目次 病気 カナメモチごま色斑点病 カラマツ根株心腐病 ケンポナシてんぐ巣病 サクラてんぐ巣病 スギ褐色葉枯病 スギこぶ病 スギ非赤枯性溝腐病 ナラ枯れ ( ブナ科樹木萎凋病 ) ヒノキ漏脂病 ホルトノキ萎黄病 マツ材線虫病 マンサク葉枯病 害虫 カツラマルカイガラムシ カラマツマダラメイガ クワカ

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(3) 幼虫 形態 体長は最大約 18mm きょうきゃく 頭部と胸脚は黒色 胸部と腹部は淡い黄緑色しゅうれいから淡い灰色で 成長して終齢になると背面が 暗くなります ( 写真 4 5) 齢について : 卵から孵った幼虫を 1 齢とし 脱皮するごとに 2 齢 3 齢 と数えます カラマツハラアカハバチ

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Transcription:

病気 害虫 鳥獣による森林被害ーと (Web 版 ) ー この冊子について本 web 版は 関東中部林業試験研究機関連絡協議会 生物による森林被害リスク評価研究会 で作成した森林に多く発生する28の病気 害虫 鳥獣による被害について とを紹介した冊子をweb 用に再構成したものです 被害のリスクについて 下記の基準でA B Cの3 段階に区分し 記載しています 被害を見分け リスクを検討し を講じることへの一助となれば幸いです リスクによる分類単木 : A 枯損多 / 材への影響大 B 枯損中 / 材への影響中 C 枯損少 ~ 無 / 材への影響小 ~ 無 集団 被害拡大 利用方法 : A 影響大 B 影響中 C 影響小 ~ 無 : A 速い ( 大きい ) B 普通 目次のご覧になりたいタイトルをクリックしていただくと解説ページが開き 各ページのをクリックすると目次に構成になっています

目次 病気 カナメモチごま色斑点病 カラマツ根株心腐病 ケンポナシてんぐ巣病 サクラてんぐ巣病 スギ褐色葉枯病 スギこぶ病 スギ非赤枯性溝腐病 ナラ枯れ ( ブナ科樹木萎凋病 ) ヒノキ漏脂病 ホルトノキ萎黄病 マツ材線虫病 マンサク葉枯病 害虫 カツラマルカイガラムシ カラマツマダラメイガ クワカミキリ コウモリガ シロスジカミキリ スギカミキリ スギノアカネトラカミキリ ブナハバチ マイマイガ ヤノナミガタチビタマムシ 鳥獣 イノシシ カモシカ カワウ ツキノワグマ ニホンジカ ノウサギ 写真提供者各執筆者が担当した病虫獣害の写真を提供しています 執筆者以外の方からの写真の提供につきましては 以下の通りです ( 敬称略 ) 小野里光 星 秀男 長島征哉スギ褐色葉枯病図 - 右 図 - 左 マンサク葉枯病図 - 右 図 - 左長野県下伊那地方事務所カラマツマダラメイガ図 - 右 図 - 左林務課西村正史スギカミキリ図 - 右上 図 - 右下 図 - 左 長谷川幹夫 カナメモチごま色斑点病図 - 右 図 - 左 サクラてんぐ巣病図 - 右 図 - 左 ノウサギ図 - 中央 図 - 左

カナメモチごま色斑点病 (Entomosporium mepili ) カラマツ根株心腐病 ( カイメンタケ等 ) 4 月下旬頃から葉に円形で褐色の病斑が多数生じ 病斑のまわりが紫紅色になると やがて落葉します 放置すると 落葉を繰り返して徐々に樹勢が衰退し ひどい場合は枯死します カリ繰り返して徐々に樹勢が衰退し ひどい場合は枯死します カリン シャリンバイなどバラ科の樹木で 被害が発生しています 生生け垣などで病気が発生し 気づかずに被害が拡がる例が多くけ垣などで病気が発生し 気づかずに被害が拡がる例が多く見見られます 被害のリスク単木 :A 集団 :A 被害拡大 :A 罹病した枝葉を剪定し 落葉し罹病した枝葉を剪定し 落葉した被害葉も含めて除去することた被害葉も含めて除去することがが大切です さらに 殺菌剤が農大切です さらに 殺菌剤が農薬薬登録されていますので 予防登録されていますので 予防のたのために散布することも効果的めに散布することも効果的です です 病原菌はカイメンタケ レンゲタケ ハナビラタケ等複数種知られています カラマツの根から入った病原菌が 樹幹の心材を腐腐らせます 根元から高さ 10m 10m 以上腐らせることがあり 材価が著しく低下します 木を直接枯らすことはありませんが 風により 根著しく低下します 木を直接枯らすことはありませんが 風により 根元折れを起こしやすくなります 被害のリスク単木 :A 集団 :B 被害拡大 :C 土壌水分が高い緩斜面で被害が多発する傾向があります 被害多発地には カラマツ以外の樹種を植栽するようにします また 樹齢と共に被害が増加するので 間伐時等で被害が大きかった場所は 早めに収穫します 病原菌カイメンタケ 被害が拡大した様子 被害葉の病斑 写真小野里光群馬県林業試験場伊藤英敏 根株心腐病による根本折れ 被害木内部の腐朽 ( 縦断面 ) 山梨県森林総合研究所大澤正嗣

