る傾向がみられる 自由貿易協定が個人の経済状況に与えた影響 全体支持候補年齢学歴大卒大学高卒クリントントランプ 大卒以上中退以下良い影響 40% 51% 24% 66% 42% 31% 32% 56% 43% 42% 30% 悪い影響 45% 32% 68

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2016 年 11 月 8 日利が確実になっていた 前回の本報告でも述べた通り この時点はトランプ氏と陣営 共和党支持者の熱意も低下し トランプ氏が大敗を喫する可能性も高くなっていた しかし大詰めの選挙戦は FBI( 米連邦捜査局 ) のコミー FBI 長官が米議会へクリントン氏の私用メール問題に関

丸紅ワシントン報告 2018 年 11 月 3 日 米国会社ワシントン事務所長 峰尾 洋一 米中間選挙 ミレニアル世代の潜在的影響力 I. 若年層 例年以上の熱意はあるが 肝心なのは投票率 若年層を投票に促すイ インスタグラムのフォロワー世界ランキングで 8

Jan-80 Jan-82 Jan-84 Jan-86 Jan-88 Jan-90 Jan-92 Jan-94 Jan-96 Jan-98 Jan-00 Jan-02 Jan-04 Jan-06 Jan-08 Jan-10 Jan-12 Jan-14 Jan-16 丸紅ワシントン報告 図表 1 製造

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

1. 米国大統領選挙 (1) 一段と混沌の度合いを増す選挙戦共和党の大統領候補はドナルド トランプ氏 1 人に絞られた 一方 民主党ではバーニー サンダース氏が残ってはいるが ヒラリー クリントン氏が指名獲得に必要な代議員の過半数を超えたため 同氏が大統領候補となることがほぼ確実となった 前回 3


米国大統領選挙の展望 構成 1. 大統領選挙の行方 2. 選挙後の政策を考える 2 1. 大統領選挙の行方 3 69

エコノミスト便り

2016 年 10 月 26 日が順当に勝つと予想している だが トランプ氏が現時点で多くの支持と勝利を確信しているなら 本選で敗れても選挙結果に不正があると訴えてすぐに受け入れない恐れがある トランプ氏の不正説の裏にあるのは 現実逃避か確信なのか 意外だが それを確かめられる簡単な方法がある 実際

無党派層についての分析 芝井清久 神奈川大学人間科学部教務補助職員 統計数理研究所データ科学研究系特任研究員 注 ) 図表は 不明 無回答 を除外して作成した 設問によっては その他 の回答も除外した この分析では Q13 で と答えた有権者を無党派層と定義する Q13 と Q15-1, 2 のクロ

Q1: 先に行われました第 1 回テレビ討論会についてどう思われましたか? A: 9 月 27 日 ( 日本時間 ) のテレビ討論会では 民主党候補のヒラリー クリントン氏と共和党候補のドナルド トランプ氏が初めて直接対決しました 選挙にはまだ時間がありますし 今回のテレビ討論会だけで 何らかの結論

米中間選挙結果とインプリケーション

2. 政党支持率政党支持率は 自民党が前回に比して 増加 が 2 社から 5 社に増え 減少 が 7 社から 3 社に減少した 立憲民主党は 前回に比して 増加 が 6 社 減少 が 2 社 変わらず 1 社となっており 前回と同じ結果になっている 他の政党は大きな変化がない 表 1 参照 3. 憲

丸紅ワシントン報告 年 11 月 3 日 丸紅米国会社ワシントン事務所長今村卓 米国中間選挙 4 速報 共和党は下院で 60 議席以上伸ばす 1948 年以来の大勝 民主党は上院の過半数を確保でき

米中間選挙結果と今後の経済政策への影響-追加減税やオバマケア廃止の軌道修正は必至

個人消費活性化に対する長野県内企業の意識調査

Political Report の Rating は先週比較で上院は不変 下院は共和党で 安定から競合状態へ 2 議席が移行している 共和党不利 上院予想 (35議席) 下院予想 (35議席) 現職共和 現職共和 0 現職民主 現職共和 現職民主 現職共和

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

大学の無償化を加えると 経済効果は大きく拡大 クリントン候補の政策をやや詳細にみると 歳入面では 主に高所得者への増税を目指す一方 支出面では インフラ投資の拡大や大学の学費補助の他 オバマケアの拡大などが盛り込まれている ( 表 2) 大学の学費関連については 責任ある連邦予算委員会 (CRFB)

