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( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /1 年 7~9 月期の近畿圏市場 1. 中古マンション市場の動き 成約価格は前年比で 3 期連続上昇 1 年 7~9 月期の近畿レインズへの成約報告件数は,9 件と 前年同期比で 1.% 増加した (P1 図表 1) 新規登録件数は 15

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不動産経済 表紙OL

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2014年2月●日

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住宅金融改革への対応状況

不在者投票請求用紙●

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中古マンション概況 首都圏における 214 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,993 件 ( 前年同期比 3.4% 増 ) で 1 期連続で前年同期を上回っています 都県 地域別に見ると埼玉県および横浜川崎地域を除く各都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

不動産経済 表紙OL

年 2 月期関西圏 中京圏 福岡県賃貸住宅指標 大阪府 京都府 兵庫県 愛知県 静岡県 福岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新

( 資料 3) 比較検討した住宅 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資料 4) 住宅の選択理由 (%) 注文住宅取得世帯分譲戸建住宅取得世帯分譲マンション取得世帯 中古戸建住宅取得世帯 中古マンション取得世帯 ( 資

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プレスリリース                        2011年9月27日

中古マンション概況 首都圏における 213 年 1~3 月の中古マンション成約は 9,663 件 ( 前年同期比 12.2% 増 ) で 6 期連続で前年同期を上回り 増加率は 2 ケタに拡大しています すべての都県 地域で前年同期を上回っています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で

1. 住宅ローン商品の特徴比較 お奨めするそれぞれの住宅ローン商品の特徴は次のとおりです 各候補の住宅ローン詳細に関しましては次ページ以降の 住宅ローン比較表 お勧めする住宅ローン および金融機関のパンフレット等にてご確認ください 特徴 候補 A 候補 B 候補 C 候補 D A 銀行 A 銀行 B

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中古マンションの平均成約価格は 2,783 万円 前年比 7.3 上昇し 4 年連続でプラス 価格指数は で前年比 9.5 ポイント上昇 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前年比 成約価格の登録価格比 成約価格 前年比 登録価格比 =( 成約価格 登録価格 -1

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Y69- 大阪 -46 職業別 昭 Y69- 大阪 音別 昭 河内版 Y69- 大阪 音別 昭 和泉版 Y69- 大阪 音別 昭 摂津版 Y69-

目 次 調査結果について 1 1. 調査実施の概要 3 2. 回答者の属性 3 (1) 主な事業地域 3 (2) 主な事業内容 3 3. 回答内容 4 (1) 地価動向の集計 4 1 岐阜県全域の集計 4 2 地域毎の集計 5 (2) 不動産取引 ( 取引件数 ) の動向 8 1 岐阜県全域の集計

目 次 [Ⅰ] 調査方法 2 [Ⅱ] 地域区分図 3 [Ⅲ] アンケート調査票 4~5 [Ⅳ] 第 2 回不動産市況 DI 調査結果の概要 6 [Ⅴ] 設問ごとの回答内訳 [-1] 設問 2,3( 住宅地価格 ) 7~9 [-2] 設問 2,3( 商業地価格 ) 10~12 [-3] 設問 2,3(

Microsoft Word NO0173

2011年12月21日

経済見通し

年 4 月期関西圏 中京圏賃貸住宅指標 大阪府京都府兵庫県愛知県静岡県 空室率 TVI( ポイント ) 募集期間 ( ヶ月 ) 更新確率 (%)

お使いみち JA 住宅ローン商品概要 ( 基金協会保証型 KHL 保証型 ) 住宅の新築 増改築 住宅および敷地の購入 マンション購入 中古住宅購入 住宅用土地の購入 (2 年以内に住宅を新築し 居住することが条件です ) 住宅金融支援機構 ( 旧住宅金融公庫 ) 他行住宅ローンの借換え 上記の付帯

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( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート ズームイン 住宅取得等に関する公的支援 2019 年 10 月に予定されている消費税率 10% への引き上げを控え 住宅取得時の増税の影響を緩和する国の各種対策が打ち出されている 今回はこうした各種支援策を改めて整理するとともに 近畿圏の主要自治体にお

< 調査結果 > 住宅ローン完済まで平均 13.7 年 当初の予定より繰り上げた期間平均 11.2 年 Q. 住宅購入時の 住宅価格 頭金額 親からの援助額 住宅ローン借入額 住宅ローンを組んだ時に設定した返済期間 繰り上げ返済した期間 ローン完済までの期間 年収 ( 住宅購入時 ) 年齢 ( 住宅

報道関係者各位 2019 年 2 月 1 日野村不動産アーバンネット株式会社 リリースカテゴリー 都市型コンパクトタウン 都市再生 地方創生グローバルへの取組み不動産テック 働き方改革健康 介護ニーズ社会課題定期報告 レポート 不動産情報サイト ノムコム 住宅購入に関する意識調査 ( 第 16 回

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中古マンションの平均成約価格は 2,661 万円 前比.4 上昇 前年同比は 5 か連続下落 価格指数は で前比.6 ポイント上昇 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前比 前年同比 成約価格の登録価格比 成約価格 前比 前年同比 登録価格比 東京 23 区 3,

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中古マンションの平均成約価格は 2,547 万円 前比 4. 下落 前年同比は 2 か連続下落 価格指数は で前比 5.3 ポイント低下 ( 詳細は 8~12 ページ ) 中古マンションの成約価格 前比 前年同比 成約価格の登録価格比 成約価格 前比 登録価格比 =( 成約価格 登録価格

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目次 1 調査概要 P2~P4 2 平成 29 年度の販売見込みについて ( 住宅事業者 ) P5~P6 3 平成 29 年度の住宅の買い時感について ( 一般消費者 ) P7 4 住宅で重視するポイントは?( 住宅事業者 一般消費者 ) P8~P9 5 建物の性能で重視する事項は?( 住宅事業者

届出番号 届出届出届出 1 政党等の名称社会民主党 2 政党等の名称国民怒りの声 3 政党等の名称おおさか維新の会 4 政党等の名称公明党番号番号番号 整理整理整理整理名簿登載者名得票数名簿登載者名得票数名簿登載者名得票数番号番号番号番号よこやま信一長沢ひろあき浜田まさよし熊野せいし谷あい正明あきの

空 白

中古マンション概況 212 における首都圏中古マンションの成約は 31,397 件 ( 前比 8.7% 増 ) 3 ぶりに前を上回り 過去最高のとなっています 都県 地域別に見ても すべての都県 地域で増加となっています の 1 m2当たり単価は首都圏平均で 万円 ( 前比 1.9% 下

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個信センター概要

Ⅰ.市場の総括 (1) 首都圏マンション市場 新規供給 数 2,260 件 35,898 前年 (35,772 ) 比 0.4% 増 4 年ぶりに前年を上回る 総販売 数 35,952 前年 (35,043 ) 比 2.6% 増 新規物件の平均初 販売率 68.1% 前年 (68.8%) より0.7

21/6/18 融資概要と仕組み 融資概要と仕組み 借入内容 19,4, 借入年数 3 年 73,31 ボーナス月の加算支払額 シート内のグラフは月々返済のみ 変動なしで計算した場合で表記 しています ローンの内訳って こういうふうになって いるんだね ,4,

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2011年12月21日

固定金利特約期間(3 年 5 年 10 年 ) 中は毎月の元利金返済額の変更はありません ご指定いただいた指定口座から自動で返済いただきます 9. 保証人 原則 2 名以上必要です 10. 担保 当該融資対象物件( 土地 建物 ) および対象物件( 建物 ) の底地が自己所有 家族所有 の場合はその

公表資料2014セット版

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木造住宅の価格(理論値)と建築数

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Transcription:

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート ズームイン住宅ローン事情 214 消費増税対策の一つとして住宅ローン減税の拡充が行われたが 金融機関による貸出競争が続くなか 新たなローン商品や新規参入行の存在も目立ってきた 今回は現状における住宅ローンの利用状況などを踏まえながら ローンを比較する際のポイントについて紹介する 1. 住宅ローンを取り巻く環境 長期金利は史上最低水準にあり 変動金利も低い水準にとどまっている ( 図表 1) 住宅ローンの新規貸出額も 12 年以降拡大しており 旺盛な住宅需要を裏付けている ( 図表 2) 金融機関による住宅ロ-ンの審査では資産状況や物件の担保価値より 借入者の返済能力を重視する傾向が強い 2. 住宅ローンの商品構成 住宅ローンの返済期間は平均 25.2 年で ローンシミュレーションでは 35 年より短い期間を前提とする必要がある 金利タイプは変動型が依然多いが 最も伸びているのは固定期間選択型である 変動型は都市銀行等での利用が多く 信用金庫等では固定型が多い また 3~4 歳代の中堅所得層では変動型の選択が多いが それ以外の年齢 所得層は固定型を選ぶ世帯が比較的多い 住宅ロ-ンの決定に影響を与えたのは住宅販売業者が最も多く その役割は依然として大きい 3. 住宅ローン選択のポイント 近年はネット系 流通系銀行など様々なローン商品が提供されており その比較 検討が容易なのがインターネットの比較サイトである 開発中の商品では 申込時の金利適用ローンが注目される 現状では変動型から固定型までの金利差が小さいため わずかな金利上昇でも変動型が長期固定型を上回る返済を強いられる可能性があるため 注意が必要だ 図表 1 住宅ローン金利等の推移図表 2 住宅ローン新規貸出額の推移 ( 国内銀行 ) (%) 9. 8. 7. 6. 5. 4. 3. 2. 長期プライムレート 都市銀行 ( 固定金利 ) 都市銀行 ( 変動金利 ) 公庫 機構 ( 基準金利 / フラット 35) 固定金利は96 年 2 月以降 固定期間選択型 1 年 ( 三井住友銀行 ) の店頭金利 公庫 機構の金利は5 年 7 月以降フラット35 取扱金融機関の平均資料 : 日本銀行 住宅金融支援機構他 3.6 2.475 2.8 1.2 1. '8889 991 929394 9596 9798 991 23 45 678 91 1112 1314 ( 貸出額 兆円) ( 前年比 %) 7. 2 6. 5. 4. 3. 2. 1.. -6 ⅠⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠ ⅡⅢⅣⅠⅡ '1 '2 '3 '4 '5 '6 '7 '8 '9 '1 '11 '12 '13 資料 : 住宅金融支援機構 国内銀行新規貸出額 新規貸出額前年同期比 1-1 -2-3 -4-5 ( 年四半期 ) 214/5 No.53 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 1. 住宅ローンを取り巻く環境 金融緩和に伴い歴史的低金利続く 14 年 4 月から消費増税が実施され 住宅需要の駆け込み反動対策の一つとして住宅ロ-ン減税が拡充された その詳細は No.51 のズームインに譲るが 足元では新築住宅を中心に反動の影響が続いている ただ 昨年来の大規模な金融緩和に伴い歴史的な低金利に変化はなく 金融機関の貸出競争は激化している 住宅ロ-ン固定金利との関係が指摘される長期金利は史上最低水準にあり 短期プライムレートに連動する変動金利も 9 年 9 月以降低い水準にとどまっている (P1 図表 1) 現状における金融機関の店頭金利は 最も利用が多い変動金利型で 2.475% がほとんどだが 実際はさらに 1.5% 前後低い優遇金利が適用されるケースが多い 固定金利型も同様の優遇金利が適用されるため 実際の借入金利は 1% 台が珍しくない 住宅ローンの新規貸出額も 12 年以降拡大しており 旺盛な住宅需要を裏付けている (P1 図表 2) 強い貸出姿勢 一方で問われる返済能力 金融機関の個人向け貸出動向をみると 金融機関側の貸出スタンスはリーマンショック以後回復し 資金需要も 12 年から大幅に改善している ( 図表 3) これは上記の新規貸出額に対応しており 住宅ロ -ンに対する需要 供給双方が活発に動いていることがわかる 一方 金融機関が住宅ロ-ンを貸し出す際の審査項目としては 返済負担率 を重視する比率が最も高く 職種 勤務先 雇用形態 がこれに次ぐ ( 図表 4) 借入比率 や 借入者の社会属性 も重視されて 図表 3 金融機関の個人向け貸出動向 図表 4 金融機関で重視度が増している審査項目 (D.I.) 5 4 3 2 1 個人向け住宅ローン 資金需要判断 個人向け貸出運営スタンス 返済負担率 ( 毎月返済額 / 月収 ) 職種 勤務先 雇用形態 借入比率 ( 借入額 / 担保価値 ) 借入者の社会属性 返済途上での返済能力の変化 (%) 2 4 6 8 37.3 33.7 35.3 37.3 27.4 31.7 5.2 51.5 64.4 63.7-1 預貯金や資産の保有状況 26.1 24.1-2 Ⅰ '1 ⅢⅠ '2 ⅢⅠ '3 ⅢⅠ '4 ⅢⅠ '5 ⅢⅠ '6 ⅢⅠ '7 ⅢⅠ '8 ⅢⅠ '9 ( 年四半期 ) 資料 : 主要銀行貸出動向アンケート調査 日本銀行 ⅢⅠ '1 ⅢⅠ '11 ⅢⅠ '12 ⅢⅠ ⅢⅠ '13 '14 担保となる融資物件の時価 19.5 213 年度 19.5 212 年度特になし 14.2 11.9 出典 : 213 年度民間住宅ローンの貸出動向調査 214.1 住宅金融支援機構 214/5 No.53 2