ケンポナシてんぐ巣病 ( ファイトプラズマ ) サクラてんぐ巣病 (Taphrina wiesneri ) 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :A 被害初期は 枝から不定芽を多数出し 葉は小型化 萎縮し 全体的に黄化します その後 感染した木の様々な場所で枝がほうき状となるてんぐ巣症状が現れます 発病して数年で木全体が枯死します ヒシモンヨコバイによって伝播されるので 媒介昆虫のが有効ですが 実行は困難です 病原菌に感染すると 枝の一部がこぶ状に膨らみ そこから小枝がほうき状に発生します 感染した枝は ほとんど花をつけず 小型の葉をつけますが 葉の縁から褐色化し 萎縮します 病気になった部分は年々大きくなり しだいに折れたり 枯れてしまいます また 材質腐朽菌にも感染しやすくなり 樹木の衰弱が激しくなる場合があります 日当たりの悪い 川沿いや谷筋など 多湿な場所に多く発生します 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :B 感染した枝の膨らんだ場所の下を切除します 切り口には 防菌ゆ合促進剤 ( チファネートメチル剤 ) を塗布して 胴枯病などが侵入しないようにすることが必要です 被害木 罹病部 健全葉 ( 左 ) と罹病葉 ( 右 ) 岐阜県森林研究所 大橋章博 被害木 東京都農林総合研究センター 写真星秀男 中村健一

スギ褐色葉枯病 (Plectospohaera cryptomeriae ) スギこぶ病 (Botryosphaeria sp.) 5 月 ~7 月にかけて発生し 主に 2 年生枝葉が変色して小枝が枯損します ( 写真左 ) 新緑の時期は林冠の上層や外層は鮮緑色 下層が赤褐色に見えます ( 写真右 ) その後 罹病葉には小黒点 ( 子実体 ) ができ 小黒点内の子のう胞子は新葉展開から梅雨頃にかけて飛散します 被害の激しい木は ごくまれに枯死することがあります 被害のリスク単木 :C 集団 :C 被害拡大 :B 土壌条件が悪い場所で恒常的に発生するので 造林の際には注意をする必要があります また 気象条件によって広範囲に発生する場合もあります 被害の激しい木から伐採する必要があります スギの枝幹にたくさんのこぶができる病気です はじめに 2~3 mm の球状の小突起ができ, それが, 年々肥大しこぶ状になります こぶが多数付くと, 枝枯れを生じます スギ品種によって罹病しやすいものとそうでないものがあります 被害のリスク単木 :B, 集団 :C, 被害拡大 :C こぶ病が多発している個体を除間伐時に除去することが重要です 罹病しやすい品種や個体を, さし木等の母樹に使用しないことが, 予防になります 単木被害の場合は, 病枝の切除なども考えられますが, 被害が拡大した林での実施は困難です 1cm 被害林新緑木の林冠の被害写真長島征哉埼玉県農林総合研究センター新井利行 被害部のクローズ 被害枝アップ ( 拡大 ) 茨城県林業技術センター岩見洋一