米国大統領選挙 上下両院選挙情勢等を踏まえた TPP に関する今後の見通し 米国における大統領指名をめぐる各党予備選挙レースにおいては 共和党側では5 月上旬にクルーズ ケーシック両候補が撤退を表明し 以前からTPPを痛烈に批判してきたトランプ候補が事実上指名を獲得した 他方 民主党側でも 指名獲得


むしろ 中間選挙への政治的な計算は オバマ政権による政策運営の障害となっている面が目立つ 好例が冒頭に上げたTPAである 民主党の場合 オバマ政権の通商アジェンダの推進に対しては 労働組合などの主要な支持者に反対論が根強い 選挙を最優先したい議会のリーダーとしては この時期に敢えて支持者の反感を買う

キヤノングローバル戦略研究所 (CIGS) ダニエル C スナイダーセミナー 米国中間選挙: その結果と米外交政策にもたらす意味 講演要旨 開催日 :2018 年 11 月 12 日 会場 : キヤノングローバル戦略研究所会議室 CopyrightC2018 CIGS. All rights res

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1 アジア時報2016年アメリカ大統領選挙では例年にも増して 民主党と共和党以外の 第三政党 の動向が注目されている リバタリアン党 や 緑の党 の大統領候補者 さらには無党派の新参の候補者らが共和党候補のドナルド トランプ 民主党候補のヒラリー クリントンの票を奪う形で 両者の選挙戦の結末に影響す

米国大統領選の動向と TPP 議会審議への影響について 1. はじめに 11 月の米大統領選挙に向けて 2 月 1 日のアイオワ党員集会を皮切りに始まった予備選挙 党員集会は 重要州の投票が集中するいわゆるスーパー チューズデー等を経て 両党における候補が絞られてきた 共和党側では 出馬当初には躍進

民主党 2016 年度定期大会 開催要項 ( 案 ) 1 開催日 2 会場 3 大会構成 4 議案 2

期待に反して共和党によって ねじれ議会 が解消された場合には オバマ政権は自らの政策を推し進め難くなる 議会の主導権を共和党に掌握されるからである 現在の ねじれ議会 であれば 少なくとも上院においては 多数党を占める民主党が ある程度は政権の意向を代弁してくれる これが共和党議会となれば 議会の立

2 多く報道されていたのは 税制改革や医療制度改革などの米国内経済政策であった 特に 2017 年 12 月に法案が成立し 約 30 年ぶりに行われた大幅な税制改革は 中間選挙を控えるトランプ政権にとって 経済面での功績として注目されていた 続いて報道量が多かったのは 大統領選挙期間中にロシアがトラ


アウトルック

1. 米国大統領選挙の推移と勝敗の行方前回の 6 月出張時点では その前の 3 月出張時に比べて ヒラリー クリントン候補をドナルド トランプ候補が追い上げる形で両候補の支持率の差が縮小し 僅差となっていた このため 選挙の行方を予想することは難しく 選挙当日になるまでわからないとの見方が多かった

II. 選挙での争点 国民の関心は医療保 最近の有権者が問題とし て捉えているのは医療保 険と移民であ 険と移民問題 る オバマケアが成立した翌年の 2011 年には 経済全般や失業が 30%内外 医療保険や移民は 1 桁だったので この 7 年間で国民 の意識が大きく変わってきたことが判る 今回の

Q4. 次の衆院選はいつ頃行うのが適切だと思いますか 次の衆院選の適切な実施時期については できるだけ早い時期に (63.8%) ( 前月調査比 4.1 ポイント増 ) が 6 割を超え 予算成立前後に (12.5%) ( 前月調査比 1.2 ポイント減 ) 次の衆院議員の任期をむかえる頃に (7.

