Model-Based Calibration Toolbox 4.0 複雑なパワートレインシステムのキャリブレーション Model-Based Calibration ToolboxTM は 統計モデリングと数値最適化を使用して複雑なパワートレイン システムの最適なキャリブレーションを実行するための設計ツールを提供します 従来の手法では網 羅的なテストが必要となるような 複雑で自由度の高いエンジンに対して 実験計画の定義 統計モ デルの開発 キャリブレーションとルックアップ テーブルの生成を行うことができます Model-Based Calibration Toolbox と MATLAB および Simulink を併用することにより エンジン性能 排出ガス お よび燃費の最適なバランスを体系的に判断するプロセスを構築し 統計モデルを制御設計 Hardware-in-the-loop テスト またはパワートレイン シミュレーションに再利用できます 主な機能 実験計画 統計モデルのエンジン データへのフィッティング および最適なキャリブレーションテーブル の生成を行うための対話型のワークフロー ツール 最適化された実験計画を作成するための 実験計画法に基づく Classical デザイン Space-filling デザイン および Optimal デザイン 計測データから精度の高い非線形統計モデルを作成する手法 データへの精度の高いフィッティングを行うための線形回帰および放射基底関数 (RBF) モデリング手法 経験的に用いられるモデル タイプからなる 組込み およびユーザ定義可能なライブラリ 最適化結果をエンジンの運転領域内に留めておくための境界モデリング 個々の動作点または運転サイクル全体にわたるキャリブレーションの問題を解決するための最適化および トレードオフ ツール モデル 最適化結果 または計測データからルックアップ テーブルを生成するツール ETAS INCA および ATI Vision に対し キャリブレーション結果をインポート/エクスポートするためのリ ンク機能 実験計画の設計と管理 Model-Based Calibration Toolbox により 実験計画法に基づいた実験計画の作成が可能です この実験 計画法により エンジン応答の形状を決定するのに必要な実験計画のみを適用することができ 計測 時間を短縮することが可能です Model-Based Calibration Toolbox は 以下を含む実績のある幅広い実験計画手法を提供します 1
Classical: Box-Behnken Central-Composite および Full Factorial Space-filling: Latin Hypercube および Lattice Optimal:V D および A 最適性基準 実験計画法により エンジン ダイナモメータ上で計測される実験計画点を定義することが可能です そして 計測データを Model-Based Calibration Toolbox に取り込んでエンジン モデルを開発することが できます Model-Based Calibration Toolbox の Design Editor を使用すると 実験計画法の詳細な数理的背景を理解 しなくても 実験計画の作成 追加 および視覚的な比較を行うことができます Design Editor でのSpace-fillingデザインの定義 (左) と Design Evaluation Tool を使用した実験計画の特性評価 (右) Model-Based Calibration Toolbox は 実験計画を次の 3 つの広く使用されているテスト戦略に統合しま す 1 段階 (One-state) 2 段階 (Two-stage) 動作点毎 (Point-by-point) 1 段階テスト戦略 1 段階テスト戦略は テスト間で単一の変動源を取り入れます この戦略は 変数スクリーニングやデ ザインスペースのマッピングを行う場合に使用します 実験計画法は通常 この種の手法ですべての 変数を同時に変更する実験計画を生成するために使用されます Model-Based Calibration Toolbox では 1 段階テスト戦略を使用して 複数の変数を持つ複雑なシステム での変数間の関係を識別し モデリングすることが可能です 例えば 応答曲面モデルを使用してエ ンジン性能の特性を得るために Space-fillingデザインによってエンジン回転数 負荷 および空燃比 2
のアクチュエーター設定を定義し エンジンを異なる動作点でテストしてそれらのアクチュエーター 設定を制御することができます 2 段階テスト戦略 2 段階テスト戦略は ローカルとグローバルの 2 つの変動源を取り入れます この戦略は 例えば特定 のエンジン回転数 負荷 可変バルブトレイン設定 および空燃比で点火進角をスイープしてエンジ ンデータを収集する場合のように 他の変数を一定に保ったまま ある 1 つの制御変数をスイープす るような場合に使用します この例では ローカル変動は点火進角を変化させたときにテスト内で発 生し グローバル変動はエンジン回転数 負荷 可変バルブトレイン設定 および空燃比を変化させ たときにテスト間で発生します Model-Based Calibration Toolbox では ローカル およびグローバル モデルを 2 段階でフィッティング することで ローカル およびグローバルの変動を別々に評価することが可能です 2 段階モデリング を使用し エンジンの挙動を制御する全ての変数間の複雑な関係をマッピングすることができます エンジンデータは テスト毎に エンジン回転数 負荷 可変バルブトレイン設定 および空燃比を一定に維持 し 点火進角をスイープすることにより収集されます 3
