p.1 p.2 3. オペアンプ回路の基礎 3.1.2 理想オペアンプ Vcc A: Open Loop Gain 3.1 オペアンプとは ~ 計測基礎回路 ~ 1 2 Zin Zout =A(12) Vcc 理想条件下のオペアンプは上記のような等価回路として考えることができる 1. 2. 3. 4. 一般的な回路記号 新 JIS 記号 5. 6. 市販製品外観例 内部の構成回路例 (NJM4580DD) オペアンプを用いる利点 現実の特性は理想通りにはいかない上に 例えば利得の大きなオペアンプを設計すると帯域は狭くなるなど相 反する特性も持つ しかし 実際の回路作成においてはすべての理想条件が必要な場面は少なく むしろ何か の特性に優れた ( 特化した ) 製品が多く作られている 3.1.1 オペアンプの演算 : 差動と増幅 V1 Positive power source Vcc 増幅度 :A V2 各特性の詳細はこのあと勉強していこう Vcc Negative power source
p.3 p.4 3.1.3 各種パラメータとデータシート N Package Power Dissipation 670mW ( N Package)
p.5 p.6 A. 絶対最大定格 Ex. Power Dissipation mw NJM4580D LF356B 3.2 デシベル表現 デシベルの定義増幅器を用いるときは倍率が非常に大きいので対数をベースとしたデシベル表現がよく用いられる db(decibel) は, もともと電力利得を対数表現したものである B. 増幅度 (Open Loop Gain DC Gain AVOL AV などと表記 ) NJM4580D LF356B LF356 の表記に注意 db ( 倍 ) db ( 倍 ) C. オフセット電圧 と表すが, 電子回路では電圧利得を用いる事が多いので第一項を電圧利得のデシベル表示として用いている この対 数を用いるメリットは 1) 大きな桁数を少ない桁数で表現できる事,2) 乗算, 除算が足し算, 引き算になる事, があ げられる A=1000 倍なら A= 2 倍なら D. GB 積 (GainBandwidth 積 ) NJM4580D LF356B A=1/100 倍なら A=1( 出力 = 入力 ) なら E. 最大出力電圧 ±15V 電源負荷 2kΩ NJM4580D LF356B dbm( ディービーエム と読む) とは? それぞれ個別の設定基準に対する比を表すときに dbm や dbμv のように後ろに添え字がつく dbm は伝送路の終端抵抗 ( ターミネータ ) の電力比に良く用いられ,1mW を 0dBm と定義する ただし,dBm を電圧基準に換算するときは, その電力を消費している抵抗がいくらかで変わってくる ターミネータには 50Ωや 600Ωが使われるが, それぞれ同じ 1mW だとしても電圧基準換算ではV PR より 50Ωでは 0.224V,600Ωでは 0.775V が基準電圧となる oct と dec について縦軸を db 表現するように, 横軸, 特に周波数も対数表示される ( この場合, ただの常用対数 ) そして loglog プロットのグラフで 周波数が 100kHz 高くなったら電圧は 20dB 減衰する と言うような変化率表現をする この表現で, 横軸に関しては一般的に oct と dec が用いられる oct は octave のことで 2 倍 を,dec は decade のことで 10 倍 を意味する 20 db/oct とは, F. Slew Rate slew= たくさんの 大量の NJM4580D LF356B 20 db/dec とは,
p.7 3.3 オペアンプの基本回路 ( 理想条件 ) 3.3.2 非反転増幅回路 p.8 3.3.1 反転増幅回路 R2 a R2 R1 R1 理想オペアンプ回路として 次の入力波形に対する出力を考えよう 理想オペアンプ回路として 次の入力波形に対する出力を考えよう : 0.5V/DIV, 100ms/DIV 0.1V/DIV, 100ms/DIV : 0.5V/DIV, 100ms/DIV 1V/DIV, 100ms/DIV : 0.5V/DIV, 100ms/DIV : 5V/DIV, 100ms/DIV 1V/DIV, 100ms/DIV : 5V/DIV, 100ms/DIV R1=1kΩ, R2= 5k Ω Vcc=±15V 2V/DIV, 100ms/DIV R1=10kΩ, R2= 20k Ω Vcc=±15V : 5V/DIV, 100ms/DIV R1=1kΩ, R2=15k Ω Vcc=±10V R1=1kΩ, R2= 4k Ω Vcc=±15V R1=20kΩ, R2= 180k Ω Vcc=±15V
