内部障害の廃用症候群

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リハビリテーションを受けること 以下 リハビリ 理想 病院でも自宅でも 自分が納得できる 期間や時間のリハビリを受けたい 現実: 現実: リ ビリが受けられる期間や時間は制度で リハビリが受けられる期間や時間は制度で 決 決められています いつ どこで どのように いつ どこで どのように リハビリ

1 基本健康診査基本健康診査は 青年期 壮年期から受診者自身が自分の健康に関心を持ち 健康づくりに取り組むきっかけとなることを目的に実施しています 心臓病や脳卒中等の生活習慣病を予防するために糖尿病 高血圧 高脂血症 高尿酸血症 内臓脂肪症候群などの基礎疾患の早期発見 生活習慣改善指導 受診指導を実

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図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

事業内容

このような現状を踏まえると これからの介護予防は 機能回復訓練などの高齢者本人へのアプローチだけではなく 生活環境の調整や 地域の中に生きがい 役割を持って生活できるような居場所と出番づくりなど 高齢者本人を取り巻く環境へのアプローチも含めた バランスのとれたアプローチが重要である このような効果的

通所リハビリテーションとは 介護保険で認定を受けられた要支援 要介護の方を対象に機能訓練 歩行訓練や日常生活訓練 脳への刺激で認知症予防などを目的に リハビリテーション ( 以下 リハビリ ) を行う通いのサービスです 通所リハビリテーション ( 以下 通所リハビリ ) は 利用者様が可能な限り自宅

平成17年度社会福祉法人多花楽会事業計画(案)

摂食嚥下訓練 排泄訓練等を開始します SCU で行うリハビリテーションの様子 ROM 訓練 ( 左 ) と端坐位訓練 ( 右 ) 急性期リハビリテーションプログラムの実際病棟訓練では 病棟において坐位 起立訓練を行い 坐位耐久性が30 分以上となればリハ訓練室へ移行します 訓練室訓練では訓練室におい

短期集中リハビリ入所ご案内 介護老人保健施設ウエルハウス西宮

統合失調症患者の状態と退院可能性 (2) 自傷他害奇妙な姿勢 0% 20% 40% 60% 80% 100% ないない 0% 20% 40% 60% 80% 100% 尐ない 中程度 高い 時々 毎日 症状なし 幻覚 0% 20% 40% 60% 80% 100% 症状

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

Clinical Indicator 2016 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL

自立活動の内容

各論第 3 章介護保険 保健福祉サービスの充実

リハビリテーション歩行訓練 片麻痺で歩行困難となった場合 麻痺側の足にしっかりと体重をかけて 適切な刺激を外から与えることで麻痺の回復を促進させていく必要があります 麻痺が重度の場合は体重をかけようとしても膝折れしてしまうため そのままでは適切な荷重訓練ができませんが 膝と足首を固定する長下肢装具を

介護における尊厳の保持 自立支援 9 時間 介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介 護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけ ない行動例を理解している 1 人権と尊厳を支える介護 人権と尊厳の保持 ICF QOL ノーマ

老年看護学実習

リハビリテーションマネジメント加算 計画の進捗状況を定期的に評価し 必要に応じ見直しを実施 ( 初回評価は約 2 週間以内 その後は約 3 月毎に実施 ) 介護支援専門員を通じ その他サービス事業者に 利用者の日常生活の留意点や介護の工夫等の情報を伝達 利用者の興味 関心 身体の状況 家屋の状況 家

高齢化率が上昇する中 認定看護師は患者への直接的な看護だけでなく看護職への指導 看護体制づくりなどのさまざまな場面におけるキーパーソンとして 今後もさらなる活躍が期待されます 高齢者の生活を支える主な分野と所属状況は 以下の通りです 脳卒中リハビリテーション看護認定看護師 脳卒中発症直後から 患者の

A-2-(1)-1 利用者の自律 自立生活のための支援を行っている A-2-(1)-2 利用者の心身の状況に応じたコミュニケーション手段の確保と必要な支援を行っている A-2-(1)-3 利用者の意思を尊重する支援としての相談等を適切に行っている A-2-(1)-4 個別支援計画にもとづく日中活動と

居宅介護支援事業者向け説明会

加算 栄養改善加算 ( 月 2 回を限度 ) 栄養スクリーニング加算 口腔機能向上加算 ( 月 2 回を限度 ) 5 円 重度療養管理加算 要介護 であって 別に厚生労働大が定める状態である者に対して 医学的管理のもと 通所リハビリテーションを行った場合 100 円 中重度者ケア体制加算

01 R1 å®�剎ç€fl修$僓ç€flä¿®ï¼„æł´æŒ°ç€fl修+å®�剎未組é¨fi蕖咂ㆂ;.xlsx

通所型サービスの例 ( 典型例として整理したもの ) 現行の通所介護相当 市場 ( 地域支援事業の外 ) で提供されるサービス Ⅰ 通所介護 Ⅱ 通所介護 Ⅲ 通所型サービス A ( 緩和したによるサービス ) Ⅳ 通所型サービス B ( 住民主体による支援 ) Ⅴ 通所型サービス C ( 短期集中

