公社債税制の抜本改正(個人投資家編)<訂正版>

Similar documents
公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

経 [2] 証券投資信託の償還 解約等の取扱い 平成 20 年度税制改正によって 株式投資信託等の終了 一部の解約等により交付を受ける金銭の額 ( 公募株式投資信託等は全額 公募株式投資信託等以外は一定の金額 ) は 譲渡所得等に係る収入金額とみなすこととされてきました これが平成 25 年度税制改

Microsoft Word - NO.2 株式の譲渡 2.docx

上場株式等の譲渡益に係る課税 上場株式等の税金について 上場株式等の譲渡益に係る税率は以下の通りです 平成 25 年 1 月 1 日 ~ 平成 25 年 12 月 31 日 平成 26 年 1 月 1 日 ~ 平成 49 年 12 月 31 日 平成 50 年 1 月 1 日 ~ % (

2 2 上場株式等 の範囲の拡大 上場株式等には 上場株式 上場投資信託の受益権 (ETF) 上場不動産投資法人の投資口 (REIT) 公募株式等証券投資信託の受益権が含まれていた 今回の租税特別措置法の改正により 発行者の情報が一般に公開され その商品内容を入手することが容易に可能な公社債を 上場

概要 平成 27 年までと平成 28 年以後の証券税制の比較 平成 27 年までは 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが異なっています 平成 28 年以後は 金融所得課税の一体化 により 上場株式等 と 公社債等 の税制上の取扱いが統一されます 平成 27 年まで 上場株式等 上場株式 公募

特定口座一般口座株式等の譲渡 売却などが該当 ) による所得は 申告分離課税の対象となっており 原則として お客さまによる譲渡損益の計算や申告納税の手続きが必要です 特定口座には これらの事務負担を軽減する機能があります 特定口座の機能 上場株式等の譲渡損益の計算 管理を行います 特定口座内に保管す

上場株式等の配当等に対する課税

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

6 課税上の取扱い日本の居住者又は日本法人である投資主及び投資法人に関する課税上の一般的な取扱いは 下記のとおりです なお 税法等の改正 税務当局等による解釈 運用の変更により 以下の内容は変更されることがあります また 個々の投資主の固有の事情によっては異なる取扱いが行われることがあります (1)

税金読本(6-1)公社債投資の税金

株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得等の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

公社債税制の抜本改正(法人投資家編)

【表紙】

税金の課税方法 個人の税金の課税方法について確認しましょう 大きく分けて 総合課税と分離課税の二種類があります 総合課税 1 年間の所得を全部まとめて一定の税率で課税する方法 所得額によって異なる税率 金額に応じて確定申告を行う 源泉分離課税他の所得と分離して その所得の支払いの際に一定の税率で源泉

投資法人の資本の払戻 し直前の税務上の資本 金等の額 投資法人の資本の払戻し 直前の発行済投資口総数 投資法人の資本の払戻し総額 * 一定割合 = 投資法人の税務上の前期末純資産価額 ( 注 3) ( 小数第 3 位未満を切上げ ) ( 注 2) 譲渡収入の金額 = 資本の払戻し額 -みなし配当金額

税金読本(8-5)特定口座と確定申告

債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

公募株式投資信託の解約請求および償還時

上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し

1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

投資主が受け取る配当等の額については 原則どおり配当等の額を受け取る際に20%( 所得税 )( 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までは復興特別所得税とあわせて20.42%) の税率により源泉徴収された後 総合課税の対象となります ( ロ ) 出資等減少分配に係る税

上場株式等の住民税の課税方式の解説(法改正反映版)

( ロ ) 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る出資等減少分配 ( 所得税法第 24 条に定めるものをいいます 以下 本 ( ロ ) 出資等減少分配に係る税務 において同じです ) のうち本投資法人の税務上の資本金等の額に相当する金額を超える金額がある場合には みなし配当 ( 計

金融資産運用設計関連 主な改正事項

いよいよ適用開始 投信制度改革 トータルリターン通知制度

[ 課税対象化 ] POINT1. 1 の売却益が課税対象に 改正前 ( 平成 27 年 12 月 31 日まで ) 原則非課税 改正後 ( 平成 28 年 1 月 1 日から ) % 2 の申告分離課税 1 国債 地方債 外国国債 外国地方債 公募公社債 上場公社債 ゼロクーポン債等

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

PowerPoint プレゼンテーション

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

新しい非居住者債券所得非課税制度の概要 < 平成 22 年度税制改正前の制度の概要 > 非居住者等が受ける振替国債及び振替地方債のについては 一定の手続要件を満たせば非課税とされていました しかし 非居住者等が受ける振替社債等のについては 原則 15% の税率により源泉徴収課税がなされていました 非

公社債 公社債投資信託の特定口座への受入れに係るQ&A 目次 平成 28 年からの公社債等の特定口座での取扱いについて... 1 Q1. 公社債や公社債投資信託が特定口座の対象になるのですか... 1 Q2. どのような公社債や公社債投資信託が特定口座の対象になるのですか... 1 Q3. 既に一般

49 年 12 月 31 日までの間 源泉徴収される配当等の額に係るの額に対して 2.1% の税率により復興 特別が源泉徴収されます b. 出資等減少分配に係る税務個人投資主が本投資法人から受取る利益を超える金銭の分配 ( 分割型分割及び株式分配並びに組織変更による場合を除く 以下本 1において同じ

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

株式等の譲渡(特定口座の譲渡損失と配当所得の損益通算及び翌年以後への繰越し)編

相続の基礎 ~ 「相続」を学ぼう!! ~ 生前贈与①有価証券

2017 年度税制改正大綱のポイント ~ 積立 NISA の導入 配偶者控除見直し ~ 大和総研金融調査部研究員是枝俊悟

有償ストック・オプションの会計処理が確定

iii. 源泉徴収選択口座への受入れ源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

配当所得の入力編

(ⅲ) 源泉徴収選択口座への受入れ 源泉徴収ありを選択した特定口座 ( 以下 源泉徴収選択口座 といいます ) が開設されている金融商品取引業者等 ( 証券会社等 ) に対して 源泉徴収選択口座内配当等受入開始届出書 を提出することにより 上場株式等の配当等を源泉徴収選択口座に受け入れることができま

