第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 (1) 賃貸マンションに対するアンケート調査の実施概要以下に 賃貸マンション対象調査の概要を示す ( 一部再掲 ) 調査方法郵送による調査票の配布 回収調査期間平成 26 年 10 月 ~12 月調査項目 Ⅰ. マンションの管理運営について Ⅱ. 建物 施設の概要について Ⅲ. 建物 設備の維持 管理について Ⅳ. 高経年マンションの再生について ( 対象 : 築年 30 年以上のマンションのみ ) Ⅴ. コミュニティ活動等について Ⅵ. 行政の支援について Ⅶ. 自由意見配布件数 521 件 うち 有効配布数 477 件 ( 不達等による無効配布数 44 件 ) 回収件数 102 件 有効配布数に対する回収率約 21.4% (2) 結果の分析方法 前章 分譲マンションの現況 と同様 現在 江東区におけるマンション施策で特に重要性の高い と考えられる分野 事項に関連する設問項目を 主要項目 として位置付け 単純集計だけでなくク ロス集計を実施するなど より詳細な分析を行う 主要項目 マンション概要 老朽化対策 管理適正化 コミュニティ形成 住環境の充実 築年数 規模 修繕の状況 長期修繕計画 大規模修繕工事 耐震診断 建替えの検討 管理規約の有無 管理費 地域コミュニティ形成の働きかけ 条例の認知度 町会加入率 災害協力隊 空き家率 防災対策 防犯対策 高齢者配慮 81
1. 管理 運営の実態 (1) 管理運営状況について 1) 相談できる専門家の有無とその属性 及び相談を希望する専門家の属性管理運営について相談できる専門家が いる と回答したマンションが 92.2% を占めている 相談している専門家としては 管理会社社員 が 61.7% と最も高く 次いで 不動産業者 税理士 会計士 が 52.1% となっている また 相談できる専門家が いない と回答したマンションにおける相談を希望する専門家につい ては その他 が最も多く 税理士 会計士 不動産業者 も 16.7% となっている 82
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 2) 管理規約の作成管理規約の有無については ある が 52.0% となっており 半数以上のマンションに管理規約が存在する 3) 管理委託の有無 77.5% のマンションが管理会社に 委託している 4) 管理人の有無管理人の有無については いる と いない が半々くらいの割合になっている 5) 管理費の適切性と変更の検討管理費については 適切である が 79.4% となっている また 管理費の変更に関しては 検討している 意見が出ている を合わせて 41.6% となっているが 考えていない も 25.0% 存在する これらのマンションはいずれも築 25~29 年となっている (3 件 ) 6) 良好な地域コミュニティ形成のための働きかけの有無良好な地域コミュニティ形成のための働きかけについては 積極的に努めている 概ね努めている を合わせて 56.9% となっており 半数以上のマンションで働きかけが行われていることがわかる 83
7)-1 江東区マンション等の建設に関する条例 の良好な地域コミュニティ形成を図るための努力義務の認知 江東区マンション等の建設に関する条例 の良好な地域コミュニティ形成を図るための努力義務の認知については 知っている が 34.3% となっている 7)-2 努力義務の認知と地域コミュニティ形成の働きかけ条例の努力義務を知っているマンションでは 積極的に努めている 概ね努めている を合わせて 77.1% となっている 8) 管理運営上の問題点管理運営上の問題としては ない が 65.7% で最も多いものの 居住ルールを守らない居住者の増加 が 17.6% 存在する 9) 施設管理上の問題点施設管理上の問題としては その他 が 66.7% を占めており 具体的には ごみ捨てのマナーや不法投棄といったゴミ捨てに関する問題が一番多くなっている 84
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 10)-1 空き家率と空き家となっている理由空き家の無いマンションは 63.7% となっている 空き家となっている理由については 居住面積が狭小であるため が 31.3% 建物が古い 設備も劣化 が 28.1% となっており 建物 設備に関する問題が空き家の原因として考えられていることがわかる 10)-2 管理費の適切性と空き家率管理費が適切ではないマンションでは 空き家のないマンションが存在しない 一方 管理費が適切なマンションでは 空き家率 0% のマンションが 67.9% を占めている 85
