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車両の規制値 ) に示す協定規則第 51 号と同様の規制値とします なお 規制値は フェーズ 1 フェーズ 2 と 2 段階で強化されます ロ. 追加騒音規定 (ASEP) 要件 新たな加速走行騒音試験法の試験条件から外れたエンジン回転数で走行する場合に不適当な騒音の上昇を抑えることを目的として 乗

Transcription:

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1 自動車 タイヤを取り巻く社会動向とタイヤに求められる性能 2 タイヤ開発のためのシミュレーション技術活用の歴史 3 タイヤ材料シミュレーション 4 京スパコンを用いた大規模分子シミュレーション 2

産業品 その他事業 4.2%(295 億円 ) スポーツ事業 8.6%(613 億円 ) ダンロップスポーツ株式会社 事業セグメント別連結売上高の内訳 7,102 億円 (2012 年 12 月期 ) タイヤ事業 87.2% (6,194 億円 ) 3

政治経済環境低燃費車優遇税制新興国 : 自動車の増加排ガス規制原油 原材料の高騰北米タイヤ安全規則自動車生産の現地化スペアレス 地球温暖化 CO2 排出規制 HV 車から EV 車 規制 主要タイヤ特性項目地域 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 JAPAN 2001 年ク リーン税制導入 国内テ ィーセ ル燃費規制 カ ソリン車燃費規制 (95 年対比 22.8% 向上 ) E C O 環境 燃費 EU U.S.A. JAPAN 燃費 CO2 ZEV EUROⅣ Tier Ⅱ LEVⅡ (CA) EUROⅤ ガソリン車燃費目標 140g/km LEVⅡ (USA) 国内車外騒音規制 (2001 年トラック系規制強化 ) ガソリン車燃費目標 120g/km 騒音 EU 騒音 欧州タイヤ単体騒音規制 新車騒音規制 JAPAN JNCAP 安全 制動 EU U.S.A. 制動 AMS (Euro NCAP) USNCAP (Brake) U.S.A. USNCAP (Dynamic rollover test) その他 スヘ アタイヤレス カ イト ライン (99 年運輸省 ) TREAD 法 ( 米国 空気圧警報装置義務化 ) 4

自動車関連での CO2 削減の為の規制事例 タイヤ関連への提言 IEA( 国際エネルギー機関 ) (08 年 7 月洞爺湖サミットにて提言 ) タイヤで自動車燃費を 5% 削減 3% : タイヤの転がり抵抗 ( タイヤ単体では 20~30% の抵抗減少 ) 2% : 空気圧管理 ( 空気圧監視システムによる空気圧維持管理 ) 5

世界中で補修用 ( 一般市販 ) タイヤの性能指標化が実施されている 国 地域 転がり抵抗 ウェットグリップ 対象 ライフ ノイズ 2010 年 2011 年 2012 年 2013 年 乗用車 ( 補修用夏タイヤ ) 乗用車 ( 補修用夏タイヤ ) 自主規制 ( 新車 トラックへの拡大等は未定 ) 乗用車トラック 乗用車トラック 乗用車トラック 法規制生産 -2012 年 7 月販売 -2012 年 11 月 乗用車 ( 補修用 ) 乗用車 ( 補修用 ) 乗用車 ( 補修用 ) 法規制 ( 未実施 ) 乗用車トラック 乗用車 法規制 ( 生産 ) 乗用車 -2012 年 11 月トラック - 2014 年 11 月 燃費安全省資源 6

今後のタイヤ開発における 3 つの方向性 低燃費性 安全性 ( グリップ ) 省資源 ( ゴム強度 ) 高度化するタイヤ開発ニーズに素早く対応するためコンピュータシミュレーションを活用 7

( タイヤを構成する主な部材 ) スチールベルト バンド トレッド 燃費 グリップ 強度への性能寄与率 50% 以上 この素材開発が 最も重要 ポリエステルケース サイドウォール ビードワイヤ 8

Digital Rolling Simulation デジタイヤ デジタイヤⅡ デジタイヤⅢ 1995 2000 2005 2010 2013 DRSⅠ DRSⅡ DRSⅢ コーナリング ハイドロ 雪 サンド 空洞共鳴 パターンノイズ 空気騒音 NVH 摩耗 マッド 車両 タイヤ転動特性 路面環境 車両 DRS : Digital Rolling Simulation 1992 年シミュレーション専門部門立ち上げ 1993 年初代スパコン導入 9

実際に見ることが困難な現象をシミュレーションで解析して観る DRS(Digital Rolling Simulation) 乗り心地ノイズ 操縦安定性 車軸に発生する力 ( 振動 ) ハンドルを切った時のタイヤの挙動 上下軸力実験シミュレーション 転動中に車軸に発生する力 転動中にタイヤに発生する力 転動中のタイヤ接地面の可視化 10