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得等から控除)編

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得から控除)編

所令要綱

Microsoft Word - 最新版租特法.docx

1 どちらかをご選択特定口座と客さま般口座の特定口座の概要 特定口座とは 個人のお客さまが公募株式投資信託を換金され利益が出た場合は 原則 確定申告が必要ですが お客さまの確定申告にかかる負担を軽減させるべく当金庫が納税の代行などを行う制度として 特定口座 があります 特定口座 をご利用いただくこと

「個人投資家の証券投資に関する意識調査」の結果について

~ この操作の手引きをご利用になる前に ~ この操作の手引きでは 確定申告書の作成方法を説明しています 操作を始める前に 以下の内容をご確認ください 共通の操作の手引きの確認入力方法やデータ保存 読込方法などを説明した ( 共通 )e-tax で送信するための準備編 又は ( 共通 ) 書面提出 (

e. 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度 ( ジュニア NISA) 未成年者に係る少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した未成年者口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 28 年 4 月 1 日から平成 35 年 12

P12 第 6 章個人向け国債国債の契約締結前交付書面 手数料などなど諸費用諸費用について 個人向け国債を中途換金する際 原則として下記により算出される中途換金調整額が 売却される額面金額に経過利子を加えた金額より差し引かれることになります ( 1 変動 10 年 : 直前 2 回分の各利子 ( 税

税制改正を踏まえた生前贈与方法の検討<訂正版>

<4D F736F F D208F8A93BE90C520926D8EAF94BB92E E291E >

課税上の取扱い

積立 NISA の創設 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 1 家計の安定的な資産形成を支援する観点から 少額の積立 分散投資を促進するための 積立 NISA が創設される (2) 内容 1 積立 NISA は 20 歳以上の居住者等が金融機関に開設した非課税口座内に 積立 NISA 専用の累

7.(1)NISA 口座の開設時の手続きの見直し 1. 改正のポイント (1) 趣旨 背景 NISA 口座の稼働率向上のため 非課税口座の開設手続きについての見直しが行われる (2) 内容 NISA 口座の開設申し込み時に 即日での買付けを可能とすること (3) 適用時期平成 31 年 1 月 1

PG_第3期期末配当の取扱いに関するQA

( 契約締結前交付書面 ) 平成 30 年度富士の国やまなし県民債の説明書 平成 30 年度富士の国やまなし県民債の契約締結にあたっては この書面の記載事項をよくお読みいただいたうえで お申し込みください ( 平成 30 年 12 月 3 日現在 )

配当所得の入力編

d. 少額上場株式等の非課税口座制度 ( 通称 NISA) 少額上場株式等の非課税口座制度に基づき 証券会社等の金融商品取引業者等に開設した非課税口座において設定した非課税管理勘定に管理されている上場株式等 ( 平成 26 年から平成 35 年までの 10 年間 新規投資額で毎年 100 万円を上限

贈与税の非課税特例 ①住宅取得等資金の贈与

税金読本(5-3)ジュニアNISA


株式等の譲渡(特定口座を利用していない場合)編

また 国外財産調書制度は 2013 年 12 月末の国外財産から調書の提出義務が始まりましたので 5,000 万円超の国外財産を保有の方はご留意ください これに関連して 国税庁より 2013 年 11 月 15 日に FAQ が発表されており FAQ は国税庁のホームページで閲覧等できます 資産税ニ

株式等の譲渡(上場株式の譲渡損失の繰越し)編

 

【修正】07_別表五~.indd

平成 3 1 年 3 月 埼玉県 自動車税事務所 県民税配当割特別徴収義務者の皆様へ 県民税配当割の申告納入について 1 埼玉県内に住所を有する個人へ特定配当等を支払った場合埼玉県内に住所を有する個人へ県民税配当割の課税対象となる特定配当等の支払いを行った場合は 埼玉県税条例第 30 条の15の規定

1 口当たりの基準価額 口数 + 再投資されていない未収分配金 - 再投資されていない未収分配金に係る源泉所得税相当額 ( 注 ) - 信託財産留保額および解約手数料 ( 消費税相当額を含む ) 注 : 特別徴収されるべき都道府県民税の額に相当する金額 および復興特別所得税を含みます ( 以下同 )

別表六 ( 一 ) 所得税額の控除に関する明細書 1 この明細書の用途この明細書は 法人が当期中に支払を受ける利子及び配当等並びに懸賞金等及び償還差益について課された所得税の額について 法第 68 条第 1 項 (( 所得税額の控除 ))( 復興財源確保法第 33 条第 2 項 (( 復興特別所得税

株式等の譲渡(特定口座(源泉徴収なし)と一般口座)編

発行日取引の売買証拠金の代用有価証券に関する規 同じ ) であって 国内の金融商品取引所にその株券が上場されている会社が発行する転換社債型新株予約権社債券 ( その発行に際して元引受契約が金融商品取引業者により締結されたものに限る ) 100 分の80 (7) 国内の金融商品取引所に上場されている交

て 次に掲げる要件が定められているものに限る 以下この条において 特定新株予約権等 という ) を当該契約に従つて行使することにより当該特定新株予約権等に係る株式の取得をした場合には 当該株式の取得に係る経済的利益については 所得税を課さない ただし 当該取締役等又は権利承継相続人 ( 以下この項及

Microsoft Word 役立つ情報_税知識_.doc

本資料のポイント 平成 29 年度税制改正で 上場株式等に係る配当等 について 所得税 と 住民税 で異なる課税方式を選択することが可能であると明確化されました このことにより 課税所得 900 万円以下の場合 所得税は 総合課税 住民税は 申告不要 を選択することで 納税額を抑えることが可能となり

投資信託ホームページ構成案

Invincible

投資主の皆様へ 平成 29 年 3 月 マリモ地方創生リート投資法人 第 1 期分配金の税務上の取扱いに関するご説明 拝啓平素は格別のご高配を賜り厚く御礼申し上げます さて 本投資法人は 平成 29 年 2 月 14 日開催の役員会において 第 1 期 ( 平成 28 年 12 月期 ) の (A)