2. 建物 施設の実態 (1) 建物 土地 住戸の概要について 1)-1 建築竣工年次別専有面積別戸数 専有面積 40 m2未満の住戸が全体の 57.6% 専有面積 40~70 m2住戸が 31.3% を占めている また 全年代を通して専有面積 70 m2以上のマンションの割合が低い結果となっている 賃貸マンションで は大規模なマンションが少ない傾向がある 40m2未満 40~70m2 70m2以上 不明 総計 S49 以前 160 54 2 0 216 S50~54 43 5 0 0 48 S55~59 40 79 14 18 151 S60~H01 65 483 34 110 692 H02~06 432 167 97 33 729 H07~11 56 189 5 28 278 H12~16 338 158 88 1 585 H17~21 914 149 5 48 1,116 H22 以降 360 95 2 1 458 竣工年次不明 136 4 1 0 141 総計 2,544 1,383 248 239 4,414 40m2未満 40~70m2 70m2以上 不明 総計 S49 以前 74.1% 25.0% 0.9% 0.0% 100.0% S50~54 89.6% 10.4% 0.0% 0.0% 100.0% S55~59 26.5% 52.3% 9.3% 11.9% 100.0% S60~H01 9.4% 69.8% 4.9% 15.9% 100.0% H02~06 59.3% 22.9% 13.3% 4.5% 100.0% H07~11 20.1% 68.0% 1.8% 10.1% 100.0% H12~16 57.8% 27.0% 15.0% 0.2% 100.0% H17~21 81.9% 13.4% 0.4% 4.3% 100.0% H22 以降 78.6% 20.7% 0.4% 0.2% 100.0% 竣工年次不明 96.5% 2.8% 0.7% 0.0% 100.0% 総計 57.6% 31.3% 5.6% 5.4% 100.0% 0 500 1,000 1,500 S49 以前 S50~54 S55~59 S60~H01 H02~06 H07~11 H12~16 H17~21 H22 以降竣工年次不明 40m2未満 40~70m2 70m2以上 不明 86
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 1)-2 戸数規模別専有面積別戸数 戸数規模が拡大するにしたがって 専有面積 40 m2未満の住戸の割合が増加する傾向がある これ は分譲マンションと正反対の傾向である 40m2未満 40~70m2 70m2以上 不明 総計 40 戸未満 702 651 168 138 1,659 40~69 戸 658 331 75 114 1,178 70~99 戸 400 268 4 0 672 100 戸以上 784 121 0 0 905 総計 1,842 720 79 252 4,414 40m2未満 40~70m2 70m2以上 不明 総計 40 戸未満 42.3% 39.2% 10.1% 8.3% 100.0% 40~69 戸 55.9% 28.1% 6.4% 9.7% 100.0% 70~99 戸 59.5% 39.9% 0.6% 0.0% 100.0% 100 戸以上 86.6% 13.4% 0.0% 0.0% 100.0% 総計 41.7% 16.3% 1.8% 5.7% 100.0% 87
2) 建築面積 建築延床面積 敷地面積建築面積は 500 m2未満のマンションが合わせて 62.8% を占めている 延床面積については 1000 ~1999 m2 のマンションが 42.2% を占めている また 敷地面積では 500 m2未満 のマンションが 41.2% を占めている 建築面積 回答数 確率 200m2未満 21 20.6% 200~499m2 43 42.2% 500~999m2 13 12.7% 1000m2以上 6 5.9% 建築面積不明 19 18.6% 総計 102 100.0% 建築延床面積 回答数 確率 1000m2未満 11 10.8% 1000~1999m2 43 42.2% 2000~4999m2 27 26.5% 5000m2以上 8 7.8% 建築延床面積不明 13 12.7% 総計 102 100.0% 敷地面積 回答数 確率 500m2未満 42 41.2% 500~999 m2 26 25.5% 1000~1999 m2 9 8.8% 2000m2以上 8 7.8% 敷地面積不明 17 16.7% 総計 102 100.0% 88
