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附則この要領は 平成 4 年 1 月 16 日より施行する この要領は 平成 12 年 4 月 3 日より施行する この要領は 平成 30 年 4 月 1 日より施行する 2

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5 事務局 審査会の事務局は 福島県農林水産部農業振興課におく 第 5 奨励品種決定調査の実施県は 奨励品種の決定に当たっては 奨励品種決定調査を行うものとする 1 奨励品種決定調査の種類 (1) 基本調査供試される品種について 県内での普及に適するか否かについて 栽培試験等によりその特性の概略を明

2 北海道農業研究センター研究報告第 195 号 (2011) 以降播種年度をもって示す ) 北海道農業試験場 ( 現北海道農業研究センター, 以降北農研と略す ) において, 秋まき硬質のパン用品種育成を目標として, 札系 159 号 と KS の F 1 を母, 月系 9509 を父

蛋白質含量 (%) タンパク含量 グルテン物性と加工用途 高い 中華用 パン用北米産 ブレンド用ゆめちから うどん用オーストラリア産国内産小麦菓子用北米産 強い 薄力 中力 強力 超強力 グルテンの強さ ( 池田 2011 を改変 ) 小麦粉の加工用途に

10 ( 参考 ) 望まれる麦の品質 (1) 麦の種類と利用方法 麦種種類加工タンパク質含有量用途 強力小麦強力粉 12% 以上食パン 菓子パン 小麦 デュラム小麦 ( マカロニ小麦 ) セモリナ マカロニスパゲッティ 準強力小麦準強力粉 11~12% 中華めん 普通小麦 薄力小麦 中力粉 10~1

新品種育成の背景 経緯一般の良食味米 ( 中アミロース ) で作成した麺は ゆで麺の表面の粘りが強く 麺離れが悪いのに対し 高アミロース米は麺離れが良く 製麺適性が高いことから 北陸地域向けの 越のかおり 北海道向けの 北瑞穂 などがこれまでに育成され 米粉麺が製品化されています しかしながら これ

ダイズ紫斑病に対するアミスター20フロアブルの散布適期

4 奨励品種決定調査 (1) 奨励品種決定調査の種類ア基本調査供試される品種につき 県内での普及に適するか否かについて 栽培試験その他の方法によりその特性の概略を明らかにする イ現地調査県内の自然的経済的条件を勘案して区分した地域 ( 以下 奨励品種適応地域 という ) ごとに 栽培試験を行うことに

米消費量小麦消費量食料自給率 一人あたり年間消費量 ( キログラム ) カロリーベース食料自給率 ( % ) ( 昭和 40) 1975 ( 昭和 50) 1985 ( 昭和 60)

目 次 はじめに 1 Ⅰ. 麦を巡る情勢 1 1. 種類と用途 1 2. 作付面積と地域性 2 3. 麦作制度 政策の改正 2 II. 売れる麦に向けた技術開発 3 1. 小麦 実需と産地のニーズに応える新品種 4 日本めん用 4 (1) 見ておいしく 食べてうまい加工適性 4 (2) 日本めん用新

2 作物ごとの取組方針 (1) 主食用米本県産米は 県産 ヒノヒカリ が 平成 22 年から平成 27 年まで 米の食味ランキングで6 年連続特 Aの評価を獲得するなど 高品質米をアピールするブランド化を図りながら 生産数量目標に沿った作付けの推進を図る また 平成 30 年からの米政策改革の着実な

長野県主要農作物等種子条例 ( 仮称 ) 骨子 ( 案 ) に関する参考資料 1 骨子 ( 案 ) の項目と種子の生産供給の仕組み 主要農作物種子法 ( 以下 種子法 という ) で規定されていた項目については 長野県主要農作物等種子条例 ( 仮称 ) の骨子 ( 案 ) において すべて盛り込むこ

農作物のカドミウム吸収抑制のために(3)低蓄積品種(石川覚)(図表)

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プレスリリース 平成 26 年 9 月 5 日農研機構 高温下でも品質が優れ 良食味で多収の水稲新品種 恋の予感 を育成 ポイント 玄米の外観品質 1) が ヒノヒカリ より優れ 高温年でも品質が低下しにくい特長があります ヒノヒカリ と比べ約 8% 多収で 米飯食味は ヒノヒカリ 並に良好です い

出席者名簿 委員及び幹事役職 氏名 所属及び職名 会長 齋藤満保 宮城大学食産業学部教授 委員 菅原悟 全国農業協同組合連合会宮城県本部米穀部長 委員 井城克廣 公益社団法人みやぎ農業振興公社常務理事 委員 高澤まき子 仙台白百合女子大学人間学部健康栄養学科准教授 委員 川口尚 東北農政局生産部長

HQ10 関東二条 48 号栃木県農業試験場関東以西の温暖地平坦地大麦加工食品用 高いジアスターゼ β- アミラーゼ力価を持つ オオムギ大麦縞萎縮病 うどんこ病に抵抗性 栃木県農業試験場 29

