セッション 1: 様々な分野で活用される人工衛星の技術 ハイパースペクトルカメラの開発とデータ利用 超小型衛星利用開拓信州ワークショップ 2010 年 10 月 25 日 青柳賢英北海道工業大学大学院
北海道における衛星利用 広大な土地を有し, 降雨の少ない北海道では, 他都府県と比較して早くから衛星リモートセンシングを用いた農業に取り組んでいる 農業リモートセンシング活用事例 土壌管理 米のタンパクマップ 小麦の刈り取り順マップ 小麦の生育状況図提供 : 北海道農業試験場 タンパクマップ提供 : 株式会社富士通北海道システムズ
農業リモートセンシングへのニーズ 現在, 実用化されている 米のタンパクマップ や 小麦の刈り取り順マップ 以外で 以下のニーズが高いことが判っている. (1) 畑作農家からのニーズ - 施肥, 防除 ( 害虫, 病害, 雑草 ) に関する時期や場所など, 勘に頼っている部分が多く, 新規就農者にとって敷居が高い. - 担い手不足から, 刈り取りなどで他業種との協業化が進んでおり, 誰もが解かりやすい畑作物の生育情報が必要になっている. (2) 酪農家からのニーズ - 草地にはイネ科, マメ科など複数種の牧草が生えている. 良い飼料にするためには, 生えている牧草の品種判別情報が必要である. - 良質な牛乳, 肉を生産するためにも飼料となる牧草の管理は重要である. (3) 農業普及 管理団体からのニーズ - 農業委員会, 農協, 共済組合などは, 農家の経営安定策のために, 作付けられている農作物の品目や作付面積などの現地調査をそれぞれ行っている. - 農家の経営安定政策が変更になり ( 品目横断的経営安定対策 :H19~), 管理対象面積が拡大し, 簡易に農作物の作付情報が知りたいというニーズが高まっている.
ハイパースペクトルとは? マルチスペクトルセンサ 地表情報と離散的な分光情報 (4~8band) の取得 高い空間分解能を持つ ハイパースペクトルセンサ ( カメラ ) 連続的な分光情報と地表情報の取得 観測対象の物性値の取得が可能 物質の識別 ( 分類 ) Compare Hyper to Multi Multispectral Hyperspectral 利用分野 植物, 農作物などの種別分類植生分布のモニタリング海水などの水質汚染状況の観測 etc 400 600 800 1000 Wavelength [nm] 400 600 800 1000 Wavelength [nm]
リモン技術ハイパースペクトル技術へのニーズ 業分野が農ニーになりコンバイン運行費用が低減のズ 米のタンパク情報 北海道米は, 品質にムラがなく, 美味しい米に 麦の刈り取り情報 育成状況を把握して, 刈り取る順番を決定することで, 効率的な作業が可能 畑作物の生育情報 < 新たなニーズ> 牧草の品種判別情報 農作物の作付情報があるーセズマルチスペクトルセンサハイパースペクトルセンサニを実現は限界をするバンド幅が広く, 作物毎 品種毎の計測に 計測バンドをピンポイントで設定することで作物毎, 品種毎に計測が可能 衛星データを早く 安価に 分析 加工 配信する仕組みにニーズがある ハイパースペクトルセンサの特性を生かした情報にニーズ - 広大な土地を有し, 降雨の少ない北海道では, 他都府県と比較して早くから衛星リモートセンシングを用いた農業に取り組み, 現在は Phase1 を完了し,Phase2 に突入している. - つまり, 衛星データから土壌状況を把握し, 土地改良など, 農作物に対して間接的に何か行うというのではなく, より積極的に直接作物の情報を取得し, より良い農作物を育てたいというニーズに変化している. - 農作物には多数の作柄, また作柄毎に複数の品種が存在し, 従来までのマルチスペクトルセンサでは対応 できなく, ハイパースペクトルセンサのニーズが高まっているといえる
ハイパースペクトルセンサの利用分野 農業分野 タンパクマップの作成 収穫適期の予測 作物毎の NDVI ( 正規化植生指数 ) のプロファイルを観測 品種分類 品種それぞれのスペクトル情報を教師データとして分類 林業 森林管理 環境分野 不法投棄現場の発見 * ハイパースペクトル応用学会 HP より一部抜粋
観測実験 定期観測 Detector HSC1701( 北海道衛星 ( 株 )) Item Specification (default) データ管理 Spectral range Spectrometer Band Spectral resolution Size(H D W) Weight Data handling Power consumption Interface CCD image sensor, 640 x 480 pixels 400~800nm Transmitting grating 81 bands 5nm 57mmx 140mm x 60mm 0.53 kg PC 2.5W(5V, 0.5A) USB, Video capture card 農場 品種ごとの生育情報の取得 収穫適期の予測 品種分類 データベース化
牧草の品種分類に関する基礎実験 HSC1701 代表的な牧草 3 種のデータ採取および画像分類を実施した ハロゲンランプ 基礎実験段階のため, 室内にて牧草を育成し, データ取得も室内で行った 観測対象 チモシー 最大尤度法による分類 アルファルファ RGB 表示 オーチャード 分類結果 ハイパースペクトルセンサは, 品種ごとの作物管理に有効なセンサである
