 2.0~3.2m/s の範囲で適宜組み合わせて設定した 数ケースについては, 再現性の確認のため, 同じ回転条件の組合わせで数回実験を行った 前節と同様の方法で, 責任技術者が練混ぜ状態を目視確認し, 一次練りの練混ぜ途中でミキサを 3 回程度停止し, 試料を採取してフレッシュ時の品質確認試験としてフロー試験 (JIS R 5201, 落下なし ) を行った 2.5 実験結果一次練りにおける内 外羽根の回転条件をパラメータ 練混ぜ時間 6 分の 練混ぜ時間 6 分の 1.0 2.0 3.0 4.0 内羽根 周速 (m/s) 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 外羽根 周速 (m/s) 図 -6 内 外羽根の周速と一次練り 6 分後の 200mm フロー到達時間の関係 とした実験結果の一例を, 図 -5に示す 同図に示すように, 回転条件の相違により所要の品質になるまでに要する時間が相当異なることがわかる 内 外羽根の周速設定値と 200mm フロー到達時間との関係について, 一次練混ぜ 6,8 分後の時点の測定結果を図 -6および図-7に示す 図 -6に示すように一次練混ぜ 6 分後の時点では, 内羽根の周速設定条件と 200mm フロー到達時間との間には一定の相関性がみられるが, 同一の周速値でも得られる 200mm フロー到達時間の変動が大きい範囲 ( 周速 2.5 ~3.0m/s) が認められる このような変動は外羽根の場合に特に著しく認められ, 周速が 3.0m/s を超えると 200mm フロー到達時間が遅くなるような傾向もみられる このことは, 内羽根の周速設定値が一定でも外羽根の周速設定値が極端に早すぎる, 若しくは遅すぎると得られるコンクリートの性状は大きく変動することを示しており, 両者の周速設定をバランス良く適切に行うことが必要であると考えられる 図 -7に示すように, 一次練混ぜ 8 分後の時点においても変動幅は小さくなるものの, 内羽根, 外羽根ともに同一の周速値に対する 200mm フロー到達時間には変動する傾向がみられた このため, 内羽根と外羽根の周速の比 ( 以下, 周速比と称す ) をパラメータとして実験結果を整理することで, 15

練混ぜ時間 8 分の 200 フロー到達時間 (sec) 練混ぜ時間 8 分の 200 フロー到達時間 (sec) 1.0 2.0 3.0 4.0 内羽根 周速 (m/sec) 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 外羽根 周速 (m/sec) 図 -7 内 外羽根の周速と一次練り 8 分後の 200mm フロー到達時間の関係 適切な周速比の範囲を考察した 周速比設定値と一次練混ぜ 6 分 8 分後の時点の 200mm フロー到達時間との関係を, 図 -8に示す 一次練混ぜ 8 分後の時点では, いずれの場合も目標品質を満足しており, 周速比と 200mm フロー到達時間には一定の相関性がみられたが, 同一の周速値でも得られる 200mm フロー到達時間には変動がみられた 一次練混ぜ 6 分後の時点では, その変動幅が更に大きくなっており, 短期間の練混ぜ時においては目標品質を満足する周速比の範囲を特定することは困難である 練混ぜ状態を目視観察した結果においても, 外羽根の周速が内羽根よりかなり遅い場合, すなわち周速比が 1 を大きく超える場合には, 内羽根により容器内側面に向かって押し出された試料を内側へ再度押し込む作用が不足するために, 高速せん断流動が低下して練混ぜが効率的でない状態が確認された また, 内 外羽根の周速のバランスが良くても, 各々の速度が過度に遅いと試料に与えるせん断エネルギーが絶対的に不足して練混ぜ時間を要することも確認された このため, 周速比だけで適切な回転条件を評価するのは困難であり, これに加えて内 外羽根の周速の絶対値を表現するパラメータによる評価が必要と考えられたことから, 内 