第8章 トル コ 共 和 国 に お け る耐 震 補 強 奨 励 制 度 の 検 討 図8-1男 倍 と な っ た.全 女 年 齢5歳 階 級 別 人 口構 成 世 界 に お い て も 有 数 の 過 密 都 市 と 言 え る.ト ル コ 共 和 国 の1999年 の 出 生 率 は 日 本 の2.3 倍 で あ り.男 女 年 齢5歳 階 級 別 人 口 構 成(図8-1)を に お け る65歳 以 上 の 人 口 の 割 合 は ト ル コ の3.4倍 ル コ 共 和 国 ま だ 人 口 増 加 傾 向 を た ど っ て い る.平 トル コ 共 和 国 の2000年 2000年11月,2001年2月 見 て も,若 で あ る,深 均 世 帯 人 員 は5人 で あ り,日 ル,1人 の2回 の 金 融 危 機 に よ り,2001年 本 の1.85倍 で あ る. 当 た り のGDPは2,967USド は 通 貨 トル コ リ 54.9%(2000年), 高 く 不 安 定 な 経 済 状 況 が 続 い て い る.失 本 刻 な 高 齢 化 問 題 を 抱 え る 日 本 と 比 べ て,ト の 国 内 総 生 産(GDP)は1,999億USド 物 価 指 数 の 対 前 年 上 昇 率 は64.9%(1999年), 年 齢 層 の 人 口 が 多 い こ と が わ か る.日 ラ が 大 幅 に 下 落 し た.卸 54.4%(2001年)で 業 率 は7.3%(1999年)で あ る.経 ル で あ る. あ り,イ 売 ン フ レ率が 済 的 な 課 題 に 加 え て,非 識字 率 の 高 さ,乳 幼 児 の 死 亡 率 の 高 さな ど 教 育 衛 生 等 の 社 会 的 課 題 も抱 え て い る. 8.2.2地 震の 危 険性 トル コ 共 和 国 北 部 は 世 界 で も 有 数 の 地 震 頻 発 地 域 の 一 つ で あ る.国 2)と 東 ア ナ ト リ ア 断 層 と い う2つ の 巨 大 な 断 層 が 存 在 す る.北 く 断 層 で あ り,1939年 の 地 震 以 降,8つ 内 に は,北 ア ナ ト リ ア 断 層(図8- ア ナ ト リ ア 断 層 は 東 西 に1.000 以 上 続 の 大 地 震 を 引 き 起 こ し て い る.1999年8月17日 午 前3時1分27秒 に 発 生 し た コ ジ ャ エ リ 地 震 で は,北 ア ナ ト リ ア 断 層 の 西 部 分 の100-125 通 り,そ れ ま で の 地 震 の 震 源 は,東 か ら西 へ と 進 展 して き て お り,コ ジ ャ エ リ地 震 の 震 源 域 は 典 型 的 な 空 白域 の 一つ と し て 認 識 さ れ て い た.イ 北 ア ナ ト リ ア 断 層 の 西 端 に 位 置 す る.過 ス タ ン ブ ー ル 市 は,中 が 破 壊 し た.図8-2に 示 した 東 に お け る 巨 大 都 市 の 一 つ で あ り, 去 の 断 層 の 震 源 が 東 か ら 西 へ 移 動 し て い る こ とか ら,今 後, イ ス タ ン ブ ー ル 地 域 が 新 た な 巨 大 地 震 に 襲 わ れ る と い う 可 能 性 が 指 摘 さ れ て い る.文 部 科 学 省 に よ る コ ジ ャ エ リ 地 震 調 査 団 の 報 告(1999)に Sakaryaで 記 録 さ れ,そ よ れ ば,コ ジ ャ エ リ で の 最 大 地 震 動 は,震 の 大 き さ は 水 平 加 速 度 が406Gal,鉛 日 の 中 央 危 機 管 理 本 部 に よ る 被 害 状 況 の 発 表 で は,地 あ っ た.被 害 家 屋 計 は187,685戸 で あ り,そ 言 え る.こ の 理 由 と して は,レ な る.コ 震 に よ る 死 者 は15,466人,負 の う ち 大 破 崩 壊 し た も の は60,434戸 人 的 被 害 に お け る 死 者 と 負 傷 者 の 比 に 着 目 す る と,兵 コ ジ ャ エ リ 地 震 で は1:1.55と 直 加 速 度 が260Galで 庫 県 南 部 地 震 で は1:7,55で 央 か ら 約40km離 れた あ っ た.1999年9月12 傷 者 は23,954人 で で あ っ た(表8-1). あ る の に 対 し て, ジ ャ エ リ地 震 で は 人 的 被 害 に お け る 死 者 の 割 合 が 著 し く 高 い と ン ガ 造 の 建 物 で は構 成 部 材 が 小 さ い た め に 建 物 が 崩 壊 した 際 に 生 存 空 8-2