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 3) 建物の棟数 階数 建物の棟数は 1 棟 のマンションが 90.2% を占めている 階数については 6~10 階 11 階 以上 を合わせて 80.4% を占めている 4) 建物の構造建物の構造については RC 造 が 57.8% となっている 分譲マンションと比較すると 鉄骨造 の割合が高くなっている 5) 事務所 店舗への転用 事務所 店舗への転用があるマンシ ョンは 31.4% となっている 89
(2) 駐車施設について 1) 自動車駐車場の状況自動車駐車場について 平面駐車場の場合 1~9 台 が 48.0% となっている また 無回答を除く大多数のマンションが有料駐車場となっている 一方 機械式駐車場では 49.0% のマンションで機械式駐車場が存在しない結果となっており 無回答を除くほぼ全てのマンションが有料駐車場となっている 駐車場を外部に貸し出しているマンションは 21.8% であり 分譲マンションよりも割合が高くなっている カーシェアリング用の駐車場が ある マンションは 3.0% にとどまっている 自動車駐車場の台数の適切度の特徴を把握するために築年数を分析したところ 築年数 5 年未満のマンションでは 駐車場が 不足している マンションが存在しないことがわかる また 全体でも 不足している は 4.0% にとどまっている また 充電設備のあるマンションは 1.0% にとどまっている 平面駐車場の台数 回答数 割合 なし 10 9.8% 1~9 台 49 48.0% 10~19 台 8 7.8% 20 台以上 4 3.9% 無回答 31 30.4% 総計 102 100.0% 機械式駐車場の台数 回答数 割合 なし 50 49.0% 1~9 台 8 7.8% 10~19 台 6 5.9% 20 台以上 7 6.9% 無回答 31 30.4% 総計 102 100.0% 90
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 空きがある不足している適切である 無回答 総計 5 年未満 1 0 3 2 6 5~9 年 6 1 9 7 23 10~14 年 4 1 6 2 13 15~19 年 3 0 1 4 8 20~24 年 4 0 4 4 12 25~29 年 4 1 3 13 21 30~34 年 1 1 0 3 5 35~39 年 0 0 0 1 1 40 年以上 1 0 3 1 5 築年区分不明 1 0 1 5 7 総計 25 4 30 42 101 空きがある不足している適切である 無回答 総計 5 年未満 (N=6) 16.7% 0.0% 50.0% 33.3% 100.0% 5~9 年 (N=23) 26.1% 4.3% 39.1% 30.4% 100.0% 10~14 年 (N=13 30.8% 7.7% 46.2% 15.4% 100.0% 15~19 年 (N=8) 37.5% 0.0% 12.5% 50.0% 100.0% 20~24 年 (N=12 33.3% 0.0% 33.3% 33.3% 100.0% 25~29 年 (N=21 19.0% 4.8% 14.3% 61.9% 100.0% 30~34 年 (N=5) 20.0% 20.0% 0.0% 60.0% 100.0% 35~39 年 (N=1) 0.0% 0.0% 0.0% 100.0% 100.0% 40 年以上 (N=5) 20.0% 0.0% 60.0% 20.0% 100.0% 築年区分不明 (N 14.3% 0.0% 14.3% 71.4% 100.0% 総計 (N=101) 24.8% 4.0% 29.7% 41.6% 100.0% 充電設備の有無 回答数 割合 ある 1 1.0% ない 86 85.1% 無回答 14 13.9% 総計 101 100.0% 91
