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1. はじめに 本稿では G. ストーカー 及び今村都南雄の議論を中心に 行政学 政治学領域における ガバナンス研究 に関する追跡と考察を行なおうとする 同時に 09 年初頭から行なってきたガバナンスの行政学的探究に関する既存の研究業績を 要約的に提示する性格も持つ 従って 併せて本稿の元になったリサーチペーパー ガバナンス 行政学 政治学 G. ストーカーのガバナンス研究を中心に ( 約 12 万字 ) をご覧頂きたい 1 ガバナンス 概念の使用と それに基づく諸研究業績に関しては 内外を通して多くの論者によりその整理と類別が試みられてきた 2 だが 概念 研究内容整理が試みられたところで 未だのガバナンスが十人十色的に使用される側面を有する背景には ガバナンスという実態に対する各国 地域別特性に対する議論が 各国におけるそれまでの政治学 行政学的蓄積との関連を踏まえた形で十分になされてきたとはいえない点があろう そもそも ある政治社会及びそこにおいて発展してきた学問的営為について理解しようとする時に比較の観点を持ち込むことには 常に多くの危険が伴う 異なる地域 時には異なる時代において各々重層的に成立した社会 学問において 何を共通の条件とし 如何なる水準における比較が有意義であるのか 何一つ自明ではない 比較におけるこの危険性が十分に認識されていないことが ガバナンス研究の錯綜と限界を招いているのではないか ガバナンス研究に限らず 日本的興味の下で外国文献や研究を扱う場合 対象となる社会実態の異同に対する入念な配慮が必要となるわけであるが 筆者自身 この場を以てこれまでのガバナンス研究の多くに欠けていた部分を完全に補うことは不可能である 従って 本研究においては 比較の軽視とそこからの逃避を避けるために 1 外国文献の紹介に留まらず既存の研究テーマ 研究対象への認識の中でガバナンスを 発見 し議論を展開してきた研究者を それ自体として追跡することをした上で 比較への可能性を模索する意味で 2それらの研究者が一定程度の一般性を持つものとして導出した方法論を 地域 文脈横断的に追跡すること を基軸として行う そして 1の代表者としてストーカーを扱うほか その前段階として1に最も適合すると思われる日本人の一人 今村の議論を検討する 2に関してはストーカーも傾斜するところの文化的制度論につき検討を加える予定であるが 現段階でまとめあげることは出来なかった その上で 最終的に我が国の文脈においてガバナンス研究が今後如何なる意味と発展性を持ち得るのかについて 比 1 http://www.geocities.jp/kentaro_ide1987/research/266.pdf 2 我が国においては 例えば [ 戸政 ] [ 荒木 ]pp3-4 [ 新谷 ]pp2-13 等

較の為の前段階的視座を提示出来ればと思う 2. ガバナンス論の視座 - 今村都南雄の議論を手がかりに ストーカーのガバナンス研究の紹介 考察に至る前に 今村都南雄の諸論を通して ガバナンス研究の視点 及び上述した既存研究の位置づけをより掘り下げてみたい 今村が蠟山政道研究を背景に ガバナンスの行政学 構想を初めて公にしたのは 西尾勝の 行政学の基礎概念 に対する書評においてであった 3 行政需要 と 供給サイド に挟まれた 行政組織 の外延を拡張したで上で 供給サイド にウェイトをかけ 更に行政組織に対する外部統制のみならず その行政組織を中心とした公共サービスの供給システムを構成する諸組織のネットワークの中で社会的に制度化された広範な組織 制御活動も視野に入れることによって 政府体系 4 における ガバナンス の問題を今村は捉えようとする 5 前記したように 今村が ガバナンスの行政学 を想起した背景には 蠟山行政学の今日的意義の探求があった 政府だけの能力では対処しえない ガバナンス問題 の発生は蠟山の時代からあったと今村は述べ 6 たゞの行政なるものが存在することを把握することが行政学の出発点であ り 行政主体を離れて行政を研究する前提として 異れる行政主体の相互間に存する関係の吟味ということが肝心な問題となる という蠟山の言に 民間機関をも一つの行政主体とした上での ガバナンス問題 を問う視点を見出す 7 そして 蠟山の言う たゞの行政なるもの を 今村は 公共空間 という概念で表す 97 年の行政改革会議最終報告における 公共性の空間 の議論 8を参考にし 今村はこれを 3 [ 今村 1991]pp262 4 ここでの 政府体系 とは 政府 民間関係 国 地方関係 政治 行政関係という 3 つの主要な関係から構成されるもので 縦 ( 中央地方 ) 横 ( 公共民間 ) 奥行 ( 政治行政 ) の三本の軸からなる立体的な座標軸に囲まれた 