資料 2 これからの教育の在り方 特に義務教育や無償教育にかかる論点 ( 論点 1) 少子高齢化 グローバル化が進む中 将来を見据え 教育はどうあるべきか 特に 子供の発達の変化等も踏まえ 義務教育の在り方やその期間 無償教育の期間は どうあるべきか 1 幼児期の教育の在り方 ( 義務教育化について ) 意義 効果について どう考えるか 特に5 歳児教育をどう考えるか 質の高い幼児教育がその後の教育や人生にもたらす効果の大きさ 幼児期における子供の言語習得の早期化の傾向等 実施主体の多様性について どう考えるか 幼稚園 保育所 幼保連携型認定こども園など多様な主体が担い かつ多くが私立施設である 市町村の体制や教育内容の充実について どう考えるか 小学校との接続を踏まえた幼児期の教育の機会確保 その水準の維持向上等 ( 無償化について ) 全ての希望者が幼児期の教育 (3~5 歳児教育 ) を受けられるよう支 援することの意義 効果について どう考えるか 2 高校教育の在り方 ( 義務教育化について ) 意義 効果について どう考えるか 諸外国では 高校中退の抑止や就職のための準備期間の確保等の観点から 義務教育修了年齢を引き上げる動きがある 専門教育や職業教育を行うなど高校の多様化や 入学者選抜等との関係について どう考えるか ( 無償化について ) 経済状況にかかわらず 意欲 能力のある全ての者が高校教育を受けられるよう支援する意義 効果について どう考えるか 1
これまでの会議における主な意見 1 これからの教育の在り方 義務教育や無償教育の期間 ( 学制の在り方全般にかかわる意見 ) 今後の日本が国際社会で発展していくためには 世界を舞台に挑戦する主体性と創造性 豊かな人間性を持った多様な人材 が必要 6-3-3 制がこうした人材を育成できる仕組みとなっているか なっていないならば どういう在り方が適当かを考え ることが必要 知力 心力 体力をバランス良く育てる全人教育が必要 日本を変える新しいリーダーを育てるために リベラルアーツを重視することが必要 また 異能 異才を有する人材を発掘して育てる文化を日本に創り出すことが重要ではないか 教育再生は 持続的な経済再生の基盤 諸外国では 学制改革を聖域化せず必要な見直しを行うとともに 教育への投資を大胆に行っており 大いに参考にすべき グローバル化や少子高齢化に対応した質の高い人材育成と 子供を取り巻く様々な状況 ( 発達の早期化 自己肯定感の低さ 学力や体力の向上等の課題 生徒指導上の諸問題など ) に対応した教育の双方を両立する新たなシステムを構築していくべき 一律に入学し 学び 卒業するというような画一的な取扱いから脱却し それぞれの子供がそれぞれの能力を伸ばせるような柔軟な対応を認める制度にすることが望ましいのではないか 学制改革については 私学が先導的に取り組むことが考えられる 多様な進路の選択 肢を設け 異なる学校種間での進路変更ができる仕組みとすることがよいのではないか ( 義務教育の期間にかかわる意見 ) 人生全体が長くなったことに伴い 義務教育の延長が必要ではないか その際 幼児教育を義務教育に組み込むか あるいは 義務教育修了年齢を引き上げるか 様々な 工夫が考えられる 一定の教育を終えて社会人として独り立ちすることができる年齢をどう考えるかが重要ではないか 教育年限が長くなれば必ずしもよいとはならないのではないか ( 無償教育の期間にかかわる意見 ) 教育にお金がかかりすぎることが少子化の原因でもある 少子化問題に関して厳しい状況に陥る 21 世紀半ばに向けて 無償で教育を受けられる期間をどのように考えていくかは極めて重要な問題 子育てに 学費などお金がかかりすぎる 2 人か 3 人かというところが少子化に関わ 2
ってくるが 費用のことは考えてしまう 経済格差の拡大が大きな課題であり 教育の無償化の拡大が必要 経済的な困難があっても大学まで進学できるようにすることが必要ではないか これまでの提言における主な内容 ~ 今後充実が求められる教育内容等 ~ これからの世界や日本を担う人材の育成に当たっては 夢を持ち それを強い志に高め 実現に導く情熱や力 社会に貢献し責任を果たす規範意識や使命感が必要であり 幅広い教養と日本人としてのアイデンティティ 語学力や交渉力 多様な人と協働する力を含めたコミュニケーション能力 課題発見 探究 解決能力 リーダーシップ 優しさや思いやりといった豊かな感性などを培うことが重要 ( 第四 次提言 ) 子供が命の尊さを知り 自己肯定感を高め 他者への理解や思いやり 規範意識 自主性や責任感などの人間性 社会性を育むよう 道徳教育を充実する ( 第一次提言 ) 小学校の英語学習の抜本的拡充や中学校における英語による英語授業の実施 初等中等教育を通じた系統的な英語教育について 学習指導要領の改訂も視野に入れ 諸外国の英語教育の事例も参考にしながら検討する ( 第三次提言 ) 日本人としてのアイデンティティを高め 日本文化を世界に発信するという意識をもってグローバル化に対応するため 初等中等教育及び高等教育を通じて 国語教 育や我が国の伝統 文化についての理解を深める取組を充実する ( 第三次提言 ) 初等中等教育段階から理数教育を強化するため 専科指導や少人数教育 習熟度別指導のための教員配置や設備等を充実する ( 第三次提言 ) 3
