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GMP 制度の導入による飼料の安全確保に関する枠組みの見直し ( 案 ) 平成 26 年 6 月 24 日農林水産省消費 安全局畜水産安全管理課 目次 1. 飼料安全をめぐる最近の情勢 2. 飼料の安全確保の枠組みの見直し 全体概要 3. 枠組みの見直し1 事業者による管理の徹底 4. 枠組みの見直し2 指導基準のあり方 5. 枠組みの見直し3 監視のあり方 6. 期待される効果 7. 見直し後の飼料の安全確保の枠組み 8. 今後のスケジュール

1. 飼料安全をめぐる最近の情勢 (1) 安全確保の枠組みの変化 食の安全確保に関する国際的な考え方 フードチェーンアプローチ生産から消費までの全段階において 安全管理を徹底 リスク分析リスク評価 リスク管理 リスクコミュニケーションの3つのプロセスにより 事故を未然に防ぎ リスクを最小にする 上記は飼料の安全確保にも導入され Codexでは以下を推奨 飼料の生産 流通 加工等の全工程において 事業者が GMP (*1) やHACCP (*2) に基づいた安全管理を徹底 (*1) Good Manufacturing Practice (*2) Hazard Analysis and Critical Control Point リスク評価に基づき 基準値の設定が必要と判断されれば リスクが高いポイントに基準を設定し モニタリングを実施 1 1. 飼料安全をめぐる最近の情勢 (2) 飼料原料の多様化 輸入穀物の価格高騰や資源循環の観点から 輸入原料の調達先が多様化 エコフィード 飼料米等の国内資源の利用促進が進展する中 これらの新たな飼料原料についても 安全確保が求められる状況 飼料用トウモロコシの輸入先国の変化 H23 H24 ブラジル 6% アルゼンチン 4% 米国 86% ウクライナ 3% 7% 32% 6% 52% 1,085 万トン 1,031 万トン 参考 : 財務省貿易統計 ( 万 TDN トン ) 120 100 80 60 40 20 0 48 エコフィードの製造数量の推移 59 73 84 87 92 95 97 103 104 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 参考 : 農水省エコフィードをめぐる情勢 2

ISO22000 では PRP ( 前提条件プログラム ) と呼ぶ 具体的な事例 ( 参考 )GMP HACCP とは? GMP HACCP ISO22000 の関係 相互コミュニケーション 上流と下流の事業者間における情報の伝達により フードチェーン全体の安全を確保 GMP (PRP (*) ) ISO22000 の 4 つの要素 事業者が自ら実践すべき基本的な規範 (*) Prerequisite Program システムマネジメント 各事業者の組織内の管理体制で安全を確保 HACCP 事業者が各々の製造工程を踏まえて決定した管理手法 製造施設 設備は 作業 保守及び清掃が容易で 汚染を最小限に抑えられるように設置 製造施設 設備は清潔を保ち 効果的な害虫防除プログラムを実行 製造手順書を用いて 有害物質の混入を防止 危害を分析 (HA) 重要管理点 (CCP) を特定 管理手法 (O PRP,HACCP プラン ) を特定 連続的に実行 監視 3 ( 参考 ) 海外における飼料生産の GMP HACCP 制度 法令等における規定 遵守の確認 GMP 基準の内容 Codex EU 米国 適正家畜飼養規範 (CAC/RCP 54 2004) 事業者は 必要に応じて GMP に従い 該当する場合には HACCP の原則に従い ハザードを管理しなければならない - 飼料の衛生管理要件 Regulation (EC) No 183/2005 事業者は HACCP を導入し 適正な管理 (good practices) を行わなければならない 各国からのガイドライン等に基づき 民間の認証機関が GMP 基準を策定し 事業者を認証 飼料における cgmp 及び予防管理の規則案 事業者は 飼料の cgmp に従った管理を行い HACCP の原則に基づく予防管理措置計画を作成 実行しなければならない 現在 パブコメの結果を踏まえて最終規則を取りまとめ中 米国に飼料を輸出する海外の事業者を含めて FDA が遵守状況を確認 いずれの GMP 基準においても 1 施設 設備 2 保管及び輸送時の管理 3 従業員の資格 訓練 4 衛生及び害虫防除 5 製造管理等の項目について規定 EU 及び米国では 海外の事業者も含めて GMP の遵守及び HACCP の導入は必須 4

