アベノミクス第二ステージのマクロ経済の姿 (600 兆円経済の実現に向けて ) 民需主導の好循環を確立することにより 実質 2% 名目 3% 程度を上回る経済成長を目指し 6 00 兆円経済を実現する必要がある (GDP デフレーター上昇率は 1% を上回る ) 実質経済成長率については 供給面の強

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第 1 章基本的な考え方 希望を生み出す強い経済実現に向けた緊急対応策 Ⅰ. 希望を生み出す強い経済の必要性 平成 27 年 11 月 26 日経済財政諮問会議 1. 我が国経済は アベノミクス第一ステージの取組 すなわち大胆な金融政策 機動的な財政政策 民間投資を喚起する成長戦略からな

経済 財政 社会保障の一体的建て直し 強い経済 税収の基盤 重要な成長分野 健康 分野で需要と雇用を創出 成長を実現する予算編成 持続可能な財政の下で可能となる消費 保険料の基盤 社会不安の最小化 強い財政 最大の支出項目 安定財源の確保による持続可能な 社会保障制度の確立 ( 抜本的税制改革による

別紙2

経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

平成24年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

日本経済の現状と見通し ( インフレーションを中心に ) 2017 年 2 月 17 日 関根敏隆日本銀行調査統計局

第45回中期経済予測 要旨

<4D F736F F F696E74202D208ED089EF95DB8FE182CC8B8B957482C CC8CA992CA82B52E707074>

社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

我が国中小企業の課題と対応策

EPA に関する各種試算 試算 1 EPA のマクロ経済効果分析 (3 ページ ) 内閣官房を中心に関係省庁と調整したシナリオに基づき 川崎研一氏 ( 内閣府経済社会総合研究所客員主任研究官 ) が分析 WTO はじめ広く関係機関が活用している一般均衡モデル (GTAP モデル ) を使用 EPA

主な論点 資料 4 1. ワーク ライフ バランスの推進 生産性向上等の観点から 働き方とともに休み方を見直すことの必要性 重要性 (1) 有給休暇取得状況と長時間労働の国際比較 (2) 休暇取得と生産性との関係 (3) 仕事と仕事以外の生活の充実 2. 秋の連休の大型化等を実現する上での課題 (1

税・社会保障等を通じた受益と負担について

1 概 況

平成 30 年 5 月 21 日 ( 月 ) 平成 30 年第 6 回経済財政諮問会議資料 4-1( 加藤臨時議員提出資料 ) 資料 年を見据えた社会保障の将来見通し ( 議論の素材 ) 平成 30 年 5 月 28 日 厚生労働省

1. 成長率 可処分所得 社会の満足度 一人当たり成長は先進国でトップクラス 一人当たり可処分所得は着実に増加 社会の満足度は過去最高 生産年齢人口一人当たり実質 GDP 成長率 ( 年平均 ) (%)

公表内容について 2 本機関は業務規程第 20 条に基づき 需要想定の前提となる経済指標として 以下の項目の見通しを策定し 公表しました ( 全国の経済見通しの策定 ) 第 20 条本機関は 需要想定の前提となる人口 国内総生産 (GDP) 鉱工業生産指数 (IIP) 等の経済指標について 当年度を

【No

1. デフレ脱却 経済再生の深化 (1) デフレ脱却の進捗状況 アベノミクス第二ステージのマクロ経済運営上の重点課題は 民間主導の好循環の確立 すなわち 1 弱さもみられる現在の流れを明確に反転させ 企業収益の改善を賃金や投資の拡大に結び付け デフレ脱却 経済再生の深化を進めること それによって 消

エコノミスト便り

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

1. デフレ脱却 経済再生の深化 (1) デフレ脱却の進捗状況 アベノミクス第二ステージのマクロ経済運営上の重点課題は 民間主導の好循環の確立 すなわち 1 弱さもみられる現在の流れを明確に反転させ 企業収益の改善を賃金や投資の拡大に結び付け デフレ脱却 経済再生の深化を進めること それによって 消