政策空間の磁場 に 主要な政策分野ごとの組織的業務活動のまとまりを示す複数の 組織活動のサブシステム を配置し その内部における業務活動を組織理論のタームで記述するとともに 政策空間の磁場 における中核 周辺の位置関係とその変動 それぞれの 組織活動のサブシステム を通してくりだされる政策の密集状況などを描き出すことを目的とした概念である [ 今村 2009]pp274 5 [ 今村 1997a]pp404-409 6 そして その例として例として 1940 年の全国都市問題会議総会で行った報告書 本邦都市発達の動向とその諸問題 に書かれた蠟山の記述を紹介する [ 今村 2009]pp217 7[ 今村 2009]pp217 8 行政改革会議最終報告 Ⅰ 行政改革の理念と目標

公共空間 と言い換えて 公的部門はもとより 公共サービスの担い手としての民間企業部門もその限りにおいて公共空間に含もうとする 9 特定の次元や領域に 公共空間 の適用範囲を限定してしまうのでは無く 各次元 領域間のリンケージに着目し 公共 民間関係においてこそ公共性は形成されると考えるのである 10 ガバナンスの行政学 では 公共空間なるものがまず想定され そこにおける各公共政策 サービスの立案と実施を担う諸主体 機関間の構造 過程 つまり政府体系 を組織理論のタームで論ずることに焦点があてられるのだが それは既存の行政学的思考に対し何を投げかけるのか 参考になるのが田辺国昭の議論である 田辺の整理によれば 日本も含め 既存の行政学は 公 民の明確な領域区分下での公務員集団の確立の段階に応じて 制度化 管理化 政策化 という分析次元を戦略的に取り組んできた 11 これに対し NPM の議論においては公的 民間セクターは融合し 更に NPM で見られる行政改革ではむしろ逆に 政策 管理 制度 という方向が辿られる 以上の分析には 共通制度の成熟度と管理方法によって政策の効率性を説明しようとしてきた従来の方法は通用せず 既存の行政学を支えた言説は再構成を余儀なくされる 12 そして 思考回路の逆転がガバナンス研究でも求められることを田辺は指摘する NPM が市場化の要素を持つことは 従来の行政が政府内部で比較的閉じられた或いは行政 ( 機関 ) が支配していた空間構造が 行政と市場が流動的かつ対等な関係で公共サービスの供給を含め社会的問題解決を行なう構造に変化すると言う意味で ガバナンス論と結びつくことは確かである 13 従って 田辺の主張する思考回路の逆転を今村行政学に適用するので http://www.kantei.go.jp/jp/gyokaku/report-final/ 行政改革会議最終報告 Ⅱ 内閣機能の強化 http://www.kantei.go.jp/jp/gyokaku/report-final/ii.html 行政改革会議最終報告 Ⅲ 新たな中央省庁の在り方 http://www.kantei.go.jp/jp/gyokaku/report-final/iii.html 9 [ 今村 2002]pp3-5 今村は 公共空間 概念が通常国家と社会の二元論の立場から見た 社会的次元 から公共性を創始するという 国家的公共性 行政的公共性 に対峙する 市民的公共性 の文脈で用いられることを認識したうえで むしろ行政学的には我が国に伝統的な 官主主義 からの脱却をめざした世紀末の基幹的な制度改革の意義を重視する観点からするならば 公共性の空間 の意味転換を徹底させて その中に 市民的公共性 の願意をどこまで浸透させることが出来るかを考えたほうが建設的だと考える 10 [ 今村 2002]pp6,[ 今村 1999]pp8-9 11 [ 田辺 2001]pp134-138 尚 日本の行政学が初期において米国輸入とされたことからも推察されるように 制度 管理 政策 という研究過程の推移は米国行政学の発展過程でもある [ 西尾 1990a]pp43-45 12[ 田辺 2001]pp140-142 13[ 山本 ]pp17

あれば 理念的にはまず公共空間なる領域を暫定的に定義した上で その中で行なわれる公共サービスにつきその供給システムの組織配置を再検討し その上でそれらの組織構造 制度化を組織理論のタームで論じるという過程を踏む筈である そして 今村はこの逆転の根源を 田辺のいうところの 20 世紀型行政学の前段階に位置する蠟山に むしろ見出すのである では その前提としての公共空間において供給されるサービスとは何か これに関しては 公共サービスの供給機関本位主義的発想の排除を求める以上の解を今村は出していない 14 そもそも何が公共サービスに当たるか自体が 常に行政学上の議論の争点となりえる 15 しかし 公共空間の外延を少なくとも暫定的に定義しておかなければ 守備範囲は無限に拡大し得るし 