2 片脚での体重支持 ( 立脚中期, 立脚終期 ) 60 3 下肢の振り出し ( 前遊脚期, 遊脚初期, 遊脚中期, 遊脚終期 ) 64 第 3 章ケーススタディ ❶ 変形性股関節症ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

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地域包括ケア病棟 緩和ケア病棟 これから迎える超高齢社会において需要が高まる 高齢者救急に重点を置き 地域包括ケア病棟と 緩和ケア病棟を開設いたしました! 社会福祉法人 恩賜財団済生会福岡県済生会八幡総合病院

健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

杉戸町高齢者実態調査

医療法人高幡会大西病院 日本慢性期医療協会統計 2016 年度

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9(1) 介護の基本的な考え方 9() 介護に関するこころのしくみの基礎的理解 9() 介護に関するからだのしくみの基礎的理解 9(4) 生活と家事 5 9(5) 快適な居住環境整備と介護 9(6) 整容に関連したこころとからだのしくみと自立に向けた介護 4 4 理論と法的根拠に基づき介護を行うこと

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平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

Clinical Indicator 2017 FUNABASHI MUNICIPAL REHABILITATION HOSPITAL

別紙 1-2 移乗介助 ロボット技術を用いて介助者による抱え上げ動作のパワーアシストを行う非装着型の機器 移乗開始から終了まで 介助者が一人で使用することができる ベッドと車いすの間の移乗に用いることができる ( ベッドと車いすの間の移乗における使い勝手は ステージゲート審査での評価対象となる点に留

平成21年度 介護サービス事業者における事故発生状況

グループ紹介 上尾中央医科グループ 上尾中央医科グループは 関東圏を中心とする病院 老健 学校 研究所などからなる関東有数の医療機関グループです * 理念 : 愛し愛される病院 施設 * 施設 : 病院 27 老健 20 学校 3 等 * 総病床数 :9,167 床 * 総職員数 :15,534 詳

< 集計分析結果 > ( 単純集計版 ) 在宅介護実態調査の集計結果 ~ 第 7 期介護保険事業計画の策定に向けて ~ 平成 29 年 9 月 <5 万人以上 10 万人未満 >

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗

認定看護師教育基準カリキュラム

資料 1( 調査票 ) 在宅介護実態調査調査票 被保険者番号 A 票の聞き取りを行った相手の方は どなたですか ( 複数選択可 ) 1. 調査対象者本人 2. 主な介護者となっている家族 親族 3. 主な介護者以外の家族 親族 4. 調査対象者のケアマネジャー 5. その他 A 票 認定調査員が 概

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

もくじ 目的 目標 支援体制図 4 運用規準 ) 運用地域 ) 運用開始時期 ) 実施方法 4) 実施手順 5) 個人情報の取扱い 6) 運用に関する留意事項 5 資料 精神障害者の治療中断 4 精神障害者の治療中断の アセスメント項目 適用例 考え方 6

基本料金明細 金額 基本利用料 ( 利用者負担金 ) 訪問看護基本療養費 (Ⅰ) 週 3 日まで (1 日 1 回につき ) 週 4 日目以降緩和 褥瘡ケアの専門看護師 ( 同一日に共同の訪問看護 ) 1 割負担 2 割負担 3 割負担 5, ,110 1,665 6,

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5. 死亡 (1) 死因順位の推移 ( 人口 10 万対 ) 順位年次 佐世保市長崎県全国 死因率死因率死因率 24 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 悪性新生物 位 26 悪性新生物 350

点検項目 点検事項 点検結果 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ 計画の定期的評価 見直し 約 3 月毎に実施 リハビリテーションマネジメント加算 Ⅱ ( リハビリテーションマネジメント加算 Ⅰ の要件に加え ) 居宅介護支援事業者を通じて他のサービス事業者への情報伝達 利用者の興味 関心 身体

1 保健事業実施計画策定の背景 北海道の後期高齢者医療は 被保険者数が増加し 医療費についても増大している 全国的にも少子高齢化の進展 社会保障費の増大が見込まれる このような現状から 一層 被保険者の健康増進に資する保健事業の実施が重要となっており 国においても 保健事業実施計画 ( データヘルス

Ⅰ. 当院の現状 1999 年に日本看護協会が策定したガイドラインより転倒を予測するための転倒リスクアセスメントツールの有用性が示され 当院でも 転倒予防を目的に入院患者の転倒の危険度を予測し 2003 年から転倒アセスメントシートを使用していた しかし 年間転倒事象数は約 500 件あり 骨折等の

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平成 28 年 10 月 17 日 平成 28 年度の認定看護師教育基準カリキュラムから排尿自立指導料の所定の研修として認めら れることとなりました 平成 28 年度研修生から 排泄自立指導料 算定要件 施設基準を満たすことができます 下部尿路機能障害を有する患者に対して 病棟でのケアや多職種チーム

(1) 高齢者の特徴加齢による身体機能の低下は人により異なりますが 高齢者の体にさまざまな変化をもたらすと同時に 食生活にも影響を及ぼします このため 高齢者への食生活支援には 身体状況や食事の摂取状況の把握に加え 環境や社会的 経済的要因の他 サービス利用者本人や家族の意向などを考慮した栄養改善計