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H30年産そば方針

地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム (SATREPS) 研究課題別中間評価報告書 1. 研究課題名 テーラーメード育種と栽培技術開発のための稲作研究プロジェクト (2013 年 5 月 ~ 2018 年 5 月 ) 2. 研究代表者 2.1. 日本側研究代表者 : 山内章 ( 名古屋大学大学

(1)(独)農業・食品産業技術総合研究機構 北海道農業研究センター育成系統

Microsoft Word - 九農研プレス23-05(九州交3号)_技クリア-1.doc

山形県米粉利用拡大プロジェクト


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研究報告 第68号掲載課題

5 議事録 (1) 申請内容の説明ア水稲うるちもみ及び玄米 姫ごのみ の新規設定について ( 申請書等に基づき 及び酒見 ( 俊 ) が説明 ) イ水稲うるちもみ及び玄米 ちくし90 号 の新規設定について ( 申請書等に基づき 舛添及び大津が説明 ) ウ普通大粒大麦 はるか二条 の新規設定について

国内産麦の流通実態とそれを踏まえた麦産地での対応方向

Microsoft PowerPoint - 11 新潟米戦略

第5回 農地・農村部会 資料 /8

近畿中国四国農業研究センター研究報告 第7号

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あまおう の特長 あまおう は とよのか に比べて果実の着色が良好で厳寒期にも赤く色づき 果皮の張りが良く 光沢が優れます このため とよのか で必須であった 葉よけ や 玉出し という着色促進のための作業を軽減できます 果実の形は とよのか に比べて丸く 表面の溝が少なく 形が整っています 果汁の

ばれいしょ「長系134号」

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農林水産省試算の方法 ( 手順 ) (1) 試算対象品目の選定関税率 10% 以上 国内生産額 10 億円以上 ( 米 麦など 19 品目 ) (2) 国産品の分類内外価格差 品質格差の観点から 輸入品と競合する国産品と競合しない国産品に二分 (3) 試算の方法 1 競合する国産品は 輸入品に置き換

ウ WCS 用稲本市は県内最大の酪農地帯であるため 需要に応じた生産確保に努め 多収品種の推進 病害虫防除や雑草管理など適切な圃場管理を行う また についても実施する エ加工用米実需者の要望に対応できるよう 産地交付金を活用して複数年契約を進めることにより安 定的な供給を目指し 担い手の作付維持 (

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めに必要な情報を提供するとともに 2 関係者一体となった契約栽培等の需要と直結した生産を推進していく また 生産者の収益性向上につながる地域の気候風土を活かした特色ある野菜等園芸作物への作付を促進し 産地づくりを進めていくため 生産者への作付誘導のインセンティブとなる産地交付金を戦略的に活用していく

( ハ ) 種子小麦 種類異物色容積重整粒硝子率発芽率形質水分被害粒 ( グラム ) (%) (%) (%) (%) (%) 麦角粒麦角粒を除い等級 (%) たもの (%) 普通小麦合格 標準品 品種固有の色 強力小麦合格

( 2 ) 平成 24 年 4 月 1 日茨城県穀物改良第 243 号 2. 早生で大粒 良質な水稲新品種 ひたち 34 号 の特性と栽培のポイント 本県の水稲品種は コシヒカリ を主とする中生品種の作付けが大半を占めており 収穫作業等の集中が問題となっています このため 作業分散を図る上で コシヒ

1 はじめに北海道の麦作には 二つの大きな目標があった 一つは 秋まき小麦の全道平均反収を一〇俵の大台に乗せること もう一つは E U 並みの反収一トンどりをめざすことである この数字は 決して夢のような話ではなかった 麦作農家のなかには 圃場の一部ではあるが一トンどりを実現したとの声があったし 実

1 課題 目標 山陽小野田市のうち 山陽地区においては 5 つの集落営農法人が設立されている 小麦については新たに栽培開始する法人と作付面積を拡大させる法人があり これらの経営体質強化や収量向上等のため 既存資源の活用のシステム化を図る 山陽地区 水稲 大豆 小麦 野菜 農業生産法人 A 新規 農業

Taro-表紙・中表紙.jtd

目次 1. やまだわら の特性 _ 1 収量特性 1 2 品質 炊飯米特性 2 3 用途別適性 3 2. 生育の特徴 4 3. 収量 品質の目標 5 4. 各地域での主な作付スケジュール 6 5. 栽植密度 7 6. 肥培管理 1 施肥量 施肥時期 8 2 生育診断 9 7. 収穫適期

付図・表

ご説明する内容 1 遺伝子組換え技術について 2 安全性評価の仕組み 3 利用の現状 2

精米時に胚盤が残りやすく栽培特性が優れる良食味水稲品種「きんのめぐみ」の育成

2 農研機構研究報告次世代作物開発研究センター第 1 号 (2017) Development and Evaluation of the Core Collection of Japanese Wheat Varieties Hisayo KOJIMA, Masaya FUJITA, Hitosh