2) 自転車駐車場の状況自転車駐車場については 駐車可能台数では 1~49 台 が 57.8% で最も多い 駐車台数の適切度に関しては 適切である が 58.8% を占めている一方 空きがある 不足している もそれぞれ 12.7% 15.7% 存在している 自転車駐車場が不足している場合の対応策としては その他 が一番多くなっているが 台数制限 も 37.5% となっている 自転車駐車可能台数 回答数 割合 1~49 台 59 57.8% 50~99 台 16 15.7% 100 台以上 14 13.7% 無回答 13 12.7% 総計 102 100.0% 92
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 3) バイク駐車場の状況バイク駐車場の駐車可能台数については 1~9 台 が 43.1% となっている また バイク駐車場の無いマンションが 23.5% 存在する 駐車台数の適切度については 適切である が 35.3% と最も高いが 不足している も 5.9% 存在する バイク駐車場が不足している場合の対応策としては 台数制限 が 66.7% となっている バイク駐車可能台数 回答数 割合 なし 24 23.5% 1~9 台 44 43.1% 10~19 台 8 7.8% 20 台以上 2 2.0% 無回答 24 23.5% 総計 102 100.0% 93
(3) その他の共同施設について 1) 集会室集会室のあるマンションは 10.8% にとどまっており 分譲マンションとは大きく異なる 管理の主体が区分所有者である分譲マンションとの違いがわかる なお 集会室があるマンションで 集会室の数は全てのマンションで 1 室 外部に開放しているマンションは存在しなかった また 利用頻度については よく利用されている は存在しない 一方 あまり利用されていない が半数以上を占めており 居住者同士の交流が少ないことがわかる 2) 管理人室 67.6% のマンションで管理人室が 存在する 3) エレベーター エレベーターは 92.2% のマンションで設置されている また エレベーターの基数は 1 基 が 88.3% を占めている 4) 情報通信設備情報通信設備については 光ファイバー等のインターネット回線 が 73.5% と最も高くなっている 94
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 (4) ユニバーサルデザインについて 1) 通路等の段差に対する配慮の有無段差に対する配慮を している マンションが 54.9% となっている 2) 階段の手すり 階段に手すりが ついている マン ションが 65.7% となっている 3) 廊下の通路幅員 廊下の通路幅員が 1.4m 以上ある マンションが 68.6% となっている 4) 廊下の床表面廊下の床表面が 滑りにくい仕上げである マンションが 79.4% となっている 5) 障害者対応のエレベーター障害者対応のエレベーターが ある マンションは 24.5% にとどまっている 6) 点字表示 音声案内等 視覚障害者への配慮 視覚障害者への配慮が ある マン ションは 8.8% にとどまっている 95
7) 築年数とユニバーサルデザイン充実度 本節では前項で単純集計をした 6 項目についてについて該当する個数をそれぞれ集計し該当する個数をそれぞれ集計し ユニバーサルデザインの充実の目安とした ユニバーサルデザイン充実度については 築年数 5 年未満のマンションでは ユニバーサルデザイン充実度 4 個以上のものしか存在しない 新築賃貸マンションではユニバーサルデザインに配慮された設計がなされていることがわかる 一方 築年数 35~39 年の例外を除いて 築年数が経過するほどユニバーサルデザイン充実度 3 個以下の割合が増える傾向がある この傾向は高経年マンションのユニバーサルデザイン充実度が比較的高い分譲マンションとは大きく異なるものである 96
