中和反応 中和反応は H + + OH H 2 O 酸の溶質分子と塩基の溶質分子それぞれのイオン価数に注目するまた, 酸, 塩基の強さにも注目する イオンのモル数に注目中和は, 酸性溶液から出る水素イオンと塩基性溶液から出る 水酸化物イオンの物質量が一致したときに起こる 最も簡単な 例は塩酸と水酸化ナトリウム水溶液である 塩酸は 1 価の酸 で, 水酸化ナトリウム水溶液は 1 価の塩基なので HCl + NaOH NaCl + H 2 O だけでよい 中和すると塩 ( えん ) と水が生成する では次に片方が 2 価を考える 硫酸と水酸化ナトリウムがあ る 硫酸は 1mol で H + を 2mol 出すが, 水酸化ナトリウムは 1mol で OH を 1mol しか出さないので, 中和するには水酸化ナトリウムが硫酸の 2 倍だけ 必要である 反応式は以下のようになる H 2 SO 4 + 2 NaOH Na 2 SO 4 + H 2 O 濃度 0.10mol/l の塩酸 100ml を中和するのに必要な 0.020mol/l 水酸化カルシウム水溶液の 体積は次のように考える まず, 塩酸から出る塩化水素のモル数は濃度に l 単位の体積をかければよく,0.10 100 なので, 必要な水酸化カルシウム水溶液を v[ml] とおけば, 水酸化カルシウム 1mol からは 2mol の OH が出てくるので, 0.10 100 1 = 0.020 v 2 v = 250ml 酸 塩基の強さ例えば 1 価の弱酸である酢酸 1mol を中和するのに必要な水酸化ナトリウムは 1mol であ る たとえ弱酸と強塩基であっても, 発生するイオン数を合わせることは同じである CH 3 COOH + NaOH CH 3 COONa + H 2 O このとき発生する塩の酢酸ナトリウムは弱塩基となる また強酸の塩酸と弱塩基の炭酸ナト リウムは 2HCl + Na 2 CO 3 2NaCl + H 2 O + CO 2 となる 炭酸ナトリウムは塩基性の塩であり, 弱酸である炭酸 が金属イオンと結びついた塩である この弱酸由来の塩と強 酸を混合することで弱酸イオンが金属イオンから引き離され, 弱酸が溶液中または空気中に遊離する反応を弱酸遊離反応と いい, 無機の分野では頻繁に出てくる 弱酸, 弱塩基などの考えははっきりできるようにしておきたい 頻出のものはある程度覚 えてしまった方が早いかもしれない c23-3 新快速のページ講義ノートシリーズ化学
水素イオンと ph 化学 Ⅰ 版 [H + ],[OH ] はそれぞれ水素イオン 水酸化物イオンのモル濃度 [H + ] = 10 n [mol/l] のとき,pH は n [H + ][OH ] = 10 14 mol 2 /l 2 は必ず覚えるべきこと p H とは読み方はピーエイチでよいが, デンマークの学者が定義したものなので, 本来は ペーハー が正しい ph は水溶液中の水素イオンのモル濃度によって決まる ここでは化学 I で学ぶ内容のみを扱う 定義 水素イオンモル濃度 [mol/l] を [H + ] と書くとき,pH = log 10 [H + ] しかし化学 I では log の計算は不要であり, [H + ] = 10 n のとき,pH は n と覚えればよい ph7 が中性, それ未満なら酸性, それより大きければ塩基性である 計算例やはり物質名を覚えていないと終わりなので, 化学式と 液性だけは必ず覚えておきたい 例 1 0.010mol/l 塩酸 1.0 10 2 mol/l なので, 2 例 2 0.050mol/l 硫酸 硫酸 H 2 SO 4 は 1 つで H + 2 個にな る 0.050 2 = 0.10mol/l なので ph は 1 例 3 0.20mol/l 塩酸を 10ml 準備し, 純水を加えて 200ml にした液 これは 10ml 200ml と 20 倍希釈である 濃度 が 1/20 になる 0.20 1 20 = 0.01 = 10 2 2 例 4 0.020mol/l 酢酸水溶液 ( 電離度は 0.05) 電離度は電 離する割合のこと つまり,100 の酢酸のうち 5 だけが酢酸 イオンと水素イオンになるということである だから [H + ] = 0.020 0.05 = 10 3 3 例 5 0.12mol/l 塩酸を 100ml と 0.10mol/l 水酸化ナトリ ウム水溶液 100ml を混合した溶液 塩酸と水酸化ナトリウムが反応する 塩酸の HCl は 0.12 100 100 = 0.012mol, そして NaOH は 0.10 = 0.01mol 一部が中和し,H + も OH も減る H + の方が多いので酸 性になる H + のモル数は 0.012 0.01 = 0.002 = 2.0 10 3 mol ところでこれはモル数であり, モル濃度ではないので注 意 モル濃度にするには溶液の l 体積で割って求める 2.0 10 3 200 = 10 2 より,pH は 2 c3110-1 新快速のページ講義ノートシリーズ化学