平成 29 年度 厚生年金保険法第七十九条の八第二項に基づく国家公務員共済組合連合会にかかる管理積立金の管理及び運用の状況についての評価の結果 概要 平成 30 年 12 月 財務省主計局給与共済課

人口減少と将来の労働力不足について(資料編)

政策課題分析シリーズ16(付注)

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

公表内容 2 本機関は業務規程第 22 条に基づき 需要想定の前提となる経済指標として 以下の項目の見通しを策定し 公表します ( 全国の経済見通しの策定 ) 第 22 条本機関は 需要想定の前提となる人口 国内総生産 (GDP) 鉱工業生産指数 (IIP) その他の経済指標について 当年度を含む

本日の主な内容 1.. 総論 主要国の GDP 成長率 人口伸び率 主要国の経済規模 2.. 日本経済の見通し 人口動態と労働力人口 潜在成長率と実質 GDP 成長率 GDP ギャップと物価上昇率 日本経済再生への処方箋 1


図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

2 / 6 不安が生じたため 景気は腰折れをしてしまった 確かに 97 年度は消費増税以外の負担増もあったため 消費増税の影響だけで景気が腰折れしたとは判断できない しかし 前回 2014 年の消費税率 3% の引き上げは それだけで8 兆円以上の負担増になり 家計にも相当大きな負担がのしかかった

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

IT 人材需給に関する調査 ( 概要 ) 平成 31 年 4 月経済産業省情報技術利用促進課 1. 調査の目的 実施体制 未来投資戦略 2017 ( 平成 29 年 6 月 9 日閣議決定 ) に基づき 第四次産業革命下で求められる人材の必要性やミスマッチの状況を明確化するため 経済産業省 厚生労働

2. 年金額改定の仕組み 年金額はその実質的な価値を維持するため 毎年度 物価や賃金の変動率に応じて改定される 具体的には 既に年金を受給している 既裁定者 は物価変動率に応じて改定され 年金を受給し始める 新規裁定者 は名目手取り賃金変動率に応じて改定される ( 図表 2 上 ) また 現在は 少


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2018年夏のボーナス見通し

鳩山政権の経済政策の効果

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1. キャッシュレスの現状と推進 1

企業中小企(2) 所得拡大促進税制の見直し ( 案 ) 大大企業については 前年度比 以上の賃上げを行う企業に支援を重点化した上で 給与支給総額の前年度からの増加額への支援を拡充します ( 現行制度とあわせて 1) 中小企業については 現行制度を維持しつつ 前年度比 以上の賃上げを行う企業について

( 参考 ) と直近四半期末の資産構成割合について 乖離許容幅 資産構成割合 ( 平成 27(2015) 年 12 月末 ) 国内債券 35% ±10% 37.76% 国内株式 25% ±9% 23.35% 外国債券 15% ±4% 13.50% 外国株式 25% ±8% 22.82% 短期資産 -

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

2019 年 3 月期決算説明会 2019 年 3 月期連結業績概要 2019 年 5 月 13 日 太陽誘電株式会社経営企画本部長増山津二 TAIYO YUDEN 2017

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

2. 改正の趣旨 背景税制面では 配偶者のパート収入が103 万円を超えても世帯の手取りが逆転しないよう控除額を段階的に減少させる 配偶者特別控除 の導入により 103 万円の壁 は解消されている 他方 企業の配偶者手当の支給基準の援用や心理的な壁として 103 万円の壁 が作用し パート収入を10

いずれも 賃金上昇率により保険料負担額や年金給付額を65 歳時点の価格に換算し 年金給付総額を保険料負担総額で除した 給付負担倍率 の試算結果である なお 厚生年金保険料は労使折半であるが 以下では 全ての試算で負担額に事業主負担は含んでいない 図表 年財政検証の経済前提 将来の経済状

2025年の住宅市場 ~新設住宅着工戸数、60万戸台の時代に~

証券市場から見た消費税引上げを巡る論点

平成23年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度(閣議了解)

< 参考資料 目次 > 1. 平成 16 年年金制度改正における給付と負担の見直し 1 2. 財政再計算と実績の比較 ( 収支差引残 ) 3 3. 実質的な運用利回り ( 厚生年金 ) の財政再計算と実績の比較 4 4. 厚生年金被保険者数の推移 5 5. 厚生年金保険の適用状況の推移 6 6. 基

