第 2 回職場のメンタルヘルス検討会 (2010/6/7) ( 川上憲人 ) 別紙資料 : うつ病等のスクリーニングのための調査法 A. 質問紙法の例 1. 疫学研究用うつ病尺度 (NIMH Center for Epidemiologic Studies Depression Scale, CES-D) この 1 週間のあなたのからだや心の状態についてお聞きします 各々のことがらについて もしこの 1 週間で全くないかあったとしても 1 日もつづかない場合は A 週のうち 1-2 日なら B 週のうち 3-4 日なら C 週のうち 5 日以上なら D のところを でかこんで下さい A まれにあるいはなかった (1 日未満 ) B いくらか (1~2 日 ) C たまにあるいはある程度の時間 (3~4 日 ) D ほとんどあるいは全ての時間 (5~ 7 日 ) (1) 普段は何でもないことが煩わしい A B C D (2) 食べたくない 食欲が落ちた A B C D (3) 家族や友達からはげましてもらっても 気分が晴れない A B C D (4) 他の人と同じ程度には 能力があると思う A B C D (5) 物事に集中できない A B C D (6) ゆううつだ A B C D (7) 何をするのも面倒だ A B C D (8) これから先のことについて積極的に考えることができる A B C D (9) 過去のことについてくよくよ考える A B C D (10) 何か恐ろしい気持がする A B C D (11) なかなか眠れない A B C D (12) 生活について不満なくすごせる A B C D (13) 普段より口数が少ない 口が重い A B C D (14) 一人ぼっちで寂しい A B C D (15) 皆がよそよそしいと思う A B C D (16) 毎日が楽しい A B C D (17) 急に泣きだすことがある A B C D (18) 悲しいと感じる A B C D (19) 皆が自分を嫌っていると感じる A B C D (20) 仕事が手につかない A B C D 採点法 :(4) (8) (12) (16) の質問項目は (A 3)(B 2)(C 1)(D 0) と採点 これ以外の質問項目は (A 0)(B 1)(C 2)(D 3) と採点 (1)~(20) までの項目得点の合計 (0~60 点 ) 高得点ほど 抑うつ症状が強いことを示す 16 点以上を 抑うつあり と判定する 出典 :Radloff LS: The CES-D scale. A self-report depression scale for research in the general population. Applied Psychological Measurement 1: 385-401, 1977. 島悟 鹿野達男 北村俊則 浅井昌弘 : 新しい抑うつ性自己評価尺度について. 精神医学 27: 717-723, 1985. CES-D は ( 株 ) 千葉テストセンター等から販売されている 1
2. 一般健康調査票 (General Health Questionnaire, GHQ)12 項目版 1. 何かをする時いつもより集中してできたいつもと変わらなかったできなかった全くできなかった 2. 心配事があって よく眠れないようなことは全くなかったあまりなかったあったたびたびあった 3. いつもより自分のしていることに生きがいを感じあったたびたびあったることはあまりなかった全くなかった 4. いつもより容易にものごとを決めることができたいつもと変わらなかったできなかった全くできなかった 5. いつもよりストレスを感じたことが全くなかったあまりなかったあったたびたびあった 6. 問題を解決できなくて困ったことが全くなかったあまりなかったあったたびたびあった 7. いつもより日常生活を楽しく送ることができたいつもと変わらなかったできなかった全くできなかった 8. 問題があった時に いつもより積極的に解決しよできたいつもと変わらなかったうとすることができなかった全くできなかった 9. いつもより気が重くてゆううつになることは全くなかったあまりなかったあったたびたびあった 10. 自信を失ったことは全くなかったあまりなかったあったたびたびあった 11. 自分は役に立たない人間だと考えたことは全くなかったあまりなかったあったたびたびあった 12. 一般的にみて幸せだと感じたことはあったたびたびあったあまりなかった全くなかった判定法 : 項目ごとに上段の回答には0 点 下段の回答には1 点を与え 合計得点を計算する 4あるいは5 点以上の者を 陽性 とした場合 気分 不安障害のスクリーニングにおいて感度 73-82% 特異度 60-90% と報告されている 項目数が異なるいくつかの版があり GHQ60, 30, 28 項目版は版権が設定されており有償 日本文化科学社が版権を持ち販売されている 翻訳が異なる他の版もある 出典 :Goldberg DP. The detection of psychiatric illness by questionnaire. A technique for the identification and assessment of non-psychotic psychiatric illness. Maudsley Monograph No. 21. Oxford University Press, London, 1972( 中杉泰彬 訳編著. 