Microsoft Word - 00:報告書(統合版)Ver7.0.doc

Similar documents
福岡 福岡市早良区 福岡市 土砂災害警戒区域告示年月日うち土砂災害特別警戒区域 早良区 西区へ跨る H 早良区 佐賀県へ跨る H 早良区 H 早良区 H 早良区

Ⅰ 観光振興計画制定の背景 1 観光による地域振興 観光立国推進基本法 に基づき策定された 観光立国推進基本計画 の中で 観光立国の実現は地域経済の活性化 雇用機会の増大 国民の健康の増進 潤いのある豊かな生活環境の創造 国際相互理解の増進等の意義を有するものである と位置づけられています また 東

FREINS Satei Sheet

(Microsoft PowerPoint - \225\361\215\220\217\221)

FREINS Satei Sheet

共通基準による観光入込客統計 ~ 共通基準に基づき 平成 22 年 月期調査を実施した 39 都府県分がまとまりました~ 平成 23 年 10 月 31 日観光庁 各都道府県では 平成 22 年 4 月より順次 観光入込客統計に関する共通基準 を導入し 信頼 性の高い観光入込客統計調査を

別紙 町田市観光まちづくり リーディングプロジェクト ( 案 ) 町田市

2. 現状と課題 3 大津市の観光地としての課題 大津市の観光地として成長するには強みを磨き上げていく事と並行して 他の観光地と比較し課題を明らかにする事が大切です 大津市の観光地としての課題は 複数の調査結果をまとめ 次の5つであると考えています 1 一人あたりの来訪者の現地小遣いが低い 2 来訪

2. 調査の結果の概要 雲仙市訪問の目的 を 1 観光 2 仕事 3 帰省 4 その他 の項目で聞いた 観光 が 75.9% で最も多く 次いで その他 17.3% 仕事 4.4% 帰省 2.4% である 同伴者対象者 を 1 一人旅 2 家族旅行 3 友人 知人との旅行 4 団体旅行 ( 職場 地

5 地域再生を図るために行う事業 5-1 全体の概要 棋士のまち加古川 をより幅広く発信するため 市内外の多くの人が 将棋文化にふれる機会や将棋を通じた交流を図ることができる拠点施設を整備するとともに 日本将棋連盟の公式棋戦 加古川青流戦 の開催や将棋を活かした本市独自のソフト事業を展開する 5-2

2. 本市の上期観光入込客数について平成 27 年度上期観光入込客数は 総数 377,300 人で 前年の 351,600 人より 25,700 人 7.3% の増となった その内訳として 道内客が 84,900 人で 前年の 94,200 人より 9,300 人 9.9% の減 道外客が 292,

要介護 ( 要支援 ) 認定者 (ⅰ) 要支援 1 ( 各月末日の数 ) 福岡県 43,104 43,023 43,237 43,251 43,318 43,170 43,360 43,331 43,170 42,996 42,742 42,782 福岡県 6,210 6,129 6,188 6,1

問 2-1. 同伴者対象者 選択肢 11 人旅 2 家族旅行 3 友人 知人との旅行 4 団体旅行 ( 職場 地域 ) 誰と来たか n = 487 一人旅 7.0 ( 職場 地域 ) 15.4 家族旅行 40.5 友人 知人 37.2 家族旅行が 39% で最も多く 次いで友人 知人が 35.8%

訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート 調査の概要 訪日外国人旅行者を対象に 旅行中に困ったこと 受入環境 ( 多言語対応 通信環境 公共交通等 ) へのニーズ 満足度等に係るアンケートを実施した 訪日外国人利用者の多い成田国際空港 東京国際空港 関西国際空港を中心とした空港

調査票を記入されたのはどなたですか

稲沢市の観光に関するインターネット調査調査項目 未定稿 1 回答者の属性 Q1 あなたの性別 1 男性 2 女性 1 つだけ選択 Q2 あなたの年齢 1 10 歳代 2 20 歳代 3 30 歳代 4 40 歳代 5 50 歳代 6 60 歳以上 1 つだけ選択 Q3 あなたの職業 1つだけ選択 1

tagawasaisei

rokechi_map_01

住宅宿泊事業の宿泊実績について 令和元年 5 月 16 日観光庁 ( 平成 31 年 2-3 月分及び平成 30 年度累計値 : 住宅宿泊事業者からの定期報告の集計 ) 概要 住宅宿泊事業の宿泊実績について 住宅宿泊事業法第 14 条に基づく住宅宿泊事業者から の定期報告に基づき観光庁において集計


平成 30 年度上期観光入込客数状況について Ⅰ. 本市の上期観光入込客数の概要について 平成 30 年度上期観光入込客数は 総数 380,100 人で 前年の 399,700 人より 19,600 人 4.9% の 減となった (1) 道内客 道外客の状況 道内客が 98,200 人で 前年の 9

表 6.1 横浜市民の横浜ベイスターズに対する関心 (2011 年 ) % 特に何もしていない スポーツニュースで見る テレビで観戦する 新聞で結果を確認する 野球場に観戦に行く インターネットで結果を確認する 4.

資 _ 図表 40-1 人口動態 二次医療圏市区町村人口 人口密度 2025 年総人口 2040 年総人口 年総人口増減率 年総人口増減率 2015 年 人口 2025 年 人口 2040 年 人口 年 人口増減率 年 人口増

来場者アンケート集計結果 / 実施概要

調査地点 ( 県内 16 地点 ) 第 2 回調査から追加した地点には下線福岡 : キャナルシティ博多 太宰府天満宮 福岡タワー 伊都菜彩北九州 : 門司港レトロ地区 道の駅豊前おこしかけ 小倉城周辺 スペースワールド地区 筑後 : 柳川川下り 道の駅うきは 西鉄久留米駅周辺筑豊 : 旧伊藤伝衛門邸

平成 25 年 2013 年 2013 加賀市観光 加賀市観光統計 統計 長期推移 大聖寺川 流し舟 舟 片山津温泉 花火大会 山中温泉 鶴仙渓川床 川床 加佐の岬 岬 山代温泉 大田楽 =========================== 目 次 ========================

2017 年 2 月 27 日株式会社カカクコム 価格.com 生命保険 に関する調査結果を発表加入率は約 8 割 若年層ほど低い傾向 加入中の生命保険は終身タイプがトップ将来への不安?20 代の加入目的 老後保障 貯蓄 が他世代よりも高い結果に補償内容への理解度 十分理解できていない加入者が 53

九州新幹線 久留米駅についてのアンケート の主な結果概要 福岡県立大学人間社会学部公共社会学科 2017 年度社会調査実習 九州新幹線調査 グループ担当教員田代英美学生調査グループ一同 回答者のプロフィール 久留米市の旧久留米市域にお住いの 18 歳 ~79 歳の方から無作為で ( くじ引きのような

調査結果の概要 ( 来訪グループの属性 ) 0 30 代のグループで 46% を占める 0 30 代, 女性のみ が最も多いグループ構成で 3% を占める 来訪グループの居住地は 島根県が最も多く 0% を占める 以降順に広島 (3%) 東京 (9%) 大阪(9%) 地方別では 中国(45%) 近畿

月報 xdw

沼津港の景観の現況と課題

< B689BB81458C7C8F70816A2E786C73>

3. 京都府へ来た旅行者の総合的満足度 京都府への旅行者で 満足度が全国平均より高くなっている項目は 食 特産品 大人が楽し めるスポット ホスピタリティ となっている 資料 : じゃらん旅行調査 4. 京都府全域と宇治市の観光入込客の推移 京都府全域と宇治市の観光入込客数の推移をみると 京都府 宇

概要(HP用)-2.xdw

北海道ドライブ観光促進社会実験 実施結果 1 例N 3を表示凡アプリ利用者の属性 実験期間中 1,211 人の外国人観光客が北海道内でアプリ Drive Hokkaido! を利用 ( 実験期間中の全道の外国人レンタカー貸渡台数 19,543 台の約 6% に相当 ) 国 地域別では香港 シンガポー

2018 年 10 月 15 日日本政策金融公庫総合研究所 訪日旅行に関するアンケート 結果の概要 Ⅰ 調査目的と実施要領 Ⅱ 調査結果 1 旅行手配方法 2 宿泊数 宿泊施設 3 訪問した都道府県 4 旅行目的 5 情報収集の手段 6 旅行支出額 7 旅行の満足度 8 再訪日の意向 9 まとめ <

P.1 平成 28 年度タイ市場調査結果 北海道観光成 市場誘客促進事業 ( タイ市場 ) 概要編 公益社団法 北海道観光振興機構

宮若市 123 サン フレッシュサービス 3 嘉穂 鞍手 宮若市 平成 28 年 3 月 30 日 平成 31 年 4 月 8 日 飯塚市 124 深田環境開発工業 3 嘉穂 鞍手 飯塚市 嘉麻市

鹿児島県観光動向調査 鹿児島県 PR 観光戦略部観光課 平成 31 年 3 月の観光客の動向 1 概要平成 31 年 3 月における調査対象ホテル 旅館 76 施設の宿泊客数 ( 宿泊延べ人員 ) は 合計 309,924 人で 前年同月比 4.1% 減となった このうち外国人は 41,123 人で

<4D F736F F D A A B83608F4390B38DCF82DD817A81798A A838A815B CB48D65817A90A28A4582CC97B78D7390E

< E92B28DB88C8B89CA82CC8A E786C7378>

図表 1. 調査対象と標本数 1 次調査回答者 調査対象全国 20 歳から 79 歳までの日本人 総務省 人口推計 を元に 地域別年代別に標本数を割り付けた レポート1 ~1 次調査結果より国内市場における歴史文化観光の需要構造 2 次調査回答者 (1,901 人 ) 2 次調査スクリーニング条件中

目 次 1 平成 23 年の観光動向 1 2 観光統計総括表 2 3 観光客数 観光消費額の推移 3 4 月別観光客数 4 5 個人客 団体客の推移 5 6 宿泊客 日帰り客の推移 6 7 交通機関別観光客数の推移 7 8 外国人宿泊者数の推移 8 9 国 地域別外国人宿泊者数 9 10 コンベンシ

目次 1. 分析のまとめ 3 2. 分析の目的 地域経済分析システム (RESAS) を利用した分析 口コミデータを利用した分析 65

DBJ 北海道経済ミニレポート 2013/12/3 (No.13) 株式会社日本政策投資銀行北海道支店支店長関根久修担当 : 企画調査課門田 TEL 著作権 (C)Development Bank

Microsoft Word - プレス発表(2016年度トピック旅行).doc

(Microsoft PowerPoint -

PowerPoint Presentation

untitled

北海道観光の基礎データ ( 観光入込客数 ) 観光入込客数のうち 約 9 割が道内客 道外客は 1 割 外国人観光客は 1.2% 平成 23 年度の観光入込客数は 4,612 万人となった ( 前年度比 90.0%) 平成 23 年 3 月の東日本大震災等の影響による国内外の観光需要の落ち込みが大き

(4) 市からのお知らせについて 西宮市では 市民のみなさまに市政への理解と関心を深めていただき また市民サービスを円滑に利用していただくために 広報紙や放送 ホームページなどさまざまな媒体により 市政情報をお届けしています 市民のみなさまのご意見をいただき 利用しやすく わかりやすい情報提供となり

(1) 回答者の属性と旅行内容 図表 4-18 久米島における圏域外客の属性と旅行内容 居住地 H27 年度 第 1 回調査 (6 月 ) 第 2 回調査 (8 9 月 ) 第 3 回調査 (10 11 月 ) 第 4 回調査 (2 月 ) 回答数 ( 件 ) 回答数 ( 件 ) 回答数 ( 件 )

30 代 ~50 代を中心とするビジネスマンは出張で年間平均 40 泊前後宿泊しています 1 人で年間 40 泊する出張ビジネスマンは 40 名様で 1 泊の団体のお客様に匹敵し 依然として A カード会員である出張ビジネスマンは優良なリピーター顧客となり得ることを示唆しています 2[ 予算と実額

<4D F736F F D2095BD90AC E93788E968BC68C7689E688C4>

Microsoft Word _Ⅱ編-3.液状化 doc

14_(参考資料5)経済波及効果・サイクリング客数等の基礎的なデータ収集_180317(セット)

第2章マレーシア人海外旅行市場の現状

スライド 1

Microsoft Word Ⅲ編-3人的被害 doc

スライド 0

回答者のうち 68% がこの一年間にクラウドソーシングを利用したと回答しており クラウドソーシングがかなり普及していることがわかる ( 表 2) また 利用したと回答した人(34 人 ) のうち 59%(20 人 ) が前年に比べて発注件数を増やすとともに 利用したことのない人 (11 人 ) のう

Microsoft PowerPoint - REP01_04.ppt

訪日外国人消費動向調査1


共同住宅の空き家について分析-平成25年住宅・土地統計調査(速報集計結果)からの推計-

アニメーション作品が観光振興に与える影響に関する研究. その3, 埼玉県鷲宮町における「らき☆すた」聖地巡礼者の属性と旅行形態に関する考察

山梨県富士山世界遺産センター(仮称)整備検討委員会 資料

スライド 1

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

Q2. 海外旅行にいくなら下記のどの形態で行きたいですか [SA] ガイド付きパック旅行 ( 自由行動あり ) % ガイド付きパック旅行 ( 自由行動なし ) % 航空券とホテルがセットになったパック旅行 ( ガイドなし ) % 航空券とホテルを別々に自分で

スライド 1

3. 国 地域別調査結果 (1) 中国国籍 問 2. あなたの性別 年齢を教えてください 性別 中国国籍では 女性 が 56.3% 男性 が 43.7% となっています 年齢 中国国籍で最も多いのは 30 歳代 で 42.2% 次いで 20 歳代 25.6% 40 歳代 17.1% となっています

平成17年

スライド 1

調査結果 1 国内ユーザー SNS 利用率 トップは で 69.6% 1 位は 69.6% 2 位は 40.9% 3 位は 23.0% 調査対象者が 利用している SNS を複数回答で聞いたところ 1 位は で 69.6% 2 位以下は が 40.9% が 23.0% が 19.6% が 19.4%

スライド 1

(Microsoft Word Facebook\203I\201[\203v\203j\203\223\203OPR_x.doc)

2 名古屋への訪問状況と観光資源の認知度等 1 名古屋への訪問状況 a. 過去 5 年間の名古屋への訪問回数過去 5 年以内に名古屋に訪れた事がある人は有効回答者 1,143 人中 496 人で 割合は 43.4% だった 訪問回数としては 1 回 が 17.7% と多く 次いで 11 回 2 回

和歌山県では 本県を訪れた観光客へのアンケート調査を実施し 観光客のプロフィール 訪問先 目的 満足度 消費額などについて データの収集と 分析を行いました < 調査方法 > 和歌山県内の主要観光ポイント等に来訪している観光客を対象とした調査員による対面聞き取り調査 県内の主な宿泊施設における宿泊客

北海道 欧州諸国 東北 6 県 欧州諸国 人口 562 万人 フィンランド (520 万人 ) 963 万人 スウェーデンベルギー ギリシャ 面積 83456km 2 アイルランド島よ 66889km 2 チェコ りやや大きい 経済規模 20 兆円 フィンランド 33 兆円 スイス ベルギー スウェ

日本のプロ野球に対する関心を示した表 3.1 および図 3.1 をみると スポーツニュース で見る (52.9) に対する回答が最く テレビで観戦する (39.0) 新聞で結果を確 認する (32.8) がこれに続く また 特に何もしていない (30.8) も目立った 2) 性別とのクロス集計の結果

Microsoft Word - meti-report

文字数と行数を指定テンプレート

問 2. 現在 該当区域内に居住していますか 1. 居住している % 2. 居住していない % 無回答 % % 単位 : 人 1.9% 32.7% 65.4% 1. 居住している 2. 居住していない無回答 回答者のうち 居住者が約 65

平成19年度環境ラベルに関するアンケート調査集計結果報告

校正用出力.indd

Microsoft Word - Łñ“’‘‚†i…v…„…X†j.doc

平成 29 年度 消費者の意識に関する調査 結果報告書 食品ロス削減の周知及び実践状況に関する調査 平成 30 年 3 月 消費者庁消費者政策課

4. 保険給付 給付に必要な費用を全額市町村に対して支払 市町村が行った保険給付の点検 保険給付の決定 個々の事情に応じた窓口負担減免等の実施 5. 保健事業 市町村に対し 必要な助言 支援 被保険者の特性に応じたきめ細 かい保健事業を実施 ( データヘルス事業等 ) 3. 都道府県単位化による主な