p.9 p.10 3.3.3 加算回路 3.3.4 バッファ回路 ( ボルテージフォロワ ) 任意の回路 ( 被計測回路 ) 反転増幅による増幅回路 Rb=15k E1 E2 E3 E4 R1 R2 R3 R4 Rf E=4V R1=10k R2=10k a Ra=5k b 上図のように ある回路の出力を反転増幅回路で増幅することを考えよう R2 の両端電圧はこの回路の増幅度 A は出力 は R2 の両端電圧を A 倍するのだから 被計測回路をテブナンの電圧源等価回路にしてみよう R1=10k Rs= Rs=5k E=4V R2=10k Vs= Vs=2V 理想オペアンプによる 2 入力加算回路に次に示す波形が入力された場合のを考えよう ( 反転に注意!) 電圧源等価回路に反転増幅回路を接続してみると 1 Rb=15k 1 R R 2 Vs=2V Rs=5k a Ra=5k 2 R b すべて 2V/DIV, 100ms/DIV
p.11 p.12 負荷効果 バッファ回路を用いると出力はどうなるか? Vs=2V Rs=5k a b Ra=5k Rb=15k どうすれば負荷効果を減らすことができるだろうか? 入力インピーダンス Zin が 負荷効果による S/N 比の違いについて考えてみよう Zout Zin Vs 出力インピーダンス Zout が Zout=1kΩ Vs=10mV Amp A Zin Amp B Zin どこかにこのような特性を持っている素子はないだろうか? 被増幅回路 A=100, Zin=1kΩ, Output noise=1mv A=100, Zin=1MΩ, Output noise=1mv 入力インピーダンスの異なる二つの増幅回路でそれぞれ増幅を行う どちらの回路も出力換算で 1mV のノイズが混入 すると仮定しよう バッファ回路 増幅回路 A 増幅回路 B
p.13 p.14 3.3.5 コンパレータ 3.3.6 差動増幅回路 R2 1 2 1 2 R1 R3 R4 VCC=±5V VCC=5V (t) (t) VCC=0V: 通称片電源 Input:2V/DIV, 50ms/DIV Input:2V/DIV, 50ms/DIV (t) (t) (t) (t) Output:5V/DIV, 50ms/DIV Output:5V/DIV, 50ms/DIV 図のような のこぎり波 (=1) とサイン波 (=2) を数のような 10V 正の片電源駆動コンパレータに入力した 出力はどうなるか? 1 2 電源電圧は 10V の片電源 Output [V] Input [V] 1 2 1 0 0 0.1 0.2 t[s] 1 t[s] 入力 1 入力 2 すべて 0.5V/DIV,100ms/DIV
p.15 p.16 CMRR: Common Mode Rejection Ratio 3.3.7 積分回路 ( ローパスフィルタ ) C の初期電荷はゼロ ±VCC=±10[V] 時定数 RC による積分動作の違い 入力波形 ( メモ欄 ) 1 1: 時定数 Rc が小さい (1/RC が大きい ) 場合 2 2: 時定数 Rc が程々に小さい (1/RC がまぁまぁ大きい ) 場合 3 3: 時定数 Rc が十分に大きい (1/RC が小さい ) 場合
p.17 p.18 3.3.8 微分回路 ( ハイパスフィルタ ) 微分回路 積分回路の注意事項 C の初期電荷はゼロ ±VCC=±10[V] (t) 入力波形 1 C R (t) 時間は 500ms/DIV 入力はすべて 1V/DIV, 出力は 2V/DIV RC=1 として 1 矩形波のエッジ検出 : 理想パルス 積分回路における直流成分の影響 入力波形が直流成分をもつ場合 ( 平均値がゼロではない場合 ) は その成分がずっと積分されていくので時間がたつと ±Vcc に飽和する. オペアンプ回路ではゼロ入力の間に放電が起きない 通常 理想ではないオペアンプにはオフセット電圧のような直流ノイズがあるのでオフセット調整をしておかないと飽和が起きる 1 微分回路におけるノイズの混入 微分波形にノイズが入った場合 当然そのノイズの 入力波形 2 2 リニア変化 フラット部分を持つ波形 変化分も出力される. 一般にノイズは急激な変化をするのですぐに飽和レベルとなる. この場合 出力は 変化の割合 なのでノイズのレベルそのものは小さくても変化時間が短ければ十分に 2 大きなノイズとなる したがって高周波ノイズにはかなり注意しなければならない 微分回路は三角波の傾き変化検出や矩形波のエッジ 検出などに用いられるが上記のことを理解しておかな 入力波形 3 3 直流成分を持つ場合 ( 波形は 2 と同じ ) ( メモ欄 ) ければ致命的な誤動作の原因となる. 3
p.19 理論と実践 1V R1 R2 あるセンサの出力である 1V を 反転増幅回路を使って10V として次の回路に出力したい したがって 抵抗比は R1 : R2 = 1 : 10 であればよい 次の組み合わせはすべて A=10 を満たすので どの組み合わせ でもよいことになる しかしながら 実際にはそうではない 設計するうえで何を考慮し忘れているのだろうか? NJM4580DD Vcc=±15 V A) 1Ω : 10Ω, B) 1kΩ : 10kΩ, C) 10MΩ : 100MΩ