外羽根の周速の積を新たな評価指標として実験結果を改めて考察する なお, この指標自体には正確な物理量的意味は無いが, 両羽根の周速の積であり, 練混ぜ時間 6 分の 練混ぜ時間 8 分の 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 周速比 ( 内羽根周速 / 外羽根周速 ) 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 周速比 ( 内羽根周速 / 外羽根周速 ) 図 -8 内 外羽根の周速比と一次練り 6 分 8 分後の 練混ぜ時間 6 分の 練混ぜ時間 8 分の 200mm フロー到達時間の関係 4.0 6.0 8.0 10.0 内羽根周速 外羽根周速 (m/s) 2 4.0 6.0 8.0 10.0 内羽根 周速 外羽根周速 (m/s) 2 図 -9 内 外羽根の周速の積と一次練り 6 分 8 分後の 200mm フロー到達時間の関係 この値が大きいほどコンクリート試料に及ぼす本ミキサ特有のせん断エネルギーは大きいものと考えられることから, この評価指標はミキサが試料に及ぼす練混ぜエネ 16

ルギー量的意味合いをもつものと思われる 図 -9は, 内 外羽根の周速の積を評価指標として一次練混ぜ 6 分後および 8 分後の時点の試験結果を整理したものである 各羽根の周速や周速比をパラメータとした場合に比べて短期間の練混ぜ時においても,200mm フロー到達時間との相関性が比較的高まり, この値が大きいほど目標品質に達する傾向がみられる 一次練混ぜ 6 分後の時点では目標の 200mm フロー到達時間 25 秒以下を確実に満足する範囲は 8(m/s) 2 以上の領域であった 一次練混ぜ 8 分後の時点になると, 本実験の内 外羽根設定範囲内においてはいずれも目標品質を満足しており, 両者の積が 4(m/s) 2 以上であれば目標品質を満足することが確認された 以上より, 本研究で対象とした強制撹拌型ミキサの内 外羽根の回転条件を適切に設定することにより,UFC の練混ぜ時間を大幅に短縮することが可能であり, 両羽根の周速の積を少なくとも 4(m/s) 2 以上になるよう各々の羽根の周速を設定することにより, 目標とした 10 分以内に 200mm フロー到達時間 25 秒以下にできることが確認された 本検討の範囲で最適と思われる容量 100 リットルのミキサにおける回転数の設定は, 内羽根が 47.1Hz ( 周速 2.5m/ s), 外羽根が 55Hz( 周速 2.5m/s) であり, 両羽根の周速の積は 6.3(m/s) 2, 外羽根に対する内羽根の周速の比率 ( 以下, 周速比と称する ) は 1.0 であった 3.3 実験条件および方法 (1) 一次練りのミキサ回転条件前章に示した事前検討実験結果を参考に, ノンプレミックス型配合については二つのミキサ回転条件で実験を行い, プレミックス型配合については一つの回転条件で実験した 実施した検討条件を表 -5に示す ノンプレミックス型配合のミキサ回転条件のうち, 一つは事前検討実験結果より得られた最適条件 ( 内羽根 47.1Hz, 外羽根 55Hz) と同等に周波数を設定した回転条件 ( 以下, ノンプレ-1 と称する ) である 表 -5に示すように周波数は同等であるがミキサの規模が大きくなっ 3. 中容量強制撹拌型ミキサによる練混ぜ実験 3.1 使用ミキサ本章では, 前章に示した容量 100 リットルの強制撹拌型ミキサによる練混ぜ方法の事前検討実験結果を基に実施した, 容量 500 リットルの中容量強制撹拌型ミキサの練混ぜ実験結果を示す 使用した容量 500 リットルの強制撹拌型ミキサの外観を写真 -2に示す ミキサ内部の基本構成は図-1に示した容量 100 リットルの場合と同様であり, コーン型容器の中心部にスパイラル状の羽根を有する軸があり, 容器内側面には 4 枚の外羽根が配置されている 3.2 使用材料および対象配合本実験では 2 種類の UFC 配合を対象とした 一つは前章で対象としたノンプレミックス型配合であり, 各材料の単位量および使用材料は前章に示したものと同様である もう一つは,UFC 指針 ( 案 ) 3) に示される標準配合粉体を使用したプレミックス型配合であり, 単位量および使用材料は表 -4に示すとおりである 各配合の混和剤を含む水量と骨材を含む粉体材料の単位量比は, 前者が 8.5%, 後者が 8.0% であり, ほぼ同等である また, 鋼繊維添加量はどちらも 2.0vol.