ハイパースペクトルセンサの開発状況 センサ名称センサ重量観測波長波長分解能 S/N 比 ( 可視域のみ ) 空間分解能 打上げ年 ( 予定 ) Hyperion (NASA) 50 kg 400-2500 nm 10 nm 140-190 30 m 2000 CHRIS (ESA) 14 kg 400-1050 nm 5-12 nm 100-200 25-50 m 2001 高性能ハイパースペクトルセンサ等研究開発プロジェクト ( 経済産業省 ) 130 kg 400-2500 nm 10 nm 450@620 nm 30 m 2014 EnMAP MAP(DLR) 250 kg 420-24502450 nm 10 nm 500@495 nm 30 m 2014 PRISMA (Italy) <100 kg 400-2405 nm 10 nm 600@650 nm 30 m 20xx COMIS (Korea) 4.3kg 400-1050 nm 5 nm - 27m 20xx
北海道衛星プロジェクト 北海道衛星 大樹 とは 宇宙産業活性化 重量 50kg の超小型地球観測衛星 ユーザーニーズに応える性能を持った超小型衛星 ハイパースペクトルセンサの実用化 北海道衛星 大樹 イメージ図 ミッション ハイパースペクトルセンサによる農業分野のリモートトセンシング
衛星搭載用ハイパースペクトルカメラ HSC Hyper Spectral Camera 農業リモートセンシングへの実用レベルでの応用が可能なセンサ 超小型衛星に搭載可能な小型 (10kg 以下 ) のセンサ エンドユーザーのニーズ ( アプリケーション ) に合わせた運用が可能なセンサ 短納期 即応性の高いセンサ 北海道衛星 のみに限定せず様々な衛星への搭載が可能なセンサ
衛星搭載用ハイパースペクトルカメラ Optical telescope Spectrometer Detector assembly 光学系のみ表示 観測法式プッシュブルーム GSD 15m, 観測幅 15km 観測波長 450 1000nm 波長サンプリング間隔 7nm( 平均 ) フレームレート 500Hz ダイナミックレンジ 10bit 搭載メモリ容量 32GByte 装置重量 10kg 通信 I/F Space Wire
システム構成 HSC Hyper Spectral Camera Optical instrument Optical Telescope Spectrometer Detector Camera control Image data MDHS (Mission Data Handling Subsystem) SSD (Solid State Drive) Hyperspectral data FPGA Space Wire Satellite Bus EPS C&DH
検出器 Requirement 2 次元検出器 ( 空間方向 波長分散方向 ) 500Hz 以上のフレームレート 部分読み出し機能 (ROI: Region of Interest) 読み出しバンドの選択が可能 ( 読み出し波長域の選択 ) 裏面照射型 CMOSイメージセンサ INTEVAC, Inc. (USA) 素子サイズ :10.8μm 素子数 :1280 1024pixel フレームレート :30Hz ( フルフレーム ) ROI を用いることにより,1000pixels 75bands, i l d 読み出し速度 500Hzを実現する
HSC 光学系 - 設計概要 Optical telescope Spectrometer Slit Prism 開口径 15cm 焦点距離 446.4mm F#3.0 望遠鏡 カタディオプトリック型 視野角 : 1.38 degrees ees 補正レンズは球面石英で構成 Detector
分光器 F# 3.0, 倍率 1:1 観測波長範囲 : 450 1000nm 分散素子 : 直視プリズム 近赤外域の波長サンプリング間隔を広げているため, 近赤外域での S/N 比が高い レンズ構成全面球面 分散素子は, 透過型グレーティングへの変更が可能 波長サンプリング間隔をユーザーニーズに合わせて変更できる 20 Spectral samplin ng distance [nm/ /pixel] 16 12 8 4 0 450 550 650 750 850 950 Wavelength [nm]
HSC 光学系 - スポットダイアグラム 1000nm 900nm 700nm 500nm 450nm 1.000, 0.000000 0.693, 0.000 deg 1 画素 ( 10.8μm) 0.500, 0.000 0.347, 0.000 deg 0.000, 0.000 0.000, 0.000 deg
データ処理装置 北海道衛星 のみに限定せず様々な衛星への搭載を可能にするために, 独自にデータ処理装置を持つ 大容量のデータストレージとして,SSD (Solid State Drive) を搭載 衛星バス部とのI/FにSpace Wireを採用 Hyperspectral sensor optics Detector / driver Camera control data MDHS (Mission Data Handling Subsystem) Image data (10bit) SSD (Solid State Drive) HS image data FPGA (Virtex-V) V) Satellite Bus Space Wire router Communication Subsystem C&DH Command & Data Handling
