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Transcription:

計測自動制御学会東北支部第 291 回研究集会 (2014 年 10 月 23 日 ) 資料番号 291-12 断熱回路技術を用いた 低消費デジタル PWM 制御回路の設計 Design of low-power digital PWM circuit with adiabatic dynamic CMOS logic 鈴木暖 ( 山形大学 ), 阿部啄也 ( 山形大学 ), 澤田直樹 ( 山形大学 ), 水沼充 ( 山形大学 ), 横山道央 ( 山形大学 ) Dan Suzuki, Takuya Abe, Naoki Sawada, Mitsuru Mizunuma, Michio Yokoyama 山形大学,Yamagata University キーワード : 回路 (adiabatic dynamic CMOS logic circuit), CMOS(Complementary metal-oxide-semiconductor), PWM(pulse width modulation) 連絡先 : 992-8510 山形県米沢市城南 4-3-16 山形大学大学院理工学研究科応用生命システム工学専攻横山道央 Tel: 0238-26-3315, E-mail:yoko@yz.yamagata-u.ac.jp 1. 研究背景 目的室内照明器具は白熱電球または蛍光灯だが近年 節電や省エネの観点から LED 照明に関心が集まっている LED は長寿命 低消費電力 小型化可能といった長所がある しかし LED 照明にはまだ無駄がありシステム全体を通した低消費電力設計はあまりなされていない 本研究は LED 照明システムの調光制御部であ る デジタル PWM 回路に断熱回路技術を適用し低消費電力化することを目指す 回路には 逆流防止ダイオードがあるため回路としての面積が従来の CMOS 回路に比べ大きくなってしまう欠点がある そこでもう一つの目的として 回路の逆流防止ダイオードのゲート幅 W を小さくすることで回路の小面積化を目指す 1

2. 2.1 回路について (adiabatic dynamic CMOS logic) 回路 ( 図 1) は断熱回路技術と電荷の再利用によ り従来の CMOS 回路 ( 図 2) より低消費電 力化された回路である 断熱回路技術と は電源電圧を一定の傾きで変化させるこ とにより 回路の抵抗にかかる電圧を抑 えつつ電流を流し エネルギー消費を抑 えることである これについては電源に 三角波を利用することで実現可能である 電源部とアース部の両方に逆流防止ダイ オードを配置しアース部にも電源に接続 する そのため 充放電に用いた電荷を 回収し再利用することができる しかし アース部も電源に接続しているため出力 が電源の影響を受けやすくなる それに 従い 電圧保持容量 C0 が必要である (1,2,3,4) 2.2 断熱動作条件 回路を断熱的に動作させるためには 電源電圧に対する入力電圧を同期させる必要がある 断熱動作した場合を図 3 に 非断熱動作した場合を図 4 に示す 図 3 より 断熱動作をさせるためには 出力電圧 VOUT と電源電圧 V φ の電位差が小さいときに入力電圧 VIN を変化させる必要がある それにより出力電圧 VOUT は電源電圧 V φ に追従するように切り換わり そのとき MOSFET に掛かる電圧 VR は小さくなる それにより低消費電力になる 出力電圧 VOUT と電源電圧 V φ の電位差が大きいときに入力電圧 VIN 変化させると 図 4 のように出力電圧 VOUT は CMOS 回路と同様に急激に充電を行うため断熱動作条件を満たせず MOSFET に掛かる電圧 VR は大きくなり 動作と消費電力は CMOS 回路に近くなる 図 1: 回路 ( 例 :_NOT) 図 3: 各部電圧波形断熱動作条件 図 2:CMOS 回路 ( 例 :CMOS_NOT) 図 4: 各部電圧波形非断熱動作条件 2

