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知的生産性研究委員会 08.03.17 資料 8 3. 知的生産性研究委員会 建築空間部会の活動報告 部会長 : 宗本順三 ( 京都大学 ) 目 次 1. 部会の目的と活動方針 1-1. 部会の目的 1-2. 研究内容 1-3. 方法 1-4. アウトカム 2. 研究内容の概要 2-1. 研究部会の活動 2-2. 設計事例の収集 2-3. 研究事例の収集 2-4. 街づくりの事例 2-5. 執務空間の変遷と生産性向上への試行例 3. 今後の課題と活動方針 3-1. 知的生産性と空間要素 人間行動 仕事場 の関係のデータベースの構築 3-2. 仕事場 の行動活性化評価をもちいた空間性能評価手法の提案 3-3. 知的生産性を向上させる建築空間の各種計画法 設計知識の提案 3-4. 知的生産性を向上させるファシリティマネシ メント手法の提案 4. 部会委員名簿 1

1. 建築空間部会の目的と活動方針 1.1 部会の目的知的生産性の基礎的研究の成果を具体的な建築空間に反映させたワークプレイス ( 仕事場 ) の計画方法の研究と実践的な設計に向けた設計知識の収集 空間の提案 ファシリティマネシ メント方法の研究を行う 1.2 研究内容 (1) 国内外の文献を調査し 建築空間計画が知的生産性に与える影響を整理する (2) 国内外の設計事例の調査を行い 事例収集と空間を評価する手法を検討する (3) 仕事場 における人間行動 心理と知的生産性を向上させる建築空間を検討する (4) 知的生産性を向上させる建築環境の各種計画技術 マネジメント技術を検討する 1.3 方法 (1) 国内外の各種文献 論文を基に既往研究を調査し 知的生産性と空間要素 人間行動の関係を整理する (2) 仕事場 における行動活性化評価をもちいた空間性能評価手法を検討する (3) 仕事場 における人間行動と空間性能のモニタリングを検討する (4) 知的生産性を向上させる建築空間の各種計画法 ファシリティマネシ メント手法を検討する 1.4 アウトカム (1) 知的生産性と空間要素 人間行動 仕事場 の関係のデータベースの構築 (2) 仕事場 の行動活性化評価をもちいた空間性能評価手法の提案 (3) 知的生産性を向上させる建築空間の各種計画法 設計知識の提案 (4) 知的生産性を向上させるファシリティマネシ メント手法の提案 2. 研究内容の概要 2.1 研究部会の活動今年度は実質 5ヶ月程度の期間で ワークプレイスに関する設計事例および研究事例の収集を行い 本部会の研究の方向性と期待する成果を定めた 計 6 回の部会を開催し 毎回各委員による委員報告や 外部から招いた講師による講義を受け 質疑討論を行った 2.2 設計事例の収集知的生産性と空間要素 人間行動 仕事場 の関係のデータベースの構築に向けた設計事例の資料収集については 事務所 研究所について 歴史的にエポックとなった事例 世界的にトップクラスの研究所の事例 事務所建築の事例 コンバージョンや改修によって生み出された新しい空間の事例などの収集を行ってきた ( 表 1) さらに 次年度には一層のデータの充実と これらの事例の分析から 生産性向上や快適性の向上に向けた先進的な試みや設計上の工夫などの抽出を行うとともに データの再活用のためのデータベースの構築に取り掛かる 2