主要なデータ処理内容 ハイパースペクトルデータは1シーンあたり約 150MByte( ) となるため超小型衛星の通信容量では単独でのダウンリンクが厳しい データ処理装置は, データ量の削減を目的として以下の機能を実装する 1. ダウンリンクするバンドの選択 ( 以下例 ) 1 シーンを 1000pixel 1000pixel 75band 2Byte と定義 RGB + NIR バンド (4 バンド, マルチスペクトルセンサとしての運用 ), NDVI ( 正規化植生指数 ) 算出バンド (2 バンド ) 観測対象ごとの特徴スペクトル (10 バンド程度を抽出する.) 2. 画像の切り出し 1/2 シーン,1/4 シーン
観測データ配信システム ( 仮 ) データ加工 大気補正 幾何補正 軌道上での校正結果の付加 プロダクト配信 プロダクトレベル ( 未定 ) 撮影リクエスト管理 撮影ポイント, 要求ダウンリンク波長などの設定 ユーザーサービス データ解析など
今後の予定 FY2010 FY2011 Design Software Fabrication Ground Test Design Next HSC 2010 年度は,HSCのプロトフライトモデルの開発 試験を実施する 2011 年度には, プロダクト生成用のソフトウェア等の運用ツールの開発を実施する 以降は,HSCの空間分解能の向上, 赤外域への波長範囲の拡大などを目標としてハイパースペクトルセンサの設計を実施し, 様々なアプリケーションに対応可能なセンサシリーズとして開発を進める
北海道における超小型衛星の研究開発成果 Fig: HIT-SAT with the Separation mechanism (HIT-SAT, Hokkaido Institute of Technology SATellite) Table: Specification of the HIT-SAT Item Specification Mass 27k 2.7 kg Size 12 13 12 cm 3 Power 2.0 W Orbit Sun-syncrhonous,277-633 km Attitude control Spin stabilization(3-axis MTQ) Communication Tx: 430MHz, Rx: 145MHz Launching vehicle M-V#7 by ISAS/JAXA HIT-SAT was wsdeveloped as a experiment epe e model of the TAIKI bus-subsystem and launched successfully of Sep. 23, 2006 as a sub-payload of M-V#7 launch vehicle (ISAS/JAXA) The very small bus subsystem including lots of COTS components have been demonstrated in orbit
S/N 比 n 120 SNR = 2 2 2 σ + σ + σ shot 0 stray σ shot : number of electrons shot noise 80 σ 0 : number of electrons Detector noise σ stray : number of electrons stray light ise Ratio Signal to Noi 140 100 60 40 HSC- Hyper Spectral Camera, Signal to Noise Ratio (Albedo 30%) λ n = Ls ( λ) At Ω Δλ QE( λ) ηopt T hc n : number of electrons of signal h : Planck s constant c : Light speed λ : Wavelength L s : Spectral Radiance A t : Telescope Aperture area Ω : Solid angle QE(λ) : Quantum efficiency η opt : Optical transmission T int : Integration Time(1/ Frame rate) int 20 0 450 500 600 700 800 900 1000 Wavelength [nm] Parameter Solar radiance model Table. Simulation parameters Value Gray body@5900k Zenith angle: 23deg Atmospheric model Kurucz (2005) Input radiance (Albedo0.3) 180 [W/m 2 /sr/nm] @ 600nm 超小型衛星利用開拓北海道ワークショップ 2010/8/24