p H 化学 Ⅱ 用 中性は 7, それ以下酸性, それ以上塩基性 [H + ] は水素イオン濃度 mol/l のこと ph = log 10 [H + ] 水のイオン積 [H + ][OH ] = 1.0 10 14 mol 2 /l 2 水素イオンの濃度に注目小学校や中学校の理科で BTB 液を使ったことのある人は多いと思う BTB 液は酸性, 塩 基性の度合いで色が変わる その度合いのことを ph ( 本来の読み方はペーハー ) とよぶ 基 本 7 が中性であり, それより小さいと酸性, それより強いと塩基性である 胃液の ph はお よそ 2, レモン汁はおよそ 3, 水酸化ナトリウム水溶液はおよそ 13 のようになる 水素イオ ン濃度を [H + ]mol/l とすれば ph = log 10 [H + ] で定義される この対数の底は 10 の常用対数であるが, 化学ではこの 10 を基本的には書か ずに ph = log[h + ] のようにする 塩酸 0.10mol/l の場合, ph = log[h + ] = log 0.10 = log 10 1 = 1.0 次に 2 価の硫酸 0.025mol/l log 2 0.30 とすれば ph = log[h + ] = log(0.025 2) = log 0.050 = log 10 2 10 2 1.3 塩基性水溶液の ph 塩基性水溶液の ph は少し面倒である H + の濃度を求め る必要があるが, ここで使うのが水のイオン積というもの であり,25 では,[H + ][OH ] = 1.0 10 14 mol 2 /l 2 とな る これは電離定数とよばれるものであり, 平衡定数の一 種である poh( ペーオーハー ) を poh = log 10 [OH ] H + の濃度と OH の濃度の積が 1.0 10 14 で定義すると,pH + poh = log[h + ][OH ] = log 10 14 より ph + poh = 14 となる つ まり塩基性の ph を求めるには, まず水酸化物イオン濃度の常用対数である poh を求め, ph = 14 poh の式を使えばよい 1.0 10 2 [mol/l] の水酸化ナトリウム水溶液の ph を 求めるときは, 水酸化物イオンの濃度をまず求める [OH ] = 1.0 10 2 poh = 2.0 より ph = 14 poh = 12 電離度酸や塩基を水に溶かしてもすべてが電離するわけではない 酢 酸などの弱酸はすべてが電離せず 電離度とよばれる割合だけが電離して水素イオンを出す 電離度 α は,0 < α 1 の範囲であ る α = 0.050 のとき,0.20mol/l の 1 価の酸の ph は ph = log(0.050 0.20) = log 0.010 = 2.0 のように単純に濃度に電離度をかければよい ph の計算には数 学 II の対数の知識が多少必要になる c530-1 新快速のページ講義ノートシリーズ化学
中和滴定の計算 ( 改訂 2.0) 基本はモル数で計算モル濃度は体積, 価数から H +,OH の物質量を出しそれらが等しいという方程式を立てる 水素イオンと水酸化物イオン中和滴定の問題における最短ルートは, 求めたいものを x や c などとおいてそれで H + のモル数と OH のモル数の式を別々 に組み立ててそれを = で結ぶ これが基本である 濃度未知の塩酸 100ml を中和するのに,0.10mol/l の水酸化 カルシウム水溶液 40ml を要したとき, 塩酸の濃度はどうなる か 入試ではまずこれほど簡単なものは出題されないが, 式の 立て方を紹介しておく まず H + であるが, 塩酸の濃度を c[mol/l] とすれば存在する HCl は c 100 [mol] になる 塩酸は 1 価なので H + のモル数も,c 100 1[mol] となる 次は OH を求めてみる 水酸化カルシウムは Ca(OH) 2 Ca 2+ + 2OH と,OH を 2 個放出する 