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平成14年度研究報告

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1. 背景血小板上の受容体 CLEC-2 と ある種のがん細胞の表面に発現するタンパク質 ポドプラニン やマムシ毒 ロドサイチン が結合すると 血小板が活性化され 血液が凝固します ( 図 1) ポドプラニンは O- 結合型糖鎖が結合した糖タンパク質であり CLEC-2 受容体との結合にはその糖鎖が

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研究背景 糖尿病は 現在世界で4 億 2 千万人以上にものぼる患者がいますが その約 90% は 代表的な生活習慣病のひとつでもある 2 型糖尿病です 2 型糖尿病の治療薬の中でも 世界で最もよく処方されている経口投与薬メトホルミン ( 図 1) は 筋肉や脂肪組織への糖 ( グルコース ) の取り

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平成13年度研究報告

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平成16年7月2日

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糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

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ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

汎発性膿疱性乾癬のうちインターロイキン 36 受容体拮抗因子欠損症の病態の解明と治療法の開発について ポイント 厚生労働省の難治性疾患克服事業における臨床調査研究対象疾患 指定難病の 1 つである汎発性膿疱性乾癬のうち 尋常性乾癬を併発しないものはインターロイキン 36 1 受容体拮抗因子欠損症 (

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日本標準商品分類番号 カリジノゲナーゼの血管新生抑制作用 カリジノゲナーゼは強力な血管拡張物質であるキニンを遊離することにより 高血圧や末梢循環障害の治療に広く用いられてきた 最近では 糖尿病モデルラットにおいて増加する眼内液中 VEGF 濃度を低下させることにより 血管透過性を抑制す

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2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

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ただし 対象となることを希望されないご連絡が 2016 年 5 月 31 日以降にな った場合には 研究に使用される可能性があることをご了承ください 研究期間 研究を行う期間は医学部長承認日より 2019 年 3 月 31 日までです 研究に用いる試料 情報の項目群馬大学医学部附属病院産科婦人科で行

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す しかし 日本での検討はいまだに少なく 比較的小規模の参加者での検討や 個別の要因との関連を報告したものが殆どでした 本研究では うつ病患者と対照者を含む 1 万人以上の日本人を対象とした大規模ウェブ調査で うつ病と体格 メタボリック症候群 生活習慣の関連について総合的に検討しました 研究の内容

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No. 2 2 型糖尿病では 病態の一つであるインスリンが作用する臓器の慢性炎症が問題となっており これには腸内フローラの乱れや腸内から血液中に移行した腸内細菌がリスクとなります そのため 腸内フローラを適切に維持し 血液中への細菌の移行を抑えることが慢性炎症の予防には必要です プロバイオティクス飲

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2017 年 12 月 15 日 報道機関各位 国立大学法人東北大学大学院医学系研究科国立大学法人九州大学生体防御医学研究所国立研究開発法人日本医療研究開発機構 ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療 再生医療への貢献が期待 - 研究のポイント 注 胎盤幹細胞 (TS 細胞 ) 1 は

報道発表資料 2006 年 8 月 7 日 独立行政法人理化学研究所 国立大学法人大阪大学 栄養素 亜鉛 は免疫のシグナル - 免疫系の活性化に細胞内亜鉛濃度が関与 - ポイント 亜鉛が免疫応答を制御 亜鉛がシグナル伝達分子として作用する 免疫の新領域を開拓独立行政法人理化学研究所 ( 野依良治理事

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プレス発表資料 平成 24 年 7 月 7 日琉球大学 玄米による抗肥満効果のメカニズム解明 玄米成分 γ- オリザノールが高脂肪食に対する好みを和らげる 益崎裕章琉球大学大学院医学研究科教授 小塚智沙代同大学院生らの研究グループは 玄米に高濃度に含まれる γ- オリザノールに抗肥満 抗糖尿病効果があることを明らかにしました γ- オリザノールは高脂肪食習慣によって脳 ( 視床下部 ) で亢進する小胞体ストレスを低下させ 高脂肪食への依存性 ( 耽溺 ) を軽減します 人類が古来 慣れ親しんできた天然食の中に健康的な食行動への回帰を促す抗メタボ物質が豊富に含まれていることは画期的発見です 本研究成果は米国糖尿病学会誌 Diabetes ( 米国時間 7 月 23 日電子版 ) に公開されます つきましては 下記のとおり発表を行いますので 多忙な折恐縮ですが 是非取材くださいますようお願いいたします 日時 : 平成 24 年 7 月 25 日 ( 水 ):~ 記 場所 : 医学部管理棟 3 階大会議室 問い合わせ 琉球大学大学院医学研究科内分泌代謝 血液 膠原病内科学講座野口千佳子電話 :98-895-46 FAX:98-895-45 E-mail:cnoguchi@med.u-ryukyu.ac.jp