アメリカ大統領選とねじれ議会

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目次 1. 調査概要 Page 2 2. 回答者属性 Page 3 3. 問 1. 地球儀を俯瞰する外交 Page 4 4. 問 2. 日本の国連安保理非常任理事国としての取組 Page 5 5. 問 3. 東アジアの安全保障政策 Page 6 6. 問 4. 女性参画推進における国際的取組 WAW

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(2) あなたは選挙権年齢が 18 歳以上 に引き下げられたことに 賛成ですか 反対ですか 年齢ごとにバラツキはあるものの概ね 4 割超の人は好意的に受け止めている ここでも 18 歳の選択率が最も高く 5 割を超えている (52.4%) ただ 全体の 1/3 は わからない と答えている 選択肢や

定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

14 選挙結果の概要一般得票でヒラリー クリントン氏は6083万9千票あまりを獲得したのに対して トランプ氏は6026万5千票あまりを獲得している(表1参照2 ) ここで民主党 共和党候補の一般得票数 得票率 投票率を比較してみると 2016年の選挙は投票率が過去3回の選挙よりも低く 本選挙での投票

日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

_トランプ政権誕生について

過去の結果をみると 中間選挙では政権の実績に対するチェックが働くという点から 与党が議席数を減らす傾向があり 今回もこうした状況にある その一方 上院では改選 35 議席中 民主党の議席が26 議席と多く 過半数 (51 議席 ) の確保にはすべての改選議席を維持したうえで 2 議席を上積みする必要

図1 査の平均を示した政治専門サイト リア アメリカの大統領選挙の仕組み 党内手続 き 共和党 民主党 ル クリア ポリティクス のグラフ 図 2 予備選挙 党員集会 代議員選出 予備選挙 党員集会 代議員選出 をみると 全米でのトランプ氏とクリント 共和党全国大会 大統領候補を指名 民主党全国大会


シンガポールの政策

果の平均は 残留が 44% 離脱が 40% と僅差ながら残留が離脱を上回っている ( 第 1 表 ) ただしここで 調査方法毎の平均をみると インターネットを通じたオンライン調査の結果 は 残留が 40% 離脱が 41% と拮抗状態にあるのに対し 電話調査では残留が 47% 離脱 が 38% と残留

人 ) 195 年 1955 年 196 年 1965 年 197 年 1975 年 198 年 1985 年 199 年 1995 年 2 年 25 年 21 年 215 年 22 年 225 年 23 年 235 年 24 年 第 1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し その背

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

OECD よりよい暮らしイニシアチブ (OECD Better Life Initiative) は 人々の生活の質を形成する重要な生活の諸側面に焦点を当てたもので 2011 年に始まりました このイニシアチブは定期的に更新される幸福指標とその分析からなっており How's Life? と題する報告

伊藤貫 ( いとう かん )/ 国際政治アナリスト 1953 年 東京生まれ 東京大学経済学部卒 コーネル大で国際政治学を学ぶ ワシントンのコンサルティング会社とロビー事務所で外交 金融政策のアナリストとして勤務 シカゴ トリビューン ロサンゼルス タイムズ コモンウィール フォーリン ポリシー な

2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

夢真ホールディングス IR セミナー 大岩川源太 ( 新生ジャパン投資投資インストラクター ) 2017 年 5 月 25 日 ( 木 ) 夢真ホールディングス本社 22 階会議室 Copyrights(c)2016 gentajuku all rights reserved.

金融政策決定会合における主な意見

る軍事プレゼンスは世界を安定させ これらの自由な経済活動を可能にしてきた トランプ大統 領の就任演説にはこのような意識はみじんもない そして彼がこれから行おうとしていること は以下の点に集約される 今日 この日から アメリカ第一のみになります アメリカ第一です 貿易 税金 移民 外交についてのすべて

ブラジル中国インド インドネシア ロシア 図表 新興国の消費者物価上昇率 ( 単位 :%)( 資料 :IMF 世界経済見通し ) 通常であれば 成長率が低下すれば 国内の需給バランスが緩和し むしろ物価は低下するのが自然である しかし 中国以外の カ国は逆に物価上

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

< 米大統領候補の政策 > ( 経済 ) ( 税制 ) ( 通商 外交 ) ( 金融 ) ( 社会保障 その他 ) 民主党 ヒラリー クリントン (68) シカゴ出身元国務長官中道リベラル インフラ投資を拡大 ( インフラ銀行の創設 ) 連邦最低賃金の引き上げ (12 ト ル ) 法人税 : 租税回

第 2 問問題のねらい青年期と自己の形成の課題について, アイデンティティや防衛機制に関する概念や理論等を活用して, 進路決定や日常生活の葛藤について考察する力を問うとともに, 日本及び世界の宗教や文化をとらえる上で大切な知識や考え方についての理解を問う ( 夏休みの課題として複数のテーマについて調

サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

2016 年米国選挙 : 市場の反応および推測されること 11 月 8 日は 次の 4 年間で誰がその国を導いていくかを決めるため米国市民が招集される日である 最新の世論調査は事実の疑念性を高めており 2 人の主要候補者間の支持率の差が近日かなり接近していることがわかっている 当然のことながら 共和

調査要領 1. 調査の目的 : 人口減少による労働力不足が懸念されるなかで 昨年 4 月には女性活躍推進法 ( 正式名称 : 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律 ) が施行されるなど 女性の社会進出がさらに進むことが期待されている そこで 女性の活躍に向けた取り組み状況について調査を実施す

2016 年 メキシコペソ もとの状況と今後の 通し <メキシコペソ / 円は下落 > < 政策 利とインフレ率の推移 > メキシコペソは もとまで軟調に推移してきました しかし 原油先物価格は2016 年 2 に安値をつけて下落が続いてきた理由として 1 統領選 2メ以降 持ち直す展開

7 民法改正 : (13) 選択的夫婦別姓の実現 (14) 婚姻最低年齢 再婚禁止 (15) 婚外子相続分差別規定廃止 是正 8 性暴力 : (16) 性暴力禁止法 (17)DV 防止法 9 日本軍 慰安婦 : (18) 河野 村山談話 (19) 国家の謝罪と補償 10 性的健康 : (20) 刑法

ったことである しかも 共和党は南北戦争中ですら 北部においても有権者の圧倒的な支持を得ていたわけでなく 南北戦争後も 政治的課題として浮上した 奴隷制を廃止したうえで南部諸州を連邦に復帰させる再建 (Reconstruction) をめぐる争点群は 民主党よりも共和党にとって分裂を惹き起こしやすい

第 79 回 2017 年 5 月投資家アンケート調査結果 アンケート調査にご協力下さりました皆様 今年 5 月に実施致しましたアンケート調査にご回答下さり誠にありがとうございます このたび調査結果をまとめましたのでお送りさせていただきます ご笑覧賜れましたら幸 いです 今後もアンケート調査にご協力

1. 大統領選挙キャンペーンにおける民主 共和両党候補の主張 (1) これまでの選挙戦の概況 1 両党における泡沫候補の予想外の善戦昨年 4 月頃から米国大統領選挙候補の党内での予備選が始まり ほぼ 1 年が経過した 今後 7 月下旬に民主 共和各党の党大会で候補者が一人に絞り込まれ 11 月 8

多少改善したようだ 首相の靖国参拝に対する見方は 米国の共和党と民主党の間では大きく異なるという意見が日本にあるが 私はそうは思わない リチャード アーミテージ マイケル グリーンなど共和党においても 靖国参拝が日韓 日中関係を悪化させることを懸念している この 2 年間の安倍政権に対するワシントン

4.2 リスクリテラシーの修得 と受容との関 ( ) リスクリテラシーと 当該の科学技術に対する基礎知識と共に 科学技術のリスクやベネフィット あるいは受容の判断を適切に行う上で基本的に必要な思考方法を獲得している程度のこと GMOのリスクリテラシーは GMOの技術に関する基礎知識およびGMOのリス

【通商:配信情報】  9月配信 テーマ(案)/

定期調査の質問のうち 代表的なものの結果 1. 日本の株価を 企業のファンダメンタルズと比較してどう評価するか 問 1. 日本の株価は企業の実力( ファンダメンタルズ ) あるいは合理的な投資価値にくらべて 1. 低すぎる 2. 高すぎる 3. ほぼ正しく評価されている 4. わからないという質問で

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

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2016年米大統領選挙のアイデンティティ・ポリティクス

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日本の富裕層は 122 万世帯、純金融資産総額は272 兆円

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大統領選挙 上下両院議会選挙を前にした 米国政治情勢と TPP の行方 1. はじめに 昨年から1 年以上に渡り戦いが展開されてきた米国大統領選挙は 11 月 8 日の投票日をあと約 2 週間後に控え いよいよ最終局面に突入している これまでクリントン候補が若干のリードを保つ形で推移してきた両党大統

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

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論文題目 大学生のお金に対する信念が家計管理と社会参加に果たす役割 氏名 渡辺伸子 論文概要本論文では, お金に対する態度の中でも認知的な面での個人差を お金に対する信念 と呼び, お金に対する信念が家計管理および社会参加の領域でどのような役割を果たしているか明らかにすることを目指した つまり, お

第6回 国際不動産価格賃料指数(2016年4月現在)