スライド 1

2-5 住宅の設備

Release

第 7 回大阪市人口移動要因調査報告書 平成 27 年 3 月 大阪市都市計画局

( 別途 500 円にて購入可能 ) アンケートにご協力頂いた方の中から抽選で毎月 1 名様に島原のお土産 (10,000 円相当 ) をプレゼント 観光施設への入館や店舗での商品購入でスタンプを集めるとオリジナル缶バッジがもらえるスタンプラリー 販売価格 大人 1,000 円 小人 ( 小学 ~

<4D F736F F F696E74202D C83728E8B92AE8AC28BAB82C68E8B92AE91D C98AD682B782E9837D815B F B835E C837294D E89E695D2816A2E707074>

Microsoft PowerPoint - KADOKAWA WEB事例集2018.pptx

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

国語社会算数理科英語 =============== 採択地区 =============== 国語地理歴史公民数学理科英語光村日文啓林館大日本 * 採択中 * 久留米市光村帝国日文教出啓林館大日本開隆堂 光村教出日文大日本 * 採択中 * 小郡市三省堂東書日文教出啓林館大日本東書 光村教出日文大日

<4D F736F F D F18D908F91817A966B8A4393B982C6938C966B82CC8D4C88E698418C6782C982E682E997B78D738EF E8F6F92B28DB85F31353

Microsoft Word _MICE_Q&A(最終案)

Transcription:

観光戦略の策定に係るマーケティング調査 ~ 福岡県の産業遺産 伝統産業を活用した観光戦略 ~ 報告書 平成 28 年 3 月 公益財団法人九州経済調査協会

観光戦略の策定に係るマーケティング調査 ~ 福岡県の産業遺産 伝統産業を活用した観光戦略 ~ 報告書 目次 はじめに 1 1. 調査目的 1 2. 調査方針 1 3. 調査項目 1 第 1 章福岡県の観光動向 3 1. 観光入込客の動向 3 2. 県内の産業遺産観光関連施設について 14 3. 県内の伝統工芸関連施設について 18 第 2 章産業遺産 伝統産業の観光実態 23 1. アンケートの目的 23 2. 主要アンケート項目 23 3. アンケート実施状況 23 4. 来訪目的と来訪地の選定理由 25 5. 旅程と周遊エリア 32 6. 来訪の満足度と再来訪意向 41 7. 産業遺産と伝統産業に対する評価 44 8. 良かった点 悪かった点 45 9. まとめとインプリケーション 47

第 3 章産業遺産 伝統産業観光地の SNS 分析 49 1. 調査 分析方法 49 2. データ収集状況 50 3. 投稿内容の傾向と考察 55 第 4 章産業遺産 伝統産業観光地の先進事例 81 1. 金沢市 ( 石川県 ) 81 2. 高山市 ( 岐阜県 ) 91 3. 富岡市 ( 群馬県 ) 99 4. 飯山市 ( 長野県 ) 110 第 5 章産業遺産 伝統産業観光地の観光戦略 113 1. 観光戦略の策定にあたって 113 2. 観光戦略の方向性 116 3. 観光戦略の方策についての考え方 117 参考資料 123

はじめに 1. 調査目的 福岡県における産業観光や伝統産業の所在する地域を中心に 観光客の動向やニーズを把握し 本県における観光の現状や課題を分析することを通して 本県のさらなる誘客に向けて 産業遺産や伝統産業などの地域の観光資源を活かした観光戦略 の作成に係る基礎調査を行う 具体的には 産業観光や伝統産業が国内外からの誘客にどのように結びつけられるかを分析するとともに 誘客を促すための方策について検討する さらに 産業観光や伝統産業をマグネットとして地域に呼び込んだ観光客を いかに県内周遊に結びつけるかという観点から 産業遺産や伝統産業の活かし方を調査する 2. 調査方針 上記の目的を達成するために 以下の5つの方針を掲げる (1) 福岡県の産業遺産 伝統産業の観光地を中心に 周遊ルートや行動エリアの分析を通じて 周辺地域とのつながりなどを分析する (2)SNS を活用し 福岡県の産業遺産 伝統産業に対する口コミの可視化や これら観光地への評価を行い 集客につなげていくために必要な分析を行う (3) 目的は県内の周遊強化だが 実態把握のために隣県までまたがった調査を行う (4) 宿泊客の増加を検討するために 産業遺産 伝統産業の観光地や そことの結びつきが見られる地域の夜型観光資源の実態把握を行う (5) 産業遺産観光地は北九州 筑豊 大牟田 伝統産業観光地は八女を中心に調査を行う 3. 調査項目 上記の目的や方針を達成するために 具体的に以下の5つの項目について整理する (1) 産業遺産 伝統産業観光に関する統計データの整理 分析 (2) 産業遺産 伝統産業観光に関する類似地域 先進地域の分析 (3) 福岡県内の主要産業遺産 伝統産業観光地の来訪実態とニーズなどの整理 分析 (4) 産業遺産 伝統産業観光地づくりのためのワーキング会議の開催 (5) 福岡県における産業遺産 伝統産業観光を中心とした今後の観光施策の検討 1

2

第 1 章福岡県の観光動向 1. 観光入込客の動向 1) 入込客総数福岡県の観光入込客総数の推移をみると 2013 年で約 107 万人となっている 2010 年まで 100 万人前後を推移していたが 2011 年に 103 万人と増加している この増加の原因として考えられるのは 東日本大震災により東北地方から九州地方への移行が挙げられる その後も増加しているが 2013 年には上昇幅が減少し 頭打ちの状態となっている 地域別の入込客数をみると 実数でみれば福岡地方が最も多く 毎年増加している傾向にある ただし 指数でみると 北九州エリアの伸び率が最も大きい これは 小倉駅前の 北九州市漫画ミュージアム の開設や B 1 グランプリ等の大規模コベンションの開催の影響が考えられる 図表 1 観光客入込客数の推移 ( 全体 地区別 ) 1 入込客総数 2 地域別入込客数の動向 (2007 年 =100) ( 千人 ) 108,000 106,000 104,000 102,000 (2007 年 =100) 120.0 115.0 110.0 105.0 福岡筑後筑豊北九州 100,000 100.0 98,000 95.0 96,000 90.0 94,000 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 85.0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 実数 福岡 46,053 45,975 45,288 45,968 46,927 48,470 48,891 ( 千人 ) 筑後 19,584 20,117 20,598 20,645 20,920 20,755 20,654 筑豊 9,566 9,593 9,323 9,875 10,568 10,105 9,782 北九州 24,041 24,221 23,806 23,638 24,621 27,407 27,903 合計 99,244 99,906 99,015 100,126 103,036 106,737 107,230 指数 福岡 100.0 99.8 98.3 99.8 101.9 105.2 106.2 (2007=100) 筑後 100.0 102.7 105.2 105.4 106.8 106.0 105.5 筑豊 100.0 100.3 97.5 103.2 110.5 105.6 102.3 北九州 100.0 100.7 99.0 98.3 102.4 114.0 116.1 合計 100.0 100.7 99.8 100.9 103.8 107.6 108.0 構成比 福岡 46.4 46.0 45.7 45.9 45.5 45.4 45.6 筑後 19.7 20.1 20.8 20.6 20.3 19.4 19.3 筑豊 9.6 9.6 9.4 9.9 10.3 9.5 9.1 北九州 24.2 24.2 24.0 23.6 23.9 25.7 26.0 合計 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 資料 ) 福岡県 福岡県観光入込客推計調査 3

2) 地区別日帰 宿泊比率及び県内 県外比率まず 日帰 宿泊別でみると 福岡県への観光客の 90% 以上は日帰り客である この傾向は 県内の全てのエリアで同様となっている 唯一 90% 以下になっているのは 福岡地方のみである 宿泊施設が不足していることや交通利便性の良さから日帰り観光が行いやすいことなどが要因として考えられる 次に 県内 県外別にみると 福岡県内全ての地方において 県内客の比率が 60% ほどで割合が高い 2013 年の実績でみると 県外比率が最も高いのは 北九州地方で 37.9% 最も低いのは 筑豊地方で 19.8% でとなっている 図表 2 日帰 宿泊比率及び県内 県外比率 1 日帰 宿泊比率 (2013 年 ) 2 県内 県外比率 (2013 年 ) 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 60% 50% 40% 宿泊 日帰 50% 40% 県内 県外 30% 30% 20% 20% 10% 10% 0% 福岡筑後筑豊北九州県合計 0% 福岡筑後筑豊北九州県合計 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 日帰 宿泊 日帰 宿泊 日帰 宿泊 日帰 宿泊 日帰 宿泊 日帰 宿泊 日帰 宿泊 実数 福岡 40,517 5,536 40,394 5,581 39,969 5,319 40,519 5,449 41,233 5,694 42,602 5,868 42,723 6,168 ( 千人 ) 筑後 18,309 1,275 18,881 1,236 19,538 1,060 19,520 1,125 19,695 1,225 19,525 1,230 19,419 1,235 筑豊 8,804 762 8,763 830 8,518 805 9,208 667 9,970 598 9,467 638 9,086 696 北九州 23,022 1,019 23,222 999 22,812 994 22,513 1,125 23,246 1,375 25,992 1,415 26,312 1,591 県合計 90,652 8,592 91,260 8,646 90,837 8,178 91,760 8,366 94,144 8,892 97,586 9,151 97,540 9,690 構成比 福岡 88.0 12.0 87.9 12.1 88.3 11.7 88.1 11.9 87.9 12.1 87.9 12.1 87.4 12.6 (%) 筑後 93.5 6.5 93.9 6.1 94.9 5.1 94.6 5.4 94.1 5.9 94.1 5.9 94.0 6.0 筑豊 92.0 8.0 91.3 8.7 91.4 8.6 93.2 6.8 94.3 5.7 93.7 6.3 92.9 7.1 北九州 95.8 4.2 95.9 4.1 95.8 4.2 95.2 4.8 94.4 5.6 94.8 5.2 94.3 5.7 県合計 91.3 8.7 91.3 8.7 91.7 8.3 91.6 8.4 91.4 8.6 91.4 8.6 91.0 9.0 2007 年 2008 年 2009 年 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 県外 県内 県外 県内 県外 県内 県外 県内 県外 県内 県外 県内 県外 県内 実数 福岡 15,680 30,373 14,796 31,179 14,409 30,879 15,205 30,763 15,365 31,562 16,085 32,385 16,417 32,474 ( 千人 ) 筑後 5,113 14,471 5,422 14,695 6,296 14,302 6,337 14,308 6,511 14,409 6,364 14,391 6,357 14,297 筑豊 1,003 8,563 1,208 8,385 1,243 8,080 1,282 8,593 1,164 9,404 1,077 9,028 1,940 7,842 北九州 8,852 15,189 8,849 15,372 8,766 15,040 8,734 14,904 9,332 15,289 10,468 16,939 10,586 17,317 県合計 30,648 68,596 30,275 69,631 30,714 68,301 31,558 68,568 32,372 70,664 33,994 72,743 35,300 71,930 構成比 福岡 34.0 66.0 32.2 67.8 31.8 68.2 33.1 66.9 32.7 67.3 33.2 66.8 33.6 66.4 (%) 筑後 26.1 73.9 27.0 73.0 30.6 69.4 30.7 69.3 31.1 68.9 30.7 69.3 30.8 69.2 筑豊 10.5 89.5 12.6 87.4 13.3 86.7 13.0 87.0 11.0 89.0 10.7 89.3 19.8 80.2 北九州 36.8 63.2 36.5 63.5 36.8 63.2 36.9 63.1 37.9 62.1 38.2 61.8 37.9 62.1 県合計 30.9 69.1 30.3 69.7 31.0 69.0 31.5 68.5 31.4 68.6 31.8 68.2 32.9 67.1 資料 ) 福岡県 福岡県観光入込客推計調査 4

3) 市町村別の観光入込客数市町村別の観光入込客数をみると 福岡地方でみると 福岡市が約 1,780 万人で圧倒的に多い 次いで 太宰府市が約 750 万人 宗像市が約 640 万人 糸島市が約 530 万人となっている 福岡市のみ 県外比率が約 60% と過半数を超え 宿泊比率も 30% ほどである 筑後地方をみると 久留米市が約 510 万人で最も多く 次いで 朝倉市が約 300 万人 大牟田市が約 211 万人 八女市が約 210 万人となっている 大牟田市は 熊本県との県境にあるため 県外比率が約 70% と高くなっている 筑豊地方をみると 飯塚市が約 200 万人で最も多く 宿泊比率も約 18% であり 県内では宿泊比率が高い 次いで 大任町 嘉麻市 宮若市 直方市がそれぞれ約 100 万人となっている 嘉麻市は県外比率が約 70% と非常に高い 北九州地方をみると 北九州市が約 210 万人と圧倒的に多い 次いで 豊前市が約 180 万人 みやこ町と上毛町が約 100 万人となっている 北九州地方は県外比率が 30%~45% と県内では県外比率が高い 図表 3 市町村別の観光入込客数 (2013 年 ) 実数 ( 千人 ) 構成比 (%) 総数 日帰 宿泊 県外 県内 日帰 宿泊 県外 県内 福岡 福岡市 17,820 12,430 5,390 10,510 7,310 69.8 30.2 59.0 41.0 筑紫野市 1,881 1,814 67 267 1,614 96.4 3.6 14.2 85.8 春日市 421 414 7 0 421 98.3 1.7 0.0 100.0 宗像市 6,361 5,947 414 795 5,566 93.5 6.5 12.5 87.5 太宰府市 7,545 7,512 33 1,521 6,024 99.6 0.4 20.2 79.8 古賀市 627 624 3 5 622 99.5 0.5 0.8 99.2 福津市 4,929 4,909 20 1,136 3,793 99.6 0.4 23.0 77.0 糸島市 5,332 5,270 62 1,141 4,191 98.8 1.2 21.4 78.6 宇美町 899 896 3 81 818 99.7 0.3 9.0 91.0 篠栗町 1,732 1,654 78 897 835 95.5 4.5 51.8 48.2 筑後 大牟田市 2,118 1,938 180 1,574 544 91.5 8.5 74.3 25.7 久留米市 5,149 4,637 512 1,482 3,667 90.1 9.9 28.8 71.2 柳川市 1,245 1,203 42 560 685 96.6 3.4 45.0 55.0 朝倉市 2,999 2,724 275 897 2,102 90.8 9.2 29.9 70.1 八女市 2,089 1,994 95 337 1,752 95.5 4.5 16.1 83.9 筑後市 1,116 1,067 49 156 960 95.6 4.4 14.0 86.0 大川市 684 660 24 185 499 96.5 3.5 27.0 73.0 小郡市 520 520 0 104 416 100.0 0.0 20.0 80.0 うきは市 1,907 1,866 41 488 1,419 97.9 2.1 25.6 74.4 みやま市 533 532 1 119 414 99.8 0.2 22.3 77.7 筑前町 965 961 4 144 821 99.6 0.4 14.9 85.1 東峰村 730 718 12 228 502 98.4 1.6 31.2 68.8 大木町 412 412 0 62 350 100.0 0.0 15.0 85.0 筑豊 直方市 1,021 980 41 72 949 96.0 4.0 7.1 92.9 飯塚市 2,040 1,675 365 397 1,643 82.1 17.9 19.5 80.5 田川市 480 463 17 22 458 96.5 3.5 4.6 95.4 宮若市 1,067 976 91 158 909 91.5 8.5 14.8 85.2 嘉麻市 1,094 1,091 3 789 305 99.7 0.3 72.1 27.9 添田町 964 810 154 144 820 84.0 16.0 14.9 85.1 大任町 1,198 1,197 1 129 1,069 99.9 0.1 10.8 89.2 福智町 578 575 3 11 567 99.5 0.5 1.9 98.1 北九州北九州市 21,235 19,722 1,513 9,454 11,781 92.9 7.1 44.5 55.5 行橋市 464 435 29 63 401 93.8 6.3 13.6 86.4 豊前市 1,750 1,744 6 582 1,168 99.7 0.3 33.3 66.7 芦屋町 570 546 24 28 542 95.8 4.2 4.9 95.1 みやこ町 1,169 1,165 4 12 1,157 99.7 0.3 1.0 99.0 上毛町 1,098 1,095 3 329 769 99.7 0.3 30.0 70.0 築上町 956 951 5 102 854 99.5 0.5 10.7 89.3 注 ) 入込客総数が 50 万人以上の市町村のみ 資料 ) 福岡県 福岡県観光入込客推計調査 5