( 様式 2) 琉球大学プレス発表次第 日時 : 平成 24 年 7 月 25 日 ( 水 ) :~ 場所 : 医学部管理棟 3 階大会議室進行 : 松下正之 ( 医学研究科教授 ). 件名 玄米による抗肥満効果のメカニズム解明 玄米成分 γ- オリザノールが高脂肪食に対する好みを和らげる 2. 出席者国立大学法人琉球大学医学科長 石田 肇 同 医学部附属病院長 村山貞之 同 医学研究科教授 益崎裕章 同 医学研究科教授 松下正之 同 医学研究科大学院生 小塚智沙代 3. 会次第 () 出席者紹介 (2) 主催者挨拶 国立大学法人琉球大学医学科長 石田 肇 (3) 事業等説明国立大学法人琉球大学医学研究科教授 益崎裕章 (4) 質疑応答

研究の概要玄米が高脂肪食に対する嗜好性を軽減させることにより抗肥満 抗糖尿病効果を発揮していること さらに 玄米に豊富に含まれる成分の つ γ-オリザノールがその効果発現に関与していることを世界で初めて明らかにしました 摂食調節を行う視床下部における小胞体 (ER) ストレスが高脂肪食に対する嗜好性に関与しており 高脂肪食の摂取によって視床下部における ER ストレスが亢進し 高脂肪食に対する嗜好性が強くなるために 高脂肪食への依存状態に陥る悪循環が形成されていることを見出しました 玄米や γ-オリザノールには高脂肪食の摂取により視床下部における ER ストレスが亢進するのを防ぎ 高脂肪食に対する嗜好性を和らげる効果があることが明らかになりました この研究結果から 食の好みを変える という従来にない新しい肥満症 糖尿病の予防法や治療法の確立につながることが期待されます 本研究成果は米国糖尿病学会誌 Diabetes ( 米国時間 7 月 23 日電子版 ) に公開されました 高脂肪食は視床下部 ER ストレスの亢進を介してさらなる高脂肪食への依存を招く 視床下部 ER ストレス γ- オリザノールは視床下部 ER ストレスの亢進を抑制し 高脂肪食への依存を防ぐ 視床下部 ER ストレス 悪循環 γ- オリザノール 高脂肪食 高脂肪食に対する嗜好性 高脂肪食 高脂肪食に対する嗜好性 研究の背景 目的生活習慣の欧米化を背景に 肥満 糖尿病は地球規模の健康問題となっています 米国をはじめ各国で肥満研究に対して莫大な資金がつぎ込まれ 抗肥満薬の開発が試みられてきましたが 従来の抗肥満薬では十分な臨床効果が得られないことに加え 脳に作用する薬剤も多く 中枢 末梢神経系や心臓に対する重篤な副作用が問題となっています このような背景を踏まえ 近年では 食習慣の改善や運動など行動変容を活用した新しいアプローチが見直されてきました 我々は食品が食行動に影響を及ぼす可能性に注目し 沖縄県で古くから食べられてきた玄米の研究を行いました 最近の疫学研究から玄米が抗肥満 抗糖尿病作用を持つことが明らかになってきましたが その詳細なメカニズムは不明でした 本研究では このような未知のメカニズムを食行動に及ぼす影響に注目して解析することを目的としました 研究の成果. 玄米を給餌したマウスは高脂肪食に対する嗜好性が低下する高脂肪食に対する嗜好性を評価するために マウスに通常食と高脂肪食を同時に与え 自由に選択させました ( 図 ) マウスはヒトと同様に高脂肪食に対する嗜好性が極めて強く 通常食と高脂肪食を選択させると高脂肪食を好んで食べるために肥満します しかし 玄米を含む餌を選択させたマウスでは通常食を好んで の摂食量全体の摂食量 ( + ) + 白米 + 白米 + 玄米 + 玄米 図. 高脂肪食に対する嗜好性の評価通常食と高脂肪食をケージの左右に配置して同時に給餌し マウスに自由に選択させた.