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 2. 住宅ローンの商品構成 おり 預貯金等の資産状況や物件の担保価値より 借入者の継続的な返済能力の審査を重視する傾向が強まっている 平均貸出期間は 25 年増える固定期間選択型 住宅ロ-ンの新規の約定貸出期間 ( 返済期間 ) は 26~3 年が最も多く 12 年度時点で 41.7% を占め 21~25 年がこれに次いでいる 平均貸出期間は 25.2 年となっており 定年など完済時年齢を考慮した結果とみられる 借入時には 一般的に最も長い借入期間である 35 年で返済シミュレーションを行うことも多いが 実際の返済期間は 35 年より短い条件で検討する必要がありそうだ 買い替え 売却や繰上返済などで住宅ロ-ンを完済する際の返済経過期間は 1 年以下が最も多く 12 年度は 41.% を占め 11~15 年がこれに次ぐ 特に 11~15 年の比率が拡大しており 金融機関による借り換え競争や積極的な繰上返済の広がりが影響しているとみられる ( 図表 5) 借入時に悩む金利タイプでは 固定型のローンを選ぶケースが増えている 低金利を背景に変動型を選択する比率は依然として高いが 13 年 7~1 月期時点で 41.3% まで低下している 全期間固定型も 25.3% と緩やかに上昇しているが 最も伸びているのは固定期間選択型だ 2 年から 1 年以上までの同タイプは合わせて 33.4% と 変動型に次ぐシェアを占めている ( 図表 6) こうした動きは 13 年 3~6 月期以降高まっており 昨年来の大幅な金融緩和の一方でインフレ 図表 5 住宅ロ - ンの貸出期間 図表 6 住宅ロ - ン利用者の金利タイプの変化 約定貸出期間 % 2% 4% 6% 8% 1% 212 年度 4.5 14.8 3.9 41.7 7.6 ( 平均 25.2 年 ) 211 年度.4 3.5 13.9 34.6 39.8 6.9 ( 平均 25.2 年 ) 21 年度 1.3 4.4 15.9 32.5 38.9 7.9 ( 平均 25.3 年 ) 29 年度.4 3.9 14.5 32.9 38.8 7.5.4 ( 平均 25.1 年 ) 2. 完済債権の平均経過期間 212 年度 211 年度 41. 41.4 28.8 24.2 19.2 19.1 8.32.6 12.13.2 (%) 2 4 6 8 1 '11 年 7~1 月 52.7.6 3.76.2 17. 19.7 '11 年 11 月 ~'12 年 2 月 '12 年 3~6 月 '12 年 7~1 月 51.4 54.6 53.6 1.5 3. 6.8 15.8.5 4.15.5 12.1.7 4.86.2 12.7 21.3 23.2 21.9 '12 年 11 月 ~'13 年 2 月 '13 年 3~6 月 51. 43.5.7.9 3.46.8 5.3 8.9 14.8 16.3 23.1 25.4 21 年度 4.3 19.9 23.6 11.5 4.7 '13 年 7~1 月 41.3.8 5.7 7.6 19.3 25.3 29 年度 39.7 18.5 25.4 12.7 3.7 1 年以下 15 年以下 2 年以下 25 年以下 3 年以下 35 年以下 35 年超出典 : 213 年度民間住宅ローンの貸出動向調査 214.1 住宅金融支援機構 変動型 固定期間選択型 2 年 固定期間選択型 3 年 固定期間選択型 5 9 年 固定期間選択型 1 年以上 全期間固定型 出典 : 213 年度民間住宅ローン利用者の実態調査 214.2 住宅金融支援機構 214/5 No.53 3

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 図表 7 借入先 ( 金融機関 ) 別の利用金利タイプ (%) 2 4 6 8 1 都銀 信託銀行 48.3.9 6.5 8.1 8.5 27.7 地方銀行 51.6.5 4.4 4.4 28.6 1.4 第二地方銀行 51.6 1.9 4.7 17.2 15.6 信用金庫 26.7 1.211.6 33.7 26.7 信用組合 15.8 5.3 21.1 15.8 42.1 労働金庫 22.4 7.51.5 4.3 28.4 JA バンク 26.4 1.9 1.9 17. 3.2 22.6 変動型 固定期間選択型 2 年 固定期間選択型 3 年 固定期間選択型 5 9 年 固定期間選択型 1 年以上 全期間固定型 出典 : 213 年度民間住宅ローン利用者の実態調査 214.2 住宅金融支援機構 期待に働きかける政策が続いており 将来的な金利上昇に備える動きが活発化している 世帯属性 金融機関で異なる金利タイプ 借り入れ先の金融機関によっては利用される金利タイプに違いもみられる 依然としてシェアが高い変動型は 都市 信託銀行や地方銀行に多く 全体の半数前後占める 信用金庫や信用組合などは固定期間選択型や全期間固定型が多く 各金融機関の主要顧客や主力とするローン商品構成の違いが現れているようだ ( 図表 7) 借入者の属性によっても金利タイプは変化する 年齢別では 4 歳代における変動型の利用率が相対的に高く 5 歳代や 2 歳代では全期間固定型が多くなる 年収別には 年収 6~1,5 万円の世帯で変動型の比率が高く 6 万円未満や 1,5 万円以上では全期間固定型が多くなる ( 図表 8) 持家取得のボリュームゾーンである 3~4 歳代の中堅所得層では変動型を選択するケースが多いが それ以外の年齢 所得層は固定型を選ぶ世帯が多い 返済者の年齢やライフステージの変化を考慮した結果とみられるが 金利タイプや金融機関を選ぶ際はローン商品を一律に捉えるのではなく 将来に渡る生活設計を見据えながら個人の条件に合った選択を行う必要があると言えよう 実際の借入決定では事業者の役割大 住宅ロ-ンを利用する際に影響のあった媒体等をみると 住宅 販売事業者 が最も多く全体の 3 割以上を占める 次いで 金融機関 インターネット などの順となっており 住宅購入時に付き合った事業者による斡旋 紹介に従うケースが多い クチコミやマスコミ 専門家によるアドバイスなどは少数派で 住宅ローンに関する一般的 214/5 No.53 4

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 図表 8 世帯属性別の利用金利タイプ 年齢別 (%) 2 4 6 8 1 世帯年収別 (%) 2 4 6 8 1 2 歳代 4.4 2.6 1.8 14.9 9.6 3.7 4 万円以下 35.2 2.9 6.7 17.1 9.5 28.6 41 6 万円 35.7 7.1 4.8 17.7 6.4 28.3 3 歳代 41.1 4.5 5.9 16.8 7. 24.5 61 8 万円 45.2 6.7 4.1 17.4 4.8 21.8 4 歳代 45.3 8. 5.1 17. 4.8 19.6 81 1 万円 46.1 3.3 5.9 16.4 4.6 23.7 11 15 万円 47.9 5.1 5.1 11.1 7.7 23.1 5 歳代 33.3 6.7 4.4 13.3 5.9 36.3 15 万円超 37.8 6.7 4.4 8.9 13.3 28.9 変動型 固定期間選択型 3 年 固定期間選択型 5 年 固定期間選択型 1 年 その他 全期間固定型 出典 : 213 年度民間住宅ローン利用者の実態調査 214.2 住宅金融支援機構 変動型固定期間選択型 5 年その他 固定期間選択型 3 年固定期間選択型 1 年全期間固定型 な知識の習得ではなく 具体的な借り入れ時には販売業者の役割が依然として大きい ( 図表 9) ちなみに金融機関側の住宅ロ-ンの販売チャンネルも事業者によるルートが中心で 顧客に対する個別の対応などは少ない このため事業者側における住宅ロ-ンに関する最新の商品知識や利用可能な金融機関との関係構築が重要であると同時に 借入者も様々な媒体を通じて利用条件に関するメリットやリスクに 図表 9 住宅ロ - ン決定に際して影響が大きかった媒体等 住宅ロ-ン利用者 (%) 1 2 3 4 住宅 販売事業者金融機関インターネット勤務先 ( 福利厚生等 ) クチコミモデルルーム 住宅展示場住宅金融支援機構新聞記事フィナンシャルプランナー等折込チラシ住宅情報誌新聞広告テレビ雑誌 ( 住宅情報誌除く ) ダイレクトメール講演 セミナーラジオポスター等の屋外掲示交通機関の車体 車内広告その他 12. 6.6 6.3 5.2 4.1 3.9 3.8 3.4 2.9 2.6 2.4 2. 1.8 1.1 1.1 1..6 9.7 18.2 32.4 < 参考 > 金融機関側の住宅ロ-ンの販売チャンネル (%) 1 2 3 4 住宅事業者ルート 32.4 窓口等での個別対応 18.2 取引企業等の職域ルート 12. 折込チラシ等によるエリア戦略 6.6 クチコミや顧客紹介 6.3 インターネットの活用 5.2 マスメディアによるイメージ戦略 4.1 出典 : 213 年度民間住宅ローンの貸出動向調査結果 214.1 住宅金融支援機構 出典 : 213 年度民間住宅ローン利用者の実態調査 214.2 住宅金融支援機構 214/5 No.53 5

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 図表 1 利用した住宅ロ - ンを選んだ決め手 (%) 2 4 6 8 金利が低い繰上返済手数料が安かった住宅 販売事業者に勧められた金利が上昇する可能性があるから繰上返済が少額から可能だった保証料が安かった諸費用が安かった勤務先などで馴染みがあった借入審査結果が早くわかった取得費をほぼ全額を賄えた他のローンが利用できなかった金融機関の対応が丁寧だったつなぎ融資を借りなくて良かった返済中もサポート体制がある提携ローンで決まっていたから金融機関に勧められたクチコミによる勧めがあったファナンシャルフ ランナー等に勧められたホームページがわかりやすかったコールセンターが丁寧だった 8.2 6.6 6.5 6.1 5.2 5.1 4.8 4.3 3.4 2.9 1.9 1.2 14.5 14.1 13.5 13. 1.6 2.3 19.4 65.7 出典 : 213 年度民間住宅ローン利用者の実態調査 214.2 住宅金融支援機構 ついて 事前に十分検討する必要がある 借入者が住宅ロ-ンを選んだ決め手としては 金利が低い ことを挙げる回答が圧倒的に多い ( 図表 1) 金利はもちろん重要な要素だが 後述するように借入期間や金利タイプによっても毎月返済額や総支払額は大きく変化する 将来的な世帯構成や年収 家計支出の変化など多面的な要素を考慮した上で 必要に応じて住宅ロ-ンアドバイザーやファイナンシャルプランナーなどの助言も得ながら 適切な返済計画を立てることが重要となろう 3. 住宅ローン選択のポイント 活用したい住宅ローン比較サイト 最近では インターネット系や流通系金融機関も含めて様々な住宅ローン商品が提供されている 優遇後の適用金利や保証料等の手数料のほか 繰上げ返済や新規借入と借り換え時の条件 疾病時の特約や 預金残高連動 環境配慮 住宅の質による金利優遇など様々な商品が登場している 借り手によって有利な条件が変わるケースも多いが そうしたなかで適切なローン商品を比較 検討できるのがインターネット上の比較サイトである 214/5 No.53 6

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 図表 11 住宅ロ - ン比較サイトの例 (Sumai-web.TV / 住宅金融普及協会 ) 現在では銀行系や不動産情報のポータルサイト系など多くのサイトが存在するが ここでは ( 一社 ) 住宅金融普及協会が提供するサイト (Sumai-web.TV/URL:http://www.sumai-web.tv/loan_kinri/index.php) を挙げておく ( 図表 11) このサイトでは全国 479 金融機関 (14 年 5 月現在 ) の住宅ローン金利情報などが毎月更新されており 都市銀行や地方銀行 信用金庫などの金融機関種別や都道府県別に住宅ロ- ン商品の絞り込みができる 商品名を選ぶとその金融機関のサイトにジャンプするほか 金利タイプごとに低い金利での並び替え機能もあり比較が容易である 金利情報だけでなく住宅ロ-ン選びのポイントに関する動画紹介や住宅ロ-ンアドバイザーの検索機能もあり 初期情報を得るには十分な内容となっている 214/5 No.53 7

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 図表 12 主な新規参入行の住宅ロ - ン取り扱い状況 2 年以降設立の新規参入 8 行の住宅ローンの取り扱い概要 種類 自社ローン 銀行代理店 フラット35 ソニー銀行 ネット 住信 SBIネット銀行 ネット 楽天銀行 ネット イオン銀行 流通 セブン銀行 流通 じぶん銀行 ネット ジャパンネット銀行 ネット 大和ネクスト銀行 ネット 各銀行の住宅ローンの特徴特徴ソニー銀行 来店不要で全国対応仮審査申込みはインターネット 正式申込みは郵送 借入れ最大 1 億円 最長 35 年返済可保証料 団体信用生命保険料無料 金利タイプ変更 繰り上げ返済インターネット可複数金利タイプの組み合わせ可 返済期間短縮 期間据え置き可 回数制限なし最低水準の低金利住信 SBIネット銀行 来店不要で全国対応新規 借換え問わず最低水準の低金利 保証料 団体信用生命保険料無料 8 疾病保障が基本付帯 繰上返済は1 円からOK 手数料も何度でも無料楽天銀行 申込 契約来店不要連絡はTEL FAX 郵送は顧客用専用ページ 各金利タイプほかフラット35は最低水準の低金利 フラット35と変動金利を併せた融資商品 フラット35の融資事務手数料が最低水準イオン銀行 最低水準の低金利保証料 繰上返済手数料無料 イオンでの買い物が5% オフ 8 疾病保障付きもあり インターネットで借入までの手続き来店不要ほか 全国 11 店舗で相談受付資料 : 各金融機関ホームページ等より 押さえておくべき新規参入行の特徴 住宅ロ-ン商品で近年注目を集めているのが インターネット系及び流通系の金融機関である ( 図表 12) 2 年以降設立が相次いだネット専業系や小売流通系の各銀行は 店舗や人員などの運営コストを抑え 金利 手数料などで既存の銀行との差異化を打ち出している その特徴は上表に示すとおりだが 来店不要で相談から融資手続きまでを全てネット上で行えるものや 窓口併設店舗の買い物代金を割り引くものなど利便性や集客効果を高めるサービスが特徴となっている ただ 中には商品数が限定されたり自社ローンを扱わず代理店機能のみの銀行もあるほか 審査基準が厳しいところもあるようだ 前述の比較サイトなど有効に活用し 十分な情報を収集しながら個々の条件に合った適切な選択を行うことが肝要である 環境配慮や住宅の質の確保で金利優遇も 新たな住宅ロ-ン商品に関する国土交通省の調査結果をみると 近年の優遇制度は大きく 5 つのタイプに分かれる そのうち既に商品化されている比率が高いのが 環境配慮型 と 住宅の質誘導型 である 双方とも金融機関の 3 割以上が取り扱っており 省エネ性能や耐震性 バリアフリー等の住宅性能を高めた住宅を取得する際には適用される可能性があり検討に値する 214/5 No.53 8