拡大すればするほどその反動としてガバナンスにおける個々の組織管理研究の一般的に体系化させていくことも困難になる だからこそ 今村は行革会議最終報告での 公共性の空間 を強く想起しているのではないか つまり 公共空間の無限の拡大可能性を回避する為に あくまで行政機関がこれまで直接 間接的にせよ大きく関与してきたサービスというものを 公共サービスの内実として差し当たり捉えているのではないか そう考えれば 行政学の外枠の暫定的固定化という学問の安定性との関係で 今村自身行政主体偏重主義からあえて完全に脱却していない その意味で 20 世紀型の行政学との学問的連続性をも同時に維持しようとする といえるのかもしれない 以上 今村行政学の検討を通じて ガバナンスを唱える現代の行政学者達が如何なる課題に直面しているのかを検討してきた これを踏まえ ストーカーのガバナンス研究を読み解く際に争点となり得る点につきいくつか述べたい まず ガバナンスの定義についてである 行政学のみならず政治学者としての顔も持つストーカーは 行政 組織管理に留めた今村の議論と比べて どのような概念整理を試みたのか 次に 今村がいうところの公共空間的ものを 市民社会論者という立場を含めてストーカーがどのように考えるのか 更に 今村の日本 そして蠟山行政学に対する理解と同じような形の古い課題としてのガバナンスの問題を ストーカーは英国にもあったと認識するのか あったとすれば それを考察してきた古き政治学 行政学上の諸理論が 彼のガバナンス研究においてどのような連続面と断絶面を持つのだろうか 14 [ 今村 2005]pp45 15 [ 今村 2001]pp65-66

3. G. ストーカー総論 3. では G. ストーカーのガバナンス研究の大枠 及びガバナンスの 発見 に至った経緯につき考察する ストーカーは現在サウスアンプトン大学教授であり 民主政治 ローカル リージョナルガバナンス 都市政治 市民参加 公共サービス改革を専門としている 16 初期の著書 論文の時点から ガバナンス という概念は局所的に見られたが 17 本格的な研究議論として誕生したのは 98 年の論考 [Stoker 2006c] 18 においてである それ以降 市民参加 ニューローカリズム 政府間関係 公共サービス改革等のガバナンスをめぐる諸論文や著作が中心となり 08 年にはこれらの議論を集大成する形で [Chhotray and Stoker] を共同執筆した 3.1 定義 ガバナンス とは何か ストーカー自身 ガバナンスが様々な方法で用いられており 定義や概念使用面での幾らかの難しさを多くの政治学の文献が指摘している旨を確認する その上で 核にあたるものとして [Chhotray and Stoker] において ルール 集合的決定 決定作成 如何なる公式の指揮統制システムも指令することが出来ない の 4 要素を軸に 以下のような定義を述べる ガバナンスとは 多元的な主体と機関が存在し それらの間の関係を如何なる公式の指揮統制システムも指令することが出来ないような環境下における 集合的な決定作成のルールに関することである 19 また [Stoker 2006c] においては 真偽の厳密な判定ではなくガバナンスの持つ様々な諸相につき考察を深めることを目的として 1ガバナンスは ガバメントのみならずガバメントを超えて導出される一連の組織 主体について言及する 2ガバナンスによって 社会的経済的問題に取り組むにあたりそ 16 マンチェスター大学教員紹介ホームページ http://www.ipeg.org.uk/staff/stoker/index.php 及び サウスアンプトン大学教員紹介ホームページ http://www.soton.ac.uk/ccd/people/stokerg.html 参照 17 例えば [Stoker 1991]pp261-8 においては 将来の地方政府モデルとして ヒエラルキー的ローカルガバナンス マーケットモデル的ローカルガバナンス ネットワーク的ローカルガンバナンスの 3 つが検討されている 18 本稿では ストーカー 1998 年論文に関し 06 年の Public Administration: A Readerpp215-230 に再掲された [Stoker2006c] を使用する 19 [Chhotray and Stoker]pp3, その解説につき [Chhotray and Stoker]pp3-4