スギ非赤枯性溝腐病 ( チャアナタケモドキ ) 被害のリスク単木 :A 集団 : A 被害拡大 :B チャアナタケモドキ (Fomitiporia sp.) というキノコ ( 図 左 ) による辺材腐朽病で サンブスギに被害が多い病気です 病原菌は枯れ枝から侵入するとされており 形成層や辺材部を腐らせ 肥大生長が停止することで溝が形成されます ( 図 中 ) 巻き込みの見られない偏平な溝は 腐朽が進行すると樹皮が剥離し 材の腐朽部を露出します 植栽後 15~20 年程経ってから 溝が確認できるようになります ( 図 右 ) キノコの発生を防ぐために伐採した罹病木を林内に放置しないこと 罹病率が高い地域で本病に感受性の品種を植栽しないことが重要です ナラ枯れ ( ブナ科樹木萎凋病 ) カシノナガキクイムシ ( 約 5mm, 図 - 右下 ) が 初夏にナラ カシ類等の樹幹へ大量に飛来 穿孔します 共生関係にある病原菌 ( 通称 [ ナラ菌 ]: Raffaelea quercivora) を媒介して 真夏 ~ 晩夏に急速に木を枯らします ( 図 - 右上 ) 被害木は 樹幹に 2mm 程度の穿入孔が多数見られ 根元に大量のフラスが積もります ( 図 - 左 ) ( カシノナガキクイムシ Raffaelea quercivora) 被害のリスク単木 :A 集団 :A 被害拡大 :A 予防としては 根元に殺菌剤を注入する方法や幹に粘着剤や殺虫剤を噴霧する方法などがあります 集合フェロモンを使用し 誘引捕殺する方法も開発されています 未被害地域へ拡大させないためにも ナラ カシ類の原木等の売買時には 被害材が混じらないよう配慮する必要があります チャアナタケモドキ罹病木の断面罹病木千葉県農林総合研究センター森林研究所幸由利香 上 : ナラ枯れ被害地左 : 被害木右 : カシナガの成虫 ( 左 : 雄 右 : 雌 ) 新潟県森林研究所 宮嶋大介

ヒノキ漏脂病 (Cistella (Cistella japonica) japonica ) 主に 10 年生以上の林 ( ヒノキ, ヒノキアスナロ ( アテ, ヒバ )) において, 積雪地帯で多くの発生が認められます 枝の基部や樹皮の傷口から樹脂を流出し, 激しいときは多量の樹脂が光沢ある黒い筋状に流出し固まります ( 図 - 左 ) 樹脂の流出部分では, 材の成長が止まり, 健全部の成長に伴い溝状に陥没した形になります ( 図 - 右 ) 被害のリスク単木 :B, 集団 :B, 被害拡大 :B 除間伐時に被害木を除去し, 感染源を林内に放置しないことが重要です また, 高標高地, 多雪地域に, ヒノキ造林を行わないこと, スギ適地への造林を避けること, スギ林隣接地への植栽を避けること, 枝打ち, 間伐を適切な時期 方法で行うことが, 予防につながります ホルトノキ ( 図 - 左 ) において 葉の小型化や黄化 枝枯れなどの症状 ( 図 - 右 ) が認められ 3~4 年で衰弱枯死することもあります 原因は 葉脈師部組織に局在する病原微生物のファイトプラズマであり ヨコバイにより媒介されます ホルトノキ萎黄病 ( ファイトプラズマ ) 被害のリスク単木 :B 集団 :B 被害拡大 :B オキシテトラサイクリン系の抗生物質を有効成分とする既登録農薬の樹幹注入が効果的です 注入木では 5 6 ヶ月程度抗生物質が残効し 高い確率で症状が回復します 被害木流出した樹脂が, 筋状に黒く固まる 幹部断面被害部分は, 材の成長が止まる 健全なホルトノキ 葉の小型化や黄化 茨城県林業技術センター 岩見洋一 愛知県森林 林業技術センター 江口則和