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 図表 13 新たな住宅ローン商品への取り組み状況 金融機関の優遇制度の取り扱い状況 A B C D E 環境配慮型 35.2% 3.% 6.8%.2%.9% 住宅の質誘導型 32.2% 3.6% 61.9% 1.6%.6% 少子化対策型 14.3% 1.1% 83.7%.5%.5% 預金連動型.9% 2.% 96.4%.7%.% その他 22.5%.2% 76.9%.%.4% A 現在商品として取り扱っている B 商品化を検討中 C 商品化の予定はない D 商品化したいが 課題があってできない E 取り扱っていたが 廃止した 資料 : 213 年度民間住宅ローンの実態に関する調査の結果について 国土交通省 開発 検討中の住宅ロ-ン商品 (%) 2 4 6 8 1 申込時の金利が適用可能なローン返済期間 35 年超の超長期住宅ロ-ンサービス付き高齢者向けアパートローン リバースモーゲージ マンション共用部分の修繕リフォーム向けローンマンション建替えのためのローン自宅を賃貸し 賃料を担保とした住宅ロ-ン売却後 買主への債務継承を前提とした住宅ロ-ン 7.1 4.5 3.5 1. 15.2 13.1 21.2 78.3 出典 : 213 年度民間住宅ローンの貸出動向調査結果 214.1 住宅金融支援機構 また 開発 検討中の商品として最も可能性があるのが 申込時の金利が適用されるローン である ( 図表 13) 既に採用している金融機関もあるようだが 一般的な住宅ロ-ンでは引き渡し時の金利が適用されることが多く 申し込み時点から融資承認を得て引き渡されるまでに金利が変動してしまう可能性があった 当該商品はこうした懸念を払拭するものとして 積極的な商品化が期待される 注意したい金利上昇と返済額の増大 冒頭でみたように 住宅ロ-ン金利は史上最低水準を維持しているが 逆を言えばこれ以上の低下余地はほとんどなく インフレ期待に働きかける現在の経済政策下では将来的に金利が上昇する可能性が高い 変動型の貸出シェアの低下が示すように 今後の借り入れにおいては金利上昇を見込んだ資金計画の検討が必須と言える そこで 金利タイプ別に現状の水準に.5% 刻みで利率が上昇すると仮定して 毎月返済額や支払い総額がどのように変化するか簡単なシミュレーションを行った ( 図表 14) 試算の前提条件は次ページのとおりだが 結果をみると最も利率が低い変動型と長期固定のフラット 35 の毎月返済額の差は 1.6 万円強にとどまる 金利上昇の影響を受けやすい変動型の場合 1% を超えて利率が上昇するとフラット 35 の返済額を上回ることになる 利用が拡大している固定期間選択型の 1 年物では.5% 上昇するとフラット 35 とほぼ同水準の返済額となる 現状では変動型から固定型までの金利差が小さいため わずかな金利の上昇でも長期固定型を上回る返済を強いられる可能性がある 214/5 No.53 9

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポートズームイン / 住宅ローン事情 214 図表 14 金利上昇に伴う返済額の変化 返済期間 25 年 借入金額 3, 万円 ( 元利均等返済 / ボーナス返済なし ) のケース 金利タイプ 現状金利 金利の上昇幅 +.5% +1.% +1.5% +2.% 変動型利率.775% (1.7% 優遇後 ) 1.28% 1.78% 2.28% 2.78% 当初毎月返済額 11,32 円 116,835 円 123,896 円 131,211 円 138,777 円 元金 元利総支払額 3,31 万円 3,55 万円 3,717 万円 3,936 万円 4,163 万円 固定期間選択型 3 年利率 1.% (1.7% 優遇後 ) 1.5% 2.% 2.5% 3.% 当初毎月返済額 113,62 円 119,981 円 127,156 円 134,585 円 142,263 円 元金 元利総支払額 3,392 万円 3,599 万円 3,815 万円 4,38 万円 4,268 万円 固定期間選択型 5 年利率 1.15% (1.7% 優遇後 ) 1.65% 2.15% 2.65% 3.15% 当初毎月返済額 115,11 円 122,17 円 129,358 円 136,863 円 144,615 円 元金 元利総支払額 3,453 万円 3,663 万円 3,881 万円 4,16 万円 4,338 万円 固定期間選択型 1 年利率 1.4% (1.7% 優遇後 ) 1.9% 2.4% 2.9% 3.4% 当初毎月返済額 118,576 円 125,71 円 133,79 円 14,78 円 148,583 円 元金 元利総支払額 3,557 万円 3,771 万円 3,992 万円 4,221 万円 4,457 万円 長期固定 ( フラット35) 利率 1.958% ( 融資率 9 割以下 ) 金利変動なし 当初毎月返済額元金 元利総支払額 126,544 円 3,796 万円 同左同左 * 現状金利はみずほ銀行の例 自己資金 2% 以上の 全期間重視プラン が利用可能と想定した場合 * 融資に伴う諸費用 ( 保証料 手数料等 ) は見込まない 借入当初の毎月返済額 元金 元利支払い総額 借入時に少しでも返済額を抑える努力は必要だが 目先の金利を重視し過ぎると経済環境の変化で返済計画の変更を余儀なくなれる恐れがある 返済額の縮小には自己資金率を高めることが定石であり 金利タイプの選択には注意が必要だ この試算はあくまで保証料等を見込まない目安であり 実際の借り入れにあたっては諸費用を含めた総支払額や借入期間中の返済額の変化など 長期に渡るトータルコストを把握しておくべきである 住宅金融支援機構 フラット 35 のホームページ (URL : http://www.flat35.com/index.html) では 保証料や印紙代など借り入れに係る全ての経費を含んだ資金計画シミュレーションができるため活用したい 住宅購入時には物件の探索に注力しがちだが 住宅ロ-ンを利用する際はまずは資金調達の方法に重点をおいて検討を始めるべきである 先行き不透明な現状での住宅購入においては 様々なケースを想定した十分な比較 検討を心がけたい 214/5 No.53 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート 特集 物件価格と取得能力 消費増税や建築費の上昇で減速する新築住宅市場に対して堅調な中古住宅市場だが その要因の一つに挙げられるのが取得能力に見合った安価な物件価格である 今回は 様々な世帯年収や住宅ロ-ンの借入条件に基づくシミュレーションから 中古住宅価格と取得能力の関係を探る 1. これまでの価格の推移 13 年度の府県別の中古マンション価格は 和歌山県を除く各府県で上昇に転じた 中古戸建価格も京都府 滋賀県 奈良県で上昇し 中古市場は総じて堅調に推移している ( 図表 1) 中古 新築 マンション 戸建では価格 面積水準に明確な差があり 種別やエリアによって各市場がセグメント化されている 中古戸建は床面積が拡大し 相対的な買い得感が増している 2. 物件価格と取得能力 最も厳しい条件のシミュレーションでは 年収 4 万円の世帯で 1,966 万円の物件が購入可能で 年収 6 万円では 2,949 万円 年収 8 万円では 3,932 万円まで購入可能 上記条件では 近畿圏の新築マンションは年収 8 万円世帯でゆとりある取得が可能 新築戸建住宅は 6 万円の世帯 中古マンション 中古戸建は 4 万円までの世帯で取得可能となっている 中古マンションは各府県とも年収 4 万円で購入可能なラインに収まっており 中古戸建は兵庫県と京都府が年収 4 万円をわずかに超えるほかは中古マンションと同様の水準にある 3. 取得能力からみたエリア別価格の水準 2 部屋以上のファミリータイプの中古マンションでは築 1 年以下の築浅物件を除くと 各都市とも概ね年収 6 万円未満でゆとりある購入が可能となっている 中古戸建は 築 1 年以下で年収 4~6 万円世帯が購入可能な都市が最も多く 全体の 68.% を占めた 築 11 年以上では年収 4 万円未満で購入可能な都市が多くなるが 築 11~2 年では年収 8 万円以上を必要とする都市が全体の 4.8% を占め 築浅に限らず高額な所得が求められる 図表 1 府県別中古住宅成約価格の推移 2,1 中古マンション 3,25 中古戸建住宅 1,9 1,7 3, 2,75 2,5 1,5 2,25 1,3 1,1 2, 1,75 1,5 9 7 1,25 1, 75 5 99 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 大阪府 兵庫県 京都府 年度 滋賀県 奈良県 和歌山県 5 99 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 年度 大阪府 兵庫県 京都府 滋賀県 奈良県 和歌山県 214/5 No.53 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 1. これまでの価格の推移 堅調に推移する中古住宅市場 近畿圏の中古住宅価格は マンション 戸建住宅ともに 213 年度に上昇の動きが広がった 府県別価格の推移をみると 中古マンションは 8 年度から上昇が停滞するエリアが多かったが 11 年度から奈良県が 12 年度から兵庫県が上昇に転じ 13 年度は和歌山県を除く各府県で上昇した 中古戸建住宅も 8 年度以降は弱含みの傾向が続いたが 13 年度は京都府 滋賀県 奈良県が上昇するなど 中古住宅市場は総じて堅調に推移している (P1 図表 1) 新築住宅市場は消費増税後の販売減速が目立ち 建築費の高騰などを背景に停滞感が広がっている 一部企業では賃金の上昇も話題にのぼるが 不動産の購入マインドは低下しており 今後の物件価格が所得水準に見合うかが注目される 今回は所得に基づく住宅の取得能力の視点から様々な条件下でシミュレーションを行い 新築との比較も行いながら中古住宅価格の水準を捉えることにする 価格 住戸規模の変化小さい中古マンション まず 近畿圏の中古 新築物件の価格と戸当たり床面積の水準を 1 年度から 13 年度にかけた時系列でみると 中古マンションの変化は小さく 中古戸建は安価な水準のまま住戸規模が広くなる傾向にある 新築マンション発売価格は緩やかに上昇する一方 戸当たり面積は狭くなっており 価格の上昇を規模の縮小で抑える動きがみられる 新築戸建住宅は住戸規模に大きな変化はないが 成約価格の下落が目立つ ( 図表 2) 図表 2 中古 新築住宅価格と戸当たり床面積 4,5 4, 3,5 3, 2,5 2, 13 年度 (3,487 万円 68.7 m2 ) 13 年度 (1,769 万円 69.8 m2 ) 近畿圏平均 ( 時系列 ) 1 年度 (3,221 円 77.8. m2 ) 1,5 1 年度 (1,574 万円 69.8m2 ) 13 年度 (1,841 万円 14.3m2 ) 1, 65 7 75 8 85 9 95 1 15 戸あたり床面積 ( m2 ) 中古マンション 中古戸建住宅 13 年度 (2,717 万円 97.2 m2 ) 資料 :( 一社 ) 近畿圏不動産流通機構 不動産経済研究所 1 年度 (3,54 万円 96.3 m2 ) 1 年度 (2,424 万円 99.4 m2 ) 新築マンション 新築戸建住宅 府県別 (213 年度 ) 4,5 京都 4, 兵庫 奈良 3,5 大阪 3, 滋賀京都大阪兵庫 2,5 和歌山 奈良 滋賀 兵庫 2, 京都兵庫和歌山奈良京都 1,5 大阪滋賀大阪滋賀 1, 奈良和歌山 和歌山 5 6 65 7 75 8 85 9 95 1 15 11 115 12 戸あたり床面積 ( m2 ) 中古マンション 新築マンション 中古戸建住宅 新築戸建住宅 214/5 No.53 2

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 中古 新築 マンション 戸建 でセグメント化 13 年度の府県別の水準をみると マンションでは中古 新築とも京都府の価格が高く 面積は奈良県が最大 戸建は中古が兵庫県 新築は京都府の価格が高く 面積は中古が奈良県 新築は滋賀県が最も広い 府県別価格の最高値と最低値の差は中古マンションが 1,49 万円に対し 新築マンションは 1,49 万円と大きい 中古戸建住宅は 995 万円 新築戸建住宅は 976 万円と両者の差は相対的に小さい 近畿圏全体の中古と新築マンションの価格差は 1 年度の 1,647 万円だったが 13 年度は 1,717 万円と大差ない 一方 専有面積は 1 年度の中古が新築より 8. m2狭かったが 13 年度は中古が 1.1 m2広くなり 取引物件の平均住戸規模は逆転している このように 中古と新築 マンションと戸建では近年の価格動向に違いがあり エリア別の価格 面積水準にも明確な差異がある 対象となる購入需要層は異なり 物件種別やエリアによって各市場がセグメント化されている様子がうかがえる また 中古マンションの専有面積は新築と同水準となり 中古戸建も戸当たり床面積が拡大するなど相対的な買い得感は拡大していると考えられる 2. 物件価格と取得能力 年収 6 万円で約 3 千万円の物件が購入可能 こうした物件価格の違いに対し 需要層の取得能力がどの程度の水準にあるのか 住宅の購入可能額との対比から探ることにする ここでは 世帯年収別に一定の自己資金を確保しつつ ゆとりある返済を前提とした住宅ローンを組んで どの程度の物件が購入可能かシミュレーションを行った 世帯年収は一般的な中堅所得層のレンジに該当する年収 4 万円 6 万円 8 万円の 3 つを想定した 年収に対する返済負担率は余裕を持たせ 2% 物件価格に対する自己資金の割合も 2% とした 取得能力を左右する借入期間は 25 年と 35 年に設定し 金利を現状の平均的な水準である 1.% 1.5% 2.% を条件に 6 つのケースを設定した その結果をみると 最も条件が厳しい ケース 1 では年収 4 万円の世帯で 1,966 万円の物件が購入可能であり 年収 6 万円では 2,949 万円 年収 8 万円では 3,932 万円まで購入可能となった 一方 最も緩い ケース 6 では年収 4 万円で 2,952 万円 年収 6 万円では 4,428 万円 年収 8 万円では 5,94 万円までの物件が取得可能となっている ( 図表 3) 214/5 No.53 3