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 (5) 緑化について屋上緑化については 施されている が 23.5% となっている これらの特徴を把握するために築年数を分析すると 築年数 10 年未満のマンションが半数以上を占めていることがわかる 一方 築年数 30 年以上の高経年マンションでは屋上緑化が施されているマンションは少ない結果となっている 壁面緑化については 壁面緑化が 施されている は 3.9% にとどまっている また ベランダ緑化については ベランダを緑化に 利用している世帯がある は 17.6% にとどまっている ベランダ緑化を禁止する管理規約や使用細則があるマンションは 7.8% にとどまっている一方 規定を守れば緑化可能 規定はない を合わせると 78.4% に達しており ベランダ緑化を行う余地のあるマンションが多いことがわかる ただし 緑化のための設備については ない が 69.6% となっている 屋上緑化物件の築年数 回答数 割合 5 年未満 2 8.3% 5~9 年 11 45.8% 10~14 年 2 8.3% 15~19 年 0 0.0% 20~24 年 5 20.8% 25~29 年 2 8.3% 30~34 年 0 0.0% 35~39 年 0 0.0% 40 年以上 1 4.2% 築年区分不明 1 4.2% 総計 24 100.0% 97
3. 建物 設備に係る維持管理の実態 (1) 修繕について 1)-1 長期修繕計画の有無長期修繕計画を 作成している が 40.2% となっており 分譲マンションでは 9 割近くが作成していることと比較してかなり低い結果となっている 長期修繕計画を作成しない理由に関しては 必要という意見が少ない その他 がそれぞれ 25.8% となっており その他 の内容としては その都度修繕しているという意見が多くなっている また 長期修繕計画の見直し状況に関しては 5 年ごとに見直し 5 年ごとではないが定期的に見直し が合わせて 31.7% となっており 定期的に見直しているマンションの割合は分譲マンションより低くなっている N=31 0.0% 10.0% 20.0% 30.0% 当初からないから 12.9% 必要という意見が少ない 25.8% 作成方法等の不知 費用の問題 3.2% 3.2% その他 25.8% 98
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 1)-2 管理規約の有無と長期修繕計画の有無管理規約があるマンションと管理規約がないマンションを比べると 長期修繕計画を 作成している の割合が 2 倍弱となっている 2) 定期修繕の実施の有無鉄部塗装や屋上防水などの定期修繕については 定期的に実施 不定期に実施 を合わせると 77.4% となっている 3) 建物の竣工図面の保管 建物の竣工図面の保管については 全部ある が 90.2% を占めており その保管先としては 所 有者 が 74.5% を占めている 4) 修繕工事の履歴情報の保管 修繕工事の履歴情報の保管については 全部ある が 49.0% となっており その保管先としては 所有者 が 64.6% となっている また 管理会社 も 32.9% であり 竣工図面よりも増えている 99
5)-1 大規模修繕工事の実施大規模修繕工事については 実施している 予定がある を合わせると 59.8% となっているが 分譲マンションと比べて約 25% 低い結果となっている また 実施していない が 35.3% 存在する そこで その特徴を把握するために 築年数及び次回の大規模修繕工事の資金的見込みについて分析した その結果 築年数 30 年以上の高経年マンションで大規模修繕工事を実施していないものが 2 件存在している この 2 件では次回の大規模修繕工事の資金的見込みについて それぞれ 補填方法が決まっていない 次の工事の予定が未定 となっており 修繕に関して大きな問題を抱えているとわかる また 大規模修繕工事の計画周期については 計画周期通りに実施 概ね計画周期通りに実施 を合わせて 51.1% となっている 次回工事の資金的見込みに関しては 自己資金で足りる は 31.4% にとどまっている 分譲マンションでは 66.0% であることと比べて低い状況にある 100
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 5)-2 長期修繕計画の有無と次回の大規模修繕工事の資金的見込み長期修繕計画を作成しているマンションでは 作成していないマンションよりも 自己資金で足りる 割合が二倍以上高くなっている また 長期修繕計画がなく その作成予定もないマンションでは 補填方法が決まっていない が 19.4% と他よりも明らかに多くなっている 5)-3 大規模修繕の実施にあたっての問題点大規模修繕工事の実施にあたっての問題点としては 自己資金が不足している が 28.4% となっており 金銭的な事情が最大の問題となっていることがわかる 101