4) 福岡県の宿泊動向福岡県の宿泊者数の推移をみると 2009 年までは 80 万人ほどを推移していたが 2010 年に 120 万人ほどに増加し 直近の 2014 年では 150 万を超えるまでに増加している 2012 年の増加は 東日本大震災の影響による教育旅行の旅行先が東北地方から九州地方へと移行したこと等が考えられる また 外国人宿泊者数については 2010 年に増加傾向にあったが 2011 年に一時的な減少を見せたものの 2012 年以降は増加傾向に転じている 直近の 2014 年には 100 万人を超え 140 万人ほどの外国人が宿泊している 資料 4 福岡県の宿泊者数の推移 ( 万人 ) (2007 年 =100) 1,600 1,400 1,200 延べ宿泊者数延べ宿泊者数 うち外国人宿泊者数うち外国人宿泊者数 250 200 1,000 150 800 600 100 400 200 50 0 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 実数 ( 万人 ) 指数 (2007 年 =100) 延べ宿泊者数 うち外国人宿泊者数 延べ宿泊者数 うち外国人宿泊者数 2007 848 58 100 100 2008 853 53 101 91 2009 886 37 104 65 2010 1,173 62 138 106 2011 1,165 54 137 94 2012 1,367 76 161 131 2013 1,399 90 165 155 2014 1,523 136 180 234 注 ) 外国人延べ宿泊者数は従業員 10 人以上の施設 資料 ) 観光庁 宿泊旅行統計 0 資料 5 九州各県の宿泊者数 注 ) 従業員 10 人以上の施設対象 資料 ) 観光庁 宿泊旅行統計 6

5) 入国外国人数入国外国人総数は 2012 年以降 増加傾向にあり 2014 年には 100 万人を超えている 地域別にみると やはりアジア諸国 特に東アジアが多くなっている 地域別の内訳をみると 2014 年では 韓国が約 58 万人で最も多く 次いで 台湾が約 17 万人 中国が約 12 万人となっている 逆に 北アメリカやヨーロッパは 2 万人 ~3 万人ほどに留まっていいる 図表 6 入国外国人数の推移 1 実数の推移 2 国 地域別の動向 (2007 年 =100) ( 千人 ) 1,200 1,000 800 (2007 年 =100) 250.0 200.0 150.0 うち中国うち台湾うち韓国北アメリカヨーロッパオセアニア 600 400 100.0 200 50.0 0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 0.0 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 総数 アジア うち中国 うち台湾 うち韓国 北アメリカ ヨーロッパ オセアニア 実数 ( 千人 ) 2000 339 297 23 76 166 13 26 3 2001 343 304 25 66 179 12 23 4 2002 382 347 30 69 210 12 18 4 2003 372 345 30 51 229 11 11 4 2004 462 428 39 74 266 15 14 5 2005 498 466 43 78 298 14 13 5 2006 628 597 49 91 413 14 12 4 2007 727 694 50 81 509 15 12 4 2008 710 675 64 86 457 16 14 4 2009 476 445 63 57 273 14 12 4 2010 814 777 115 79 527 17 14 5 2011 604 572 81 70 366 15 12 4 2012 786 744 82 107 485 21 14 5 2013 919 869 68 139 558 25 19 5 2014 1,090 1,031 117 170 575 27 24 6 2007 年 =100 2000 46.7 42.8 46.8 93.4 32.6 83.5 207.2 74.5 2001 47.2 43.8 50.8 80.6 35.1 80.4 184.0 88.8 2002 52.6 50.0 60.1 84.4 41.2 81.5 145.3 96.5 2003 51.1 49.8 59.2 62.6 44.9 72.2 87.6 91.3 2004 63.6 61.7 78.2 91.4 52.2 96.1 109.3 113.8 2005 68.6 67.1 85.5 96.1 58.5 90.7 102.5 119.3 2006 86.5 86.0 97.6 112.3 81.1 89.3 98.1 105.0 2007 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 2008 97.7 97.2 128.3 105.0 89.7 103.8 114.0 107.5 2009 65.5 64.2 126.2 70.2 53.6 94.3 93.8 97.0 2010 112.0 112.0 230.5 96.9 103.4 108.9 111.5 116.6 2011 83.2 82.4 162.9 85.5 71.9 98.9 98.7 100.3 2012 108.1 107.3 163.4 131.3 95.3 136.5 115.1 128.9 2013 126.5 125.3 135.5 170.6 109.5 164.5 149.3 130.6 2014 150.0 148.6 233.7 208.5 112.9 179.5 191.7 157.1 構成比 2000 100.0 87.5 6.9 22.4 49.0 3.8 7.6 0.9 2007 100.0 95.5 6.9 11.2 70.1 2.1 1.7 0.6 2014 100.0 94.6 10.7 15.6 52.8 2.5 2.2 0.6 資料 ) 法務省 出入国管理統計年報 7

6) 地域別の入国外国人数日本全体では 2013 年に 1,000 万に超え 2014 年は約 1,400 万人の外国人が訪れている 2014 年で沖縄を含む九州 8 県では 220 万人を超える外国人が九州 沖縄地区を訪れており 近年は増加傾向にある 県別にみると 福岡県が約 110 万人で最も多く 次いで 沖縄県が 80 万人 長崎県が 24 万人となっている 九州を訪れる外国人のほとんどは福岡県又は沖縄県を選んでいる 資料 7 地域別の入国外国人数の推移 注 1) 港別を県で括って集計 注 2) 掲載していない項目があるため 総数およびアジアは内訳を一致しない 資料 ) 法務省 出入国管理統計年報 8

7) 福岡県の主要観光施設 ( 産業遺産 伝統工芸 産業系 ) 主要観光施設の来場者数をみると 福岡地方では 道の駅むなかた ( 宗像市 ) が約 170 万人で最も多く 次いで 九州国立博物館 ( 太宰府市 ) が約 96 万人となっている 筑後地方では 道の駅みやま ( みやま市 ) が約 60 万人で最も多く 次いで道の駅うきは ( うきは市 ) や道の駅たちばな ( 八女市 ) となっている 筑豊地方では 道の駅おおとう桜街道が 120 万人で最も多く 次いで 道の駅 うすい が続く 北九州地方では 八幡東田地区が約 220 万人で最も多く 次いで 門司港地区が約 210 万人となっている 図表 8 福岡県の主要観光施設 ( 産業遺産 伝統工芸 産業系 ) その 1 ( 単位 : 人 倍 ) 施設名 市町村名 2012 年 2013 年 2013/2012 福岡 博多町屋 ふるさと館 福岡市 はかた伝統工芸館 福岡市 ふるさと館ちくしの 筑紫野市 15,591 14,814 0.95 ウトグチ瓦窯展示館 春日市 985 1,316 1.34 海の道むなかた館 宗像市 76,798 107,335 1.40 道の駅むなかた 宗像市 1,603,701 1,710,222 1.07 九州国立博物館 太宰府市 898,556 957,773 1.07 大宰府展示館 太宰府市 11,311 9,614 0.85 津屋崎千軒民俗館藍の家 福津市 18,578 15,568 0.84 須恵町立久我記念館 須恵町 6,537 7,199 1.10 筑後 三池カルタ歴史資料館 大牟田市 10,647 12,194 1.15 石炭産業科学館 大牟田市 18,014 17,768 0.99 旧三井港倶楽部 大牟田市 三池炭鉱宮原坑 大牟田市 三池炭鉱専用鉄道敷跡 大牟田市 宮浦石炭記念公園 大牟田市 三池港 ( 閘門 ) 大牟田市 道の駅 おおむた 花ぷらす館 大牟田市 574,740 石橋美術館 久留米市 54,936 72,692 1.32 山辺道文化館 久留米市 12,013 11,470 0.95 地場産くるめ 久留米市 30,362 30,074 0.99 くるめ緑花センター 久留米市 336,000 305,900 0.91 紅乙女酒造 久留米市 43,353 48,226 1.11 巨峰ワイン 久留米市 95,700 93,700 0.98 川下り 柳川市 292,154 342,512 1.17 北原白秋生家 記念館 柳川市 56,857 53,634 0.94 御花 柳川市 133,429 149,043 1.12 旧戸島家住宅 柳川市 7,346 3,927 0.53 あまぎ水の文化村 朝倉市 46,105 51,361 1.11 共星の里 朝倉市 4,263 4,116 0.97 甘木歴史資料館 朝倉市 9,569 6,397 0.67 秋月武家屋敷 久野邸 朝倉市 2,170 2,661 1.23 八女伝統工芸館 八女市 60,661 56,755 0.94 堺屋 八女市 10,758 15,010 1.40 横町町家交流館 八女市 27,073 28,282 1.04 べんがら村 八女市 243,215 227,506 0.94 ほたると石橋の館 八女市 22,420 19,738 0.88 立花ワイン 八女市 15,950 20,500 1.29 立花バンブー 八女市 1,628 1,388 0.85 夢たちばなビレッジ 八女市 8,318 8,892 1.07 ワインセラー 八女市 12,476 10,930 0.88 道の駅たちばな 八女市 406,214 379,400 0.93 窯元 八女市 9,300 10,800 1.16 星野民芸 八女市 7,700 10,300 1.34 古陶星野焼展示館 八女市 2,497 1,971 0.79 茶の文化館 八女市 21,705 26,144 1.20 星の文化館 八女市 12,349 16,621 1.35 古賀政男記念館 大川市 12,658 12,518 0.99 筑後川昇開橋遊歩道 大川市 22,091 31,787 1.44 旧吉原家住宅資料館 大川市 8,029 6,779 0.84 九州歴史資料館 小郡市 22,427 24,850 1.11 鏡田屋敷 うきは市 7,471 12,164 1.63 居蔵の館 うきは市 13,909 19,261 1.38 注 ) 主に産業遺産 伝統工芸 産業系の施設を抽出 資料 ) 福岡県 福岡県観光入込客推計調査 パンフレット等 9

図表 9 福岡県の主要観光施設 ( 産業遺産 伝統工芸 産業系 ) その 2 ( 単位 : 人 倍 ) 施設名 市町村名 2012 年 2013 年 2013/2012 筑後 白壁土蔵の街並 うきは市 34,400 36,659 1.07 金子文夫資料館 うきは市 3,677 9,568 2.60 道の駅うきは うきは市 479,134 532,567 1.11 大石堰 うきは市 6,110 5,791 0.95 一の瀬焼 うきは市 14,084 13,820 0.98 道の駅みやま みやま市 593,497 201,600 0.34 大刀洗平和記念館 筑前町 94,347 114,387 1.21 ファーマーズマーケットみなみの里 筑前町 338,143 357,206 1.06 小石原焼伝統産業会館 東峰村 14,085 13,224 0.94 道の駅 小石原 東峰村 133,763 132,364 0.99 棚田親水公園 東峰村 6,695 17,285 2.58 ほうしゅ学舎 東峰村 3,249 3,621 1.11 山村文化交流の郷いぶき館 東峰村 2,467 2,335 0.95 広川町産業展示会館 広川町 24,253 34,371 1.42 筑豊 石炭記念館 直方市 6,666 7,158 1.07 旧堀三太郎邸 ( 直方歳時館 ) 直方市 旧十七銀行直方支店 ( アートスペース谷尾 ) 直方市 旧奥野医院 ( 直方谷尾美術館 ) 直方市 嘉穂劇場 飯塚市 42,451 37,506 0.88 農楽園八木山 飯塚市 98,038 95,715 0.98 旧伊藤伝右衛門邸 飯塚市 70,835 55,470 0.78 飯塚市歴史資料館 飯塚市 三菱鉱業飯塚炭礦石炭巻上機台座 飯塚市 住友石炭鉱業忠隈炭鉱のボタ山 飯塚市 田川市石炭 歴史博物館 田川市 108,186 59,353 0.55 旧三井田川鉱業所伊田竪坑櫓 / 第一第二煙突 田川市 ドリームホープ若宮 宮若市 235,441 243,431 1.03 カッホー馬古屏 嘉麻市 234,852 229,272 0.98 道の駅 うすい 嘉麻市 406,953 421,410 1.04 活性化センター手づくりふるさと村 嘉麻市 14,942 13,720 0.92 織田廣喜美術館 嘉麻市 16,561 10,877 0.66 伊藤常足翁旧宅 鞍手町 209 180 0.86 道の駅香春 香春町 224,807 232,786 1.04 道の駅いとだ 糸田町 205,744 205,187 1.00 農産物直売所 De 愛 川崎町 117,101 104,859 0.90 道の駅おおとう桜街道 大任町 1,192,144 1,135,217 0.95 赤村特産物センター 赤村 153,179 145,718 0.95 北九州 皿倉山周辺地区 北九州市 377,000 386,000 1.02 若松北海岸地区 北九州市 856,000 838,000 0.98 八幡東田地区 北九州市 2,167,000 2,364,000 1.09 門司港地区 北九州市 2,097,000 2,208,000 1.05 官営八幡製鉄所旧本事務所 北九州市 官営八幡製鉄所修繕工場 旧鍛冶工場 北九州市 東田高炉記念広場 北九州市 高炉台公園 北九州市 北九州イノベーションギャラリー 北九州市 官営八幡製鉄所遠賀川水源地ポンプ場 中間市 道の駅 豊前おこしかけ 豊前市 950,975 948,677 1.00 中間市歴史民俗資料館 中間市 6,549 6,270 0.96 道の駅しんよしとみ 上毛町 521,780 519,473 1.00 アグリパーク 上毛町 32,314 23,270 0.72 旧藏内邸 上毛町 26,035 注 ) 主に産業遺産 伝統工芸 産業系の施設を抽出 資料 ) 福岡県 福岡県観光入込客推計調査 パンフレット等 10

8) 主要観光施設 テーマパーク 集客施設九州内の主要観光施設等の利用者数をみると 阿蘇ファームランド ( 熊本県南阿蘇村 ) が最も多く 2013 年度で約 430 万人となっている 次いで ヤフオクドーム ( 福岡市 ) が約 310 万人 国営沖縄記念公園 ( 沖縄美ら海水族館等 )( 沖縄県本部町 ) が約 300 万人 ハウステンボス ( 佐世保市 ) が約 250 万人 国営沖縄記念公園 ( 首里城公園 )( 那覇市 ) が約 240 万人 国営海の中道海浜公園 ( 福岡市 ) が約 210 万人となっている 上位にある施設は 子どもから高齢者まで幅広い世代が楽しめる施設が多くなっている 図表 9 主要観光施設 テーマパーク 集客施設の利用者数 ( 単位 : 千人 ) 注 )2013 年度で年間 20 万人以上の利用 入場があるもの 資料 ) 総合ユニコム ( 株 ) レジャーランド & レクパーク総覧 2015 環境省及び 各施設ウェブサイト ヒアリング 11

9) 主要観光地の入込客数 2013 年をみると 福岡市が最も多く 約 1,780 万人となっている 次いで 阿蘇地域が約 1,760 万人で 両地域が九州内では圧倒的な入込客数を誇っている その他にも 別府市が約 820 万 太宰府市が約 750 万人 唐津市が 740 万人 佐世保市が 710 万人 玉名 荒尾地域と下関市が約 680 万人 鹿児島 桜島地区が約 650 万人 沖縄県と宗像市が約 640 万人 長崎市が約 610 万人となっている 図表 10 主要観光地の入込客数の推移 ( 単位 : 千人 ) 12