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 図表 3 年収別 返済条件別の住宅購入可能額 ( 単位 : 万円 ) 年収 4 万円の場合 借入期間 25 年借入期間 35 年ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 ケース6 1. 返済可能額 1 世帯年収 4 4 4 4 4 4 2 対年収 返済負担率 2% 2% 2% 2% 2% 2% 3 年間返済可能額 8 8 8 8 8 8 2. 借入条件 4 借入期間 ( 年 ) 25 25 25 35 35 35 5 借入金利 2.% 1.5% 1.% 2.% 1.5% 1. % 6 借入可能額 1,573 1,667 1,769 2,13 2,177 2, 362 3. 購入可能物件 7 自己資金比率 ( 頭金 ) 2% 2% 2% 2% 2% 2% 8 購入可能額 1,966 2,84 2,211 2,516 2,722 2,952 年収 6 万円の場合 借入期間 25 年借入期間 35 年ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 ケース6 1. 返済可能額 1 世帯年収 6 6 6 6 6 6 2 対年収 返済負担率 2% 2% 2% 2% 2% 2% 3 年間返済可能額 12. 12 12 12 12 12 2. 借入条件 4 借入期間 ( 年 ) 25 25 25 35 35 35 5 借入金利 2.% 1.5% 1.% 2.% 1.5% 1.% 6 借入可能額 2,359 2,5 2,653 3,19 3,266 3,543 3. 購入可能物件 7 自己資金比率 ( 頭金 ) 2% 2% 2% 2% 2% 2% 8 購入可能額 2,949 3,125 3,317 3,773 4,83 4,428 年収 8 万円の場合 借入期間 25 年借入期間 35 年ケース1 ケース2 ケース3 ケース4 ケース5 ケース6 1. 返済可能額 1 世帯年収 8 8 8 8 8 8 2 対年収 返済負担率 2% 2% 2% 2% 2% 2% 3 年間返済可能額 16 16 16 16 16 16 2. 借入条件 4 借入期間 ( 年 ) 25 25 25 35 35 35 5 借入金利 2.% 1.5% 1.% 2.% 1.5% 1.% 6 借入可能額 3,146 3,334 3,538 4,25 4,355 4,723 3. 購入可能物件 7 自己資金比率 ( 頭金 ) 2% 2% 2% 2% 2% 2% 8 購入可能額 3,932 4,167 4,422 5,31 5,443 5,94 * 上記の購入可能価格は便宜上 取得時の公租公課や取得後の金利 所得等の変動は考慮していない < 参考 > 勤労者世帯年収 ( 近畿 ) 686 万円 勤労者世帯 ( 全国 3 代 ) 569 万円 212 年家計調査 勤労者世帯年収 ( 関東 ) 759 万円 勤労者世帯 ( 全国 4 代 ) 717 万円 勤労者世帯年収 ( 全国 ) 691 万円 勤労者世帯 ( 全国 5 代 ) 836 万円 高い取得能力求める新築マンション この結果から最も条件が厳しい ( ゆとりある返済を行う ) ケース 1 について 前述の物件価格と床面積に当てはめてみると 近畿圏平均の 13 年度の新築マンション価格は年収 8 万円の世帯でゆとりある取得が可能な水準にあることがわかる 新築戸建住宅は 6 万円の世帯 中古マンション 中古戸建は 4 万円までの世帯で概ねゆとりある取得が可能となっている 1 年度との比較では戸建価格の下落が目立ち より低い所得層でも購入容易な状況がうかがえる ( 図表 4) ちなみに 12 年の家計調査に基づく近畿の勤労者世帯の平均年収は 686 万円で 新築マンションが概ね購入可能な水準にあり 一般サラリーマン世帯を意識した価格設定となっている また 主な一次取得層である 3 代の平均年収 ( 全国 ) は 569 万円で 新築戸建住宅の平均価格にほぼ対応する 実際には より低い金利で長期ローンを 214/5 No.53 4

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 図表 4 物件属性と取得能力の関係 4,5 4, 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 13 年度 (3,487 万円 68.7 m2 ) 13 年度 (1,769 万円 69.8 m2 ) 近畿圏平均 ( 時系列 ) 1 年度 (3,221 円 77.8. m2 ) 1 年度 (1,574 万円 69.8 m2 ) 13 年度 (2,717 万円 97.2 m2 ) 1 年度 (3,54 万円 96.3 m2 ) 1 年度 (2,424 万円 99.4 m2 ) 13 年度 (1,841 万円 14.3 m2 ) 4,5 4, 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 府県別 (213 年度 ) 京都 奈良 兵庫 大阪 滋賀 京都 兵庫大阪 和歌山奈良滋賀京都 兵庫 京都 大阪 兵庫和歌山滋賀大阪滋賀 奈良 和歌山 和歌山 ケース1の場合 年収 8 万円の取得能力 3,932 万円年収 6 万円の取得能力 2,949 万円年収 4 万円の取得能力 1,966 万円奈良 5 65 7 75 8 85 9 95 1 15 戸あたり床面積 ( m2 ) 中古マンション 新築マンション 中古戸建住宅 新築戸建住宅 5 6 65 7 75 8 85 9 95 1 15 11 115 12 戸あたり床面積 ( m2 ) 中古マンション 新築マンション 中古戸建住宅 新築戸建住宅 資料 :( 一社 ) 近畿圏不動産流通機構 不動産経済研究所 組む購入者は多いが 建築費の高騰などで新築価格の上昇が顕在化すると 中堅所得層の新築住宅購入が困難になる恐れがある 年収 4 万円世帯で 取得容易な中古住宅 一方 中古住宅は価格水準が低いため 年収 4 万円でゆとりある取得がほぼ可能な環境にある 府県別にみても 中古マンションは 年収 4 万円のラインに収まっており 中古戸建は兵庫県と京都府が 4 万円をわずかに超える他は中古マンションと同様の水準にある 新築戸建は各府県ともほぼ 4~6 万円の取得能力に該当するが 新築マンションは京都府が 8 万円ラインを超え 大阪 兵庫 奈良 滋賀の各府県は 6~8 万円 和歌山県のみが 6 万円ラインを下回る 新築マンションは府県間の価格差が大きく 求められる取得能力に開きがある 中古マンションも価格差は比較的大きいが 取得能力からみた上昇余地は残されている ただ 相対取引による需給面で価格調整が行われやすい中古市場では 急激な上昇は見込みにくい このため 中古市場が先行的に悪化していく可能性は低いと考えられる 3. 取得能力からみたエリア別価格の水準 築 11 年以上は年収 6 万円未満で取得可能 次に 詳細な都市別の中古住宅価格について 取得能力との関係をみることにする ここでは中古マンションと中古戸建の別に 2 部屋以上のファミリータイプを前提とし 築年帯ごとに分けて上記と同様 214/5 No.53 5

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 に最も条件が厳しい ( ゆとりある返済を行う ) ケース 1 での購入可能額を当てはめ 区市町別の価格水準を把握する ( 図表 5) 中古マンションで築 1 年以下の対象となった 89 都市のうち 年収 8 万円の取得能力を上回る物件価格の都市 ( タイプA) は 京都市中京 下京 上京 左京区 大阪市福島 北区 芦屋市で 7 都市 ( 全体の 7.9%) が対象となった いずれも都心区や古くからの高級住宅地で 平均専有面積もほぼ 75 m2を上回るなど中古マンションでも高い取得能力を求めるエリアとなっている 年収 6~8 万円世帯が取得可能な都市 ( タイプB) は 神戸市東灘区や大阪市浪速 中央 天王寺区など 16 都市 ( 同 18.%) で 京阪神の都心区や阪神間 北摂エリアを主体とする 概ね 3 千万円以上で専有 7 m2後半から 8 m2台が目立つなど高額 大型物件が中心 当該エリアでの新築マンションの供給制約が強まれば より高い所得層の代替需要を取り込み中古価格が上昇する可能性も考えられる 図表 5 中古マンションの都市別物件属性と取得能力の関係 (2 部屋タイプ以上の物件 /213 年度 ) 築 1 年以下 築 11~2 年 成約価格 5, 区市町 4,5 タイプA 4, 3,5 タイプB 3, 2,5 タイプC 2, 1,5 築 1 年以下 ( 近畿圏 89 都市 ) 成約価格 築 11~2 年 ( 近畿圏 99 都市 ) 5, 区市町 4,5 4, タイプA 3,5 タイプB 3, 2,5 タイプC 2, 1,5 ケース1の場合 年収 8 万円の取得能力 3,932 万円年収 6 万円の取得能力 2,949 万円年収 4 万円の取得能力 1,966 万円 1, タイプ D 1, タイプ D 5 5 5 6 7 8 9 1 戸あたり床面積 ( m2 ) * 年間成約件数 1 件以上の都市を対象 5 6 7 8 9 1 戸あたり床面積 ( m2 ) 府県別都市数 ( 築 1 年以下 /89 都市 ) 府県別都市数 ( 築 11~2 年 /99 都市 ) A タイプ ( 年収 8 万円以上 ) 4 2 1 A タイプ ( 年収 8 万円以上 ) B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) 2 1 4 B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) 2 1 C タイプ ( 年収 4-6 万円未満 ) 5 7 33 11 4 1 C タイプ ( 年収 4-6 万円未満 ) 5 17 5 Dタイプ 1 ( 年収 4 万円未満 ) 3 1 D タイプ ( 年収 4 万円未満 ) 6 6 36 13 6 2 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県 滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県 和歌山県 214/5 No.53 6

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 年収 4~6 万円 ( タイプ C) は最多の 61 都市 ( 同 68.5%) が 該当し 成約価格は 2, 万円台が中心となっている この価格帯は 新築マンションとの競合も少なく 大阪市内や阪神間 北摂のほか 築 1 年以下 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 京都市中京区 4,737 75.1 A 964 大阪市福島区 4,58 82.8 A 932 芦屋市 4,488 88. A 913 大阪市北区 4,165 75.1 A 847 京都市左京区 4,47 77.7 A 823 京都市下京区 3,988 75.3 A 811 京都市上京区 3,978 74.4 A 89 神戸市東灘区 3,9 8.9 B 794 大阪市浪速区 3,84 79. B 781 大阪市中央区 3,786 75.8 B 77 大阪市天王寺区 3,746 77. B 762 長岡京市 3,714 78. B 756 豊中市 3,522 78.8 B 717 神戸市中央区 3,471 75. B 76 大阪市阿倍野区 3,41 73.9 B 694 西宮市 3,346 79.9 B 681 大阪市西区 3,295 73.1 B 67 神戸市灘区 3,24 79.2 B 659 貝塚市 3,138 77.1 B 638 大阪市都島区 3,82 76.9 B 627 茨木市 3,67 82.8 B 624 吹田市 3,32 78.4 B 617 京都市右京区 2,965 74.5 B 63 神戸市須磨区 2,876 76.4 C 585 宝塚市 2,874 8.1 C 585 大阪市住吉区 2,865 75.8 C 583 大阪市港区 2,839 78.8 C 578 生駒市 2,832 82.5 C 576 箕面市 2,827 87.5 C 575 池田市 2,792 77.6 C 568 大阪市城東区 2,789 75.9 C 567 大阪市鶴見区 2,718 75.7 C 553 神戸市西区 2,675 83.8 C 544 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 守口市 2,675 76.4 C 544 大阪市東住吉区 2,671 71.2 C 543 京田辺市 2,67 8.4 C 543 草津市 2,655 78.6 C 54 尼崎市 2,64 73.3 C 537 藤井寺市 2,639 76.7 C 537 堺市東区 2,638 83.8 C 537 島本町 2,635 78.3 C 536 大阪市淀川区 2,593 75.3 C 528 川西市 2,572 77.5 C 523 堺市北区 2,56 73.9 C 521 枚方市 2,545 8.9 C 518 京都市北区 2,539 65.8 C 517 京都市南区 2,525 71.4 C 514 伊丹市 2,514 72.8 C 511 奈良市 2,512 8.4 C 511 摂津市 2,57 68.5 C 51 高石市 2,484 79.1 C 55 神戸市垂水区 2,465 8.3 C 52 大阪市住之江区 2,455 78.9 C 499 京都市伏見区 2,454 73.1 C 499 大津市 2,45 78.7 C 498 和泉市 2,423 91.2 C 493 八尾市 2,48 72.6 C 49 寝屋川市 2,395 74.6 C 487 宇治市 2,388 75.9 C 486 大阪狭山市 2,371 79.5 C 482 堺市堺区 2,364 8.1 C 481 神戸市兵庫区 2,351 7.6 C 478 守山市 2,35 78.2 C 478 橿原市 2,3 82.8 C 468 堺市南区 2,288 79.4 C 465 大阪市東成区 2,271 7.3 C 462 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 神戸市長田区 2,255 76.3 C 459 三田市 2,254 83. C 459 大阪市此花区 2,249 77.4 C 458 堺市西区 2,217 75.7 C 451 大阪市東淀川区 2,23 71.7 C 448 明石市 2,168 74.1 C 441 京都市山科区 2,167 72.2 C 441 栗東市 2,152 8.4 C 438 大阪市平野区 2,139 71. C 435 向日市 2,112 7. C 43 松原市 2,83 68.6 C 424 和歌山市 2,71 73.3 C 421 彦根市 2,54 78.5 C 418 大阪市西淀川区 2,5 7.9 C 417 東大阪市 2,43 7.5 C 416 大東市 2,17 69. C 41 大和郡山市 2,6 81.6 C 48 門真市 1,973 68.2 C 41 岸和田市 1,916 73.6 D 39 姫路市 1,859 75. D 378 加古川市 1,84 72.5 D 367 神戸市北区 1,722 76.3 D 35 香芝市 1,66 74.3 D 327 * 想定必要年収は 図表 3 のケース 1 の前提条件に基づき 各都市の成約価格を購入可能額として算定 築 11~2 年 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 京都市中京区 3,16 68.8 B 643 芦屋市 3,114 79.3 B 634 京都市左京区 3,57 7.1 B 622 大阪市天王寺区 2,797 73.1 C 569 大阪市浪速区 2,781 73.4 C 566 京都市下京区 2,742 65.6 C 558 京都市上京区 2,664 68.3 C 542 西宮市 2,637 77. C 536 大阪市中央区 2,59 73. C 527 大阪市北区 2,577 67.7 C 524 茨木市 2,546 79.2 C 518 大阪市福島区 2,542 69. C 517 神戸市東灘区 2,487 75.4 C 56 神戸市灘区 2,482 69.2 C 55 京都市北区 2,449 76.8 C 498 大阪市西区 2,4 7.4 C 488 大阪市阿倍野区 2,389 72. C 486 箕面市 2,389 9.8 C 486 大阪市都島区 2,311 74.6 C 47 吹田市 2,279 75.3 C 464 京都市東山区 2,268 66.9 C 461 神戸市中央区 2,226 66.7 C 453 大阪市城東区 2,21 7.8 C 448 高槻市 2,183 81.4 C 444 豊中市 2,131 74.1 C 434 宝塚市 2,128 78.3 C 433 池田市 2,99 78.6 C 427 大阪市港区 2,92 8.5 C 426 堺市北区 2,56 74.8 C 418 京都市右京区 2,27 69.6 C 412 尼崎市 1,954 68.2 D 398 大阪市淀川区 1,92 67.1 D 391 大阪市鶴見区 1,911 68.7 D 389 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 大阪市旭区 1,98 69.2 D 388 京都市山科区 1,96 71.2 D 388 大阪市東淀川区 1,86 7.8 D 378 大阪市住吉区 1,829 67.6 D 372 堺市南区 1,799 78.8 D 366 大阪市西淀川区 1,79 67.6 D 364 神戸市垂水区 1,788 76.1 D 364 大東市 1,786 69.6 D 363 高石市 1,784 74.7 D 363 島本町 1,774 71.9 D 361 京都市伏見区 1,767 7.2 D 359 京都市西京区 1,765 72.7 D 359 川西市 1,751 78.6 D 356 京都市南区 1,744 65.9 D 355 栗東市 1,727 76.5 D 351 神戸市兵庫区 1,725 66.5 D 351 大阪市東成区 1,724 65.8 D 351 神戸市西区 1,723 88.4 D 351 守口市 1,7 71.2 D 346 大阪市住之江区 1,692 7.8 D 344 草津市 1,684 74.7 D 343 大阪市東住吉区 1,676 67.3 D 341 伊丹市 1,638 69.2 D 333 堺市堺区 1,636 71.9 D 333 枚方市 1,629 74.3 D 331 大阪市平野区 1,592 68.3 D 324 東大阪市 1,569 7.4 D 319 富田林市 1,559 81.1 D 317 堺市西区 1,542 72.6 D 314 神戸市須磨区 1,55 73.8 D 36 寝屋川市 1,492 7.4 D 34 奈良市 1,486 75. D 32 守山市 1,48 78.6 D 31 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 大阪市西成区 1,477 69.8 D 3 泉大津市 1,433 76.2 D 292 宇治市 1,424 69.9 D 29 野洲市 1,44 73.6 D 286 神戸市長田区 1,379 64.7 D 281 大阪市此花区 1,366 64.8 D 278 松原市 1,356 7.5 D 276 生駒市 1,342 72.8 D 273 大津市 1,34 71.9 D 273 岸和田市 1,333 71.4 D 271 三田市 1,329 84.8 D 27 八尾市 1,322 67.1 D 269 明石市 1,32 69.1 D 268 堺市中区 1,31 73.6 D 267 和泉市 1,287 74.4 D 262 大和郡山市 1,265 73.9 D 257 交野市 1,251 74.2 D 254 木津川市 1,249 78.8 D 254 橿原市 1,226 7. D 25 大阪狭山市 1,2 7.3 D 244 堺市東区 1,189 71.5 D 242 和歌山市 1,18 68.1 D 225 泉佐野市 1,91 75.7 D 222 河内長野市 1,82 77.2 D 222 姫路市 1,61 69.9 D 217 神戸市北区 1,36 79.9 D 212 王寺町 1,31 71.5 D 211 藤井寺市 983 69.4 D 21 貝塚市 975 83.5 D 2 加古川市 97 67.6 D 199 彦根市 833 71.7 D 171 大和高田市 767 68.9 D 157 紀の川市 662 69.8 D 136 214/5 No.53 7