第8章 トル コ共 和 国 に お け る 耐 震 補 強 奨 励 制 度 の 検 討 図8-5イ ス タ ンブー ル市 内の想 定地 表 最 大速 度 図8-6想 8.2.7現 定 地 震 動 建 物 タ イ プ 別 の 棟 数 行 の被 災者 支援 制度 トル コ で は 地 震 後 の 応 急 復 旧 期 に は,テ ン ト設 営,仮 設 住 宅 の 建 設 及 び 瓦 礫 処 理 が 行 わ れ る.1999 年 の コ ジ ャ エ リ地 震 の 際 に 被 災 者 支 援 に 要 した 資 金 に つ い て,ヒ す る の に 要 し た 地 代,建 物 建 設 費 用,イ ア リ ン グ を 行 っ た.仮 ン フ ラ等 の 設 備 費 用 は 表8-5の 通 りで あ る.総 戸 数 で 割 っ て 仮 設 住 宅1戸 あ た り の 費 用 を 算 出 し た と こ ろ,4,717USド 仮 設 住 宅 建 設 数 の 約30%は ル と な っ た.外 日 本 を含 む 海 外 か ら の 支 援 に よ る と い う.日 本 政 府 は,ト 設住 宅 を建 設 費用 を仮設 住 宅 務 省 に よ れ ば, ル コ 共和 国 政 府 の 要 請 に 基 づ き,兵 庫 県 よ り阪 神 淡 路 大 震 災 の 被 災 者 が 使 用 し て い た 仮 設 住 宅 約1900戸 の 無 償 提 供 を 受 け て,ト ル コ 政 府 に 提 供 し た.こ 指 導 が 行 わ れ た 他,仮 れ ら の 仮 設 住 宅 の 建 設 に 際 して は,ト ル コ 人 技 術 者 に 対 す る 建 設 設 住 宅 の 輸 送 費 充 当 の た め140万USド ル が 緊 急 無 償 援 助 さ れ た.ま 8-9 た,建 物解体

第8章 トル コ 共 和 国 にお け る 耐 震 補 強 奨 励 制 度 の 検 討 最 後 に 建 物 に 関 す る 諸 デ ー タ と コ ジ ャ エ リ地 震 時 の 被 災 者 支 援 に 要 した 費 用 の 実 績 値 を 利 用 し て,提 案 制 度 の 加 入 に 伴 う住 民 負 担 額 及 び 行 政 負 担 額 の 変 化 を 推 計 し,制 度 の 効 果 を 評 価 す る.制 効 果 に 関 す る 分 析 に あ た っ て は,わ が 国 に お い て 指 摘 さ れ る 制 度 の 利 点 が,ト 同 様 に 制 度 の 利 点 に な り う る か ど う か に 着 目す る と と も に,ト 度 の導 入 ル コ共 和 国 にお い て も ル コ 共 和 国 の 実 情 に 即 した 制 度 の 導 入 方 法 につ い て 検 討 す る. 8.3.1耐 震 補 強 奨 励 制 度 に 基 づ く 行 政 住 民 の 費 用 負 担 前 述 の よ う に,恒 久 住 宅 供 与 制 度 は 将 来 的 に は 廃 止 す べ き 制 度 で あ る.理 な 問 題 か ら恒 久 住 宅 供 与 制 度 は 機 能 しな い 可 能 性 が 高 い に も 関 わ らず,住 る と誤 認 され,耐 善 は 難 し い.そ 実 的 に は経 済 的 民 に と って多 大 な 恩 恵 が あ 震 補 強 の イ ン セ ン テ ィ ブ を 無 く さ せ て い る た め で あ る,と こ で,従 由 は,現 は 言 っ て も,急 な 制 度 改 来 か らの恒 久 住宅 へ の低 利 融 資 を継 続 させ た 上で の 耐 震補 強奨 励制 度 の 導 入 (現状 シ ス テ ム 踏 襲 型)と,供 ケ ー ス を検 討 す る.表8-7と 給 住 宅 供 与 制 度 を 廃 止 し た 上 で の 制 度 導 入(理 想 の シ ス テ ム 型)の2つ の 表8-8に 両 ケ ー ス に お け る 制 度 導 入 に 応 じた 住 民 と 行 政 の 費 用 負 担 の 変 化 を ま と め た. 