2 麦類 ( 子実用 ) (1) 4 麦計平成 24 4 麦の作付面積 ( 子実用 ) は26 万 9,5haで 前に比べて2,2ha(1%) 減少した ( 表 8) 麦種別には 二条大麦は前に比べて7ha(2%) 増加したものの 小麦 六条大麦及びはだか麦は前に比べてそれぞれ2,3ha(1%) 3

Microsoft Word - 3.加藤 和直

広瀬貴士他 : きねふりもち の育成経過と特性 Ⅲ 特性の概要 1 形態的及び生態的特性育成地 ( 当所中津川支所 ) における きねふりもち の早晩性は ココノエモチ より出穂期及び成熟期が 1 日から 2 日程度早い 早の早 である ( 第 1 表 第 2 表 ) ふ先色は ココノエモチ ほど鮮

機関名 ( 地独 ) 北海道立総合研究機構農業研究本部 部署名 企画調整部企画課 記入者氏名 山崎敬之 電話番号 レーザー式生育センサを活用した秋まき小麦に対する可変追肥技術 レーザー式の生育センサを使って秋まき小

1. 取組の背景射水市大門地域は 10a 区画の未整備な湿田が多く 営農上の大きな障害となっていた 昭和 62 年に下条地区で県内初の大区画圃場整備が実施されたのを皮切りに 順次圃場整備が進んでいる 大区画圃場整備事業が現在の 経営体育成基盤整備事業 になってからは 農地集積に加えて法人化等の担い手

目次 小麦の流通の概要 小麦の種類と用途 現行の輸入小麦の政府売渡

局生産部生産振興課深津よりご挨拶申し上げます 関東農政局 : 深津 あいさつ 司会 : 田渕次第 3の座長及び書記の選出ですが 本日の意見聴取会を円滑に進めるため 座長を選出したいと思います また議事録又は議事要旨を作成するため書記を選出したいと思いますが 座長及び書記の選出につきましてはご一任いた

農業技術の進歩と効果(補足)

川本ほか : 水稲新品種 ゆめおばこ の育成 定多収で粘りの少ない特徴的な食味であるため 一般家庭用はもとより外食 中食などへ利用が期待されたが ( 松本ほか 1999) 新たな需要の掘り起こしが十分とは言えず 2003 年の 6,149ha をピークに減少に転じている ( 東北農政局秋田農政事務所

独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構作物研究所平成 24 年度革新的農業技術習得研修 小麦の高品質 安定生産及び品質評価技術 平成 24 年 12 月 独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構 作物研究所

1 作物名     2 作付圃場 3 実施年度   4 担当

パンに適した微細で低損傷デンプンの米粉ができる水稲新品種「ゆめふわり」の育成

栃木県では二条大麦品種の スカイゴールデン 及び サチホゴールデン への切り替えにより 収量と上位等級比率が向上し 粗収入も向上 栃木県における二条大麦品種の切り替えによる粗収入向上 ( 試算 ) スカイゴールデンサチホゴールデンミカモゴールデン ( 従来品種 ) 収量 (kg/10a) 1 270

生産増と実需者ニーズに即した大麦品種育成の取り組み

コシヒカリの上手な施肥

Microsoft Word - テキスト表・目次.docx

DNA 抽出条件かき取った花粉 1~3 粒程度を 3 μl の抽出液 (10 mm Tris/HCl [ph8.0] 10 mm EDTA 0.01% SDS 0.2 mg/ml Proteinase K) に懸濁し 37 C 60 min そして 95 C 10 min の処理を行うことで DNA

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Ⅰ 収穫量及び作柄概況 - 7 -

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* 県産超強力小麦 銀河のちから の中華麺製麺適性評価 武山進一 ** 清宮靖之 ** 藤尾充 *** 菅原久子 **** ***** 府金慶 県産超強力小麦 銀河のちから の製麺適性を調査するため 加水率 32~36%( 対 小麦粉 ) で中華麺を試作し 物性測定および官能試験によりその適性を評価

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Taro-H23品種審査会資料(大豆供試

08U00表紙最終

Microsoft Word - H28年産_麦栽培技術指針(最終・修正版)

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(Microsoft Word - H24\202\324\202\307\202\244\213K\212i.doc)

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宮城県 競争力のある大規模土地利用型経営体の育成 活動期間 : 平成 27~29 年度 ( 継続中 ) 1. 取組の背景震災により多くの生産基盤が失われ, それに起因する離農や全体的な担い手の減少, 高齢化の進行による生産力の低下が懸念されており, 持続可能な農業生産の展開を可能にする 地域営農シス

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サイレージ用トウモロコシ一代雑種親自殖系統「Na65」の育成とその特性

(1) (2) (3) (4) (5) 2.1 ( ) 2

石川県水田フル活用ビジョン 1 地域の作物作付の現状 地域が抱える課題 水稲作付面積については 昭和 60 年の 37,700ha から 平成 25 年では 26,900ha と作付 面積で約 10,000ha 作付率で約 30% と大きく減少したものの 本県の耕地面積に占める水稲作 付面積の割合は