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

(Q13) 複数の金融機関に NISA( 少額投資非課税制度 ) の非課税口座開設の申込みをしてしまいましたが ど うすればよろしいですか... 6 (Q14) 非課税適用確認書の交付を行わない旨の通知書 が送られてきましたが どうすればよろしいですか 6 ( 基準日における国内の住所を証する書類

金融庁の税制改正要望について(1)

供託者等の住所 氏名または名称および個人番号または法人番 号は 供託者等の口座管理機関から日本銀行に対して 課税事 務のために提供される 2 所得税の徴収 納 入 利付国債の利子または割引国債等 ( 国庫短期証券のうち その銘柄の価格競争入札における募入最低価格 ( 額面金額 100 円当り ) が

非課税上場株式等管理に関する約款 第 1 条 ( 約款の趣旨 ) この約款は お客さまが租税特別措置法第 9 条の8に規定する非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得の非課税および租税特別措置法第 37 条の14に規定する非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡所得等の非課税の特例 ( 以下 非課税

1. 上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率の特例の見直し 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が 平成 21 年 1 月 1 日から平成 23 年 12 月 31 日までの間に支払を受ける上場株式等の配当所得の申告分離課税に係る税率と 上場株式等の譲渡による譲渡所得等に対する税率が

株価指数先物取引取引報告書 016 株価指数オプション取引取引報告書 017 株券オプション取引取引報告書 018 上場投資信託等取引報告書 019 株価指数先物取引取引報告書 株価指数オプション取引取引報告書 株券オプション取引取引報告書 優先受益証券取引報告書 優先出資証券取引報告書 投資信託取

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入状況

課税について個人向け国債の課税については次の通りとなります なお 本取引の税務処理等の詳細については 税理士等その他の専門家にご相談下さい 個人向け国債の利子は 利子所得として申告分離課税の対象となります 平成 49 年 12 月 31 日までに支払われる公共債の利子については 所得税 (15%)

注 1 認定住宅とは 認定長期優良住宅及び認定低炭素住宅をいう 注 2 平成 26 年 4 月から平成 29 年 12 月までの欄の金額は 認定住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が 8% 又は 10% である場合の金額であり それ以外の場合における借入限度額は 3,000 万円とする

役員給与の見直し(10月施行分)のポイント

証券総合取引および口座開設に関する確認書兼確約書(2017年3月31日改定版)

源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 源泉徴収票不交付の届出書 ( 英語版 ) 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 ) 平成 年分公的年金等の源泉徴収票 平成 年分公的年金等の源泉徴収票合計表 公的年金等の源泉徴収票 ( 及び同合計表 )( 平成 28 年 1 月 1 日以後提出

 


改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引


以下本人の給与収入速報 平成 29 年度税制改正解説所得課税 ~ 配偶者控除及び配偶者特別控除の見直し 2 配偶者の給与収入が 万円超 15 万円以下の場合の改正案の控除額及び改正前後の影響について 配偶者特別控除 配偶者の給与収入 万円超 15 万円 15 万円以上 11 万円 11 万円以上 1

外国税額控除の改正で投信のリターンが改善する

Transcription:

税制 A to Z 2013 年 6 月 3 日全 14 頁公社債税制の抜本改正 ( 個人投資家編 ) < 訂正版 > 2016 年から株式等と一体化 金融調査部研究員是枝俊悟 [ 要約 ] 2013 年 3 月 29 日 所得税法等の一部を改正する法律 ( 平成 25 年度税制改正法 以下 改正法 ) が参議院にて可決 成立し 3 月 30 日に公布された 本稿は 改正法のうち 金融所得課税の一体化について解説する 改正法により オーソドックスな金融商品のみを取引する個人投資家の金融所得課税は とてもわかりやすいものとなる 上場株式 特定公社債 公募の投資信託などの範囲であれば 利子 配当 分配金については源泉徴収が行われた後 確定申告は不要となる 譲渡損益 償還損益については 課税方式が申告分離課税に統一される ( 源泉徴収ありの特定口座の取引においては申告不要とすることもできる ) 割引債の課税については発行時の源泉徴収は 改正後は原則として償還時の源泉徴収に改められる 改正後は 上場株式 公募株式投信 特定公社債 公募公社債投信などを 上場株式等 とし 未公開株式 私募株式投信 一般公社債 私募公社債投信などを 一般株式等 とする 上場株式等 と 一般株式等 は区分され 相互の損益通算は行えなくなる これらの改正の施行日は 原則として平成 28(2016) 年 1 月 1 日である [ 目次 ] 1. はじめに 2 ページ 2. 金融所得課税の改正の概要 2 ページ 3. 一般株式等 ( 未公開株式 一般公社債など ) の課税方式 8 ページ 4. 割引債の源泉徴収方法 10 ページ 5. 世銀債等の取扱い 11 ページ 6. 支払調書等 12 ページ 7. その他の改正 13 ページ 株式会社大和総研丸の内オフィス 100-6756 東京都千代田区丸の内一丁目 9 番 1 号グラントウキョウノースタワーこのレポートは投資勧誘を意図して提供するものではありません このレポートの掲載情報は信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが その正確性 完全性を保証するものではありません また 記載された意見や予測等は作成時点のものであり今後予告なく変更されることがあります 大和総研の親会社である 大和総研ホールディングスと大和証券 は 大和証券グループ本社を親会社とする大和証券グループの会社です 内容に関する一切の権利は 大和総研にあります 無断での複製 転載 転送等はご遠慮ください

