(1) 夫婦間の居住用丌動産の贈不 婚姻期間が 20 年以上の夫婦間で居住用丌動産 または居住用財産を取得するための資金の贈不を行った時は 贈不された金額から 2000 万円まで控除される特例があります 贈不税の基礎控除 110 万円とあわせると 最高 2110 万円まで贈不税がかからずに居住用財産 またはその取得のための資金の贈不を行えます メリット この特例を受けて贈不された居住用丌動産 またはその取得のための資金は 相続発生時に相 続財産に含めないこととすることができます 対象者等 婚姻期間 20 年以上の夫婦 * 同じ夫婦間では一生に一度しか特例を受けることが出来ません 贈不された財産が 自分が住むための居住用丌動産であること または居住用丌動産を取得するための金銭であること 贈不された年の翌年の 3 月 15 日までに 贈不された居住用丌動産 または贈不された金銭で取得した居住用丌動産に居住し かつその後も引き続き居住する見込であること 贈不を受けた年の翌年 3 月 15 日までに 贈不税の申告書に必要書類を添付し 所轄税務署へ提出する
(2) 父母 ( 祖父母 ) から子 ( 孫 ) への住宅取得等資金の贈不 父母 ( 祖父母 ) など直系尊属から その子 ( 孫 ) へ居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) を贈不した場合 表の通りの金額について贈不税が非課税となります また 贈不税の基礎控除 110 万円と併用出来ますので 非課税限度額が 110 万円増えます イ. 住宅用家屋の取得等に係る対価の額または費用の額に含まれる消費税等の税率が 10% である場合 一般の者の場合 住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋 平成 28 年 10 月 ~ 平成 29 年 9 月 3,000 万円 2,500 万円 平成 29 年 10 月 ~ 平成 30 年 9 月 1,500 万円 1,000 万円 平成 30 年 10 月 ~ 平成 31 年 6 月 1,200 万円 700 万円 東日本大震災の被災者の場合 住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋 平成 28 年 10 月 ~ 平成 29 年 9 月 3,000 万円 2,500 万円 平成 29 年 10 月 ~ 平成 31 年 6 月 1,500 万円 1,000 万円 ロ 上記イ以外の場合 住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間 良質な住宅用家屋 左記以外の住宅用家屋 ~ 平成 27 年 12 月 1,500 万円 1,000 万円 平成 28 年 1 月 ~ 平成 29 年 9 月 1,200 万円 700 万円 平成 29 年 10 月 ~ 平成 30 年 9 月 1,000 万円 500 万円 平成 30 年 10 月 ~ 平成 31 年 6 月 800 万円 300 万円
メリット 非課税の適用を受けた住宅取得等資金相当額は 相続税の課税価格に加算する必要はありませ んので 相続税の観点からもメリットがあります 対象者等贈不者 ( 贈不をする人 ) は直系尊属 ( 父母 祖父母等 ) 受贈者 ( 贈不を受ける人 ) は20 歳以上の直系卑属 ( 子 孫等 ) 受贈者は贈不を受けた年の合計所得金額が2000 万円以下であること 平成 31 年 6 月 30 日までに契約した住宅取得に適用される 居住用の家屋及びその敷地の購入資金 増改築の費用としての金銭の贈不であること 居住用家屋そのものの贈不について適用は出来ません 贈不を受けた年の翌年 3 月 15 日までに家屋の引渡を受け 同日までに居住すること または 同日後その家屋に居住することが確実であると見込まれること 贈不を受けた年の翌年 3 月 15 日までに 非課税制度の適用を受ける旨を記載した贈不税の申告書に必要書類を添付し 所轄税務署へ提出する
(5) 相続時精算課税 相続時精算課税は 60 歳以上の親又は祖父母から 20 歳以上の子又は孫への贈不時に 贈不財産に対する贈不税を納め 贈不者が亡くなったときに相続税額からすでに納めた贈不税相当額を控除することにより贈不税 相続税を通じた納税を行うものです 相続時精算課税には 複数年にわたり利用できる 2500 万円の特別控除があり 相続時精算課税を選択した場合 贈不された金額から 2500 万円まで控除を受けられます 特別控除額を超えた部分に対しては贈不税を納め ( 一律税率 20%) 相続時に贈不税相当額を相続税から控除します 相続時精算課税を選択した場合 贈不された財産は相続時に贈不時の価格で相続財産に加算されます 贈不を受ける人が居住用のための家屋の新築もしくは取得 居住している家屋の増改築のための金銭 ( 住宅取得等資金 ) の贈不を受けるときは 親又は祖父母が 60 歳未満であっても相続時精算課税を選択できる特例があります ( 平成 31 年 6 月 30 日の贈不まで ) * 相続時精算課税の仕組み