注 1)* 印は年度注 2) 市町村によって調査方法が異なるため 地域間の比較は適当ではない 注 3) 合併した市町村は 旧市町村の単純集計値であるため 二重カウントの可能性がある ( 各県 市 町観光課等調べ ) 注 4) 久留米市の 1980 年は旧田主丸町の数値除く注 5) 佐賀市 長崎市は 2005 年に算定方法変更のためそれ以前のデータと接続しない注 6) 佐賀県の市町は調査方法変更のため 2010 年と 2011 年のデータが接続しない注 7) 熊本市の 1995 年までの数値は菊陽町 益城町を含む注 8) 熊本県の地域は 1998 年と 2007 年に調査区分変更のため 1995 年以前と 2005 年以前と 2010 年以降のデータが接続しない注 9) 別府市は算定方法変更のため 2005 年と 2010 年のデータが接続しない注 10) 宇佐市は調査対象施設変更のため 2005 年と 2010 年のデータが接続しない注 11) 宮崎市の 1980 1985 年は合併前の旧市の数値注 12) 鹿児島県の地憂くは 1995 年までは宿泊観光客のみ また 2011 年より集計方法 地区が異なるため以前のデータと接続しない注 13) 岩国市 山口市 萩市の 1980 1985 年 1990 年は合併前の旧市の数値資料 ) 九経調 図説九州経済 2016 13

2. 県内の産業遺産観光関連施設について 1) 産業遺産観光関連施設一覧明治近代化産業遺産に関連度が高い施設は やはり炭鉱があった筑豊及び筑後地域に多く分布している 逆に 福岡地区にはほとんど関連した施設がない 各施設をみると 博物館や資料館として整備されているものについては 一般に開放し 有償もしくは無償のガイドの案内を受けながら 展示物を観覧することができる ただし ほとんどの施設が観光客向けに整備されている訳ではなく 施設と簡単な案内板を設置している施設がほとんどであり ガイドから具体的な話を聞いたり 歴史を紹介するパネルを掲示したり より訪問者が深い理解を得られるような工夫も求められる 施設の中には 西日本工業倶楽部や旧三井港倶楽部のようにレストランやウェディング施設として 広く利用できるようになっており その他の施設についても 観光客だけでなく 近隣の方々が気軽に通える活用方法等も検討する必要がある 図表 11 産業遺産関連施設一覧 番号 エリア 所在地 施設名 販売 ガイド / 見学 ガイド / 見学の料金 予約 1 北九州北九州市 北九州イノベーションギャラリー ガイドor 見学 有料 要 2 北九州北九州市 わかちく史料館 見学のみ 3 北九州北九州市 石炭会館 ( 旧若松石炭商同業組合事務所 ) 見学のみ 不要 4 北九州北九州市 西日本工業倶楽部 ( 旧松本家住宅 ) その他イベント 不要 5 筑豊 田川市 田川市石炭 歴史博物館 ガイドor 見学 無料 要 6 筑豊 田川市 旧三井田川鉱業所六坑ボタ山 見学のみ 7 筑豊 田川市 石炭記念公園 見学のみ 8 筑豊 田川市 田川後藤寺線跨線橋古レール 見学のみ 9 筑豊 直方市 直方歳時館 ガイドor 見学 有料 不要 10 筑豊 直方市 直方市石炭記念館 ガイドor 見学 有料 要 11 筑豊 宮若市 宮若市石炭記念館 見学のみ 12 筑豊 直方市 貝島邸跡 見学のみ 不要 13 筑豊 飯塚市 三菱飯塚炭礦巻上機台座 見学のみ 不要 14 筑豊 飯塚市 住友忠隈炭砿ボタ山 見学のみ 不要 25 筑豊 飯塚市 嘉穂劇場 見学のみ 要 15 筑後 大牟田市 大牟田市石炭産業科学館 ガイドor 見学 無料 要 16 筑後 築上町 旧藏内邸 見学のみ 要 17 筑後 大川市 佐賀市 筑後川昇開橋 見学のみ 18 筑後 大牟田市 宮浦坑跡 ( 宮浦石炭記念公園 ) 見学のみ 19 筑後 大牟田市 旧三川電鉄変電所 ( 現サンデン本社屋 ) 見学のみ 20 筑後 大牟田市 旧三井港倶楽部 その他イベント 不要 21 筑後 大牟田市 旧三池集治監外塀 ( 現県立三池工業高校 ) 見学のみ 22 筑後 大牟田市 三池炭鉱三川坑跡 見学のみ 不要 23 筑後 大牟田市 旧長崎税関三池税関支署 見学のみ 不要 24 筑後 大牟田市 クレーン船 大金剛丸 見学のみ 不要 25 筑後 大牟田市 三池炭山創業碑 見学のみ 不要 26 筑後 大牟田市 大牟田市役所本庁舎旧館 見学のみ 不要 27 筑後 大牟田市 勝立坑跡 見学のみ 不要 注 1) 明治近代化産業遺産に関連度の高い施設を抜粋 注 2) ガイド / 見学の料金は ガイド付き案内を行う際の料金を示し 別途入館料等が必要な施設もある 出典 )( 公社 ) 福岡県観光連盟福岡県観光情報クロスロードふくおかウェブサイト 近代化特急 福岡県 BLACK EXPRESS ウェブサイト 大牟田の近代化産業遺産公式ウェブサイト 各施設公式ウェブサイトより九経調 作成 14

2) 主要な産業遺産関連施設の概況 1 嘉穂劇場嘉穂劇場は 前身にあたる 株式会社中座 の台風による倒壊を経て 1930( 昭和 5) 年に株式会社中座で支配人であった伊藤隆により 飯塚市に再建された全国で唯一現存する民間経営の劇場である 現在も 現役の劇場として 公演やコンサートの他にも 講演会 学会 発表会 展示会 同窓会など多岐にわたって利用されている 嘉穂劇場の魅力は 昭和 5 年の設立から続く歴史と情緒溢れる佇まいにある また 各芸能界からの人気も高く 公演等が無い日は 一般公開もされており 普段見られない舞台裏を見学できることも魅力の一つである 劇場見学は ガイドの説明付きの案内も可能であり 人気のコンテンツとなっている 一方で 2003 年に発生した九州北部豪雨による水害によって 一時休業を余儀なくされたが 当劇場を支援する芸能人や地元の人々の努力によって 寄付を集め 復旧工事がなされた このように 地元の人々だけでなく 嘉穂劇場に関わる人にも愛される場所であることも魅力であり その価値を次世代に残していくために 一般見学者が 寄付だけでなく 劇場保存に関わることができるような仕組み作りも必要である 資料 ) 嘉穂劇場公式ウェブサイト クロスロードふくおかホームページ 15

2 大牟田市石炭産業科学館石炭を中心としたエネルギー資源に関する科学館であり 常設展示は有料 屋外展示場及びその他の施設は無料となっている 開館時間は火曜日から日曜日の 9:00~17:00 で 周辺にイオンモール大牟田もあることから 家族連れの集客が見込まれる 実際に 当館とイオンモール大牟田が連携し 家族連れの割引キャンペーン ( 石炭館ファミリーデー ) を開催したり モール内でのブース出展をしたりしている 周辺施設との関係も踏まえて ターゲットを絞った体験やイベントの開催などが必要である 当館では 三井三池炭坑についての歴史を伝える当時の写真や資料だけでなく 炭鉱夫の道具や作業服なども展示する さらに 館内では実際に炭鉱で働いていた人から説明を受けることもできる 近代化遺産である宮原坑や万田坑を訪れる前に来館すれば 炭鉱の歴史について より深く理解することができる また 施設内の見どころとして 炭鉱を再現したダイナミックトンネルがある 実際の採炭作業現場を再現し 石炭を運搬する電気機関車や石炭を掘り出す採炭用カッターも展示されており 機械好きな人々にとっては魅力的な施設となっている 資料 ) 大牟田市石炭産業科学館公式ウェブサイト 福岡県公式ホームページ Tripadviser 16

3 飯塚市歴史資料館 ( 三菱飯塚炭鉱巻上機台座 ) 飯塚の郷土の歴史 文化財の理解を深めるための施設であり 館内展示物は有料で見られる 主な展示物は 弥生時代の遺跡からの出土品から近代の生活用途品まで揃えられている また 筑豊の炭鉱経営者の一人である伊藤伝右衛門と その妻柳原白蓮の展示コーナーを設けている 飯塚地区の深い歴史を学べることから 歴史好きな人向け あるいは 期間限定で展示する戦艦金剛の海軍旗を目当てとする艦コレマニアのようなニッチな嗜好を持つ人々にとっても非常に魅力的な施設である こうした母数は少ないかもしれないが 好きな分野へのアンテナを張っている人に向けた PR とイベント開催も考えられる また 三菱飯塚炭鉱巻上機台座は 当時 石炭を坑内から引き上げるための施設であり 当時の様子を伝える重要な施設となっている 目を引く大きさであり かつ 保存状態も良好であるが 一般の住宅地沿いにあるため 適切な標示や説明付きガイドの案内など より理解を深める工夫が求められる 資料 ) 飯塚市公式ホームページ 福岡よかとこ.COM 17

3. 県内の伝統工芸関連施設について 1) 伝統工芸関連施設一覧県内の伝統工芸関連施設を地区毎にみると 福岡地区と筑後地区に集積していることがわかる 福岡地区では 国指定の博多織や博多人形 県指定の博多曲物や博多張子などを中心に資料館が整備されているとともに 個人の工房も多い 筑後地区では 国指定の八久留米絣 女福島仏壇や八女提灯 県指定の八女石灯ろうや八女竹細工など八女市を中心に集積している 特に 久留米絣は若者向けにも人気を上げており 現代風のもんぺも製造されている また 博物館や資料館のような大規模な施設から小さな規模の個人工房のほとんどが販売も行っており 合わせて 各工芸品の製作体験や製作工程の見学等の受入を行っている 体験や見学を行う際には 個人工房も多いこともあり 事前の予約や問い合わせが必要になっている施設がほとんどである 体験メニューも多岐に渡っており 博多織や久留米絣の織物体験 小石原焼や上野焼の絵付け体験 八女手漉き和紙体験や大川組子の製作体験など様々なメニューが用意されている 現状では 福岡県内には多くの伝統工芸に関連した施設が存在し 各施設毎に多様な体験ができるようになっている しかし こうした体験情報を 観光客が一括して把握できる情報媒体は ガイドマップなどの紙媒体に限られており リアルタイムでどんな体験ができるかを知ることはなかなか困難な状況である 一方で 伝統工芸関連施設側も 個人で工房を開いている所も多く ウェブサイト自体が無かったり ウェブサイトの情報が更新されていなかったり なかなか情報発信がなされていない施設も多い 具体的にどんな体験ができて 何名ほど受け入れることができるのかなどの情報を見つけることが一つの障害になっている 受入についても 電話での対応になっているため 施設側に負担が大きい仕組みとなっている 18

図表 12 伝統工芸関連施設一覧 番号 エリア 住所 施設名 販売 体験 / 見学 体験の種類 1 福岡 福岡市 匠ギャラリー 見学のみ 県内伝統工芸全般 2 福岡 福岡市 はかた伝統工芸館 その他イベント 博多織 博多人形 博多曲物等 3 福岡 福岡市 博多町家ふるさと館 体験 or 見学 博多織 博多人形 博多曲物等 4 福岡 東峰村 小石原焼伝統産業会館 体験 or 見学 小石原焼 5 福岡 東峰村 小石原陶の里館 無 小石原焼 6 福岡 福岡市 福岡よかろうもんひろば その他イベント 県内伝統工芸全般 7 福岡 太宰府 太宰府館 〇 体験 or 見学 木うそ 8 福岡 宗像市 博多織工房白南風 見学のみ 博多織 9 福岡 福津市 ( 有 ) マルティグラス 体験 or 見学 マルティグラス 10 福岡 福津市 筑前津屋崎人形巧房 体験 or 見学 津屋崎人形 11 福岡 宇美町 森博多織 体験 or 見学 博多織 12 福岡 糸島市 天平工房 見学のみ 博多人形 13 福岡 福岡市 博多人形会館松月堂 体験 or 見学 博多人形 14 福岡 太宰府市 花水木 体験 or 見学 和服 15 福岡 福岡市 博多織工芸館 〇 見学のみ 博多織 16 福岡 朝倉市 ( 株 ) 小森草木染工房 見学のみ 草木染 17 福岡 朝倉市 ( 株 ) 工房夢細工秋月工房 体験 or 見学 草木染 18 福岡 福岡市 筑前つげ細工匠工芸 見学のみ 筑前つげ細工 19 福岡 筑紫野市 博多織献上館にしむら 見学のみ 博多織 20 福岡 福岡市 博多人形美研工芸社 見学のみ 博多人形 21 北九州 北九州市 KITE HOUSE まごじ 体験 or 見学 孫次凧 22 北九州 芦屋町 井上工房 体験 or 見学 八朔の馬 23 筑豊 福智町 上野焼陶芸館 体験 or 見学 上野焼 24 筑豊 添田町 英彦山がらがら鈴類窯元 体験 or 見学 英彦山がらがら 25 筑豊 宮若市 追い出し猫本舗 体験 or 見学 追い出し猫 26 筑後 久留米市 ( 公財 ) 久留米地域地場産業振興センター ( 地場産くるめ ) 体験 or 見学 久留米絣 久留米竹細工等 27 筑後 八女市 八女伝統工芸館 〇 体験 or 見学 八女福島仏壇 八女提灯 久留米絣等 28 筑後 八女市 八女手すき和紙資料館 〇 体験 or 見学 八女手漉和紙 29 筑後 筑後市 筑後市郷土資料館 無 久留米絣 八女手漉和紙 筑後和傘等 30 筑後 広川町 広川町産業展示会館 体験 or 見学 久留米絣 31 筑後 うきは市 まごころ工房棕櫚の郷 見学のみ 棕櫚箒 32 筑後 うきは市 うきは市観光協会 体験 or 見学 一の瀬焼 33 筑後 みやま市 きじ車宮本 体験 or 見学 きじ車 34 筑後 大川市 大川一刀彫館 見学のみ 大川彫刻 35 筑後 大川市 木下木芸 体験 or 見学 大川組子 36 筑後 柳川市 古賀神棚店 体験 or 見学 柳川神棚 37 筑後 柳川市 ハラダ手芸店 体験 or 見学 柳川まり 38 筑後 広川町 ( 有 ) 久留米絣山藍 体験 or 見学 久留米絣 39 筑後 広川町 森山絣工房 〇 見学のみ 久留米絣 40 筑後 広川町 ( 有 ) 坂田織物 体験 or 見学 久留米絣 41 筑後 久留米市 井上籃胎漆器 ( 株 ) 見学のみ 籃胎漆器 42 筑後 大川市 桐里工房桐蔵 見学のみ 大川総桐箪笥 43 筑後 筑後市 藍華田中絣工房 体験 or 見学 久留米絣 44 筑後 みやま市 荒木製蝋合資会社 体験 or 見学 和蝋燭 45 筑後 筑後市 池田絣工房 体験 or 見学 久留米絣 46 筑後 筑後市 緒方日出夫絣工房 体験 or 見学 久留米絣 47 筑後 八女市 下川織物 見学のみ 久留米絣 48 筑後 大川市 ( 株 ) 添島勲商店 見学のみ 掛川 49 筑後 八女市 近松辰雄商店 見学のみ 八女福島仏壇 50 筑後 朝倉市 筑前秋月和紙処 体験 or 見学 筑前秋月和紙 51 筑後 八女市 松尾和紙工房 見学のみ 八女手漉き和紙 52 筑後 八女市 松延工芸 見学のみ 桶等の木製品 53 筑後 八女市 溝田仏具店 体験 or 見学 八女福島仏壇 注 ) 図表中の料金は 体験に係る料金を示し 別途入館料等が必要な施設もある 資料 ) アクロス福岡 HP アクロス福岡 福岡県伝統工芸品マップ ( 公財 ) 福岡県物産振興会 HP ( 公社 ) 福 岡県観光連盟福岡県観光情報クロスロードふくおか 各観光施設 HP 19