2 / 14 1. はじめに 平成 25 年 3 月 29 日 所得税法等の一部を改正する法律 ( 平成 25 年度税制改正法 以下 改正法 ) が参議院にて可決 成立し 3 月 30 日に公布された 改正法により 金融 証券税制のうち 上場株式 株式投資信託の配当 分配金 譲渡損益に対する 10.147% の税率 ( 所得税および復興特別所得税 7.147% 住民税 3%) について 平成 25 年 12 月 31 日をもって廃止される これにより 税率は 平成 26 年 1 月 1 日以降 20.315%( 所得税および復興特別所得税 15.315% 住民税 5%) に引き上げられる 1 税率の引上げを行う一方 リスク商品への投資を容易にするために 改正法には 金融商品間における損益通算の範囲を拡大し公社債等に対する課税方式を変更することを内容とする いわゆる金融所得課税の一体化が盛り込まれた 金融所得課税の一体化にかかる改正は 原則として平成 28 年 1 月 1 日以後適用するとしている 本レポートでは 個人投資家における金融所得課税の一体化による課税方式の改正について概説する 2. 金融所得課税の改正の概要 現行の課税方式現行税制では 株式と公社債とでは課税方式が異なっている 公社債の利子については源泉分離課税であり 源泉徴収のみで課税関係が完結する 公社債の譲渡益は非課税である一方 譲渡損が生じたとしてもなかったものとみなされる 公社債の償還差益は雑所得として総合課税となる ( 償還差損については 明確な取扱いが示されていない ) 公社債投信についても 公社債に準じた課税が行われている 図表 1 は 現行の公社債 ( 利付債 ) および公社債投信の課税方式を 上場株式 公募株式投信と比較した表である 商品によって申告義務の有無や課税方式が異なり 個人投資家にとって複雑でわかりにくい税制となっている 現行では 公社債の利子 譲渡損益 償還損益などの損益については これらの間で通算することはできないし 上場株式や公募株式投信などの損益とも通算することはできない 1 本レポートでは 平成 25 年 1 月 1 日以後 所得税額に対して 2.1% 課税される復興特別所得税を考慮した税率を記載している 復興特別所得税を考慮しない場合 上場株式 株式投資信託の配当 分配金 譲渡損益に対する税率は 10%( 所得税 7% 住民税 3%) から 20%( 所得税 15% 住民税 5%) への引き上げである

3 / 14 図表 1 個人投資家の株式 公社債 投資信託の課税方式 ( 現行 ) 利子 配当 分配金 譲渡損益 償還損益 上場株式など 公募株式投信など 配当所得として 20.315%( 注 1) 源泉徴収後申告不要 ( 確定申告し申告分離課税 ( 税率 20.315%) または総合課税を選択可 ) 譲渡所得等として税率 20.315%( 注 1) 申告分離課税 公社債 公社債投信など 利子所得として税率 20.315% 源泉分離課税 非課税 雑所得として総合課税 ( 注 2) 利子所得として税率 20.315% 源泉分離課税 ( 注 1) 平成 25 年中は税率 10.147% ( 注 2) 公社債の償還差損についての明確な取扱いは示されていない ( 注 3) 網掛けは 損益通算が認められている範囲を示す ( 未公開株式等の譲渡損との損益通算については後述する ) ( 注 4) この図表では 大口株主が受け取る配当 未公開株式 割引債 ( 類似の債券 ) 世銀債等などは考慮しない ( 出所 ) 大和総研金融調査部制度調査課作成 改正後の課税方式改正法により 平成 28 年 1 月 1 日以後の利払い 譲渡 償還等については これらの税制が 図表 2 のように改正される 特定公社債 に該当する公社債( 特定公社債の定義は後述する ) について 利子は現行では源泉分離課税とされているが 改正後は 源泉徴収後 申告不要とするか申告分離課税とするかを選べるようになる 特定公社債の譲渡損益は 現行では非課税とされているが 税率 20.315%( 所得税および復興特別所得税 15.315% 住民税 5%) の申告分離課税に改められる また 現行の上場株式や公募株式投信の譲渡損益と同様に 源泉徴収ありの特定口座で取引していれば 申告不要とすることもできるようになる 特定公社債の償還損益は 譲渡損益と同様に扱われる デフォルトにより償還差損が生じた場合 一部回収できた場合は回収できた金額により譲渡したものとみなし 全損の場合は後述の 特定管理株式等が価値を失った場合 に限り譲渡損失とみなす

4 / 14 公募公社債投信についても 特定公社債と同様の課税方式に改正される 図表 2 個人投資家の株式 公社債 投資信託の課税方式 ( 平成 28 年以後 ) 利子 配当 分配金 譲渡損益 償還損益 上場株式など公募株式投信など特定公社債公募公社債投信など 配当所得として税率 20.315% で源泉徴収後申告不要 ( 確定申告し申告分離課税 ( 税率 20.315%) または総合課税を選択可 ) 利子所得として税率 20.315% で源泉徴収後申告不要 ( 確定申告し税率 20.315% の申告分離課税を選択可 ) 譲渡所得等として税率 20.315% 申告分離課税 ( 源泉徴収ありの特定口座なら申告不要を選択可 ) デフォルトによる損失については 一部回収できた場合は譲渡損失として扱い 全損の場合は 特定管理株式等が価値を失った場合 ( 後述 ) に該当する場合 譲渡損失として扱う ( 注 1) 網掛けは 損益通算が認められている範囲を示す ( 未公開株式等や一般公社債の譲渡損とは損益通算できない この点については後述する ) ( 注 2) この図表では 大口株主が受け取る配当 未公開株式 一般公社債 世銀債等などは考慮しない 割引債および割引債類似の債券には別途 償還時の源泉徴収の規定がある ( 後述する ) ( 出所 ) 大和総研金融調査部制度調査課作成 改正の結果 特定公社債および公募公社債投信の課税方式は 上場株式および公募株式投信の課税方式とほぼ同じになる 上場株式 公募株式投信の配当 分配金について総合課税を選択する場合を除けば 上場株式 公募株式投信 特定公社債 公募公社債投信などの範囲であれば 課税方式は申告分離課税 ( または源泉徴収後 申告不要 ) に統一される 税率も 20.315%( 所得税および復興特別所得税 15.315% 住民税 5%) で統一される また 所定の手続きを行っていれば 源泉徴収ありの特定口座内で 確定申告を行わずにこれらの商品の利子 配当 分配金と譲渡損益 償還損益の損益通算をすることもできるようになる 上場株式 特定公社債 公募の投資信託など オーソドックスな金融商品の取引のみを行う