% である 表 -4 プレミックス型 UFC 配合および使用材料 (W+Ad)/P 単位量 (kg/m 3 ) (%) W P SF Ad 8.0 155 2254 157 25 材料品種 ( 記号 ) 水 (W) 粉体材料 (P) 混和剤 (Ad) 繊維材 (SF) 写真 -2 容量 500 リットルの 材料名 水 上水道水 品質 標準配合粉体密度 2.82g/cm 3 高性能減水剤 鋼繊維 中規模強制撹拌型ミキサ外観 ポリカルボン酸系 φ0.2 15mm, 密度 7.85g/cm 3, 引張強度 2793N/mm 2 17

たため, 内 外羽根の径も相対的に大きくなったことから, 周速は内羽根が 4.3m/s, 外羽根が 2.9m/s と各々早くなっている このため, 両羽根の設定周速の積は 12.5 (m/s) 2 であり, 前章に示した実験結果から予想すると目標の 200mm フロー到達時間 25 秒以下をかなり早い段階で満足する結果が得られるものと考えられた ただし, この回転条件案では周速比が 1.5 程度と大きいため, 事前検討実験の結果より, 両羽根の回転バランスが悪くなり練混ぜ効率が低下する可能性も考えられた このため, ノンプレミックス型配合のもう一つの回転条件としては, ノンプレ-1 で周速の遅い外羽根の回転数を基準として, 内羽根の周速をこれと同等な程度まで減じ, 前章に示した実験結果を参考にして周速比を 1 程度となるようにした ( 以下, ノンプレ-2 と称する ) 具体的には, 外羽根の周波数 55Hz( 周速 2.9m/ s) に対して, 内羽根は 32.4Hz( 周速 2.9m/s) に設定した プレミックス型配合については, ノンプレミックス型配合の 2 種類の回転条件を参考に, 周速比はノンプレ-1 と同等とし, 両羽根の設定周速の積はノンプレ-2 と同等となるよう, 周速を設定した (2) 実験方法前項に示したように, 本実験ではノンプレミックス型配合の練混ぜを 2 バッチ, プレミックス型配合の練混ぜを 1 バッチ, 計 3 バッチの練混ぜ実験を行った 本実験における練混ぜ手順は, 以下のとおりである 1) 水, 混和剤, 鋼繊維以外の粉体材料を投入し, 一次練りの回転条件で 30 秒間空練り 2) 水, 混和剤を投入し, 表 -5に示す回転条件で任意の時間 ( 最長 7 分間 ) 練り混ぜた 練混ぜ途中でフロー試験を 2 回実施 試料はミキサ上部の開口部より採取 3) 鋼繊維をミキサ停止状態で投入し, さらに 2 分間低速回転 ( 内羽根 32.6Hz, 外羽根 33.8Hz) で練り混ぜた 4) 試料をミキサ下部より専用ホッパーに排出し, 100 リットル程度の試料を練り舟に取り分けて, フロー試験などフレッシュ性状の確認試験を実施し, 各種強度試験用供試体を採取 どの試験ケースも練混ぜ量は 350 リットル / バッチとし, ノンプレミックス型配合の粉体材料および骨材はあらかじめ手計量によりフレキシブルコンテナバッグに詰めておき, ミキサへ投入した プレミックス型配合の場合は, メーカの製造工場で計量 梱包された標準配合粉体をミキサへ投入した 水, 混和剤, および鋼繊維は手計量してミキサへ手投入した 前章に示した事前検討実験と同様に, 責任技術者が練混ぜ状態を目視確認し, 一次練りの途中でミキサを適宜停止してフロー試験を実施し, その結果に応じて一次練混ぜ時間を定めた また, 一次練り中にはミキサ負荷値としてモータ電流値を測定した 二次練りを終了した試料については, フレッシュ性状の確認試験としてフロー試験 (JIS R 5201, 落下なし ), 空気量試験 (JIS A 1116), コンクリート温度測定 (JIS A 1156) を行った また, 圧縮強度 (JIS A 1108), および UFC 指針 ( 案 ) 3) に示される割裂引張強度試験方法に準拠したひび割れ発生強度の測定用としてφ100 200mm 供試体を, 曲げ強度 (JIS A 1106) の測定用として 100 100 400mm 供試体を採取した 各供試体の採取本数は 3 本ずつとした 作製した供試体は材齢 1 日で脱型した後,UFC 指針 ( 案 ) 3) に示される標準熱養生 (90 蒸気養生を 48 時間 ) を施して各種強度試験に供した 3.4 実験結果 (1) 一次練混ぜ状況一次練混ぜ時のミキサ負荷の推移を図 -10に, フレッシュ性状の品質確認試験結果を表 -6に示す はじめに, 同じノンプレミックス型配合で異なる一次練り回転条件で実験したノンプレ-1,2 に着目して考察する 本実験では, ノンプレ-1 の試験ケースを最初に練り混ぜたが, 同配合による捨て練りは行わずに, ミキサ内に先行バッチの付着ペーストが無い状態で練混ぜ試験を行った このため, ノンプレ-2 の試験ケースの方がミ 試験ケース 配合種別 表 -5 一次練りのミキサ回転条件周速 (m/s) 周波数 (Hz) 両羽根の周速比内羽根外羽根内羽根外羽根周速の積 [(m/s) 2 ] ( 内 / 外 ) ノンプレ-1 4.3 2.9 47.1 55.0 12.5 1.5 ノンプレミックス型ノンプレ-2 2.9 2.9 32.4 55.0 8.4 1.0 プレミックス プレミックス型 3.4 2.3 37.5 43.0 7.8 1.5 表 -6 一次練りにおけるフロー試験結果 練混ぜ開始からの経過時間 試験ケース 3 分後 5 分後 7 分後フロー 200mm フローフロー 200mm フローフロー 200mm フロー (mm) 到達時間 (sec) (mm) 到達時間 (sec) (mm) 到達時間 (sec) ノンプレ-1 - - 242 17.8 274 8.5 ノンプレ-2 - - 242 25.8 259 14.1 プレミックス 208 41.0 265 9.4 - - 18

ノンプレ-1- 内羽根 ノンプレ-1- 外羽根 ノンプレ-2- 内羽根 ノンプレ-2- 外羽根 プレミックス- 内羽根 プレミックス- 外羽根 60 50 ミキサ負荷 (A) 40 30 20 10 0 0 1 2 3 4 5 6 7 8 一次練混ぜ時間 ( 分 ) 図 -10 一次練りにおけるミキサ負荷値の推移 練混ぜ時間 5 分 練混ぜ時間 7 分 練混ぜ時間 5 分 練混ぜ時間 7 分 30 20 10 0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 内羽根周速 (m/s) 30 20 10 0 5.0 10.0 15.0 内羽根周速 外羽根周速 (m/s) 2 30 20 10 0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 外羽根周速 (m/s) 図 -11 内 外羽根の周速と 200mm フロー到達時間の関係 ( ノンプレミックス配合 ) キサ負荷最大値となるまでの練混ぜ時間は 1 分程度早い結果となった しかし, 負荷がピークを越えた後の低下傾向 ( 特に内羽根 ) はノンプレ-1 の方が早い傾向がみられた また, 内羽根は 6 分程度, 外羽根は 4 分程度の時点でノンプレ-1,2 のミキサ負荷は同程度となって安定した このように, ミキサ負荷曲線からはノンプレ-1 の 図 -12 内 外羽根の周速の積と 200mm フロー到達時間の関係 ( ノンプレミックス配合 ) 方がやや練混ぜ性能は良いように思われたが, 表 -6に示すように, フロー試験の結果からも同じ練混ぜ時間において得られた UFC の流動性はノンプレ-1 の方が良好であることがわかる 内 