中高層建築物に伴う建築紛争予防の基礎知識(H27.6改訂版)

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名前 第 1 日目 建築基準法 2 用途規制 1. 建築物の敷地が工業地域と工業専用地域にわたる場合において 当該敷地の過半が工業地域内であると きは 共同住宅を建築することができる 2. 第一種低層住居専用地域内においては 高等学校を建築することができるが 高等専門学校を建築する ことはできない

大谷周辺地区 及び 役場周辺地区 地区計画について 木原市街地 国道 125 号バイパス 役場周辺地区 (43.7ha) 美駒市街地 大谷周辺地区 (11.8ha) 地区計画の概要 地区計画とは住民の身近な生活空間である地区や街区を対象とする都市計画で, 道路や公園などの公共施設の配置や, 建築物の

旧(現行)


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和泉市の宅地開発における制度

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都市計画の概要

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目次 ( )

第 Ⅱ ゾーンの地区計画にはこんな特徴があります 建築基準法のみによる一般的な建替えの場合 斜線制限により または 1.5 容積率の制限により 利用できない容積率 道路広い道路狭い道路 街並み誘導型地区計画による建替えのルール 容積率の最高限度が緩和されます 定住性の高い住宅等を設ける

立川市絶対高さを定める高度地区指定に関する検討方針 平成 26 年 5 月 立川市 0

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指定標準 適用区域 建ぺい率 容積率 建築物の高さの最高限度 m 用途地域の変更に あたり導入を検討 すべき事項 ( 注 2) 1. 環境良好な一般的な低層住宅地として将来ともその環境を保護すべき区域 2. 農地等が多く 道路等の都市基盤が未整備な区域及び良好な樹林地等の保全を図る区域 3. 地区計

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[目 的]

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調布都市計画深大寺通り沿道観光関連産業保護育成地区の概要

目 次 1. 中高層建築物とは P1 2. 建築主が行わなければならない手続き P1 3. 近隣住民の範囲について P2 4. お互いの立場を尊重した話し合い P2 5. 開発事業のお知らせ が設置されたとき P3 6. 建築主側より説明を受けたとき P3 7. あっせん P4 8. 調停 P4 9

第1号様式(第9条第1項関係)

絶対高さ制限を定める高度地区についてのQ&A

都市計画変更素案に関する説明会 建築規制の変更に関する説明会 特定整備路線補助 29 号線 井 東 込区間 (JR 横須賀線 区界 ) 沿道 日時 : 平成 29 年 8 3 ( ) 場所 : 品川区 伊藤 学校 前方右側に手話通訳者を配置しております 必要な方はお近くの席にお移り願います 1 本日

地区計画の届出とは

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3 騒音に関する規制 (1) 騒音規制法 ア特定工場に関する規制 ( ア ) 規制地域の種別 a 規制区域の種別 第 1 種区域第 2 種区域第 3 種区域第 4 種区域 良好な住居の環境を保全するため 特に静穏の保持を必要とする区域 住居の用に供されているため 静穏の保持を必要とする区域 住居の用

立川基地跡地昭島地区に関する 都市計画素案説明会

目次 方針策定の背景 1-1. 用途地域指定の基本的な考え方 1-2. 住居系 [ 第一種低層住居専用地域 ] [ 第二種低層住居専用地域 ] [ 第一種中高層住居専用地域 ] [ 第二種中高層住居専用地域 ] [ 第一種住居地域 ] [ 第二種住居地域 ] [ 準住居地域 ] [ 田園住居地域 ]

( 対象区域 ) 第 5 地区計画の対象区域は 工業団地 ( 国母工業団地 南部工業団地 機械金属工業団地 ファッション工業団地 ( アリア ディ フィレンツェ ) をいう 以下同じ ) の区域内及び隣接地又は近接地 ( おおむね工業団地から500メートル以内 ) とする ( 区域の設定 ) 第 6


鹿嶋市都市計画法の規定による市街化調整区域における

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第 2 章建築の基礎知識 第 1 章では 都市計画法を中心に 一定の範囲や広域的な観点から設けられたまちづくりのルールを解説しました 第 2 章では まちづくりの中でも 建築物の建築 に焦点を当てて それに関するルールを解説します 1 建築基準法 皆さんは 庭など敷地にゆとりがあり 頑丈で 部屋には

都市計画法に基づく手続きの予定スケジュール 岩手県事前協議 平成 8 年 5 月 ~7 月 住民説明会 平成 8 年 8 月 9 日 都市計画案の縦覧 ( 意見書の提出期間 ) 平成 8 年 9 月 5 日 ~9 月 0 日 釜石市都市計画審議会 平成 8 年 0 月中旬 岩手県本協議 平成 8 年

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□高度地区見直し案

エ建替え後の建築物の絶対高さ制限を超える建築物の部分の水平投影面積の合計は 現に存する建築物又は現に建築の工事中の建築物の絶対高さ制限を超える建築物の部分の水平投影面積の合計を超えないこと オ建替え後の建築物の絶対高さ制限を超える建築物の部分の水平投影部分の形状は 現に存する建築物又は現に建築の工事

地区計画パンフレットP.1

1. 目的 本町の第 3 次総合計画において 本町の将来像である ( みんなが主役 やすらぎと健康福祉のまち ) の実現に寄与すべく 本町の市街化調整区域における地区計画の運用にかかる基本的な方針を示すため 市街化調整区域における地区計画運用指針 ( 以下 運用指針 という ) を策定しました この