2 価の塩基なので,OH の物質量は,0.10 40 2 のように,Ca(OH) 2 のモル数を 2 倍すればよい c 100 40 1 = 0.10 2 c = 0.080 = 8.0 10 2 mol/l 希釈する場合実際の実験の多くや入試問題では, 初めに水で薄めてそこから 何 ml か取り出して使うというものもある 例題濃度未知の塩酸 100ml に水を加えて 1l にした その中の 50ml を中和するのに 0.10mol/l の水酸化ナトリウム水溶液が 20ml 必要だった 塩酸の初めの濃度を有効数字 2 桁で求めよ 解答 塩酸の濃度を c[mol/l] とおく 100ml を 1l にするので, 濃度は 1/10 になる そして 50ml を使うので, 水素イオンのモル数は c 10 50 1[mol] でよい これを中和するには水酸化ナト リウム水溶液が 20ml なので, 水酸化物イオンのモル数は 0.10 20 1 である これを= で結べばよい c 10 50 20 1 = 0.10 1 c = 0.40mol/l 注意してもらいたいこともある 誘導形式の問題なら, 希釈液の濃度を求めよということ もある 原液なのか希釈液なのか, 考え方は合っていても問題に指示に従わずに答えると悲 惨である また, 日頃から価数をかけておく習慣をつけた方が良い 両方が 1 価ならかける だけ無意味な気がするところだが, 入試本番で焦らないためにも有効である c2525-1 新快速のページ講義ノートシリーズ化学
逆滴定 ( 改訂 2.5) 入れすぎて元に戻す逆滴定濃度未知の塩酸を 10 倍にうすめ,50ml をとっ た その溶液を 0.050mol/l の水酸化ナトリウ ム水溶液で滴定しようとしたところ,200ml 入 れてしまい, 塩基性になった 過剰な水酸化ナ トリウムを中和するため,0.10mol/l の希硫酸 入試では頻出過剰に入れた試薬を滴定まずどちらを多く入れ過ぎたのか求めたいものを文字でおいて問題文の通りに求めていくとラク で滴定したら 10ml 必要であった このときの塩酸の濃度を求めよ という例題である 要するに入れ過ぎてしまったので別の酸を使って戻す, なんともアバウトでアドリブ的な 実験者と感じるが, このような滴定を逆滴定という 入試の滴定問題ではこの逆滴定がほと んどである 事実, 気体の中のアンモニアの量などを求めるときは過剰の酸に吸収させるこ とが多い 解答 求めたいものを文字でおくのは化学の基本であるから, 濃度を c[mol/l] とする これで問題文の通りに式を立てていく 台本を書くように理論を組み立てていく まず塩酸を 10 倍に薄めたので, 濃度は c 10 [mol/l] となる この 50ml 溶液の中に含まれる HCl のモル数は c 10 50 [mol] である では, 反応式を書いてみると, HCl + NaOH NaCl + H 2 O 5c 反応前 0.050 200 0 0 反応量 5c 5c ( 略 ) 反応後 0 ( 略 ) よって残った NaOH は表の の部分であり, 0.050 200 5c [mol] これが 2 回目に 0.10mol/l の硫酸と中和する 硫酸は 2 価, 水酸化ナトリウムは 1 価なの で価数をかけて ( =で結べば完成である 0.050 200 5c ) 1 = 0.10 10 2 c = 1.6[mol/l] 別解を紹介する 線分図を描く方法である まず直線を 2 本描く 直線の長さは片方は水素イオン, もう片方は水 酸化物イオンのモルを表す 今回は 1 価の塩酸と 2 価の硫 酸の酸と,1 価の水酸化ナトリウムとが中和したと考える そうすれば, c 10 50 10 200 1 + 0.10 2 = 0.050 1 これは上の式と事実上同じ式なので同じ計算結果を求めることができる c2524-2 新快速のページ講義ノートシリーズ化学