マツ材線虫病 ( マツノザイセンチュウ ) マンサク葉枯病 (Phyllosticta hamamelidis ) 病原となるマツノザイセンチュウ ( 図 - 左 ) とそれを媒介するマツノマダラカミキリ ( 図 - 右 ) によって発生する病気で 一般に松くい虫と呼ばれることもあります カミキリ成虫がマツにつけた傷から線虫が侵入して増殖し マツはヤニの出が減少し 通水阻害を起こして急速に枯死します 衰弱したり枯死したマツにはカミキリが産卵し 翌年羽化した成虫が周囲に被害を拡大させていきます 被害のリスク単木 :A 集団 :A 被害拡大 :A マンサク マルバマンサクおよびシナマンサクの園芸品種で発生が確認されています ( 写真左 ) 関東では 5 月上旬頃から発生し 被害の激しい木では 7 月下旬頃にほとんどの葉が落葉します 葉枯れは最初に葉柄に近い葉脈間に発生し 葉の全体や一部を褐変して壊死させます ( 写真右 ) 罹病木では毎年葉枯れ被害が発生して樹勢が衰えるため 発病後数年で枯死することがあります 被害のリスク単木 :B 集団 :B 被害拡大 :B 予防としてカミキリ発生時期の薬剤散布や冬季の薬剤の樹幹注入 駆除として枯れたマツの伐採と搬出 くん蒸などがあります 庭木での発生を確認した場合は 速やかに罹病葉を取り除きいずれの方法も適期に実施し 被害木を林内に残さないことが可能なら焼却や土に埋める等の処分をする必要があります 重要です 写真長島征哉 0.5 mm マツノザイセンチュウマツノマダラカミキリ千葉県農林総合研究センター森林研究所福原一成 被害林 葉枯れ症状埼玉県農林総合研究センター新井利行

カツラマルカイガラムシ カラマツマダラメイガ 被害のリスク単木 :B 林分 :B 被害拡大 :B ナラ類 クリ サクラ類などの落葉広葉樹の枝に多数のカイガラムシ ( 直径約 2mm, 図 - 右 ) が寄生することにより 夏に葉が灰褐変し 枝枯れなどが発生します ( 図 - 左 ) 枝枯れが発生した被害木は 胴吹きして樹形が変形します 殺虫剤の樹幹注入による防除法が開発され 農薬登録されています また無被害地との境界に樹幹注入処理をした立木を帯状に配置することで 被害の拡大を防ぐことができます 苗木に付いて移動する場合があるので 植栽時にはカイガラムシの寄生の有無を確認することが大事です 被害のリスク単木 :C 林分 :C 被害拡大 :C 大発生した幼虫がカラマツの短枝葉を糸で綴りながら食害します 年 1 回の発生で 食害の最盛期 (8~9 月 ) には 褐変した枯れ葉が枝に糸で絡みついた状態となります ( 図 - 左 ) 一旦大発生すると 3 年程度被害が継続します 食害により落葉期前に針葉がなくなって枯れたように見える場合があります ( 図 - 右 ) 大発生した場合 こうしたカラマツ林が広範囲に拡がるため 見た目の状況に驚かされることがありますが 翌年の立木の成長等にはほとんど影響しません そのため 薬剤等による防除は必要ないのが普通です 拡大図 長野県林業総合センター 岡田充弘 写真長野県下伊那地方事務所林務課 長野県林業総合センター 岡田充弘

クワカミキリ コウモリガ 大型のカミキリムシ ( 図 - 左 ) でケヤキ カエデ類 クワなどの生立木を幼虫 ( 図 - 右 ) が穿孔加害します 幼虫は下方に向けて枝や幹を穿孔しながら成長し 3 年程度で成虫になります 途中で2 mm程度の穴 ( 排糞孔 図 - 下 ) を開け糞を排出し それが被害の目印になります 幹の穿孔は傷として残り 枝の穿孔は枝折れの原因となります また 幼齢木の場合 木が枯れたり幹折れすることもあります 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :B 排糞孔を見つけたら ノズル付きの殺虫スプレーを差し込んで噴射し材内の幼虫を殺します ケヤキの場合 成虫は低い位置にある細い生枝に産卵します そのため 密植して下枝を早期に枯らすことや枝打ちが 産卵回避と被害抑制につながると考えられます 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :C 幼虫 ( 約 5~11mm) は 様々な樹木や草本類の幹や茎などに穿孔 加害します ( 図 - 左 ) このため 幼齢木の場合は 加害部で折れたり ( 図 - 中央 ) 衰弱し枯死したりすることもあります 穿入孔は 排泄物や木屑を糸で綴った蓋をしているので ( 図 - 右下 ) 判別は比較的容易です 成虫は秋に産卵し 翌年 5 月ごろ孵化した幼虫は まず草本類を食害したのち木本類に移ります このため 5 月頃に下刈りで幼虫の餌となる草本類を除去してしまうことが 有効なです また 穿入孔の蓋を取り除き 殺虫剤をしみこませたティッシュペーパーを詰め込み駆除するもあります 若齢幼虫と孔道 折れた幼木 ( スギ ) 排糞孔と排出さクワカミキリ ( 体長約 4cm ) れた糞 ( フラス ) 静岡県農林技術研究所森林 林業研究センター加藤徹 木屑の蓋 ( ブナ ) 草本類の内部の幼虫新潟県森林研究所宮嶋大介

