しうる 3. 亜部位と局在コード ICD-O 局在取扱い規約表記 部位 C44.0 口唇口唇の皮膚, NOS 下唇の皮膚 上唇の皮膚 C44.1 眼瞼 C44.2 耳 C44.3 顔面 鼻 頬 C44.4 頭部 項頚部 C44.5 腋窩 胸部 上腹 ( 臍上 ) 下 腹 背部 ( 第 12 胸椎下縁

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性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

1)表紙14年v0

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43048腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約第1版 追加資料

1. 来院経路別件数 非紹介 30 他疾患経過 10 自主受診観察 紹介 20 他施設紹介 合計 患者数 割合 12.1% 15.7% 72.2% 100.0% 27.8% 72.2% 100.0% 来院経路別がん登録患者数 がん患者がどのような経路によって自施設を受診し

9章 その他のまれな腫瘍

佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

32 子宮頸癌 子宮体癌 卵巣癌での進行期分類の相違点 進行期分類の相違点 結果 考察 1 子宮頚癌ではリンパ節転移の有無を病期判定に用いない 子宮頚癌では0 期とⅠa 期では上皮内に癌がとどまっているため リンパ節転移は一般に起こらないが それ以上進行するとリンパ節転移が出現する しかし 治療方法

い結合組織性の瞼板がある 瞼板中には 30~40 個の瞼板腺 ( マイボーム Meibome 腺 ) が一列に存在し 導管は眼瞼後縁に開口する 前縁には 睫毛 ( まつ毛 ) が 2~3 列あり その根部に睫毛腺 ( モル Moll 腺 ) また脂腺 ( ツァイス Zeiss 腺 ) が開く 涙腺は

福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

5. 病 期 分 類 と 進 展 度 TNM 分 類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) T- 原 発 腫 瘍 TX T0 Tis T1 T2 T3 T4 原 発 腫 瘍 の 評 価 が 不 可 能 原 発 腫 瘍 を 認 めない 上 皮 内 癌 ボーエン 病 高 度 扁 平 上 皮 内 病

2010 年 12 月 2 日放送第 109 回日本皮膚科学会総会 9 教育講演 19 メラノーマのすべて より メラノーマの早期診断と治療方針 岡田整形外科 皮膚科 眼科髙田実はじめに悪性黒色腫は転移しやすく 悪性度の高いがんとして恐れられていますが 他のがんと同じく早期発見 早期治療が適切に行わ

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

院内がん登録集計報告

外来在宅化学療法の実際

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

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表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

450 章皮膚の悪性腫瘍 症状顔面や手背などの露光部に, 直径数 mm 1 cm 程度の淡紅りんせつ色の紅斑性局面を形成し, 固着性の鱗屑や痂皮を伴う. 境界はやや不明瞭. 角化傾向が強く, ときに灰白色の角化性結節や角状の突出 皮角 (cutaneous horn) を認める( 図.8).60 歳

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9 2 安 藤 勤 他 家族歴 特記事項はない の強い神経内分泌腫瘍と診断した 腫瘍細胞は切除断端 現病歴 2 0 1X 年7月2 8日に他院で右上眼瞼部の腫瘤を に露出しており 腫瘍が残存していると考えられた 図 指摘され精査目的で当院へ紹介された 約1cm の硬い 1 腫瘍で皮膚の色調は正常であ

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

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記入方法

268 皮膚癌 手術では大きな欠損を生じる腫瘤径の大きな悪性黒子型黒色腫に対して放射線治療が行われることがある 1) リンパ節に対する予防照射や術後照射は適応に関して議論のあるところであるが,MDACCでは病期 Ⅱ,Ⅲ に対して施行している 2) 骨転移や脳転移に対しては姑息的照射が一般的に行われて

4. 形態コ - ド - 腎盂 尿管 膀胱癌取扱い規約第 1 版より抜粋 (WHO 分類 2004) 病理組織英語表記形態コ - ド 尿路上皮系腫瘍 非浸潤性平坦状尿路上皮内癌 urothelial carcinoma in situ 8120/2 非浸潤性乳頭状尿路上皮癌 non-invasive

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

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D. 汗腺系腫瘍 413 c d e 図.14 汗管腫 (syringom) 2 5 mm c d e 腔の一端に, 短い尾のような上皮索をつける特徴的な像 オタマジャクシ様 (tdpole-like) またはコンマ状 (comm til) を呈する. 管腔は 2 層の壁細胞からなり, 周囲に結合組

IARC/IACRにおける多重がんの判定規則改訂版のお知らせ

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院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

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094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

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して広く用いられてきました この Clark 分類に異を唱えたのが Bernard Ackerman であります Ackerman は 1980 年に発表した malignant melanoma: a unifying concept と題する論文において Clark らの病型分類は無意味であると


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ける発展が必要です 子宮癌肉腫の診断は主に手術進行期を決定するための子宮摘出によって得られた組織切片の病理評価に基づいて行い 組織学的にはいわゆる癌腫と肉腫の2 成分で構成されています (2 近年 子宮癌肉腫は癌腫成分が肉腫成分へ分化した結果 組織学的に2 面性をみる とみなす報告があります (1,