図8-8に,現 状 シ ス テ ム 踏 襲 型 の 制 度 加 入 時 に お け る 住 宅 被 害 に伴 う各 種 費 用 の 発 生 パ タ ー ン を 示 す. 奨 励 金 は,制 度 に 加 入 しな い 場 合 に は 受 け 取 れ な い.現 状 シ ス テ ム 踏 襲 型 に よ る 耐 震 補 強 奨 励 制 度 の 導 入 で は,基 準 に 従 っ て 耐 震 補 強 を実 施 し た に も 関 わ らず 全 壊 した 場 合 に,仮 久 住 宅 の 支 給 に 加 え て,さ 設住 宅 の 建設 お よび 恒 ら に 生 活 再 建 費 用 の 一 部 に 対 して 奨 励 金 を 支 給 す る も の とす る.全 に 対 して 非 常 に 手 厚 い 制 度 に な る が,住 壊被害 民 の 補 強 へ の イ ンセ ン テ ィ ブ は 向 上 す る も の と 考 え られ る. 半 壊 一 部 損 壊 した 場 合 に も,建 物 補 修 費 用 の 一 部 に 対 し て 奨 励 金 を 支 給 す る(表8-7及 び 図8-8).図 8-8に 示 した よ う に,半 壊 一 部 損 壊 の 場 合 に は 仮 設 住 宅 に 入 居 せ ず に 建 物 補 修 を行 う も の と し た. 理 想 の シ ス テ ム 型 で は,恒 久 住 宅 供 与 制 度 は 廃 止 す る も の と した.そ の 替 わ り,耐 震 補 強 を 実 施 し た に も 関 わ らず 全 壊 し た 場 合 に,住 宅 再 建 費 用 相 当 を 奨 励 金 と して 支 給 す る も の と す る.半 壊 一 部 損 壊 し た 場 合 に は,現 状 シ ス テ ム 踏 襲 型 と 同 額 の 奨 励 金 を 支 給 す る(表8-8). 図8-7制 度 導 入効 果 の評価 の流 れ 8-11

第8章 トル コ共 和 国 にお け る 耐 震 補 強 奨 励 制 度 の検 討 図8-8現 状 システ ム踏襲 型で の 各種 費用 の 発生 パ ター ン 表8-7現 表8-8理 8.3.2補 状 シ ステム 踏襲 型 にお ける 費用負 担 想 の システ ム 型 にお け る費 用負 担 強 前後 の 建物 強度 建 物 被 害 程 度 の 推 計 に は,JICA IMM(2002)に 格 建 物 の 耐 震 補 強 で は,新 こ こ で,兵 が 国 にお け る既 存 不適 耐 震 設 計 基 準 に 基 づ く 耐 震 性 能 を 付 与す る 工 事 を 耐 震 補 強 と 認 定 し て い る. 庫 県 南 部 地 震 時 の 建 物 被 害 デ ー タ に 基 づ く建 物 被 害 関 数 に よ り,我 が 国 に お け る 新 耐 震 設 計 基 準(新 耐 震)前 後 の 建 物 強 度 を 比 較 す る,あ 率PR(x)は,標 る地 震 動xの 時 に 被 災 ラ ン クR以 上 の 被 害 が 発 生 す る 確 準 正 規 分 布 の 累 積 確 率 分 布 関 数 Φ(x)を 用 い て 対 数 正 規 分 布 で 表 さ れ て い る(式8-1).係 数 λお よ び ζは そ れ ぞ れ,lnxの され た 木 造 建 物 の 関 数 で は,λ 1972-1981年 建 築 の 関 数 で は,λ 平 均 値 お よ び 標 準 偏 差 で あ る.新 お よ び ζ の 値 は,5.12お 耐 震 以 降 で あ る1982-1994年 よ び0.496で あ る.一 お よ び ζの 値 は4.73お よ び0.378で あ る.こ で あ り,こ れ は お よ そ ζ の 値 相 当 で あ る.そ 加 は,対 よ る 建 物 被 害 関 数 を 用 い た.我 こで,耐 方,新 耐 震 以 前で あ る れ ら 両 者 の λ の 差 は0.39 震 補 強 を 実 施 した こ と に よ る 建 物 耐 震 性 能 の 増 数 正 規 分 布 関 数 の 平 均 値 が 標 準 偏 差 相 当 分 だ け 増 加 す る も の と 仮 定 し た.図8-9は,1-2階 て の 組 積 造 住 宅 の 場 合 の,補 強 前(太 線)と 補 強 後(細線)の 8-12 に建 築 建 物 被 害 関 数 で あ る. 建

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