外羽根の周速, および両者の積をパラメータとして, ノンプレミックス型配合の試験結果を整理した結果を図 -11および図-12に示す 事前検討実験結果と同様に内 外羽根の周速の積が大きいほど, 所要の品質が得られるまでに要する練混ぜ時間は短いことがわかる 次に, プレミックス型配合の場合は, 図 -10に示すようにノンプレミックス型配合の 2 ケースと比べると内 外羽根の負荷曲線の形状や推移状況は異なっていた すなわち, ノンプレミックス型配合の場合は練混ぜ初期から練混ぜ終了まで一貫して外羽根に比べて内羽根に大きな負荷がかかり続ける状態であった これに対してプ 19

レミックス型配合の場合は練混ぜ当初から外羽根に負荷が大きくかかるが, 内 外羽根ともにほぼ同時に負荷ピークを迎え, それ以降はどちらも負荷が急速に低減していく状態となった プレミックス型配合では外羽根の周速をノンプレミックス型配合の 2 ケースに比べて遅い設定としたため, 内羽根により容器内側面に向かって押し出された試料を内側へ再度押し込む作用が不足し, 試料が外羽根周囲に偏ったことが, 練混ぜ初期に外羽根に負荷がかかった要因の一つと考えられる しかし, 所要の品質が得られるまでに要した練混ぜ時間はノンプレミックス型配合より 1~2 分ほど早かったことから, このような練混ぜ状態の推移に配合の種類によって相違がみられた要因としては, 配合構成に応じて練混ぜ条件の最適性に相違があることや, 粉体材料や高性能減水剤の品種も異なるため, その反応性に差があることなどが考えられる 以上の結果より, ノンプレミックス型配合では最短 5 分程度で目標とした鋼繊維添加前の 200mm フロー到達時間 25 秒以下を満足しており, 事前検討実験結果で得られた最適条件と同等な周波数としたノンプレ-1 の方が, ノンプレ-2 より練混ぜ効率はやや高い結果であった したがって, 本検討の範囲では容量 500 リットルのミキサにおけるノンプレミックス型配合の最適練混ぜ条件は, 内羽根が 47.1Hz( 周速 4.3m/ s), 外羽根が 55Hz( 周速 2.9m/s) と考えられる また, ノンプレミックス型配合に比べてプレミックス型配合の方が所要の品質が得られるまでに要する練混ぜ時間は短いことが確認された 前章に示した容量 100 リットル型ミキサを用いた場合の試験結果と, 本実験結果とを併せて考察を総括する 図 -13に示すように, 本実験結果は容量 100 リットルの場合と同様の傾向にあり, 内 外羽根の周速比を 1~ 1.5 程度, 内 外羽根の周速の積を少なくとも 4(m/s) 2 以上となるよう各々の羽根の周速を設定することにより, 目標とした 10 分以内に鋼繊維添加前の 200mm フロー到達時間 25 秒以下となることが確認された 以上より, 本研究で対象としたミキサ容量以上の大容量練混ぜの場合においても, 前記のように内 外羽根の周速比, および各周速の積を適切に設定することにより, 本タイプのミキサを用いた UFC 練混ぜ方法は適切に定めることができるものと考えられる (2) 二次練り終了後の試験結果鋼繊維投入前後のフロー試験状況例を写真 -3に示す さらに, 鋼繊維投入後のフレッシュ性状確認試験結果を表 -7に, 標準熱養生後の各種強度試験結果を表 -8に示す また, 表 -9には前章に示した容量 100 リットルのミキサでノンプレ-1 と同等のミキサ周波数設定で練り混ぜたノンプレミックス型配合の各種強度試験結果を示す 水セメント比 55%, スランプ 18cm 程度の普通コンク 一次練混ぜの 200mm フロー到達時間 (sec) 30 20 10 一次練混ぜ時間 8 分 (100Lミキサ) 一次練混ぜ時間 7 分 (500Lミキサ) 0 0.0 5.0 10.0 15.0 内羽根周速 外羽根周速 (m/s) 2 図 -13 内 外羽根の周速の積と 200mm フロー到達時間 の関係 ( ミキサ容量 100 500 リットル, ノンプレミックス配合 ) 写真 -3 鋼繊維添加前後のフロー試験状況 ( ノンプレ -2) 表 -7 鋼繊維添加後のフレッシュ性状確認試験結果 試験ケース フロー (mm) 200mm フロー到達時間 (sec) 空気量 (%) コンクリート温度 ( ) ノンプレ-1 268 11.8 2.6 35.1 ノンプレ-2 259 15.8 3.2 36.6 プレミックス 259 13.0 5.0 35.9 注 ) 外気温は 31 鋼繊維添加前 鋼繊維添加後 20