の責任の所在や公私間の境界の曖昧さが明らかになる 3ガバナンスは 集合的決定作成における組織間の関係の中で行われるパワー依存につき指摘する 4ガバナンスとは 複数の主体による自律的な自己統治のネットワークのことである 5ガバナンスは 指令 権威の利用といったガバメントの権力に頼ることなく 物事を解決する能力を保持している ガバナンスは舵取りや指導を行う為の新しい道具や技術を用いることが出来る存在としてガバメントを位置づける という 5 つの主張を 1 複雑な決定作成の実態と ガバメントを説明し正統化している規範的な言説との乖離 2 行政責任の不明確さ 3 パワー依存が 政府が意図しなかった結論へと問題を悪化させる可能性 4 アカウンタビリティー確保の難しさ 5 政府が柔軟に集合的決定への舵取りを行っている場合でも生じ得るガバナンスの失敗 という批判と共に提示し 論じている 20 特に [Stoker 2006c] は ストーカーがガバナンス研究を本格的に発展させる上での契機となった論考であり 他者の研究業績を発展的にまとめあげた 5 つの主張は その内実を探求するという形で 後の彼自身の研究に大きな影響を与えてきた これをまとめ直せば 1 政治 行政主体の多元性 2 国家 社会二元論の相対化 3 主体間のパワー依存 4ネットワーク型ガバナンス5ガバナンス時代のガバメントの位置であるが 以後 特にガバナンスにおける各主体の集合的決定作成への参加可能性という観点から 事例研究や議論を展開するものが増えることになる ガバナンス概念の下で特にブレア政権時代のローカルガバナンス改革や諸々のパートナーシップ促進構想に関する研究を体系的整理し位置づけることが出来たことが ストーカーにとってガバナンス概念の大きな意義であったのではないかと推察され その意味で 今村が狭義の行政管理の視点からガバナンスを体系化しようとした点とは差異がある 他方 ガバナンス研究を 5 つの主張として整理した切り口は一見して不明瞭である アカウンタビリティーや政治 行政責任確保といった問題が複数の主張に入り組んでいくことは 各主張が相互補完的にあるというよりもむしろ それ自体複雑に錯綜しているようにすら思われる 何れにせよ 5 つの文章形式の主張とそれに対する批判 ジレンマが必ずしも一対一対応になっていない側面があるということは付記しておく必要がある 次に 定義に対する再考である 前記したように ガバナンスとはあくまで集合的決定 20 [Stoker 2006c]

に関するルール つまり政治的行為のことである これは 彼が別著において 市場的決定などとは異質の政治に特有の原理として掲げた 3 つの主張にまさに該当する 21 このようにガバナンスは政治活動だと彼が強く主張する背景には ガバナンスから政治性を排除しようとする試みがあまりにも多く見られるという事実がある 国内政治 行政における ガバメント無きガバナンス論 が一種のレトリックであるとしても 政治の役割の否定は 価値よりも技術を優先する風潮がガバナンス論によって正当化されている議論の中に見られる 政治を人が他の人と接し 単に自己主張の中で抗し合うことによる緊張感を超えて暴力無しに最終的に共通の落とし所を見つけるという 複数の人間が同一の空間で生きる為の基本的作業として不可欠なものと捉えるストーカー 22 にとって 民主政治がガバナンスから切り離されることは最大の問題である 権力や政治の役割を受容すること無しにガバナンスを考えることは出来ず 主体やネットワークが複合化したことは それは政治空間が多元化しよりダイナミックなそれが展開されているものと認識すべきだ ということであろう 23 3.2 ガバナンスの 発見 ストーカーはガバナンスを如何なる点に見出したのか これを検討する際に注意すべきは ストーカーのガバナンス論の展開における 1 英国の都市 自治体 2 世界的潮流としての脱英国的場 という 2 つの 場 である 両者の区分はしばしば曖昧であり [Stoker 2006c] にてガバナンス問題の時間的 空間的限定性に注意を向けていた 24 にも拘らず 方法論 理論研究においては時に比較の視点に半ば無頓着な議論として表出することもある 多くの論者同様 2の実態面に関しては グローバル化 民主主義的制度の広がりとその理念に対する共感の高まり の 2 点を要素として挙げる 25 また 学説史的変容に関しては 特に 80 年代からの EC EU 研究が 政治学 行政学面における国家の空洞化 (hollowing out) を表出させ 内的な行政主体の多元化 地方への権限委譲 また EU 国際機関等の対外的な決定機関の多元化に対応する視点を準備したと述べる 26 更に 公共サービス提供 行政責任の分化が 伝統的な政治 行政二分論やヴェーバー型のヒエラルキー的支配モデ 21 [Stoker 2006a]Chp.4 22 [Stoker 2006 a]pp3-7 23 [Chhotray and Stoker]pp237-241 24 [Stoker 2006c]pp227-228 25 [Chhotray and Stoker]pp7-10,[Stoker 2006]Chp.1 26 [Chhotray and Stoker]pp18-20