5 / 14 個人投資家にとっては シンプルでわかりやすい税制となる 特定公社債の範囲改正法では 特定公社債の範囲は 次の図表 3 のように定めている 国債 地方債 外国国債 外国地方債のほか 公募または上場されている公社債 証券会社や銀行などが発行する社債などが含まれる 証券会社や銀行などが窓口で販売している公社債は 概ね 特定公社債 に含まれるものと言える 図表 3 特定公社債の範囲 1 国債 地方債 外国国債 外国地方債 2 会社以外の法人が特別の法律により発行する社債 ( 投資法人債および特定目的会社の特定社債を除く ) 3 公募公社債 上場公社債 4 発行日の前 6 月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債 5 国外において発行された公社債で 次に掲げるもの ( 取得後引き続き保護預りがされているものに限る ) a 国内において売出しがされたもの b 国内における私売出しの日前 6 月以内に有価証券報告書等を提出している法人が発行する社債 6 金融商品取引所または外国金融商品取引所において公表されたプログラム ( 一定の期間内に発行する公社債の上限額 発行者の財務状況等その他その公社債に関する基本的な情報をいう ) に基づき発行される公社債 7 外国法人が発行し または保証する債券で政令で定めるもの 8 国内または国外の法令に基づいて銀行業または金融商品取引業を行う法人またはその 100% 子会社等が発行する社債 ( その取得者が 1 人またはその関係者のみであるものを除く ) 9 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された公社債 ( 発行時に源泉徴収がされた割引債を除く ) ( 注 ) これらに該当しても 金融債で預金保険の対象となっているものは除かれる ( 出所 ) 法令をもとに大和総研金融調査部制度調査課作成 利付債だけでなく 割引債も上記の要件を満たせば特定公社債となり 譲渡損益 ( 現行は非課税 ) や償還差益 ( 現行は発行時の源泉分離課税 ) は 20.315% の申告分離課税となる ただし 割引債には別途償還時の源泉徴収の規定がある (4. で後述する ) 割引債類似の債券についても同様に上記の要件を満たせば特定公社債となり 譲渡損益 ( 譲渡所得 ) や償還損益 ( 雑所得 ) は総合課税ではなく 20.315% の申告分離課税となる ( 利子についても利付債と同様に 20.315% の源泉徴収後 申告不要を選択可能となる ) 割引債類似の債

6 / 14 券にも別途償還時の源泉徴収の規定がある (4. で後述する ) 国債については 物価連動債も含まれる 仕組債についても上記の要件を満たせば特定公社債となる ( 図表 3 の3 8などを満たすよう設定することが想定されている ) TOKYO PRO-BOND Market にプログラム上場を行っている債券も特定公社債となり ロンドン証券取引所やルクセンブルク証券取引所などにプログラム上場を行っている債券も特定公社債となるものと思われる ( 図表 3 の6などを満たす ) 株式等 上場株式等 の定義の変更改正法により 平成 28 年 1 月 1 日以後は 租税特別措置法に規定される 株式等 および 上場株式等 の定義が大きく変更される 平成 28 年 1 月 1 日以後は 株式等 の中に 公社債や公社債投資信託などを含め 特定公社債や公募株式投資信託などは 上場株式等 に含まれる 株式等 のうち 上場株式等 でないものを 一般株式等 と定義し 上場株式等 と 一般株式等 で課税方式が分けられる( 一般株式等の課税方式は後述する ) 図表 4 株式等 上場株式等の定義 現行 株式 ( 新株予約権などを含む ) 出資株式投信新株予約権付社債外国株式 など 株式等 上場株式等上場株式 ( 上場新株予約権などを含む ) 公募株式投信 (ETF REITなどを含む ) 上場新株予約権付社債外国上場株式など 改正後 ( 平成 28 年 ~) 株式等 株式 ( 新株予約権などを含む ) 出資株式投信 公社債投信新株予約権付社債外国株式公社債など 株式等のうち上場株式等でないものを 一般株式等 と呼ぶ 上場株式等上場株式 ( 上場新株予約権などを含む ) 公募株式投信 (ETF REITなどを含む ) 公募公社債投信上場新株予約権付社債外国上場株式特定公社債など ( 出所 ) 法令をもとに大和総研金融調査部制度調査課作成

7 / 14 繰越控除現行では 上場株式等 ( 現行の定義 ) の譲渡損については 翌年以後 3 年間 上場株式等 ( 現行の定義 ) の譲渡益 未公開株式等の譲渡益 申告分離課税を選択した上場株式等の配当等から繰越控除することができる 平成 28 年以後の所得税の計算においては 繰り越せる損失および繰り越された損失から控除できる所得の内容が次の図表 5 のように改正される 図表 5 繰越控除の改正 対象となる譲渡の方法 その年に発生した損失のうち 将来に繰り越せるもの 過去から繰り越した損失により控除できる その年の所得 現行改正後 ( 平成 28 年分の所得税以後 ) 証券会社等への委託による譲渡 証券会社 銀行等への譲渡 株式投信の償還 一部解約など ( 個人間の相対取引による譲渡などは不可 ) 現行の定義における 上場株式等 の譲渡損 上場株式の譲渡損 公募株式投信の譲渡損など 現行の定義における 株式等 の譲渡益 上場株式の譲渡益 未公開株式等の譲渡益 公募株式投信の譲渡益 私募株式投信の譲渡益など現行の定義における 上場株式等 の配当等 上場株式の配当 ( 申告分離のもの ) 公募株式投信の期中分配金 ( 申告分離のもの ) など ( 出所 ) 法令をもとに大和総研金融調査部制度調査課作成 左記に加え 公社債の元本の償還 ( 買入消却を含む ) 公社債投信の償還 一部解約などを追加 ( 個人間の相対取引による譲渡などは不可 ) 改正後の定義における 上場株式等 の譲渡損 償還差損 上場株式の譲渡損 公募株式投信の譲渡損 特定公社債の譲渡損 償還差損 公募公社債投信の譲渡損 償還差損 など改正後の定義における 上場株式等 の譲渡益 償還差益 上場株式の譲渡益 公募株式投信の譲渡益 特定公社債の譲渡益 償還差益 公募公社債投信の譲渡益 償還差益など改正後の定義における 上場株式等 の配当等 利子 上場株式の配当( 申告分離のもの ) 公募株式投信の期中分配金 ( 申告分離のもの ) 特定公社債の利子 公募公社債投信の期中分配金など 平成 28 年以後の所得税の計算においては その年に発生した損失のうち 将来に繰り越せる ものは 改正後の定義における 上場株式等 の譲渡損 償還差損に改正される すなわち 特定公社債の譲渡損 償還差損および公募公社債投信の譲渡損 償還差損などが追加される 過去から繰り越された損失により控除できる所得については 平成 28 年以後の所得税の計算においては 改正後の定義における 上場株式等 の譲渡益 償還差益 および 改正後の定義における 上場株式等 の配当等 利子に改正される すなわち 未公開株式等の譲渡益