2) 主要な伝統工芸関連施設の概況 1はかた伝統工芸館福岡の伝統工芸品である 博多織 博多人形 を中心に展示する施設である 入館は無料であり 喫茶スペースもあり 観光中の休憩所としても活用できる 当施設は それほど大きくない博物館であるが 博多曲物 ( まげもの ) 博多独楽( こま ) 博多張子 ( はりこ ) 博多鋏( ばさみ ) 筑前博多矢 マルティグラスなど福岡 博多に縁の伝統工芸品を見られるコンパクトな施設である 周辺には 主要観光スポットである櫛田神社の他に キャナルシティ 中洲商店街や町屋ふるさと館など回遊できる施設も多く 空いた時間に訪れる人も多いことから 当施設が主目的とはいかないまでも 福岡地区 あるいは 県内各地への誘導スポットとして 情報発信拠点となり得る 具体的には 本施設の情報端末から県内各地の伝統工芸体験施設の実施状況の情報が一括検索でき 問い合わせまで可能にするような形も考えられる 資料 ) はかた伝統工芸館公式ウェブサイト 福岡 博多観光案内サイトよかなび Web 20

2 八女伝統工芸館八女地方の伝統工芸品を一堂に集め 伝統技術の伝承と地場産業の発展を目的とした施設である 国指定伝統的工芸品の仏壇 提灯 久留米絣や県指定特産民工芸品の石灯ろう 手すき和紙 矢 竹細工 和こま その他焼き物 木工品など八女地域を代表する工芸品を中心に展示し 販売コーナーもある 当施設には 高さ 10.5m の巨大な石灯ろうや高さ 6.5m の大型金仏壇 高さ 3m のジャンボ灯ろうなどがあり 圧倒的なスケールに来館者を驚かせている また 当施設は元々国鉄矢部線の福島駅だった場所でもあり 当時の名残を残し 施設内にレールを残している さらに 入口付近の藤のトンネルも風情を感じさせる施設である 八女地区の伝統工芸を知らせるだけでなく 鉄道好きの人などテーマに合わせた観光客向けのコンテンツ作りも考えられる また 同施設内では八女の伝統工芸である手漉き和紙を体験でき 名刺 はがき しおり うちわをお土産として持ち帰れるようになっている このような自分で手作りしたお土産も重要になるが 石灯ろうや仏壇など一般的にはお土産になりづらい工芸品についても いかに手に取りやすく かつ 変わったお土産として発信したくなるような商品作りも必要になる 資料 ) 八女伝統工芸館公式ウェブサイト 福岡 博多観光案内サイトよかなび Web 21

3 小石原焼伝統産業会館当施設は 小石原焼の秘密がわかり 実際に体験ができる施設である 有料の展示棟では小石原焼の古窯や先人たちの遺作などを紹介している また 現在 市内に約 50 軒ある各窯元の新作も見ることができ 体験棟では一度に 80 人が体験できる 焼物好きな人にとってはもちろんのこと 幅広いターゲット層に対しても 小石原焼の歴史を感じさせる施設となっている 小石原焼の全ての窯元の代表作を展示しているため 自分好みの作品を探すこともできる 当施設では販売は行っていないが 周辺に各窯元や道の駅小石原もあることから 気に入った焼物があれば 購入できる さらに 同施設では 有料の陶芸体験や絵付け体験等もできるので 実際に焼物作りを味わうことができる 茶室も併設していることから 焼物を作るだけでなく 手作りした湯呑でお茶を味わうなどの体験も考えられる インバウンド向けにこうした日本文化を感じさせる体験メニューを充実させることも必要である 資料 ) 東峰村ホームページ 小石原焼伝統産業会館公式ウェブサイト 22

第 2 章産業遺産 伝統産業の観光実態 1. アンケートの目的 福岡県内の主要産業観光 伝統産業観光地の訪問実態とニーズの整理 分析を目的としている アンケートの実施概要は 2015 年 12 月 13 日から 12 月 22 日の中で 4 日間 現地での調査員による聞き取り調査を行った 主要観光地は 官営八幡製鉄所 ( 北九州市 ) 旧伊藤伝右衛門邸 八女伝統工芸館 三池炭坑宮原坑の4つを抽出した サンプル数は 全体で 512 となった 2. 主要アンケート項目 アンケート項目は 来訪目的と来訪地の選定理由 旅程と周遊エリア 来訪の満足度と再訪意向 産業遺産と伝統産業に対する評価 良かった点 悪かった点等である 3. アンケート実施状況 各施設の回収状況は 下図表の通りである やはり 平日より休日の方が来訪者も多い状況となっている 年齢構成をみると 60 歳以上が 40.8% で最も高く 次いで 50~59 歳が 26.2% 40~ 49 歳が 13.3% 30~39 歳が 10.7% となっている ほぼ半数を 60 歳以上が占めており 全体的にも年齢層が高い人々が訪れている 現状は 産業遺産や伝統産業は 高い年齢層に訴求している観光地となっている 来訪者の居住地をみると 県内 ( 福岡市外 ) が 49.4% で最も高く 次いで 県外が 43.8% となっている 県内も割合が高いが 県外からの来訪者も多い状況である 一方 国外は 0.2% ほどしかなく インバウンドの影響はまだ及んでいない 県別では 福岡県が 56.1% で最も高く 次いで 山口県が 11.7% 佐賀県 4.7% 熊本県が 4.1% となっている 同行者の属性をみると 家族が 46.5% で最も高く 次いで 友人が 23.6% 団体旅行が 15.2% 一人旅が 13.1% となっている 同行者の人数別でみると 2 人が 41.0% で最も高く 次いで 1 人が 14.8% 10 人以上が 11.3% 3 人が 11.1% となっている 団体旅行がそれほど多くなかったことから 10 以上の割合も 10% ほどとなっている 家族や友人で訪れている人の割合が高かったため 人数も1~3 人の割合が高くなっている 23

1 アンケート調査票の回収状況 地点 北九州 ( 官営八幡製鉄所 ) 飯塚 ( 旧伊藤伝右衛門邸 ) 八女 ( 八女伝統工芸館 ) 大牟田 ( 三池炭鉱宮原抗 ) 12 月 13 日 ( 日 ) 12 月 16 日 ( 水 ) 12 月 20 日 ( 日 ) 12 月 22 日 ( 火 ) 合計 63 15 40 118 71 32 35 138 63 34 40 137 72 47 119 合計 269 96 112 35 512 12 月 13 日 ( 日 ) は八女物産館 八女伝統工芸館でトラック市が実施されていた 2 アンケート実施日時 3 アンケート実施場所 12 月 22 日 ( 火 ) 6.8% (N=512) (N=512) 12 月 20 日 ( 日 ) 21.9% 12 月 13 日 ( 日 ) 52.5% 三池炭坑宮原抗 23.2% 官営八幡製鉄所眺望スペース 23.0% 12 月 16 日 ( 水 ) 18.8% 八女伝統工芸館 26.8% 旧伊藤伝右衛門邸 27.0% 4 性別 5 年齢構成 (N=512) 19 歳以下 0.4% 20 歳 ~ 29 歳 8.6% (N=512) 女性 55.9% 男性 44.1% 60 歳以上 40.8% 30 歳 ~39 歳 10.7% 40 歳 ~49 歳 13.3% 50 歳 ~59 歳 26.2% 24

6 居住地 7 居住地 ( 県別 ) 県外 43.8% 国外 0.2% 福岡市内 6.6% 県内 ( 福岡市以外 ) 49.4% (N=512) 東京都 2.3% 鹿児島県 2.7% 長崎県 3.3% 熊本県 4.1% 佐賀県 4.7% 広島県 2.1% 千葉県 2.1% 山口県 11.7% その他 10.7% 福岡県 56.1% 8 同行者の属性 9 同行者の人数 その他 1.6% 一人旅 13.1% (N=512) (%) 45.0 40.0 35.0 30.0 41.0 (N=512) 25.0 団体旅行 15.2% 家族 46.5% 20.0 15.0 10.0 5.0 14.8 11.1 10.9 11.3 5.1 3.5 0.4 1.6 0.2 友人 23.6% 0.0 1 人 2 人 3 人 4 人 5 人 6 人 7 人 8 人 9 人 1 0 人以上 4. 来訪目的と来訪地の選定理由 1) 来訪目的来訪目的として 観光施設をみる が 35.4% で最も多いが これに 産業遺産にふれる が 33.4% で続いている 産業遺産にふれる とする比率が3 分の1に達し 産業遺産 の存在は十分な来訪動機となること示されている 施設別にみると 産業遺産にふれる とする比率は 官営八幡製鉄所展望スペース で 75.4% 三池炭坑宮原坑 で 57.1% とさらに高い水準となる 一方 八女伝統工芸館 の来訪目的では 工芸品の現場を見る が 32.1% 芸術にふれる が 16.8% の順で高く 伝統工芸にふれることを目的に訪れている 旧伊藤伝右衛門邸 は 観光施設を見る (73.9%) や 歴史への造形を深める(15.9%) で高くなっている 25

26 図表 1 当地への来訪目的 ( 全体 ) 8.4 12.1 2.0 14.1 9.8 35.4 3.5 2.0 8.6 5.5 0.2 1.2 2.3 6.1 6.6 33.4 12.9 家族団らん思い出作り帰省団体旅行歴史への造形を深める観光施設を見る勉強趣味を楽しむ工芸品の現場を見る芸術にふれる自分探し自然にふれる祭やイベントに参加するのんびりする同行者と時間を過ごす産業遺産にふれるその他 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 (%) (N=512) 出典 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 2 当地への来訪目的 ( 施設別 ) 7.6 14.4 1.7 31.4 8.5 43.2 4.2 1.7 0.0 1.7 0.0 0.8 1.7 6.8 5.9 75.4 5.1 8.0 10.9 3.6 5.8 15.9 73.9 2.2 2.2 0.0 2.2 0.7 1.4 0.0 6.5 5.8 10.1 5.8 7.3 8.0 0.7 3.6 2.2 8.0 0.0 2.9 32.1 16.8 0.0 2.2 7.3 8.0 8.8 0.0 29.9 10.9 16.0 1.7 18.5 12.6 14.3 8.4 0.8 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 2.5 5.9 57.1 9.2 家族団らん思い出作り帰省団体旅行歴史への造形を深める観光施設を見る勉強趣味を楽しむ工芸品の現場を見る芸術にふれる自分探し自然にふれる祭やイベントに参加するのんびりする同行者と時間を過ごす産業遺産にふれるその他 0 20 40 60 80 (%) 官営八幡製鉄所眺望スペース旧伊藤伝右衛門邸八女伝統工芸館三池炭坑宮原抗 複数回答出典 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査

2) 来訪地の選定理由と楽しみ (1) 選定理由来訪地の選定理由としても 産業遺産 がトップとなり 3 分の1 強 (36.3%) で選択されている ただし 旅行商品のルートが 20.7% や話題性が 16.8% なども多く 世界遺産登録による一過性の効果が大きい可能性も考えられる 来訪地の選定理由を施設別にみると 官営八幡製鉄所眺望スペース と 三池炭坑宮原坑 は 世界遺産がある が6 割超で やはり最大の選定理由となっている ただし 官営八幡製鉄所眺望スペース については 旅行商品のルート とする比率が 44.9% と高く ルートに入っているために来訪している比率が高い状況にある これは 旅行商品としての価値が高いことを示しているが その一方で個人旅行ではあまり選定されていないことも同時に示している また 旧伊藤伝右衛門邸 は 話題性 が 39.9% と高く NHK 連続テレビ小説 花子とアン (2014 年度上半期 : ヒロイン村岡花子の親友葉山蓮子 ( 柳原白蓮 ) ゆかりの地 ) と あさが来た (2015 年度下半期 : ヒロイン広岡朝子ゆかりの地であり 加野炭坑 ( 炭鉱 ) は飯塚市潤野の潤野炭坑 ( 炭鉱 ) がモデル ) の好影響が継続していることを示している 選定にあたって 当地を知ったきっかけを尋ねたところ テレビ が 34.0% と最も高く これに 口コミ 紹介 が 25.2% 旅行商品 が 18.9% パンフレット が 12.3% で続いている やはり テレビの効果の大きさが改めて示されたが 同時に 口コミ 紹介 や パンフレット などの効果の高さも再認識された なお アンケート回答者の年齢層が高いこともあって 今回は ウェブサイト や SNS を挙げる人は少なかった しかし ウェブサイト に関しては 年齢層が低いほど知り得るきっかけのひとつになっていることもわかった (30 歳未満 :17.4% 30~39 歳 :14.5% 40~49 歳 :10.3% 50 ~59 歳 :4.5% 60 歳以上 :10%) ICT の利用が進むなかで 今後はこれらのツールを活用できる年齢層が上昇してくるとみられるため 今後の方策として ICT の有効な活用方法を検討することが求められる なお 施設別の知ったきっかけをみると 旧伊藤伝右衛門邸 はテレビが 54.3% と最も高くなっており 八女伝統工芸館 は 口コミ 紹介 が 43.8% と最も高い 官営八幡製鉄所眺望スペース は テレビ 旅行商品 新聞 の3 媒体がそれぞれ3 割程度で位置しており 三池炭坑宮原坑 は テレビ と 旅行商品 が多くなっている 27

図表 3 当地を来訪地として選んだ理由 ( 全体 ) (%) (N=512) 40.0 36.3 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 13.7 16.8 20.7 12.7 10.0 7.6 9.0 6.1 5.9 5.0 0.0 行きたい観光施設がある 1.4 イメージが良い 行きたいイベントがある 話題性 アクセスが良い 1.0 行きたい体験メニューがある 産業遺産がある 旅行商品のルート 伝統工芸品の産地 一度来て 良かった 2.3 景観がいい その他 出典 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 4 当地を来訪地として選んだ理由 ( 施設別 ) 0 20 40 60 80 (%) 5.9 行きたい観光施設がある 13.1 27.5 5.9 0.8 イメージが良い 1.4 2.9 0.0 1.7 行きたいイベントがある 2.2 24.8 0.0 12.7 話題性 4.4 39.9 8.4 4.2 アクセスが良い 2.9 26.3 0.8 0.0 行きたい体験メニューがある 0.7 2.9 0.0 65.3 産業遺産がある 0.0 23.2 64.7 44.9 8.7 旅行商品のルート 7.3 26.1 伝統工芸品の産地 0.0 1.4 21.2 0.0 2.5 一度来て 良かった 8.7 8.8 2.5 景観がいい 2.5 1.4 2.9 2.5 4.2 官営八幡製鉄所眺望スペース旧伊藤伝右衛門邸八女伝統工芸館三池炭坑宮原抗 その他 13.0 17.5 複数回答 15.1 出典 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 28

図表 5 当地を知ったきっかけ ( 全体 ) 40.0 35.0 (%) (N=512) 34.0 30.0 25.0 20.0 18.9 20.9 16.2 15.0 10.0 5.0 0.0 10.5 新聞 テレビ 2.3 雑誌 6.1 ウェブサイト 0.4 S N S 12.3 パンフレット 旅行商品 口コミ 紹介 その他 出典 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 6 当地を知ったきっかけ ( 施設別 ) 0 20 40 60 (%) 28.8 新聞 4.3 2.2 9.2 39.0 テレビ 5.1 54.3 38.7 0.8 雑誌 3.6 1.5 3.4 官営八幡製鉄所眺望スペース ウェブサイト 3.6 10.2 旧伊藤伝右衛門邸 2.9 8.4 八女伝統工芸館 0.8 三池炭坑宮原抗 SNS 0.0 0.7 複数回答 0.0 27.1 パンフレット 4.4 8.7 10.9 31.4 旅行商品 11.6 9.5 26.1 7.6 口コミ 紹介 15.2 43.8 14.3 5.1 その他 9.4 34.3 14.3 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 29