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加須市審議会等の会議の公開に関する要綱の運用の手引

選挙運動FAQ

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

PowerPoint プレゼンテーション

ISO9001:2015規格要求事項解説テキスト(サンプル) 株式会社ハピネックス提供資料

タイトル

米国の TPA( 貿易促進権限 ) の行方と 今後の TPP 交渉について ( 前編 ) はじめに 昨年 11 月 中国で行われたTPP 首脳会合では 過去数か月の大きな進展を歓迎する とともに 閣僚等に対して この協定の妥結を最優先とすることを指示した などとする首脳声明が発表された この会合に先


スライド 1

29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

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丸紅米国会社ワシントン事務所長今村卓 imamura-t@marubeni.com 米大統領選米通商政策 保護主義に傾く共和党 自由貿易には試練の時期 最近の Pew Research の世論調査から 共和党のドナルド トランプ候補と民主党のヒラリー クリントン候補の支持層では自由貿易に対する考え方が大きく異なり 前者は不支持 後者は支持が多数と共和 民主両党の伝統からの逆転が生じていることが分かった しかも人口構成とその予測からみれば 中長期的には自由貿易への支持が大勢を占める見通しになる それなのに なぜ現在の大統領選本選は両候補が保護主義を競い合う構図になっているのか 今後の通商政策はどのような変化が起こりうるのかを考えてみた 1. 自由貿易を不支持の共和党へ 急速に変わる支持者の評価 8 月 18 日に発表された Pew Research の世論調査によると 今回の大統領選本選の共和党のトランプ候補の支持者と民主党のクリントン候補の支持者では自由貿易に対する考え方に大きな違いがある トランプ支持者では FTA( 自由貿易協定 ) を 良い とする人は 26% に過ぎず 悪い とする人が 68% に達している 一方 クリントン支持者の 59% は FTA を肯定しており 反対派は 32% に過ぎない TPP( 環太平洋経済連携協定 ) については 分からない という回答が 4 分の 1 を占めるものの トランプ支持者の 58% が 悪い クリントン支持者の 55% が 良い としている 自由貿易に対する考え方 TPP に対する考え方 トランプ支持者 クリントン支持者 トランプ支持者 クリントン支持者 全体 全体 0% 20% 40% 60% 80% 100% 良い悪い分からない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 良い悪い分からない FTA が個人の経済状況に与えてきた影響については 全体の 40% が 良い影響 45% が 悪い影響 とそれぞれ捉えており 悪い影響 が 良い影響 を上回っている もっとも 評価はクリントン トランプ両氏の支持者の間でかなり異なる クリントン支持者の 51% は自由貿易の恩恵を受けてきたとする一方 トランプ支持者の 68% は否定的である また年齢 学歴別に比較すると 若年層及び教育水準が高い人ほど自由貿易を前向きに捉え丸紅ワシントン報告 2016-10

る傾向がみられる 自由貿易協定が個人の経済状況に与えた影響 全体支持候補年齢学歴大卒大学高卒クリントントランプ 18-29 30-49 50-64 65+ 大卒以上中退以下良い影響 40% 51% 24% 66% 42% 31% 32% 56% 43% 42% 30% 悪い影響 45% 32% 68% 25% 46% 53% 50% 26% 40% 45% 57% 過激ともいえる保護主義を唱えるトランプ氏が共和党の大統領候補に指名される現状を 反映したのか 伝統的に自由貿易を支持してきた共和党の通商政策への考え方も変化してい る 今回の調査では 共和党支持者の 61% が FTA を 悪い と考える一方 良い は 32% に留まった この調査が初めて実施された 2009 年以降では 最も FTA に対して否定的 な考えが強い結果である 2015 年 5 月実施の調査では 良い が 51% と過半数を占めてい たから この 1 年で共和党支持者の通商問題に対する考え方が急速に変化したことになる 一方 民主党支持者では自由貿易を 良い とする割合は緩やかな上昇傾向にあり 足元で は 58% に達している こうした結果は 自由主義を重視する共和党と労働組合との関係に より保護貿易を支持する傾向のある民主党 という従来の構図が崩れていることを意味する 共和党 自由貿易協定に対する考え 民主党 70% 60% 50% 40% 30% 20% 2009 2011 2014 2015 2016 良い悪い 70% 60% 50% 40% 30% 20% 2009 2011 2014 2015 2016 良い 悪い 2. 近年になく保護主義の圧力強まる今回の大統領選今回の大統領選は 両党の予備選段階で共和党のトランプ氏や民主党のバーニー サンダース氏は雇用の減少と賃金の下落を招いてきたとして FTA を批判し 予想以上の支持を集めた 各種の実証分析によれば FTA が経済に及ぼす影響が大きく変化したわけではなく 今でも恩恵が損失を大きく上回る結果が出るというが 少なくとも大統領選に示される有権者の理解は異なる 自由貿易が全体の経済成長に寄与したとしてもその恩恵を受けるのは一部に止まり 個人の経済状況がなかなか改善しない一因と捉える人が増えているということだろう また 移民問題が注目される中で米国全体の内向き志向が強まっていることが 貿 2