8 / 14 私募株式投信の譲渡益などが除外される一方で 特定公社債の譲渡益 償還差益 公募公社債投信の譲渡益 償還差益 特定公社債の利子 公募公社債投信の期中分配金などが追加される なお 繰越控除および配当等との損益通算の対象となる上場株式等の譲渡損は 現行では証券会社等への委託による譲渡 証券会社等への譲渡などの方法による譲渡に限られ 個人間で相対取引をした場合などは対象とならない 改正後は 繰越控除および配当等との損益通算の対象となる譲渡の方法に 公社債の元本の償還 ( 買入消却を含む ) などが加えられるが 個人間で相対取引をした場合などが対象とならないことは変わらない 3. 一般株式等 ( 未公開株式 一般公社債など ) の課税方式 一般公社債の利子に対する課税方式は現行制度からの変更はない ( 後述する 同族会社の株主等に支払うものを除く ) 一般株式等 ( 未公開株式 一般公社債など ) の譲渡損益は 平成 28 年 1 月 1 日以後 上場株式等 の譲渡損益 償還損益と同様に税率 20.315%( 所得税および復興特別所得税 15.315% 住民税 5%) の申告分離課税に改正される 一般公社債の償還損益は申告分離課税の対象となるが 私募株式投信 私募公社債投信については償還差損のみ申告分離課税となり 償還差益は従前の課税方式のままである すなわち 私募株式投信の償還差益は配当として 20.42%( 所得税および復興特別所得税 20.42%) の源泉徴収が行われた後 少額配当の場合など 2 を除いて確定申告し総合課税となる 3 私募公社債投信の償還差益は利子として 20.315%( 所得税および復興特別所得税 15.315% 住民税 5%) の源泉分離課税の対象となる 平成 28 年以後は 一般株式等 と 上場株式等 の損益は区分され 一般株式等 と 上場株式等 との間で譲渡損益の損益通算をすることはできなくなる 一般株式等 の譲渡損失は 現行と同じく 繰越控除の対象とならない また 一般株式等 は現行と同じく 特定口座に受け入れることはできない 一般株式等 の課税方式の改正をまとめると 次の図表 6 および図表 7 のようになる 2 1 銘柄 1 回 10 万円以下 ( 年 1 回配当の場合 ) の少額配当は所得税の申告不要である また 給与所得者 年金生活者の申告不要の特例に該当する場合も所得税の申告不要となる なお これらの場合においても住民税では確定申告が必要である ( 住民税は税率 10% の総合課税となる ) 3 実際には 個別元本 償還価額 取得価額の関係をもとに配当部分とみなし譲渡損益部分を計算する みなし譲渡損益部分は税率 20.315% の申告分離課税の対象となる

9 / 14 図表 6 一般株式等 ( に相当するもの ) の課税方式 ( 現行 ) 利子 配当 分配金 譲渡損益 償還損益 未公開株式など 私募株式投信など 配当所得として 20.42% 源泉徴収後確定申告し総合課税 ( 少額配当は申告不要を選択可 ) 譲渡所得等として税率 20.315% 申告分離課税 償還差益は配当として と同じ課税 公社債 私募公社債投信など 利子所得として税率 20.315% 源泉分離課税 非課税 雑所得として総合課税 ( 注 1) 償還差益は利子として と同じ課税 ( 注 1) 公社債の償還損失についての明確な取扱いは示されていない ( 注 2) 網掛け部分は この図表の網掛け部分内および上場株式等の譲渡益との損益通算が認められていることを示す ( 注 3) この図表では 世銀債等 割引債 ( 類似の債券 ) などは考慮しない ( 出所 ) 大和総研金融調査部制度調査課作成 図表 7 一般株式等の課税方式 ( 平成 28 年以後 ) 利子 配当 分配金 譲渡損益償還差損償還差益 未公開株式など私募株式投信など一般公社債 配当所得として税率 20.42% で源泉徴収後確定申告し総合課税 ( 少額配当は申告不要を選択可 ) 利子所得として税率 20.315% で源泉分離課税 ( 注 1) 譲渡所得等として税率 20.315% で申告分離課税 償還差損は申告分離課税 ( 注 2) 償還差益は配当として と同じ課税 譲渡所得等として税率 20.315% で申告分離課税 ( 注 3) 私募公社債投信など 利子所得として税率 20.315% で源泉分離課税 償還差損は申告分離課税 ( 注 2) 償還差益は利子として と同じ課税 ( 注 1) 同族会社の株主等が支払を受けるものは 源泉徴収後 確定申告し利子所得として総合課税となる ( 注 2) 償還差損については 申告分離課税が適用され網掛け部分との損益通算が可能 ( 注 3) 同族会社の株主等が支払を受けるものは総合課税の対象となり 網掛け部分との損益通算は不可 ( 注 4) 網掛け部分は この図表の網掛け部分内のみで損益通算が認められていることを示す ( 上場株式等の利子 配当 譲渡益などとの損益通算はできない ) ( 注 5) この図表では 世銀債等などは考慮しない 割引債および割引債類似の債券は 別途 償還時の源泉徴収の規定がある ( 後述する ) ( 出所 ) 大和総研金融調査部制度調査課作成