(2) 楽しみ当地への来訪で楽しみにしていることは 食べ物 が 40.6% で最も高く 名所 旧跡 が 39.3% 産業遺産 が 37.3% となっている 産業遺産を楽しみにしつつも やはり 食べ物 に対する選好度はかなり高い状況にある 食べ物 は 大きなコンテンツであり 産業遺産 や 伝統産業 とリンクした オリジナリティの高い食べ物 をどのように提供できるかは 今後の誘客の大きなポイントになると見られる なお 予想に反して 温泉 や ショッピング 体験メニュー お祭り イベント などは 低い水準にとどまっている 当地への来訪で楽しみにしていることを施設別にみると 官営八幡製鉄所眺望スペース と 三池炭坑宮原坑 では 産業遺産 がそれぞれ約 7 割と高い水準で選択されている その一方で 八女伝統工芸館 では 伝統工芸品 が 49.6% ショッピング が 32.1% と2 分しており 工芸品への関心が高い人が来訪している様子が伺える なお 旧伊藤伝右衛門邸 を含めた4 施設ともに 食べ物は多くで選択されており 特に 官営八幡製鉄所眺望スペース では 世界遺産 よりも 食べ物 の方が多くで選択されている 図表 7 当地への来訪で楽しみにしていること ( 全体 ) 45.0 40.0 (%) (N=512) 40.6 39.3 37.3 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 10.2 14.3 14.5 13.9 5.3 2.3 1.6 3.9 0.0 食べ物 景観 名所 旧跡 ショッピング 温泉 伝統工芸品 産業遺産 お祭り イベント 体験メニューホテル 旅 館 その他 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 30

図表 8 当地への来訪で楽しみにしていること ( 施設別 ) 0 20 40 60 80 (%) 69.5 食べ物 24.8 34.8 37.0 18.6 景観 10.1 4.4 8.4 38.1 名所 旧跡 7.3 76.1 34.5 4.2 ショッピング 3.6 32.1 16.0 5.1 温泉 13.1 21.7 16.8 0.8 伝統工芸品 1.4 49.6 0.0 67.8 産業遺産 2.2 16.7 71.4 お祭り イベント 2.5 0.7 16.8 0.0 4.2 0.7 体験メニュー 4.4 0.0 官営八幡製鉄所眺望スペース ホテル 旅館 3.4 1.4 0.7 0.8 旧伊藤伝右衛門邸八女伝統工芸館 三池炭坑宮原抗 4.2 その他 6.5 複数回答 1.5 3.4 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 31

5. 旅程と周遊エリア 1) 旅程 (1) 交通手段当地までの交通手段としては 自家用車 が 56.4% と最も多く 観光バス が 31.8% で続いている 施設別にみると 観光バス比率が高いのが 官営八幡製鉄所眺望スペース であり 68.6% が 観光バス での来訪となっている 一方 八女伝統工芸館 や 旧伊藤伝右衛門邸 は自家用車比率が高くなっている 図表 9 当地までの交通手段 ( 全体 ) 60.0 (%) (N=512) 56.4 50.0 40.0 30.0 31.8 20.0 10.0 0.0 自家用車 4.5 2.9 鉄道 路線バス 0.4 タク 観光バ ス 7.0 その他 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 32

図表 10 当地までの交通手段 ( 施設別 ) (%) 自家用車 0 20 40 60 80 100 11.9 71.0 81.0 55.5 鉄道 1.4 1.5 2.5 13.6 路線バス タクシー 1.7 5.1 1.5 3.4 0.0 0.7 0.7 0.0 官営八幡製鉄所眺望スペース旧伊藤伝右衛門邸八女伝統工芸館三池炭坑宮原抗 複数回答 観光バス 7.3 20.3 37.0 68.6 その他 7.6 7.2 8.8 4.2 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 (2) 宿泊 日帰りの構成当地の来訪者の宿泊 日帰り構成は 日帰り が 70.9% と全体の3 分の2 以上を占めている 福岡県観光入込客推計調査での福岡県の日帰り比率の 91.0%(2013 年 ) と比較すると 当地来訪者の宿泊比率が高いことを示している 施設別の宿泊 日帰り構成をみると 八女伝統工芸館 の 日帰り 比率が 82.5% と高いが 2つの世界遺産では約 7 割 旧伊藤伝右衛門邸 では 55.1% となっており 産業遺産関連の施設を来訪する人は 宿泊比率が高いことを示す結果となっている なお 宿泊数は 各施設とも1 泊が主流であるが 旧伊藤伝右衛門邸 は 2 泊以上が約 4 割に達している 33

図表 11 宿泊 日帰りの構成 ( 全体 ) (N=512) 宿泊 29.1% 日帰り 70.9% 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 12 宿泊 日帰りの構成 ( 施設別 ) 0 20 40 60 80 100 (%) 官営八幡製鉄所眺望スペース 70.3 29.7 旧伊藤伝右衛門邸 55.1 44.9 八女伝統工芸館 82.5 17.5 三池炭坑宮原抗 76.5 23.5 日帰り 宿泊 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 13 宿泊者の宿泊日数 ( 施設別 ) 0 20 40 60 80 100 (%) 官営八幡製鉄所眺望スペース 77.1 14.3 8.6 旧伊藤伝右衛門邸 59.7 29.0 11.3 八女伝統工芸館 95.8 0.0 4.2 三池炭坑宮原抗 92.9 3.6 3.6 1 泊 2 泊 3 泊以上 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 34

35 (3) 宿泊地宿泊者の宿泊地をみると 北九州市 37 件 福岡市 が 23 件と多く これに 朝倉市 や 飯塚市 長崎市 阿蘇市 八女市 熊本市 別府市 佐世保市 と続いている アンケー対象地となった 北九州市 飯塚市 八女市 を除くと 福岡市の多さが際だち 誘客における福岡市の重要性があらためて示された また 長崎や阿蘇 熊本 別府 佐世保などといった県外への周遊も一定数みられた なお 第 3 位の朝倉市は原鶴温泉であり 第 10 位の佐世保市はハウステンボスへの宿泊が多くなっている 施設別の宿泊地をみると 官営八幡製鉄所眺望スペース では 北九州市内での宿泊が多く 旧伊藤伝右衛門邸 では 福岡市と北九州市に二分し 八女伝統工芸館 では朝倉市と八女市を中心とした近隣が多く 三池炭坑宮原坑 では 阿蘇市や玉名市 山鹿市といった熊本県内での宿泊が多いなどという特徴がみられた 図表 14 宿泊者の宿泊地 ( 全体 ) 37 23 16 11 11 11 7 7 5 5 4 4 4 3 2 2 2 2 2 2 0 5 10 15 20 25 30 35 40 福岡県北九州市福岡県福岡市福岡県朝倉市福岡県飯塚市 崎県 崎市熊本県阿蘇市福岡県 市熊本県熊本市 分県別府市 崎県佐世保市熊本県 名市福岡県 牟 市熊本県 市 児島県 児島市福岡県若宮市福岡県宗像市 県 市佐賀県嬉野市広島県広島市福岡県太宰府市( 件 ) 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査

図表 15 宿泊者の宿泊地 ( 施設別 ) 2 伊藤伝右衛門邸 (%) 0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 1 官営八幡製鉄所眺望スペース (%) 0.0 20.0 40.0 60.0 福岡県北九州市 47.8 福岡県福岡市 崎県 崎市熊本県熊本市佐賀県嬉野市 分県別府市宮崎県宮崎市 県 市 県 市 児島県 児島市 分県 杵市 崎県雲仙市 15.2 8.7 4.3 4.3 4.3 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 2.2 福岡県久留 市 2.2 N=46 福岡県北九州市福岡県福岡市福岡県飯塚市 崎県 崎市熊本県熊本市 崎県佐世保市 県下関市 児島県 児島市 分県別府市福岡県若宮市福岡県宗像市福岡県太宰府市福岡県 牟 市福岡県朝倉市熊本県阿蘇郡 国町熊本県 名市広島県広島市 県岩国市 県 市 県萩市 阪府堺市島根県出雲市福岡県宮若市福岡県直 市福岡県 川市福岡県東峰村兵庫県神 市 2.4 2.4 2.4 2.4 2.4 2.4 2.4 2.4 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 1.2 9.8 8.5 6.1 6.1 18.3 15.9 N=82 4 三池炭坑宮原坑 (%) 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 熊本県阿蘇市 36.7 熊本県 名市 10.0 3 八女伝統工芸館 0.0 20.0 40.0 60.0 (%) 福岡県福岡市熊本県 市福岡県 牟 市 10.0 6.7 6.7 福岡県朝倉市福岡県 市 30.4 52.2 福岡県朝倉市福岡県飯塚市熊本県荒尾市 6.7 6.7 3.3 熊本県 市福岡県筑後市福岡県飯塚市 8.7 4.3 4.3 N=23 広島県広島市 阪府 阪市 分県別府市福岡県柳川市 3.3 3.3 3.3 3.3 N=30 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 36

2) 周遊エリア (1) 訪問地の主要スポット訪問地の主要スポットとして アンケート調査地点である4 地点を除く上位をみると 門司港レトロ や 万田坑 嘉穂劇場 などの調査地点の近隣にある歴史的な観光スポットがみられる 加えて かまぼこ店 ( 村田 関屋 ) や食堂 ( シートレビアン ) などの食に関するスポットや 温泉 ( 原鶴 楽の湯 ( 門司 ) 寺社仏閣( 誕生寺 ( 玉名 ) 宗像大社 太宰府天満宮 ) などが多く訪問されている 施設別に訪問地の主要スポットをみると 官営八幡製鉄所眺望スペース では 門司港レトロや東田高炉史跡広場 スペースワールド 北九州イノベーションギャラリーなど 八幡と門司の周遊が中心である これに 宗像大社や太宰府天満宮などの県内の歴史的寺社仏閣がセットになるケースも見られる 旧伊藤伝右衛門邸 では 嘉穂劇場や飯塚市歴史資料館 田川市石炭 歴史資料館など 筑豊地域の関連施設への周遊が見られるほか 八幡や門司といった北九州方面 太宰府方面 筑後 ( 原鶴 ) 方面 小石原方面など様々な方面への立ち寄りもみられる なお 軍艦島やグラバー園などといった長崎方面へ周遊するケースも見られた 図表 16 訪問地の主要スポット ( 全体 ) 市町村名 件数 1 旧伊藤伝右衛門邸 142 2 八女伝統工芸館 139 3 官営八幡製鉄所 132 4 宮原抗 129 5 門司港レトロ 68 6 万田抗 47 7 嘉穂劇場 37 8 村田蒲鉾店 28 9シートレビアン 27 10 関屋蒲鉾 26 11 宝石屋 24 12 蓮華院誕生寺 24 13 原鶴温泉 21 14 八幡ロイヤルホテル 19 15 楽の湯 16 16 東田第一高炉史跡広場 13 17 宗像大社 13 18 太宰府天満宮 13 19 軍艦島 12 20 大牟田市石炭産業科学館 12 21 スペースワールド 11 22 飯塚市歴史資料館 ( 三菱飯塚炭鉱巻 11 23 福岡空港 10 24 宮浦石炭記念公園 10 注 )10 件以上のみ抽出 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 37

八女伝統工芸館 では 大牟田 荒尾の産業遺産( 宮原坑 万田坑 ) への周遊も多く見られ 原鶴温泉や船小屋温泉 岩戸山古墳などへの立ち寄りも見られた 三池炭坑宮原坑 では 大分石炭産業科学館 宮浦石炭記念公園 クレーン船 大金剛丸 旧三池港倶楽部など 市内の石炭産業関連施設へ周遊が見られる上 万田坑 ( 荒尾市 ) 蓮華院誕生寺( 玉名市 ) 玉名温泉( 玉名市 ) など熊本方面との繋がりも見られる 図表 17 訪問地の主要スポット ( 施設別 ) 1 官営八幡製鉄所眺望スペース 市町村名 件数 1 官営八幡製鉄所 118 2 門司港レトロ 53 3 村田蒲鉾店 28 4シートレビアン 27 5 楽の湯 16 6 八幡ロイヤルホテル 14 7 東田第一高炉史跡広場 12 8 宗像大社 12 9スペースワールド 11 10 北九州イノベーションギャラリー 9 11 太宰府天満宮 6 12 無法松酒造 5 13 唐戸市場 4 14 いのちのたび博物館 4 15 洞海湾クルーズ 4 16 小倉市街 3 18 カモンワーフ 3 19 北九州空港 3 20 旧伊藤伝右衛門邸 3 21 軍艦島 3 22 門司赤煉瓦プレイス 3 23 遠賀川水源地ポンプ室 3 注 )3 件以上のみ抽出 3 八女伝統工芸館 市町村名 件数 1 八女伝統工芸館 137 2 原鶴温泉 13 3 宮原抗 10 4 万田抗 10 5 関屋蒲鉾 6 6 岩戸山古墳 4 7 船小屋温泉 3 8いぶき館 3 注 )3 件以上のみ抽出 2 旧伊藤伝右衛門邸 市町村名 件数 1 旧伊藤伝右衛門邸 138 2 嘉穂劇場 33 3 官営八幡製鉄所 12 4 門司港レトロ 11 5 飯塚市歴史資料館 ( 三菱飯塚炭鉱巻 10 6 軍艦島 9 7 福岡空港 6 8 田川市石炭 歴史博物館 ( 旧三井田川 6 9 原鶴温泉 6 10 太宰府天満宮 6 11 八幡ロイヤルホテル 5 12 グラバー園 4 13 道の駅おうとう桜街道 4 14 かえる寺 3 15 小石原焼伝統産業会館 3 16 こうの湯温泉 3 17 ハウステンボス 3 18 平和公園 3 注 )3 件以上のみ抽出 4 三池炭坑宮原抗 市町村名 件数 1 宮原抗 119 2 万田抗 35 3 宝石屋 24 4 蓮華院誕生寺 24 5 関屋蒲鉾 20 6 大牟田市石炭産業科学館 12 6 宮浦石炭記念公園 10 7 玉名温泉 6 8 門司港レトロ 4 9 道の駅みやま 3 10 クレーン船 大金剛丸 3 11 道の駅たちばな 3 12 道の駅おおき 3 13 旧三井港倶楽部 3 14 福岡空港 3 注 )3 件以上のみ抽出 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 38

図表 18 アンケート調査による訪問地の分布状況 ( 全体 ) 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 19 アンケート調査による訪問地の分布状況 ( 八幡製鉄所眺望スペース ) 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 39

図表 20 アンケート調査による訪問地の分布状況 ( 旧伊藤伝右衛門邸 ) 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 21 アンケート調査による訪問地の分布状況 ( 八女伝統工芸館 ) 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 40

図表 22 アンケート調査による訪問地の分布状況 ( 三池炭坑宮原坑 ) 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 6. 来訪の満足度と再来訪意向 当地来訪の全体的な満足度をみると 大変満足 は 39.3% と3 分の1 程度となっている また 旅行で楽しみにしていたことに対する満足度をみると 大変満足 は 41.4% となっている このような満足度に対して 再来訪意向 ( また来たいか ) を尋ねたところ 70.3% が はい としており 比較的高いレベルでの再来訪意向を確認できた しかしながら 満足度と再来訪意向の関係性をみると 大変満足 とする人は 8 割以上が再来訪の意向を示しているが まあ満足 レベルだと約 7 割に ふつう だと約 4 割に やや不満 だと約 2 割になり 不満 だと再来訪意向はゼロということが見えてきた 当たり前のことではあるが リピーターの獲得には 大変満足 レベルをいかに高められるかが大きなカギを握っている これに対して 大変満足 とする比率は半数にも満たない状況にあり 来訪者の定着に向けて 満足度の向上に対する取組を協力に進めていくことが求められる なお 施設別の満足度をみると 八女伝統工芸館 で 大変満足 でかろうじて5 割を超えているが 旧伊藤伝右衛門邸 や 三池炭坑宮原坑 では半数を下回る 48.6% と 43.7% となっている 最も問題なのは 官営八幡製鉄所眺望スペース で ここで 大変満足 とした人は 5.9% と極めて低い水準にある 早急な改善が求められる その結果 施設別の再来訪意向をみると 八女伝統工芸館 では また来たいかという 41

問いに対して はい とする人が 93.4% に達しているが 旧伊藤伝右衛門邸 で 68.1% 三池炭坑宮原坑 で 60.5% 官営八幡製鉄所眺望スペース で 55.9% となっている 官営八幡製鉄所眺望スペース の再来訪意向もかろうじて半数を超えてはいるものの ネームバリューや産業遺産としての重要性の割には低い数字である 図表 23 当地来訪の満足度 図表 24 旅行の楽しみに対する満足度 やや不満 3.5% 不満 0.8% やや不満 2.9% 不満 0.4% 無回答 0.6% (N=512) (N=512) ふつう 14.3% ふつう 10.5% 大変満足 39.3% 大変満足 41.4% まあ満足 42.2% まあ満足 44.1% 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 25 再来訪意向 ( また来たいか ) (N=512) いいえ 29.7% はい 70.3% 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への 観光に関するアンケート調査 42