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第 112 回日本皮膚科学会教育講演 皮膚病理へのいざない 第 1 回毛包 脂腺に分化する腫瘍 ( 基底細胞癌を含む ) 佐賀大皮膚科三砂範幸 1 毛包腫瘍 :Over view 2 脂腺腫瘍 :Over view 1

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

小児がん中央機関からの報告 1 情報提供 ( 院内がん登録 ) 国立がん研究センターがん対策情報センター センター長若尾文彦 1

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院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

健康バンザイ! いなぎ講座 乳癌の診断と治療について

2)N 分類 Nの入力に際し 画像診断 (CT MRIなど ) より腫大リンパ節の有無を加味した以下の分類細目に従って報告する N0 所属リンパ節腫大 (-) N1 所属リンパ節腫大 (+) NX 画像診断をしなかった 3)M 分類 M0 遠隔転移なし MA 傍大動脈リンパ節の腫大 M1 その他の遠

目次 全部位の概要 - 部位別登録数 - 年齢階級 部位別登録数 - 来院経路 部位別登録数 - 患者住所 部位別登録数 - 症例区分 部位別登録数 - 発見経緯 部位別登録数 部位別詳細

H27栃木県のがんH27.indd

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2. 転移するのですか? 悪性ですか? 移行上皮癌は 悪性の腫瘍です 通常はゆっくりと膀胱の内部で進行しますが リンパ節や肺 骨などにも転移します 特に リンパ節転移はよく見られますので 膀胱だけでなく リンパ節の検査も行うことが重要です また 移行上皮癌の細胞は尿中に浮遊していますので 診断材料や

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ヒト慢性根尖性歯周炎のbasic fibroblast growth factor とそのreceptor

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参考文献 1. Hampe, J.F. and Misdorp, W. (1974) Tumours and dysplasias of the mammary gland. Bull WHO 50: Moulton, JE, (1990) Tumors of the Mamma

がんの診療の流れ この図は がんの 受診 から 経過観察 への流れです 大まかでも 流れがみえると心にゆとりが生まれます ゆとりは 医師とのコミュニケーションを後押ししてくれるでしょう あなたらしく過ごすためにお役立てください がんの疑い 体調がおかしいな と思ったまま 放っておかないでください な

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病


子宮頸がん 1. 子宮頸がんについて 子宮頸がんは子宮頸部に発生するがんです ( 図 1) 約 80% は扁平上皮がんであり 残りは腺がんですが 腺がんは扁平上皮がんよりも予後が悪いといわれています 図 1 子宮頸がんの発生部位 ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染は子宮頸がんのリスク因子です

83.8 歳 (73 91 歳 ) であった 解剖体において 内果の再突出点から 足底を通り 外果の再突出点までの最短距離を計測した 同部位で 約 1cmの幅で帯状に皮膚を採取した 採取した皮膚は 長さ2.5cm 毎にパラフィン包埋し 厚さ4μmに薄切した 画像解析は オールインワン顕微鏡 BZ-9

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 佐藤雄哉 論文審査担当者 主査田中真二 副査三宅智 明石巧 論文題目 Relationship between expression of IGFBP7 and clinicopathological variables in gastric cancer (

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを

腫瘍外科療法 化学療法 大阪大学医学部附 形成外科 形成外科 皮膚外 4 皮膚腫瘍外科 1-2 年 属病院形成外科 科 に必要な手術手 技の基本を習得 国立がんセンター 中央病院 皮膚腫瘍科皮膚悪性腫瘍 4 皮膚悪性腫瘍の診断 ( 病理 ダーモスコピーなど ) 腫瘍外科療法 化学療法 6 ヶ月 -2

図 1 乳管上皮内癌と小葉上皮内癌 (DCIS/LCIS) の組織像 a: 乳頭状増殖を示す乳管癌 (low grade).b: 篩状 (cribriform) に増殖する DCIS は, 乳管内に血管増生を伴わない時は,comedo 壊死を形成することがあるが, 本症例のように血管の走行があると,

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大腸ESD/EMRガイドライン 第56巻04号1598頁

< 高知県立幡多けんみん病院 年院内がん登録 ( 詳細 )> 性 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 ~9 9~ 総計件数比率 口腔 咽頭食道胃結腸直腸肝臓胆嚢 胆管膵臓喉頭肺骨 軟部皮膚乳房子宮頸部子宮体部卵巣前立腺膀胱腎 他の尿路 女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男女男

口腔がん登録 Q&A Ver /11/21 用語 定義に関する Q&A Q1.本調査に関する各用語の定義を教えてください 下記の図表を参照してください 各用語の定義等について 口腔内 口唇 口腔 顎骨中心性 UICCの Lip & Oral cavity 顎骨中心性) 舌 可動部 上顎

膵臓癌について

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院内がん登録について 院内がん登録とは がん ( 悪性腫瘍 ) の診断 治療 予後に関する情報を収集 整理 蓄積し 集計 解析をすることです 登録により収集された情報は 以下の目的に使用されます 診療支援 研修のための資料 がんに関する統計資料 予後調査 生存率の計測このほかにも 島根県地域がん登録