質問紙法による精神 神経症状の把握の理論と臨床的応用. 国立精神衛生研究所, 1981) 3. うつ対策推進方策マニュアル調査票 最近 2 週間のあなたのご様子についておうかがいします 次の質問を読んで のう ち あてはまる数字に 印をつけてください 毎日の生活に充実感がない 1. 2. これまで楽しんでやれていたことが 楽しめなくなった 1. 2. 以前は楽にできていたことが 今ではおっくうに感じられ 1. 2. る 自分が役に立つ人間だと思えない 1. 2. わけもなく疲れたような感じがする 1. 2. 判定法 :2 つ以上 のある場合にうつの可能性ありとする うつ病を含む気分 不安障害のスクリーニングにおいて感度 94~100% 特異度 61%( 川上他, 2005) マニュアル収載の原本ではさらにこれらが 2 週間以上持続しかつ生活に支障があるかどうかを合わせてたずねて判断の参考にするようにと記載されている 無料で自由に使用できる 出典 : 厚生労働省 : うつ対策推進方策マニュアル - 都道府県 市町村職員のために, 2004: 55;Fujisawa D, Tanaka E, Sakamoto S, Neichi K, Nakagawa A, Ono Y. The development of a brief screening instrument for depression and suicidal ideation for elderly: the Depression and Suicide Screen. 2
Psychiatry Clin Neurosci. 2005; 59(6): 634-8.; 川上憲人他. 厚生労働科学研究費補助金 ( こころの健康科学研究事業 ) 自殺の実態に基づく予防対策の推進に関する研究 平成 16 年度分担研究報告書, 2005. 4.K6 質問票 過去 30 日の間にどれくらいの頻度で次のことがありましたか あてはまる欄の数字に をつけてく ださい 全くない 少しだけ ときどき たいてい いつも 神経過敏に感じましたか 0 1 2 3 4 絶望的だと感じましたか 0 1 2 3 4 そわそわ 落ち着かなく感じましたか 0 1 2 3 4 気分が沈み込んで 何が起こっても気が 0 1 2 3 4 晴れないように感じましたか 何をするのも骨折りだと感じましたか 0 1 2 3 4 自分は価値のない人間だと感じましたか 0 1 2 3 4 判定法 : 各項目の合計得点を計算する 5 点以上の者を 陽性 とした場合 うつ病を含む気分 不安障害のスクリーニングにおいて感度 76~100% 特異度 69~80% 陽性反応的中率 16~25% 無料で自由に使用できる 出典 :Kessler RC, et al. Short screening scales to monitor population prevalences and trends in nonspecific psychological distress. Psychological Medicine 2002;32:959-76; Furukawa TA, et al. The performance of the Japanese version of the K6 and K10 in the World Mental Health Survey Japan. Int J Methods Psychiatr Res. 2008; 17(3):152-8.; 古川壽亮他. 厚生労働科学研究費補助金厚生労働科学特別研究事業 心の健康問題と対策基盤の実態に関する研究 平成 14 年度分担報告書, 2003; 川上憲人他. 厚生労働科学研究費補助金 ( こころの健康科学研究事業 ) 自殺の実態に基づく予防対策の推進に関する研究 平成 16 年度分担研究報告書, 2005. 3