表 1. 設計事例 参考事例キーワード事例歴史的なエポック ラーキンビルとなった事例 ジョンソン ワックス本社 ジョンディアカンパニー西棟 ソーク研究所 オフィスや建築の空間や機能で画期的な提案 研究所 研究開発 (R&D) のための建築事例 事務所建築事例 役所 公共建築事例 コンバージョン 改修事例 技術的提案 ソーク研究所 スタンフォード大学 Genzyme Center オムロン京阪奈イノベーションセンター 大成建設技術センターリニューアル 海外のラボアワードの受賞作品他 コメルツ バンク本社 竹中工務店東京本社屋 New York Times Headquarters OMX, ストックホルム DEGW ルフトハンザ航空 Aviation Center リーボック本社 日建設計本社ビル The Riverside Development 他 Ministry for the Environment Post Tower 立川市役所計画案 TBWA 博報堂 ( ボーリング場の改修 ) アスクル ( 倉庫の改修 ) KI ビルリニューアル 大成建設技術センターリニューアル 知的生産性事前評価 VR システム 知的生産性評価 T-PALET 空間高度利用 RFID システム事例 バイオ系の研究施設において画期的な事例が多い 事務所空間におけるさまざまな提案 役所の事務空間におけるさまざまな提案コンバージョンや改修による新しい空間の提案生産性向上 快適性の向上技術 2.3 研究事例の収集部会において調査した研究事例の概要を示す (1) オフィスの知的生産性の定義 ( 知的生産性 )=( 知的生産物 )/( コスト ) と表されることが多い 知的生産性を研究する際 大きく分けて組織の知的生産性と個人の知的生産性がある 組織の知的生産性は コミュニケーションの量や SECI モデル ( 一橋大学 野中教授による知的創造プロセスモデル ) などの代替指標により計測される場合がある (2) モニタリング技術の事例ワーカーの知的創造性を把握するのに まず行動を把握し行動から行動パターンやワーク 3

スタイルを把握する 行動を把握するには TV モニター アンケートなどの主観評価法などあるが 人間の行動をシームレスに捉えてエビデンスを得るには センサーネットワークによるモニタリング技術の確立が最も優れている しかしこの技術は 未だ開発途上にある 以下にその事例を示す 1 日立 : ビジネス顕微鏡 UWB 位置検知センサー ( モニタリング技術 ) 2 MIT:PlaceLab( 次世代の住居のテクノロジーの実験 ) 3 インテル : 行動を認識するプラットフォーム ( 複合センサーにより行動を推論 ) 4 IBM: プレゼンスの機能 ( 人間行動と空間情報をITに付加する試み ) (3) N ビルのワークプレイス整備事例ワークプレイス整備の目的は 1Collaborate( 対話型 協調型ワークスタイルへの転換 ) 2Branding( 顧客へのブランディング )3Create( 知識生産を行い 価値を創造する場 ) の3つのコンセプトからなる N ビル社内コンペ実施の一等案を基に あるフロアの一部をパイロットオフィスとして実験的に家具レイアウトを変更した [ 変更前 ] [ 変更後 ] 図 1 ワークプレイスの整備図 ワークプレイス改革により期待される成果として下記の事項が挙げられた 1) コミュニケーションの活性化 2) 情報及び知識共有が図りやすい環境を提供 3) 生産性 モチベーションの向上による斬新なアイディアを創出 4) 開放的なワークスペースとレセプションエリアの融合による顧客へのブランディングの提唱 5) 社内の各部門の成果をPR 6) リフレッシュできるスペースを提供 7) 能力の高い人材を維持 獲得 2.4 街づくりの事例個々の事務所建築を単独に改善してゆく方法に加えて 多くの事務所建築の集積するオフィスセンターとしての丸の内の街づくりからのワーカーの支援と価値創造の事例について調査した 4

以下にその概要を示す (1) テナントの業種 業態構成の変化 1) 製造業が過半を占めていた構成から均等な構成へ 2) 過半を占めていた企業集団群が 20% 以下になった 3) 金融 保険 サービス ( プロフェッショナルファーム ) の増加した 4) 外資企業の急増している (2) ワーカーの求める就業環境 1) 交通の利便性 セキュリティ 治安 街の清潔さ 生活サービス機能の重要性が高い 2) 食事環境 ビル内の執務環境の満足度向上が必要 (3) ワーカーが期待する街の機能 1) フードコート リーズナブルな定食屋に次いで 医療機関 図書館の要望が大きい 2) 金融 サービス 外資は 学びの場 リフレッシュルーム 共用会議室の要望も高い (4) マネジメント層の想定したワークスタイルの変化 (2000 年頃 ) 1) ワークスタイル 1 製造業は業態別の発想からサービス業の発想へ変化する 2 企業は事業単位組織へ分化し 戦略的役割 合理的行動を強めて行く 3 コア業務の遂行に必要な人材の獲得 育成 囲い込みが重要になる 4 異業種提携が進み アライアンス 金融プロフェッショナルの重要性が高まる 2) インタラクション ( 企業間交流 付加価値創造の動き ) 1 同種 同質集団から 異種 異質の交流へ 2 新陳代謝を促進するオープン型の交流へ 3 共創型の交流へ ( 少数 短期 高密 ) 4 外資 / 日本企業 大企業 / アタック企業 東京 / 地方 産 / 学 3) 場の価値 1 情報の収集 交換 人の交流 能力向上の場と機能確保が期待される 2 時間価値の有効活用 ノンストレス オン オフを問わないビジネスコミュニティ (5) 場の価値創造のフレームワーク多くの事務所建築の立地する場としての丸の内の場の価値創造 ( ブランド化 ) の方法としてフレイムワーク ( 図 2) を以下に示す 5