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皮膚 Skin (C44.0-C44.9, C51.0-C51.9, C60.9, C63.2) 皮膚に原発する悪性腫瘍は ICD-O 分類の場合 局在コード C44.0-C44.9, C51.0-C51.9, C60.9, C63.2 に分類される UICC 第 7 版においては 眼瞼 外陰 陰茎以外の皮膚に原発した癌腫の場合 皮膚癌 の項で分類する 眼瞼に発生した癌腫は 眼瞼の皮膚癌 の項で 外陰 陰茎に発生した癌腫はそれぞれ 外陰 陰茎 の項で病期分類を行う 皮膚に原発した悪性黒色腫の場合 皮膚悪性黒色腫 の項で病期分類を行い 皮膚のメルケル細胞癌は 皮膚のメルケル細胞癌 の項で病期分類を行う 上記以外の悪性腫瘍が皮膚に原発した場合 リンパ腫は Ann Arbor 分類に従った病期分類を行い 肉腫については病期分類が存在しないので TNM 分類の適用外となる 1. 概要 皮膚がんの罹患率 (2006 年 ) 死亡率(2010 年 ) ともに男女同程度である 罹患率 死亡率は 50 歳以上から増加し 高齢になるほど高い 年齢調整罹患率の年次推移は 目立った変化はみられない 年齢調整死亡率の年次推移は男女とも同様の傾向を示し 1980 年代後半まで減少し その後変化はない 国際比較では罹患率 死亡率ともにオーストラリア ニュージーランドで顕著に高く ノルウェー スウェーデンなど北欧が高い 日本を含むアジア各国では低い 皮膚がんは悪性黒色腫 ( メラノ-マ ) 有棘細胞癌( 扁平上皮癌 ) および基底細胞癌( 基底細胞腫 ) の3つが主要病型であり 後者 2つは非黒色腫皮膚がんと呼ばれることがある 悪性黒色腫 非黒色腫皮膚がんともに 年齢調整死亡率の男女の差は小さく 年齢階級別死亡率は男性で 60 歳代 女性で 70 歳代から増加する 皮膚がんの年間死亡数は増加しているが 年齢調整死亡率では 1958 年から減少し 1980 年代以降に横ばいになる 皮膚がん全体の罹患数は死亡数 5 倍以上であり 生存率が高いことと関連する 悪性黒色腫は最も悪性度が高いがんである 累積罹患率の国際比較では オ-ストラリア 特に Queensland が著明に高く 南欧より北欧が高く 日本は低い傾向にある 人種差が大きく 白人で極めて高い 非黒色腫皮膚がんの日本の罹患率は欧米より低い傾向にある 2. 解剖原発部位身体の外表面を被う強靱な皮膜で 発生学的に皮膚の上皮 ( 表皮 ) に由来する付属器 ( 皮膚腺 毛 爪 ) を含めて外皮 integument という 皮膚の全表面積は成人で 1.5~1.8 m2で 皮下組織を除くと 重量は体重の約 16% を占める 皮膚は全体としてみると 人体で最も大きな器官とももなすことができる 皮膚の厚さは 1~ 4mm で部位によってかなり相違する 一般的に腹側 ( 屈側 ) では背側 ( 伸側 ) よりも薄い 前腕 下腿の屈側 手背 足背 眼瞼 外耳道などの皮膚はとくに薄い また幼児や老人では成人に比べ薄い 一方 とくに厚い部位は手掌 足底である 表皮 真皮 皮下組織の3 層に分けられる 表皮 epidermis: 表皮の厚さは身体の部位で相違する (0.05~0.2mm) 手掌や足底の厚い皮膚では表皮もとくに厚く約 1mm にも達し 機械的刺激を受けると さらにきわめて厚くなる 真皮 dermis: 真皮は交織性結合組織からなり 脈管 神経を含む層である 厚さは 1~2.5mm であるが 手掌 足底では 3mm 以上にも達する 真皮の膠原線維は一般に複雑な網状の走行配列を示し かつ弾性線維を伴う このような線維とその走行配列とによって 皮膚は強靱であるとともに 伸展性と弾性とをもつ 皮下組織 subcutaneous tissue: 皮膚と深部組織とを結合する層で 疎性結合組織からなるが この部分は皮膚ではなく 軟部組織の部分となる 遠隔転移皮膚癌の遠隔転移は領域リンパ節への転移から肝, 肺, 骨などへの遠隔転移が生じる 有棘細胞癌での遠隔転移は約 2~3% 日光暴露部の有棘細胞癌ではもっと低く 0.5% 程度 基底細胞癌では 0.01~0.1% に遠隔転移がある 悪性黒色腫は早期に所属リンパ節に転移し さらには肺 肝臓 脳など全身どこの臓器にも遠隔転移を起こ