10 / 14 なお 平成 28 年 1 月 1 日以後 一般公社債の利子のうち 同族会社の株主等に支払う利子等については 発行会社による税率 20.315% の源泉徴収後 確定申告し利子所得として総合課税とされる 4 平成 28 年 1 月 1 日以後に 公社債の償還金のうち 同族会社の株主等が支払を受ける償還金に係る償還差益については 申告分離課税は適用されず 雑所得として総合課税とされる ( 割引債または割引債類似の債券であれば 償還時源泉徴収の規定も適用される ) 5 同族会社の株主等に支払うものとは その支払の確定した日 ( 無記名の公社債の利子については その支払をした日 ) においてその者を判定の基礎となる株主として選定した場合に当該公社債の利子の支払をした法人が法人税法第 2 条第 10 号に規定する同族会社に該当することとなるときにおける当該株主その他政令で定める者が支払を受けるもの である 4. 割引債の源泉徴収方法 割引債は 現行では発行時に原則として税率 18.378%( 所得税および復興特別所得税 18.378%) の源泉分離課税が行われる 譲渡損益は非課税となっている 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された割引債の償還については 従前通りの課税方式となる 平成 28 年 1 月 1 日以後の償還については 平成 27 年 12 月 31 日以前発行のものを除き 償還時の税率 20.315%( 所得税および復興特別所得税 15.315% 住民税 5%) の源泉徴収に改められる 割引債 とは 割引債 分離元本公社債 分離利子公社債 割引債類似の債券のことである 国外発行の割引債で割引債の償還金が国内で支払われるもの および国外発行の割引債で割引債の償還金を国内における支払の取扱者を通じて受け取るものについても含まれる 発行時の課税であれば 発行価格と償還価格の差を償還差益として源泉徴収が行えるが 償還時の課税では 発行価格が明確にならない場合が考えられる そこで 新制度では 償還時の課税については 次の金額を償還差益とみなし源泉徴収することとしている 図表 8 みなし償還差益発行から償還までの期限が 1 年以内の割引債償還金額の 0.2% 発行から償還までの期限が 1 年超の割引債償還金額の 25% ( 出所 ) 法令をもとに大和総研金融調査部制度調査課作成 割引債についても特定公社債と一般公社債があり 特定公社債である割引債は特定口座に受け入れることができる 4 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された公社債は 図表 39 の規定によりすべて 特定公社債 となるため 平成 28 年 1 月 1 日以後に同族会社の株主等に対する利払が行われても 総合課税の対象とならない 5 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された公社債は 図表 39 の規定によりすべて 特定公社債 となるため 平成 28 年 1 月 1 日以後に同族会社の株主等に対する償還金の支払が行われても 総合課税の対象とならない

11 / 14 特定口座において管理されている割引債については 発行価格 ( または取得価額 ) が管理されているため 実際の償還損益および譲渡損益に基づいて利付債と同様の課税が行われる なお 一般公社債の償還差益のうち同族株主等に支払うものについて 申告分離課税の対象とはならず雑所得として総合課税となる規定は割引債も対象となる したがって 割引債である一般公社債の償還差益のうち同族株主等に支払うものについては みなし償還差益で源泉徴収後 実際の償還差益に基づいて確定申告し雑所得として総合課税となる 割引債の譲渡損益については 現行では利付債と同様に非課税であるが 平成 28 年 1 月 1 日以後の譲渡については利付債と同様に申告分離課税に改められる ( 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行され発行時に源泉徴収されたものを除く ) ただし 特定公社債であるか一般公社債であるかによって損益通算等の範囲が異なることになる 割引債の課税方式をまとめると 次の図表 9 のようになる 図表 9 割引債の課税方式 現行 ( 平成 27 年 12 月 31 日以前の譲渡 償還 ) 改正後 特定公社債 一般口座 源泉徴収なしの特定口座 ( 簡易申告口座 ) 源泉徴収ありの特定口座 ( 源泉徴収口座 ) 一般公社債 源泉徴収 確定申告の要否 確定申告時の扱い 譲渡損益 償還差益 譲渡益 償還差益 譲渡損益 償還差益 なし 発行時に実際の償還損益 原則 18.378% 源泉徴収 確定申告は行えない ( 譲渡益は非課税 償還差益については発行時の源泉分離課税で課税関係完結 ) なし 償還時にみなし償還益 20.315% 源泉徴収 なしなし要要 実際の譲渡損益 20.315% 源泉徴収 なし 償還時に実際の譲渡損益 20.315% 源泉徴収 償還時にみなし償還益 20.315% 源泉徴収 要 不要 要 要 不要 要 実際の譲渡損益 償還差損益 20.315% の申告分離課税 ( 注 3) 実際の譲渡損益 償還差損益 20.315% の申告分離課税 ( 注 3)( 注 4) ( 注 1) 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された割引債については 平成 28 年 1 月 1 日以後の償還であっても償還時の源泉徴収は行われない この場合 発行時の源泉分離課税で課税が完結しており 確定申告は行えない ( 注 2) 平成 27 年 12 月 31 日以前に発行された割引債で発行時源泉徴収が行われたものは 平成 28 年 1 月 1 日以後に譲渡した場合も譲渡益は非課税である ( 注 3) 平成 28 年 1 月 1 日以後 譲渡損益 償還損益については 特定公社債であれば 上場株式等 の譲渡所得等として扱われ 上場株式等 の譲渡所得等 配当等との損益通算 および繰越控除の対象となる 一般公社債であれば 一般株式等 の譲渡所得等として扱われ 一般株式等 の譲渡所得等の中でのみ損益通算ができる ( 注 4) 平成 28 年 1 月 1 日以後の償還金について 同族会社の株主等に支払うものは 申告分離課税の対象とならず 雑所得として総合課税となる ( 出所 ) 法令をもとに大和総研金融調査部制度調査課作成 5. 世銀債等の取扱い 国内発行の円建ての世銀債等については 国際協定により発行体の源泉徴収が免除されてい る このため 利子の源泉徴収は行われず 利子所得として確定申告し総合課税となっている

