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3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

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目次 1. はじめに 2. 化審法における生態毒性試験 3. 化審法におけるリスク評価手法と評価結果 4. その他の情報 2

化審法における動植物の概念 動植物 生活環境動植物 旧第三種監視化学 : 動植物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあるもの 第二種特定化学 : 生活環境動植物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあるもの 高次捕食動物 第一種特定化学 : 高次捕食動物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれがあるもの 化審法逐条解説より引用 3

化審法における動植物の概念 動植物 : 動植物一般 生活環境動植物 : その生息又は生育に支障を生ずる場合には 人の生活環境の保全上支障を生ずるおそれがある動植物 高次捕食動物 : 生活環境動植物に該当する動物のうち 食物連鎖を通じて化学を最もその体内に蓄積しやすい状況にあるもの 化審法逐条解説より引用 4

OECD における化学の試験に関する取組 Test Guideline 化学の安全性等に関する試験方法を国際的に調和するために 統一的な試験方法を作成 化審法関連の試験方法も OECD TG に原則整合 GLP ( 優良試験所基準 ) 試験データの信頼性を確保するために 試験施設が一定の基準を満たしていることを監視当局が確認 監視当局は定期的に海外の監視当局のメンバーからなる国際評価チームによる現地評価を受ける MAD ( データの相互受理 ) Test Guideline 及び GLP に基づくデータであれば 他国にて実施された試験データであっても相互受理 試験の重複が回避され 貿易の円滑化を促進 5

1. はじめに 2. 化審法における生態毒性試験 3. 化審法におけるリスク評価手法と評価結果 4. その他の情報 6

化審法における生態毒性試験 TG201: 藻類生長阻害試験 TG202: ミジンコ急性遊泳阻害試験 TG211: ミジンコ繁殖試験 TG203: 魚類急性毒性試験 TG210: 魚類初期生活段階毒性試験 TG218: 底質添加によるユスリカ毒性試験 TG206: 鳥類の繁殖に及ぼす影響に関する試験 7

エンドポイントの定義 ( 藻類生長阻害試験 ミジンコ急性遊泳阻害試験 魚類急性毒性試験 ) LC 50 ある特定期間内 ( 記載しなければならない ) に供試生物の 50% を死亡させたと算定される試験溶液中の被験濃度をいう ECx ある特定期間内 ( 記載しなければならない ) に供試生物の生長 遊泳 繁殖等を x % 減少させたと算定される試験溶液中の被験濃度をいう LOEC 暴露期間中に 対照区と比較して 被験が供試生物の繁殖等に統計的に有意な影響 (p<0.05) を与えていると観察される最低の試験濃度をいう LOEC より高濃度な全ての試験濃度区では LOEC で観察されるのと同等以上の有害な影響が観察されなければならない これらの条件が満たされない場合は どのようにして LOEC や NOEC を選択したかの十分な説明がなされなければならない NOEC LOEC より一段階下の試験濃度で 対照区と比較したとき 暴露期間中に統計的に有意な影響 (p<0.05) を与えない最高の試験濃度をいう 新規化学等に係る試験の方法について (http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/files/about/laws/laws_h230329-5_110331.pdf) 8

藻類生長阻害試験 推奨種 Pseudokirchneriella subcapitata が推奨 Desmodesmus subspicatus など 他の種を用いてもよい 暴露期間 原則として 72 時間 試験濃度 少なくとも 5 濃度区を等比級数的にとる 0~75% の生長阻害を起こす範囲が含まれることが望ましい 試験の有効性 対照区の生物量が暴露期間中に少なくとも 16 倍に増殖すること 対照区の毎日の生長速度の変動係数が暴露期間を通じて 35% を超えないこと 対照区の繰り返し間の生長速度の変動係数が 7% を超えないこと エンドポイント EC50: 生長に対する半数影響濃度 NOEC: 生長に対する無影響濃度 9

ミジンコ急性遊泳阻害試験 推奨種 Daphnia magna が推奨 Daphnia pulex など 他の Daphnia 属の種を用いてもよい 暴露期間 原則として 48 時間 試験濃度 少なくとも 5 濃度区を等比級数的にとる 最高試験濃度区では 100% の遊泳阻害が起こること 最低試験濃度区では影響が観察されないことが望ましい 試験の有効性 対照区において 10% を超えて遊泳阻害されたり 水面に浮いたりしないこと 溶存酸素濃度は 暴露終了時において 3 mg/l 以上であること エンドポイント EC50: 遊泳に対する半数影響濃度 10