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 築 21-3 年 築 31 年以上 成約価格 5, 区市町 4,5 タイプA 4, 3, 5 タイプB 3, 2, 5 タイプC 2, 1, 5 タイプD 築 21~3 年 ( 近畿圏 94 都市 ) 成約価格 築 31 年以上 ( 近畿圏 8 都市 ) 5, 区市町 4,5 タイプA 4, 3,5 タイプB 3, 2,5 タイプC 2, 1,5 ケース1の場合 年収 8 万円の取得能力 3,932 万円年収 6 万円の取得能力 2,949 万円年収 4 万円の取得能力 1,966 万円 1, 5 1, 5 タイプ D 5 6 7 8 9 1 戸あたり床面積 ( m2 ) * 年間成約件数 1 件以上の都市を対象 5 6 7 8 9 1 戸あたり床面積 ( m2 ) 府県別都市数 ( 築 1 年以下 /94 都市 ) 府県別都市数 ( 築 11~2 年 /8 都市 ) A タイプ ( 年収 8 万円以上 ) A タイプ ( 年収 8 万円以上 ) B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) 1 B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) Cタイプ ( 年収 4-6 万円未満 ) 322 C タイプ ( 年収 4-6 万円未満 ) D タイプ ( 年収 4 万円未満 ) 5 9 47 18 52 D タイプ ( 年収 4 万円未満 ) 1 13 44 18 3 1 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県 和歌山県 築 21~3 年 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 京都市東山区 3,61 88.1 B 623 芦屋市 2,337 87.9 C 475 京都市上京区 2,256 68.6 C 459 京都市中京区 2,191 64.5 C 446 京都市下京区 2,175 72.3 C 443 大阪市北区 2,1 74.6 C 47 神戸市灘区 2,1 79.7 C 47 大阪市都島区 1,978 79.7 C 42 大阪市福島区 1,943 68.8 D 395 京都市北区 1,928 74.2 D 392 箕面市 1,926 99.7 D 392 西宮市 1,86 87.4 D 378 京都市左京区 1,852 66.4 D 377 大阪市天王寺区 1,846 68.5 D 376 吹田市 1,814 85.2 D 369 大阪市阿倍野区 1,736 71.2 D 353 大阪市港区 1,727 69.9 D 351 神戸市東灘区 1,724 74.1 D 351 大阪市中央区 1,684 69.9 D 343 高槻市 1,584 8.7 D 322 神戸市西区 1,581 86.6 D 322 大阪市大正区 1,571 71.9 D 32 大阪市城東区 1,564 68.1 D 318 大阪市西区 1,559 64.4 D 317 豊中市 1,515 74.9 D 38 大阪市旭区 1,474 7.1 D 3 茨木市 1,471 8. D 299 大阪市住吉区 1,455 72.5 D 296 大阪市鶴見区 1,449 67.8 D 295 草津市 1,448 76.8 D 295 門真市 1,435 7.5 D 292 京都市西京区 1,431 82.6 D 291 京都市右京区 1,423 62.6 D 29 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 神戸市中央区 1,42 7.2 D 289 川西市 1,419 79.5 D 289 伊丹市 1,47 7.7 D 286 近江八幡市 1,386 81.4 D 282 宝塚市 1,38 81.7 D 281 大阪市淀川区 1,376 67.3 D 28 大阪市東淀川区 1,337 66.3 D 272 大阪市東住吉区 1,311 63.5 D 267 大阪市生野区 1,299 63.3 D 264 堺市南区 1,293 84.6 D 263 島本町 1,287 77.5 D 262 富田林市 1,281 8.7 D 261 大阪市東成区 1,279 65.8 D 26 大阪市平野区 1,247 68.5 D 254 守山市 1,246 77.3 D 254 堺市堺区 1,243 71.9 D 253 尼崎市 1,193 62.4 D 243 守口市 1,192 67.9 D 243 大阪市住之江区 1,191 75.8 D 242 堺市西区 1,182 73. D 24 神戸市垂水区 1,13 72.8 D 23 大阪市西成区 1,126 62.3 D 229 池田市 1,118 83.4 D 228 京都市南区 1,118 62.9 D 227 宇治市 1,17 67.1 D 225 神戸市須磨区 1,89 77.2 D 221 堺市東区 1,81 72.5 D 22 枚方市 1,77 75. D 219 東大阪市 1,66 69.3 D 217 京都市伏見区 1,65 63.8 D 217 大津市 1,6 78.5 D 216 大阪市此花区 1,58 64.8 D 215 大阪市西淀川区 1,55 66.3 D 215 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 神戸市兵庫区 1,43 59.7 D 212 三田市 1,33 8.1 D 21 羽曳野市 1,32 6.9 D 21 寝屋川市 1,15 72.3 D 27 松原市 1,3 64. D 24 猪名川町 992 85.8 D 22 京田辺市 991 67. D 22 橿原市 967 73.5 D 197 京都市山科区 964 65.7 D 196 八尾市 943 65.5 D 192 奈良市 925 72. D 188 明石市 916 68.3 D 186 大阪狭山市 91 75.8 D 183 河内長野市 899 81. D 183 和泉市 893 69.4 D 182 生駒市 882 76.9 D 179 神戸市北区 848 81. D 173 神戸市長田区 816 64.3 D 166 加古川市 81 68.9 D 165 姫路市 84 68.9 D 164 和歌山市 791 65.9 D 161 岸和田市 784 72.4 D 16 彦根市 765 64.9 D 156 貝塚市 755 71.5 D 154 泉南市 656 75.2 D 134 大和高田市 648 72.2 D 132 岩出市 499 63.1 D 11 上牧町 447 72.3 D 91 * 想定必要年収は 図表 3 のケース 1 の前提条件に基づき 各都市の成約価格を購入可能額として算定 214/5 No.53 8

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 築 31 年以上 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 京都市左京区 1,637 63.7 D 333 芦屋市 1,64 8.6 D 326 大阪市福島区 1,538 63. D 313 京都市中京区 1,522 6. D 31 大阪市北区 1,51 66.5 D 37 京都市上京区 1,482 63.3 D 32 大阪市中央区 1,455 65.5 D 296 大阪市西区 1,414 63.9 D 288 西宮市 1,49 74.1 D 287 大阪市天王寺区 1,42 59.1 D 285 大阪市浪速区 1,337 61.6 D 272 大阪市阿倍野区 1,32 62.2 D 269 豊中市 1,318 71.5 D 268 神戸市中央区 1,284 71.7 D 261 吹田市 1,249 71.6 D 254 神戸市東灘区 1,234 7. D 251 大阪市都島区 1,184 65.5 D 241 大阪市港区 1,168 64.9 D 238 大東市 1,138 74.3 D 232 京都市西京区 1,119 8.4 D 228 大阪市淀川区 1,99 6.4 D 224 大阪市東成区 1,92 64.7 D 222 長岡京市 1,81 65.7 D 22 京都市右京区 1,72 57.1 D 218 守口市 1,71 62.8 D 218 大阪市旭区 1,67 64.2 D 217 大阪市城東区 1,61 61. D 216 大阪市西淀川区 1,45 65.4 D 213 茨木市 1,41 68.4 D 212 大阪市鶴見区 1,41 63.8 D 212 大阪市西成区 1,36 62.6 D 211 神戸市灘区 1,33 64.1 D 21 門真市 1,28 73.6 D 29 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 箕面市 1,27 68. D 29 島本町 1,4 7.4 D 24 伊丹市 999 69.1 D 23 大阪市住之江区 993 7.8 D 22 堺市北区 978 58.7 D 199 高槻市 968 63.6 D 197 大阪市東淀川区 961 62.6 D 196 大津市 961 69.2 D 195 宇治市 948 67.9 D 193 高石市 944 71.4 D 192 尼崎市 936 61. D 191 大阪市住吉区 935 55.7 D 19 京都市北区 932 52.5 D 19 大阪市東住吉区 99 59.9 D 185 大阪市平野区 98 61.4 D 185 池田市 95 74.7 D 184 大山崎町 879 56.7 D 179 宝塚市 855 73. D 174 富田林市 838 61.5 D 17 京都市伏見区 829 62.1 D 169 東大阪市 82 64.7 D 167 京都市南区 818 58.5 D 166 羽曳野市 816 64.8 D 166 堺市堺区 81 6.6 D 163 八尾市 786 62.7 D 16 京都市山科区 782 57.1 D 159 神戸市須磨区 764 69.8 D 156 堺市南区 755 71.1 D 154 枚方市 737 7.4 D 15 明石市 73 68.4 D 148 生駒市 691 69.1 D 141 奈良市 668 69.2 D 136 寝屋川市 66 65.1 D 134 成約価格専有面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 神戸市兵庫区 649 57.1 D 132 神戸市垂水区 619 64.7 D 126 八幡市 616 65.9 D 125 神戸市西区 614 69.3 D 125 和歌山市 559 58.6 D 114 和泉市 547 69.6 D 111 堺市西区 543 56.2 D 111 橿原市 532 72.6 D 18 姫路市 521 72. D 16 川西市 491 64.8 D 1 大阪狭山市 466 56.9 D 95 加古川市 435 65.3 D 88 神戸市長田区 432 6.2 D 88 神戸市北区 37 63.6 D 75 * 想定必要年収は 図表 3 のケース 1 の前提条件に基づき 各都市の成約価格を購入可能額として算定 南大阪や奈良県内などの人気エリアも多く 引き続き中堅所得層の需要の受け皿になるとみられる 年収 4 万円未満 ( タイプD) は 5 都市 ( 同 5.6%) にとどまり 岸和田市や姫路市 加古川市などの郊外が中心で 中古マンション需要も比較的小さいことから当面は大幅な価格変動はないとみられる 築 11 年以上の状況については図表 5 の各表に示すとおりだが 築 11~2 年については年収 8 万円以上の取得能力を必要とする都市はなく 年収 4 万円未満で購入可能な都市は 69 と全体の 69.7% を占め 中古マンションの価格水準は低い それ以上の経年物件はさらに取得容易となり 年収 4 万円未満で購入可能な都市数は築 21~ 3 年で全体の 91.5% に当たる 86 都市 築 31 年以上は 8 都市全てが該当する このように 中古マンション市場では築 1 年以下の築浅物件を除くと ほとんどの物件は各エリアとも年収 6 万円未満の世帯でゆとりをもって購入可能な水準にあり 取得能力からみて十分な上昇余地を残していると言える 経年物件でも高い取得能力が必要な中古戸建 中古戸建住宅は相対的に価格水準が高いが 築 1 年以下では年収 8 万円でも購入が難しくなる都市は対象 75 都市のうち 6 都市にとどまり 中古マンションの 7 都市と大差ない ただ 対象となる芦屋市や吹田市 箕面市 大阪市阿倍野区 神戸市東灘区の住戸規模は 214/5 No.53 9