12 / 14 譲渡損益は非課税で 償還損益は雑所得の総合課税となっている 平成 28 年 1 月 1 日以後は 世銀債等も 特定公社債 として扱われる予定である 6 平成 28 年 1 月 1 日以後に受けた世銀債等の利子については 国内の証券会社等を通じて利子の支払いを受ける場合は 他の特定公社債の利子と同様に 20.315% の源泉徴収が行われる その上で 申告不要とするか 税率 20.315% の申告分離課税を適用するか選択できる 譲渡損益 償還損益についても平成 28 年 1 月 1 日以後の譲渡 償還から申告分離課税の対象となる 要するに 特定公社債 の利付債と課税の仕組みは全く同じになる なお 国内の証券会社等を通じずに利子を直接受領するような場合は 平成 28 年 1 月 1 日以後に受ける利子も なお源泉徴収は行われず 税率 20.315% の申告分離課税の対象となる 6. 支払調書等 受領者の告知現行では 源泉分離課税が適用される利子所得については 税務上の受領者の告知は不要とされている 平成 28 年 1 月 1 日以後は 特定公社債の利子 公募公社債投信の利子 一般公社債の利子のうち同族会社の株主等に支払われるものなど 源泉分離課税が適用されない利子 を受ける際に その支払を受ける者は 告知が必要とすることとしている 支払調書現行では 個人が支払を受ける公社債の利子 公社債投資信託の分配金で源泉分離課税が適用されるものについては 支払調書の提出の対象となっていない 改正法により 平成 28 年 1 月 1 日以後に支払うべき 源泉分離課税が適用されない利子 については 支払調書の対象となる 国内で公社債 公社債投資信託の受益権の譲渡の対価 ( 償還金 解約金を含む ) の支払をする金融機関等は その年中に支払った対価の額等を記載した支払調書を 支払確定日の翌年 1 月 31 日 (1 回の支払ごとに作成する場合には翌月末日 ) までに 税務署長に提出しなければならない 現行では 株式 株式投資信託に関して 譲渡対価の年間の合計額が 100 万円以下 または 1 回の支払金額が 30 万円以下の場合は 支払調書の提出が不要とされているが 平成 25 年度税制改正大綱 では この基準額は撤廃するとしている ( 基準額は 所得税法施行規則および租税特別措置法施行規則に定められており 本稿執筆時点では これらの改正は公布されていない ) 6 現行法令には規定はないが 平成 25 年度税制改正大綱 にて含める方針が示されており 今後 政省令に規定されるものと考えられる

13 / 14 支払通知書平成 28 年 1 月 1 日以後に 源泉分離課税が適用されない利子 の支払事務の取扱いをする金融機関は その支払を受けるものに対して支払通知書を交付する 源泉分離課税が適用されない利子 の利子所得等の金額を確定申告する場合には 支払通知書か源泉徴収口座の特定口座年間取引報告書を確定申告書に添付することになる 特定口座年間取引報告書 平成 25 年度税制改正大綱 では 平成 28 年以後 特定口座年間取引報告書の記載事項に 特定口座に受け入れた特定公社債等の利子所得 特定口座内で行われた特定公社債等の譲渡所得等の金額等を追加するとしている また この場合 支払調書 支払通知書の提出 交付は不要としている ( 特定口座年間取引報告書の様式等は 租税特別措置法施行規則に定められており 本稿執筆時点では この改正は公布されていない ) 7. その他の改正 外国公社債の利子の課税方式外国公社債等の利子について 外国で源泉税が徴収された場合 現行では 外国での徴収税額と合わせて復興特別所得税加算前で 20% となるように国内での徴収分が調整されている ( 差額徴収方式 ) 7 改正法により 平成 28 年 1 月 1 日以後に支払われるべき利子等から 特定公社債の利子の二重課税の調整方法は 差額徴収方式から外国税額控除方式に変更される したがって 外国公社債等の利子について外国で課税された金額がある場合 確定申告を行うことで所得税額から外国での所得税相当額を控除 ( 税額控除 ) することとなる これに対して 一般公社債の利子の二重課税の調整は 平成 28 年 1 月 1 日以後も 従来通り 差額徴収方式により行う 特定口座への受入れ特定公社債等が申告分離課税の対象となることに伴い 特定口座への受入れが可能となる 源泉徴収ありの特定口座 ( 源泉徴収口座 ) を開設している場合には 特定公社債等の利子等を源泉徴収口座に入れることができる 源泉徴収ありの特定口座で上場株式等 特定公社債等の譲渡損が生じた場合 この譲渡損と源泉徴収口座に受け入れた配当所得 利子所得との損益通算が行われる 損益通算後の配当 7 差額徴収方式においては 外国所得税額を控除後の所得税額に対して 2.1% の復興特別所得税が課税されるため 復興特別所得税込みの税率が 20.315% とならない場合がある

14 / 14 利子に対して 20.315%( 所得税および復興特別所得税 15.315% 住民税 5%) の源泉徴収が金融機関により行われる なお 平成 27 年 12 月 31 日以前に取得した特定公社債等についても 平成 28 年 1 月 1 日以降に特定口座に入れることができ 平成 28 年 1 月から 12 月の間は 自己が保管する特定公社債等を実際の取得日 取得価額で特定口座に入れることができる 特定管理株式等が価値を失った場合現行では 特定口座で管理されていた上場株式について 発行会社の倒産等により上場廃止となり 特定管理口座に移管し その後清算結了等の事実が生じて株式としての価値を失った場合は 未公開株式等の譲渡損とみなすものとなっている 改正法では 平成 28 年 1 月 1 日以後 特定口座で管理されている特定公社債が 発行会社の倒産等により上場廃止となり その後 清算結了等の事実が生じて公社債としての価値を失った場合には その損失は 改正後の定義における 上場株式等 の譲渡損とみなすこととしている なお ここでいう公社債としての価値を失った場合とは全損のことを指し 一部でも回収できた場合は上場株式等または一般株式等の譲渡損失とみなす ( この場合 特定口座で管理されている必要はない ) 改正後の定義における 上場株式等 の譲渡損とみなされるため 上場株式の配当 公募株式投信の分配金 特定公社債の利子 上場株式の譲渡益 公募株式投信の譲渡益 償還差益 特定公社債の譲渡益 償還差益 公募公社債投信の譲渡益 償還差益との損益通算が行えるようになるほか 3 年間の繰越控除の対象にもなる また 特定管理口座で管理されていた株式が価値を失った場合についても 改正法では 平成 28 年 1 月 1 日以後 改正後の定義における 上場株式等 の譲渡損とみなすよう改正される 以上