魚類急性毒性試験 推奨種 メダカ ( ヒメダカ ) が推奨 コイ ニジマス ファットヘッドミノーなどを用いてもよい 暴露期間 原則として 96 時間 試験濃度 少なくとも 5 濃度区を等比級数的にとる 最高試験濃度区ではすべての魚に致死影響が起こること 最低試験濃度区では影響が観察されないことが望ましい 試験の有効性 対照区の死亡率が暴露終了時に 10% を超えないこと 溶存酸素濃度が暴露期間中少なくとも飽和酸素濃度の 60% を維持していること 被験の濃度が暴露期間中十分維持されていることが明らかであること エンドポイント LC50: 半数致死濃度 11

OECD Environmental Health and Safety Publications Series on Testing and Assessment No.23 Guidance Document on Aquatic Toxicity Testing of Difficult Substances and Mixtures 試験中に分解するは? 光分解するは? 難水溶性の調製方法? 濃度維持が困難な場合の暴露濃度算出方法は? 半減期 >3 日 : 親を試験 3 日 > 半減期 >1 時間 : 個別検討 1 時間 > 半減期 : 変化物を試験 ミジンコ及び魚類の急性毒性試験であれば暗所で 藻類は暗所では不可 不溶物の除去にフィルターろ過を用いるのであれば孔径 0.22 ~0.45μm が検出されない場合は 測定法の検出限界を使用 検出されたが定量されない場合は 測定法の定量限界の半分を使用 12

1. はじめに 2. 化審法における生態毒性試験 3. 化審法におけるリスク評価体系と評価結果 4. その他の情報 13

上市 化審法の体系 上市前の事前審査 上市後の継続的な管理及び規制により 化学による環境汚染を防止 新規化学 第一種特定化学難分解 高蓄積 人への長期毒性又は高次捕食動物への長期毒性あり 放環出境を中回へ避の 製造 輸入許可制( 必要不可欠用途以外は禁止 ) 政令指定製品の輸入禁止 回収等措置命令等 事前審査 監視化学難分解 高蓄積 毒性不明 等使に把を用握詳状細況 第二種特定化学人健康影響 生態影響のリスクあり 製造 輸入実績数量 詳細用途等の届出義務 放環出境を中抑へ制の 製造 輸入 ( 予定及び実績 ) 数量 用途等の届出 必要に応じて予定数量の変更命令 取扱についての技術指針 政令指定製品の表示等 事前確認等 高濃縮でなく低生産 ( 年間 10 トン以下 ) 少量新規 ( 年間 1 トン以下 ) 中間物等 ( 政令で定める用途 ) 優先評価化学 一般化学 国がリスク評価 詳用有細状害に況性把等や握を使大使ま用か状に況把等握を 製造 輸入実績数量 詳細用途別出荷量等の届出 有害性調査指示 情報伝達の努力義務 製造 輸入実績数量 用途等の届出 低懸念高分子化合物 確認を受けた の継確続認性 立ち入り検査 毎年度の確認等 14

改正化審法における化学のリスク評価の流れ 絞り込み 数 多 評価の精度 簡易 スクリーニング評価 ( 一般化学が対象 ) 優先評価化学に指定 ( 環境中への残留の程度等からリスクが十分に低いと言えない化学 ) リスク評価 ( 一次 )Ⅰ~Ⅲ 長期毒性があれば リスクが懸念される化学 少 詳細 有害性調査指示 ( 製造 輸入事業者に長期毒性試験の実施を指示 ) リスク評価 ( 二次 ) リスクが懸念される化学 第二種特定化学 ( 必要により 製造 輸入数量を調整 ) 15

スクリーニング評価の考え方 リスクの指標でリスク評価を行う優先度を付与 リスク = 有害性 強弱のクラスを付ける 暴露 大小のクラスを付ける 有害性が強く 暴露が大きいほどリスクが懸念される度合いが大きい リスク評価を行う優先度が高い 優先評価化学 16

スクリーニング評価の優先度マトリックス ➀ 事業者からの届出情報 ( 製造 輸入量 用途 ) 等から予測した排出量を用いて暴露クラスを 収集された有害性情報に基づき有害性クラスを付与する 各クラスを優先度マトリックスに当てはめ 優先度 高 のものを優先評価化学相当と判定する 一般化学 暴露クラス 大 小 強 有害性クラス 弱 1 2 3 4 外 1 高高高高 2 高高高中 3 高高中中 4 高中中低 5 中中低低 外 クラス外 更にリスク評価を行う必要がある化学に分類 リスクが十分に低いと判断できない リスクが十分に低いと判断できる 現状と変更なし 優先評価化学 一般化学 リスク評価 ( 一次 ) へ 17