東京都市計画高度地区変更(練馬区決定) 【原案(案)】

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中央区建築物の解体工事の事前周知に関する指導要綱

用途地域変更の考え方 ( 素案 ) 1 駅 駅前広場 アクセス道路沿道の土地利用の促進 駅 北側沿道 25m 以内及び沿道南側街区を近隣商業地域へ変更 18

(2) 届出内容の確認方法について 建築計画内容を確認するために 委員会でチェックしやすい届出の 様式を作成しておくと便利です チェックしやすい様式としてチェックシートがあります 建築協定で定めている建築物に関する基準の項目を一覧表にし 建築主や代理者が建築計画の内容を記入できるものにしましょう 数

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Ⅰ 用途地域指定の基本方針 1 用途地域別 市街地像 と指定の基本方針 1 2 境界の設定 4 3 用途地域見直しの時期 5 4 その他の地域地区や地区計画の活用 6 Ⅱ 用途地域の指定基準 第一種低層住居専用地域 7 第二種低層住居専用地域 9 第一種中高層住居専用地域 11 第二種中高層住居専用

金沢都市計画地区計画の変更

メニュー36 あなたが家を建てるとき

2 種類の用途地域のイメージ図 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域 低層住宅の良好な環境を守るための地域です 小規模なお店や事務所をかねた住宅や小中学校などが建てられます 主に低層住宅の良好な環境を守るための地域です 小中学校などのほか m2までの一定のお店など

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つがる市小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備建設に関するガイドライン 平成 29 年 11 月 15 日公表 1 目的本ガイドラインは つがる市 ( 以下 市 という ) において小形風力発電 (20kW 未満 ) 設備及び設備建設に伴う送電線等の付帯設備 ( 以下 小形風力発電設備等 という

(2) 路地街区 ア路地街区の内部で 防火性の向上と居住環境の改善を図るため 地区施設等に沿った建築物の高さの最高限度及び壁面の位置の制限を定めることにより 道路斜線制限を緩和し 3 階建て耐火建築物の連続した街並みを形成する イ行き止まりの路地空間では 安全性の確保のため 2 方向の避難を目的とし

東京都市計画用途地域の変更 ( 東京都決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する ( 中野区分 ) 種類面積容積率建ぺい率 第一種低層住居専用地域 第 二 種 低層住居 専用地域 /10 15/10 4/10 5/10 外壁の後退距離の限度 建築物の敷

再販入札⇒先着順物件調書

5-1から3許可・不許可

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平方・中野久木物流施設地区

区域の整備 開発及び保全に関する方針地建築区物等整に関備する計事項画地区計画ガイド八日市出町地区 八日市出町地区 地区計画の内容 名称八日市出町地区地区計画 位 置 金沢市八日市出町の一部 面積地区計画の目標土地利用の方針建築物等の整備方針 約 10.7 ha 本地区は 市中心部の南西約 4kmに位

1 目的 建築基準法第 68 条の 5 の 5 第 1 項及び第 2 項に基づく認定に関する基準 ( 月島地区 ) 平成 26 年 6 月 9 日 26 中都建第 115 号 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 68 条の 5 の 5 第 1 項 及び第 2

目 次 流山インターチェンジ北部物流センター地区地区計画計画書 1P 流山インターチェンジ北部物流センター地区地区計画計画図 3P 流山インターチェンジ北部物流センター地区地区計画運用基準 4P 地区整備計画の運用について 運用基準の解説 5P 6P (1) 建築物等の用途の制限 6P (2) 建築

表1-表4-2

目次 Ⅰ 運用基準の策定にあたって P1 1 策定の目的 P1 2 運用基準の位置づけ P1 Ⅱ Ⅲ 土地利用のあり方 P1 地区計画の活用 P2 1 地区計画とは P2 2 地区計画の活用類型 P2 (a) 地域資源型 P3 (b) マスタープラン適合型 P3 (c) 街区環境整序型 P3 (d)

別紙 40 東京都市計画高度地区の変更 都市計画高度地区を次のように変更する 面積欄の ( ) 内は変更前を示す 種類面積建築物の高さの最高限度又は最低限度備考 第 1 種 約 ha 建築物の各部分の高さ ( 地盤面からの高さによる 以下同じ ) は 当該部分から前面道路の反対側の境界線 高度地区

新しいまちづくりのために

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はじめに

区域の整備 開発及び保全の方針地区整備計画 久世荒内 寺田塚本地区地区計画 名称久世荒内 寺田塚本地区地区計画 位置城陽市久世荒内 寺田塚本及び平川広田 面積約 22.1ha 建 築 物 等 に 関 す る 事 項 地区計画の目標 土地利用の方針 地区施設の整備方針 建築物等の整備方針 地区の区分

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(案)


日影許可諮問(熊野小学校)

筑豊広域都市計画用途地域の変更 ( 鞍手町決定 ) 都市計画用途地域を次のように変更する 種類 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域 面積 約 45ha 約 29ha 建築物の容積率 8/10 以下 8/10 以下 建築物の建蔽率 5/10


