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目 次 1. 適用範囲 P5 2. 引用規格 P6 3. 用語及び定義 P6 4. 組織の状況 P7 4.1 組織及びその状況の理解 P7 4.2 利害関係者のニーズ及びと期待の理解 P7 4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定 P7 4.4 品質マネジメントシステム及びプロセス P7 5

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ISO/FDIS 9001 ~ 認証審査における考え方 ~ 2015 年 7 月 14 日 23 日 JAB 認定センター 1

説明項目 1. 審査で注目すべき要求事項の変化点 2. 変化点に対応した審査はどうあるべきか 文書化した情報 外部 内部の課題の特定 リスク 機会 利害関係者の特定 QMS 適用範囲 3. ISO 9001:2015への移行 リーダーシップ パフォーマンス 組織の知識 その他 ( 考慮する 必要に応じて ) 2

認証審査で見かけた不適切な例 文書があることを確認するだけの審査 文書だけを見て現場を見ない審査 組織の事業と乖離した形だけの QMS の審査 顧客を無視した適用範囲の決定の容認 成果 ( パフォーマンス ) の出ていない QMS の認証 製品 サービスの提供に必要な固有技術を考慮しない審査 3

2015 年改訂 審査で注目すべき要求事項の変化点 1. 柔軟な文書化要求 2. 組織の状況に基づく QMS の計画 運用 3. リスクに基づく考え方 リスク 機会に対する取組みと QMS プロセスへの統合 その有効性の評価 4. 密接に関連する利害関係者の特定 5. QMS の境界 適用可能性の決定の適切さ 6. トップマネジメントのリーダーシップによる QMS と事業の統合 QMS の有効性の説明責任 7. 製品 サービスの品質を含めたパフォーマンスの評価と改善 8. 組織の知識の評価 獲得 4

変化点 1 文書化した情報の審査は変わるか 2015 年版の主な変更点として 具体的な文書化要求が削除され 組織の自主的な判断に任される と説明されたが 審査は何が変わるだろうか? 審査の進め方を変えることになる 次を特定する 組織は何に対し文書化が必要と判断したか その理由は何か 運用を確認し 要求事項への適合性が実証されていると確信できない場合は 必要な文書が作成されていないことになる 次の場合 不適合となる 必要と判断された文書が存在しない又は管理されていない 運用のために文書が使用されているが 必要な文書と判断されていない 5

変化点 1 文書化した情報の程度に応じた審査 文書化した情報の程度に応じて どのような点に留意して審査する必要があるか? 文書化した情報を確認するのは 適合を実証するための基本的な方法 文書化の方法が多様化していることへの対応も必要 審査での実証は 文書化した情報の確認以外にも 要員へのインタビュー 現地での観察などでも行える 現場で費やす時間 全体の審査工数に考慮が必要かもしれない 審査証拠の収集 記録のとり方 6

変化点 2 外部 内部の課題の特定 組織が特定した外部 内部の課題の妥当性をどのように審査するのか? 特定された課題が妥当かどうかを判断するのは認証機関の責務ではない 組織が特定した課題に対し 何を審査すればいいか? 課題 (4.1) と利害関係者のニーズ (4.2) を考慮し 具体的なリスク 機会を明確にし (6.1.1) QMS の計画に展開しているか マネジメントレビューで課題の見直しが行われているか 7

変化点 3 リスク 機会に関する審査 リスク及び機会については 何を審査すればいいのか? リスク 機会そのものを審査するのではない リスク 機会を特定するプロセスを確認し 組織の課題 ( 4.1) 及び利害関係者のニーズ (4.2) が考慮されているかを確認する 特定されたリスク 機会に対する取組みを計画し QMS の計画に組み込まれているかを確認する 8

変化点 3 リスク 機会に関する審査 ( 続き ) リスク及び機会については 何を審査すればいいのか? 取組みの有効性を評価する方法を決定していることを確認する 決定した評価方法に基づき 実施しているかどうかを確認する 評価結果がよくない場合には 次を確認する 取組み内容の見直し 改善 リスク 機会を特定するプロセスの見直し 改善 9

変化点 4 利害関係者の特定 組織が特定した利害関係者の妥当性はどのように判断するか? 利害関係者の候補を聞き 明らかな漏れがないかを確認する 候補から 密接に関連する利害関係者 をどのように判断したかを確認する 密接に関連する利害関係者 の例は以下のとおり 直接顧客に加え 最終顧客を含む間接顧客 法令制定 / 規制当局 部品 材料或いは経営資源の提供を受ける相手 顧客要求事項及び適用される法令 規制要求事項を満たした製品を一貫して提供する組織の能力に影響 潜在的影響を与える という観点から判断しているかを確認する 10