NEWS 2020 速報 の一部を改正する法律案 REPORT 総会の様子 2025 GDP 3 02 vol

H28秋_24地方税財源

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平成 31 年度社会保障関係予算のポイント 頁 新 ( 平成 31 年 1 月 18 日閣議決定 ) 旧 ( 平成 年 12 月 21 日閣議決定 ) 1 平成 31 年度社会保障関係費の姿 平成 31 年度社会保障関係費の姿 ( 注 ) 年度 31 年度増 減 329, ,914 +1

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

今後のマクロ経済運営における重点課題 アベノミクスの成果今後の重要課題への対応今後 3 年の間に実現すべき経済財政の姿 戦後最長に届く景気回復 名目 GDP552.8 兆円 (218 年 4-6 月 ) リーマン前を上回る 87 兆円の設備投資 訪日外国人 159 万人 (218 年上半期 ) 雇用

短期均衡(2) IS-LMモデル

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資料 2 経済成長 発展について 平成 26 年 2 月 24 日内閣府

東急不動産ホールディングス 統合報告書2017 4th Chapter 価値創造への戦略

スライド 1

図 3 世界の GDP 成長率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas Piketty ホームページ 図 4 世界の資本所得比率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas P

資料9

研究開発投資にかかる政府目標 安倍政権が 新 3 本の矢 の 1 つとして掲げた 2020 年頃の名目 GDP600 兆円達成 の目標や 日本再興戦略 2016( 閣議決定 ) 等に基づく 今後 5 年間での民間企業の研究開発投資の対 GDP 比 3% 目標の達成には 民間企業の研究開発投資を年平均

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平成25年4月から9月までの年金額は

建設経済モデルによる建設投資の見通し

資料 1-2 中長期の経済財政に関する試算 ( 平成 29 年 7 月 18 日経済財政諮問会議提出 ) 本試算は 経済財政諮問会議の審議のための参考として 内閣府が作成し 提出するものである 内閣府

参考資料 1 約束草案関連資料 中央環境審議会地球環境部会 2020 年以降の地球温暖化対策検討小委員会 産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会約束草案検討ワーキンググループ合同会合事務局 平成 27 年 4 月 30 日

目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

第1章

「豊かで活力ある日本」の再生 【概略版】

Ⅰ 観光振興計画制定の背景 1 観光による地域振興 観光立国推進基本法 に基づき策定された 観光立国推進基本計画 の中で 観光立国の実現は地域経済の活性化 雇用機会の増大 国民の健康の増進 潤いのある豊かな生活環境の創造 国際相互理解の増進等の意義を有するものである と位置づけられています また 東

スライド 0

平成 23 年 3 月期 決算説明資料 平成 23 年 6 月 27 日 Copyright(C)2011SHOWA SYSTEM ENGINEERING Corporation, All Rights Reserved

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

資料 5 総務省提出資料 平成 30 年 12 月 21 日 総務省情報流通行政局

平成28年度企業主導型保育事業の助成決定について(第1回)

と考えられ 特に外国人観光客の増加が大きく寄与している 今後 沖縄の観光が持続的に成長していくためには 観光消費の拡大と外国人観光客の更なる市場拡大が必須であるが 国内外から多くの観光客を迎えるためには 観光関連産業従事者のホスピタリティマインドの底上げと外国語の対応能力の向上を行うと同時に 個別事

フィリピンだが 年とベトナムやネパールからの留学生による就労がとりわけ大幅に増加している ( 図表 3 4) 在留資格が留学であっても 滞在費を賄う等の目的で 平常は週 28 時間 夏季 冬季 春季休みの間は 1 日 8 時間まで働くことが可能であり 日本語学校で勉強しながら就労する留学

2018年4-6月期2次速報値 時系列表1

留意事項 ( 1) 賃金アップの方法 欄には 賃金の算定方法を下記から選択し記載してください 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 の場合は 1 賃金アップが 毎月決まって支払われる賃金 + 臨時に支払われる賃金 の場合は 2 賃金アップの方法 欄において 1の 毎月決まって支払われる賃金 を選