3.PWM 調光について PWM( パルス幅変調 ) とは パルス波の Duty 比を変化させ変調することである そして PWM 調光とは PWM を利用し 点灯時間と消灯時間を制御することで明るさを調整することである 本研究では LED 調光に PWM 調光回路を用いる 3bit-PWM 回路 ( 図 5) を CMOS 及び で設計し Spice による解析を行った PWM 回路は NOT NAND 2 入力 NAND と 3 入力 NAND で構成されたエッジトリガ型 D-FF( 図 6) で構成されている この回路は 0% 33% 66% 100% の 4 段階調光が可能である Vdd/2 で動作させるためである 従来の 回路では設計の簡易さから論理動作部とダイオード部共に同じ W/L 比の MOSFET を用いて設計を行っていた そこで本研究では 従来の 回路の逆流防止ダイオードのゲート幅 W を小さくすることで回路の小面積化が可能ではと考え設計した 新しく設計したダイオードはシミュレーションを行ううえでの設計限界である値を採用した 表 1:MOSFET の W/L 比 新従来 論理動作部 W/L[um] ダイオード部 W/L [um] 従来 8.2/0.18 8.2/0.18 PMOS 新 8.2/0.18 0.42/0.18 NMOS 従来 2/0.18 2/0.18 新 2/0.18 0.42/0.18 図 5:3bit-PWM 回路図 6:D-FF( 立ち上がりエッジトリガ型 ) 4. _ 回路の逆流防止ダイオードを縮小した回路設計従来の 回路では 表 1 の W/L 比を用いて設計している その理由は デジタル回路としての論理動作の閾値を 5. 小型化したダイオードを適用してのレイアウト設計 5.1 レイアウト設計についてダイオードのゲート幅を小型化した新 _PWM 回路のレイアウト設計のため PWM 回路を構成する NOT 2 入力 NAND 3 入力 NAND のレイアウトを小型化したダイオードを用いて設計した レイアウトを設計するために LVS と RC 抽出を行った LVS とはレイアウトと回路図を比較し レイアウトが回路図と等価かどうか判断することである RC 抽出とはレイアウト上に存在する抵抗と静電容量を抽出することである そしてレイアウト設計した従来型回路と小型化した新たな回路での面積 動作を比較した 5.2 NOT 3

作製した新 _NOT と 従来の _NOT の比較レイアウト図を図 7 に示し ダイオードのゲート幅 W と面積を表 2 に示す さらに面積比較をグラフとして図 8 に示した シミュレーション条件を表 3 に動作を図 9 に示す ダイオードを小さくすると _NOT の面積は 45.67 % 削減できることが確認できる 図 9 より新 _NOT は従来の _NOT と同等の動作をしている事が確認できる 図 8:_NOT 面積比較 表 3:_NOT シミュレーション条件 種類 初期値 パルス 立ち上がり 立ち下がり 周期 値 IN 矩形波 1.8 0 2 2 5500 三角波 0 1.8 250 250 500 電源 NOT 図 7: レイアウト図 ( 左 : 従来 _NOT 右 : 新 _NOT) 表 2:_NOT 新従来の比較 新従来 ダイオード Wp/Wn[um] 面積 [um 2 ] 面積削減率 [%] 従来 8.2/2 88.44 新 0.42/0.42 47.876 45.87 図 9:_NOT 動作 ( 上図 : 従来の _NOT 下図 : 新 _NOT) 5.3 2 入力 NAND 作製した新 _2 入力 NAND と 従来の _2 入力 NAND の比較レイアウト図を図 10 に示し ダイオードのゲート幅 W と面積を表 4 に示す さらに面積比較をグラフとして図 11 に示した シミュレーション条件を表 5 に動作を図 12 に示す ダイオードを小さくすると _2 入力 NAND の面積は 45.95 % 削減できることが確認できる 図 12 より新 _2 入力 NAND は従来の _2 入力 NAND と同等の動作をしている事が確認できる 4

表 5:_2 入力 NAND シミュレーション条件 種類初期値パルス立ち上がり 立ち下がり 周期 値 [us] INA 矩形波 1.8 0 2 2 5500 INB 矩形波 1.8 0 2 2 11 10 3 三角波 0 1.8 250 10 3 250 10 3 500 電源 2 入力 NAND 図 10: レイアウト図 ( 左 : 従来 _2 入力 NAND 右: 新 _2 入力 NAND) 表 4:_2 入力 NAND 新従来の比較 新従来 ダイオード Wp/Wn[um] 面積 [um 2 ] 面積削減率 [%] 従来 8.2/2 108.259 新 0.42/0.42 58.516 45.95 図 12: _2 入力 NAND 動作 ( 上図 : 従来の _2 入力 NAND 下図 : 新 _2 入力 NAND) 5.4 3 入力 NAND 作製した新 _3 入力 NAND と 従来の _3 入力 NAND の比較レイアウト図を図 13 に示し ダイオードのゲート幅 W と面積を表 6 に示す さらに面積比較をグラフとして図 14 に示した シミュレーション条件を表 7 に動作を図 15 に示す ダイオードを小さくすると _3 入力 NAND の面積は 40.95 % 削減できることが確認できる 図 15 より新 _3 入力 NAND は従来の _3 入力 NAND と同等の動作をしている事が確認できる 図 11:_2 入力 NAND 面積比較 5