(2) アスベスト対策についてアスベストが ある は 2.9% にとどまっているが 除去工事を 実施していない が 33.3%(1 件 ) 存在する また アスベストが ない と回答した場合の判断理由については 平成元年以降の施工 が 45.9% で高くなっている アスベストの有無について わからない と回答した場合の今後の調査予定については 調査予定のマンションは存在せず 無回答を除く 全てのマンションで 調査予定なし となっている とりわけ 平成元年以前の施工のマンション ( 本調査時に築年数 25 年以上 ) が 8 件存在する アスベストの有無について わからない と回答したマンションの築年数 回答数 割合 5 年未満 0 0.0% 5~9 年 0 0.0% 10~14 年 1 9.1% 15~19 年 0 0.0% 20~24 年 2 18.2% 25~29 年 7 63.6% 30~34 年 1 9.1% 35~39 年 0 0.0% 40 年以上 0 0.0% 築年区分不明 0 0.0% 総計 11 100.0% 102
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 4. 高経年マンションに係る再生の実態 本章では 築年数 30 年以上 (1984 年以前築 ) のマンション (11 件 ) のみを対象とする (1) 建物の耐震化について 1) 耐震診断調査の実施 耐震診断調査を 実施したことがある マンションは 36.4% にとどまっている 耐震診断調査の結果については Is 値 0.6 以上 と Is 値 0.3 以上 0.6 未満 が 25.0%(1 件 ) ずつ存在する また 耐震診断を行わない理由については 調査費用が高いため が 42.9% 耐震工事の費用がない が 28.6% となっており 金銭的な問題が大きい要因となっていることがわかる 高経年マンション 回答数 割合 30~34 年 5 45.5% 35~39 年 1 9.1% 40 年以上 5 45.5% 総計 11 100.0% 2) 耐震補強工事の実施 耐震補強工事については 実施したマンションが 18.2% にとどまっている一方 実施していないマンションが 54.5% となっている 103
3) 建物の耐震化における問題点建物の耐震化における問題点としては 費用の不足 が 54.5% と突出して多くなっている (2) 建替えについて建替えについては 回答のあった高経年マンションのうち 建替え手続を進めている マンションは存在しなかった 現在検討中 今後検討する予定 が合わせて 45.5% となっている一方 検討したことはない も 36.4% 存在する また 建物の建替えに関する問題点としては ない が 36.4% で一番多いが その他 が 18.2% となっており その内容は 高齢のため無理 と 建替えると建物が小さくなる である 104
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 5. コミュニティ活動の実態 (1) 町会 自治会活動の実施状況について 1) 町会 自治会への加入率と地区ごとの加入状況 64.8% のマンションが地元町会 自治会に加入しており 加入率は 無回答を除くと 100% が 12.1% で最も多くなっている 町会 自治会への加入状況について地区別に分析すると 分譲マンションと異なり マンションで一つの独立した自治会を構成 しているマンションは存在しなかった マンション全体で町会に加入 が富岡地区で 60.0% 東陽地区で 55.6% と高くなっている 地元町会への加入率 回答数 割合 40% 未満 5 7.6% 40% 以上 60% 未満 1 1.5% 60% 以上 80% 未満 1 1.5% 80% 以上 100% 未満 0 0.0% 100% 8 12.1% 無回答 51 77.3% 総計 66 100.0% マンション全体で町会に加入 回答数 割合 マンション全体で町会に加入 37 36.3% 各戸が自由に加入 28 27.5% 自治会を構成し町会に加入 1 1.0% 独自に自治会を構成 0 0.0% その他 21 20.6% 無回答 15 14.7% 総計 102 100.0% 2) 近隣住民との交流近隣住民との交流については 交流は殆ど見受けられない が 48.0% で最も多い結果となっており 分譲マンションとは異なる傾向がある 105