高齢者の日常生活機能維持 回復のための リハビリテーション 日本リハビリテーション病院 施設協会 会長 全国デイ ケア協会 会長 医療法人真正会 霞ヶ関南病院 理事長 斉藤正身 1

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訪問介護事業所の役割 1 訪問介護計画や手順書への記載居宅サービス計画に通院介助及び院内介助の必要性が位置付けられている場合に限り 訪問介護サービスとして 介助が必要な利用者が 自宅から病院 受診手続きから診察 薬の受け取り 帰宅までの一連の行為を円滑に行うために訪問介護員が行うべき援助内容を訪問介

フレイルのみかた

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CQ2. 単胎児分娩後の高年初産婦において 母乳育児を推進するための産後 1か月までのケアは何か 希望する授乳方法を確認し 母乳育児に対するモチベーションが高まるように支援する 分娩様式にかかわらず出産当日からの母子同室ができるように支援する ただし 母親 の疲労状態に配慮しながらすすめることが必要

名介護老人保健施設野洲すみれ苑デイケア 住所野洲市小篠原 TEL FAX :30 ~ 16:00 月 火 水 木 金 定員 30 人 1~2 名 5~7 名 5 名 0 名可可可可可可 1 日の生活の中で リハビリ 入浴をメインに行っ

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概要 特別養護老人ホーム大原ホーム 社会福祉法人行風会 平成 9 年開設 長期入所 :100 床 短期入所 : 20 床 併設大原ホーム老人デイサービスセンター大原地域包括支援センター 隣接京都大原記念病院

クリニカルインディケーター 2017 の刊行にあたって 当院は開院以来 重症者にも対応できる医療 リハケア体制の整備 スタッフの量的および質的充実に向けた教育 研修体制の構築 チームアプローチの徹底や情報共有の強化 急性期病院および地域医療 介護との連携推進 生活 期リハの充実等 様々な取り組みを組

脳卒中に関する留意事項 以下は 脳卒中等の脳血管疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあ たって ガイドラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 脳卒中に関する基礎情報 (1) 脳卒中の発症状況と回復状況脳卒中とは脳の血管に障害がおきることで生じる疾患

利用者基本情報 基本情報 作成担当者 : 相談日年月日 ( ) 来 所 電話 その他 ( ) 初回 再来 ( 前 / ) 本人の現況在宅 入院又は入所中 ( ) フリガナ 本人氏名 男 女 M T S 年月日生 ( ) 歳 Tel ( ) 住 所 Fax ( ) 日常生活 障害高齢者の日常生活自立度

科目名

NAGOYA EKISAIKAI HOSPITAL 名古屋掖済会病院

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A5 定刻に評価するためには その時刻に責任をもって特定の担当者が評価を行うことが必要 となる Q6 正看護師 准看護師 保健師 助産師以外に医師 セラピストなどが評価してもよいか A6 よい ただし 医療職に限られ 評価者は所定の研修を修了した者 あるいはその者が実施した院内研修を受けた者であるこ

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認知症アセスメントシートの紹介 ~ 認知症高齢者へ使用してみて ~ セージュ新ことに リハビリテーション課大羅佳代

3 介護の基本 (6 時間 ) 項目名 時間数 講義内容及び演習の実施方法 1 介護職の役割 専門性と多 職種との連携 各介護現場での介護職の役割を理解する 地域包括支援センター創設 の背景からチームアプローチの意味を理解する 家族による介護と専門職による介護の相違点を挙げながら 介護の専門性を理解

例えば行為の際に使用する ツール について 行為との関連性をわかりやすくするために イベントの p/o である行為の p/o として記述した 咀嚼する 時に使用するツールである 義歯 は 咀嚼する の p/o でありツールロールを担う として記述する オントロジーに記述する概念は 極力看護プロファイ

第1回 障害者グループホームと医療との連携体制構築のための検討会

添削指導及び面接指導の指導方法書 1 添削指導 (1) 添削指導の進め方ア ) 指導の回数 9 回イ ) 課題の配布第 1 日目 ( スクーリング ) に全 9 回分を配布ウ ) 回答の提出期限指定通学日 ( スクーリング ) の当日まで提出する エ ) 評価方法提出された課題は 添削責任者の指導の

患者学講座第1講「医療と社会」

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科目 2 介護における尊厳の保持 自立支援 (9 時間 ) 到達目標 評価のポイント介護職が 利用者の尊厳のある暮らしを支える専門職であることを自覚し 自立支援 介護予防という介護 福祉サービスを提供するにあたっての基本的視点及びやってはいけない行動等を理解している 介護の目標や展開について 尊厳の

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目次 1. 本指針の目的 1 2. 患者の問題点 障害の捉え方 対応の原則 2 3. あり方の全体像 ~ 業務プロセス オーバービュー ~ 1) オーバービューとは 3 2) オーバービューの構成 3 4. 多職種協働のポイント 5 1) 入院判定 5 2) 入院初日の流れ 5 3) カンファレンス