しうる 3. 亜部位と局在コード ICD-O 局在取扱い規約表記 部位 C44.0 口唇口唇の皮膚, NOS 下唇の皮膚 上唇の皮膚 C44.1 眼瞼 C44.2 耳 C44.3 顔面 鼻 頬 C44.4 頭部 項頚部 C44.5 腋窩 胸部 上腹 ( 臍上 ) 下 腹 背部 ( 第 12 胸椎下縁以上 ) 腰部 臀部 鼠径 肛囲 眼瞼眼角, NOS 内眼角 下眼瞼 マイボ - ム腺 外眼角 上眼角 外耳耳介, NOS 耳垢腺 耳甲介 耳, NOS 耳朶 外耳道 ( 耳道, NOS) 耳輪 耳介の皮膚 ( 耳の皮膚, NOS) 耳珠 その他及び部位不明の顔面の皮膚頬部 おとがい 顔面 前頭部 顎部 鼻部 側頭部 鼻翼 おとがい, NOS 鼻の支 柱 眉毛 頬外面 鼻外面 前頭部, NOS 側頭部, NOS 頭皮および頚の皮膚頭部の皮膚, NOS 頚部の皮膚 頭皮, NOS 鎖骨上部の皮膚体幹の皮膚腹部 腹壁 肛門 腋窩 背部 乳房 殿部 胸部 胸壁 側腹部 そけい部 会陰部 胸郭 体幹 臍 鎖骨上部 仙尾骨 肩甲部 肛門周囲皮膚 臍, NOS C44.6 C44.7 C44.8 C44.9 上腕 前腕 ( 肘を含む ) 手掌 上肢及び肩の皮膚肘前窩 腕 肘 指 前腕 手 手掌 手背 手指 指爪部肩 母指 上肢 手首 指爪 手掌の皮膚下肢及び股関節部の皮膚足首 ふくらはぎ 足 かかと 大腿 下腿 ( 膝を含む ) 足背 股関節部 膝 脚 下肢 膝窩 大腿 趾 足底皮膚 足底 足底 足趾 趾爪部趾爪皮膚の境界部病巣 C00 から C80.9 の新生物は腫瘍の原発部位を示す細分類項目に分類する 腫瘍が二つ以上の細分類項目の境界部にまたがり その原発部位が決定できない場合は 細分類項目.8 に分類する 皮膚, NOS 大陰部の皮膚 C51.0 外陰部の皮膚 C51.9 陰茎の皮膚 C60.9 陰のう皮膚 C63.2 を除く C51.0 大陰唇 大陰唇 C51.1 小陰唇 小陰唇 C51.9 外陰部 外陰, NOS C60.9 陰茎 陰茎, NOS C63.2 陰嚢 陰のう, NOS

4. 形態コ - ド - 皮膚悪性腫瘍取扱い規約第 1 版 病理組織名 ( 日本語 ) 英語表記形態コード 上皮内悪性黒色腫 Malignant melanoma in situ 8720/2 悪性黒色腫 Malignant melanoma 8720/3 澄明細胞肉腫 Clear cell sarcoma 9044/3 軟部組織悪性黒色腫 Malignant melanoma of soft parts 9044/3 有棘細胞癌 Squamous cell carcinoma 8070/3 ボウエン病 Bowen disease 8081/2 基底細胞癌 Basal cell carcinoma 8090/3 乳房外 Paget 病 Paget disease, extramammary 8542/3 乳房外 Paget 病 上皮内 Paget disease, extramammary, in situ 8542/2 皮膚付属器癌 skin appendage carcinoma 8390/3 毛母癌 Pilomatrix carcinoma 8110/3 Matrical carcinoma 8110/3 Malignant pilomatricoma 8110/3 悪性増殖性外毛根鞘腫瘍 Malignant proliferating trichilemmal tumor 8102/3 悪性外毛根鞘腫 Malignant trichilemmoma 8102/3 Trichilemmal carcinoma 8102/3 脂腺癌 Sebaceous carcinoma 8410/3 汗腺癌 Hidranadenocarcinoma 8402/3 悪性円柱腫 Malignant cylindroma 8200/3 Cylindrocarcinoma 8200/3 悪性 ( エクリン ) 汗孔腫 Malignant poroma 8409/3 汗孔癌 Porocarcinoma 8409/3 腺様嚢胞癌 Adenoid cystic carcinoma 8200/3 皮膚粘液癌 Mucinous carcinoma of the skin 8480/3 悪性らせん腫 Malignant spiradenoma 8403/3 Spiradenocarcinoma 8403/3 悪性結節性汗腺腫 Malignant nodular hidradenoma 8402/3 悪性軟骨様汗管腫 Malignant chondroid syringoma 8940/3 悪性皮膚混合腫瘍 Malignant mixed tumor of the skin 8940/3 侵襲性指状乳頭状腺癌 Aggressive digital papillary adenocarcinoma 8408/3 乳頭状汗管嚢胞腺癌 Syringocystadenocarcinoma papilliferum 8400/3 乳頭状汗腺癌 Hidradenocarcinoma papilliferum 8400/3 微小嚢胞性付属器癌 Microcystic adnexal carcinoma 8407/3 汗管腫様癌 Syringomatous carcinoma 8407/3 Merkel 細胞癌 Merkel cell carcinoma 8247/3 Cutaneous small-cell undifferentiated carcinoma 8247/3 Neuroendocrine carcinoma 8247/3 Trabecular carcinoma 8247/3 隆起性皮膚線維肉腫 Dermatofibrosarcoma protuberans (DFSP) 8832/3 悪性線維性組織球腫 Malignant fibrous histiocytoma (MFH) 8830/3 血管肉腫 Hemangiosarcoma 9120/3 Kaposi 肉腫 Kaposi sarcoma 9140/3 脂肪肉腫 Liposarcoma 8850/3 平滑筋肉腫 Leiomyosarcoma 8890/3 類上皮肉腫 epithelioid sarcoma 8804/3