2 幼児期の教育 幼児教育の主体は 幼稚園 保育所 家庭など多様であり 幼稚園の中でも大部分が私立であり 教育内容が多様 義務教育年限を延長して 質の高い幼児教育を行う必要があるのではないか 地方公共団体における認定こども園の所管は ほとんど児童福祉関係の部局となっている 認定こども園は 学校としての機能も併せ持つ機関であり 教員も教育専門職 としての力を十分に発揮し 幼児教育の充実が図られるよう 教育委員会が積極的に関わるべきであり 国からの働きかけが必要 視察 外部有識者ヒアリングにおける主な意見 3 4 5 歳児の読み書き能力の経年比較調査によると 1950 年代までは小学校入学以前に ひらがなをほとんど読めない子供が半数近くいたが かな文字の読みは この半世紀ほどで約 2 歳早くなっている 日本 英国等の研究によると 多くの子供が 5 歳になると 文字の読みの獲得につながる言葉遊びを行ったり 数の基本的能力を獲得したりしている また 注意を 集中したり 我慢したりする力 ( 実行統制機能 ) が 4~5 歳に特に発達し 5 歳になると組織的な教育を受ける基礎的な能力が整ってくる ただし 個人差があることには留意が必要 米国 英国の研究によると 幼児期に質の高い幼児教育を受けた場合 その後の小学校における学力や自己統制力 学校卒業後の人生における社会的活躍等にもたら す効果が大きいとの結果が出ている 幼児期における学びに向かう力 ( 集中力 挑戦力 持続力 好奇心 工夫力等 ) の育成が重要 学びに向かう力がその後の学びに大きな影響を与える また 遊びやゲームを使って言葉や数に触れる機会を増やすことが考えられる 保育所においても幼児教育を充実する必要がある 幼児期の発達に応じた教育をしっかりすることが小学校で力を発揮させるために必要 そのことによって小学校に滑らかに移行できる 幼児教育に小学校の要素を入れることは可能だが 個人差を考えると 全面的に現在の日本の小学校のやり方を 5 歳で導入することは難しいのではないか 今の幼児 教育のやり方を前提にしながら幼児教育を充実させることは非常に大事である 幼稚園教育要領について もう少し内容に踏み込み充実することが考えられる また 幼稚園教員は 短期間で辞めてしまって経験豊富なベテランの教員がいないので 教員が長く勤務できる環境を整備し 幼児教育の質を上げることが重要 4
3 高校教育 高校教育を受ける期間は 社会人になるための助走期間であり 知の向上に加え 社会的ルールを守る意味と責任を理解させる規範意識の育成が重要 この間に 夢を持ち 自らの理想を実現していく具体的な決意や気構えとして 志に高めていくことが必要 高校教育では 教育内容で大学教育との連続性をもたせ 大学教育を受ける上で必要 な基礎知識を高校教育で取得することが重要 専門に特化しない幅広い内容を学習し 豊かな教養を習得することを基本とすべき 14,15 歳の段階から多様な進路選択ができることが重要ではないか 東京都における都立高校の多様化の取組は参考になる 職業訓練も含め 18 歳までの義務教育化も考えられるのではないか 多様な価値観で個人がそれぞれの能力を発揮できるよう 画一的な教育から脱却することが重要 これまでの提言における主な内容 ~ 高校教育の在り方 ~ 高校教育においては 生涯にわたって学習する基盤が培われるよう 義務教育の基礎の上に 主体的に学ぶ習慣と文系 理系を問わない幅広い教養を身に付けさせ その上で 一人一人の個性の伸長を図りつつ 一定の専門的な知識等を習得させるとともに 社会の発展に寄与する志や責任感を養うことが求められる ( 第四次提言 ) 生徒の多様な状況や学習ニーズに対応して 例えば 次のような高校教育の特色化を進めるとともに 体験活動を充実し 能力や意欲に応じて様々な進路に挑戦できるようにする必要がある ( 第四次提言 ) グローバル リーダーとなるための国際的素養と総合力を育成する学校 科学技術人材としての素養の育成を目指し 先進的な理数系教育を行う学校 産業構造の変化等に対応した専門的な知識 技能を育成する学校 学び直しへの支援 考える力の育成 学習意欲の喚起を図る学校 進路への自覚を深めさせるため 多様な科目選択や就業体験等を行う学校 5