易における保護主義への傾倒を促している面もあろう この圧力の強さは 国務長官時代に TPP を推進してきたクリントン氏を TPP 反対への方針変更に追い込むほどでもあった トランプ クリントン両候補が TPP に反対の立場を表明している現状からは 議会での TPP 法案の早期可決は困難とみられる だが オバマ大統領は在任期間中の TPP の議会承認を諦めたわけではなく 8 月 12 日には TPP 関連法案の審議入りに必要な手続きのひとつである行政措置の説明案を議会に送付している オバマ政権は 自由貿易がもたらす経済的なメリットだけでなく 中国のアジア域内での影響力拡大を抑えるなど安全保障上の TPP の重要性も強調し 支持拡大を狙っている 政府高官も議会の説得を続けており 来月に予定されるアジア訪問でも関係国との調整を行う見通しである それでも議会での TPP 関連法案の可決のカギを握る共和党議員の支持獲得は 大統領選 議会選の情勢からみて容易ではないと考えられる 3. 民主党の自由貿易支持者は多くても 選挙の得票につながらないこのように米国では近年にないほどに保護主義が強まっているようにみえるなか 前述の調査ではクリントン氏と民主党の支持者の多くが自由貿易を支持するという興味深い結果が出た この結果をみるかぎり 民主党支持者はオバマ大統領の政権運営に満足し 同大統領が推進する TPP にも前向きであると考えるべきなのである それなのにクリントン氏が予備選で TPP に反対するという矛盾する現実が生じているのはなぜか 一つは 民主党の予備選が自由貿易支持では得票に結びつかないという複雑な情勢であろう 従来から民主党の予備選の投票率は低く 投票者の多くは労働組合関係者など保護主義の支持者が占めてきたし 今回もそうだった しかも今回の予備選ではクリントン氏と接戦を繰り広げたサンダース氏が TPP など通商協定への反対を強調していたから クリントン氏が自由貿易支持を訴えれば不利になってしまうことは明らかだった その上に 自由貿易支持が多い民主党支持の若年層の多くは 予備選ではサンダース氏の格差是正の訴えに強く共感し 同氏の保護主義には抵抗せず支持するという判断をした これではクリントン氏が予備選で自由貿易支持を訴えても 自由貿易支持者からの支持拡大は期待できず 保護主義の支持者は確実にサンダース氏の支持に回る一方になる クリントン氏にとっては この構図が明確だった上に 指名争いでは伸び悩みが続いていたから 国務長官時代からの自由貿易と TPP 支持の立場を変えざるを得なくなったのだろう こうして予備選を勝ち抜いたクリントン氏は 本選になったからといって自由貿易 TPP 支持の立場に戻すわけにはいかない 本選の勝利に不可欠な民主党内の結束に響きかねない上に 予備選と同様に自由貿易支持の有権者にとって本選での関心の高い問題は格差是正などであり自由貿易ではなかったからである 本選で自由貿易支持を訴えても 支持が伸びる見通しは立たない しかも 本選で対決するトランプ氏は 男性 白人 高齢者 大卒未満 の有権者に受ける保護主義を徹底して訴えている 本選での激戦州の中には このグループの得票が勝敗を左右しかねない州もある以上 クリントン氏には自由貿易支持を訴える選択はリスクが大きすぎたと考えられる 3