(2) 防犯対策について 本節では 防犯設備の設置設置とマンション内での人的対策のいずれかを行っているマンションを 防犯対策を行っているマンション と定め 他の項目と合わせた他の項目と合わせた集計に用いる 1) 防犯設備の設置状況 防犯設備については 設置している が 82.4% を占めており その設備内容としては 防犯カメ ラ が 77.4% オートロックシステム が 65.5% となっている 2) 人的対策の状況 人的対策については 行っている が 54.9% となっているが 防犯設備ほど高い割合とはなって いない 人的対策の内容としては 管理人による見回り が 87.5% となっている 3) 地域の防犯パトロール団体への居住者の参加状況 地域の防犯パトロール団体への居 住者の参加状況については 参加し ている は 14.7% にとどまっている 106
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 4)-1 防犯対策の実施の有無 防犯対策を実施しているマンショ ンが 86.3% となっている 4)-2 延床面積と防犯対策 延床面積 1000 m2未満のマンションでは 防犯対策を 実施していない が 27.3% となっている また 延床面積 2000 m2以上になると防犯対策を 実施していない マンションは存在しない (3) 防災対策について 本節では 防災設備の設備の設置設置と災害時の備蓄の災害時の備蓄のいずれいずれかを行っているマンションを 防災対策を行っているマンション と定め 他の項目と合わせた他の項目と合わせた集計に用いる 1) 防災設備の設置状況 防災設備については 設置している が 79.4% を占めており その設備内容としては 住宅用火 災警報器 が 92.6% と多くのマンションで設置されている 一方 その他の設備は少数のマンション にとどまっている 107
2) 災害時のための備蓄 装備の状況災害時のための備蓄を している は 23.5% にとどまっており 分譲マンションと比べて 20% 以上低くなっている その内容としては 飲料水 が 58.3% 食料 が 41.7% となっているが 簡易トイレ 仮設トイレ が分譲マンションと比べて 30% 以上低くなっている 3) 防災訓練の実施状況防災訓練については 実施していない が 27.5% で最も多くなっている一方 定期的に実施 は 14.7% にとどまっている 4)-1 防災対策の実施の有無 防災対策を実施しているマンショ ンが 82.4% となっている 108
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 4)-2 延床面積と防災対策延床面積 5000 m2以上のマンションでは 防災対策を 実施していない が 25.0% となっている 5)-1 災害協力隊への参加の有無災害協力隊への参加については わからない が 40.2% となっており 所有者が居住者の参加状況を把握していないマンションが多いことがわかる また マンションで結成 地域の協力隊に加入 を合わせて 15.7% にとどまっている 5)-2 マンションでの災害協力隊結成の検討状況マンションでの災害協力隊の結成の検討状況については 結成を 検討している マンションは 15.9% にとどまっている 6) 災害時の協力に関する協定 覚書の有無災害時の協力に関する協定 覚書を 締結している マンションは 1.0% にとどまっている 109
(4) 高齢者等に対する配慮について 1) 高齢者等要援護者の把握状況高齢者等要援護者を 把握している は 28.4% であり そのうち要援護者情報を消防署へ提供しているマンションは 10.3% にとどまっている 2) 居住者による高齢者等の見守り活動の実施の有無高齢者の見守り活動を実施しているマンションは 2. 9% にとどまっている 3) 憩いのスペースの有無と親睦会等の開催状況憩いのスペースが ある マンションは 2.9% にとどまっている また 憩いのスペースがあるマンションで親睦会等を開催しているマンションは存在しなかった 110