表 7:_3 入力 NAND シミュレーション条件 種類 初期値 パルス 立ち上がり 立ち下がり 周期 値 [us] INA 矩形波 1.8 0 2 2 5500 INB 矩形波 1.8 0 2 2 11 10 3 INC 矩形波 1.8 0 2 2 22 10 3 三角波 0 1.8 250 10 3 250 10 3 500 電源 図 13: レイアウト図 ( 左 : 従来 _3 入力 NAND 右: 新 _3 入力 NAND) 表 6:_3 入力 NAND 新従来比較 新ダイオード面積面積 図 15: _3 入力 NAND 動作 ( 上図 : 従来の _3 入力 NAND 下図 : 新 _3 入力 NAND) 3 入力 NAND 従来 Wp/Wn[um] [um 2 ] 削減率 [%] 従来 8.2/2 124.036 新 0.42/0.42 73.247 45.95 6. 3bit-PWM 回路 6.1 面積推定 3bit-PWM 回路は NOT が 1 個 2 入力 NAND が 24 個 3 入力 NAND が 3 個で構成されているので PWM の面積を次のように推定することができる NOT+2 入力 NAND*24+3 入力 NAND*3 =3bitPWM (1) 結果 PWM の面積は表 8 と図 16 のようになる 表 8:_PWM 面積比較 図 14:_3 入力 NAND 面積比較 面積 (um 2 ) 面積 削減率 [%] 従来の 3058.758 PWM 新 PWM 1671.996 45.34 6

図 16:_PWM 面積比較 6.2 シミュレーション 3bit-PWM をシミュレーションを用いて評価をした CMOSPWM 従来の _PWM 新 _PWM を回路図データからシミュレーションした シミュレーションにはトランジスタモデルは 0.18um 標準 CMOS モデルを用い Hspice 使用し 入力は (input3 input2 input1) を 111 110 101 100 011 010 001 000 で変化するように設定した シミュレーション条件を表 9 動作を図 17( 新 _PWM の動作を CMOSPWM と比較するために CMOS バッファを挿入した動作も載せる ) 消費電力を表 10 に示す 図 17 より新 _PWM は CMOSPWM と同等の動作が可能である 表 10 より CMOSPWM より従来の PWM 従来の PWM より新 PWM の方が低消費電力であることを確認した 表 9: シミュレーション条件 種類 初期値 パルス値 立ち上がり 立ち下がり 周期 [us] CLK 矩形波 0 1.8 2 2 330 三角波 0 1.8 15 10 3 15 10 3 30 図 17:PWM 動作 ( 上から 1:CMOSPWM 2: 従来の _PWM 3: 新 _PWM 4: 新 _PWM に CMOS バッファを通した波形 ) 表 10:PWM 消費電力 CMOSPWM 従来の 新 PWM PWM 消費電力 [nw] 14.3 8.07 6.44 7. 結論 回路の逆流防止ダイオードのゲート幅 W を小さくしても PWM 回路としての動作が可能である それによりダイオードを小型化したものを _PWM 回路のレイアウトに適用した場合 45.34% の面積削減が見込まれる 8. 展望従来の _PWM より新しく設計した _PWM の方が低消費電力であったので ダイオードのゲート幅と消費電力の関係を調査する ダイオードを小さくした場合の PWM 回路のレイアウトを作成する その後 実際に IC を作製し評価を行う 電源 7

参考文献 (1) 一ノ瀬昇, 中西洋一郎 次世代証明のための白色 LED 材料, pp5-52 2010. (2)A.G. Dickinson and, J.S. Denker, Adiabatic Dynamic Logic, IEEE J. solid-state Circuits, vol. 30, no.3, pp.311-315, March 1995. (3)A. Kramer, J.S. Denker, S.C. Avery, A.G. Dickinson, and T.R. Wik, Adiabatic Computing with the 2N-2N2D Logic Family, 1994 symposium on VLSI circuits digest of technical papers, pp.25-26, 1994. (4)Y. Moon, Student Member, and D.K. Jeong, Member, An Efficient Charge Recovery Logic Circuit, IEEE J. Solid-State Circuits, vol.31, no.4, pp514-522, April 1996. (5) 安田裕佑 低消費電力断熱的論理回路の研究 平成 21 年度修士学位論文 (6) 西村雅美 断熱論理回路を用いた LED 証明回路システムの開発 平成 21 年度卒業論文 (7) 西村雅美 断熱回路を用いた低消費電力 LED 証明システムの研究 平成 23 年度修士学位論文 (8) 趙勝一 断熱的論理回路を利用した低消費電力照明システムの研究 平成 23 年度学位論文 8