図表 26 当地来訪の満足度と再来訪意向図表 27 楽しみなことの満足度と再来訪意向 (%) 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 (%) 0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0 大変満足 84.0 16.0 大変満足 85.1 14.9 まあ満足 67.7 32.3 まあ満足 73.6 26.4 ふつう 40.7 59.3 ふつう 37.0 63.0 やや不満 26.7 73.3 やや不満 16.7 83.3 不満 0.0 100.0 不満 0.0 100.0 はい いいえ はい いいえ 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 28 当地来訪の満足度 ( 施設別 ) 0 20 40 60 80 100 (%) 官営八幡製鉄所眺望スペース 5.9 38.1 40.7 11.9 3.4 旧伊藤伝右衛門邸 48.6 46.4 3.6 0.0 1.4 八女伝統工芸館 54.7 40.9 3.6 0.0 0.7 三池炭坑宮原抗 43.7 42.9 12.6 0.0 0.8 大変満足まあ満足ふつうやや不満不満 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 43

図表 29 再来訪意向 ( また来たいか )( 施設別 ) 0 20 40 60 80 100 (%) 官営八幡製鉄所眺望スペース 55.9 44.1 旧伊藤伝右衛門邸 68.1 31.9 八女伝統工芸館 93.4 6.6 三池炭坑宮原抗 60.5 39.5 はい いいえ 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 7. 産業遺産と伝統産業に対する評価 産業遺産 と 伝統産業 を楽しみにしていたとする人について それぞれに対する評価をみると 伝統工芸品 については 大変満足 という高い評価が 67.2% で得られているのに対して 産業遺産 については 31.9% しか得られていない 施設別にみると 旧伊藤伝右衛門邸 や 八女伝統工芸館 では5 割以上で 大変満足 とする高い評価を受けているが 官営八幡製鉄所眺望スペース では これが 9.3% に過ぎず 満足度に対する評価はかなり低い また 三池炭坑宮原坑 も 大変満足 は 39.5% と3 分の1 強に過ぎず 特に 産業遺産 に関する満足度向上に繋がる施策の検討は急務である 図表 30 旅行の楽しみに対する満足度 ( 産業遺産 伝統工芸品別 ) 0 20 40 60 80 100 (%) 0.0 0.0 伝統工芸品 67.2 29.9 3.0 0.0 0.0 産業遺産 31.9 49.7 15.2 3.1 0.0 その他 41.7 43.7 9.8 2.8 1.2 0.8 大変満足まあ満足ふつうやや不満不満不明 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 44

図表 31 旅行の楽しみに対する満足度 ( 施設別 ) 0 20 40 60 80 100 (%) 1.7 官営八幡製鉄所眺望スペース 9.3 48.3 30.5 8.5 1.7 0.0 旧伊藤伝右衛門邸 55.8 37.7 4.3 0.7 1.4 八女伝統工芸館 56.2 40.9 0.0 1.5 0.0 1.5 三池炭坑宮原抗 39.5 51.3 0.0 8.4 0.0 0.8 大変満足まあ満足ふつうやや不満不満不明 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 8. 良かった点 悪かった点 良かった点 については 案内標識 ガイド が 37.1% で最も高く アクセスの良さ が 24.3% 観光施設の内容 が 16.2% で続く そもそも 最も良い項目でも4 割に満たない上に 良かった点について 特になし とするのが2 割を超えている点は大きな問題である また もてなし サービス 9.4% 名産品 土産物 8.0% 食事 4.1% など 観光における重要な要素でいずれもかなり低くなっている 一方 悪かった点 については 特になし が 65.0 となっており 先の回答との関連を考慮すると 可もなく不可もなく という状況にあることがわかる なお そのなかで 悪かった点 として指摘されたのが 案内標識 ガイド 45

図表 32 良かった点 40.0 35.0 (%) (N=512) 37.1 30.0 25.0 23.4 21.7 20.0 16.2 15.0 10.0 8.0 9.4 5.0 0.0 アクセスの良さ 案内標識 ガイド 4.1 食事 名産品 土産物 もてなし サービス 観光施設の内容 0.6 活気 賑わい 1.8 1.4 休憩スペース その他 特になし 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 図表 33 悪かった点 70.0 (%) (N=512) 65.0 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 5.7 アクセスの良さ 9.6 案内標識 ガイド 1.6 1.4 0.6 食事 名産品 土産物 もてなし サービス 6.4 観光施設の内容 4.3 4.9 活気 賑わい 休憩スペース 3.1 その他 特になし 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 46

図表 34 良かった点 ( 施設別 ) 図表 35 悪かった点 ( 施設別 ) (%) 0 50 100 16.1 アクセスの良さ 15.2 53.3 5.9 案内標識 ガイド 食事 名産品 土産物 もてなし サービス 観光施設の内容 活気 賑わい 休憩スペース その他 特になし 4.2 0.7 10.9 0.0 0.8 0.0 1.7 7.6 2.2 18.2 9.2 30.5 30.4 11.0 20.3 26.3 5.0 0.8 0.0 0.7 0.8 0.0 0.0 6.6 0.0 3.4 0.0 1.5 0.8 5.1 6.7 10.9 27.7 31.4 42.8 81.5 官営八幡製鉄所眺望スペース 旧伊藤伝右衛門邸 八女伝統工芸館 三池炭坑宮原抗 複数回答 (%) 0 50 100 3.4 アクセスの良さ 3.6 0.7 16.0 案内標識 ガイド 8.5 3.6 18.8 食事名産品 土産物 6.7 0.8 0.0 1.5 4.2 0.0 0.7 1.5 3.4 1.7 もてなし サービス 0.0 0.7 0.0 26.3 0.7 観光施設の内容 0.7 官営八幡製鉄所眺望スペース 0.0 旧伊藤伝右衛門邸 1.7 0.0 八女伝統工芸館活気 賑わい 8.8 三池炭坑宮原抗 6.7 複数回答 13.6 休憩スペース 0.7 0.0 6.7 4.2 その他 6.5 0.0 1.7 40.7 特になし 71.7 83.9 59.7 資料 ) 九経調 産業遺産 伝統産業所在地への観光に関するアンケート調査 9. まとめとインプリケーション 産業遺産は 十分な来訪目的 来訪動機になり得ている しかし 当地での満足度は高くなく 特に八幡製鉄所眺望スペースは極めて低い状況 (10% 未満 ) にあり 早急な改善が必要である 認知にあたっては テレビや口コミ 紹介 旅行商品 パンフレットの効果の力が大きい ( 年齢層が高いため ) 特に テレビの力は大きく マスメディアを活用した継続的な情報発信の工夫は必要である 一方 年齢層が若いほどウェブサイトや SNS などの ICT ツールを活用する比率も高まる傾向があり 今後は ICT ツールの活用も必要である 来訪目的を産業遺産や観光施設などとしながらも 楽しみにしていることのトップは食べ物となっている しかし 当地での食事に対する評価は極めて低く大きな課題である ( 良かった :5% 未満 ) また 土産物やおもてなしなども評価が低く課題である 当地は 県外客中心に1 泊 2 日のコースとして組み込まれている ただし 北九州市を除くと 当地での宿泊実績は少ない 旧伊藤伝右衛門邸 では 福岡市や北九州市での宿 47

泊が 八女伝統工芸館 では原鶴温泉での宿泊が 三池炭坑宮原坑 では阿蘇や玉名などの熊本県内での宿泊が中心となっている また 宿泊地にも関連して 訪問スポットも同様の傾向が見られる 当地での宿泊拡大のための施策も必要であるが 同時にこれらの地域 ( 特に福岡市 北九州市 県外では熊本市 長崎市などの広域 ) からの誘客 送客をターゲットにした取組も必要である 全体的に 満足度や良かった点に関する評価が低く 食事 土産 サービスなどのあらゆる面でのレベルの向上に向けた取組が必要である 48

第 3 章産業遺産 伝統産業観光地の SNS 分析 1. 調査 分析方法 1) 調査 分析方法について (1) 調査対象 SNS 対象とする SNS は Twitter(Twitter 社が提供するマイクロブログ ) とする (2) データ収集 分析方法 Twitter 社提供の API を利用し 抽出条件に設定したキーワードを含むツイート ( 投稿 ) をほぼ 100% 収集 ( ただし収集開始後に投稿されたツイートのみ ) した キーワードの設定ルールとして 産業遺産名 伝統産業名は クロスロードふくおか (http://www.crossroadfukuoka.jp/)- 福岡県産業観光特集 ページ内のカテゴリ 産業遺産 伝統産業 より抜粋し その後アンケート掲載分を追加し 広告や無関係なデータを収集対象から除くための除外キーワードを設定した 除外 ( 収集対象としない ) してよいか判断が困難な場合は データ収集後のクレンジング処理で対応した (3) 不要データ除去 ( クレンジング ) 方法収集時の設定だけでは不要なデータを完全に除外することができないため データ収集後あらためてデータクレンジングを実施した データクレンジングの方法としては 収集データの内容を確認し 不要データを削除している ただし 全データを目視することは困難であること 要不要が曖昧なデータも存在することから完全に不要データを除去することはできない 実際にデータクレンジングのために使用したキーワード ( 一部抜粋 ) は 例えば 検索条件を いぐさ い草 の場合 ヤバい草 など形容詞の語尾に 草 をつけた表現や 居酒屋いぐさ に関するキーワードを含む投稿を除去している 49

2) 主要ソーシャルメディアの特性 2. データ収集状況 1) データ収集状況 (1) 福岡エリア 11 月の博多織に関する投稿が多いのはニュース 第 113 回博多織求評会 TV 番組 イッピン に関する投稿等キーワード 博多織 を含む投稿が一時的に増加したことによるものである 11 月の博多人形に関する投稿が多いのは干支 申 の博多人形に関する投稿がみられたためと考えられる 12 月のはかた伝統工芸館に関する投稿数の増加は ( 複数のアカウントによる ) イベント宣伝等の投稿によるものである 50

(2) 北九州エリア 門司港レトロについては 期間途中より調査対象となったため独自方法により 11 月分の件数調査を実施している 門司港レトロに関する投稿は開催されているイベントを話題としたものが多くみられる (3) 筑豊エリア 12 月に嘉穂劇場に関する投稿が多いのは TV 番組の影響 ( 後述 ) が考えられる 12 月の直方市石炭記念館の投稿は 入館 1 万人目前 の関連ニュースにより増加したとものである 51

(4) 筑後エリア 11 月の木蝋関連が多いのは 11/1 に TV 番組で 和ろうそく が取り上げられたことが影響している 11 月の大川家具関連のデータは TV 番組での紹介ことによる投稿や 新商品の紹介に関する投稿がみられる (5) 大牟田エリア 12 月の万田坑に関する投稿は 同一アカウントによる連続投稿 ( 計 67 件 ) 等がみられる その他の投稿を確認した範囲では大きなイベント等との関連などは見受けられない 52

2) ご参考 (1) ベンチマークとなる観光資源に関する投稿件数 加賀友禅に関する投稿はノーベル物理学賞を受賞した梶田隆章さんの奥様が晩餐会に加賀友禅の着物で出席したニュースに関する内容が 40 件程度あった 富岡製糸場に関する投稿は一日平均 300 件程度であったが このうち 大河ドラマ 花燃ゆ に関する投稿は 10 件程度であった 軍艦島に関する投稿のうち 映画 007 スカイフォール に関する内容が 230 件程度あり そのほとんどが 12/4 に投稿されている これは 12/4 の金曜ロードショーで上記映画が放映されたことに起因している (2) ご参考富岡製糸場の写真付き投稿 53

(3) ご参考軍艦島 54

3. 投稿内容の傾向と考察 1) 福岡エリア (1) はかた伝統工芸 / 博多織工芸館 投稿件数 内訳 傾向投稿数そのものが少なく さらにイベントの告知等の投稿が大半を占める 訪問時の感想や写真の投稿も見られるが 投稿数が少なく他のユーザが目にする機会が少ない可能性がある 投稿サンプル 55

福岡エリア写真付き投稿 (2) 博多織 博多人形 投稿件数 傾向 URL(http://t.co/~) を含む投稿が 博多織で約 70% 博多人形で約 50% 程度含まれる 大半が拡散目的 紹介 ( ニュース記事 ) 宣伝( 商品紹介 ) であり 個人の投稿はほとんどみられない 実際に博多織製品や博多人形を 購入した という投稿が少ない 投稿サンプル 56

福岡エリア写真付き投稿 57

(3) 福岡エリア考察博多織の製品や博多人形を 実際に 購入した という投稿は Twitter 上ではほとんど出現しない 投稿に登場した購入品は 博多織であればブックカバー 博多人形であればサンタ達磨など 比較的手軽に入手できるものである ツイッターの傾向として 高価な商品を購入したことを他者へアピールする ( 投稿する ) ことは あまり行われない そのため 博多織や博多人形は比較的高価格なものが多いという性質上 魅力ある商品であることが SNS( 購入者の投稿 ) を通じて広がっていくことを期待するのが難しい側面もある そこで SNS のユーザ層の多くを占めている若者が手軽に入手できる商品を増やすことで 博多織や博多人形が身近なものになるとともに 投稿等を通じてファンや購入者が広がる可能性が期待できると考える 博多織であればブックカバー リストバンド 財布などの小物などが写真付きで投稿されている また アビスパのファンクラブの継続記念品がよい との投稿もみられることから 様々な地元の団体とのコラボレーションなどの実施により 商品を知ってもらう機会を増やすことが ファンの増加や購入者の増加につながっていくと考えられる 参考 アビスパのファンクラブ継続記念品について 過去の投稿を調査したところ 下記のような写真付き投稿がみられた 58

2) 北九州エリア (1) 門司港レトロ 投稿件数 内訳 傾向イベント開催をきっかけとして 投稿が行われていることが確認できる 11 月 20 日 ( 金 ) ~23 日 ( 月 祝 ) の投稿数が 104 件と 11 月の関連投稿の 70% を占める さらに 40 件 /104 件が写真付きの投稿である 12 月 31 日の投稿 56 件中 23 件が カウントダウンイベント ( 宣伝 参加する ) や 門司港レトロで年越しをしよう ( したい ) とする投稿であった 59

ネガティブなキーワードを含む投稿が 68 件確認できた 季節柄 寒い が 16 件と突出していた その他の投稿を確認したが 門司港レトロに関してのネガティブな投稿はみられなかった 北九州エリア写真付き投稿 (2) 九州鉄道記念館 投稿件数 60

内訳 傾向 12 月の 九州鉄道記念館を訪問した投稿 78 件中 61 件に写真を中心としたリンクが含まれている 11 月はイベント 秋のファミリーフェスタ 2015 に関連する投稿が 29 件であった 九州鉄道記念館を話題とする投稿は同じ趣味を持つ方同志の情報交換によるものである 投稿サンプル 北九州エリア写真付き投稿 (3) 官営八幡製鐵所 投稿件数 61

内訳 傾向 八幡製鐵所が世界遺産になったことを知った という投稿が3 件見られた 12 月の段階で3 件存在し いずれも驚きとともに好意的な表現等が使用されている 世界遺産であることの認知度をさらに高める余地がある可能性がある 投稿サンプル 北九州エリア写真付き投稿 (4) 遠賀川水源地ポンプ室 投稿件数 62

傾向投稿数はさほど多くない ニュース記事や説明の投稿が大半である 実際に訪れ がっかりした という意味合いの投稿が確認できる 投稿サンプル 北九州エリア写真付き投稿 (5) 北九州エリア考察門司港レトロは 観光スポット イベントスポットとして認知されていることが 投稿数から推測できる また 投稿の居住地に 山口 ( 山口県山口市 山口県下関市 山口県宇部市 長州など ) が含まれている投稿が 22 件あり イベントなどに隣県から気軽に訪問していることがわかる イベントに関する投稿が大半であり 写真付き投稿についてもイベントに関する写真が大半で レンガ倉庫 などの写真は確認できない 官営八幡製鐵所は 学校のテスト関連やスペースワールドの場所を示す目印として話題 63

