Ogasawara, T. *, Inoue, H., Nisinomiya, H. and Kawara, S.( * Veterinary Teaching Hospital, School of Veterinary Medicine and Animal Sciences, Kitasato University) Ultrasonotomgram and mass examination of renal calculus in beef cattle. Tohoku J. Vet. Clin., No.12, 23-28 (1989)
表1.尿 ホ ル ス:ホ ル ス タイ ン種 石 短 角:日 本短 角種 症 和 種:黒 罹 患 牛 毛 和種 腸 用 プ ロー ブ)を 用 い 前 者 は 右 腎臓 の観 察 に 後 者 は 左 腎臓 の観 察 に供 した 腎臓 の 観 察 時 に は 被 検 牛 を枠 場 内 に 保 定 し ホ ル ス 雌 とホ ル ス去 勢 の 両 側 腎 臓 と短 角 去 勢 の 右 腎臓 の 超 音波 画 像 の 取 得 を試 み た 左 腎 臓 では 直 腸 用 プ ロー ブが 体 軸 と直 角 に な る よ うに 経 直 腸 的 に 走 査 し 右 腎臓 で は右 第 12 13肋 骨 問 右 部 と右 腰 椎 横 突 起 間 上 部 で 体 軸 に 直 角 に 体 表 用 プ ロー ブ を経 皮 的 に走 査 し 両 側 腎 臓 の横 断 像 を観 察 した 右 部 では 体 表 用 プ ロー ブ を腰 椎 横 突 起 直 下 で体 軸 に 平 行 に走 査 し 縦 断 像 も観 察 した 尿 結 石 症 に 罹 患 した ホ ル ス去 勢 の 検 査 に は 右 部 か らの 開 腹 手術 時 に 直腸 用 プ ロー ブ を腹 腔 内 に挿 入 し 直 接 両 側 腎 臓 を観 察 した 図1 健 常 例 ホ ル ス雌 の 左 腎 臓 中 央 横 断 像 集 団検 診 に は 初 め に左 側 腎臓 の検 査 を行 い 結 石 を 皮 質(Cor)は 低 レ ベ ル エ コ ー 像 髄 質(Med)は エ コー フ リー 像 腎 盂 部 はCECと して 高 レベ ルエ コー 像 が 観 保 有 して い る と判定 され た牛 の うち4頭 に つ い て 右腎 臓 察 され る も検 査 した 検 診 で 実施 した110頭 中34頭 に つ い て屠 場 で の解 体 時 に 腎 臓 を切 開 し結 石 の有 無 を確 認 した 成 1.健 績 常牛 ホ ル ス雌 の左 腎 臓 の画 像 は エ コー レベ ル の強 い厚 さ 約2mmの 隔 壁 と隣 接 してみ られ た そ の形 態 は 皮 質 部 に 相 当 す る低 レベ ルエ コー 像 と髄 質 部 に相 当す る エ コー フ リー 像 が認 め られ 腎 錐 体 腎 乳 頭 を形 成 す る髄 質 内 帯 は くさび 状 に み られ た 腎 臓 中央 部 を 占 め る腎 洞 では 血 管 腎 盂 腎 杯 脂 肪 等 が複 合 しcentral (CEC)と echo complex して 高 レベ ル エ コー 像 が観 察 され た(図1) 図2.健 右 腎 臓 の 第13肋 骨 と第1腰 椎 横 突 起 間 に お け る画 像 は プ ロー ブ直 下5mmの 常 例 ホ ル ス雌 の 右 腎臓 中 央 部横 断 像 右 第13肋 骨 と第1腰 椎 横 突 起 間 を走 査 した 腰 筋 直 下 に 左 腎臓 と同様 に観 察 され る 高 レベ ル エ コー 像 を示 す 皮 膚 層 と そ の 下30mmの 低 レベ ル エ コー 像 を示 す 腰 筋 さ ら にそ の 直 下 に腎 臓 の 実 質 エ コ ーが み られ 左 腎 臓 とほ ぼ 同 様 で 隔 壁 が 厚 く ホ ル ス雌 に 比 べ 腎 臓 の 皮 質 と髄 質 の 境 界 あ った(図2) が 不 明 瞭 であ った(図3) ま た 右 賺 部 な ら びに 肋 骨 間 の 走 査 で も 左 腎 臓 と同 様 の 画 像 が 得 られ た 右 腎 臓 は 第13肋 骨 と第1腰 椎 横 突 起 間 の 走 査 に よ って は 画 像 が 得 られ ず 右 部 と ホ ル ス去 勢 と短 角 去 勢 の 左 腎 臓 の 画 像 は 直 腸 か らの 肋 骨 間 走 査 に よ り 低 レベ ルエ コー 像 を示 す 筋 肉 層 と体 24