080308 植物育種の現在・未来と大学の役割に関するシンポジウム(1)

スライド 1

国産粗飼料増産対策事業実施要綱 16 生畜第 4388 号平成 17 年 4 月 1 日農林水産事務次官依命通知 改正 平成 18 年 4 月 5 日 17 生畜第 3156 号 改正 平成 20 年 4 月 1 日 19 生畜第 2447 号 改正 平成 21 年 4 月 1 日 20 生畜第 1

愛知農総試研報 41: (2009) Res.Bull.Aichi Agric.Res.Ctr.41: (2009) 白度が高く粘りの強い餅ができる水稲糯新品種 中部糯 110 号 坂紀邦 * ** *** **** ***** *** 寺島竹彦 工藤悟 加藤恭宏 大竹敏也

2. 食料自給率の推移 食料自給率の推移 我が国の食料自給率 ( 総合食料自給率 ) は 長期的に低下傾向で推移してきましたが 近年は横ばい傾向で推移しています (%) (H5 ) 43 7

集荷業者 登録検査機関 長崎県主食集荷商業協同組合 理事長 馬渡 清忠 ( 以下 長崎県主食集荷 馬渡 ) 有限会社川口商店 代表取締役 川口 光明 以下 川口商店 川口 ) 登録検査機関 ながさき西海農業協同組合 営農販売課長 森田 一弘 ( 以下 ながさき西海農協 森田 ) ごとう農業協同組合

品種とは 栽培 利用上 一定の特徴に基づき 同一の単位として分類される個体群 特性を全部保持しつつ 繁殖させることができるもの 特性 ( 形質 ) により分類される cf. 種 生物分類上の基本単位 界 門 綱 目 科 属 種 大豆 : 植物界マメ目マメ科ダイズ属ダイズ 2

品目別の現状と克服すべき課題 食料 農業 農村基本計画 ( 平成 22 年 3 月閣議決定 ) をもとに整理

山形県における 水稲直播栽培の実施状況 平成 28 年 8 月 26 日 ( 金 ) 山形県農業総合研究センター 1 1 山形県における水稲直播栽培の現状 1 (ha) 2,500 2,000 1,500 1, 乾田直播 湛水 ( 点播 ) 湛水 ( 条播 ) 湛水 ( 散播 )

遺伝子組み換え食品について KAIT_Japan igem 遺伝子組み換え食品とは何か - 定義 - 遺伝子組換え食品とは 他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し その性質を持たせたい作物などに遺伝子組み換え技術を利用して作られた食品である 日本で流通している遺伝子組換え食品には

目次 Ⅰ 要旨 1 Ⅱ 緒言 2 Ⅲ 材料と方法 5 1 ヨード ヨードカリ反応による wax( モチ, ウルチ性 ) 試験 2 圃場試験 3 押し倒し抵抗試験 4 モチ硬化性試験 食味試験 Ⅳ 結果と考察 12 1 ヨード ヨードカリ反応による wax( モチ, ウルチ性 ) 試験 2 圃場試験

生産行程管理業務規程 作成日 : 平成 27 年 6 月 1 日 改定日 : 平成 29 年 9 月 29 日 1 作成者クマモトケンヤツシロシフルシロマチ住所 ( フリガナ ):( ) 熊本県八代市古城町 2690 ヤツシロチイキノウギョウキョウドウクミアイ 名称 ( フリガナ )