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スライド 1

一団地認定の職権取消し手続きの明確化について < 参考 > 建築基準法第 86 条 ( 一団地認定 ) の実績件数 2,200 ( 件 ) 年度別 ( 住宅系のみ ) S29 年度 ~H26 年度 実績件数合計 16,250 件 用途 合計 ( 件 ) 全体 17,764 住宅系用途 16,250

第2章

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(2) 騒音 振動の防止対策 1 工場 事業場の規制基準工場 事業場の騒音及び振動は 騒音規制法 振動規制法及び静岡県生活環境の 保全等に関する条例によって規制されており 市長 ( 平成 23 年度までは県知事 ) が生活環境を保全する必要があるとして指定した地域内にあって 騒音や振動の発生が著しい

目次建築紛争の解決のために... 2 建築に関する法規制について... 2 (1) 公法上のルール... 2 (2) 私法上のルール... 3 建築計画から使用開始までの基本的な流れ... 4 自主的な解決に向けて... 5 話し合いで解決できないときについて... 6 建築紛争において主に問題とな

目 次 平方北部物流施設地区地区計画計画書 1P 平方北部物流施設地区地区計画計画図 3P 平方北部物流施設地区地区計画 地区整備計画 の内容の解説 4P (1) 建築物等の用途の制限 5P (2) 建築物の敷地面積の最低限度 6P (3) 建築物等の高さの最高限度 6P (4) 壁面の位置の制限

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新千里西町B団地地区地区計画

建築基準法第 43 条第 2 項第 2 号の規定による許可の同意の取扱い基準 平成 18 年 6 月 1 日東広島市建築審査会 建築基準法 ( 以下 法 という ) 第 43 条第 2 項第 2 号の規定により許可を行う場合, 次 に定める基準のいずれかに該当する建築物の敷地については, 建築審査会

( 趣旨 ) 第 1 条この条例は, 建築基準法 ( 昭和 25 年法律第 201 号 以下 法 という ) 第 50 条及び第 52 条第 5 項の規定により, 周辺環境との調和のとれた斜面地建築物の敷地の利用を図り, もってその周辺における良好な居住環境の確保に資するため, 斜面地建築物の階数に

(4) 対象区域 基本方針の対象区域は市街化調整区域全体とし 都市計画マスタープランにおいて田園都市ゾーン及び公園 緑地ゾーンとして位置付けられている区域を基本とします 対象区域図 市街化調整区域 2 資料 : 八潮市都市計画マスタープラン 土地利用方針図

公津西地区地区計画運用基準

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地区計画とは 地区計画とは 土地や建築物の所有者など地区の皆さんが合意を図りながら道路や公園などの配置 建築物の用途 容積率 高さ 色やデザイン等のルールをきめ細かく定め そのルールに基づいて建築行為等を行うことにより より良いまちづくりをすすめる手法のひとつです 地区の特性に応じて必要な項目を選択

線路敷 河川道路敷地道路久留米市建築確認申請の手引き (2016 年版 ) 制限の緩和等 ( 公園 水面 線路敷 道路 等 )(2/4) 関係条文法第 2 条第 1 項第六号 令第 20 条第 2 項 法第 42 条第 2 項 法第 53 条第 3 項第二号 市細則 17 条 令第 134 条 令第

○新宿区ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例

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案の理由書 1 南大浜地区本地区は石垣島の南部に位置し 字大浜 字真栄里 字平得の3 字を含み 用途地域が指定されている市街地の東側に隣接する地区です 本地区は 農振農用地区域が除外されたことにより 農業的土地利用と都市的土地利用が混在し 道路 公園 下水道等の都市基盤整備が不十分なまま無秩序な開発

日本橋・東京駅前地区

資料 1-6 認知症高齢者グループホーム等に係る消防法令等の概要 1 消防法令の概要 主な消防用設備等の設置基準消防用設備等の種別消火器屋内消火栓設備スプリンクラー設備自動火災報知設備消防機関へ通報する設備誘導灯 設置基準規模 構造にかかわらずすべて延べ面積 700 m2以上延べ面積 275 m2以

Transcription:

中高層建築物に伴う 建築紛争予防の基礎知識 < 建築紛争 Q&A> 建築部宅地課

はじめに 建物は 建築関係法令の範囲内であれば建築主の創意工夫の下に自由に計画し 建築することができます しかしながら 建物によっては 日照の阻害やプライバシーの問題 更には工事中の騒音 振動等 近隣に対し少なからず影響を及ぼすことが考えられ 建築主と近隣住民との間に紛争が生じることがあります このような時 どのように対応すればよいのかわからないといった方々も多いと思います そこで 建築主の権利をはじめとして 建築紛争を防ぐために知っておきたい基本的な事柄をまとめてみましたので みなさんの参考になれば幸いです

目 次 ページ建物を建てる場合の法的規制等 1 1. 公法上の規制 2. 行政指導 3. 私法上の規制 建築紛争の位置付け 3 建築紛争の予防 4 1. 計画の周知 2. 建築計画などの概要説明を受ける 3. 要望の申し入れについて 4. 建築主側との話し合い 5. 協定書 覚書 建築紛争となりやすい内容と対策例 7 1. 日照の阻害 2. 眺望の阻害 3. プライバシー対策 4. 電波障害 5. 風害 6. 建物の設備 7. 工事中に関すること 建築紛争の調整 11 1. 相談について 2. 調整制度について 土地 建物に関する基本的な法知識 12 1. 用途地域 2. 用途制限 3. 高さ制限 皆さんが望む街づくりのために 15 1. 地区計画制度 2. 建築協定制度 参考資料 16 解体工事等に関する届出について