二段階中和滴定 炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウム 1 回目は両方が反応 2 回目は炭酸ナトリウムが変化した炭酸水素ナトリウムが反応モル数に着目したい ワルダー法水酸化ナトリウムは空気中の二酸化炭素をよく吸収して炭酸ナト リウムを作る その混合物の質量を求めるには二段階中和滴定を行 う まず混合物を水に溶かしてフェノールフタレイン液を加えると 当然ながら赤紫色になる そして塩酸を注ぐと水酸化ナトリウムが まず中和される しかし残った炭酸ナトリウムもやや強い塩基なの で, フェノールフタレイン液はまだ赤紫色の状態である ここでは 分からないのでさらに塩酸を加えると炭酸ナトリウムが炭酸水素ナ トリウムになり, フェノールフタレイン液は無色となる しかしこの炭酸水素ナトリウムは若干ではあるが塩基性である 塩酸をさらに加えると中和する 今度はメチルオレンジを用いて滴 定を行う 炭酸水素ナトリウムが中和されると炭酸が残るため, メ チルオレンジは黄色から赤色に変わる ここで加えた塩酸から炭酸 水素ナトリウムの量が分かる 計算方法炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの混合物を水に溶かし,100ml と した そのうちの 20ml を使う フェノールフタレインを指示薬として 0.100mol/l の塩酸を滴下したら 75.0ml で変色した そののち指示薬をメチルオレンジに変えて滴下したら,50.0ml で変色した 有効数字 3 桁で炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムの質量を求めてみる まず炭酸ナトリウムを x[mol], 水酸化ナトリウムを y[mol] とする この中の 20ml を使ったため 20 100, つまりこの中の 5 分の 1 を滴定で使う 1 回目の滴定では, Na 2 CO 3 + HCl NaHCO 3 + NaCl 1 NaOH + HCl NaCl + H 2 O 2 となる つまり炭酸ナトリウムと水酸化ナトリウムのモル数の合計が塩酸と反応するため, 1 5 x + 1 75.0 y = 0.100 5 100 (a) また 2 回目は NaHCO 3 + HCl NaCl + H 2 O + CO 2 の反応が起こる 炭酸ナトリウムと 炭酸水素ナトリウムのモル数は1より同じで 1 5 x[mol], これが塩酸 50.0ml と反応するので 1 50.0 x = 0.100 5 100 (b) (a)(b) より,(x, y) = (0.0250, 0.0125) 質量は炭酸ナトリウム 0.025 106 = 2.65g, 水酸化ナトリウム 0.0125 40 = 0.500g c67-1 新快速のページ講義ノートシリーズ化学
実験器具 少なくともこの 4 つは覚えるビュレット 滴下するとき共洗いホールピペット 液体試薬を測り取る共洗いコニカルビーカー 滴定用の入れ物純水洗いメスフラスコ 溶液を入れる純水洗い 使用方法中和滴定や酸化還元の問題で, たまに問われることがあるのが, この器具の扱い方であ る 酸塩基や酸化還元滴定の問題の中に 1 題か 2 題混ぜて出題されることが多い ビュレット約 50cm くらいの長さのガラス管で, 上が入口, 下が出口となる 下にはコックがついており, 少量ずつ滴下することができる ホールピペット 約 30cm くらいの長さのガラス管で, 途中が膨らんでいる 標線 という線があり, 試薬の溶液を一定量吸い上げることができる 10ml, 20ml,30ml などがあり, 必要な体積のホールピペットを利用する なお, 口 で吸い上げる形になる スポイトのような駒込ピペットなどで代用することはで きない コニカルビーカー ラスコなどで代用可 滴定点を目で見るために使う入れ物 そのため他のビーカーや三角フ メスフラスコ必要な濃度の溶液を作るためのフラスコ 標線 が入っている 1l のメスフラスコを使えば, 簡単に c[mol/l] の溶液を作れる c[mol] の溶質をフラスコに入れ, 純水を標線より少し下まで注ぐ 少し混ぜた後, 標線に達するまでさらに純水を注ぐ 洗い方まず, ビュレットとホールピペットなどの試薬を計るものを水で洗って ぬれたままで使うとその水で濃度が変化してしまう また熱で乾燥させる と, ガラスが変形してしまうため, 測量値が変わってしまうので望ましくない ビュレット, ホールピペットは共洗いをする また, 純水で洗った場合は自然乾燥させてから使用する コニカルビーカーは単なる入れ物である 溶質のモル数が変化しなければよいので, 純水 洗いをする 共洗いは不適である 中のモル数が変わるからである メスフラスコも純水 で洗う どうせ標線まで純水を注いで調整するので, 純水で洗ってぬれたまま使用するのは まったく問題がない また, いずれの器具も純水で洗って自然乾燥するのは構わない 純水 共洗い 純水洗い+ 熱乾燥 共洗い+ 熱乾燥 ビュレット ホールピペット コニカルビーカー メスフラスコ c51-1 新快速のページ講義ノートシリーズ化学