悪性末梢神経鞘腫 Malignant neurilemoma 9560/3 澄明細胞肉腫 Clear cell sarcoma 9044/3 悪性顆粒細胞肉腫 Malignant granular cell tumor 9580/3 菌状息肉症 Mycosis fungoides 9700/3 Sezary 症候群 Sezary syndrome 9701/3 成人 T 細胞白血病 リンパ腫 Adult T-cell leukemia/lymphoma (ATLL) 9827/35 CD30+ 皮膚未分化大細胞型リンパ腫 Anaplastic large cell lymphoma, primary cutaneous type 9718/3 Natural Killer 細胞リンパ腫 NK cell lymphoma 9719/38 皮膚 B 細胞リンパ腫 B-cell lymphoma, skin (CBCL) 9599/36 その他のリンパ腫 Other lymphoma 9590/3 5. 病期分類と進展度 皮膚癌 ( 眼瞼 外陰 陰茎を除く ) 眼瞼の皮膚癌 皮膚悪性黒色腫と皮膚のメルケル細胞癌の分類がある TNM 分類 (UICC 第 7 版 2009 年 ) 皮膚癌 ( 眼瞼 外陰 陰茎を除く ) TNM 分類 T- 原発腫瘍 TX T0 Tis T1 T2 T3 T4 原発腫瘍の評価が不可能 原発腫瘍が認めない 上皮内癌 最大径が 2cm 以下の腫瘍 最大径が 2cm をこえる腫瘍 筋肉 骨 軟骨 顎 眼窩など深部構造に浸潤する腫瘍 頭蓋底 中軸骨格の直接または神経周辺への浸潤を伴う腫瘍 * 同時性の多発腫瘍では 最も進展した腫瘍の T 分類で表示する そして 腫瘍の個数を () に記入する N- 所属リンパ節 NX N1 N2 N3 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 1 個のリンパ節に転移があり 最大径が 3cm 以下 1 個のリンパ節に転移があり 最大径が 3cm をこえるが 6cm 以下 または複数のリンパ節転移があるが すべて最大径が 6cm 以下 リンパ節に転移があり 最大径が 6cm をこえる 所属リンパ節は 原発腫瘍の部位に該当するリンパ節 原発部位 頭頸部 胸部 上肢 腹部 腰部 臀部 下肢 肛門 肛囲皮膚 所属リンパ節 同側耳前 顎下 頸部 および鎖骨上窩リンパ節 同側腋窩リンパ節 同側上腕骨の内側上顆および腋窩リンパ節 同側鼠径リンパ節 同側膝窩および鼠径リンパ節 同側鼠径リンパ節

上記部位での境界領域の腫瘍境界部位の両側の境界域に付属するリンパ節は所属リンパ節とする 以下の 4cm 幅のバンドは境界域とする 区間 右 / 左 頭頸部 / 胸郭 胸郭 / 上肢 胸郭 / 腹部 腰部 臀部 腹部 腰部 臀部 / 下肢 沿行 正中線 鎖骨 - 肩峰 - 上肩 - 肩甲端 肩 - 腋窩 - 肩 前面 : 臍と肋骨弓の中間 後面 : 胸椎の下縁 鼠径 - 転子 - 臀裂 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる p と判定するには 所属リンパ節郭清で 6 個以上のリンパ節を組織学的に検索する 通常の検索個数を満たしていなくても すべてが転移陰性の場合は p に分類する pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる G- 病理組織学的分化度 GX 分化度の評価が不可能 G1 高分化 G2 中分化 G3 低分化 G4 未分化 病期分類 N1 N2 N3 Tis 0 T1 I III IV IV T2 II III IV IV T3 III III IV IV T4 IV IV IV IV M1 IV IV IV IV

進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 N1 N2 N3 Tis 上皮内 T1 限局所属リンパ節転移所属リンパ節転移所属リンパ節転移 T2 限局所属リンパ節転移所属リンパ節転移所属リンパ節転移 T3 隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤 T4 隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤 M1 遠隔転移遠隔転移遠隔転移遠隔転移 眼瞼の皮膚癌 TNM 分類 T- 原発腫瘍 TX T0 Tis T1 T2a T2b T3a T3b T4 原発腫瘍の評価が不可能 原発腫瘍が認めない 上皮内癌 最大径が 5mm 以下の腫瘍で 瞼板や眼瞼縁に浸潤していない腫瘍 最大径が 5mm をこえるが 10mm 以下の腫瘍 または瞼板や眼瞼縁に浸潤する腫瘍 最大径が 10mm をこえるが 20mm 以下の腫瘍 または眼瞼全層に浸潤する腫瘍 最大径が 20mm をこえる腫瘍 または隣接する眼球または眼窩組織に浸潤する腫瘍 または神経周囲に浸潤する腫瘍 完全切除には眼球摘出 眼窩内容除去または骨切除を要する腫瘍 眼球 眼窩 頭蓋顔面組織 脳への広範な浸潤のため切除不可能な腫瘍 N- 所属リンパ節 NX N1 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 所属リンパ節転移あり 所属リンパ節は 耳前リンパ節 顎下リンパ節 頸部リンパ節 M- 遠隔転移 MX 遠隔転移の評価が不可能 遠隔転移なし M1 遠隔転移あり pt- 原発腫瘍 pt 分類は T 分類に準ずる

pn- 所属リンパ節通常の検索個数を満たしていなくても すべてが転移陰性の場合は p に分類する pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる G- 病理組織学的分化度 GX 分化度の評価が不可能 G1 高分化 G2 中分化 G3 低分化 G4 未分化 病期分類 N1 Tis 0 T1 IA IIIB T2a IB IIIB T2b IC IIIB T3a II IIIB T3b IIIA IIIB T4 IIIC IIIC M1 IV IV 進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 N1 N2 N3 Tis 上皮内 T1 限局所属リンパ節転移所属リンパ節転移所属リンパ節転移 T2a, T2b 限局所属リンパ節転移所属リンパ節転移所属リンパ節転移 T3a, T3b 隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤隣接臓器浸潤 T4 遠隔転移遠隔転移遠隔転移遠隔転移 M1 遠隔転移遠隔転移遠隔転移遠隔転移