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 11 m2以上と大きく 良好な住宅地が該当するため一定の根強い需要が存在し 価格は堅調に推移すると考えられる ( 図表 6) 築 1 年以下で最も多いのは年収 4~6 万円世帯が購入可能な都市で 堺市北区や宇治市 伊丹市など比較的郊外の 51 都市が該当し 全体の 68.% を占める 古くからの既成市街地も抱えるエリアでもあり 住戸規模は 1 m2前後と地域で販売される建売の新築戸建に対する値頃感が求められる価格設定が必要とみられる 築 11 年以上では 年収 4 万円未満でも購入可能な都市が多くなるが 築 11~2 年では年収 8 万円以上を必要とする都市が 5 区市 ( 全体の 4.8%) 6~8 万円世帯の対象も 6 区市存在する なかでも芦屋市の成約価格は 5,865 万円で想定される必要年収は 1,193 万円に達し 築浅物件に限らず良好な住宅地の中古戸建は一部の高額所得層のみが購入可能な水準にあることがわかる 築 21~3 年も年収 8 万円以上を必要とする都市が 3 区市 6 ~8 万円世帯の対象も 3 区市が該当し 中古マンションとは異なり 図表 6 中古戸建住宅の都市別物件属性と取得能力の関係 (2 部屋タイプ以上の物件 /213 年度 ) 築 1 年以下 築 11~2 年 成約価格 築 1 年以下 ( 近畿圏 75 都市 ) 成約価格 築 11~2 年 ( 近畿圏 15 都市 ) 6, 6, 5,5 区市町 5,5 区市町 5, 5, 4,5 タイプA 4,5 タイプA ケース1の場合 4, 4, 年収 8 万円の取得能力 3,5 3, タイプB 3,5 3, タイプB 3,932 万円年収 6 万円の取得能力 2,5 2, タイプC 2,5 2, タイプC 2,949 万円年収 4 万円の取得能力 1,5 1,5 1,966 万円 1, タイプD 1, タイプD 5 5 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 戸あたり床面積 ( m2 ) 戸あたり床面積 ( m2 ) * 年間成約件数 1 件以上の都市を対象 府県別都市数 ( 築 1 年以下 /75 都市 ) 府県別都市数 ( 築 11~2 年 /15 都市 ) A タイプ ( 年収 8 万円以上 ) 3 2 A タイプ ( 年収 8 万円以上 ) 1 2 2 B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) 4 5 4 2 B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) 2 2 2 C タイプ ( 年収 4-6 万円未満 ) 6 11 2 12 2 C タイプ ( 年収 4-6 万円未満 ) 2 9 23 1 3 D タイプ ( 年収 4 万円未満 ) 2 2 D タイプ ( 年収 4 万円未満 ) 6 6 21 8 3 3 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県 滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県 和歌山県 214/5 No.53 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 築 1 年以下 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 芦屋市 4,831 135.1 A 983 吹田市 4,589 124.6 A 934 箕面市 4,284 12.7 A 872 大阪市阿倍野区 4,255 118.9 A 866 神戸市東灘区 4,242 112.6 A 863 西宮市 3,872 11.5 B 788 京都市左京区 3,832 11.2 B 78 豊中市 3,611 15.3 B 735 神戸市灘区 3,58 15. B 728 京都市北区 3,547 97.1 B 722 京都市西京区 3,59 18.3 B 714 京都市上京区 3,498 11.3 B 712 池田市 3,316 113.5 B 675 茨木市 3,34 19.3 B 672 宝塚市 3,282 111.5 B 668 生駒市 3,246 115.6 B 66 奈良市 3,213 115.8 B 654 三田市 2,973 125.3 B 65 高槻市 2,965 12.4 B 63 堺市南区 2,961 118.4 B 62 堺市北区 2,939 15. C 598 宇治市 2,932 15.5 C 596 伊丹市 2,92 1.1 C 594 神戸市西区 2,877 19.2 C 585 堺市東区 2,863 16. C 582 長岡京市 2,783 87.3 C 566 大阪市東住吉区 2,77 12.9 C 564 草津市 2,72 19.5 C 553 向日市 2,719 9.8 C 553 堺市堺区 2,716 116.7 C 553 大阪市城東区 2,74 12.5 C 55 守山市 2,686 111. C 547 神戸市垂水区 2,619 13.9 C 533 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 高石市 2,69 16.9 C 531 枚方市 2,593 12.1 C 527 香芝市 2,588 17.2 C 527 栗東市 2,581 111.2 C 525 京都市伏見区 2,559 1.4 C 521 神戸市須磨区 2,551 17. C 519 近江八幡市 2,549 119.5 C 519 尼崎市 2,513 97.2 C 511 京田辺市 2,53 99.4 C 59 京都市右京区 2,491 86.2 C 57 神戸市北区 2,461 116.9 C 51 川西市 2,46 18.3 C 51 大津市 2,457 114.8 C 5 橿原市 2,451 17.1 C 499 京都市南区 2,43 9.6 C 494 木津川市 2,41 118.3 C 49 堺市西区 2,42 97.7 C 489 大阪市平野区 2,356 94.6 C 479 猪名川町 2,333 118.7 C 475 守口市 2,331 12.2 C 474 交野市 2,327 15.2 C 474 東大阪市 2,323 99.6 C 473 神戸市長田区 2,32 98. C 472 和泉市 2,316 17.1 C 471 明石市 2,39 12.6 C 47 亀岡市 2,278 14.3 C 464 堺市中区 2,271 99.3 C 462 城陽市 2,26 87.4 C 46 摂津市 2,26 14.5 C 46 京都市山科区 2,176 94.2 C 443 彦根市 2,167 115.8 C 441 寝屋川市 2,152 1.5 C 438 姫路市 2,141 16.2 C 436 築 11~2 年 成約価格建物面積想定必要年収成約価格建物面積想定必要年収タイプタイプ ( m2 ) ( m2 ) 芦屋市 5,865 123.2 A 1,193 大阪市東住吉区 2,284 15. C 465 京都市左京区 4,482 125.9 A 912 神戸市須磨区 2,269 114.2 C 462 吹田市 4,15 146.9 A 844 三田市 2,261 132.8 C 46 神戸市中央区 4,37 1.7 A 821 大阪市淀川区 2,246 113. C 457 豊中市 3,95 134.9 A 84 尼崎市 2,236 1. C 455 神戸市東灘区 3,777 16.4 B 768 高石市 2,21 17.7 C 448 西宮市 3,576 123.3 B 727 香芝市 2,185 126.9 C 444 大阪市阿倍野区 3,376 13.6 B 687 京都市右京区 2,181 11.3 C 444 箕面市 3,347 132.2 B 681 向日市 2,18 99.6 C 444 京田辺市 3,278 125.3 B 667 堺市堺区 2,16 113.6 C 439 京都市北区 2,987 17.4 B 68 明石市 2,151 115.6 C 438 京都市西京区 2,936 11. C 597 栗東市 2,143 129.3 C 436 京都市下京区 2,915 117.5 C 593 大阪市大正区 2,127 115.8 C 433 京都市上京区 2,855 92.6 C 581 木津川市 2,99 139.7 C 427 神戸市西区 2,89 128.7 C 572 大阪市平野区 2,87 113.7 C 424 宝塚市 2,8 117.8 C 57 大阪市旭区 2,79 99. C 423 堺市南区 2,776 136.2 C 565 池田市 2,72 11.3 C 421 神戸市灘区 2,687 95.3 C 547 大阪市住吉区 2,53 15.4 C 418 高槻市 2,636 111.3 C 536 和泉市 2,42 117.5 C 415 精華町 2,621 128.4 C 533 大阪市鶴見区 2,19 99.6 C 411 富田林市 2,615 127.8 C 532 神戸市北区 2,12 126.4 C 49 長岡京市 2,565 11.4 C 522 藤井寺市 2,1 94.1 C 49 生駒市 2,521 126. C 513 宇治市 2, 1.7 C 47 堺市北区 2,515 11.1 C 512 枚方市 1,989 17.2 C 45 茨木市 2,458 19.8 C 5 大阪市城東区 1,955 94.9 C 398 大阪市東成区 2,442 137.1 C 497 神戸市兵庫区 1,951 117.6 D 397 伊丹市 2,437 11.9 C 496 八尾市 1,942 99.1 D 395 堺市東区 2,48 121.5 C 49 大津市 1,931 119.4 D 393 堺市西区 2,47 117.8 C 49 猪名川町 1,871 125.9 D 381 大阪狭山市 2,346 11.3 C 477 大阪市生野区 1,856 117. D 378 奈良市 2,318 122. C 472 川西市 1,851 114.6 D 377 神戸市垂水区 2,316 12. C 471 岸和田市 1,834 114.5 D 373 草津市 2,285 127.5 C 465 摂津市 1,83 14.2 D 372 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 八尾市 2,114 9.8 C 43 羽曳野市 2,113 95.6 C 43 岸和田市 2,27 98.4 C 412 泉佐野市 2,8 111.1 C 49 加古川市 1,991 18.6 C 45 和歌山市 1,899 18.4 D 386 貝塚市 1,891 19.3 D 385 藤井寺市 1,813 87. D 369 岩出市 1,742 113.6 D 354 * 想定必要年収は 図表 3 のケース 1 の前提条件に基づき 各都市の成約価格を購入可能額として算定 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 京都市南区 1,828 98. D 372 堺市中区 1,811 16.5 D 368 大東市 1,794 13.3 D 365 交野市 1,788 13.6 D 364 河内長野市 1,787 116. D 364 八幡市 1,74 14.7 D 354 松原市 1,712 14.4 D 348 守口市 1,686 15.4 D 343 姫路市 1,663 122.3 D 338 大阪市西淀川区 1,647 11.7 D 335 東大阪市 1,643 13.6 D 334 京都市伏見区 1,627 94.9 D 331 橿原市 1,617 121.5 D 329 京都市山科区 1,66 95.5 D 327 東近江市 1,6 131.3 D 326 大阪市東淀川区 1,59 94.3 D 323 城陽市 1,58 92.6 D 321 三木市 1,576 127.5 D 321 彦根市 1,561 124. D 318 泉佐野市 1,554 18.7 D 316 貝塚市 1,543 111.8 D 314 近江八幡市 1,533 125.7 D 312 泉南市 1,533 128.9 D 312 和歌山市 1,532 129.3 D 312 亀岡市 1,53 13.4 D 311 羽曳野市 1,526 14.4 D 31 加古川市 1,525 17.4 D 31 大和郡山市 1,469 18.6 D 299 寝屋川市 1,448 1.6 D 295 大阪市西成区 1,331 98.1 D 271 神戸市長田区 1,32 91.6 D 268 阪南市 1,34 121.1 D 265 高砂市 1,292 93.2 D 263 門真市 1,176 92.9 D 239 甲賀市 1,141 114.4 D 232 大和高田市 986 12. D 21 高島市 933 14. D 19 岩出市 864 96.6 D 176 紀の川市 731 11.2 D 149 214/5 No.53 11

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 地価を反映し易い戸建住宅では 良好な住宅地を中心に経年物件でも高い取得能力が求められる状況にある 築 31 年以上になると全ての都市が年収 6 万円のラインに収まるが 全都市が 4 万円未満で購入可能な中古マンションに比べると 求められる取得能力はやはり高い 中古戸建住宅は 中古マンションより物件の個別性が強く所在エリアも広いことから 多様な要素が反映されやすい 足元の中古戸建価格は弱含みの動きが目立っており 特に価格水準が低く古い物件が中心となる郊外エリアでは 人口流出などの需要減退による物件価格の下落が懸念される 特に経年物件については 相対的に低い年収層の取得能力にも配慮しながら 当該世帯のニーズに合ったリモデルやリノベーションにより 潜在需要を取り込む工夫が必要と考えられる 築 21-3 年 築 31 年以上 成約価格 6, 5,5 5, 4,5 4, 3,5 3, 2,5 2, 1,5 1, 築 21~3 年 ( 近畿圏 82 都市 ) 区市町 図外に芦屋市 (5,313 万円 162. m2 ) 東灘区(4,937 万円 173.2 m2 ) を含むタイプA タイプB タイプC タイプD 5 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 戸あたり床面積 ( m2 ) * 年間成約件数 1 件以上の都市を対象 成約価格 築 31 年以上 ( 近畿圏 98 都市 ) 6, 5,5 区市町 5, 4,5 タイプA ケース1の場合 4, 3,5 3, タイプB 年収 8 万円の取得能力 3,932 万円年収 6 万円の取得能力 2,5 タイプC 2,949 万円 2, 年収 4 万円の取得能力 1,5 タイプD 1,966 万円 1, 5 5 6 7 8 9 1 11 12 13 14 15 戸あたり床面積 ( m2 ) 府県別都市数 ( 築 1 年以下 /82 都市 ) 府県別都市数 ( 築 11~2 年 /98 都市 ) Aタイプ 1 ( 年収 8 万円以上 ) 2 A タイプ ( 年収 8 万円以上 ) B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) 2 1 B タイプ ( 年収 6-8 万円未満 ) Cタイプ 1 ( 年収 4-6 万円未満 ) 4 8 5 3 C タイプ ( 年収 4-6 万円未満 ) 4 5 2 D タイプ ( 年収 4 万円未満 ) 4 7 21 12 8 3 D タイプ ( 年収 4 万円未満 ) 5 13 43 18 7 1 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 ( 都市数 ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県和歌山県滋賀県京都府大阪府兵庫県奈良県 和歌山県 214/5 No.53 12