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ラーメン用小麦新品種 ちくし福岡県農業総合試験場研究報告 W28(2009) 2 号 の育成 39 ラーメン用小麦新品種 ちくし W 2 号 の育成 古庄雅彦 1) 塚﨑守啓 松江勇次 1) 内村要介 2) 山口修 3) 馬場孝秀 * 髙田衣子 宮崎真行 浜地勇次 ちくし W 2 号 は, ラーメン適性良, 早生, 多収, 高蛋白含量, 縞萎縮病抵抗性および穂発芽耐性を育種目標に福岡県農業総合試験場において育成された硬質小麦品種で 東山 40 号 を母, 西海 186 号 を父とした組合せに由来する 育種法は, トウモロコシの花粉を利用した半数体育種法による ちくし W 2 号 は, 原粒の灰分含量, 粗蛋白含量および製粉特性は ミナミノカオリ と同等である 60% 粉の灰分含量および粗蛋白含量は ミナミノカオリ と同等であるが, アミログラム最高粘度は ミナミノカオリ より高い 細いストレートめんのとんこつラーメン用として, 生めんの色相は ミナミノカオリ より優れ, 食感は粘弾性が高く茹で伸びし難く, 総合的なラーメン官能特性は ミナミノカオリ より優れる 出穂期, 成熟期はともに ミナミノカオリ より2 日早い早生である 稈長, 穂数は同程度であるが, 穂長は長い 容積重は同程度であるが, 千粒重が重く, ミナミノカオリ より多収である 粒質は ミナミノカオリ 同様硬質で, 検査等級はやや優れる 縞萎縮病に抵抗性であり, 穂発芽性は難である 2008 年 3 月に種苗法による品種登録出願がなされ, 同年 10 月に福岡県で準奨励品種に採用された [ キーワード : 小麦, ラーメン用, 半数体育種法, 縞萎縮病抵抗性, 穂発芽耐性 ].A New HardRedWheatCultivar CHIKUSHI-W2 fortonkotsu-ramennoodleinfukuokaprefecture.furusho Masahiko,MorihiroTSUKAZAKI,YujiMATSUE,YosukeUCHIMURA,OsamuYAMAGUCHI,TakahideBABA,KinukoTAKATA, MasayukiMIYAZAKIandYujiHAMACHI(FukuokaAgriculturalResearchCenter,Chikushino,Fukuoka818-8549,Japan) Bul.FukuokaAgric.Res.Cent.28:39-44(2009) CHIKUSHI-W2 isanew hardredwheat(triticum aestivum L.)cultivardevelopedbythe FukuokaAgricultural ResearchCenterbyusingtheMaizemethod,andwasreleasedin2008. CHIKUSHI-W2 wasderivedfrom thecrossof TOUSAN 40 / SAIKAI186.Thecharacteristicsof CHIKUSHI-W2 areasfolows. Ingrainandflour,ashcontentandproteincontentareequalwiththestandardcultivar MINAMINOKAORI,and milingcharacteristicsaresimilartothoseof MINAMINOKAORI.Maximum viscosityintheflourishigherthanthat of MINAMINOKAORI.Theevaluation ofnoodlecolorandeatingqualityintermsofviscoelasticityandexpansionof boilednoodlesare superiortothoseof MINAMINOKAORI inthinandalkalinenoodleswhichhavealow additionof water,suchasissuitablefortonkotsu-ramennoodle.theheadingandmaturingtimes of CHIKUSHI-W2 areeach twodaysearlierthan with MINAMINOKAORI.Culm and spikenumberareofthesameorderasthoseof MINAMINOKAORI,andspikelengthis longerthanthatof MINAMINOKAORI.Test-weightissimilartothatof MINAMINOKAORI and1000-grainweightissuperiortothatof MINAMINOKAORI.Yieldingabilityissuperiorto thatof MINAMINOKAORI andinspectiongradeisslightlysuperiortothatof MINAMINOKAORI.Thekernelis brownwithahard,glassytexture. CHIKUSHI-W2 has goodresistancetowheatyelow mosaicvirus(wymv)and hastolerancetopre-harvestsprouting. [Keywords:hardredwheat,Maizemethod,resistancetowheatyelow mosaicvirus, tolerancetopre-harvestsprouting,tonkotsu-ramennoodle] 緒 言 福岡県は, 北海道に次ぐ国内第 2 位の小麦生産地となっている 本県における小麦は, 作付面積が麦類全体の約 75% を占めており, 水稲, 麦および大豆の 2 年輪作体系を基軸とする水田農業における重要な土地利用型作物として位置付けられている しかしながら, 作付品種のほとんどは日本めん用の品種であり, その需要は飽和状態となっている ( 菊池 2007) このため, 需要の高い優良品種の導入とその作付推進が重要な課 * 連絡責任者 ( 農産部 :honduras@farc.pref.fukuoka.jp) 1) 現企画情報部 2) 現バイオテクノロジー部 3) 現中央農業総合研究センター北陸研究センター 題となっており, 新たな需要を創出する小麦品種の育成が急務となっている また, 本県では, 低加水で細いストレートめんを用いた全国的にも有名な博多ラーメンなどに代表されるとんこつスープをベースにしたラーメン食文化が発達している ( 長尾 1998, 奥山 2003) しかし, めんの原料となる小麦は, そのほとんどを外国産小麦に頼っている ( 農林水産省 2008) したがって, 地元産ラーメン用の小麦品種の育成は, 地産地消の魅力をラーメンに付加することができ, 地元産小麦の消費拡大につながることから, 生産者や実需者からの期待も大きい このような背景の中で, 福岡県農業総合試験場では, コシがあり茹で伸びし難いなど, ラーメン用としてめん適性が高く, 早生, 多収で穂発芽に強いなど栽培性に優れる ちくし W 2 号 を育成したので, その育成経過や特性について報告する なお, 本品種はわが国で初めてラーメン用を目標に育成してきたもので,