1 1. 課税の非対称性 問題 1 年をまたぐ同一の金融商品 ( 区分 ) 内の譲渡損益を通算できない問題 問題 2 同一商品で 異なる所得区分から損失を控除できない問題 問題 3 異なる金融商品間 および他の所得間で損失を控除できない問題

資料 ( 文部科学省 ) 第 2 回国と地方のシステム WG 御説明資料 平成 29 年 3 月 6 日スポーツ庁提出資料

金融政策決定会合における主な意見

月例経済報告

が実現することにより 利用希望者は認証連携でひもづけられた無料 Wi-Fi スポットについて複数回の利用登録手続が不要となり 利用者の負担軽減と利便性の向上が図られる 出典 : ICT 懇談会幹事会 ( 第 4 回 )( 平成 27(2015) 年 4 月 24 日 ) 2. 現状 日本政府観光局

最近の経済動向とデフレ脱却に向けた進捗

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

経済・物価情勢の展望(2017年7月)

2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

02_公表資料<厚生年金・国民年金の平成27年度収支決算の概要>

雇用の現状_季刊版2014年夏号

改正労働基準法

Transcription:

資料 5 強い経済 GDP600 兆円に向けて 平成 27 年 11 月 4 日 伊藤 元重 榊原 定征 高橋 進 新浪 剛史

アベノミクス第二ステージのマクロ経済の姿 (600 兆円経済の実現に向けて ) 民需主導の好循環を確立することにより 実質 2% 名目 3% 程度を上回る経済成長を目指し 6 00 兆円経済を実現する必要がある (GDP デフレーター上昇率は 1% を上回る ) 実質経済成長率については 供給面の強化により 従来 1% 以下とされる潜在成長率を 2% 程度に向上させる また 同時に 1 億総活躍に向けた少子高齢化等の構造問題への取組強化や TPP への積極的対応等により それに見合う需要増を実現する デフレ脱却への取組により これまで GDP デフレーターは 1% 程度上昇すると想定されてきたが 新興国の経済動向等を反映し原油等の価格上昇による交易条件の悪化が止まるとともに 産業 企業の新陳代謝が進み 新興国との価格競争から脱すること等により 交易条件が改善し GDP デフレーター上昇率は今後 1% を上回ると見込まれる 名目 GDP600 兆円に向けて ( イメージ ) 交易条件の変化と名目 GDP への影響 名目 GDP 600 兆円 程度 賃金 物価上昇 交易条件改善等 50 兆円弱 実質 GDP 増加分 60 兆円強 名目 GDP 491 兆円 (2014 年度 ) (2020 年度頃 ) 1% を上回る GDP デフレーター上昇率 潜在成長率を2% 程度に向上 名目 3% 程度を上回る成長 名目 GDP 成長率の推移 2012 年度 0.1% 2013 年度 1.8% 2014 年度 1.6% 2015 年 4-6 月期 2.3% ( 前年同期比 ) 2015 年度 ( 見通し ) 2.9% 2016 年度 ( 見通し ) 2.9% 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 (%) (2005 年 =100) 150 名目 GDPに対する交易利得の変化の割合交易条件 ( 右軸 ) -1.0 80 140 130 120 110 100-2.0 70 200001 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 ( 年度 )(4-6 月期 ) ( 備考 )1. 内閣府 国民経済計算 により作成 2. 名目 GDPに対する交易利得の変化の割合は ( 当年度の交易利得 - 前年度の交易利得 )/ 前年度の名目 GDP により算出 3.2015 年 4-6 月期分は前年同期比の計数 ( 備考 ) 名目 GDP 成長率の見通しは内閣府年央試算による 2 90