2. 飼料の安全確保の枠組みの見直し 全体概要 従来 原料生産者 輸入業者 配合飼料メーカー 最終製品の 製品検査 により安全確保 事業者は 各種ガイドライン (*) に従って安全管理 (*) ガイドラインは ハザード毎 ( サルモネラ 動物性たん白質 抗菌性飼料添加物 有害物質 ) に分けて作成 国は 主に最終製品に基準値を設定し 基準値を超過した飼料を流通させないように規制 FAMIC は 最終製品が基準値に適合していることを 製品検査による立入検査で監視 見直し後 全工程における 管理の徹底 により安全確保 事業者は GMP 基準及び HACCP の考え方に従って 自ら安全管理を実践 国は 原料段階にも管理の目安となる基準を設定し 飼料製造の全工程を通じて 適切な管理を推進 FAMIC は リスクに応じて 監視の対象を重点化し ( 原料も対象 ) 製品検査だけでなく 各事業者の GMP の遵守状況を監視 指導 5 3. 枠組みの見直し 1 事業者による管理の徹底 現状と課題 事業者は 各種ガイドラインに従った管理に取組みつつあるが ガイドラインがハザード毎に作られており 網羅的な管理が困難 既に設定されているガイドライン 飼料製造に係るサルモネラ対策のガイドライン 反すう動物用飼料への動物由来たん白質の混入防止に関するガイドライン 抗菌性飼料添加物を含有する配合飼料及び飼料添加物複合製剤の製造管理及び品質管理に関するガイドライン 飼料等への有害物質混入防止のための対応ガイドライン 対応方向 現行のガイドラインをGMP 基準として整理 統合 将来的には GMP の法的義務化を念頭に置きつつ 当面は自主的な取組みを推進 6

3. 枠組みの見直し 1 事業者による管理の徹底 対応方向 さらに HACCPの原則に従って高度な安全管理に取組む事業者を 優良事業者として承認する制度を導入 GMP の導入により事業者全体の底上げを図り HACCP の導入により管理の高度化を推進して 飼料の安全をより効果的に確保 優良事業者 HACCP ISO を導入し より高度な安全管理 優良事業者として承認 GMP の導入事業者 GMP 基準に従った安全管理 現状各種ガイドラインに従った安全管理 GMP 遵守を確認 輸出用証明書の発行が可能 7 4. 枠組みの見直し 2 指導基準のあり方 現状と課題 飼料中のかび毒 重金属のリスク管理措置として 指導基準 として基準値を設定して FAMIC による立入検査を行い 超過した場合は 違反 となり 原則として自主回収 国際的な基準値の設定方法 (*) が導入され 基準値の意味は 安全の目安 ではなく 適切な管理を行った場合の目安 へと変化 ヒトにも家畜にも安全なレベルであっても 厳しく規制する必要性は? (*) 合理的に到達可能な範囲で できるだけ汚染を低減するというALARAの原則に基づき 家畜及び消費者の健康保護が図られること 及び 適切な技術や手段の適用によって 汚染しないように生産されていること を条件に 通常の濃度範囲よりやや高いレベルに設定 ( 国内での飼料中の汚染物質の基準値を定める際は 違反率を 2% として設定 ) 8

4. 枠組みの見直し 2 指導基準のあり方 現状と課題 かび毒 重金属については 主に配合飼料に基準値を設定しており 原料段階で適切な管理を判断する目安がない Codex では 基準値は 消費者の健康に対してリスクがある場合 に 原則としては 一次産品を対象として設定すべき と規定 有害物質名対象となる飼料基準値 アフラトキシン B1 配合飼料 ( 下記以外 ) ( 幼畜 乳用牛 ) デオキシニバレノール (*) 飼料 ( 下記以外 ) (3 ヶ月以上の牛用 ) 0.02 0.01 ゼアラレノン (*) 飼料 1 かび毒及び重金属の指導基準等 ( 単位 :mg/kg) ( 単位 :mg/kg) 1 4 (*) 課長通知で定められた暫定基準 有害物質名 対象となる飼料 基準値 鉛 配合飼料 乾牧草 3 魚粉 肉粉 肉骨粉 7 カドミウム 水銀 ひ素 配合飼料 乾牧草魚粉 肉粉 肉骨粉配合飼料 乾牧草魚粉 肉粉 肉骨粉配合飼料 乾牧草稲わら魚粉肉粉 肉骨粉 1 3 0.4 1 2 7 15 7 9 ( 参考 ) 主要国における飼料中の汚染物質の基準 1. 米国 基準値の種類 基準値の意味 対象物質 Action level 超過してはならない アフラトキシン Advisory level 管理の目安 デオキシニバレノール フモニシン Guidance level (*) 管理の目安 重金属 2.EU (*) FDA ではなく NRC(National Research Council) が設定 基準値の種類 基準値の意味 対象物質 Maximum level 超過してはならない アフラトキシン重金属 Guidance value 管理の目安 デオキシニバレノール ゼアラレノン オクラトキシン フモニシン 規制値 ( 法令に基づき 超過してはならないとした値 ) と ガイダンス値 ( 事業者の管理の目安として示した値 ) に分けて設定 10