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート特集 / 物件価格と取得能力 築 21~3 年 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 芦屋市 5,313 162. A 1,81 神戸市東灘区 4,937 173.2 A 1,4 豊中市 4,31 141.9 A 82 吹田市 3,844 144.1 B 782 京都市左京区 3,124 117. B 636 京都市北区 3,76 121.5 B 626 宝塚市 2,922 142.5 C 594 西宮市 2,823 145.7 C 574 箕面市 2,786 131.9 C 567 長岡京市 2,772 11.7 C 564 池田市 2,733 13.7 C 556 神戸市灘区 2,726 17.5 C 555 堺市西区 2,562 133.1 C 521 茨木市 2,548 116.2 C 518 京田辺市 2,522 113.5 C 513 京都市西京区 2,465 13.3 C 51 広陵町 2,429 142.6 C 494 富田林市 2,392 138.2 C 487 神戸市西区 2,38 118.6 C 47 堺市南区 2,279 122. C 464 高槻市 2,269 17.9 C 462 奈良市 2,229 133.7 C 453 京都市右京区 2,148 14.8 C 437 草津市 2,14 122.3 C 435 生駒市 2,33 124.8 C 414 神戸市垂水区 2,5 112.3 C 48 堺市東区 1,989 126.3 C 45 川西市 1,896 124.4 D 386 神戸市須磨区 1,896 111.6 D 386 神戸市北区 1,889 127.9 D 384 香芝市 1,841 12.2 D 375 三田市 1,819 122.1 D 37 木津川市 1,818 18.3 D 37 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 京都市伏見区 1,814 16.6 D 369 堺市美原区 1,812 125.5 D 369 交野市 1,781 111.6 D 362 大阪市住吉区 1,752 17. D 356 宇治市 1,733 13.9 D 353 尼崎市 1,74 99.2 D 347 和泉市 1,652 11.7 D 336 河内長野市 1,611 122.9 D 328 明石市 1,61 18.5 D 328 枚方市 1,62 14.3 D 326 三木市 1,576 134.6 D 321 泉佐野市 1,555 138.7 D 316 堺市中区 1,53 18.6 D 311 城陽市 1,513 97.5 D 38 八尾市 1,511 112.9 D 37 八幡市 1,471 1. D 299 大津市 1,423 114.1 D 289 橿原市 1,418 116.1 D 288 猪名川町 1,417 12.6 D 288 大阪市住之江区 1,41 86.8 D 285 門真市 1,383 98.2 D 281 亀岡市 1,382 114. D 281 王寺町 1,382 114.5 D 281 東大阪市 1,32 116. D 269 姫路市 1,313 119.5 D 267 豊能町 1,283 123.2 D 261 加古川市 1,238 1.6 D 252 熊取町 1,211 124.1 D 246 京都市山科区 1,2 84.3 D 244 大阪市平野区 1,198 88.3 D 244 湖南市 1,194 115.1 D 243 上牧町 1,182 17.2 D 241 平群町 1,175 115.5 D 239 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 彦根市 1,142 11.4 D 232 寝屋川市 1,141 95.9 D 232 大和郡山市 1,114 13.4 D 227 大東市 1,19 93. D 226 阪南市 1,81 113.4 D 22 高砂市 1,61 13.6 D 216 大阪市生野区 1,33 19.7 D 21 五條市 1,26 115.4 D 29 和歌山市 95 11.4 D 193 高島市 892 131.6 D 181 摂津市 677 82.1 D 138 岩出市 671 15.8 D 137 神戸市長田区 647 78.6 D 132 紀の川市 625 16. D 127 能勢町 513 16.1 D 14 大和高田市 57 85.1 D 13 * 想定必要年収は 図表 3 のケース 1 の前提条件に基づき 各都市の成約価格を購入可能額として算定 築 31 年以上 神戸市東灘区京都市左京区京都市下京区大阪狭山市京都市北区堺市南区茨木市西宮市箕面市京都市上京区豊中市宝塚市神戸市灘区吹田市京都市西京区奈良市向日市高槻市長岡京市交野市大阪市阿倍野区富田林市京田辺市生駒市草津市和泉市池田市亀岡市京都市中京区京都市右京区草津市大阪市北区川西市 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 2,889 95.4 C 588 2,79 88. C 568 2,78 12. C 551 2,556 128.3 C 52 2,497 87.7 C 58 2,334 13.3 C 475 2,12 11.9 C 431 2,85 95.2 C 424 2,57 1.3 C 419 2,3 72.6 C 413 1,978 91. C 43 1,944 114.6 D 396 1,914 97.9 D 389 1,87 84.5 D 381 1,87 82.6 D 381 1,854 112.4 D 377 1,725 72.3 D 351 1,686 84.8 D 343 1,679 73.5 D 342 1,564 83.1 D 318 1,54 78.6 D 36 1,485 94.2 D 32 1,478 87.8 D 31 1,476 18.6 D 3 1,455 97. D 296 1,397 99.2 D 284 1,393 88. D 283 1,388 92.7 D 282 1,374 62.5 D 28 1,358 66.9 D 276 1,351 87.8 D 275 1,315 68. D 268 1,296 95.4 D 264 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 伊丹市 1,293 73.2 D 263 大阪市住吉区 1,271 77.6 D 259 神戸市須磨区 1,259 93. D 256 城陽市 1,256 76.8 D 256 神戸市西区 1,231 93.8 D 25 宇治市 1,216 8.8 D 247 大阪市城東区 1,2 85.6 D 244 熊取町 1,19 17.1 D 242 京都市南区 1,176 78.5 D 239 河内長野市 1,152 13.5 D 234 神戸市垂水区 1,151 88.6 D 234 大阪市淀川区 1,128 89.7 D 229 堺市北区 1,113 71.9 D 227 大和郡山市 1,92 12.6 D 222 大津市 1,83 91.5 D 22 藤井寺市 1,8 84.9 D 22 京都市伏見区 1,75 68.2 D 219 三田市 1,72 96.1 D 218 橿原市 1,65 115.4 D 217 八幡市 1,64 88.2 D 217 大阪市住之江区 1,56 97.4 D 215 大阪市生野区 1,46 88.7 D 213 神戸市北区 1,4 15.3 D 212 枚方市 1,1 77.2 D 25 姫路市 1,7 111.7 D 25 尼崎市 1,2 64.9 D 24 湖南市 974 133.2 D 198 加古川市 959 9.8 D 195 三郷町 925 16.6 D 188 寝屋川市 924 77.3 D 188 堺市西区 916 77.3 D 186 柏原市 91 76.9 D 183 神戸市兵庫区 898 74.9 D 183 成約価格建物面積想定必要年収タイプ ( m2 ) 近江八幡市 875 87.5 D 178 八尾市 851 72.8 D 173 京都市山科区 845 63.9 D 172 堺市堺区 841 76.9 D 171 平群町 835 13.3 D 17 和歌山市 814 97.9 D 166 大阪市港区 814 66.1 D 166 岸和田市 81 88. D 165 堺市東区 88 72.8 D 164 堺市中区 84 75.9 D 164 高砂市 797 94.5 D 162 高石市 795 68.2 D 162 明石市 792 8.1 D 161 摂津市 78 68.3 D 159 羽曳野市 777 8.1 D 158 大阪市東住吉区 776 58.1 D 158 四條畷市 739 69.3 D 15 丹波市 737 143.6 D 15 大東市 73 62.3 D 143 貝塚市 685 78.3 D 139 東大阪市 659 66.4 D 134 泉南市 655 91.1 D 133 神戸市長田区 646 73.5 D 131 大阪市西成区 636 73.2 D 129 大阪市平野区 626 74.7 D 127 三木市 624 82.9 D 127 阪南市 621 95.6 D 126 大和高田市 65 94.4 D 123 泉佐野市 594 84.7 D 121 守口市 586 64.3 D 119 門真市 453 58.8 D 92 松原市 432 56.9 D 88 214/5 No.53 13

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート 市況トレンド 213 年度の近畿圏市場と直近の動向 213 年度の近畿圏の中古住宅市場は 中古マンション 戸建とも成約件数が大幅に増加するなど堅調に推移した 消費増税を前に景況感が悪化した 14 年 1~3 月期には中古戸建価格が下落し一部で変調もみられたが 需給はタイトな状況にあり当面は安定的に推移するものとみられる 1. 中古マンション市場の動き 13 年度の中古マンション成約件数は 16,681 件で前年比 7.8% 増と堅調に推移したが 新規登録件数は 5.% 減となり 需給は 12 年度比でよりタイトな水準となった ( 図表 1) 成約価格と専有面積の関係を見ると 13 年度は価格 面積ともプラスで推移し 大阪府を中心に近畿圏の各エリアとも取引量は増加している 2. 中古戸建住宅市場の動き 成約件数は 11,185 件で前年比 8.4% 増と 中古マンションを上回る伸びを示した 新規登録件数は前年比 4.6% 増加し 中古マンションとは対照的に市場の売り物件は拡大している ( 図表 2) 成約価格は.2% 新規登録価格は.7% のプラスとなり 双方とも 6 年ぶりに上昇に転じた 建物面積は横ばいだが 大阪市や京都市などの取引が拡大し平均土地面積は縮小した 3. 四半期で見た市場の動き 14 年 1~3 月期は 中古マンション成約件数が前年比 4.% 増で成約価格は 5.% 上昇 中古戸建の成約件数は増加したが成約価格は下落し 新築住宅は件数が減少するなど明暗が分かれた 4. 関連不動産市場の動き 賃貸マンションの成約賃料単価は 13 年 4~6 月期以降 緩やかな上昇が続く 大阪市は 1 期ぶりに 2 千円台を回復し 賃貸マンション市場は総じて下げ止まりの動きに転じた 京阪神のオフィス募集賃料は 1 年前と概ね同水準で推移 平均空室率は うめきた の空室が埋まりつつある梅田地区が 9.22% に低下 神戸市や京都市も低下したが 淀屋橋 本町は上昇した 図表 1 中古マンションの成約 新規登録件数 ( 件 ) 成約 18, 16, 14, 12, 1, 8, 6, 4, 2, 55, 5, 45, 4, 35, 3, 25, 2, 15, 1, 新規登録 (%) 16,681 1 7.8 47,942-5. -3 99 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 年度 件数 前年度比 8 6 4 2-2 -4 3 2 1-1 -2 図表 2 中古戸建住宅の成約 新規登録件数 ( 件 ) 成約 12, 11, 1, 9, 8, 7, 6, 5, 6, 5, 4, 3, 2, 新規登録 (%) 12 11,185 1 8 6 8.4 4 2-2 -4-6 51,621-15 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 年度 件数 前年度比 4.6 15 1 5-5 -1 214/5 No.53 1

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /213 年度の近畿圏市場と直近の動向 1. 中古マンション市場の動き 13 年度の成約報告件数過去最高を更新 近畿圏における 213 年度 (13 年 4~14 年 3 月 ) の成約報告件数は 16,681 件で 前年比 7.8% の増加となった これは 12 年度の増加率 7.3% をさらに上回り 5 年度から 9 年連続で増加した 件数は近畿レインズ発足以来 過去最高を更新している (P1 図表 1) 一方 新規登録件数は 47,942 件で前年比マイナス 5.% と 2 年続けて減少した 5 万件を割り込むのは 3 年ぶりで 市場の流通量は縮小傾向にある 成約件数に対する新規登録件数の倍率は 2.87 倍となり 近畿レインズ発足以来 過去最低を記録 売り物件不足による需給タイトな状態はかつてない水準となっている 新築マンション発売戸数は減少 13 年度の新築マンション発売戸数は 23,353 戸と前年比で 3.2% 減少した ( 図表 3) 価格水準が比較的高い京阪神エリアを中心に供給量は拡大したが 消費増税前の駆け込み反動減から 13 年度後半は発売が失速 建築費の上昇などで単価は上昇したが 専有面積を縮小することで価格を抑え 契約率は好不調の分かれ目とされる 7% を大幅に上回った 新築単価は 5.7 万円 / m2と前年比で 3.4% 上昇したが 中古単価の上昇率が 6.5% でこれを上回り 両者の単価乖離率はマイナス 5.% と前年度より 1.4 ポイント縮小した ( 図表 4) 14 年の新築マンション発売戸数は昨年をやや上回る 2.5 万戸と予測されているが 建築費の上昇により供給が抑えられる可能性もある 図表 3 新築マンションの発売戸数 契約率 ( 戸 ) 45, 78.4 (%) 8 4, 35, 75 3, 25, 7 2, 65 15, 23,353 1, 6 5, 55 99 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 年度 発売戸数 平均契約率 資料 : 不動産経済研究所 図表 4 中古 新築マンション単価の推移 (%) 前年度比 1 8 6 4 2-2 -4-6 -8 成約単価 -1 ( 万円 / m2 ) 5 4 3 2 1 m2単価 新築単価 25.4 6.5 3.4 (%) 5.7-4 -5. -45-5 -55 99 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 年度 成約単価新築単価中古 新築乖離率 新築マンション資料 : 不動産経済研究所中古 新築乖離率 =( 中古成約単価 新築単価 -1) 1 214/5 No.53 2

格 円 ( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /213 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 5 中古マンションの成約価格 専有面積 図表 6 中古マンションの府県地域別成約件数比率 2, 1,8 成約価 i1,6 万 j1,4 1999 年度 12 4 5 13 年度 (1,769 万円 69.8 m2 ) 7 8 11 1 6 1 2 1,2 69. 69.5 7. 7.5 専有面積 ( m2 ) 3 9 % 年度 2% 4% 6% 8% 1% 99 17.6 32.9 15. 15.5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 7.6 2.73.24.6.8 18. 31.6 14.3 15.9 8.1 2.43.1 5.7 1. 17.2 33.4 13.5 17. 7.7 2.62.85..8 17.1 31.8 14.2 18. 8.7 2.3.14.6.6 16.9 3.4 14.7 17.7 9.4 2.13.84.3.8 17.2 28.4 15.2 19.1 8.8 2.63.34.6.9 16.8 29.3 14.4 19.7 8.2 2.33.8 4.6 1. 18.2 27.4 14.7 2.3 8.3 2.23.44.6.9 19.6 27.2 14.5 18.8 8.4 2.53.54.7.9 19.2 26.5 14.5 19.3 8.7 1.94. 5..9 19.4 26.2 15.3 19.1 8.8 2.3.64.5 1.2 2.8 26.4 14.6 18.4 8.4 2.13.35. 1.1 2.4 26.7 14.6 18.1 9. 2.23.74.4.7 2.6 26.3 14.7 18.6 8.9 2.14.4..8 21.1 26.9 14.7 17.9 8.4 2.4.4.3.8 大阪市 大阪府他 神戸市 兵庫県他 京都市 京都府他 滋賀県 奈良県 和歌山県 * 大阪府他 兵庫県他 京都府他は それぞれ大阪市 神戸市 京都市を除く各府県内 中古マンションの成約価格と専有面積の関係をみると 13 年度の平均成約価格は 1,769 万円で前年比 5.5% 上昇し 専有面積は 69.8 m2で同.9% 拡大した ( 図表 5) 成約価格の 1,7 万円台回復は 7 年度以来 6 年ぶりで 専有面積も 2 年ぶりの水準となった 目立つ大阪府内の取引シェア拡大 成約件数の府県地域別シェアは 大阪市が 21.1% で前年比.5 ポイント 大阪府他は 26.9% で.6 ポイント拡大し 大阪府内の伸びが目立った ただ 実数ベースでは全ての地域が増加し 大阪府内のほか神戸市や滋賀県 奈良県では前年比で 5% 超の伸びとなった 近畿圏全体の増加数は 1,21 件と過去最高を更新し総じて堅調に推移した ( 図表 5) 2. 中古戸建住宅市場の動き 成約件数 99 年度以降で最高水準に 中古戸建住宅の 13 年度の成約件数は11,185 件で前年比 8.4% 増と 中古マンションを上回る伸びを示した 9 年度から 5 年連続で増加しており 現在の集計基準で比較可能な 99 年度以降で最高を記録した 一方 13 年度の新規登録件数は 51,621 件で前年比 4.6% 増加し こちらは中古マンションと対照的に市場の売り物件は拡大している (P1 図表 2) ただ 成約件数の増加率が高かったことから 成約件数に対する新規登録件数の倍率は 4.62 倍と 12 年度の 4.87 倍からさらに縮小し 99 年度以降で最も需給タイトな水準にある 214/5 No.53 3