シミュレーションで解析してタイヤの性能発現メカニズムを知る DRSⅡ: 路面環境とタイヤの相互作用 タイヤトレッド模様シミュレーション ハイドロプレーニング現象雪上走行泥濘地走行 11

低燃費 高グリップ 省資源に対応できる高機能ゴム材料開発が必要 ゴム内部のナノの領域を可視化する材料シミュレーションの開発 燃費 2 次元 -FEM グリップ ゴムを構成する原材料 高分子ポリマー 補強フィラー ( カーボン シリカ ) 架橋剤 ( 硫黄 ) 結合剤 ( ポリマー変性基 カップリング剤 ) 分子レベルで検討できるナノレベルのシミュレーションが必要 12

低燃費性 安全性 ( グリップ ) 背反関係 省資源 ( ゴム強度 ) 先進シミュレーション先端実験 三律背反するタイヤ性能を全て向上させる 13

ゴム中のイメージ図 ポリマーフィラー架橋剤 100nm 原材料 ポリマー フィラー ゴムの骨格材料 天然ゴム 合成ゴム 柔らかく良く伸びる ゴムの補強材料 カーボン シリカ 1 強く 摩耗性能を上げる 2 エネルギーロスを生じる 燃費やグリップに影響する カップリング剤 ポリマー 架橋剤 硫黄 ゴムとしての強度を発現させる添加剤 結合剤 原材料の性能を引き出す添加剤 変性基 シリカ ポリマー変性基 カップリング剤 ナノレベルで非常に複雑な構造を形成し 機能を発現している 14

転がり抵抗を低減するためのゴム内部の発熱予測 従来できなかった大規模材料 3D-FEM の実現 1.0 μm エネルキ ーロス発生部位 小 発熱 大 発熱 ( エネルギーロス ) 箇所の特定 シリカ同士の擦れ と ポリマーの無駄な動き による発熱の抑制がキーポイント 15

素材の詳細な情報が扱える分子動力学 (MD) 法を利用する 空間スケール シミュレーション ミリメートルマイクロメートルナノメートルサブナノメートル タイヤ~ゴムゴムのミクロな変形シリカの分散シリカとポリマーポリマーと変性基 低燃費タイヤ用の素材開発新ポリマー新結合剤 16

大規模分子シミュレーションの必要性 ミリメートルマイクロメートルナノメートルサブナノメートル タイヤ~ゴムゴムのミクロな変形シリカの分散シリカとポリマーポリマーと変性基 低燃費性 背反関係 ミリメートルマイクロメートルナノメートルサブナノメートル タイヤ~ゴムゴムのミクロな変形シリカの分散シリカとポリマーポリマーと変性基 ナノレベルで起こっている現象からマイクロレベルでのゴム物性まで 広いスケール範囲にまたがる現象 安全性 ( グリップ ) 省資源 ( ゴム強度 ) 広いスケール範囲をシミュレーションで直接観ることが必要 17

SPring-8 で得られたフィラーの不均質構造 偏りの大きさ 岸本ら, SPring-8 シンポジウム 2012, 2012 年 8 月. SPring-8 での測定から大きなモデルサイズが必要なことが分かった フィラーの不均質な構造 偏りの影響を検討するためには 350x350x350nm 3 のモデルサイズが必要 社内の計算モデルサイズの数百倍 ~ 数千倍となり シミュレーション実行には京が必要 ( 社内では実施不可 ) 18

グリップ ゴム強度の向上のために ミリメートルマイクロメートルナノメートルサブナノメートル 高次凝集構造 2 次凝集構造 1 次凝集構造カップリング剤ポリマー 直接観ることが必要なスケール範囲 吸着ゴム 変性基 シリカ この領域全てを分子レベルで丸ごとシミュレーション フィラー周辺の分子の動き 相互作用を実際のゴム中の構造の不均質性 偏りまで考慮してシミュレーション サブナノ ~ サブマイクロにまたがる性能発現メカニズムを解明し 新素材提案につなげる 図 : 大規模シミュレーション用モデル例 19

マイクロメートルナノメートルサブナノメートル 高次凝集構造 2 次凝集構造 1 次凝集構造 カップリング剤ポリマー 変性基 シリカ 構造解析 + ( ダイナミクス ) ダイナミクス 融合 予測 新材料設計 機能 / 物性 新素材創出 (2016 年以降商品に採用 ) 20

発表など : Sakamaki et al.,the 3 rd AICS International Symposium, 2013 Feb. 坂牧ら, 高分子計算機科学研究会,2013 年 3 月. 住友ゴム工業, ニュースリリース,2012 年 9 月 6 日.2013 年 3 月 14 日 謝辞 : 東京大学大学院新領域創成科学研究科雨宮慶幸教授 篠原佑也助教防衛大学校応用物理学科荒井隆教授京都大学化学研究所増渕雄一准教授株式会社 JSOL 富士通株式会社 21

ご清聴ありがとうございました