ル単独での理解を困難にし 国家を単体ではなく寧ろ複雑な関連性と断絶性をもった諸制度の集合体と捉える解釈が生まれたことや ガバナンス を現実変化に対応した実態と認識し アカウンタビリティー低下や統治機能の減退 民主的正統性の揺らぎといった諸問題を分析 検討する概念として政治学 行政学が重視していることも主張する 27 だがこれだけでは ガバナンス的ものが何らかの連続的過程を持って表れたのか 或いは突如として降って湧いたような類のものなのかは不明である [Chhotray and Stoker] では社会科学全般が扱われているために焦点がぼやけてしまうのだが 今村のように明確に戦前まで遡ることはなくとも ストーカーにとってガバナンス研究は 90 年代に突如として出現した類のものではなかった それは 彼自身がスタート地点とした英国都市政治 行政という対象と研究潮流の中で 段階的に準備されてきたのである つまり実態面としては [Stoker2004a] において ポスト産業主義時代 ポスト官僚主義時代 ポスト福祉国家時代 等といった言説で語られる 国家政府が独占的に自国の社会 経済的諸問題に対処できず EU のような超国家主体や地方政府 そして第 2 3 セクターとの連携を密にして政策対応を行わなければならなくなったことを反映しつつ 地方政治に関するガバナンス的変化とは ポストフォーディズムという概念で幅広く語られる社会経済的実態の変容の中に位置づけることが出来ると述べ 28 英国のローカルにおける治の形態を 3 つの時代に区分する つまり 1 選挙型ローカルガバメントの時代 2NPM の下でのローカルガバメントの時代 3ネットワーク型コミュニティーガバナンスの時代 である 29 他方 英国 米国における都市政治 行政研究においては 一定のサイクルと傾向がある とストーカーは言う つまり 50 60 年代における公的な政治 行政制度研究の時代 60 年代の政治学における行動論革命の影響とそれに伴う経験的な実証分析の発展を受けた時代 米国においては CPS 論争の形で表出する 30 70 年代に入ってからのマルキシズムを始めとする社会 経済構造要因研究への傾斜 その例としてストーカーはレギュラシオン理論と都市政治研究の関係を考察する 31 そして 80 90 年にかけての広範な政治経済学的視点の流入 その代表例としてストーカーが検討 整理を試みるのが都市レジーム論 27 [Chhotray and Stoker]pp21-26 28 [Stoker 2004a]pp9-10 29 [Stoker 2004a]pp10-14 30 [Stoker1998]pp119-120 31 [Stoker 1990] 等

と欧州圏への応用可能性である 32 である 政治 行政を政府 行政機関という主体から考察することを脱し 政治 行政課題という政策領域的定義から主体を考察していくというガバナンス的思考との関連を 70 80 年代の都市の政治社会学研究や政治経済学的研究の中に見ることが出来るのである 要するに 実態面でも研究面でも ストーカーをはじめとする英国都市政治 行政研究者達は ポストフォーディズム時代という 70 年代後半以降の実態変化 サッチャー改革の存在とそれへの学問的対応 の中で 段階的にガバナンス的ものを受容してきた また その学問的対応を支える材料としては ヨーロッパ圏の文脈におけるマルキシズム的政治社会学の流入 及び CPS 議論の嫡子とも称される 33 アーバン レジーム論に代表される政治経済学的視点の限定的な受容 という知的過程が準備されていた 日本人研究者達が外国人のガバナンス研究 理論を日本的興味の下で引用するときも ガバナンスの 発見 における特有の実態 学術的文脈を十分念頭におくべきである そして 学問的潮流が 70 年代からの断続的変化によるということは 70 80 年代に展開されてきた英国社会科学の諸理論が全くもって無意味になるものではなく 当然その延長線上で作用されることを意味する 4. では ストーカーが政治学 行政学上の既存の理論を用い ガバナンスの諸相を如何に切り広げていったのかを俯瞰してみたい 4.G. ストーカー各論 4.1 理論今世紀に入ってから ストーカーはガバナンス研究に関する様々な諸理論を参照 紹介し 時には発展的に継承しようと試みてきた 具体的には規範理論 34 ネットワークガバナンス論 35 権限委譲理論 36 合理的選択論学派 37 社会解釈論 38 文化制度論 39 等であり 拙 32 [Stoker 1995a] [Stoker1995c] [Stoker1998] [Stoker 2000] [Mossberger and Stoker] 等 33 [ 中津 ] 34 [Stoker 2004b]pp13-18 35 [Chhotray and