40 福岡県農業総合試験場研究報告 28(2009) 2008 年 3 月に種苗法による品種登録出願を行い, 同年 10 月に福岡県で準奨励品種に採用された ちくし W 2 号 の育成にあたっては, 福岡県ラーメン用小麦品種開発協議会 ( 福岡製粉倶楽部, 日清製粉株式会社, 日本製粉株式会社, 鳥越製粉株式会社, 東福製粉株式会社, 大陽製粉株式会社, 全国農業協同組合連合会福岡県本部, 福岡県米麦品質改善協会, 農業総合試験場で構成,2006 年 8 月発足 ) の関係者各位に多大なる御支援と御尽力を頂いた 奨励品種決定調査においては, 豊前分場をはじめ筑後分場, 地域農業改良普及センターおよび行政部署の関係各位に御協力を頂いた また, 長野県農事試験場ならびに九州沖縄農業研究センターからは育種母本を分譲いただいた ここに各位に対し, 深甚なる感謝の意を表する 材料および方法 ちくし W 2 号 は, ラーメン適性良, 早生, 多収, 高蛋白含量, 縞萎縮病抵抗性および穂発芽耐性を育種目標に 東山 40 号 ( 後の ハナマンテン )( 中村ら 2007) を母, 西海 186 号 ( 後の ミナミノカオリ ) ( 関ら 2005) を父とした組合せに由来する 育種法は, 上記組合せの F1 にトウモロコシを交配する半数体育種法 ( トウモロコシ法 ) を用い, 手法は牛山ら (1990) に準じた 本品種の系譜は第 1 図に示すとおりである また, 本品種の育成過程の各世代における供試個体および供試系統数は第 1 表に示すとおりである 特性検定のうち, 播性, 赤かび病および穂発芽性については育成地において, また縞萎縮病については久留米市北野町の縞萎縮病汚染圃場において検定を行った 形態および遺伝的特性は,2005 2006 年度 ( 播種年度, 以下同じ ) の系統栽培における結果から, 農業特性および原粒品質は 2005 2007 年度の生産力検定試験における結果から, それぞれとりまとめた また, ラーメン適性に関わる製粉試験,60% 粉分析および官能試験は, 福岡県ラーメン用小麦品種開発協議会の実需者構成員からなる福岡製粉倶楽部技術研究会 ( 福岡製粉倶楽部, 日清製粉株式会社, 日本製粉株式会社, 鳥越製粉株式会社, 東福製粉株式会社, 大陽製粉株式会社 ) により,2005 2006 年度における育成地および奨励品種決定調査現地試験で栽培した材料を用いて実施した なお, 全ての試験において, 県内で準奨励品種となっている硬質小麦 ミナミノカオリ を 標準品種として用いた 第 1 表 ちくし W 2 号 の選抜経過 結果および考察 1 選抜経過 ちくし W 2 号 の選抜経過を第 1 表に示した 2003 年 4 月に福岡県農業総合試験場において, 東山 40 号 を母, 西海 186 号 を父として人工交配を行い, 24 粒の F1 種子を得た 同年 9 月に幅 25cm 長さ 65cm 深さ 20cm のプランターに F1 種子を播種し, ガラス室で養成した 2003 年 12 月から翌年 3 月にかけて, 出穂した F1 とトウモロコシを交配し, 半数体を作出後, コルヒチン処理による染色体倍加を行い, 2004 年 6 月に 22 個体 (H0) の半数体倍加個体を作出した これらのうちの 21 系統 (H1) について, 同年秋の播種までに温室内で種子増殖を行うとともに 19 系統を選抜した 2004 年度には 19 系統 (H2) を圃場において系統栽培し, 種子の増殖を行うとともに, 全系統について出穂期, 成熟期, 倒伏程度, ふ色, 粗蛋白含量, 灰分, フォーリングナンバーを調査するとともに生地物性に関与するグルテニンサブユニットのポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) 分析を行い, 全系統 第 1 図 ちくし W 2 号 の系譜図

ラーメン用小麦新品種 ちくし W 2 号 の育成 41 を選抜した 2005 年度 (H3) には, これら 19 系統のうち特に栽培特性と品質が優れていた 5 系統を ちくし W 1 号 から ちくし W 5 号 の系統名を付し, ドリル播による生産力検定試験, 特性検定試験, ラーメン加工適性ならびに官能評価試験および奨励品種決定調査に供試した これらの系統のうち, 栽培性, 収量性, ラーメン適性から ちくし W 2 号 1 系統を選抜した 2006 年度 (H4) 2007 年度 (H5) には, ちくし W 2 号 を生産力検定試験, 特性検定試験, ラーメン加工適性および官能評価試験に供試するとともに, 奨励品種決定本調査および同現地試験に供試した その結果, ちくし W 2 号 は, ラーメン適性に優れ, 早生, 多収で, 縞萎縮病に強く, 穂発芽性が難であったことから,2008 年 3 月に種苗法に基づく品種登録出願を行い, 同年 10 月に福岡県で準奨励品種に採用された 2 特性の概要 (1) ラーメン適性ア製粉特性および 60% 粉特性 ちくし W 2 号 の製粉特性および 60% 粉特性を第 2 に示した 粉合計は ミナミノカオリ よりやや低いものの, その他の項目は同程度で, 製粉特性は ミナミノカオリ と同等である 60% 粉の灰分含量および粗蛋白含量は ミナミノカオリ と同等である 白度は ミナミノカオリ よりやや低いものの, 明るさ (L * ) は同程度で赤み (a * ) と黄色み (b * ) がやや高く, 粉の色相は ミナミノカオリ と同等である アミログラム最高粘度は ミナミノカオリ より高い アミロース含量は ミナミノカオリ よりやや低い イラーメン官能評価第 3 表に ちくし W 2 号 のラーメン官能特性を示した 生めんの色相は, 製めん直後, 製めん 1 日後とも ミナミノカオリ より優れる 食感では, 歯切れ, 肌荒れ, 食味は ミナミノカオリ と同等であるが, 粘弾性が高く, 茹で伸びし難く, 食感は ミナミノカオリ より優れる ちくし W 2 号 の粘弾性の高さや茹で伸びのしにくさは, 低分子量グルテニンサブユニットが生地物性に関与する Glu-B3g 型である ( 池田 2005, 山口ら 2006) こと ( 第 4 表 ) や 60% 粉のアミログラム最高粘度が高いことに起因しているものと考えられる 生めんの色相が良く食感も優れることから, ラーメン官能評価総合計点は ミナミノカオ 1)2) 第 2 表 ちくし W 2 号 の製粉特性および60% 粉特性 1)2)3) 第 3 表 ちくし W 2 号 のラーメン官能特性 1)2) 第 4 表形態および遺伝的特性