4. 枠組みの見直し 2 指導基準のあり方 対応方向 現在 一律に規制値として設定しているかび毒及び重金属の 指導基準 について 各物質の毒性等を考慮して 超過してはならない値として示す 指導基準 と 管理の目安として示す ガイダンス値 に分けて整理 また かび毒については 原料段階においても 管理の目安となる ガイダンス値 を設定 リスクの程度に応じた管理措置を実践 原料段階へのガイダンス値の導入により 最終製品の安全をより効果的に確保 11 5. 枠組みの見直し 3 監視のあり方 現状と課題 配合飼料への製品検査を中心とした監視 事業者のガイドラインの遵守状況を考慮せず 全事業者に対して同じ頻度 方法で立入検査 対応方向 リスクの程度を踏まえ 原料段階やエコフィード等の監視を重点化 製品検査を中心とした監視から GMP への適合状況の監視へシフト GMP 未対応事業者 >GMP 導入事業者 > 優良事業者 の順に監視を重点化 GMP の導入に伴い 管理の状況について確認することで リスクの高いポイントに重点化した監視が可能 12

( 参考 ) GMP HACCP の導入状況別の監視体制 GMP 未対応事業者 GMP の導入を推奨 GMP 導入事業者 GMP に基づき管理を徹底 優良事業者 管理を高度化 FAMIC は GMP の遵守状況を確認 (*) (1 回 / 年の頻度を想定 ) FAMIC は立入検査における製品検査により 基準の遵守状況を確認 (1 回 / 年の頻度を想定 ) (*) 基本的には FAMIC が製品検査を行うのではなく 事業者が自らの品質管理として行った製品検査の結果及び対応状況を確認 FAMIC から国に対し 確認状況を報告 FAMIC は HACCP や ISO の認証状況を確認 (1 回 /3 年の頻度を想定 ) 輸出に必要であれば 国から GMP 等の遵守状況の証明書発行が可能 13 6. 期待される効果 事業者による効果的な安全管理の実践 統合されたガイドライン (GMP) に従って 全工程を網羅的に管理 HACCP や ISO の導入を通じて より高度な安全管理を推進 国による効果的な監視体制 GMP の導入に伴い 工程管理の状況 (GMP の遵守状況 ) を監視 指導 リスクの高いポイントに監視を重点化 飼料 (*) の輸出促進 飼料の輸入に際して事業者に対して GMP 取得を課している国に対し 円滑な輸出手続が可能 (*) 機能性の高い飼料 ( 稚魚用飼料や飼料添加物等 ) に対しては 海外からも需要 14

7. 見直し後の飼料の安全確保の枠組み 農林水産省消費 安全局 指導情報交換 報告 GMP 基準を策定 飼料の基準値 ガイダンス値を設定 FAMIC 監視 指導 GMP 遵守状況の監視 指導 基準値への適合状況を監視 指導 GMP に基づいた安全管理を実践 HACCP を導入し より高度な安全管理 川上 川下の事業者と連携し 基準に適合した飼料を製造 輸出国 基準を満たす原料のみを受入 (*) 輸入業者 原料生産者 製造業者 販売業者 生産者 (*) 将来的には 海外の事業者に対して GMP を適用することを検討 15 8. 今後のスケジュール ( 想定 ) 26 年 27 年 7 月 ~: GMP 基準 指導基準及び監視体制の見直し案を作成 1~3 月 : 飼料安全部会 飼料分科会へ見直し案を報告 4 月 ~ : 通知の改正事業者による GMP の導入開始 事業者の太宗において GMP の導入が確認された段階で GMP の法的義務化に向けての検討を開始 16