図3.健 常 例 ホ ル ス去 勢 の 左 腎 臓 尾 部 横 断 像 図6.臨 右 部 切 開 後 腎 臓 部 をプ ロー ブ で 走 査 した 腎 杯 に 長 楕 円 形 の 結 石 エ コ ー 像(Ca)と そ の背後 に音響 陰 影 (As)が み られ る 皮 質 は 低 レベ ル エ コ ー 像 髄 質 は エ コー フ リー 像 腎 盂 は 高 レベ ル エ コ ー 像 と し て 観 察 さ れ る 図4.健 図7.臨 常 例 ホ ル ス去 勢 の 右 腎臓 の横 断 像 床 例 左 腎臓 の横 断 像 小 さな2個 の結 石 像 と音響 陰 影 が み られ 皮 質 の エ コー レベ ル が低 下 して い る 右 第12 13肋 間 を 走査 した 画 面上 端 は皮 膚 面 よ り深 さ35 の レベ ル で あ る 皮 質 と髄 質 の境 界 が 不 明瞭 で あ る mm 図5.健 床 例 左 腎臓 の 縦 断 像 常例 屠 場 に お け るホ ル ス去勢 牛 の躯 幹割 断 面 後 腹 膜 腔 の 多 量 の脂 肪 に よ り 右 腎臓 は腹 腔 に 下垂 して い る 図8.臨 床 例 左 腎臓 の横 断 像 腎 杯 部 に2個 の 不 整形 な結 石 と皮 質 部 の低 レベ ル エ コー像 が観察さ れ る 25
腎臓 周 囲 の脂 肪 組 織 な どに よ り超 音 波 ビー ム が減 衰 され あ るい は 障 害 を受 け た た め と推 察 される 右 腎臓 は ホ ル ス雌 で は 左 腎臓 とほ ぼ 同様 の 画 像 が 得 ら れ た 阿 部 ら1)も 乳 用雌 牛 の 腎臓 結 石 の 検 査 に 経 皮 法 で 実 施 して い る しか し ホ ル ス去 勢 と短 角 去 勢 では 右 腎臓 の 画 像 を得 る こ とに 困 難 を伴 い 得 られ た 像 も腎 臓 実 質 の 画 像 は 不 明 瞭 で あ った この こ とは 肉 用 牛 では 皮 膚 か ら腎 臓 まで の 間 に は厚 い 筋 肉 と脂 肪 の 蓄 積 が あ る こ と と これ に 加 え て 栄 養状 態 が 比 較 的 劣 る牛 の右 腎 臓 は 腰 椎 横 突 起 下 に 存 在 して い るが 肉 用 牛 の 右 腎 臓 は 後 腹 膜 腔 内 の 多 量 の 脂 肪 の 蓄 積 に よ り腹腔 内 に 下 垂 して 図9.集 い るた め画 像 の 取 得 は 困 難 で あ った もの と思 わ れ る 団 検 診 例 左腎 臓 の横 断 像 尿 結 石 症 発 症 牛 で は 全 て の 症 例 にお い て 左 腎 臓 に 腎 洞 に結 石 像 が み られ 髄 質 の エ コー レベ ル が増 強 し 皮 質 と髄 質 の境 界 が 不 明瞭 で あ る 結 石 に 起 因 した強 い エ コー 像 とエ コ ーの 後 方 に 明 瞭 な 音 響 陰 影 がみ られ 小 山 ら41の 報 告 と同 様 の 画 像 所 見 が観 察 され た 一 方 右 腎 臓 の1例 で は 結 石 像 が不 明 瞭 で あ っ たが これ は先 述 した理 由に 加 え 第12 13肋 間 で 走 査 した た め プ ロー ブ の僅 か な角 度 のず れ が画 像 に変 化 を もた ら した た め と思 われ る 腎 臓 結 石 の集 団検 診 を受 け た110頭 の うち8頭(8.2%) に腎 臓 結 石 像 がみ られ た 宮 原 ら8)は 病 畜 と して 放 血殺 され た乳 用 経 産 牛83例 中80例(96.4%)に 腎臓結 石がみ られ これ らの結 石 を分析 した結 果 92.0%が 硅 酸結 石 で あ っ た と報 告 して い る 阿 部 ら1)は 乳 甫 雌 牛 を病 畜 牛 通 年 舎 飼 牛 フ リー ス トー ル飼 養牛 の3群 に分 け超 音 波 図10.