(3) 生活習慣を改善するために

評価チームの職種別人数グラフ ( 人 ) 看護 472 医師 事務 介護 リハビリ MSW 106 栄養士 薬剤師 その他 47

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3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

サービス担当者会議で検討し 介護支援専門員が判断 決定するものとする 通所系サービス 栄養改善加算について問 31 対象となる 栄養ケア ステーション の範囲はどのようなものか 公益社団法人日本栄養士会又は都道府県栄養士会が設置 運営する 栄養士会栄養ケア ステーション に限るものとする 通所介護

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Ⅰ 通所リハビリテーション業務基準 通所リハビリテーションのリハビリ部門に関わる介護報酬 1. 基本報酬 ( 通所リハビリテーション費 ) 別紙コード表参照 個別リハビリテーションに関して平成 27 年度の介護報酬改定において 個別リハビリテーション実施加算が本体報酬に包括化された趣旨を踏まえ 利用

Transcription:

廃用症候群 Ⅰ 廃用症候群の主な要因と症候 廃用症候群 : 脱調節 (deconditioning) 廃用症候群は 身体の不活動状態により生ずる二次的障害 として体系化された概念で 不動 (immobilization) や低運動 (inactivity) 臥床(bedrest) に起因する全身の諸症状を総称する 廃用症候群の要因は, 主に内的 ( 一次的 ) 要因と外的 ( 二次的 ) 要因とに分類される 廃用症候群の症候は 筋骨格系 循環 呼吸器系 内分泌 代謝系 精神神経系など各臓器の症状として多岐に現れ 日常生活自立度を低下させる 廃用症候群の要因 内的( 一次的 ) 要因 : 罹患している疾患に付随した身体症状 精神症状により不動の状態が続く場合 ( 例 : 麻痺 疼痛 息切れ 抑うつ等 ) 外的( 二次的 ) 要因 : 外部環境が身体活動を制限しているために不動の状態が続く場合 ( 例 : ギプス固定 安静の指示 介助者の不在等 ) 廃用症候群の症候 身体の動きの表出 持続 調整には 筋骨格系 循環 呼吸器系 内分泌 代謝系 精神神経系の多臓器が関わりあっており 内的要因 外的要因を契機に各臓器の不活動状態が長期化すると 諸臓器の機能低下の悪循環が生じる それに伴い 多様な生理的変化が進行し 下記に示すような多彩な症候を呈するようになる 1 筋骨格系 1 筋力低下 筋萎縮 不動による筋蛋白質の合成低下 分解亢進により生じる 姿勢の保持と歩行に関係する抗重力筋に強く起こりやすい 毎日数秒間最大張力の 20~30% の強さの筋収縮を行うことで筋力維持が可能である 30% をこえる負荷で筋力は増大するが 20% 未満の負荷では維持できない 安静臥床のままでは 初期に約 1~3%/ 日 10~15%/ 週の割合で筋力低下がおこり 3~5 週間で約 50% に低下すると言われている 2 骨萎縮 不動による骨吸収亢進により続発性骨粗鬆症として骨萎縮が生じる - - 1 - -

低栄養状態やステロイド治療等 臥床以外にも骨量減少を誘発する要因をもつ者で は骨萎縮が進行しやすい 3 関節拘縮 不動により 関節周囲の皮膚や筋肉, 靭帯等の軟部組織が変性し 関節可動域が 制限される 2 循環器系 1 運動耐容能低下 循環機能として酸素運搬機能に不動が影響すると 全身持久力低下により 脱力感や易疲労性が生じる 2 起立性低血圧 不動による循環血液量低下と血管運動調節機能障害 心筋機能の低下が 起立性 低血圧 眩暈や失神症状を引き起こす 3 静脈血栓 不動による下肢筋群の筋収縮 - 弛緩ポンプ作用の減少が 血流の停滞 循環血漿 量の減少による血液凝固能を亢進させ 静脈血栓が生じる 3 呼吸器系 1 換気障害 沈下性肺炎 不動による呼吸筋の筋力低下 胸郭の可動域制限は 一回換気量 分時換気量 肺活量 機能的残気量の低下を減少させる 背臥位の姿勢が続くと 重力によって細気管支のより低い部分に粘液が溜まり 気管支線毛の浄化機能が損傷され 細菌感染の土壌となりやすくなる 4 消化器系 1 体重減少 低栄養 食欲低下 便秘 不動による交感神経系亢進の結果 腸管蠕動運動が低下し 括約筋収縮の増大による栄養吸収率低下から 体重減少 便秘が生じる 臥床姿勢による食物の通過時間延長が食欲低下 食事量減少に影響し 低栄養状態が筋萎縮 骨萎縮を助長する 5 泌尿器系 1 尿路結石 尿路感染 不動による骨量の減少と骨吸収の亢進により高 Ca 血症, 高 Ca 尿症が生じ 尿路結石が生じやすくなる - - 2 - -