42 福岡県農業総合試験場研究報告 28(2009) リ より高く, ラーメン官能特性は優れる 第 2,3 図に原粒粗蛋白含量とラーメン官能評価における食感合計点ならびに総合計点との関係を示した 原粒粗蛋白含量が増加することによって, 食感が向上し, その結果, 官能評価総合計点も高くなる正の相関関係が認められた (2) 形態的特性 ちくし W 2 号 の形態特性を第 4 表に示した 叢性は直立し, 株は ミナミノカオリ と同様に閉じる 葉色は ミナミノカオリ よりやや濃い 穂型およびふの色は, それぞれ 紡錘状, 褐 で ミナミノカオリ と同じである 粒形は ミナミノカオリ と同じであるが, 粒大は大きい 粒色は 褐 である 粒の硬軟および粒質は, それぞれ 硬, 硝子質 で ミナミノカオリ と同じである (3) 農業形質および原粒品質 ちくし W 2 号 の農業形質および原粒品質を第 5 表に示した 出穂期, 成熟期ともに ミナミノカオリ より 2 日早い早生である 稈長は ミナミノカオリ と同程度であるが, 穂長は ミナミノカオリ より長い ( 第 4 図, 第 5 図 ) 穂数, 耐倒伏性ともに ミナミノカオリ と同程度である 容積重は ミナミノカオリ と同程度であるが, 千粒重が重く, 多収である 外観品質および検査等級は ミナミノカオリ よりやや優れる ちくし W 2 号 の原粒灰分含量, 粗蛋白含量およびフォーリングナンバーは ミナミノカオリ と同等である また, ちくし W 2 号 と ミナミノカオリ の収量について, 県下延べ 22 カ 第 2 図原粒粗蛋白含量とラーメン官能評価食感合計 1)2)3) 点との関係 第 4 図 ちくし W 2 号 の草姿 第 3 図原粒粗蛋白含量とラーメン官能評価総合計点 1)2)3) との関係 第 5 図 ちくし W 2 号 の穂型と子実