シロスジカミキリ スギカミキリ クリやシイ カシ類 その他多くの果樹や広葉樹が被害を受けます 被害部は主に成虫が好んで産卵する地際 ~ 地上 2mの幹です ( 図 - 右 ) この部分の材部が幼虫に食害されると空洞になり腐朽するので 枯死や風倒が生じやすくなります 被害のリスク単木 :B 集団 :B 被害拡大 :B 予防には MEP 乳剤を成虫の産卵前の 5 月下旬に樹幹に散布すると効果的です また 産卵されやすい部位を新聞紙や肥料袋などで被覆する方法もあります ただしこの方法では被害の多発時に被覆部よりも上部に被害が出ることがあります 成虫は大型 ( 体長 45~70 mm ) でよく目につくので ( 図 - 左 ) 見つけたら捕殺します スギ ヒノキが加害されます 被害は10~20 年生の若齢林に多く発生し 成長が旺盛な木ほど加害されやすくなります 幼虫 ( 体長 2~3cm) が樹皮下を摂食し ( 図 - 右上 ) 蛹化の際には材内に深く穿入するため 組織の壊死とそれにともなう材の変色を引き起こします ( 図 - 右下 ) 加害が著しい場合には 樹皮の巻き込みによる回復が進まず 幹が変形します 被害木が枯れることはまれですが 材価は大きく減損します 被害のリスク単木 :A 集団 :C 被害拡大 :B 被害木は伐採して 破砕や殺虫剤による防除を行います また 粘着剤を塗布したバンドを幹に巻き付けて 成虫 ( 体長約 2cm 図 - 左 ) を捕殺する方法が開発されています 被害を受けにくい抵抗性品種を導入する方法もあります 写真西村正史 被害木の樹幹表面 シロスジカミキリ成虫被害部神奈川県自然環境保全センター谷脇徹 スギカミキリの成虫被害木の樹幹断面富山県農林水産総合技術センター森林研究所松浦崇遠

スギノアカネトラカミキリ 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :C スギ ヒノキ生立木の枯枝に産卵し ふ化した幼虫は枯枝から幹に入って食害し 幹部に変色や腐朽を生じさせます 幼虫が内樹皮や形成層を加害しないため 巻き込みやヤニの浸出はなく 被害の有無を外観から判定することは困難です 被害の発見には 落ちている枯枝や立木から切り落とした枯枝に脱出孔や孔道がないか調べます 産卵場所となる枯枝を枝打ちするのが最も有効な方法です 被害による材の変色を考慮し 収穫目標とする長さに 1m を足した高さを目標枝打ち高とします ブナハバチ 被害のリスク単木 :B 集団 :B 被害拡大 :B ブナとイヌブナが被害を受けます 6 月を中心に幼虫が発生して葉を食べます 大量発生時には集団的に失葉します 全失葉した個体では8 月に再展葉が観察されます ( 図 - 左 ) 繰り返し食害を受けると枝先枯れが進行し 枯死する場合もあります 対象地域の多くは自然度の高い原生林のため 環境負荷の小さい防除法が求められます そこで 粘着トラップで幼虫を大量に捕殺する方法が検討されています ( 図 - 右 ) 粘着シートは樹幹地際部に粘着面が外側になるように設置します 葉を食べ終わった幼虫が一旦地上に落下し ブナの幹などをよじ登る生態を利用した防除法です 成虫 孔道 スギ被害材 脱出孔 岐阜県森林研究所大橋章博 粘着トラップ 8 月の被害林 ( 若葉は再展葉 ) 神奈川県自然環境保全センター谷脇徹