Stoker]pp27-32,[Stoker 2006b]pp8-12 36 [Stoker 2004b]pp12-17,[Chhotray and Stoker]pp32-36 等 37 特に限定合理性学派については [Chhotray and Stoker]pp37-41 等 38 [Stoker 2004b]pp27-31,[Chhotray and Stoker]pp36-37 等 39 [Stoker 2002], [Stoker 2004a]Chp.4, [Stoker 2004b]pp32-47,[Chhotray and Stoker]pp41-46, [6 et al.]pp72-88 等 前述したとおり 文化制度論に関しては 社会化と

稿においてもそれらにつき検討 考察を加えている 40 これらの理論は ガバナンス研究における固有の文脈の中で生まれたものではない 既存の政治学 政治経済学 社会学や人類学の中で育まれた方法や命題 理論枠組が ガバナンス時代の治の諸相を分析し 時には制度設計を行う上で如何なる視座を提供しているのかにつき考えようとするものである ガバナンスの理論は 我々の現行の社会 経済 政治に対する理解に対し価値ある そして大きな挑戦を提供するものだと語る 41 一方で ガバナンスというものを今日的な政治活動とそれを行うルールであると捉えるストーカーにとって 当然ながらガバナンス時代以前において定律された諸学問上の理論や命題との連続性を担保し それが今日的に何を説明出来 何を説明出来ないのかを明らかにすることに主眼がおかれていたと見てよい また [Stoker 2006c] での一見複雑な 5 つの主張の関係を 諸理論という視点から整理し直す意義も持つと考えられる 特に [Chhotray and Stoker] は 政治学 行政学をベースとしつつも 既存の開発学 新制度論経済学派 国際関係論 法社会学にまで踏み込んだ多角的な諸理論を検討し 学問横断的なガバナンスへの解決策を模索しようとした点において大きな意義を持つ ただ 理論の空間的位置づけという観点 つまり上記した理論と比較分析の可能性について述べたい [Chhotray and Stoker] の終章で述べられているように 上記で検討された諸々の方法論は 特定の国のガバナンスやシステムに対する興味によって展開されたものではなく 寧ろより広い文脈でどのようなガバナンスの配置が適切なのかにつき横断的に検討したものである 42 だが ストーカーにおいてこれらの手法が具体的に利用され検証されるのは あくまで英国のローカルガバナンスという文脈においてであり それ以上のものではない にもかかわらず 本書の草案にもなった [Stoker 2006b] においては これらのガバナンス研究につき浙江大学の研究会において語った上で 中国側の見解も聞きたいと述べるに至っており 43 方法論に対する反省的態度はここには見られないと言わざるを得ない 特に 社会解釈論とそこにおける人間の認知 解釈の社会的拘束性にストーカーが目を向けるのであれば それが比較政治 行政的にどのように分類され得るのか その上で 制度との関係を上手く説明し且つガバナンスの制度設計の可能性まで踏み込める潜在的能力を持つものとして 規範理論や狭義の合理的選択論等と比較して極めて高い評価をストーカーは加えており 別途まとまった形の調査研究を行うに値する 40 [ 井手 ]pp56-69 41 [Chhotray and Stoker]pp1 42 [Chhotray and Stoker]pp228 43 [Stoker 2006 b]pp2-4

如何なる方法論が如何なる場において使用可能なのかを精緻に整理していくべきだが [Chhotray and Stoker] においては恐らく踏み込めていない ストーカー自身 例えば公選首長性導入の研究において制度比較の難しさを認識していること等から考えても 44 その理論研究において丹念な検討を施すべきであった 4.2 分析以上で紹介した諸理論も踏まえながら ストーカーはニューレイバー時代における英国都市ガバナンスの諸相につき 様々な側面から研究を試みてきた 拙稿においてはそれらを 1ニューレイバーの改革戦略全般に対する文化制度論を用いた評価 45 2 参加型ガバナンス論と市民の政治 行政参加の問題に関する パットナム学派 的市民社会論を超えた分析 典型的には C.L.E.A.R. モデルの提示 46 3マルチレベル ガバナンスと協調的 ホーリスティックなパートナーシップの研究 47 4 英国におけるニューローカリズムに関連した強いられた自由裁量モデルとネットワーク型コミュニティーガバナンスモデルの比較考察 48 5ガバナンス時代におけるアカウンタビリティーの問題 49 という 5 つの側面から論じた 50 