膀胱結石があると膀胱粘膜を損傷し 細菌の繁殖により尿路感染を起こす バルーンカテーテルの留置は 易感染 尿道損傷 結石形成を助長する 6 精神神経系 1 鬱 せん妄 見当識障害 睡眠覚醒リズム障害 不動による身体活動量の低下と感覚入力の減少が社会的孤立状態を作り出す結果 脳機能の低下による意欲低下 集中力低下 感情鈍麻 鬱 知的機能の減衰をきたし やがて認知症へと進行する 時間や場所などの社会的 時間的手がかりについての感覚低下により 見当識 睡眠覚醒リズムが障害される 現実の認識が出来なくなると幻覚や妄想が出現しやすい Ⅱ 在宅生活者において注意すべき廃用症候群 廃用症候群は 身体を不活動状態にするような何らかのイベントがあれば 誰にでも起こりうるものである 病院での入院生活による長期臥床によって生じる印象が強いが 高齢者や内部障害 がんなどの慢性疾患を患っている場合では 在宅生活の中で緩徐に活動性低下を起こして廃用症候群の悪循環に陥るケースがあることに注意する 高齢者と廃用症候群 臓器 器官レベルでの加齢現象を表 1に示す 表 1 脳 神経細胞の減少 萎縮 視覚 遠視 白内障 聴覚 老人性難聴 呼吸器 呼吸筋萎縮 気管支壁の線維化 心臓 心筋内結合組織の変性 肥厚 石灰化 泌尿器 腎血流量 糸球体濾過量の低下 消化器 消化液の分泌低下 蠕動運動低下 骨関節 骨粗鬆症 筋肉 筋萎縮 神経 脊髄前角細胞の減少 皮膚 結合組織の線維化 血液 貧血 血沈促進 内分泌 臓器萎縮 分泌能低下 - - 3 - -

加齢による身体機能の低下 予備能力の減少等の生理的変化に伴い生活習慣が変化すると 身体活動量が低下し 廃用症候群発生の温床となる 特に運動器的には 姿勢の変化 ( 立位での体前傾化 ) 柔軟性の低下 バランス能力の低下もみられ 身体活動の低下により 容易に歩行障害をきたしやすい また 加齢に対する不安や自信喪失など心理的な要素が加わると 生活空間がほぼ家の中へと狭小化し 閉じこもり症候群 ( 表 2) のような状態となって 最終的に 寝たきりへ進行することが問題視されている 加齢性変化は不可逆的であるが 廃用の要素については 適切な対応により活動量を維持できれば 可逆的変化を望むことができる 表 2 閉じこもり症候群 ( 身体要因 心理的要因 社会環境要因 ) 身体的要因 老化による体力低下 疾病 障害 ( 脳卒中 転倒 骨折など ) 心理的要因 社会 環境要因 活動意欲の低下 障害受容 性格 閉じこもり 廃用症候群 人的環境 : 家族の態度 接し方 友人仲間物理的環境 : 家屋構造 住環境 気候風土 寝たきり 慢性疾患と廃用症候群内部障害 ( 心臓 呼吸器 腎尿路系 消化器系など ) やがんなどのような慢性疾患患者では 一見して 身体運動機能に問題がなくても疾患の病勢や治療状況 投与薬の副作用や栄養状態などの不安定で変動的な因子が関わることで 易疲労性や体力低下をきたして活動が制限されるために廃用症候群へ至る者が多い また 障害に対する偏見を気にしたり ストーマ患者のようにトイレ設備の問題など社会的要因が活動の制限につながっている場合もある - - 4 - -

Ⅲ 廃用症候群に対する対応 まずは早期発見 廃用症候群の回復には 廃用に陥っていた期間の数倍の期間が必要 廃用症候群のサインを見逃さない ( 体力低下 気力低下 易疲労性など ) 廃用症候群の悪循環に陥ると ますます低下する一方となる 対応 医療( かかりつけ医等 ) との連携 : かかりつけ医等に報告し 廃用の原因となりうる原疾患や併存疾患に対する治療の必要性 医療における訓練 ( リハビリテーション ) の必要性等を確認する 介護保険における訓練等の対応: 具体的な運動療法等 負荷や回数の調整 ( 休憩を入れての少量頻回の訓練等 ) 筋収縮を伴う自動運動が重要 ( 臥位での他動運動のみではダメ ) どこでも実施可能で 廃用予防として効果的な立ち上がり訓練 生活背景に廃用症候群を生じる因子はないか? の確認 廃用症候群の悪循環に陥らないよう対策を練る 予防 ( 要介護化 重度化の予防 ) 総合的な対策: 廃用症候群の要因を長期臥床による不動と一様にとらえるのではなく 加齢性変化や各臓器別の内部疾患の有無をふまえた上で 日常の行動全般を見直していく 不動状態の原因となった本人自身の生活現場におけるマンパワー 家屋 自宅周囲環境 社会的サービスの導入状況等にも注目する必要がある 生活リハビリテーションの導入( いわゆる訓練だけではなく ) 低負荷の運動として ウォーキングや障害者スポーツの導入などは 身体活動強度を得る上で重要な手段であるが 個々に受容可能な強度の運動は限られてくる 運動の導入が第一ではなく 家事や移動 余暇活動など取り組みやすい活動から意識していく方が それ自体の運動強度が低くても 他の生活時間や活動に影響して総活動量としては増加する - - 5 - -