建物を建てる場合の法的規制等 建物を建てる場合の法的規制としては 都市計画法や建築基準法等の公法上の規制と 民法による私法上の規制とに分けることができます 1. 公法上の規制 建築主は 建築にあたっては建築確認申請書を建築主事に提出し 建築基準法に伴う公法上の規制に適合しているかどうかの審査を受ける必要があります 建築確認申請書が提出されると 建築主事は建物の用途や建ぺい率 容積率 斜線制限 構造 設備の内容等が法令に適合しているかどうかを法定期間内に審査し 適合していれば確認済証の交付を行います その後 建築主は建築工事に着手できることとなります なお 平成 10 年の建築基準法の改正により 建築確認申請の審査業務は市だけでなく 国土交通大臣又は都道府県知事が指定する民間の指定確認検査機関においても行えることとなり 現在では マンションなど中高層建築物を建築する建築主の多くがこの制度を利用し 民間の指定確認検査機関において建築確認を行っております (1) 都市計画法都市としての機能を十分発揮させ 各地域にふさわしいまちづくりを誘導するため 都市計画で次の事項が定められています 市街化区域と市街化調整区域 用途地域 ( 建築物の用途 建ぺい率 容積率 ) 高度地区 ( 建築物の高さの制限 ) 風致地区ほか (2) 建築基準法都市計画で定められた用途地域などに応じて建物の形態や用途が規制されているとともに 建物の構造や設備などの制限が定められています ( 主なものは下記のとおりです ) 建築物の用途制限 建築物の規模の制限 ( 建ぺい率 容積率 ) 建築物の高さの制限 ( 道路斜線 隣地斜線 北側斜線 天空率 ) 日影による中高層の建築物の高さの制限 ( 第 56 条の 2) 道路幅員及び敷地と道路の関係 構造 設備 材料など建築物自体の安全性 防災等にかかる基準 1

非適合市の調整制度民事裁判2. 行政指導 船橋市では 公法上の規制以外にも都市計画法に基づく開発許可を必要とする建物や 3 階建て以上の共同住宅 ( 敷地面積が 500 m2以上のもの ) また 一定規模以上のワンル - ム共同住宅を建てる建築主に対し 要綱の中で施設整備基準や建築の基準を設け行政指導を行っております 3. 私法上の規制 公法上の規制を守っているからといって 私法上も問題ないとは限りません 私法上の規制には 民法第 234 条 ( 隣地との離隔 ) 同第 235 条 ( 目隠し ) 同第 709 条 ( 不法行為責任 ) など相隣関係について利害調整を目的とした規定がありますが こうした民法上の規定は建築確認申請における審査事項ではないからです したがって これらの問題は当事者間の話し合いによって解決していただくことが基本となります 公法上の規制 建築確認申請 市又は指定確認検査機関 ( 民間 ) が審査 法律上の規制 都市計画法建築基準法消防法など 是 正 適 合 確認済通知 工事着工 建築物の規制 私法上の規定は審査の対象外 条例 要綱による行政指導 私法上の規制 民 法 当事者間の話し合い 解 決 成立 不成立 判 決 2

建築紛争の位置付け法令に違反する建物は別として 近隣住民のみなさんと建築主との利害の衝突の結果生じる 建築紛争 は 民事上の紛争であり 当事者間の話し合いによって解決していただくことが基本となります 市では 近隣住民のみなさんからの要望等を伝えるとともに 話し合いの継続などについて建築主に指導しておりますが 建築主と近隣住民のみなさんが 互いに自己の権利や意見だけを主張される結果 話し合いによる解決ができなくなる場合もあり こうした場合 最終的には民事裁判など 司法の場で解決することとなります 3 建築主が中高層建築物を建てるときの市への手続きの流れと近隣住民の対応近隣住民建築主市への手続きお知らせ看板の設置説明結果の報告建築確認申請建築確認済通知を受けた後に工事着工少なくとも 30 日前に設置近隣住民の対応説明を受ける近隣住民への建築計画の概要説明建築主との話し合い決裂市の調整制度解決決裂民事裁判解決

建築紛争の予防 船橋市では 建築紛争の予防と調整を図るため 船橋市環境共生まちづくり条例 ( 第 4 章 ) により 建築主に 計画の周知 を義務づけるとともに 建築紛争解決のため 調整制度 を設けております 1. 計画の周知 船橋市環境共生まちづくり条例に該当する中高層建築物を建てる建築主に対し 次のことを義務づけています 標識 ( お知らせ看板 ) の設置 一定の範囲内に居住する方々への建築計画の周知 ( 説明 ) 市ヘの報告 Q 条例に該当する中高層建築物とは? A 環境共生まちづくり条例に該当する中高層建築物とは 建築基準法に規定する建築物で 高さが 10 メ - トルを超えるもの又は地上階数が 3 以上のものをいいます ただし 地上階数が 3 で 高さが 10 メ - トル以下の専用住宅は除いております Q 一定の範囲内とはどのような範囲をいうのか? A 1. 中高層建築物の敷地境界線から当該建築物の高さの 2 倍の水平距離の範囲内に居住する者及びその範囲内にある土地又は建築物を所有する者 2. 冬至日において 中高層建築物により午前 8 時から午後 4 時までの間に日影を生じる範囲内で 当該建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からその高さの 2.5 倍の水平距離の範囲内に居住する者及びその範囲内にある土地又は建築物を所有する者 3. 中高層建築物による電波障害の影響を著しく受けると認められる者 Q 近隣住民への建築計画の周知はいつ行われるのか? A 環境共生まちづくり条例では 建築確認の申請しようとする少なくとも 3 0 日前には標識の設置を行うと共に 近隣住民への説明を行い市へ報告するよう求めています 4