表 -8 標準熱養生後の各種強度試験結果 ( 容量 500 リットルミキサ使用 ) 試験ケース 圧縮強度ひび割れ発生曲げ強度 (N/mm 2 ) 強度 (N/mm 2 ) (N/mm 2 ) ノンプレ-1 216 10.2 27.6 (10) (1.8) (3.7) ノンプレ-2 208 11.8 32.0 (6) (5.5) (0.8) プレミックス 183 (0) 10.2 (3.1) 33.5 (2.6) 注 ) 上段数値は平均値を, 下段 ( ) 内数値は最大値と最小値 の差を示す リートを対象として可傾式ミキサの周速がコンクリートの品質に及ぼす影響を検討した既往の研究 7) では, 周速が異なると同等なスランプが得られるまでに要する時間は大きく異なること, ミキサ容量が異なると得られる圧縮強度は異なることなどが報告されている 配合やミキサの種類などが異なるため一概には比較できないが, 本実験結果では配合が同一で周速条件の異なるノンプレ-1, 2 においてフレッシュ性状や強度特性には顕著な変動はみられなかった また, 容量 100 リットルの強制撹拌型ミキサでノンプレ-1 と同じミキサ周波数で練り混ぜて得られた強度試験結果と比べると, 平均値, 最大値と最小値の差ともに若干の差はあるが, ほぼ同等以上の結果が得られており, ミキサ容量の相違による強度特性への大きな影響は無いものと考えられる 以上より, 配合や練混ぜ方法によらずフレッシュ性状, 強度特性ともに同等な品質の UFC が得られており, 本研究で対象とした強制撹拌型ミキサを用いて練混ぜ時間を短縮した UFC の製造方法においても,UFC 指針 ( 案 ) 3) に示される UFC としてのフレッシュ性状や強度特性が得られると考えられる 4. まとめ 表 -9 標準熱養生後の各種強度試験結果 ( ノンプレミックス型配合, 容量 100 リットルミキサ使用 ) 試験ケース ( ノンプレ-1 と同周波数設定 ) 内羽根周波数 47.1Hz 外羽根周波数 55.0Hz 圧縮強度 (N/mm 2 ) 216 (7) ひび割れ発生強度 (N/mm 2 ) 曲げ強度 (N/mm 2 ) 28.0 (5.2) 8.7 (3.6) 注 ) 上段数値は平均値を, 下段 ( ) 内数値は最大値と最小値の差を示す 本研究では, 強制撹拌型ミキサを用いて UFC の練混ぜ時間短縮に効果的な練混ぜ方法を検討した 本研究の範囲で得られた知見を以下にまとめる 1) 超高強度繊維補強コンクリートの練混ぜに強制撹拌型ミキサを適用し, その内 外羽根の回転条件を適切に設定することにより, 一般に使用される二軸強制練り式ミキサを用いる場合に比べて練混ぜ時間を大幅に短縮することが可能である 2) 強制撹拌型ミキサにおいて超高強度繊維補強コンクリートを練り混ぜる場合, 内 外羽根の周速比, および内 外羽根の周速の積を適切に設定することで容量の異なる場合においても, 本ミキサの回転条件は適切に定めることができる 3) 内 外羽根の周速比を 1~1.5 程度とし, 両羽根の周速の積を少なくとも 4(m/s) 2 以上になるよう回転条件を適切に設定することにより, 目標とした 10 分以内の練混ぜで鋼繊維添加前の 200mm フロー到達時間を 25 秒以下とする当初の目標を達成できることを確認した 4) 上記の設定条件内で練混ぜ時間をなるべく短くするために最適なミキサの周波数設定は, ミキサ容量 100 500 リットルのどちらとも内羽根が 47.1Hz, 外羽根が 55Hz であり, その時の周速は容量 100 リットルの場合は内羽根 外羽根ともに 2.5m/s