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 (5) ごみの分別協力について 1) ごみの専用保管所の状況 80.4% のマンションがごみの専用保管所があると回答している 分別ルールの遵守については 概ね守られている が 54.9% を占めており 守られていないことが多い は 2.4% にとどまっている また 分別ルールが守られていない場合の対応策については 87.5% のマンションで 管理人又は住民がやり直してから区の収集に出す という対応をしている 2) 集団回収 ( 自主的な資源回収 ) の状況集団回収を 行っている が 36.3% となっているが これは分譲マンションと比べて約半分の割合となっている 行っている わからない と回答したマンションの今後の実施の検討状況については 検討していない が 62.3% を占めている 111
3) 古紙の回収方法と古紙集積所の その他の紙類 ざつ紙 の表示の有無 古紙の回収方法については 区による資源回収 が 66.7% を占めている 古紙集積所の その他の 紙類 ざつ紙 の表示については ある が 26.5% にとどまっている 6. 行政支援への要望の実態 (1) 江東区及び東京都で実施している施策の利用度について 1)-1 マンション計画修繕調査支援 ( 江東区 ) について 利用したことがある は 2.9% となっている 1)-2 マンション共用部分リフォーム支援 ( 江東区 ) について 利用したことがある は 1.0% とな っている 1)-3 民間建築物耐震診断 耐震改修等助成 ( 江東区 ) について 利用したことがある は 2.9% とな っている 112
第 Ⅳ 章賃貸マンションの現況 1)-4 耐震化アドバイザー派遣制度 ( 江東区 ) について 利用したことがある は存在しなかった また 知っている は 29.4% となっている 1)-5 マンションアドバイザー派遣制度 ( 江東区 ) について 利用したことがある は存在しなかった また 知っている は 24.5% となっている 1)-6 マンションセミナー ( 年 2 回 )( 江東区 ) について 利用したことがある は 1.0% となっている 1)-7 アスベスト分析調査助成金制度 ( 江東区 ) について 利用したことがある は 1.0% とな っている 1)-8 前回調査 (H20 年度 ) との比較について 下表の灰色部分を除き 大幅な増加ではないものの全ての項目で数値が良くなっている マンション計画修繕調査支援 ( 江東区 ) マンション共用部分リフォーム支援 ( 江東区 ) 民間建築物耐震診断 耐震改修等助成 ( 江東区 ) マンションセミナー ( 江東区 ) 利用したことがある 利用したことはないが知っている 前回調査では 耐震化アドバイザー派遣制度 マンションアドバイザー派遣制度 アスベスト分 析調査助成金制度に関する設問が存在しない 知らない 無回答 1% 17% 73% 8% 2% 17% 72% 8% 0% 25% 65% 9% 0% 15% 77% 8% 113
(2) その他自由記述について 意見区分管理について修繕についてその他 主なご意見 ご要望 小さい 1K の賃貸ですので (500 m2以下 ) いつもきれいにして人に迷惑を かけないようにしています 東京非在住のため 管理会社にたよらざるをえない 特に コミュニティ 活動等の内容については細部まで目をみはらすことは難しい 居住者のニーズの高まりと競合物件の増加で 原状回復等に費用がかかる 築 20 年を超えたころより 様々な修繕が増え 維持 管理が大変です 昨年の大規模修繕時 外階段を検討しましたが 江東区では 助成金は無 いとの事で費用面であきらめました 個人所有の賃貸物件 ( 全室 ) なため 入居者が把握できない プライバシ ーの面もあり容易に自治会への加入も呼びかけにくい 平成元年竣工のた め 駐輪場を増やしたり 建物の形状を変えることは難しい 耐震補強工事において IS 値 0.6 を求めることは古い建物であっては非常 に難しいのが現実であるが 多少ずつでも補強を行うに当たり 法人所有物件の補強を行う場合 年間 30 万円をオーバーすると資産計上となる件 ( 課税が行われる ) が問題である 法人税約 40% 位 少なくとも耐震補強 工事には課税すべきではないと思います 法人所有であっても これでは 耐震補強工事は進みません 個人経営です 次の世代にどのように引継ぎをしたらよいか迷っています マンション実態調査と同様に江東区 東京都が実施している施策の案内 書 パンフ等を知るチャンスをもっと設けて欲しい 114