一連のテストは エンジン回転数 負荷 可変バルブトレイン設定 および空燃比の異なる値ごとに実行されま す そして それぞれのテストに対し モデルがフィッティングされます ローカル フィッティング Uローカル モデルを使用して エンジン回転数 負荷 可変バルブトレイン設定 および空燃比が変化するときの エンジンの挙動を示すグローバル モデルが算出されます (グローバル フィッティング) 4
グローバル フィッティングはエンジン挙動の複数の異なる面に対して実行されます (画像提供: Ford Motor社) 動作点毎テスト戦略 2 段階テスト戦略でエンジン性能の応答を十分な精度でモデリングできない場合は 動作点毎テスト戦 略を使用することにより エンジンの各動作点で 最適なエンジン キャリブレーションテーブルを生 成するために必要な精度を持つ統計モデルを作成できます Model-Based Calibration Toolbox の動作点 毎テスト戦略を使用して 現代の多段噴射の ディーゼル エンジンやガソリン直接噴射式エンジンのモ デリングとキャリブレーションを正確に行うことができます エンジン運転領域のモデリング データを収集してエンジンをモデリングする際 物理的にテスト可能なシステムの運転領域を考慮す る必要があります Model-Based Calibration Toolbox では 実験計画に制約を追加し テストとシミュ レーションが可能な領域を記述する境界モデルを作成することができます サポートされている境界 モデルの種類は次のとおりです 凸包 (データ点を含む最小の凸集合) Star-shaped (境界上にあるすべてのデータ点の補間) 5
範囲 (各入力のデータ範囲) 楕円体 (すべてのデータ点を含む最小体積の楕円体) 2 段階モデルと動作点毎モデルでは これらの種類の実験計画用にその他の境界モデルも提供されま す Boundary Editor を使用して 実行可能なテスト領域とそれに関連するテスト条件の定義と可視化を行います データ解析と応答モデリング Model-Based Calibration Toolbox は MATLAB のデータ解析および可視化関数 統計関数 および最適 化関数を使用して エンジン挙動のモデルのフィッティングとグラフィカルな表現を行います ま た 試験室で計測された計測データを当初の実験計画点と対応付ける際に役立つ Model Browser も提供 されます Model Browser を使用して 収集したデータに対して異なるモデル タイプを対話的にフィッ ティングさせることができます 6
エンジン用の最適化された実験計画 (左) と高度なエンジン モデル (右) データの前処理 Model-Based Calibration Toolbox には エンジン データを解析してモデリングに適した形式に変換する ための Design Editor が用意されています Design Editor では フィルタリングによる不要なデータの 除去 テストに関する変更履歴を記録するノートの追加 生データの変換やスケーリング 計測デー タのグループ化 計測データの実験計画への対応付けなど さまざまな前処理の操作を行うことがで きます 7
Data Editor を使用してテストのサブセットを選択し 2 次元プロット 3 次元プロット 表などの形式でデータを 表示します モデルの選択とフィッティング Model-Based Calibration Toolbox には トルク 燃費 排出ガスなどのエンジン挙動のモデリングを行 うための経験的なモデル タイプのライブラリが用意されています モデルには 多項式 スプライ ン 放射基底関数 (RBF) 成長モデル ユーザー定義の MATLAB ファイル Simulink モデルなどが含 まれます 8
Model Browser を使用して ガソリン エンジン用の異なるモデル タイプをフィッティングし 評価します 最適なキャリブレーションテーブルの生成 Model-Based Calibration Toolbox の Calibration Generation (CAGE) ツールは エンジンの電子制御装置 (ECU) 用のルックアップ テーブルのキャリブレーションを実行できるグラフィカル ユーザー インター フェイスです CAGE ツールを使用することにより Model Browser で作成したモデルを使用して ECU ソフトウェアのルックアップ テーブルを作成し 最適化することができます CAGEツールで は 以下のことが行えます 実験的なエンジン モデルから直接 最適なキャリブレーション結果の作成 キャリブレーション結果と計測データの比較 ETAS INCA および ATI Vision へのキャリブレーション結果のエクスポート エンジン性能の最適化 CAGE ツールでは 点火 燃料噴射 吸排気バルブのタイミングなどのエンジン機能を制御するルッ クアップ テーブル用の最適なキャリブレーション結果を生成することができます これらの機能のキ ャリブレーションには一般的に エンジン性能 燃費 信頼性 および排出ガスの間のトレードオフ が含まれます CAGEツールにより 以下のことが行えます 9