2. 建築計画などの概要説明を受ける 船橋市では 船橋市環境共生まちづくり条例第 4 章 の中で建築主に対し 近隣のみなさんに建築計画の概要説明をするよう定めています 通常 こうした説明は 建築主から委任を受けた代理人 ( 建設会社 設計事務所など ) が行うケ - スが多いと思われます 説明を受けた際や後日 資料を見てわからない点は遠慮なく質問されることが大切です Q 資料がポストに投函されていたが 説明したことになるのか? A 市では 建築主に対し 3 回以上訪問しても不在で直接説明できない場合や土地等の所有者で市外にお住まいの方々には 資料を投函する方法や郵送する方法で計画の周知をするよう指導しております わからない点については 投函された資料に記載されている連絡先に連絡を取り説明を受けてください 5

3. 要望の申し入れについて 近隣への影響の内容や程度など 建築主に質問した上で要望があれば申し入れをしてください この場合 問題点を整理しできるだけ具体的な要望にした方がいいでしょう 特に説明会の場で要望をされる場合には あらかじめ住民のみなさんだけで集まり 要望内容を整理しておくことが大切となります また 建物の基本計画の変更を求める要望だけでなく 細部の変更や配慮を求める要望も同時に出された方がいいでしょう 話し合いをスムーズに進めるために お互いに文書でやりとりしていただくことも心がけて下さい お住まいの位置 ( 方角 ) で要望も異なります 住民全体での話し合いを希望 される場合には まず初めに 住民同士で話し合い 要望を整理することがと ても重要です その後 話し合いに臨まないと 説明会がまとまらないばかりか かえって住民同士のトラブルに発展するケ - スもありますので注意が必要です 4. 建築主側との話し合い 話し合いにおいて主張が対立し平行線になることもしばしばあります ただ 要望の実現のためにはお互いの歩み寄りが必要となりますので 一方的な主張にならないよう相手の立場も考慮し 譲り合いの精神をもって話し合うことが大切です 話し合いを継続したいときには 話し合いの最後に次の日程を調整するようにしましょう Q 建物を建築する際には 近隣住民の同意が必要ですか? A 条例で近隣住民への説明を義務付けていますが 同意までは求めていません また 建築確認申請の手続きにあたって近隣住民の同意を義務づけた規定はありません 5. 協定書 覚書 話し合いの結果 近隣住民の方々と建築主との間で約束事などができる場合があります 言葉のやりとりだけでは後々トラブルが起こることもありますので 話し合いが整った場合には 工事協定書 や 覚書 など文書にしておくことが大切です 6

建築紛争となりやすい内容と対策例 住まいの近くにマンションなどの計画が出たことにより みなさんはいろいろな事を心配されると思いますが 事例の多いものを下記にまとめましたので参考にしていただければと思います なお 対策例 として記載している内容は 建築主に対して法令上義務づけのあることではなく あくまで建築主の自主的な任意の行為として考えられることを例示したにすぎません 1. 日照の阻害 建築基準法では 日影規制の基準が定められており これを守ることは当然のことですが 計画されている建物や周辺の建物の状況により 日照阻害の問題が生じないとは限りません いわゆる 日照権 については 法律上では明文化されておりませんが 日照阻害が社会生活を営む上でお互いに我慢しあう程度 ( 受忍限度 ) を超えているとして裁判上保護されたケ - スもあります 日照阻害が受忍限度を超えているかどうかの判断は 一般に被害の程度 地域性 公的規制違反の有無 被害回避の可能性等を考慮してなされています 対策例 建物の高さを低くする 建物の配置を変える 北側をひな壇にする 建物の幅を縮める このようなケースの場合は 住まいの方角によっても影響が変わ りますので 事前にみなさんで話し合い 意見を整理することが必要 です 2. 眺望の阻害 眺望の阻害については 今まで得てきた眺望をマンション等の建築物で阻害されたからといって直ちに眺望利益の侵害にあたるわけではなく 眺望を阻害される方にとってその眺望が特別の価値をもつと社会通念上 認められる場合だけ法的に保護されるという考え方です 景勝地などで眺望利益が認められたケ - スはありますが 一般的に住居からの眺望について法的保護を求めることは難しいのが現状です 7