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /213 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 7 中古戸建住宅の成約 新規登録価格 (%) 3, 5.7 2,75.2-5 2,5 2,34-1 2,25-15 2, 1,841-2 1,75-25 1,5-3 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 年度 成約価格 新規登録価格 成約前年度比 新規登録前年度比 図表 8 成約中古戸建住宅の土地 建物面積 ( m2 ) (%) 18 6 17 4 16 2 15 14-2 13-4 12-6 11-8 1-1 9-12 8-14 1 2 3 4 5 6 7 8 9 1 11 12 13 年度 土地面積 建物面積 土地前年比 建物前年比 成約 新規登録価格 6 年ぶりに上昇 13 年度の成約価格は 1,841 万円で前年比プラス.2% 新規登録価格は 2,34 万円で同.7% と 双方とも 6 年ぶりに上昇した ( 図表 7) 成約件数も堅調に推移しており 価格の下落にようやく歯止めがかかった ただ 後述のように直近四半期の成約価格は下落しており 新規登録に対する成約価格の乖離率もマイナス 21.3% と拡大したままである 成約価格に成約件数を乗じた取扱高は 13 年度の中古マンションが前年比プラス 13.7% に対し 中古戸建住宅も同 8.6% と伸びが目立った 14 年度の中古戸建市場は 中古マンションと同様に需要の強さが成約価格の上昇に現れるかがポイントとなりそうだ 13 年度の成約戸建住宅の平均建物面積は 14.3 m2で 前年比プラス.8% 土地面積は 14.4 m2でマイナス 1.1% と 価格への影響が大きい敷地規模の縮小が目立つ ( 図表 8) リーマンショック後の 1 年度以降は購入者の予算制約が強まる中で安価なエリアの取引が増加し 結果として平均土地面積は拡大したが ここにきて地価水準が高く敷地規模の小さなエリアの取引も拡大する傾向にある 京都市や大阪市などのシェア拡大 中古戸建成約件数の府県地域別シェアをみると 相対的に土地面積が小さいエリアの比率が拡大し 13 年度は大阪市が 7.% で前年比.1 ポイント 京都市は 1.4% で同.2 ポイント増加した このほか神戸市も 9.3% で同.1 ポイント 兵庫県他は 17.4% で同.1 ポイント拡大している ( 図表 9) 近畿圏の中古戸建価格が上昇に転じ 土地面積が縮小したのは こうした京阪神を中心とする価格水準の高いエリアの取引が伸びたためとみられる 214/5 No.53 4

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /213 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 9 中古戸建住宅の府県地域別成約件数比率 % 年度 2% 4% 6% 8% 1% 1 2 3 4 5 5.3 5.8 6.2 5.9 6.9 6.1 35.5 35.3 35.4 35.1 33.3 32.7 8.7 8.1 8. 8.5 8.3 8.3 15.2 15.4 16.4 16.2 16.7 17.2 8.7 9.9 9.3 1.1 9.3 9.3 7.7 7.2 7.1 7.6 6.8 7.6 7. 6.5 7. 6.3 7.1 6.7 9.8 9.8 8.9 8.3 9.2 9.2 2.1 1.9 1.8 2. 2.4 3. 6 7 8 9 1 5.6 6.1 5.7 6. 6.1 33.9 32.6 3.9 3.5 31.7 8.3 8.4 8.7 9.7 9.1 16.5 17.1 17.7 18.2 17.4 8.4 8.5 8.9 8.8 1. 7.7 7.3 8. 7. 6.5 7. 6.6 7.1 6.7 7. 9.5 9.5 9.7 9.3 8.9 3.2 4. 3.3 3.8 3.2 11 12 13 6.7 6.9 7. 31.6 32.2 31.2 9.6 9.2 9.3 17.3 17.3 17.4 1. 1.2 1.4 6.9 6.8 6.4 6.7 6.4 7.4 8.7 8.2 8.2 2.6 2.8 2.7 大阪市 大阪府他 神戸市 兵庫県他 京都市 京都府他 滋賀県 奈良県 和歌山県 * 大阪府他 兵庫県他 京都府他は それぞれ大阪市 神戸市 京都市を除く各府県内 3. 四半期で見た市場の動き 14 年 1~3 月期の各市場は異なる動きに 近畿圏の直近の市況を四半期別にみると 14 年 1~3 月期の中古マンション成約件数は前年比プラス 4.% と増加を維持 四半期としては実に 2 期連続の増加で 成約価格もプラス 5.% と 5 期続けて上昇した 一方 新築マンションは発売戸数 価格とも前年比マイナスとなり消費増税前の駆け込み反動の影響が顕著となっている 一方 中古戸建の成約件数は 5 期連続で増加したが 成約価格は 4.1% 下落しやや変調を来たしている 新築戸建は 13 年 1~12 月期から成約件数が減少に転じ 中古と新築で明暗が分かれた ( 図表 1) 図表 1 近畿圏の四半期別成約件数 価格変動率 ( 前年同期比 ) '14 年 1-3 月 [ マンション ] '14 年 1-3 月 '12 年 1-3 月 中古マンション新築マンション -3-25 -2-15 -1-5 '12 年 1-3 月 価格 % 1 8 6 4 2-12 5 1 15 2 25 3 35 件数 % -2-4 -6-8 -1 '14 年 1-3 月 中古戸建住宅 新築戸建住宅 [ 戸建住宅 ] '12 年 1-3 月 '12 年 1-3 月 '14 年 1-3 月 価格 % 1 新築戸建 : -1 レインズ会員による成約報告物件 -12-3 -25-2 -15-1 -5 5 1 15 2 25 3 35 件数 % 8 6 4 2-2 -4-6 -8 214/5 No.53 5

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /213 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 11 景気動向指数 (CI 指数 ) 図表 12 不動産購買態度指数 ( 近畿 ) ( 指数 ) 12 115 11 15 1 95 9 85 8 75 7 12 3 '8'9 (21 年 =1) 先行指数一致指数遅行指数 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 '1 '11 '12 '13 '14 資料 : 景気動向指数 214 年 5 月 内閣府 * 先行指数 : 新規求人数 新設住宅着工床面積 東証株価指数など 11 指標に基づく合成指標 * 一致指数 : 鉱工業生産財出荷指数 大口電力使用量 商業販売額など 11 指標に基づく合成指標 * 遅行指数 : 家計消費支出 法人税収入 完全失業率など 6 指標に基づく合成指標 118.5 114.5 17.1 月年 良い 135 13 125 12 115 11 15 1 95 9 85 8 75 7 12 '8 悪い 今後 1 年間 不動産が買い時かどうかを聞いたもの 買い時 買い時でない 双方が均衡する点が 1 4 8 12 4 '1 8 12 5 '11 8 12 4 '12 資料 :( 一社 ) 日本リサーチ総合研究所 8 12 4 '13 8 12 4 '14 年 / 月 消費増税に伴い買い時感は一転慎重姿勢に 13 年以降の日銀による大胆な金融緩和などを背景に景気動向指数は大幅に改善したが 14 年に入ってからは株価指数や新築着工数などで構成される先行指標を中心に低下が目立つ ( 図表 11) 融資姿勢の緩和や低金利により不動産価格の先高感は続いているが 消費増税や建築費の高騰に伴う新築住宅価格の上昇懸念がくすぶっており 不動産の購買態度指数は急速に悪化している ( 図表 12) ただ 増税の影響が少なく安価な中古住宅取引は堅調に推移し 当面は需給タイトな状況が続くとみられる 成約件数を需要側 新規登録件数を供給側に見立て 成約に対する新規登録の件数倍率を捉えると 14 年 1~3 月期は中古マンション 中古戸建住宅とも倍率が縮小し 需給はタイト方向で推移している 中古マンションでは新規登録 ( 売り出し ) 価格と成約 ( 取引 ) 価格の差を示す価格乖離率も縮小し 需給の方向は一致している 一方 中古戸建の価格乖離率は拡大しており 価格面からみた需給は弱い状況が続く ( 図表 13) 過去の推移から件数倍率は十分低い水準にあり 足元では中古マンション成約件数の伸びの鈍化や中古戸建価格の下落がみられる 今後は 需給緩和の方向に転換する可能性もあるが 買い手を意識した売出価格の設定が広がれば 中古住宅市場は引き続き安定的に推移すると予想される 4. 関連不動産市場の動き 賃貸マンション成約単価は 13 年度に下げ止まり 近畿圏の賃貸市場について四半期別の動きをみると 賃貸マンションの成約賃料のm2単価は 13 年 4~6 月期以降 緩やかな上昇が続く ( 図表 14) 近畿圏全体の平均単価は 14 年 1~3 月期に 1,842 円と 214/5 No.53 6

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /213 年度の近畿圏市場と直近の動向 図表 13 成約 新規登録の件数倍率と価格乖離率からみた近畿圏の需給状況 A. 中古住宅市場の需給ポジション (B. と C. の合成図 ) 価格乖離率 % 件数倍率 倍 2 3 4 5 6 7-2 需給タイト 中古マンション -4 中古戸建住宅 -6 '13 年 -8 1-12 月 '9 年 1-3 月 -1-12 '6 年 4-6 月 -14 '6 年 4-6 月 -16 '8 年 1-12 月 -18-2 -22 '13 年 1-12 月 -24 需給緩和 -26 B. 中古マンションの件数倍率と価格乖離率 C. 中古戸建住宅の件数倍率と価格乖離率 ( 倍 ) 2.8 件数倍率 (4 期後方移動平均 )< 左目盛 > 価格乖離率 (4 期後方移動平均 %)< 右目盛 > (%) -5 ( 倍 ) 件数倍率 (4 期後方移動平均 )< 左目盛 > 4.5 価格乖離率 (4 期後方移動平均 %)< 右目盛 > (%) -15 3. 3.2 3.4 3.6 3.8 4. 需給タイト 需給緩和 '8/9 リーマンショック -6-7 -8-9 -1 5. 5.5 6. 6.5 '8/9 リーマンショック 需給タイト 需給緩和 -16-17 -18-19 -2-21 4.2 Ⅰ Ⅲ '6 Ⅰ Ⅲ '7 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ '8 '9 '1 '11 '12 '13 Ⅰ '14-11 7. Ⅰ Ⅲ '6 Ⅰ Ⅲ '7 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ '8 '9 Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ '1 '11 '12 '13 '14-22 1 年 1~3 月期以来 16 期ぶりに 1,8 円台を回復した 京阪神の各市も上昇し 14 年 1~3 月期の大阪市は 2,77 円 京都市が 1,949 円 神戸市は 1,865 円となっており 大阪市は 11 年 7~9 月期以来 1 期ぶりに 2 千円台を回復した このように 13 年度の賃貸マンション市場は 総じて下げ止まりの動きが明確になってきた 図表 14 京阪神の賃貸マンション成約単価の推移 ( 円 / m2 ) 2,1 2,5 2, 1,95 1,9 1,85 1,8 1,75 1,7 1,65 1,6 月年 1-3 '11 近畿圏京都市大阪市神戸市 4-6 7-9 1-12 1-3 4-6 7-9 1-1-3 4-6 7-9 1-1-3 '12 12 '13 12 '14 四半期別の前年同期比 (%) 近畿圏 京都市 大阪市 神戸市 '12 年 1-3 月 -.9-1.8-2.6-1. 4-6 -2.1.1-2.7 -.2 7-9 -1.5 -.9-3.4 3.9 1-12 -.7-2.4 -.3 3.6 13 年 1-3 月 -.4-1. -.5 -.4 4-6 1.5.6 1.4.4 7-9.6 1.5 1.1 2.1 1-12 1. 2.4 1.5-2.3 14 年 1-3 月 4.4.4 6.4 1.2 214/5 No.53 7

( 公社 ) 近畿圏不動産流通機構市況レポート市況トレンド /213 年度の近畿圏市場と直近の動向 梅田地区のオフィス 空室率低下 京阪神ビジネス地区の 14 年 3 月の坪当たり平均募集賃料は梅田が 14,262 円 淀屋橋 本町は 11,5 円 神戸市は 1,913 円 京都市は 11,532 円と 1 年前と同様の水準で推移した ( 図表 15) 14 年 3 月の空室率は大阪 梅田地区が 9.22% と前年比では 2.28 ポイントの大幅低下となった うめきた の大規模オフィス ( ク ランフロント大阪タワー ) が開業以来 着実に空室を埋めてきたことが影響した 淀屋橋 本町地区の空室率は 9.66% と前年比で.98 ポイント低下 京都市は 6.22% と京阪神では最も低く 前年比で 1.17 ポイント低下した 一方 神戸市は 9.46% で.55 ポイント上昇し 一進一退の状況が続いている 大阪ビジネス地区では昨年に比べ大規模ビルの新規供給の予定が少なく あべのハルカスが高稼働で竣工したことが話題となるなど オフィス市場の先行きは比較的堅調に推移することが見込まれている 図表 15 オフィス空室率と募集賃料 (%) 15 14 13 12 11 1 9 8 7 6 5 4 月年 3 '9 6 9 12 3 '1 6 9 12 3 '11 空室率 6 9 12 3 '12 6 9 12 3 '13 梅田 9.22% 6 9 12 3 '14 ( 円 / 坪 ) 16 15 14 13 12 11 1 資料 : 三鬼商事 大阪 梅田大阪 淀屋橋本町神戸市京都市 募集賃料 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 6 9 12 3 '8 '9 '1 '11 '12 '13 '14 214/5 No.53 8