皮膚悪性黒色腫 TNM 分類 T- 原発腫瘍 腫瘍の進展は術後分類による N- 所属リンパ節 NX N1 N2 N3 所属リンパ節転移の評価が不可能 所属リンパ節転移なし 1 個の所属リンパ節転移 N1a 顕微鏡的な転移のみ ( 臨床的に潜在性 ) N1b 肉眼的な転移 ( 臨床的に触知 ) 2 個または 3 個の所属リンパ節転移 または所属部位のリンパ管内転移 N2a 顕微鏡的なリンパ節転移 N2b 肉眼的なリンパ節転移 N2c 所属リンパ節転移を伴わない衛星 または in-transit 転移 4 個以上の所属リンパ節転移 または互いに癒着した所属リンパ節転移 または 所属リンパ節転移を伴う衛星 または in-transit 転移 * 衛星転移とは原発腫瘍から 2cm 以内の病巣 または腫瘍結節である ( 肉眼的 または顕微鏡的 ) in-transit 転移とは原発腫瘍から 2cm をこえた皮膚または皮下組織転移で 所属リンパ節をこえないものである 所属リンパ節は 原発腫瘍の部位に該当するリンパ節 原発部位 所属リンパ節 頭頸部 同側耳前 顎下 頸部 および鎖骨上窩リンパ節 胸部 同側腋窩リンパ節 上肢 同側上腕骨の内側上顆および腋窩リンパ節 腹部 腰部 臀部 同側鼠径リンパ節 下肢 同側膝窩および鼠径リンパ節 肛門 肛囲皮膚 同側鼠径リンパ節 上記部位での境界領域の腫瘍 境界部位の両側の境界域に付属するリンパ節は所属リンパ節とする 以下の4cm 幅のバンドは境界域とする 区間 沿行 右 / 左 正中線 頭頸部 / 胸郭 鎖骨 - 肩峰 - 上肩 - 肩甲端 胸郭 / 上肢 肩 - 腋窩 - 肩 胸郭 / 腹部 腰部 臀部 前面 : 臍と肋骨弓の中間後面 : 胸椎の下縁 腹部 腰部 臀部 / 下肢 鼠径 - 転子 - 臀裂 M- 遠隔転移 MX M1 遠隔転移の評価が不可能 遠隔転移なし 遠隔転移あり M1a 所属リンパ節をこえた 皮膚 皮下 またはリンパ節転移 M1b 肺転移 M1c その他の臓器転移 または転移部位にかかわらず血清 LDH( 乳酸脱水酵素 lactic dehydrogenase) 異常高値を示す場合

pt- 原発腫瘍 ptx pt0 ptis pt1 pt2 pt3 pt4 原発腫瘍の評価が不可能 原発腫瘍を認めない 上皮内悪性黒色腫 (Clark レベル I)( 異型黒色細胞の増殖 高度な黒色細胞異形成 非浸潤性悪性病変 ) 厚さが 1mm 以下の腫瘍 pt1a 潰瘍を伴わない および細胞分裂像が 1mm 2 あたり 1 個未満 pt1b 潰瘍を伴う または細胞分裂像が 1mm 2 あたり 1 個以上 * 細胞分裂像データがない場合は Clark レベル IV または V 厚さが 1mm をこえるが 2mm 以下の腫瘍 pt2a 潰瘍を伴わない pt2b 潰瘍を伴う 厚さが 2mm をこえるが 4mm 以下の腫瘍 pt3a 潰瘍を伴わない pt3b 潰瘍を伴う 厚さが 4mm をこえる腫瘍 pt4a 潰瘍を伴わない pt4b 潰瘍を伴う * ptx には部分生検や退行性黒色腫の所見を含む * 細胞分裂像 1mm 2 = 4 視野 ( 強拡大 400 倍 ) * 腫瘍の厚さの計測 : 表皮顆粒層上部から最深部の腫瘍細胞までの距離を表皮に垂直方向に計測し mm 単位で表す * Clark レベル levelⅠ: 腫瘍細胞の増殖が表皮内に限られるもの (melanoma in situ) levelⅡ: 腫瘍細胞の増殖が真皮乳頭層への侵入を示すが 真皮網状層に達していないもの levelⅢ: 腫瘍細胞の増殖が乳頭層部から真皮網状層を圧排するように増殖するもの levelⅣ: 腫瘍細胞の増殖が真皮網状層へ侵入するもの levelⅤ: 腫瘍細胞の増殖が皮下組織内へ侵入するもの pn- 所属リンパ節 pn 分類は N 分類に準ずる p と判定するには 所属リンパ節郭清で 6 個以上のリンパ節を組織学的に検索する 通常の検索個数を満た していなくても すべてが転移陰性の場合は p に分類する また腋窩部のセンチネルリンパ節生検が陽性であったが 続いて郭清を行なわなかった場合の分類には pn1(sn) のように (sn) を付記する pm- 遠隔転移 pm 分類は M 分類に準ずる