3. プライバシー対策 誰しものぞかれているのではないかと思いながら生活するのは嫌なものです 敷地境界に近接して建物が建てられる場合 窓 開放廊下 屋外階段 バルコニー等と周辺住戸との関係からプライバシー侵害の問題が発生する恐れがあります プライバシー保護については民法に規定がありますが お互いが了承すれば必ずしもこれに従わなくてもよく また その地域に それと異なる慣習があれば 慣習に従うこととされています 対策例 建築する建物の開放廊下 屋外階段等に目隠しパネルを設置する 建築基準法 消防法等で設置できないケ - スもあります 建物の開口部 ( 窓等 ) を無くしたり 小さくする 建築基準法上の採光規制などで対応できないケ - スもあります 窓ガラスを半透明なものにする 建築する敷地内に植栽をする 避難経路の確保などで対応できないケ - スもあります 近隣住民側の建物に目隠し対策をする Q&A 参考 ( パネル カ - テン ブラインド等の設置 ) Q 敷地境界線から 80 cm位の所に設置した出窓が私の家の居間と向かい合う形になり プライバシ - を侵害されるのではないかと心配しています 目隠しをするよう要求できますか? A 民法第 235 条には 敷地境界線から 1m 未満のところに窓や縁側 ( ベランダを含む ) を設けるときは 目隠しを付けなければならない と規定しています Q 敷地境界線から 50 cmの距離でマンション計画があり困っています こんな近い距離の建築は可能なのですか? A 民法第 234 条では 建物を建てる場合は敷地境界線より 50 cm以上離さなければならない と規定しています また 建築基準法 ( 第 65 条 ) では 防火地域又は準防火地域では 外壁が耐火構造のものについては 隣地境界線に接して設けることができる としています いずれの場合も これと異なる慣習があれば 慣習に従うこととされています 8

4. 電波障害 中高層建築物の建築に伴いテレビ放送受信などに電波障害が発生する場合があります 平成 23 年 7 月 24 日から移行した地上デジタル放送は アナログ放送に比べてビルなどの建造物で反射した電波によってゴースト障害が発生しないため 電波障害が大幅に改善されるとされていますが それでもまったく電波障害がないとは言い切れません 一般的に受信障害発生の原因である建築物の建築主の責任と負担で対策を行っています 対策例 建築する建物の屋上などに共同受信アンテナを設置し 障害を受ける建物までケ - ブルを引く 取り替え工事にかかる費用負担や日常の維持管理などについて 覚書などを交わす ケ - ブルテレビへの加入など 共同受信アンテナやケ - ブルは 年数の経過や災害などで取り替えが必要になります 基本的に共同受信アンテナから各戸の保安器までは受信障害発生の原因となっている建築物の建築主の責任と負担で維持管理を行います また 家屋軒先に設置される保安器の出力端子からテレビまでの屋内配線部分については, 受信者の責任と負担で維持管理を行います 平成 27 年 9 月以降は総務省 放送局などにお問合せください また 総務省のホームページでご確認ください 5. 風害 マンションなどが近くに建つということで 風による家屋等への影響を心配される方もいらっしゃると思います そして 建築主に対して風害の予測調査や影響についての説明を求めるケ - スがありますが 実際の風は 地形や周辺の建物の配置 形状 規模などによって大きく左右されることから影響の予測は大変難しいといわれています 対策例 計画建物の周囲に風を防ぐための植栽をする ビル風が原因で家屋等に被害が出た場合の補償等について工事協定書に盛り込むなど 9

6. 建物の設備 機械室 ポンプ室 機械式駐車場など建物の設備から発生する騒音 振動やゴミ置き場の位置 対策例 設備を壁で囲う 低騒音型の機械装置にする 設置場所を離す 近隣住民側の建物等に防音対策をするなど このようなケースの場合は 住まいの方角によっても影響が変わりますので 事前にみなさんで話し合い 意見を整理することが必要です 7. 工事中に関すること マンションなどの場合は工事期間も長く その間 近隣住民のみなさんは工事上の影響 ( 迷惑 ) を受ける可能性があります お互い様では片付けられない問題が発生しないとも限りません そこで 作業時間 工事車両の運行経路 警備員の配置 騒音や振動 家屋の損傷 電波障害 ほこりやごみの飛散 作業員の規律などの対策について 請負の施工会社などに確認しておくことが大切です 対策例 工程表の掲示や配付をする 工事車両の待機場所を確保する 警備員を配置し 車両や通行人を誘導する 低騒音 低振動型の機械を使用する 事前の家屋調査 ( 写真などによる記録 ) の実施及び万一被害が発生したときの対応方法の取り決め Q&A 参考 防音壁 防塵ネットを設置する ほこりやごみの飛散防止のために散水や作業後の清掃を行う 被害対策について 上記の内容などを約束事として文書にした 工事協定書 や 覚書 を結ぶ方法もあります Q 家の壁にひび割れがあり 工事の影響によるものではかいかと思われます 直してもらうよう要求できますか? A 民法第 709 条には 故意又は過失によって他人の権利を侵害した者は そのことによって生じた損害を賠償する責任がある と規定しています ただし 損害を証明するには工事が行われる前に家屋調査などを実施し 工事に起因するひび割れであるとの証明が必要と考えます 10

建築紛争の調整 1. 相談について 中高層建築物の建築に伴って生じる日照の阻害 プライバシー対策や工事中の騒音や振動 建築行為に関する法律的な見解等について弁護士など 第三者に相談できます 毎週水曜日から金曜日 13:00 から 16:00( 予約制 ) 弁護士など 第三者への相談時間は 1 時間程度です 市役所 6 階宅地課内相談室 ( 定員 3 名程度 ) 2. 調整制度について 近隣住民と建築主の間で十分話し合ったにもかかわらず 解決が困難になったような場合 船橋市では弁護士や学識経験者などで構成された第三者による あっせん 調停 制度を設けております ただし 裁判所のような強制力はありません Q どのようなことでも相談や調整ができるのか? A 調整できる内容は 日照の阻害のほか プライバシー対策や工事中の問題など 近隣居住環境に及ぼす影響により生じる近隣居住者と建築主との間の民事に係る紛争を対象としております ただし 以下の問題に関しては対象としておりません 船橋市環境共生まちづくり条例 に該当しない中高層建築物 建築工事における補償の問題 ( 金銭補償 営業補償 迷惑料等 ) 生活行為に係る問題 ( 音楽騒音 ゴミ問題 路上駐車等 ) 不動産売買におけるトラブル 解体工事に係る問題 11