家族 介助者等の関わり方に対する指導 助言 : 不適切な介助により 不必要な安静をとらないようにする 誤用症候群に注意( 廃用症候群の原因となる ) 特に不適切な福祉用具 補装具の使用 : * 本人に合っていない車椅子への乗車 ( 長く座っていられない ) * 不必要なエアマット使用 ( 身動きが取りづらい ) * サンダル履きの使用 ( 転倒しやすい ) * 片麻痺患者の下肢装具不適合 ( 疼痛 皮膚障害 歩容不良など ) * 不適切な杖使用 ( 腋窩神経麻痺 手根管症候群など ) - - 6 - -

Ⅳ 事例 疾患 + 廃用症例 ( 元々 ADL 自立 ) 事例 1 パーキンソン病の 70 歳の患者 (Yahr Ⅲ ADL どうにか自立レベル ) が出血性胃潰瘍で入院加療 症状軽快し自宅退院した 室内歩行は何とか可能も以前よりやや不安定 食事時たまにむせはあるが 発熱は起こしていない < 各リハビリ関連職種 ( 医師 PT OT ST MSW) からのチェックポイント > この事例における重要なポイント パーキンソン病の症状 ( 運動症状 非運動症状など ) や特徴 パーキンソン病治療薬の効果 副作用 移動能力の低下 嚥下機能の低下 ADL 低下の予防 患者指導 訓練 運動療法 ( ストレッチ バランス訓練 立ち上がり訓練など ) 嚥下体操 摂食ペース 口腔ケア等の摂食 嚥下指導 生活リハビリの視点で ADL の維持 向上のための動作練習等 自主トレーニング指導 発声 発語の評価 訓練 家族指導 進行性の症状に対する生活動作面の変化の確認 認知症の理解の促進 身体機能訓練の必要性について 転倒予防の重要性について 自主トレの家族参加 家屋内環境調整 ( 小さな段差の注意など ) 食事形態の指導 ( 刻み とろみなど ) 口腔ケアの重要性 食事環境整備の必要性等の指導 廃用症候群の悪循環を断ち切るにはどうしたらよいのか 継続的な運動習慣の確立 身体機能の維持 身体的機能面以外に 精神的 社会的な問題がないかを確認 首 肩 口腔器官の運動による 筋力 巧緻性の維持 強化 発声練習や会話機会を作る 食形態 環境に配慮 <ケアマネジャーへのアドバイス> アセスメントのポイント 出血性胃潰瘍となった原因 エピソード ( 服薬状況 生活習慣 ストレスなど ) 歩きづらくなったことで 日常生活上どのような問題が生じているか - - 7 - -

転倒と外傷 痛みの有無 食事や水分の摂取量 食事にかかる時間 好み等の変化の有無 食後の声の変 化や発熱の有無 自立神経症状 抑うつ等精神症状の有無 介護者の有無と介護負担感 環境整備のポイント 転倒 骨折を予防する住環境 症状の日内変動といった特徴をとらえた環境整備 本人 介助者にとって使いやすいベッド 車椅子の導入や住宅改修 ポータブルトイレやシャワーチェアは 立ち座りしやすい高さに設定 食事に集中できる環境作り ( テレビを置かない 椅子や机の高さの調整等 ) 自立に向けてのリハビリサービス導入のポイント 退院 退所前訪問指導の活用 パーキンソン病の症状や特徴を理解し 閉じこもりを予防としたプランニングを行う 福祉用具の具体的使用方法を指導してもらえるサービス内容 歩行訓練や ADL 訓練 IADL 訓練は 薬の効果がでている時間帯に行う 誤嚥性肺炎の予防として 食形態や食事の姿勢などの検討 食事に集中できる環境設定 食形態や食事の姿勢などの検討 食事に集中できる環境設定 嚥下リハビリに加え 口腔ケアや栄養などの居住療養管理指導の検討 抑うつ傾向の強い場合は 精神科受診などのメンタルケアも検討 - - 8 - -

疾患 + 廃用症例 ( 元々 ADL 自立 ) 事例 2 肺気腫の 70 歳の患者 ( 平地歩行はそれほど問題ないが 坂道などで多少息切れあり ) が 肺炎を併発し入院加療 肺炎は軽快し自宅退院 室内の ADL は何とか可能だが 疲れやすく外出する機会が減少した 食事時たまにむせはあるが 発熱は起こしていない < 各リハビリ関連職種 ( 医師 PT OT ST MSW) からのチェックポイント > この事例における重要なポイント 肺気腫の特徴 呼吸器リハの視点からみた 身体機能問題の特徴 呼吸機能の悪化による廃用の進行 ( 移動能力低下 ADL 低下 ) 嚥下機能の低下 患者指導 訓練 四肢 体幹の自主トレの指導 ( 立ち上がり アキレス腱のストレッチ等 ) 呼吸機能に対する自主トレの指導 ( 胸郭の可動性向上 口すぼめ呼吸 深呼吸等 ) 摂食 嚥下指導 ( 食事の環境設定 食事前の嚥下体操等 ) 生活リハビリの視点で ADL の維持 向上 家族指導 自主トレの家族参加 適切な食事姿勢や食物形態等 摂食 嚥下時の注意事項の指導 廃用症候群の悪循環を断ち切るにはどうしたらよいのか 疲労感を感じない程度でできる作業 活動 外出機会の検討 肺炎の再発予防 ( 誤嚥の予防含む ) < ケアマネジャーへのアドバイス > アセスメントのポイント 日常生活の中で 息切れをしやすい活動は何か 食事や水分の摂取量 食事にかかる時間 食べ物の好みの変化 介護者の有無と介護負担感 疾患に対する本人の理解 環境整備のポイント 転倒 骨折を予防する住環境 ベッド 車椅子などを導入する場合は 本人 介護者が使いやすいものとすること 疲れたら腰を掛けて休める環境整備 階段の上り下りなど 酸素消費量を増大させる活動を避ける環境 - - 9 - -