病期分類 N1a N1b N2a N2b N2c N3 ptis 0 pt1a IA IIIA IIIB IIIA IIIB IIIB IIIC pt1b IB IIIB IIIC IIIB IIIC IIIB IIIC pt2a IB IIIA IIIB IIIA IIIB IIIB IIIC pt2b IIA IIIB IIIC IIIB IIIC IIIB IIIC pt3a IIA IIIA IIIB IIIA IIIB IIIB IIIC pt3b IIB IIIB IIIC IIIB IIIC IIIB IIIC pt4a IIB IIIA IIIB IIIA IIIB IIIB IIIC pt4b IIC IIIB IIIC IIIB IIIC IIIB IIIC M1a, M1b, M1c IV IV IV IV IV IV IV 進展度 ( 臨床進行度 ) 分類 N1 N2 N3 ptis 上皮内 pt1a, T1b 限局 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 pt2a, T2b 限局 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 pt3a, T3b 限局 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 所属リンパ節転移 pt4a, T4b 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 隣接臓器浸潤 M1a, M1b, M1c 遠隔転移 遠隔転移 遠隔転移 遠隔転移 6. 取扱い規約 ( 皮膚悪性腫瘍取扱い規約 2010 年 8 月 第 2 版 ) 皮膚癌 ( 悪性黒色腫以外 ) 皮膚悪性腫瘍取扱い規約では UICC TNM 分類第 7 版と共通の分類を用いている 悪性黒色腫 - AJCC(2009 年 ) の分類を用いている T 分類 ( 原発巣 ) Tis Melanoma in situ T1a tumor thickness 1mm, 潰瘍なしかつ核分裂像が<1/mm 2 T1b tumor thickness 1mm, 潰瘍ありかつ核分裂像が 1/mm 2 T2a 1mm<tumor thickness 2mm, 潰瘍なし T2b T3a T3b T4a T4b 1mm<tumor thickness 2mm, 潰瘍あり 2mm<tumor thickness 4mm, 潰瘍なし 2mm<tumor thickness 4mm, 潰瘍あり tumor thickness>4mm, 潰瘍なし tumor thickness>4mm, 潰瘍あり

N 分類 ( 所属リンパ節 ) N1 N2 N3 所属リンパ節転移 衛星転移 in-transit 転移を認めない 1 個の所属リンパ節転移 N1a 顕微鏡的転移 N1b 肉眼的転移 2 個 ~3 個のリンパ節転移 またはリンパ節転移を伴わない衛星転移または in-transit 転移 N2a 2 個 ~3 個の顕微鏡的リンパ節転移 N2b 2 個 ~3 個の肉眼的リンパ節転移 N2c リンパ節転移を伴わない衛星転移 または in-transit 転移 4 個以上のリンパ節転移 互いに癒着したリンパ節転移 リンパ節転移を伴う衛星転移または in-transit 転移 M 分類 ( 遠隔転移 ) 遠隔転移を認めない M1 遠隔転移を認める M1a 所属リンパ節をこえる皮膚 皮下またはリンパ節転移 M1b 肺転移 M1c その他の臓器転移 または転移部位にかかわらず血清 LDH 異常高値を示す場合 病期分類 病期 臨床分類病期 病理病期分類 T N M T N M 0 Tis Tis IA T1a T1a IB IIA IIB T1b T2a T2b T3a T3b T4a IIC T4b T4b III Any T N> IIIA IIIB IIIC T1b T2a T2b T3a T3b T4a T1-T4a T1-T4a T1-T4b T1-T4b T1-T4a T1-T4a T1-T4a T1-T4b T1-T4b T1-T4b Any T IV Any T Any N M1 Any T Any N M1 N1a N2a N1a N2a N1b N2b N2c N1b N2b N2c N3

乳房外 Paget 病 pt- 原発巣 TX T1 T2 T3 T4 原発巣の評価不可能 病変の大きさにかかわらず 組織学的に表皮内癌の状態 基底膜を破って真皮内に微小浸潤 結節性の浸潤癌で脈管侵襲を伴わないもの 結節性の浸潤癌で脈間侵襲を伴うもの N- 所属リンパ節 NX 所属リンパ節の評価不可能 所属リンパ節転移なし N1 所属リンパ節転移あり N2 両側所属リンパ節転移あり M- 遠隔転移 MX M1 遠隔転移の評価不可能 遠隔転移なし 遠隔転移あり 病期分類 ⅠA 期 T1 ⅠB 期 T2 Ⅱ 期 T3 Ⅲ 期 T4 T に関係なく N1 Ⅳ 期 T に関係なく N2 T,N に関係なく M1 根治度の評価 皮膚悪性腫瘍取扱い規約第 2 版に根治度に関する記載なし 7. 症状 診断検査 1) 検診 - 皮膚がんの検診は制度としては存在しない 2) 臨床症状 (1) 皮膚癌 : 日光露出部の不整な皮疹 (2) 悪性黒色腫 : 不整な形状で 多彩な色調を有し 不均一な境界で 表面が非角化性で平滑な黒色病変 3) 診断に用いる検査 視診 : 視診のみで診断はほぼ可能 ダーモスコピー : エコージェルもしくは偏光フィルタを用いて皮膚内面の色素分布を観察する特殊な皮膚拡大鏡による検査 色素性病変 ( 悪性黒色腫 基底細胞癌 ) などの診断に非常に有用である CT MRI 検査 : リンパ節転移の有無などの進行度を診断する MRI が局所浸潤診断に有用とされている 腫瘍マーカー : 特異的な腫瘍マーカーは存在しない 生検 : 皮膚癌では局所切除による生検にて確定診断を行う 一方 悪性黒色腫は部分生検は行わないこと が望ましいとされており 全摘生検を行う