集 検 査 した 結果 各群 の86.8 93.0%に 団 検 診 例 左 腎臓 の横 断 像 腎 洞 に結 石 と著 明 なCECが み られ る る集 団 検 診 の 結 果 と阿 部 ら1) 宮 原 ら81が 報 告 した 乳 用 を比較 した 雌 牛 に お け る腎臓 結 石 保 有 率 の 大 きな 差 異 に つ い て は ホ ル ス雌 の 両 側 腎臓 で は 皮 質 髄 質 腎 杯 腎 洞 な ど の 特徴 的 な エ コー 像 が み られ 従 来 報 告2,5,15)さ 腎臓結石 が存在 し た とい う この よ うに 我 々 が 実施 した 肉用 去勢 牛 に お け 今 後 詳 細 に 検 討 を重 ね る必 要 が あ る が 超 音 波 検 査 時 の れ て 各 牛 群 の 月 年 齢 の 違 い も一 つ の 要 因 と考 え られ る い る画 像 と同 様 であ っ た ホ ル ス雌 ホ ル ス去 勢 な ら び 肉 用 牛 に形 成 され る尿 結 石 の組 成 の多 くは燐 酸 ア ンモ に短 角 去 勢 の 左 腎 臓 の 超 音 波 画 像 を比 較 した場 合 ホ ル ニ ウ ム マ グ ネ シ ウ ム で あ る といわ れ て い る10) 肉用 牛 と ス去 勢 と短 角 去 勢 の 画 像 が ホ ル ス雌 に比 べ て腎 臓 の皮 質 乳 用 雌 牛 にお け る尿 結 石 組 成 の違 い は 乳 用 雌 牛 に は イ と髄 質 の 境 界 が不 鮮 明 で あ っ た これ は ホ ル ス去 勢 と短 ネ科 植 物 を主 体 に 肉用 牛 に は穀 物 飼 料 の 多量 を給 与 し 角去 勢 が 肉用 牛 と して飼 育 され て い る た め ホ ル ス雌 に て い る こ と に起 因 して い る と思 われ る 比 べ腎 臓 周 囲 の疎 性 結 合織 と脂 肪 組 織 の 著 しい蓄 積 の た 集 団 検 診 を受 け た牛 の う ち34頭 の 腎臓 を屠 場 で 切 開 し て確 認 した そ の結 果 31頭 が診 断 と一致 し 的 中 率 は め に 超 音 波 ビー ム が減 衰 され た た め と思 われ る 91.2%で 戸 尾15)は 右 部 よ り左 腎臓 を検 索 で き る こ と も あ っ あ り 高 い値 が 得 られ た 検 診時 に は 腎 盂 た と報 告 して い る が こ の 方 法 は体 格 や 栄 養 の 劣 る牛 で 腎杯 内 の結 石 像 と脂 肪 の像 が似 て い た こ とか ら超 音 波 画 は 可能 と考 え られ る が 今 回 は 体 格 の 大 きい ホ ル ス雌 像 よ りそ の識 別 は 困 難 で あ った が 強 い エ コー とそ の 後 と肥 育後 期 の 肉用 牛 の 腎臓 を対象 と した た め 右 部 か 方 に 音響 陰 影 が 現 れ た 場 合 を結 石 と判 定 し 輪 郭 が 不 鮮 らは左 腎臓 の 画 像 を得 る こ とが で きな か った これ は 体 明 で 音 響 陰 影 も不 明 瞭 で あ った 場 合 を脂 肪 と判 定 した 表 よ り走 査 す る場 合 に 皮膚 筋 肉 充 満 した 第 一 胃 内 容 しか し 結 石 を保 有 す る と判 定 され 腎 臓 切 開 に よ る確 27