相反する設計目的間のトレードオフ 多目的最適化の実行 複数の制約の取り扱い 典型的なモード走行を想定した 重み付け最適化 組み込み またはカスタムの最適化ルーチンの利用 カスタム関数によるテーブル値の操作 エンジン応答モデルに基づくテーブルの作成 (左) と エンジン制御機能の最適化された設定の表示 (右) 滑らかなキャリブレーション テーブルの生成 複雑なキャリブレーション問題では テーブルの領域によって異なる最適化が必要となる場合があり ます テーブル作成ウィザードを使用すると 既存のテーブル値を通って滑らかに補間された複数の 最適化結果からテーブルをインクリメンタルに作成することができます CAGE ツールは テーブル マスクやロックされたセル (固定テーブル値) を滑らかに通るように最適化結果を外挿します これら の機能は ルックアップテーブルの異なる領域で別々の最適化を行う場合に使用します また 勾配制約を適用して 最適化ベースおよび機能ベースのテーブル作成におけるテーブルの滑ら かさを制御することもできます 複数の運転モードを持つエンジンの最適化 Model-Based Calibration Toolbox では 複数の運転モードを持つエンジンに対して最適なキャリブレー ションテーブルを生成することができます 複合モデル タイプを使用して 異なる運転モード下での エンジンの応答を表す複数のモデルを組み合わせることが可能です CAGE ツールで複合モデルを使 用すると すべてのモードに対応する単一のテーブルを作成するか モードごとに個別にテーブルを 作成するかのどちらかを目的として 複数の運転モードを持つエンジンの最適なキャリブレーション テーブルが生成されます 10
推定器機能のキャリブレーション ECU ソフトウェアには 多くの場合 トルク およびノック限界のような 量産車では測定が難し い または測定にコストのかかる状態量を推定する機能が含まれます CAGE ツールでは Simulink ブ ロック ダイアグラムを使用してルックアップテーブルから構成される推定器の機能を視覚的に記述 し これらのルックアップ テーブルを作成し そしてその推定器を 計測されたエンジン データから 作成された実験的なエンジン モデルと比較することができます Simulink でのシミュレーションの実行 Model-Based Calibration Toolbox で開発した統計モデルは Simulink にエクスポートしたり そのモデル をHardware-in-the-loop (HIL) テストに使用したりすることができます プラント モデリングと最適化 Model-Based Calibration Toolbox で開発した統計モデルは 従来の数学的な物理モデリングではモデル 化が難しい実世界の複雑な物理現象を取り込むことができます 例えば トルク 燃費 および排出 ガス (HC CO NOx CO2 など) のモデルを Simulink にエクスポートしてパワートレイン適合 燃 費 性能 および排出ガスのシミュレーションを実行し パワートレイン コンポーネントの選択 運 転性に関連する制御 および排出ガスに関連する制御を向上させることができます ユーザーが作成 したモデルの主要な物理コンポーネントは計測されたエンジン性能データに由来しているため これ らのモデルの方が 実世界のシステムの物理現象が完全には取り込まれていない 物理法則に基づく 詳細モデルよりも正確な結果が得られます また 既存の高詳細度のエンジン モデルから正確な代替の統計モデルを作成することで シミュレー ションの実行時間や計算負荷を減らすこともできます 例えば Model-Based Calibration Toolbox を使 用して Simulink モデルあるいはサブシステムから 関心のある運転領域において正確で高速実行可 能なモデルを生成し 実行時間の掛かるサブシステムをその代替の統計モデルに置き換えて シミュ レーション時間を短縮することが可能です 11
Hardware-in-the-loop テスト Simulink にエクスポートした Model-Based Calibration Toolbox モデルをハードウェアによるリアルタイ ム シミュレーションに使用して ECU センサーやアクチュエーターのハーネスをプラント モデルで高 速かつ正確にエミュレートすることができます Model-Based Calibration Toolbox によるモデル開発に は体系的なプロセスが活用されるため 現在の HIL プラント モデル開発技術に関連するボトルネック が軽減され ECU アルゴリズム設計の検証をより早期に行なうことができます リソース 製品詳細 デモ 動作環境 www.mathworks.com/products/mbc オンライン ユーザー コミュニティ www.mathworks.com/matlabcentral 評価版ソフトウェア www.mathworks.com/trialrequest 技術トレーニング サービス www.mathworks.com/training 営業窓口 www.mathworks.com/contactsales サードパーティ製品とサービス www.mathworks.com/connections テクニカル サポート www.mathworks.com/support 世界各地のお問い合わせ先 www.mathworks.com/contact 2010 The MathWorks, Inc. MATLAB and Simulink are registered trademarks of The MathWorks, Inc. See www.mathworks.com/trademarks for a list of additional trademarks. Other product or brand names may be trademarks or registered trademarks of their respective holders. 12