食べ 体重増加が抑制されました 一方 白米を含む餌を選択させたマウスでは このような変化は見られませんでした ( 図 2) 2. 高脂肪食に対する嗜好性に視床下部における ER ストレスが関与する高脂肪食に対する嗜好性の変化に 摂食中枢である視床下部における小胞体ストレスと呼ばれる代謝ストレスが関与していることを証明しました 高脂肪食の摂取は視床下部における小胞体ストレスを亢進させることで 一段と高脂肪食に対する嗜好性を増強させます 高脂肪食に対する嗜好性 (%) 95 9 85 8 ++ + * + Control 白米玄米 75 2 4 6 8 y 体重 g (g) (g) 体重 36 34 32 Control 白米玄米 3 28 + 26 + 24 22 2 2 4 6 8 図 2. 玄米の給餌により高脂肪食に対する嗜好性が低下する玄米を餌に混合することにより マウスは高脂肪食を選択しなくなる. 高脂肪食の摂食量の減少に伴って 体重増加が抑えられる. * p<.5, p<. vs control, + p<.5,++ p<. vs 白米 ( 統計的に有意差がある ) 3. 玄米に豊富に含まれる γ- オリザノールが高脂肪食に対する嗜好性軽減効果に関与する 私たちは高脂肪食に対する嗜好性を変化させる玄米 視床下部におけるERストレスの作用に米ぬかに豊富に含まれている γ-オリザノー.2.2.8 ルが関与していることを新たに発見しました レポ.8 * *.6.6.4.4 ーターアッセイ法により γ-オリザノールが ER スト.2.2 99-5 レスを抑制する効果を持つことを証明しました ま Veh 2 8 32 Veh 2 8 32 98.2 - た γ-オリザノールがマウス胎児由来の神経細胞にお * *.8 * 97 * ける ER ストレスを抑制することを確認しました さ.6 Vehicle 対照 -5.4 Oryzanol らに 食餌性肥満マウスを用いて 玄米や γ-オリザ.2 96 2 4 6 8-2 ノールが高脂肪食の摂取による視床下部における小 Veh 2 8 32 胞体ストレスの亢進を抑制し 高脂肪食に対する嗜好性を軽減させることを明らかにしました ( 図 3) γ-オリザノールは古くから食べられてきた天然食品の玄米由来成分であり 従来の抗肥満薬に見られたような副作用が生じる可能性は低いと考えられます 天然の食品由来の成分が 食の好みを変える ことにより食行動に変容をもたらす 安全かつ根本的な新しい肥満症 糖尿病医療への応用が期待されます Chop mrna/8s rrna Xbp mrna/8s rrna ERdj4 mrna/8s rrna 対照 図 3. γ- オリザノール () は ER ストレスを軽減し 高脂肪食に対する嗜好性を軽減する A: γ- オリザノール () を投与することにより (g 体重当たり 2~32μg/ 日 ) 視床下部における ER ストレス応答遺伝子 (Chop ERdj4 Xbp) の発現が低下した. B: γ- オリザノール () の投与により (g 体重当たり 8μg/ 日 ) 高脂肪食に対する嗜好性が軽減した. * p<.5, p<. ( 統計学的に有意差がある ) 高脂肪食に対する嗜好性 ( (%) ) * 本研究は 科学研究費補助金 文部科学省特別教育研究経費 武田科学振興財団 沖縄医学財団 財団法人琉球大学後援財団 沖縄県 知的クラスター形成に向けた研究拠点構築事業 からの支援を受けて行われました 用語解説 γ-オリザノール γ-オリザノールは 953 年に土屋 金子らにより玄米中から分離抽出された数種のトリテルペンアルコールのフェルラ酸エステル化合物で 米ぬかに含まれる玄米特有の物質である γ-オリザノールは更年期障害や過敏性腸症候群 高脂血症治療薬として臨床応用されている他 抗酸化作用やメラニン生成抑制作用 紫外線吸収作用をもつことから化粧品や食品添加物にも幅広く応用されている 小胞体ストレス

タンパク質は生物の主要な構成成分であり 細胞内で合成される 合成されたタンパク質は細胞内の小胞体で折り畳まれ 立体構造をとることで正常に機能するようになる 折り畳みがうまく行われなかったタンパク質が小胞体に蓄積し 小胞体機能に障害をきたしている状態を小胞体ストレスと呼ぶ