アベノミクス第二ステージの需要面 供給面への主な効果 < 需要面への主なプラス効果 > アベノミクス第二ステージの少子高齢化への対応 歳出改革を通じた公共サービス 関連サービスへの潜在需要の実現 子育て (0.3~1.5 兆円程度 ) 介護 (6~8 兆円程度 ) 健康増進 予防 (2~5 兆円程度 ) 賃上げに伴う消費増 賃金が名目 GDP 成長率並みに増加した場合 消費も同程度で伸び 60 兆円程度の増加 TPP の発効による輸出増等 ( 現行目標と実績 ) 農水産品輸出 1 兆円 (2014 年 :6,117 億円 ) インフラシステム受注 30 兆円 (2010 年 :10 兆円 ) 潜在力 意欲ある中堅中小企業等の輸出額を 2 倍 (2010 年 :3.7 兆円 ) 対内直接投資残高を 35 兆円へ倍増 (2012 年 : 17.8 兆円 ) 訪日外国人消費のさらなる拡大 訪日外国人数 :1,341 万人 (2014 年 ) 3,000~4,000 万人程度 (2020 年 ) 訪日外国人消費額 :2.0 兆円 (2014 年 ) 7~10 兆円程度 (2020 年 ) 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会に向けた需要拡大 ( 注 ) 開催年までの累計で 10 兆円超の建設投資の増加 企業が保有する現預金等を活用した経済の好循環の拡大 キャッシュアウトの現預金等に対する比率を中期的な平均まで引き上げることにより 10 兆円超の設備投資等の拡大 第一の矢希望を生み出す強い経済 民需の構造強化 TPP 第二の矢夢をつむぐ子育て支援 第三の矢安心につながる社会保障 < 供給面への主なプラス効果 > 2% 程度の潜在成長率の実現に向けて 人口減少 高齢化に伴う労働投入のマイナス寄与のプラス維持 少子高齢化への対応を通じた就業機会の拡大により 労働参加等が適切に進まないケースで 2020 年度までで 400 万人減少する可能性のある労働力人口を 500 万人程度拡大 生産性 (TFP) 上昇率の加速 第 4 次産業革命 産業 企業の新陳代謝 人材投資 規制改革等による TFP の伸び加速 TPP に伴う低生産性企業から高生産性企業への労働移動 ( 資源再配分 ) による生産性向上 資本ストックの増加 成長志向の法人税改革の早期完了 企業収益が確実に投資等へのキャッシュアウトに結びつく取組の推進による投資の増加 省力化 省エネ 環境対応投資の増加 ( 注 )1950 年 ~2009 年までの 188 か国のデータを分析し オリンピック開催国の GDP は 将来への見通しが好転し 積極的な投資が行われることなどにより 開催 10 年前から開催年までの累積で 10% 程度の押上げ効果があったとの研究もある 3

具体的取組に向けて GDP600 兆円の実現のための緊急対応について 以下の内容を含め とりまとめるべき 名目 GDP の伸びを上回る設備投資の促進 - 成長志向の法人税改革の早期完了 企業収益が確実に投資等へのキャッシュアウトに結びつく取組の推進 - 第 4 次産業革命や COP21 への対応を契機とした省力化 省エネ 環境対応投資の促進 - 規制改革による民間企業の投資機会の拡大 名目 GDP 成長率等の経済動向を踏まえた継続的な賃金及び最低賃金の上昇の実現 - 収益状況に見合った今冬のボーナスの引上げ - 来春の春季労使交渉に向けた経営方針における位置付け - 春季労使交渉を踏まえた来夏の最低賃金の引上げ 女性 若者 高齢者 (500 万人雇用促進 ) - 女性 若者の正規化支援 多様な働き方の促進 ( ワーク ライフ バランスの改善等 ) - 官民協力による女性の活躍に向けた配偶者控除 配偶者手当についての方向性の明確化 - 高齢者雇用のさらなる促進 (65 歳以上まで働ける企業の割合 72.5%(2015 年 ) の引上げ ) TPP を軸とした強い経済構造の構築 - 高生産性企業への労働移動促進 グローバル バリュー チェーンに向けた投資促進 - 農業の企業経営化 農地集約化の加速 ( 農地中間管理機構の取組の見える化 農地税制等の活用 ) - アジア太平洋地域の更なる広域連携 ( 日中韓 FT A RCEP FTAAP) 日 EU 経済連携に向けた取組の推進 内外の観光客数の増加に向けた取組 - ボトルネックの解消に向けた目標の明示 ( 宿泊施設 交通アクセス 受入体制等 ) とその実現に向けた官民協力によるハード ソフトインフラの充実 強化 ( 官民ファンド PPP/PFI 等の活用 ) - 観光産業の生産性向上に向けた取組の推進 4