マイマイガ 多くの広葉樹 ( クヌギ サクラ ツツジ等 ) と一部の針葉樹 ( カラマツ等 ) の葉を食害します 1 年 1 回の発生 幼虫は 4~5 月頃にふ化し 脱皮毎に色彩が少しずつ変わりますが 頭部の垂れ目模様がです 老熟幼虫の体長は約 6cm になります 5~6 月頃 庭木や並木 森林等で突発的に大発生して葉を丸坊主にすることがあります 雌成虫は樹幹のほか 建物の壁等人工物にも卵塊を産みつけ 表面を体毛で覆います 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :B 幼虫がふ化した直後のなるべく若齢期のうちに殺虫剤を散布して防除します 越冬中の卵塊の採取も効果的な防除法です ヤノナミガタチビタマムシ 被害のリスク単木 :B 林分 :C 被害拡大 :C 幼虫 成虫ともケヤキの葉を食害します 幼虫は潜葉性で 6 月に食害 7 月にケヤキの早期落葉を引き起こします 落葉内で蛹化し 羽化した新成虫は 再びケヤキ葉へと移動 食害します 成虫で越冬します 幼虫による早期落葉とその後の成虫による食害で ケヤキが丸坊主になることがあります ( 図 - 右 ) ケヤキ早期落葉後 落葉から成虫が羽化する前に 落葉を除去します 早期落葉した葉を除去すればするほど 成虫を減らすことができ その後の食害を軽減することができます 成虫 ( 体長 5mm 程 ) 中齢幼虫 卵塊 若齢幼虫栃木県林業センター野澤彰夫 幼虫 ( 葉から出して撮影 ) ケヤキの激しい被害 ( 夏 ) 山梨県森林総合研究所大澤正嗣

イノシシ 鼻を使って地中の植物の根やミミズなどを食べるので 地面が掘り起こされます 地面は荒れますが 通常 造林木が大面積で枯損するには至りません また 牙や体の擦りつけによる幹への被害も生じます 被害のリスク単木 :C 集団 :C 被害拡大 :C 被害が甚大な場合は 造林地の周囲に柵を設置します 柵の下を掘られないように柵を折り返してスカート状にすることが重要です また わなによる捕獲も検討する必要があります ヒノキ スギ マツ カラマツなどの葉を採食します 若齢木の枝葉が繰り返し被害を受けると成長できず 盆栽状になります 葉の切断面はシカの被害に似ているため 付近のフィールドサイン ( ため糞や体毛 ) により区別する必要があります シカと異なり 樹皮を食べることはほとんどありませんが 角こすりをすることがあります カモシカ 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :C 若齢木の主軸の先端を守ることが重要です シカの同様 ツリーシェルターや防鹿柵により物理的に防除できます また 持続期間に限りがありますが 忌避剤も開発されています 上 : カモシカのため糞 シカ イノシシによって掘り起こされた造林地東京都農林総合研究センター新井一司 カモシカ 右 : シカの体毛は簡単に折れ曲がるが カモシカは折れにくい カモシカ 栃木県県民の森管理事務所丸山哲也

カワウ ツキノワグマ 体長約 80 cmの大型の水鳥 ( 図 - 左 ) で 水辺の林に集団でねぐらや営巣地 ( コロニー ) を形成します 糞の飛散 巣材採集等による枝葉の折り取りのため 周辺の樹木や草本が衰弱 枯死します 大規模コロニーでは 急斜面で土壌が流亡し 基岩が露出することもあります ( 図 - 右 ) 被害のリスク単木 :A 集団 :A 被害拡大 :B コロニー形成の初期段階に森林から追い出すことが大切です 追い出しには 日の入り前後に人が巡回して一斗缶を叩いたり 生分解性のテープを林冠にかけたりすることが効果的です 対処が遅れると 追い出しが困難となったり 追い出したカワウが新たな場所で問題を引き起こす危険性が高まります 4 月 ~9 月にスギ ヒノキ カラマツが被害を受けますが 特に樹皮が剥けやすく糖度の高い 5 月 ~7 月に多く発生します 被害は 1 回に数本から数十本が剥皮され 単年度に複数回の被害を受ける林分もあります 林分内の太く成長の良い木が被害を受ける傾向があります 被害のリスク単木 :A 集団 :A 被害拡大 :A 防除資材の幹巻きが一般的です 市販品以外に ビニールテープを巻いたり 枝打ち後の枝条で地際の周りを囲むなどいろいろ方法があります 林業上価値のある木から優先的に幹巻きしたり 被害に遭いやすい林分から対象とすることで省力化が図れます 被害木の剥皮状況 営巣中のカワウ 被害を受けた水辺の林 愛知県新城設楽農林水産事務所石田朗 愛知県森林 林業センター江口則和 被害林 群馬県林業試験場片平篤行 伊藤英敏