スクリーニング評価の優先度マトリックス 2 スクリーニング評価で取り扱う情報 性状の情報人健康の評価の場合生態の評価の場合 反復投与毒性試験データ分解性の情報 水生生物 ( 藻類 ミジンコ 生殖発生毒性試験データ 難分解性 / 良分解性魚類 ) の毒性試験データ 変異原性分類 / 判定結果の判定結果 発がん性の分類結果 製造数量等の届出情報 全国総排出量 ( 推計値 ) 暴露クラス 大 小 有害性クラス 強 弱 1 2 3 4 外 1 高 高 高 高 2 高 高 高 中 3 高 高 中 中 4 高 中 中 低 5 中 中 低 低 外 クラス外 暴露クラス 全国総排出量 ( 推計値 ) 1 10,000 トン超 2 10,000 トン以下 1,000 トン超 3 1,000 トン以下 100 トン超 4 100 トン以下 10 トン超 5 10 トン以下 1 トン超 外 1 トン以下 18

生態に係る有害性クラスの区切り 提案 強有害性弱 1 2 3 4 クラス外 PNEC 0.001 0.001< PNEC 0.01 0.01< PNEC 0.1 0.1< PNEC 1 PNEC > 1 GHS 区分慢性 1 区分慢性 2 区分慢性 3 区分外 判定基準 三監相当 三監相当ではない PNEC: 無影響濃度 (mg/l) = 最小毒性値 / 不確実係数積 慢性区分は急性データからも分類可 19

生態に係る有害性クラスの付け方 用いる有害性データ藻類 甲殻類 ( ミジンコ ) 魚類の慢性毒性データ及び急性毒性データ 慢性毒性データ? なし あり 急性毒性データ? なし 再調査等 あり PNEC に外挿 不確実係数積 有害性クラスに当てはめ PNEC: 無影響濃度 (mg/l) = 最小毒性値 / 不確実係数積 20

採用する毒性値 種間外挿の UF 急性から慢性への UF(ACR) 室内試験から野外への UF 不確実係数積 UFs 3 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小の NOEC - - 10 10 2 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうの NOEC 5-10 50 1 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の NOEC 10-10 100 3 つの栄養段階の急性毒性 L(E)C50 がある場合の最小の L(E)C50 - ACR 10 10 ACR 慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうの L(E)C50 10 ACR 10 100 ACR ACR PNEC 導出に用いる不確実係数 ミジンコ 藻類 20 アミン類 100 アミン類以外 10 魚類 100 UF(Uncertainty factor): 不確実係数 PNEC(Predicted No Effect Concentration) : 無影響濃度 (mg/l)= 最小毒性値 / 不確実係数積 NOEC(No Observed Effect Concentration): 無影響濃度 LC50(Median Lethal Concentration): 半数致死濃度 EC50(Median Effect Concentration): 半数影響濃度 ACR(Acute Chronic Ratio): 急性慢性毒性比 21

PNEC の導出フロー 22

急性慢性毒性比 (ACR) の根拠 ( 藻類 ) 出典 : 環境省ウェブページ (http://www.env.go.jp/council/05hoken/y051-59/mat02_3.pdf) 23

急性慢性毒性比 (ACR) の根拠 ( 甲殻類 ) 出典 : 環境省ウェブページ (http://www.env.go.jp/council/05hoken/y051-59/mat02_3.pdf) 24

急性慢性毒性比 (ACR) の根拠 ( 甲殻類 ) 出典 : 環境省ウェブページ (http://www.env.go.jp/council/05hoken/y051-59/mat02_3.pdf) 25

急性慢性毒性比 (ACR) の根拠 ( 魚類 ) 出典 : 環境省ウェブページ (http://www.env.go.jp/council/05hoken/y051-59/mat02_3.pdf) 26

スクリーニング評価結果 平成 22 年度 ( 平成 23 年 1 月審議会 ) 平成 23 年度 ( 平成 24 年 1 月審議会 ) 平成 24 年度 ( 平成 24 年 7 月審議会 ) 平成 25 年度 ( 平成 25 年 7 月審議会 ) 平成 26 年度 ( 平成 26 年 11 月審議会 ) 平成 27 年度 ( 平成 27 年 10 月審議会 ) 人健康生態人健康生態人健康生態人健康生態人健康生態人健康生態 評価対象の区分 旧二監 旧三監 一般化学の一部 届出のあった全ての一般化学 暴露情報平成 21 年度実績平成 22 年度実績平成 23 年度実績平成 24 年度実績平成 25 年度実績 有害性情報 二監 三監の判定基準 OECD/HPV 判定根拠等 国が保有している 収集した情報で信頼性等が確認できたもの 評価単位 682 212 109 275 10,792 11,979 11,897 11,810 製造輸入数量 10t 越 447 166 101 188 7,054 7,819 7,699 7,678 優先評価化学相当 75 88 8 46 40 14 21 20 6 4 31 21 17 23 1 13 3 18 196 が優先評価化学に指定されている ( 平成 28 年 4 月 1 日時点 ) 27