( 参考 ) 試算方法と出典 アベノミクス第二ステージの少子高齢化への対応 歳出改革を通じた公共サービス 関連サービスへの潜在需要の実現 子育て (0.3~1.5 兆円程度 ): 保育所潜在需要 (20~100 万人 ) 一人当たり運営費 110 万円 学童保育の潜在需要 (30~145 万人 ) 一人当たり運営費 28 万円の合計 保育所 学童保育の潜在需要者の下限は今後の政府の整備枠 上限は 産業構造審議会新産業部会報告書 による 保育の一人当たり運営費は独立行政法人福祉医療機構による 学童の一人当たり運営費は学童保育の市場規模 ( 矢野経済研究所 ) と学童保育利用者数 ( 学童保育協議会 ) から算出 介護 (6~8 兆円程度 ): 高齢化による介護サービス利用者の拡大 (6~7 兆円程度 ) 介護周辺産業の市場拡大 (0.3~0.6 兆円程度 ) 高齢化による介護保険サービス市場の拡大は 酒井ほか (2015) 介護総費用の長期推計 京都大学経済研究所ディスカッションペーパーによる 介護周辺産業の市場拡大については 調査会社シードプランニングの予測 ( 介護予防 生活支援サービスの市場拡大 (2014 年から 2025 年で 0.62 兆円 )) の半分からほぼ全てが 2020 年に発現すると仮定 健康増進 予防 (2~5 兆円程度 ): シードプランニング インテージ 矢野経済研究所 OTC 協会 Fitness Business 経済産業省等の調査を集計すると直近の市場規模は 5 兆円程度 これらの調査による市場規模の将来推計より 2020 年頃の市場拡大の下限 (2 兆円 ) を算出 上限は日本再興戦略における健康増進 予防 生活支援関連産業の市場規模の目標 (2020 年に 10 兆円 ) から直近の市場規模を差し引いて算出 訪日外国人消費の増加 2015 年の訪日外国人観光客数は同年 10 月 ~12 月の前年比増加率が 1~9 月の累計の前年比増加率で推移すると仮定 2016 年以降の訪日外国人観光客数は 12009~2014 年の平均増加率 (14.6%) 又は 22004~2014 年の平均増加率 (8.1%) で増加することを仮定 一人当たり消費は 観光立国実現に向けたアクション プログラム 2015 及び 日本再興戦略 改訂 2015 にしたがい 訪日外国人観光客 2,000 万人を達成する 2016 年に 20 万円 ( 消費総額 4 兆円 ) となった後 世界経済成長率と日本の GDP デフレーター上昇率で増加すると仮定 2020 年東京オリンピック パラリンピック競技大会に向けた需要拡大 建設投資の出典は 三菱 UFJ モルガン スタンレー証券 (2013 年 9 月 ) 2020 年東京五輪が日本経済に与える影響 (10.1 兆円 : 公共投資 (5.3 兆円 ) 民間投資 (4.8 兆円 ) の合計 ) みずほ総合研究所 (2014 年 12 月 ) 2020 東京オリンピック開催の経済効果は 30 兆円規模に (13.7 兆円 : 施設整備費 (0.5 兆円 ) 投資拡大効果 (13.25 兆円 )) ( 注 ) の GDP 押上げ効果の出典は Bruckner and Pappa, News Shocks in the Data : Olympic Games and their Macroeconomic Effects, Journal of Money, Credit and Banking 47 (2015) pp1339-1367 企業が保有する現預金等のキャッシュアウトによる実需の実現 現預金等に対するキャッシュアウトの比率 (2015 年 4-6 月期 :0.46) が 2003 年から 2012 年の平均値 (0.55) に上昇すると仮定し 算出 現預金等に対するキャッシュアウトの比率の出典は 平成 27 年 10 月 16 日有識者議員提出資料 アベノミクスの第二ステージに向けて 5