参考条文 憲法における義務教育の規定 ( 憲法第 26 条第 2 項 ) すべて国民は 法律の定めるところにより その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ 義務教育は これを無償とする 普通教育 とは 全ての国民にとって共通に必要とされる一般的 基礎的な知識 技能に関する教 育であり 専門教育や職業教育と対置するものである 教育基本法における義務教育の規定 ( 教育基本法第 5 条 ) ( 義務教育 ) 第五条国民は その保護する子に 別に法律で定めるところにより 普通教育を受けさせる義務を負う 2 義務教育として行われる普通教育は 各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い また 国家及び社会の形成者として必要とされる基本的な資質を養うことを目的として行われるものとする 3 国及び地方公共団体は 義務教育の機会を保障し その水準を確保するため 適切な役割分担及び相互の協力の下 その実施に責任を負う 4 国又は地方公共団体の設置する学校における義務教育については 授業料を徴 収しない 学校教育法における義務教育年限の規定 ( 学校教育法第 16 条 ) 第十六条保護者 ( 子に対して親権を行う者 ( 親権を行う者のないときは 未成年後見人 ) をいう 以下同じ ) は 次条に定めるところにより 子に九年の普通 教育を受けさせる義務を負う 参考資料 就学前教育 保育の実施状況 3~5 歳児 < 学年齢別 > 5 歳児 54.9% 41.8% 3.3% 幼稚園就園率 4 歳児 53.7% 42.8% 3.6% 保育所入所率 未就園率 3 歳児 41.4% 42.1% 16.5% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 待機児童数調査 ( 平成 23 年 4 月 1 日現在 ) 社会福祉施設等調査 ( 平成 23 年 10 月 1 日現在 ) 学校基本調査 ( 平成 23 年 5 月 1 日現在 ) 人口推計年報 ( 平成 22 年 10 月 1 日現在 ) より 6
園児数の公私別割合 幼稚園 (H25.5 現在 ) 保育所 (H25.4 現在 ) 私立 82.3% (1,303,661 人 ) 国公立 17.7% (279,949 人 ) 私立 61.7% (1,369,949 人 ) 公立 38.3% (849,632 人 ) 学校基本調査 保育所関連状況取りまとめより 子ども 子育て支援新制度について ( 主なポイント ) 幼児期の学校教育 保育 地域の子ども 子育て支援を総合的に推進 市町村は地域のニーズに基づき子ども 子育て支援事業計画 (5 年間の受給計画 ) を策定 教育 保育の給付 事業を実施 認定こども園 幼稚園 保育所を通じた共通の財政措置の仕組み ( 施設型給付 ) を創設 幼保連携型認定こども園について 認可 指導監督の一本化 学校及び児童福祉施設としての位置付け 消費税の引き上げによる国及び地方の恒久財源を前提 早ければ平成 27 年度を目途に施行 高等学校学科別生徒数 ( 平成 25 年度 ) 総合学科 173,679 人 5.2% 農業, 83,921 人, 2.5% 工業 260,559 人 7.9% 普通科 2,398,261 人 72.4% 専門学科 738,880 人 22.3% 商業 209,299 人 6.3% 水産, 9,423 人,0.3% 看護, 14,831 人,0.4% その他, 105,231 人,3.2% 家庭, 42,777 人, 1.3% 情報, 3,013 人,0.1% 福祉,9,826 人,0.3% 平成 25 年度学校基本調査より 7
幼稚園 保育所における多子世帯の保護者負担の軽減 [ ] 内の数値は 第 1 子の保護者負担額を [1.0] とした場合の負担割合 幼稚園の第 1 子は所得制限あり 高校生等の修学支援 年収は両親のうちどちらか一方が働き 高校生 1 人 (16 歳以上 ) 中学生 1 人の 4 人世帯の目安 実際は [ ] で示した市町村民税所得割額 ( 両親の合算 ) で判断 高等学校等就学支援金制度 ( 新制度 ) 平成 26 年度予算額 ( 案 ) 3,868 億円 ( 平成 25 年度予算額 3,950 億円 ) 高等学校等に在籍する生徒に対して 授業料に充てるため 高等学校等就学支援金を支給 ( 学校設置者が代理受領 ) することにより 教育費負担軽減を図る 新制度は新 1 年生のみ対象 受給資格要件として所得制限を設け 年収約 910 万円 ( 市町村民税所得割額 304,200 円 ) 以上の世帯の生徒については 就学支援金を支給しないこととしている 私立高校等に通う低所得世帯の生徒については 授業料負担が大きいため 所得に応じて就学支援金を 1.5~2.5 倍した額を上限として支給する 高校生等奨学給付金 平成 26 年度予算額 ( 案 ) 28 億円 新規 授業料以外の教育費負担を軽減するため 低所得世帯の生徒に対して奨学のための給付金を創設し 都道府県に対して所要額を交付する (1/3 国庫補助 ) 8