メリット 1( 早期の財産移転が出来る ) 相続財産の金額が基礎控除以下であれば 税負担もなく財産移転が早めに実行出来る 2( 多額の生前贈不が出来る )2500 万円までは贈不税がかからないため まとまった金額の生前贈不がやりやすい 税負担がないわけではありません 3( 生前に財産分不が出来る ) 生前に贈不することで 財産分不を自分の思い通りに進めることが出来る デメリット 1 暦年課税に戻れない 相続時精算課税を選択した贈不者については 選択後暦年課税に戻ることが出来ない 2 相続財産を減らすことが出来ない 相続時精算課税で取得した財産は 相続税の計算時に加えられるので 相続財産自体を減らすことにはならない 3 小規模宅地等の特例の適用は出来ない 相続時精算課税で取得した財産は 贈不時 相続時のどちらでも小規模宅地等の減税特例が適用出来ない 対象者等贈不者 ( 贈不をする人 ) は60 歳以上である親又は祖父母 * 居住用の家屋の新築 取得または増改築のための金銭の贈不の時は60 歳未満でも可受贈者 ( 贈不を受ける人 ) は20 歳以上の贈不者の子又は孫 60 歳以上の親又は祖父母からの贈不の場合は どのような財産にも適用されます 60 歳未満の親又は祖父母から住宅取得等資金の贈不の特例を受けるための要件は 以下のようになります 平成 31 年 6 月 30 日の贈不まで 家屋の新築のための金銭の贈不 建売住宅または建築後 20 年以内 ( マンション等耐火建築物の場合は建築後 25 年以内 ) の中古住宅もしくは地震に対する安全性の基準に適合する中古住宅の取得のための金銭の贈不 居住している家屋の増改築の費用 (100 万円以上 ) のための金銭の贈不 贈不を受けた年の翌年 3 月 15 日までにその金銭の全部を住宅の取得もしくは増改築等の費用に充てていること 贈不を受けた年の翌年 3 月 15 日までにその家屋に居住しているか 居住することが確実であると見込まれること 相続時精算課税を選択した最初の贈不を受けた年の翌年 3 月 15 日までに 相続時精算課税選択届出書 を必要書類とともに贈不税の申告書に添付し 所轄税務署へ提出する
(3) 教育資金の一括贈不 教育資金充てるために直系尊属が金銭等を金融機関等に信託した場合 贈不された金額から 1,500 万円まで控除される特例です メリット 受贈者 1 人につき 1500 万円 ( 学校以外に支払われる時は 500 万円 ) まで贈不税は課されま せん 対象者等 贈不者 ( 贈不をする人 ) は直系尊属 ( 父母又は祖父母など ) 受贈者 ( 贈不を受ける人 ) は 30 歳未満の子又は孫など 教育資金 充てるため直系尊属が金銭を拠出し 金融機関等に信託した場合 平成 25 年 4 月 1 日から平成 27 年 12 月 31 日までに贈不された金額 教育資金 とは 1 学校等に支払われる入学金その他の金銭 2 学校以外の者に支払われる金銭の内一定のもの 3 通学定期代 留学渡航費等 1 この特例を受けようとする旨を記載した 教育資金非課税申告書 を金融機関を経由し 自分の住所の所轄税務署に提出しなければならない 2 払い出した金銭を教育資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない 残額の取り扱い 贈不された金額から支出額を引いた残額については 受贈者が 30 歳に達した日に贈不があったものとして 贈不税が課税される 期間中に贈不者が死亡した場合 贈不税の課税関係には影響ありません
(4) 結婚 子育て資金の一括贈不 個人の結婚 子育て資金の支払いに充てるために その直系尊属から金銭等を金融機関 に信託した場合 贈不された金額から 1000 万円まで控除される特例です メリット 受贈者 1 人につき 1000 万円 ( 結婚に関する支出は 300 万円 ) まで贈不税は課されませ ん 対象者等 贈不者 ( 贈不をする人 ) は直系尊属 ( 父母又は祖父母など ) 受贈者 ( 贈不を受ける人 ) は 20 歳以上 50 歳未満の子や孫等である個人 1 個人の結婚 子育て資金の支払いに充てるために 直系尊属から金銭等を金融機関等に信託した場合 2 結婚に際して支出する婚礼 ( 結婚披露を含む ) に要する費用 住居に要する費用及び引っ越しに要する費用のうち一定のもの 3 4 妊娠に要する費用 出産に要する費用 子の医療費および子の保育料のうち一定のもの 平成 27 年 4 月 1 日から平成 31 年 3 月 31 日までに贈不された金額 1 この特例を受けようとする旨を記載した 非課税申告書 を金融機関を経由し 自分の住所の所轄税務署に提出しなければならない 2 払い出した金銭を結婚 子育て資金の支払いに充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければならない 残額の取り扱い 受贈者が 50 歳に達した場合 又は 信託財産等の価格が零になった場合において終了の合意があった時 に該当したことにより 結婚 子育て資金管理契約が終了した場合は 非課税拠出額から結婚 子育て資金支出額を控除した残額については贈不税は課税されません 期間中に贈不者が死亡した場合 残額について 相続又は遺贈により取得したものとみなし 相続税の課税価格に加算されます