合理的属性 立地 ビルとファシリティ 企業集積 質 付加価値サービス 情緒的価値街の特徴 一流の 最先端の 安心な 先進的な 若々しい 勢いがある 合理的便益 移動の優位性 コミュニティ情報 オープンなネットワーク 情緒的便益 ステータス 信用 高感度 ゲスト イベント対応 誇り 帰属感図 2 場の価値創造のフレームワーク 2.5 執務空間の変遷と生産性向上への試行例ワークプレイスとしての事務所空間の変遷と生産性向上に向けた様々な試みの潮流を 1990 年代から調べた 充分に整理されていないが その変遷を以下にその項目を列挙する (1) オフィス改革の背景 オルタナティブオフィス 非定住化 従来は明確であった場所と人の関係が曖昧 希薄 特定の場所を必要としない ワーカーが移動し 目的に応じて複数の場所を使用する (2) 変容するワークスタイルの支援 ITにより多様なワークスタイルが可能になる 場所に拘束されず ものを動かす必要が減り コスト削減にも資する 例 :DEC Site, Sweden, 1992. (3) ワークステーションの標準化仕事の道具がPC 中心になる ワークステーションの標準化は 効率性だけでなくフラットでオープンな組織への変革にも繋がる ユニバーサルプラン など 例 :Boots The Chemists, UK, 2000. (4) ワークセッティングの多様化様々な用途別空間を選んで使い分ける アクティビティ セッティング 外出の多いプロフェッショナルワーカーを対象に ノンテリトリアル オフィス 仕事の内容やスケジュールに合わせて空間やサービスを予約する ホテリング など 例 :KPMG, Sweden, 1998 (5) リモートワークプレイスの拡大ワーカーの活動範囲がオフィス空間の外に広がる パブリックスペースにネットワークインフラが整備されるようになり 都市の中に サードプレイス 的なワークプレイス群が生まれる ワークシーンとライフシーンが重なる 空港 公園 カフェなど (6) ビジネスシステムの変化と空間資源の再編オフィスが大きな柔軟性を獲得し 多様になるにつれ 各企業の経営戦略に密接に関わる 6