B. 問診あるいは簡易面接法 1. 二質問法 (TQ) 以下の質問にお答え下さい ( 当てはまる方に をつけてください ). この 1 ヶ月間, 気分が沈んだり, 憂うつな気持ちになったりすることがよくありましたか. この 1 ヶ月間, どうも物事に対して興味がわかない, あるいは心から楽しめない感じがよくありましたか. いずれかに のある場合 うつ病の疑いとする 鈴木ら (2003) では感度 95-99% 特異度 100 % Whooley et al (1997), Aroll et al (2003) では感度 96-97 % 特異度 57-67 % と報告されている 出典 :Whooley MA, et al. Case-finding instruments for depression. Two questions are as good as many. J Gen Intern Med. 1997l;12(7):439-45; 鈴木竜世, 野畑綾子, 金直淑ほか : 職域のうつ病発見および介入における質問紙法の有用性検討 :Two question case-finding instrument と Beck Depression Inventory を用いて. 精神医学 2003 ; 45 : 699-708. 2. 簡便なうつ病の構造化面接法 (BSID) A1 この 2 週間以上 毎日のように ほとんど 1 日中ずっと憂うつであったり沈んだ気持ちでいましたか? A2 この 2 週間以上 ほとんどのことに興味がなくなっていたり 大抵いつもなら楽しめていたことが楽しめなくなっていましたか? A1 または A2 のどちらかが であるである場合下記の質問にすすむ この 2 週間以上 憂うつであったり ほとんどのことに興味がなくなっていた場合 あなたは : A3 毎晩のように 睡眠に問題 ( たとえば 寝つきが悪い 真夜中に目が覚める 朝早く目覚める 寝過ぎてしまうなど ) がありましたか? A4 毎日のように 自分に価値がないと感じたり または罪の意識を感じたりしましたか? A5 毎日のように 集中したり決断することが難しいと感じましたか? A1 と A2 のどちらかが で A1~A5 の回答のうち少なくとも 3 つ以上 がある うつ病の疑いあり MINI によるうつ病の診断と比較した場合 感度 0.86 特異度 0.77 出典 : 廣尚典. 厚生労働科学研究費補助金労働安全衛生総合研究事業 労働者の自殺リスク評価と対応に関する研究 平成 15 年度総括 分担研究報告書, 2004, pp. 75-85. 4
3. うつ対応マニュアル二次スクリーニングアセスメント ( 厚生労働省地域におけるうつ対策検討会 うつ対応マニュアル - 保健医療従事者のために - における面接によるうつ病の評価法 ) 抑うつ症状のアセスメント 1. うつ気分 ( ほとんど毎日 ほとんど一日中の持続 ) が 2 週間以上持続 2. 興味や喜びの喪失 ( ほとんど毎日 ほとんど一日中の持続 ) が 2 週間以上持続 3. 食欲の減退または増加 : 下記のうちいずれか [ 食欲低下 ] が 2 週間以上持続 [ 体重減少 ] が 1 ヶ月に 3kg 以上 [ 食欲増加 ] が 2 週間以上持続 [ 体重増加 ] が 1 ヶ月に 3kg 以上 4. 睡眠障害 ( 不眠または睡眠過多 ): 下記のうちいずれか [ 不眠 ] が 2 週間以上持続 [ 過眠 ] が 2 週間以上持続 5. 精神運動の障害 ( 強い焦燥感 運動の制止 ): 下記のうちいずれか [ 動きが遅くなった ] が 2 週間以上持続し そのことを誰かに指摘された [ じっとしていられない ] が 2 週間以上持続し そのことを誰かに指摘された 6. 疲れやすさ 気力の減退が 2 週間以上持続 7. 強い罪責感 ( 自分に価値がない 罪悪感 ) が 2 週間以上持続 8. 思考力や集中力の低下 ( 決断困難 / 思考力減退 / 集中力減退のいずれか ) が 2 週間以上持続 9. 自殺への思い : 下記のうちいずれか [ 死についての反復思考 ] が 2 週間以上持続 [ 自殺念慮 ( 自殺をしたいと思うこと )] が 2 週間以上持続 [ 自殺念慮 ] に具体的な計画が伴っている [ 自殺念慮 ] を実際に行動に移した ( 自殺企図 ) 確認された症状の内容と数を確認する 9. 自殺への思い 1. うつ気分 2. 興味や喜びの喪失 3. 食欲の減退または増加 4. 睡眠障害 5. 精神運動の障害 6. 疲れやすさ 気力の減退 7. 強い罪責感 8. 思考力や集中力の低下のうち 2 つ以上 10. 不安症状 11. アルコール乱用の可能性 13. 生活への支障のいずれか 1. うつ気分 2. 興味や喜びの喪失 3. 食欲の減退または増加 4. 睡眠障害 5. 精神運動の障害 6. 疲れやすさ 気力の減退 7. 強い罪責感 8. 思考力や集中力の低下のうち 1 つ以上 10. 不安症状 11. アルコール乱用の可能性のいずれかかつ 13. 生活への支障がある 12. 医師への受診行動がない 12. 医師への受診行動がない 医療機関への受診を勧める 医療機関への受診を勧める に該当しない者は すべて経過観察の対象とする 5
1~8 抑うつ症状 10 不安 いずれかの症状がある スクリーニング質問票の回答と面接の回答が一致していない場合 どちらかが誤りや虚偽の可能性あり 同居家族から情報を得ることが望ましい いずれかの場合 医療機関を受診している人の家族 医療機関の受診を勧めるまでではないが 経過観察が必要 出典 : 厚生労働省地域におけるうつ対策検討会. うつ対応マニュアル - 保健医療従事者のために -, 2004 6