であり, 容量 500 リットルの場合は, 内羽根が 4.3m/ s, 外羽根が 2.9m/s であった 5) 本研究で対象とした強制撹拌型ミキサを用いて練混ぜ時間を短縮して練り混ぜられた UFC は,UFC 指針 ( 案 ) 3) に示される UFC としてのフレッシュ性状や強度特性を十分満足する 謝辞 : 本研究を実施するにあたり, 大平洋機工株式会社の関係者の方々に多大なるご協力を頂きました ここに深く謝意を表します 参考文献 1) 細谷学 武者浩透 : 超高強度繊維補強コンクリートを適用した PC 橋梁の構造と施工, 土木技術,Vol.62,No.6,pp.41-47,2007.6 2) 野口孝俊 加藤浩司 : 羽田再拡張工事における超高強度繊維補強コンクリートの活用, セメント コンクリート,No.741,pp.34-38, 2008.11 3) 土木学会 : コンクリートライブラリー 113 超高強度繊維補強コンクリートの設計 施工指針 ( 案 ),2003.9 4) 柳井修司 坂井吾郎 大野俊夫 芦田公伸 : 超高強度繊維補強コンクリートの大量製造性に関する検討, コンクリート工学年次論文報告集,Vol.29,No.2,pp.145-150,2007.7 5) 橋本親典 平井秀幸 辻幸和 田村真 :2 軸強制練りミキサ内のコンクリートの練混ぜ機構の可視化, コンクリート工学年次論文報告集,Vol.15,No.1,pp.1037-1042,1993.6 6) 池田修 橋本親典 杉山隆文 辻幸和 :2 軸強制練りミキサの流動機構と練混ぜ性能に関する実験的研究, コンクリート工学年次論文報告集,Vol.17,No.1,pp.557-562,1995.6 7) 岸清 渡部正 山田一宇 魚本健人 : ミキサの種類と練りまぜ時間がコンクリートの品質に及ぼす影響, 土木学会論文集,No.402, V-10,pp.53-60,1989.2 ( 原稿受理年月日 :2010 年 1 月 12 日 ) 21

Study on Mixing Method of Ultra High Strength Fiber Reinforced Concrete by Forced-Mixing Type Mixer By Jun Sakamoto, Takefumi Shindoh and Kimitaka Uji Concrete Research and Technology, Vol.22, No.1, Jan. 2011 Synopsis: This paper reports test results of mixing method applying forced-mixing type mixer for the purpose of reducing mixing time of ultra high strength fiber reinforced concrete. From some test results, it was investigated that the mixing time with that type mixer could be reduced less than 50% comparing with that of ordinary type mixer by setting up the mixing speed and product of circumferential speed of two type of shafts appropriately. Also it was investigated that the qualities of the mixing concrete applying that type mixer in short time were satisfied with required qualities. Keywords: ultra high strength fiber reinforced concrete, forced-mixing type mixer, mixing 22