ストーカーのガバナンス事例研究とその背後にある彼の価値を考察する上で主軸となるのが ホーリスティックガバナンスとネットワーク型コミュニティーガバナンスという 2 類型である 伊藤の整理によれば ホーリスティックガバナンス論とは 個人ベースのネットワークガバナンス 51 に関する議論の視点を 個人主義の文化的バイアス に偏ったものとして退け M. ダグラスのグリッド グループ理論をもとに文化的バイアスの多様性を主張する視点を提示するものである 52 しかし P. シクス等と共に公共管理におけるホーリズ 44 [Stoker and Wolman] 45 [Stoker 2002],[Stoker 2004a]Chp4 等 46 [Chhotray and Stoker]Chp.8, [Lowndes, Pratchett and Stoker 2001],[Lowndes, Pratchett and Stoker 2006a], [Lowndes, Pratchett and Stoker 2006b],[Maloney, Smith and Stoker 2000], [Maloney, Smith and Stoker 2004], [Stoker 2004a],[Stoker 2006a] 等 47 [6 et al.], [Stoker 2004a],[Stoker 1995d] 等 48 [Stoker 2004a], [Stoker 2004c],[Stoker 2006a],[Stoker] 等 49 [6 et al.]chp.8, [Chhotray and Stoker]pp49-51,[Stoker 2006a]pp175,[Stoker 1997]pp77-78,[Stoker 1999]pp49-52,[Stoker 2004a]pp208-210 等 50 [ 井手 ]pp71-104 51 ここでは つまり意図せずして登場した自己組織的な 組織間の様々なネットワークを通じて形成される中間領域としてのガバナンスのことを意味している 52 [ 伊藤 ]pp35-42

ムの議論に参加したストーカーは 同時に NPM を超えたネットワーク型のコミュニティーガバナンスの萌芽をニューレイバー時代のローカル リージョナルな領域において発見し その発展を志向する ホーリスティックガバナンスと 地方におけるネットワークガバナンスの両立につき ストーカーは如何なる解釈を持っているのか まず理解すべきは [6 et al.] において論じられたホーリスティックガバナンス論が 主として行政機関内におけるホーリズムに議論を限定としているという点である 本書において 第 2 3 セクターの自己組織性は考慮されず ガバナンス過程はあくまで行政機関内 機関間で完結する 53 だが シクスとは異なり ストーカーはガバナンス論の射程を狭義の行政管理論に留めない 彼にとって 政治 行政過程への多様な参加の拡大は それによって生み出される政策結果の有効性の相対的な増大の可能性のみならず 政治的行為そのものに対する価値づけによっても正当化されるのであり ホーリズムの追求と政治的行為に関する第 2 第 3 セクターの自己組織性は必ずしも相克しない 他方で 社会資本の構築において 市民社会の自己創設による市民的民主主義の進展を説いたパットナム学派に対し その発展におけるガバメントの牽引者としての役割を強調する 54 ように ガバナンスにおける市民社会の自己組織性を排他的に主張しているわけではない 政治参加を促進する上で市民が持つ共同体への信頼 帰属意識が高まり社会的関係が促進されていくことは望ましいものの その促進剤として政府による働きかけが占めるウェイトは重く その役割を無視することは出来ない 国家 社会二分論の相対化を唱える中で 公共空間的なものへの理解に関しては ストーカーも今村同様 市民的公共性 という理解を排他的に行うことには懸念を示しているように解し得る そして その社会資本を高め 参加やパートナーシップを生み出していく上でそれらを同意の下に動員していく為のガバメントとして より地域密着型のローカル リージョナルへの決定権限の委譲を望む ストーカーにとっての ネットワーク型コミュニティー とは 政治の価値と政策結果の有効性を生み出す為のローカルガバメントを核とし地域の諸主体の信頼をベースにした積極的連携のことであり 伊藤が述べるようなネットワークガバナンス論一般に見られる個人主義偏重の理解とも異なる まとめれば まずは市民個人 市民団体 第 2 セクターの政治 行政過程への多様な形態 ガバメントによる働きかけも重要 を介した制度的 実質的な参画を前提とする そ 53 これについては伊藤も主張している [ 伊藤 ]pp35 54 [Maloney, Smith and Stoker 2000] 等