入浴は肺や心臓に負担がかからない湯温や湯量とし 見守りの中で行う 室温と湿度を適正に保ち 快適で清潔な室内環境の整備 食事に集中できる環境作り 食物形態の適正化 自立に向けてのリハビリサービス導入のポイント 閉じこもりを予防することを念頭においたプランニング 筋疲労を起こすようなリハビリは避け 呼吸に負担のかからない方法 ベッド 車椅子 歩行器 杖などの福祉用具の具体的使い方の指導 息切れなどの自覚症状は他者に理解されにくい 疾患や障害に理解ある環境整備 息切れ時のパニックコントロールの指導 誤嚥性肺炎の予防となるよう 食形態や食事の姿勢の検討 ステロイド吸入薬を利用している場合は 口腔ケアを行う 在宅酸素が必要な場合は PT の導入の検討 - - 10 - -

疾患 + 廃用症例 ( 元々 ADL 自立 ) 事例 3 腰椎圧迫骨折の既往 軽度の変形性膝関節症のある 80 歳の患者 ( 軽度円背 姿勢変換時に少し腰痛あるが 杖や歩行器は使用せず歩行は可能なレベル 比較的活発な方 ) が 風邪をひいて 数日寝込んだ 風邪が治った後 歩行が不安定となり 外出するのがおっくうになった < 各リハビリ関連職種 ( 医師 PT OT ST MSW) からのチェックポイント > この事例における重要なポイント 腰椎圧迫骨折の特徴 寝込んだことによる体力低下 体力低下に伴う腰痛 膝痛の出現 歩行不安定に対する転倒の注意 腰痛の増悪に注意しつつ ADL 向上 患者指導 訓練 杖 シルバーカーなど補助具を使用した歩行訓練 腰痛 膝痛の負担を軽減する動作指導 家族指導 生活リハビリの視点から 適切な援助ができるようなアドバイス 歩行 外出機会の確保 ( 寝たきりにさせない ) 自主トレの家族参加 補助具の使用方法指導 廃用症候群の悪循環を断ち切るにはどうしたらよいのか 外出が可能となるための機能面 介助具の工夫と支援 外出機会の確保 腰痛や膝痛などによる二次的な廃用の進行予防 < ケアマネジャーへのアドバイス > アセスメントのポイント 痛み症状の程度 外出がおっくうと感じる理由 介護者の有無と介護負担感 環境整備 外出しやすい住環境 屋外歩行用に歩行器 シルバーカーの導入の検討 本人のみならず介護者にとっても使いやすい住宅改修とすること 自立に向けてのリハビリテーションサービス導入のポイント 腰痛の軽減を図り 悪化を防止するサービスの導入 - - 11 - -

スーパーや郵便局など 具体的な外出先を設定したリハビリ内容 抑うつ傾向が強い場合は メンタルケアの検討 - - 12 - -

疾患 + 廃用症例 ( 元々 ADL 自立 ) 事例 4 心不全 (NYHA 分類 Ⅱ) の 82 歳の患者 2 階建ての一戸建てに居住している 100 メートルほどの歩行はゆっくりであるが行えている しかし階段や坂道を上ると息苦しさ強く 自宅にいるときでも 2 階へはほとんど上らない ADL はほぼ自立している 近くのコンビニには杖を用いて歩いて行けるが離れたスーパーの買い物などには行っていない 最近 体力の低下を感じ始めている < 各リハビリ関連職種 ( 医師 PT OT ST MSW) からのチェックポイント > この事例における重要なポイント 慢性心不全の症状 心臓リハビリテーションの視点から 身体機能問題の特徴 活動範囲の狭小 患者指導 訓練 低負荷運動からの下肢筋力トレーニング 生活リハビリの視点で ADL の維持 向上 服薬管理 生活指導 家族指導 患者の生活動作指導 自主トレの家族参加 心不全兆候の早期発見 体重管理 食事塩分制限 飲水制限の確認 廃用症候群の悪循環を断ち切るにはどうしたらよいのか 無理のない範囲での運動指導 環境整備により動きやすい環境作り 心機能低下の予防 心不全の再発防止 < ケアマネジャーへのアドバイス > アセスメントのポイント 日常生活の中で息切れを感じやすい活動は何か例 階段昇降 入浴など 狭心発作時の対応方法 食事塩分制限 水分制限の有無 体重変化 むくみの有無 疾患に対する本人 家族の理解 介護者の有無と介護負担感 環境整備 転倒 骨折を予防する住環境 ベッドなどを導入する場合は 本人 介助者が使いやすいものとする - - 13 - -