変化点 5 QMS 適用範囲 QMS の境界 適用可能性の決定の適切性について 判断がより明確に求められるようになった どのような観点で判断することが求められるか? 境界を決定するにあたり 外部 内部の課題が考慮されているか 利害関係者 の要求が考慮されているかを確認する 組織が決定した境界の外まで視点を広げて ( 利害関係者の観点で ) 境界の適切性を判断する必要がある 境界が決定されると 要求事項に対応する活動が含まれるか否かで 組織が行った適用可能性の判断が妥当かを確認できる 要求事項に対応する活動が存在しないとして適用していない場合は 正当な理由を示しているかを確認する 11

変化点 6 リーダーシップ 今回の改訂では リーダーシップに対する要求が強化された 強化されたポイントは QMS と事業プロセスの統合 QMS の有効性への説明責任であるとの説明があったが これらはどのように審査すればいいのか? トップが次のことを説明できるかを確認する QMS を事業にどのように役立てようとしているか QMS が有効かどうか その内容が実際に QMS に活かされているかどうかの確認を 組織のあらゆる階層へのインタビュー 適用範囲のプロセスの観察及び関連文書など 多面的な審査証拠の収集 確認で行う 12

変化点 7 パフォーマンスの評価 改善が強調 今回の改訂で パフォーマンスの評価 改善が強調されている 9 章では何をどのように監視 測定していかなければならないかを明確にすることが求められる 10 章では QMS そのものの改善に加え パフォーマンスが十分に出ない場合の調査にも配慮が求められている DIS 9001 にて記されていたもので FDIS では削除されている なお FDIS/10.1 では QMS のパフォーマンス 有効性の改善に関する取組みについて触れられている 13

変化点 7 パフォーマンスが改善されない場合の審査アプローチ (1) QMS の審査にあたり パフォーマンスが改善されていない場合 不適合になるのか? パフォーマンスがあがっていないことは システムが効果的に機能していないことを意味する これは不適合につながる可能性が高い 全体的な審査から どこに問題があるかを探り パフォーマンスがあがらない要因となっている部分に対して 指摘をすべき 14

変化点 7 パフォーマンスが改善されない場合の審査アプローチ (2) パフォーマンスがあがっていない要因として 例えば 改善の取組みが行われていない 不適合 改善活動をしているが その効果があがっていない さらなる調査が必要 例えば 以下の視点で調査する 組織の知識が不足 ( これに対する改善ができていない ) リスクへの取組みが不足 ( これに対する改善ができていない ) パフォーマンス指標又は目標の設定が組織にとって適切でない ( 例えば 顧客のニーズ 期待に沿ったものではない ) 外的な要因や想定外による ( リスクへの取組みの不足 ) 15

変化点 8 組織の知識とその獲得 蓄積 組織の知識が十分かどうかは 何を見ればいいのか? 新製品に取り組む場合や新技術を導入する場合などに 組織自らが必要な知識をもっているかをどのように判断しているかを確認する 新製品に不具合が出ているような場合など 組織の知識が十分でないから起こっている可能性がある 組織の知識は 内部由来 ( 蓄積された経験等 ) と外部由来 ( 業界基準 顧客等 ) があり どのように獲得 蓄積され維持 更新されているかを確認する 組織の産業分野 組織規模 その他の状況において千差万別 審査員の力量 ( 技術専門知識 ) が重要 16

その他 Consider( 考慮する ) を考慮 (consider) しなければならない と要求されている場合 どのような点に留意して審査すればよいか? 組織は 要求事項への適合を実証しなければならない 考慮したことの記録は 適合の実証となる 考慮 した結果 何らかの行為が行われ それが確認できればよい 不必要な文書を増やすことは本意ではない 発生事象をトレースバックし 関係事項が考慮された事実を規格と照らして特定する 例えば プロセスのタートル図の要素を確認することで 考慮不足が特定できるだろう 17

その他 必要に応じて as appropriate, as necessary 規格全体を通して 必要に応じて と記されている要求事項について 審査でどのような点に留意が必要か? 顧客要求事項 法規制の満足などのため 必要であると判断できる場合に適用する 少なくとも QMS の意図した結果に照らしてプロセス等が有効に機能しているか否かで 必要性は判断できる 18

まとめ 2015 年版で重要視されているもの 事業との統合 パフォーマンスベース プロセスアプローチ PDCA サイクル + リスクに基づく考え方 審査技法を見直してみましょう 19

ISO 9001:2015 への移行 IAF ID9:2015 移行計画の指針 (1) 変更の程度は 組織の現在の QMS 成熟度 組織構造 慣行により異なる 影響評価 / ギャップ分析を強く推奨 CB が実施する場合 : 審査 (audit) でもコンサルティングでもない 公平性の担保要 移行審査では CB の一貫した解釈 力量 報告書 審査技法が焦点となり 組織との移行の取決めを確認 20

ISO 9001:2015 への移行 IAF ID9:2015 移行計画の指針 (2) 移行プロセスでの注意点 顧客に移行の取決めについて連絡 (DIS 後期 or FDIS 段階で ) 1 回の審査か段階的方法か 移行プロセスの間 ISO 9001:2008 への継 続的適合をどのように確実にするか FDIS で行われた審査結果の利用 21