4. 長期的には自由貿易の支持拡大に期待 今回の大統領選には大きな意味 一方で 前述の Pew Research の調査をみると 女性 非白人 若者 大卒以上 な どのグループでは クリントン氏と民主党の支持がトランプ氏と共和党を大きく上回ってい る 明らかに自由貿易への支持が多いグループであり クリントン氏と民主党の支持者に自 由貿易支持が多いという結果と整合的になる そして このグループの自由貿易の支持とク リントン氏 民主党支持の傾向が持つ意味は 今後に視点を移すと非常に重くなる 今後予 想されて確実な米国の人口動態の変化を踏まえると 将来的にはこのグループの米国の人口 に占める割合は大きくなり 必然的に社会 政治に及ぼす影響力も拡大が見込まれるからで ある 中長期的には民主党に有利になり 通商では自由貿易を支持する有権者が着実に多く なると予想されるのである セグメント別 支持候補 クリントン トランプ ジョンソン スタイン 全体 41% 37% 10% 4% 性別 男性 33% 45% 10% 5% 女性 49% 30% 9% 4% 人種 白人 33% 45% 11% 4% 黒人 85% 2% 4% 4% ヒスパニック 50% 26% 9% 9% 年齢 18-29 歳 38% 27% 19% 9% 30-49 歳 46% 29% 12% 6% 50-64 歳 41% 43% 9% 2% 65 歳 + 39% 47% 4% 2% 学歴 大卒以上 59% 21% 10% 5% 大卒 47% 34% 11% 3% 大学中退 36% 40% 11% 6% 高卒以下 37% 42% 8% 4% 支持政党 共和党支持 5% 76% 11% 3% 民主党支持 79% 4% 7% 6% 白人のうち : 大卒以上 47% 33% 11% 3% 高卒未満 26% 51% 10% 4% とはいえ 人口動態の変化とそれに伴う自由貿易の指示の拡大は緩やかに時間をかけて 進むことに注意する必要がある 現状は大統領選 議会選において 保護主義を支持するグ ループが前述の背景もあり実際に有権者に占める割合よりも強い影響力を持っている この グループの影響力が低下して自由貿易の支持が増えていくという変化も緩やかに進むのであ り 自由貿易の支持が明らかに多数になるまでには相当の時間を要するのである 一方で 現在の選挙戦で強まる保護主義への支持が 幅広く有権者に支持されていない 4

ことも事実である 少なくとも クリントン氏 民主党の支持者や 今後社会での影響力が強まる 女性 非白人 若者 大卒以上 のグループは自由貿易支持が多い以上 長期的に米国社会や有権者の多くが保護主義に傾いていくとは考えにくい むしろ 現在は保護主義が一時的に強まる過渡期と捉えたほうが整合的である もっとも 米国経済の潜在成長率の低下傾向などからみて 自由貿易が経済に損失よりも恩恵を多くもたらすことが有権者に認識されにくい現状が急速に好転するとは思えない 現在の過渡期は短期間では終わらない可能性が高い しかも過渡期は その間に景気後退に陥る 世界各国の通商政策が保護主義に傾く などの変化が生じて自由貿易の支持者の減少を招き 保護主義の影響力が低下しなくなって過渡期でなくなる可能性もある 自由貿易の支持者は決して少なくないが 近年にないほどに保護主義への支持が増えやすくなっている現状 2 人の候補が保護主義を競い合う今回の大統領選本選は 自由貿易にとって試練の時期の到来を意味する その試練の先は 大統領選で消極的な保護主義のクリントン氏と過激な保護主義を訴えるトランプ氏のどちらが勝つかで大きく異なる そして 結果は米国にとどまらず 日本を含めた世界各国に及ぶことになる 今後 2 ヵ月半近くの選挙戦は米国と世界の通商政策の将来に関わるという点でも 非常に重要な意味を持つといえる 以上 / 井上 今村 本資料は公開情報に基づいて作成されていますが 丸紅米国会社ワシントン事務所 ( 以下 当事務所 ) はその正確性 相当性 完全性を保証するものではありません 本資料に従って決断した行為に起因する利害得失はその行為者自身に帰するもので 当事務所は何らの責任を負うものではありません 本資料に掲載している内容は予告なしに変更することがあります 本資料に掲載している個々の文章 写真 イラストなど ( 以下 情報 といいます ) は 当事務所の著作物であり 日本の著作権法及びベルヌ条約などの国際条約により 著作権の保護を受けています 個人の私的使用および引用など 著作権法により認められている場合を除き 本資料に掲載している情報を 著作権者に無断で 複製 頒布 改変 翻訳 翻案 公衆送信 送信可能化などすることは著作権法違反となります 5