になっている投稿があるなど 投稿数の割に実際に訪問したと判断できる投稿が少ない 見学時に写真付きで投稿されているものもあるが数が少ない 九州鉄道記念館は 鉄道ファンによると推測される投稿が大半である 遠賀川水源地ポンプ室は 中に入れない しょぼい という投稿が確認できた 訪問者にとって せっかく訪れたのに中に入れない という状況は非常に残念である 様々な取り組み ( 中高生ガイド等 ) に加え ライトアップの実施 や 写真がきれいに撮影できるスポットの紹介 ( 設置 ) など 訪問者ががっかりし難い環境の整備を行うことが 訪問者の増加等の効果を生むと考えられる 64

3) 筑豊エリア (1) 追い出し猫 投稿件数 傾向 12 月のキーワード 追い出し猫 を含む投稿は 筑豊エリア関連投稿全体の約 29% である また 公式アカウントによる投稿も積極的に行われている さらに 可愛い というコメントが多くみられる (125 件 約 48%) その内 103 件はまとめサイト (NAVER まとめ ) の記事の投稿である 投稿サンプル 筑豊エリア写真付き投稿 65

(2) 旧伊藤伝衛門邸 / 嘉穂場 / 直方市石炭記念館 / 山本作兵衛 投稿件数 傾向 テレビ番組関連キーワードは 約 35% を占める 特に嘉穂劇場 ( 月曜から夜ふかし ) については 投稿のタイミングやその内容から番組をきっかけに投稿したと推測できるものが 220 件を超える 投稿サンプル テレビ番組 66

地元の方の実感 筑豊エリア写真付き投稿 67

(3) 飯塚市歴史資料館 投稿件数 内訳 投稿サンプル 筑豊エリア写真付き投稿 68

(4) 河内貯水池 投稿件数 内訳 傾向訪問した際の感想や写真は バイクや車でドライブを楽しんだ投稿や冬でもオススメである旨の投稿が見られる 藤棚に関する投稿が少ないのはオフシーズンであるためと考えられる 69

(5) 黒スイーツ収集期間内での有効な投稿は 0 件であった Google トレンドでも 2014 年をピークに検索が減少している スターフライヤー機内誌 (2016 年 1 月 ) に掲載されているとの情報もあり 今後に期待できる 70

(6) 筑豊エリア考察旧伊藤伝衛門邸 嘉穂劇場 直方石炭記念館については テレビ番組で取り上げられることによる 拡散 ( 宣伝 ) 効果は大きい 旧伊藤伝衛門邸については 花子とアン の影響が放送終了後の 12 月になっても続いているが 11 月から 12 月にかけて投稿数の減少がみられるため 新たな手段でアピールを行いメディア等への露出を維持することが必要だと考えられる 嘉穂劇場については バラエティ番組 ( 日本テレビ系 月曜から夜ふかし ) で思いがけず登場したことから 驚きの感情とともに投稿が活発化した様子が伺える 嘉穂劇場は 開催されるイベントに関する投稿が多く 観光スポットとしてはほとんど話題になっていない 直方石炭記念館については 朝ドラの影響で入館者数が増加している というニュースを投稿したものが多い (12 月の投稿 45 件中 27 件 ) 中には単純に記事を紹介するだけではなく 北部九州は炭鉱関係の歴史遺産が多い ことを一言紹介して投稿しているものも見られる ( 投稿者は京都在住の可能性 ) 追い出し猫は キャラクターとしての評判はよく 固定のファンもいることが伺える ( 公式アカウントをもち ファンと交流していることも人気の一端を担っていると考えられる ) が 脇田温泉など地元の観光地とともに投稿される件数が少ない キャラクターの評判だけが先行しており 地元観光資源と絡めた PR が必要ではないかと考える 飯塚市歴史資料館は 広岡浅子と明治時代の筑豊炭鉱 に関する投稿は NHK 連続テレビ小説が放映中にも関わらず 件数が少ない また上述の投稿サンプルについても フォロワー数が多いにも関わらず リツイート件数は 0 件である TV 放送に合わせた展示企画であるが 上手くプロモーションされていないと考えられる 一方 戦艦金剛の軍艦旗は 2014 年の投稿がいまだにリツイートされており リツイートユーザーの多くが戦艦 軍事マニアである ( プロフィール欄のコメントより判断 ) このようなマニア向けツアーの企画や マニアが集まる場所でのプロモーションが有効ではないかと考えられる 71

4) 筑後エリア (1) いぐさ ( い草 ) 投稿件数 内訳 投稿に 5 回以上登場する地名 投稿に登場する名詞 TOP15 傾向 国産 であること( い草の産地が国内であること ) が商品の宣伝文句として使用されている い草製品に関する投稿が宣伝以外はほとんどみられず 話題になっていないのが現状である 投稿サンプルで紹介しているもの程度の投稿しか見られない 投稿サンプル ラグ マット を2つとも含む投稿 75 件中 69 件は同一のブログへ誘導する投稿である 誘導先のブログに 福岡でつくる純国産ござ が良いという記述がある 72

夏 い草ソフトクリーム に関連する投稿 後味さっぱり で美味しいという感想や 知り合いに勧めている投稿が見られる 筑後エリア写真付き投稿の例 73

(2) 久留米絣 投稿件数 傾向博多織と異なり 価格 ( 高価 ) といったキーワードが登場しない 決して悪い意味ではなく 良い意味で日常着 ( 手に取りやすい ) と認知されている可能性が高い また きれい かわいい 藍染が素敵 等 純粋に久留米絣のファンであると受け取れる投稿が大半である ネガティブな表現を含む投稿が 14 件検出されたが 久留米絣 やその関連製品についてマイナスの評価をしている投稿はなかった 投稿サンプル 筑後エリア写真付き投稿の例 74

(3) 筑後エリア考察い草に関する投稿は非常に多いが その中に含まれる 福岡 ( 筑後エリア ) に関連するキーワードは非常に少ない 登場する地名は 熊本 が圧倒的に多く い草 = 熊本 のイメージが強いことが伺える い草ソフトクリームの投稿数は少ないが (12 月 6 件中 2 件 ) そのインパクトからか写真付きの投稿が数件確認できた こうした取り組みが 熊本 =い草 のイメージをさらに強化していることも考えられる 他の地域が い草の産地 としてより知られるようになるには こうした特徴ある製品を前面に出していく必要がある 久留米絣については 好き 好み という好意的な投稿がみられる 一風堂のユニフォーム企画も話題になっており 若い世代へ伝統産業の良さを伝えるよいきっかけとなっていると考えられる 全体としては 収集したデータを分析した結果 全体を通して話題性に乏しく たとえば TV 番組やイベントをきっかけとして SNS が ( 一時的に ) 盛り上がった といった状況を確認することができない 様々な世代に製品の良さを知ってもらうために 各種メディアへの露出をさらに増加させる等の取り組みが必要ではないかと考えられる 75

5) 大牟田エリア (1) 三池炭鉱 投稿件数 内訳 傾向 おおむた観光ガイドブックの外国語版 の作成がほとんど話題になっていない 新聞記事の引用投稿のみである このガイドブックに限らず シャトルバス等の取り組みがほとんど話題となっていない 投稿サンプル シャトルバスに関する投稿 76

(2) 宮原坑 万田坑 三川坑 投稿件数 傾向全体を通して炭坑 ( 廃墟?) ファンが訪れている様子が伺える 万田坑は 映画 るろうに剣心 のロケ地としての話題が 6 件程度あったが その他 直接的な訪問のきっかけを確認できる投稿は確認できなかった 投稿例 大牟田エリア写真付き投稿 77

(3) 大牟田エリア考察 万田坑についてアニメ 天空の城ラピュタ (1986 年公開 ) に出てくる主人公が働いていた場所に似ているとの投稿があった ネットを検索すると トリップアドバイザー他 ブログ等でもこのような投稿が散見できる 天空の城ラピュタ は年 1 回ペースで地上波 TV 放映され 毎年 バルス イベントが話題になる等 公開から 30 年経過してなお根強い人気がある 世界遺産と人気アニメを紐づけて発信することで 新たなファンを獲得できる可能性がある 78

世界遺産バス ( シャトルバス ) について実際に利用した人による好意的な投稿が確認できる ただし 時間が合わずにタクシーを利用した との投稿もある 荒尾市が共同運航から離脱するとのことであるが 実際に好まれている観光ルートや訪問時間帯などを意識することで 利用者の増加を図ることも検討する余地がある また 世界遺産バス の認知について調査を実施した結果は下表の通りである 世界遺産バス ( シャトルバス ) の情報を見つけやすくするためのプロモーション対策 (SEO 対策など ) が不十分であった可能性がある 例えば 下記の2つは万田坑の情報を提供している Web ページであるが いずれのページにも 世界遺産バス シャトルバス に関連するキーワードが見当たらない パターン 1: インターネット検索サイトより 世界遺産バス荒尾 で検索実施 パターン 2: インターネット検索サイトより 世界遺産バス で検索を実施 荒尾市観光情報サイト まるごとあらお 荒尾市の 万田坑 紹介ページ 79

80

第 4 章産業遺産 伝統産業観光地の先進事例 本章では伝統産業や産業遺産を活用したまちづくりの先進地である石川県金沢市 岐阜県高山市 長野県飯山市 群馬県富岡市の事例を取りまとめる 主なポイントは以下の項目である 1 伝統産業 産業遺産と観光の結び付け方 ( タイアップ ) の実施の仕方 2 景観 街並み保存 = 地域づくり 街づくり ( 両面的取組み ) が観光やコミュニティにもたらしたもの 3 地域づくり 街づくりを成功させた鍵 4 外国人観光客への情報発信と受入環境のポイント 外国人観光客からの評判 感想 5 地域ブランディングと PR 戦略 6 周遊 広域観光の仕組みと観光プランにおける組合せの考え方 1. 金沢市 ( 石川県 ) 1) 概要 ~ 伝統 品格 粋をテーマとしたまちづくり金沢市は石川県のほぼ中央に位置する加賀百万石の歴史を持つ人口約 46 万人の中規模都市である 戦災を免れたこともあり 昔ながらの町並みや古くからの伝統文化が残っているところが人を引き付けてる魅力となっている まちなみだけでなく 茶道や料亭などのお茶屋文化など 古いものを大切に伝承してきた市民の 伝統 品格 粋 の文化が町を守っている 2015 年 3 月に 北陸新幹線が金沢まで開通した効果で 観光客は大幅に増えている 例えば 2015 年 4 月から 12 月の実績で 兼六園の入場者数は約 247 万人であり 前年度比で 52% 増加しており 金沢 21 世紀美術館の入場者数は 183 万人と 前年度比 33% 増加となっている ただし 観光客はテレビで取り上げられることが多い ひがし茶屋街 などの一部のスポットに集中して 居住者の生活には支障をきたし始めている 金沢市や観光協会は 観光客の回遊性を高め 分散させる努力を行っている 金沢では 新幹線開業を見越して金沢駅を改装した 鼓門 もてなしドームを新たに設置し まちの玄関口として 現時点における北陸新幹線の終着駅として 石川県だけでなく広域のPR 機能も備えた 770 m2の広さの観光案内所を新幹線の改札口の真正面という駅の一等地に設置している 新幹線の改札口は 市の中心に向かった兼六園口に設置されていて 博多駅や京都駅など新幹線口が駅裏になっているのと逆である この観光案内所には 加賀友禅や金沢箔などの金沢市内の伝統工芸品だけでなく 輪島塗などの県内の伝統工芸品も展示している また 富山や群馬など北陸新幹線沿線の観光パンフレットを手に取ることができ 広域の観光案内機能を有している 金沢は市民の意識が高く 観光客中心の施策に対しては批判が起きやすいこともあり 金沢市役所としては 金沢を観光都市と位置づけていない まちなみ保存についても 金 81

沢の伝統を大切にするという観点で取り組んでいる 景観保護地区とそれ以外の地区を区 分して 景観保護と開発のバランスを取っている まちなみ保存については 1968 年に全国に先駆けて 景観条例 を制定し さらに 1994 年に 金沢市こまちなみ保存条例 を制定して 建替え等による景観の破壊に制限を加え ている 保存区域内の建築物の新築 増築 改築 移転 除却には事前の届出を必要とし ており 改築等の内容次第で 条例に基づく指導 助言を行い 計画変更を求める場合が ある ただし 景観に沿った工事であれば 補助金を出す場合もある 観光案内については まちかど観光案内所を金沢市内のスターバックス数店や観光物産 館など 15 か所に設置し 道案内や簡単な観光案内 パンフレットの提供を行っている また ボランティアガイド まいどさん を育成し 無料 施設入場料 交通費等の実費 は要負担 で市内のガイドを受け持たせている 新幹線開通により 観光客は増えた一方で日帰り客の増加が予想されるため 夜間観光 にも力を入れ始めている 金沢ナイトミュージアムという企画を立ち上げ 宿泊につなが るよう努力している 金沢市 にし茶屋街 金沢市 主計 かずえ 町 撮影 九経調 撮影 九経調 金沢駅北陸新幹線改札口前の伝統工芸品展示コーナーと観光案内所窓口 撮影 九経調 82

金沢の伝統 品格 粋のシンボル ~ 金沢駅鼓門 金沢駅構内にある北陸全域の案内 撮影 ) 九経調 撮影 ) 九経調 金沢にある観光案内所の分布状況 ~ まちなかの各所に立地して回遊性の強化に寄与 資料 ) 金沢市観光課提供 83

金沢市の主要観光スポット 資料 ) 金沢市観光協会提供 2) 観光と伝統産業 ~プレミアム感を醸し出すクラフト ツーリズム伝統産業のPRについては 金沢の中心街の香林坊に クラフト広坂 という入館無料の伝統工芸品の展示及び販売を行う施設を設置している 高級感のある2 階建ての施設で 観光客も立ち寄りやすく 石川県全域の伝統工芸品を鑑賞したり 購入したりすることができる また 東京都銀座一丁目のビル内に 銀座の金沢 というアンテナショップを有しており 九谷焼や輪島塗といった石川の伝統工芸品の展示コーナー及びレストランを金沢市が設置主体として運営している 料理や石川の日本酒を提供しており 食文化をトータルで感じられる施設として 金沢及び石川の魅力を伝える場所となっている 伝統工芸展示の公的施設としては 兼六園脇に 石川県立伝統産業工芸館があり 石川県内の伝統工芸品を見ることができる ミュージアムショップでは伝統工芸品の購入が可能である 市中の土産物屋にはないモノを揃えることで 金沢市民のリピーターを増やすよう工夫している 石川県庁の指導により 石川県外の工芸品の展示に制限がかかりやすいが 石川県の伝統工芸品の良さを認識してもらうには 他県の産品も併せて展示した方がよいと 展示の責任者は考えていた 伝統工芸を活用した観光商品として 金沢市観光協会は 金沢クラフト ツーリズムをP Rしている これは 金沢 和 体験 お誂え 手づくりのタカラモノなどの体験プログラムを通じて 加賀友禅下絵書き 和菓子づくり 水引きづくりなどで金沢の伝統文化を感じてもらう取り組みである さらに プレミアムツアーとして 伝統工芸士本人から手 84

ほどきを受けられるツアーを実施している 例えば 2015 年までは 2 泊 3 日約 12 万円で実施していた加賀友禅の下絵書き体験ツアーを 内容を充実させた上で 20 万円程度の参加費で 2016 年での実施を予定している アンケート結果では 参加者の満足感が高いため 継続的に実施予定である 伝統工芸そのものを目的にして金沢を訪問する人は 多くはないものの 一定の集客は見込める 伝統工芸品の売上げ向上というよりは 金沢の魅力を味わってもらうことに主眼がある 一般観光客向けの施設として 工芸の分野毎に施設があり 加賀友禅を例にとれば 工房長町友禅館 ( 入館料 350 円 ) 加賀友禅会館( 入館料 310 円 ) などの施設で展示販売や実演 制作体験が可能となっている 金沢クラフト広坂 ( 右側の建物 ) クラフト広坂 ( 店内 ) 撮影 ) 九経調 資料 ) クラフト広坂のウェブサイトより 石川県伝統産業工芸館 ( 金沢箔 ) 石川県伝統産業工芸館 ( 九谷焼 ) 撮影 ) 九経調 撮影 ) 九経調 85