ようになる オフィス変革が大規模 急速に行われるようになり ユニークで大胆なソリューションも求められるようになる (7) オンライン型ビジネスシステムへの適応金融機関の店舗とスタッフが減り コールセンターとオンラインの顧客サービススタッフが増えるなど オンライン型ビジネスシステムが拡大した 従来とは違ったスキルを持った ハイテク系人材の活動の場が業種を超えて拡大した (8) 行動変化に応じた空間機能の再配分仕事の内容や空間は 個人 (Solo) から集団 (Group) へ 定型 (Routine) から適時 (Ad hoc) へ 専用 (Assigned) から共用 (Shared) へと移行する オフィス内の仕事は よりコラボレイティブな創造作業が中心となる 例 :Herman Miller, USA, 2002. (9) チーム支援空間の構築多様なメンバーが参加するプロジェクトチームのために コミュニケーションを活性化する空間が求められる セキュリティを保ちながらアクセスしやすいプロジェクトルーム アイデアの共有を促す仕組み バーチャルなコミュニケーションチャネルの導入 アウェアネス情報の活用など 例 :Sony Design Center, USA, 2004. (10) サービスオフィスの拡大 空間を長期間貸すことによって賃料収入を得るオフィス から 空間からサービスまで 利用したメニューや時間に応じて柔軟に課金するサービスオフィス へ 例 :64 Knightsbridge, UK, 2002 (11) ワークプレイスポートフォリオの再構築複数のビジネスシナリオを考慮しながら それらのワークプレイス選択肢の多様な組合せの可能性を検討 評価し 継続的に最適化のための見直しと組み替えが可能なポートフォリオとしてのワークプレイス戦略が取られる (12) 集う拠点の再構築働き方の自由度が更に高まり それぞれが個別のワークライフバランスのニーズに応じた場所や時間の選択肢を持つとき 分散して出会いや交流の機会が少なくなる人々同士の間にも情報や成果の蓄積と共有を促し 価値観や考え方の共有を促すオフィスが重要になる 例 :Interpolis, The Netherlands, 2003. (13) 触発するワークプレイスへ創業時のワークスタイルを象徴するテーブルを持つオフィス空間など ワーカーの行動を触発し 意識の共有を助け 新たな知識の交換を促すことによって ダイナミックな反応を促す触媒としての可能性を持つオフィスへ 例 :Mother, UK, 2004. 3. 今後の課題と活動方針今年度の到達点と次年度に向けた活動の方針について述べる 3.1 知的生産性と空間要素 人間行動 仕事場 の関係のデータベースの構築知的生産性と空間要素 人間行動 仕事場 の関係のデータベースの構築に向けた設計事例の資料収集については 2.2 設計事例の収集で述べているように 事務所 研究所について 7

事例などの収集を行ってきた 次年度は これらに加えて一層の資料の収集を行うとともに これらの国内外の事例を実地にて調査し その内容を確認する予定である また 国内外の各種文献 論文を基に既往研究を調査し 知的生産性と空間要素 人間行動の関係の整理を行っている この部分については さらに他の部会と協力してデータベース化を進める 3.2 仕事場 の行動活性化評価をもちいた空間性能評価手法の提案今年度は 主として空間のレイアウトの提案や配置と行動が 知的生産性に影響していることを調べるのに センサーネットワーク関係の技術を中心に調べた 次年度は 各種の助成金を得て これらを開発しているメーカーと共同で 実空間に適用してワーカーの行動計測を行う予定である これにより 仕事場 における行動活性化評価を用いた空間性能評価手法を検討する 3.3 知的生産性を向上させる建築空間の各種計画法 設計知識の提案今年度は これらの研究事例を調査した 次年度においても研究事例の調査は継続するが 上記 3.1 知的生産性と空間要素 人間行動 仕事場 の関係のデータベースと 3.2 仕事場 の行動活性化評価を用いた空間性能評価手法の提案と平行して 主として次年度に取り組む予定である 3.4 知的生産性を向上させるファシリティマネシ メント手法の提案今年度は これらの研究事例を調査した 次年度においても研究事例の調査は継続するが この主題は 上記 3.2 知的生産性を向上させる建築空間の各種計画法 設計知識の提案の後に 仕事場 における人間行動と空間性能のモニタリングを行いながら 主として3 年次で取り組む予定である 4. 部会委員名簿 ( 部会長 幹事 委員 ( 五十音順 )) 部会長宗本順三 ( 京都大学 ) 幹事松下大輔 ( 京都大学 ) 幹事徳本幸男 ( 竹中工務店 ) 委員池田芳樹 ( 日本 FM 推進協会 ) 委員恵良隆二 ( 三菱地所 ) 委員岡田洋司 ( 日本設計 ) 委員川口晋 ( 大林組 ) 委員小比賀一史 ( 日建設計 ) 委員田名網雅人 ( 鹿島建設 ) 委員仲隆介 ( 京都工芸繊維大学 ) 委員野澤正光 ( 野澤正光建築工房 ) 委員平倉章二 ( 久米設計 ) 委員森川泰成 ( 大成建設 ) 8