して ガバメント 特に地域のガバメントとの政治的調整 意見交換 影響力行使を経た上で ガバメントがその結果に出来る限り応答 反映する形で受容する その上で 狭義の政府間関係 更には当該ガバメントの下層 上層ガバメントの政治 行政過程に参画する諸主体との間での内部的なホーリズムの追求を図り 出来る限り地域の状況を反映した形で政策過程を踏む 以上の過程すべてをストーカー流のホーリズムとして理解することが適切であろう 文化制度論におけるバイアスの議論に沿って述べれば 地域を中心とした全体としてのホーリズムを追求する上で 彼はヒエラルキーよりはむしろ共同体主義の文化的バイアスを相対的に強く備えているように思われる しかしながら 特定の地域 組織過程における参加やパートナーシップ 政策結果の有効性如何についての詳細な研究はあっても それを繋ぎ合わせ 全体としてホーリスティックな政策結果を生み出せているのかという問題につき 現段階では事例研究を踏まえた体系的な考察をストーカーは行なっていない 政治的決定の特殊性と困難さ これを認識しないからこそ市民の政治参加に対する幻滅がおこる への配慮を最大限行っている 55 からこそ 部分的適合性の集積から全体としての適合性を理解することの難しさや不適切さを彼は当然認識している筈である ホーリズムを追求する以上 ローカルガバナンスの成功や失敗は このような包括的政策空間での成功 失敗の中で再確認されるべくものである この問題は 例えば特定政策課題に関する政策過程の事例研究を蓄積していく つまり縦軸をとる ことによって解決され得ると考えられる 5. 残された課題 本稿では 政治学 行政学におけるガバナンスの問題の探究に関し ストーカーと英国政治学 行政学 並びにその前段階として今村の ガバナンスの行政学 構想について 差し当たり方法論や実態 歴史過程の比較可能性は求めずに検討と考察を加えてきた 冒頭で示したように 現段階ではあくまで日本人今村都南雄 英国人 G. ストーカーをそれ自身として捉えようとした いわば縦軸をほぼ独立して扱ったにすぎない ガバナンス研究に関する 比較研究の可能性に対する視座は未だ閉ざされたままである 今後直近の課題は 特定の方法論 理論をそれ自体として探究すること つまり横軸の模索である そして これまでも所々で述べてきたように 現段階では差し当たり行政学 政治学にお 55 [Stoker 2006a] 等

ける文化制度論の影響について M. ダグラス A. ウィルダフスキー C. フッド P. シクス 南島和久 等の業績をもとに検討することを考えている 方法論における比較論的な可能性を人類学発祥の手法に求める理由には そもそも社会人類学が 未発達とはいえ多種多様な社会形態を対象としつつ その社会ないし文化の背後に横たわっている形態を明らかにし且つその社会構造をいくつもの社会にわたって比較するという 社会実態に対する比較分析をその研究の中枢 56としており 行政学 政治学を含めた社会科学における比較研究の方法論の発展に関し 大きな示唆を与え得るのではないかという淡い期待がある為である 方法論上の比較という社会人類学本来の強みを生かし ダグラスが文化理論をいかに現代社会の諸領域における分析に応用していったのか またそれをストーカー含めた社会科学徒達が如何に受容 発展させていったのかという問に関して 行政学 政治学の見地からまとまった解答を出すことは 単なる 刺身のつま 57を超えたガバナンス問題の比較研究 そしてそれを経た上での日本における 国産 の政治 行政理論の発展を生んでいく為に 最低限の作業の一つともなるように思う ( 計 11921 字 ) 6. 参考文献 資料 本稿 ( 注 ) で直接触れなかったものも含め 本稿及びその元となった [ 井手 ] を書く上で参考 引用した文献 資料を一覧として示す [ 秋元 ] 秋元律郎 現代都市の権力構造 青木書店 1971 年 [ 荒木 ] 荒木友雄 ガバナンスを考える ( 村田彰 大塚祚保 [ 編 ] 現代とガバナンス 酒井書店 2008 年 pp1-9) [ アロー ] K. アロー ( 長名寛明 ( 訳 )) 社会的選択と個人的評価 日本経済新聞社, 1977 [ 新谷 ] 新谷浩史 ガバナンスと連携政府 ( 藤井浩司, 縣公一郎 ( 編 ) コレーク行政学 成文堂 2007 年 pp1-23) [ 井出 ] 井出嘉憲 行政文化の再検討 ; 行政国家の伝統とイメージ状況 ( 井出嘉憲 日本官僚制と行政文化 東京大学出版会 1982 年 pp233-299) [ 井手 ] 井手健太郎 ガバナンス 行政学 政治学 G. ストーカーのガバナンス研究を中心 56 [ プリッチャード ]pp25-30 57 [ 中邨 ]pp2

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