ニホンジカ ノウサギ 一部の有毒な植物を除く多くの樹種で芽 枝葉 ( 図 - 右 ) 樹皮 ( 図 - 左 中 ) に食害が発生します また 発芽 ( 植栽 ) 直後から 壮齢木の剥皮 ( 食べるのが目的の場合とオスによる角とぎがある ) まで 長期間にわたり被害が発生します 材の腐れや変色ほか シカが多い場所では 繰り返し食害されることで枯損木も発生します 被害のリスク単木 :A 集団 :A 被害拡大 :A 植栽地などの幼齢木へは チウラム剤やジラム剤を主成分とした忌避剤散布や ポリネットなどの資材で 1 本ずつ覆う方法 金網やネット柵で周囲を囲う方法などがあります しかし シカが過密な地域では 幼齢期以降も樹幹への剥皮害が発生するため 防護と一体的に捕獲を行って シカの個体数密度を低い状態に管理することが大切です スギ ヒノキ マツ類などの造林木を含め 様々な樹種が加害されます 被害は餌に乏しい冬期に多く発生し 地上から低い位置の 樹皮の他 針葉樹では枝先の柔らかい部分が 広葉樹では冬芽が摂食されます このとき 樹皮には のみ でえぐられたような門歯の痕 ( 図 - 中央 ) が 幹や枝には鋭利な刃物で切り取ったような断面 ( 図 - 右 ) が見られます 主幹が被害を受けると 樹木の成長が著しく阻害されます 被害のリスク単木 :B 集団 :C 被害拡大 :B 個体数が増え過ぎた場合には 狩猟による駆除を行います 造林木は植栽から間もない幼齢期に被害を受けやすいため ネットで覆い侵入を防ぐを講じます スギ ヒノキ マツ類に対しては忌避剤を散布 塗布する方法もあります また 大苗を植えることによって 被害を軽減した事例が報告されています ヒノキの樹皮を食べるニホンジカ 剥皮されたヒノキ 枝葉を食害され矮小化したヒノキ苗木 静岡県農林技術研究所森林 林業研究センター大橋正孝 ノウサギの成獣コシアブラの被害トチノキの被害富山県農林水産総合技術センター森林研究所松浦崇遠写真長谷川幹夫

関東中部林業試験研究機関連絡協議会 生物による森林被害リスク評価研究会 機関名 ( 独 ) 森林総合研究所 連絡先茨城県つくば市松の里 1 029-829-8377 ( 独 ) 森林総合研究所林木育種センター 0294-39-7000 茨城県林業技術センター茨城県那珂市戸 4692 029-298-0257 栃木県林業センター栃木県宇都宮市下小池町 280 028-669-2211 栃木県県民の森管理事務所栃木県矢板市長井 2927 0287-43-0479 群馬県林業試験場 群馬県北群馬郡榛東村新井 2935 027-373-2300 埼玉県農林総合研究センター 埼玉県熊谷市須賀広 784 048-536-0347 森林 緑化研究所 千葉県農林総合研究センター森林研究所 千葉県山武市埴谷 1887-1 0475-88-0505 東京都農林総合研究センター 東京都立川市富士見町 3-8-1 042-528-0505 神奈川県自然環境保全センター研究部 神奈川県厚木市七沢 657 046-248-0323 新潟県森林研究所 新潟県村上市鵜渡路 2249-5 0254-72-1171 富山県農林水産総合技術センター森林研究所 076-483-1511 岐阜県森林研究所岐阜県美濃市曽代 1128-1 0575-33-25852 山梨県森林総合研究所山梨県南巨摩郡富士川町最勝寺 2290-1 0556-22-8001 長野県林業総合センター長野県塩尻市片丘 5739 0263-52-0600 静岡県農林技術研究所森林 林業研究センター愛知県森林林業技術センター 茨城県日立市十王町伊師 3809-1 富山県中新川郡立山町吉峰 3 静岡県浜松市浜北区根堅 2542-8 愛知県新城市上吉田字乙新多 43-1 お問い合わせ先上記森林 林業試験研究機関 053-583-3121 0536-34-0321 監修 : 伊藤賢介 小泉透 佐橋憲生編集 : 大澤正嗣 岡田充弘発行者 : 関東中部林業試験研究機関連絡協議会生物による森林被害リスク評価研究会