8. 治療治療方針 - 皮膚悪性腫瘍診療ガイドラインより (1) 悪性黒色腫 Tis, T1a: 原発巣切除 T1b 以上, : 原発巣切除 + センチネルリンパ節生検 pn- で経過観察または術後補助療法 pn+ で根治的リンパ節郭清 + 術後補助療法 T1b 以上, N1 以上 : 原発巣切除 + 根治的リンパ節郭清 + 術後補助療法 M1: 抗がん剤 転移巣切除など (2) 有棘細胞癌 切除可能例 : 原発巣切除 切除不能例 : 化学療法 放射線療法 リンパ節転移あり : 原発巣切除 + 根治的リンパ節郭清 ( 郭清不能 : 原発巣治療 + 化学療法 放射線療法 ) 遠隔転移あり : 切除または化学療法 放射線療法 1) 観血的な治療 (1) 外科的治療 (1) 皮膚癌 : 有棘細胞癌 基底細胞癌では外科的切除が第一選択である 低リスク病変で 5mm 高リスク病変でも 10mm 程度のマージンをとる手術でよいとされる (2) 悪性黒色腫 : 表皮内黒色腫の段階ならば辺縁から 5mm 離しての全摘でよい 浸潤性病変でも 1~2cm 程度離して切除する センチネルリンパ節生検: 臨床上明らかな所属リンパ節転移が検出されない場合 N 分類の決定にセンチネルリンパ節生検を行う センチネルリンパ節に顕微鏡的転移が陰性ならば そのままで経過観察とするが 転移陽性の場合は原則として該当リンパ節の郭清術を施行する 2) 放射線療法 (1) 皮膚癌 : 有棘細胞癌で高度進行病変や遠隔転移に化学療法と放射線療法の併用が行われる 基底細胞癌では合併症 全身状態などのため手術不可能な場合放射線療法が選択される (2) 悪性黒色腫 : 骨転移の疼痛軽減や脳転移の症状改善のため 姑息的に用いることはある 3) 薬物療法 (1) 化学療法 ( 単剤または併用で使用される薬剤名 略語 商品名 ) (1) 皮膚癌 peplomycin (PEP, ペプレオ ), mitomycin C (MMC, マイトマイシン S), cisplatin (CDDP, ランダ, ブリプラチン ), doxorubicin (Adriamycin, ADM, アドリアシン ), Carboplatin (CBDCA, パラプラチン ), epirubicin (EPI, ファルモルビシン ), irinotecan (CPT-11, カンプト, トポテシン ), 5-FU (5-Fu) (2) 悪性黒色腫 dacarbazine (DTIC, ダカルバジン ), nimustine (ACNU, ニドラン ), vincristin (VCR, オンコビン ), cisplatin (CDDP, ランダ, ブリプラチン ) (2) 免疫療法 BRM( 単剤または併用で使用される薬剤名 略語 商品名 ) (1) 皮膚癌 :imiquimod ( イミキモド ) (2) 悪性黒色腫 :interferonα(ifn-α スミフェロン イントロン A オーアイエフ) interferonβ (IFNβ アイエフエヌベータ), interleukin-2(il-2 イムネース) 4) その他の治療 (1) レーザー等治療 ( 焼灼 ) 基底細胞癌で 凍結療法 電気凝固術 光線力学的療法 (PDT) などが行われる (2) 症状緩和的な特異的治療なし

9. 略語一覧 BCC basal cell carcinoma 基底細胞癌 SCC squamous cell carcinoma 扁平上皮癌 ( 有棘細胞癌 ) MM malignant melanoma 悪性黒色腫 SLNB sentinel lymph node biopsy センチネルリンパ節生検 PDT photodynamic therapy 光線力学的療法 10. 参考文献 1) 日本皮膚悪性腫瘍学会編皮膚悪性腫瘍取扱い規約 2010 年 8 月第 2 版 ( 金原出版 ) 2) 日本臨床腫瘍学会編新臨床腫瘍学 ( 南江堂 ) 3) UICCTNM 悪性腫瘍の分類第 7 版日本語版 ( 金原出版 ) 4) SEER Summary Staging Manual 2000 5) AJCC Cancer Staging Atlas (Springer) 6) 国立がんセンタ - 内科レジデント編がん診療レジデントマニュアル ( 医学書院 ) 7) 解剖学講義改訂 2 版 ( 南山堂 ) 8) 日本皮膚悪性腫瘍学会編科学的根拠に基づく皮膚悪性腫瘍診療ガイドライン第 1 版 ( 金原出版 )