疲れたら腰を掛けて休める環境の整備 入浴は肺や心臓に負担のかからないよう湯温 湯量を調整し 見守りが必要であること 寝室とトイレ 脱衣所と浴室などの温度変化の差を少なくする 緊急通報装置などの整備 自立に向けてのリハビリサービス導入のポイント 閉じこもり予防を念頭においたプランニング 血圧の上昇を起こすようなリハビリは避け 心臓に負担のかからない方法とする 疾患や障害に適した環境の提供 抑うつ傾向が強い場合は メンタルケアの検討 - - 14 - -

生活不活発例 ( 廃用予防の観点から ) 事例 5 認知症初期の 70 歳の患者 以前に転倒した際に転倒恐怖感が大きくなり 閉じこもり気味となる 働きかけがないと臥床状態 話しかければ返答はあるが 表情変化は乏しい 食事は自力で可能 < 各リハビリ関連職種 ( 医師 PT OT ST MSW) からのチェックポイント > この事例における重要なポイント 認知症の特徴について 自発性低下 発動性低下 身体活動 精神活動の双方への配慮 患者指導 訓練 体操や運動など転倒しない体作り 離床のきっかけの検討 成功体験から自信をつけること 家族指導 意図的に体操 運動機会を確保する 離床する時間を決める 離床した後にやれることを決める 転倒リスクへの配慮 外出機会の確保 認知症の進行を考慮し ADL 能力の適宜確認 < ケアマネジャーへのアドバイス > アセスメントのポイント 認知症周辺症状の程度の把握 調理 買い物 ごみ出しや分別など IADL の具体的方法 介護者の有無と介護負担感 近所付き合いの有無 環境整備のポイント 安全かつ安堵感を得られる住環境とすること これまでの生活スタイルを大きく変える住環境は避けること 火災の発生を防止する環境とすること 成年後見制度の利用を検討 自立に向けてのリハビリテーション導入のポイント 転倒恐怖症に対する理学 作業療法の検討 スーパーや郵便局など具体的な外出先を設定したリハビリ内容とすること ピアカウンセリングを目的とした通所リハビリを検討すること 可能であれば 他者との関わりを目的に デイサービスの導入を検討 - - 15 - -

環境的要因の例 事例 6 78 歳女性 活動的に町会活動や老人会を楽しまれていた 夫と 2 人暮らしだったが 3 年前に死別 その後は 年齢相応の物忘れがあったが 以前からの近所との交流 協力があり 生活できていた 入院歴はなかったが 外出時に転倒 入院により長男と同居 日中独居となる 身の回りのことは行えたが 引越しを機に近所との関わりがなくなり 引きこもり 寝ていることが多くなる 火の消し忘れ 服薬忘れなど物忘れが進み 風邪をきっかけに 立ち上がりも難渋するほどになってしまった < 各リハビリ関連職種 ( 医師 PT OT ST MSW) からのチェックポイント > この事例における重要なポイント 廃用を引き起こす悪循環に入りつつある ( 閉じこもり症候群 ) 配偶者との死別 引越などの 環境的要因 環境変化における認知機能低下および廃用の進行 患者指導 訓練 日常できることを生活レベル ( 家事や趣味など ) で探索 家庭での役割分担 人間関係の構築援助 自発的な活動の継続 家族指導 生活リハビリの視点から 適切な援助ができるようなアドバイス 家族での役割分担の明確化 引越し先での老人会などの情報収集 車椅子で外出する機会の確保 廃用症候群の悪循環を断ち切るにはどうしたらよいのか 社会的な交流の視点を中心に改善を図る 作業 活動が行える環境の設定 家庭環境 人間環境の変化による認知機能低下の予防 社会参加の場面を徐々に増やす ケアマネジャーへのアドバイス アセスメントのポイント 心理状況 ( 落ち着いたほうがよいか 活動的に向かったほうがよいか ) の確認 認知症周辺症状の程度 家族との関係 本人の役割の有無 介護者の負担感 引越し前の生活スタイル 環境整備 - - 16 - -

安全に外出ができる住宅改修とすること これまでの生活スタイルを大きく変える住宅改修は避けること 床からの立ち上がりには据え置き式手すりを活用すること 入浴は見守りにて行うこと ガス元栓の管理やライターなどの保管を徹底すること 混乱に配慮しつつ IH コンロの導入も検討 自立に向けてのリハビリサービスのポイント 通所リハビリを利用し 友達作りを援助すること 成功体験を積み重ね 自身回復を図るリハビリとすること OT を導入し 共に行う家事などを通して本人の再獲得を目指す 地域の活動に参加できる体力と環境を作るための訪問リハ導入の検討 - - 17 - -