土地 建物に関する基本的な法知識 建物は様々なル - ルに基づいて建てられています 自分の住んでいる地域にはどのような種類の建物が建てられるのか また どの位の規模の建物が建てられるのかといったことを知ることは トラブル防止のためにも非常に大切なことです 広範囲に及ぶこれらのル - ルをすべて理解することは容易ではありませんが ここでは一般的な知識として知っておきたい基本的なル - ルを主に記載させていただきました 1. 用途地域 市街化区域には 都市計画法により用途地域が定められています 建物を建てようとする場合 その土地がどの用途地域に含まれているかにより建物の用途が制限されます また 用途地域の指定にあわせて建ぺい率と容積率の限度が定められています 建ぺい率とは 建物の建築面積の敷地面積に対する割合のことをいいます 建ぺい率 = 建築面積 / 敷地面積 100% 容積率とは 建物の延べ面積の敷地面積に対する割合のことをいいます 容積率 = 延べ面積 / 敷地面積 100% 用途地域建ぺい率 (%) 容積率 (%) 第一種低層住居専用地域 40 50 80 100 150 第一種中高層住居専用地域 60 200 第二種中高層住居専用地域 60 200 第一種住居地域 60 200 第二種住居地域 60 200 300 準住居地域 60 200 近隣商業地域 80 200 300 商業地域 80 400 500 600 700 800 準工業地域 60 200 300 工業地域 60 200 工業専用地域 50 60 200 お問い合わせ : 都市計画課 047-436-2524 12

2. 用途制限 地域の特性に応じた土地の合理的利用と住環境の保全を図るために それぞれの地域ごとに建築できる建物の用途 規模などを制限しています 概要は次の表のとおりです 用途地域第一種低層住居専用地域第二種低層住居専用地域第一種中高層住居専用地域第二種中高層住居専用地域第一種住居地域第二種住居地域準住居地域近隣商業地域商業地域準工業地域工業地域工業専用地域 用途規制概要低層住宅の良好な環境を守るための地域です 小規模なお店や事務所を兼ねた住宅や小中学校などが建てられます 主に低層住宅の良好な環境を守るための地域です 小中学校などのほか 150m2までの一定のお店などが建てられます 中高層住宅の良好な住環境を守るための地域です 病院 大学 5 00m2までの一定のお店などが建てられます 主に中高層住宅の良好な住環境を守るための地域です 病院 大学などのほか 1,500m2までの一定のお店や事務所などが建てられます 住居の環境を守るための地域です 3,000m2までの店舗 事務所 ホテルなどは建てられます 主に住居の環境を守るための地域です 店舗 事務所 ホテル パチンコ屋 カラオケボックスなどは建てられます 道路の沿道において 自動車関連施設などの立地と これと調和した住居の環境を守るための地域です 近隣の住民が日用品の買い物をする店舗等の業務の利便の増進を図る地域です 住宅や店舗のほかに小規模の工場も建てられます 銀行 映画館 飲食店 百貨店 事務所などの商業等の業務の利便の増進を図る地域です 住宅や小規模の工場も建てられます 主に軽工業の工場等の環境悪化の恐れのない工業の業務の利便を図る地域です 危険性 環境悪化が大きい工場のほかは ほとんど建てられます 主として工業の業務の利便の増進を図る地域で どんな工場でも建てられます 住宅やお店は建てられますが 学校 病院 ホテルなどは建てられません 専ら工業の業務の利便の増進を図る地域です どんな工場でも建てられますが 住宅 お店 学校 病院 ホテルなどは建てられません お問い合わせ : 建築指導課 047-436-2673 13

3. 高さ制限 建築基準法では日照 通風 採光等を考慮し 用途地域に応じた建物の高さ制限を定めています 高さの制限には 大きく別けて 最高の高さの制限 斜線による制限 と 日影規制 の 3 つがあります 1 最高の高さの制限 ( 絶対高さ ) 第一種低層住居専用地域 第二種低層住居専用地域 ( 船橋市にはありません ) では 低層住宅の良好な住環境を保護するため 原則として 10m を超える建物は建てられません 1 斜線による制限用途地域ごとに道路及び隣地等の境界線から一定の勾配の斜線の内側に建物を収めることにより高さを制限するもので 北側斜線制限 隣地境界制限 道路斜線制限 高度地区制限などがあります 1 日影規制日影規制は 良好な住環境を図るため 建築敷地の隣地の日照を保護するための制限です これは 中高層建築物を建てる場合に その建物によって生ずる日影を一定時間以上にわたってその敷地境界線から一定の距離を超える範囲に生じさせてはならないという制限です その制限の内容は次のとおりです 日影時間 地区規制を受ける建築物 平均地盤面からの高さ 容積率 (%) 高度地区 敷地境界線から5mを超え10m 敷地境界線から10m を超える部 以内の部分 分 第一種低層住居専用地域 軒高 7m を超え又は地上階数が 3 以上 1.5m 80 3 時間 2 時間 100 150 4 時間 2.5 時間 第一種 第二種中高層住居専用地域 高さが 10m を超えるもの 4m 200 一種高度 3 時間 2 時間 200 二種高度 4 時間 2.5 時間 第一種住居地域第二種住居地域準住居地域 同上 同上 200 一種高度二種高度 4 時間 2.5 時間 200 5 時間 3 時間 300 5 時間 3 時間 近隣商業地域準工業地域 同上 同上 200 一種高度 4 時間 2.5 時間 200 二種高度 5 時間 3 時間 その他の地域 日影規制はありません お問い合わせ : 建築指導課 047-436-2673 14