ラーメン用小麦新品種 ちくし W 2 号 の育成 43 1) 第 5 表 ちくし W 2 号 の農業形質および原粒品質 第 6 図 ちくし W 2 号 と ミナミノカオリ との収量性の比較 第 6 表 ちくし W 2 号 の特性検定試験成績 所の試験結果を比較した結果, ちくし W 2 号 は ミナミノカオリ より有意に収量が高かった ( 第 6 図 ) したがって, 県下における広域適応性は高いものと判断される (4) 播性, 病害抵抗性と穂発芽耐性第 6 表に播性, 病害および穂発芽耐性の特性検定試験成績を示した ちくし W 2 号 の播性は, ミナミノカオリ と同じ Ⅰ である ちくし W 2 号 は縞萎縮病に強く, 赤かび病抵抗性は ミナミノカオリ と同等である 穂発芽耐性は, ミナミノカオリ より優れ, 農林 61 号 と同等で強い 縞萎縮病抵抗性は両親に, また穂発芽耐性は 東山 40 号 に由来するものと推察される ( 関ら 2005, 中村ら 2007) (5) 栽培上の注意点 ちくし W 2 号 は, ミナミノカオリ など他の小麦と同様に赤かび病には強くないため, 防除基準に従い適期防除を実施する 総合考察 ちくし W 2 号 は, わが国で初めて博多ラーメンなどに用いられる低加水で細いストレートめん用として育成された小麦品種である 通常, 小麦の品種育成には 10 年以上という年数を要する ( 吉田ら 1977, 関ら 2005, 田引ら 2006) 本品種は 5 年の短期間で育成されたが, これには半数体育種法の利点である形質の早期固定化が寄与している 形質を早期に固定化することによって, 形質が固定した種子の増殖が容易となり, その結果, 複数年にわたり複数箇所への種子の配付が可能となった このことによって,5 年という短期間に複数年, 複数箇所の材料によるラーメン適性評価ならびに栽培特性評価を実施できた 特に, ラーメン適性の選抜は, 実需者で構成されている福岡製粉倶楽部技術研究会におけるラーメン適性の評価を得ながら選抜を繰り返すことによって, 確実に育種目標が達成できた 品種育成の加速化が求められている現在, 育種の効率化を図るためには, 育種目標の明確化と効率的な育種法の選定や工夫が必要であり, 今回の ちくし W 2 号 の育成で行われたような専門分野関係者との連携は, 今後ますます重要となってくるであろう 本品種は, めんの粘弾性が高く茹で伸びし難いなどラーメン適性が良いという特長を有する また, 原粒粗蛋白含量とラーメン官能評価との関係では, 正の相関関係が認められた 中津ら (2007) は, 茹でめん切断抵抗値による硬さの程度を調査し, 中華めんの食感に影響するめんの硬さと小麦粉の粗蛋白含量との間に正の相関関係があることを明らかにし, 中華めんの食感にはある程度の粗蛋白含量が必要であることを考察している ちくし W 2 号 の官能評価においても原粒粗蛋白含量は重要であり, 本品種のラーメン適性をより向上させるためには, 一定の粗蛋白含量を確保することが必要であると考えられる このため, ちくし W 2 号 のラーメン適性を安定させ, 品質の良い原料を生産するという観点から, また新ランク区分における品質評価基準に対応するため,11.5% 以上の原粒粗蛋白含量を目標とした栽培を行うことが重要である さらに, ちくし W 2 号 は, 粗蛋白含量が ミナミノカオリ と同程度であってもラーメン適性が優れることから, ちくし W 2 号 のラーメン適性の要因を明らかにするためには, 粗蛋白含量のみでなく,

44 福岡県農業総合試験場研究報告 28(2009) 第 7 表 ちくし W 2 号 の育成従事者氏名 食味と澱粉の量や質との関係についても今後検討していくことが重要であると考えられる 普及面において ちくし W 2 号 は, ラーメン用の原料に適した新規用途の県産小麦としての活用が期待される また, 県内現地試験等における収量性からみて広域適応性が高いこと, 縞萎縮病に抵抗性であることから, 県内全域での作付も可能である さらに, 早生で, 穂発芽に強いことは, 収穫時期が入梅期にあたる本県においても, 降雨による品質低下の回避が可能である 以上のように, 本県に適した ちくし W 2 号 の導入は, 新たな需要創出による県産小麦の生産振興や水稲, 麦, 大豆を基軸とする本県水田農業の発展に大きく寄与できるものと考えられる なお, 本品種の育成者と従事期間は第 7 表のとおりである 引用文献 池田達哉 (2005) 生地物性を支配する低分子グルテニン サブユニット. 冬作物研究 5:9-16. 菊池むつみ (2007) 平成 20 年産国内産麦の入札について. 米麦改良 2007(10): 2-7. 長尾精一 (1998) 世界の小麦の生産と品質 - 上巻 -. 東京 : 輸入食糧協議会事務局,pp.83 中村和弘 上原泰 細野哲 牛山智彦 (2007) 中華めん用硬質小麦 ハナマンテン ( 華漫天 ) の育成. 北陸作物学会報 42:81-84. 中津智史 奥村理 山木一史 (2007) 北海道産コム ギ品種における中華麺適性の評価. 日作紀 76: 416-422. 農林水産省総合食料局食糧貿易課企画班 (2008) 麦の需給に関する見通し ( 平成 20 年度 ) について. 米麦改良 2008(5): 2-9. 奥山忠政 (2003) 文化麺類学 ラーメン篇. 東京 : 明石書店,pp.77-86 関昌子 八田浩一 波多野哲也 河田尚之 氏原和人 佐々木昭博 田谷省三 堤忠宏 藤田雅也 谷口義則 塔野岡卓司 坂智広 平将人 (2005) 小麦新品種 ミナミノカオリ の主要特性. 九農研 67:13. 田引正 高田兼則 西尾善太 桑原達雄 尾関幸男 田端聖司 入来規雄 山内宏昭 一ノ瀬靖則 (2006) 小麦新品種 キタノカオリ の育成. 北海道農業研究センター研究報告 185:1-12. 牛山智彦 黒岩真二 桑原達雄 (1990) コムギ トウモロコシ属間交雑によるコムギ半数体作出. 長野県農総試報告 4:1-14. 山口修 塚﨑守啓 内村要介 古庄雅彦 (2006) DNA マーカーを利用したコムギ半数体におけるグルテニンサブユニットの分類. 育種学研究 8 ( 別 2):201. 吉田美夫 北原操一 鶴政夫 桐山毅 福岡寿夫 吉富研一 牛膓英夫 柏尾俊光 荒木均 (1977) 小麦新品種 シロガネコムギ について. 九州農業試験場報告 9(1):1-12.