皆さんが望む街づくりのために みなさんが望む街づくりのためには 住民が話し合いその地域にあったルール作りをする必要があります そこで都市計画法では 地区計画 制度を 建築基準法では 建築協定 制度を定めています 1. 地区計画制度 地区計画は生活に密着した身近な計画で 町丁や街区など一定のエリア あるいは共通した特徴を持つ地域ごとに 住民 ( 土地や建物の所有者など ) が主役となって 話し合い 考えを出し合いながら地区住民全員の合意の下 地区の実情に応じた計画を作っていく制度で 魅力ある商店街の形成を目的とするものや住宅地の環境を守るものなど さまざまな地区計画が考えられます 地区住民の協力を得て 市が運営する法的な制度です 具体的なル - ルを決め 強力に街づくりを進める制度です 土地や建物のル - ルだけでなく 道路 公園などの公共施設を含んだ総合的な計画ができます お問い合わせ : 都市計画課 047-436-2524 2. 建築協定制度 地域の特性に応じた良好な環境を維持増進するために 地域の方たちが自主的に話し合い 一定の建築のル - ルを定めて運営していく制度です 建築協定は 住民 ( 土地の所有者 借地権者 ) 全員の合意によって協定区域を定め 建築基準法 の制限よりも厳しい規制をしようとするために結ばれるもので その性格は 私法的な契約であるといえます 地区住民の代表による運営委員会を組織して運営する制度です 私法的な契約である建築協定に一定の効力を与え 協定の安全性と継続性を建築基準法が保障しようとするものです その区域内の土地所有者や借地権者による取り決めであり 道路や公園などの公共施設を所有する市や県はこの協定には参加いたしません お問い合わせ : 建築指導課 047-436-2672 15

参考資料 解体工事等に関する届出について 船橋市では 建築物の解体工事等を行う場合 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 ( 建設リサイクル法 ) による届出が必要となります 又 重機を使用して解体工事等を行う場合には 騒音規制法 振動規制法 船橋市環境保全条例 による届出が必要となります なお 石綿 ( アスベスト ) を使用した建築物の解体工事等を行う場合 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 ( 建設リサイクル法 ) による事前調査 事前措置が必要となり 吹き付け石綿を使用している場合には 大気汚染防止法 による届出が必要になります 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律 ( 建設リサイクル法 ) 一定規模以上の建築物や土木工作物の解体工事 新築工事等については 適正な分別解体等及び再資源化等の実施を確保するため 工事の事前届出 ( 届出書 分別解体等の計画等 ) や標識の掲示などが義務付けられています なお 工事の事前届出については 工事着手の 7 日前までに届け出る必要があり 標識については 工事着手までに掲示する必要があります また 建築物の解体等に伴う石綿 ( アスベスト ) 等有害物質等の適切な処理が必要なことから 解体等施工前の調査 措置が義務付けられています お問い合わせ : 建築指導課 047-436-2674 建設作業に伴う法令等の規制 特定建設作業を行う場合には届出が必要になります 対象となる建設作業 ( 作業を開始した日に終わるものを除く ) くい打 くい抜機/ びょう打機 / インパクトレンジ / さく岩機 / 空気圧縮機 / 舗装版破騒音規制法規制基準違反改善勧告及び命令砕機 / ブレーカー / ブルドーザー パワーショベル バックホウその他これらに類する振動規制法整地機又は掘削機 / 振動ローラを使用する作業船橋市環境保全条例届出義務 ( 工事開始 7 日前までに ) コンクリートプラント又はアスファルトプラントを設けて行う作業 鋼球を使用して建築物その他の工作物を破壊する作業 吹き付け石綿が使用されている建築物の解体等に関する規制 大気汚染防止法 に基づき 吹き付け石綿を使用している建築物の解体又は改造に伴う石綿の大気環境中への飛散の防止について 特定粉じん排出等作業に対する規制が行なわれ 作業基準が定められています 特定粉じん排出作業 ( 作業開始の 14 日前までに ) 届出義務 作業基準 注文者の配慮 計画変更命令 基準遵守義務 基準適合命令等 お問い合わせ : 環境保全課 047-436-2452 16

< お問い合わせ先 > 船橋市役所建設局建築部宅地課相談係 ( 電話 :047-436-2695) ( メール :takuchi@city.funabashi.lg.jp) なお 下記の船橋市ホームページにおいて 中高層建築物に伴う建築紛争の予防と調整 に関する事項がご覧になれます http://www.city.funabashi.chiba.jp/