リスク評価 Ⅰ の実施状況の概要 ( 平成 27 年 11 月 26 日 ) 出典 : 経産省ウェブページ (http://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/kasinhou/files/information/ra/151126001.pdf) 28

評価 Ⅱ の結果 10 のリスク評価 (1 次 ) 評価 Ⅱ が終了 ( 平成 28 年 6 月 1 日時点 ) 名称評価書審議日評価項目評価結果 イソプロペニルベンゼン 平成 26 年 6 月 27 日 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 人健康影響の観点でも優先評価化学であるため優先指定の取り消しは行わない ビスフェノールA 平成 26 年 6 月 27 日 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 一部の水域においてリスク懸念が認められたことから 追加モニタリング等を行うこととし 優先指定の 取り消しは行わない クロロエチレン 平成 26 年 12 月 19 日 人健康影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 優先評価化学の指定の取り消しを行う 2,6- ジ -tert- ブチル -4- メチルフェノール 1,2,4- トリメチルベンゼン 平成 27 年 7 月 24 日 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 排出量推計やモニタリングデータに不確実性があることから 追加モニタリング等を行うこととし 優先 指定の取り消しは行わない 平成 27 年 7 月 24 日 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 一部の水域においてリスク懸念が認められたことなどから PRTR 排出量等の経年変化を調査することと し 優先指定の取り消しは行わない 1,3-ブタジエン 平成 28 年 1 月 22 日 人健康影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 生態影響の観点でスクリーニング評価が実施されていないため 優先指定の取り消しは行わない 1,2- エポキシプロパン アクリル酸 n- ブチル p- ジクロロベンゼン 平成 28 年 1 月 22 日 人健康影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 優先評価化学の指定の取り消しを行う 平成 28 年 1 月 22 日 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 優先評価化学の指定の取り消しを行う 平成 28 年 1 月 22 日 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない モニタリングデータに不確実性があることから 追加モニタリングを行うこととし 優先指定の取り消しは 行わない アクリロニトリル 平成 28 年 3 月 25 日 人健康影響 第二種特定化学に相当する懸念があると考えられる 大気汚染防止法の有害大気汚染として事業者の排出抑制措置が行われてきたことに鑑み 排出 削減の取組の現状及び進捗等を把握した上で 必要な措置を検討する 29

リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における有害性評価 優先 No.48: イソプロペニルベンゼン 栄養段階 ( 生物群 ) 種名影響内容ばく露期間エンドポイント毒性値 生産者 ( 藻類 ) Pseudokirchneriella subcapitata 生長阻害 72 時間 NOEC 0.300mg/L 一次消費者 ( 甲殻類 ) Daphnia magna 繁殖阻害 21 日間 NOEC 0.401mg/L 二次消費者 ( 魚類 ) Oryzias latipes 死亡 96 時間 LC50 7.28mg/L 採用する毒性値 種間外挿の UF 急性から慢性への UF(ACR) 室内試験から野外への UF 不確実係数積 UFs 3 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小の NOEC 2 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうの NOEC 1 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の NOEC 3 つの栄養段階の急性毒性 L(E)C50 がある場合の最小の L(E)C50 慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうの L(E)C50 - - 10 10 5-10 50 10-10 100 - ACR 10 10 ACR 10 ACR 10 100 ACR ACR ミジンコ 藻類 20 アミン類 100 アミン類以外 10 魚類 100 30

リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における有害性評価 優先 No.75: ビスフェノール A 栄養段階 ( 生物群 ) 種名 影響内容 ばく露期間 エンドポイント 毒性値 生産者 ( 藻類 ) Pseudokirchneriella 生長阻害 72 時間 NOEC 0.32mg/L subcapitata 一次消費者 ( 甲殻類 ) Americamysis bahia 繁殖阻害 21 日間 NOEC 0.17mg/L 二次消費者 ( 魚類 ) Cyprinodon variegatus 繁殖阻害 116 日間 NOEC 0.066mg/L 採用する毒性値 種間外挿の UF 急性から慢性への UF(ACR) 室内試験から野外への UF 不確実係数積 UFs 3 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小の NOEC 2 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうの NOEC 1 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の NOEC 3 つの栄養段階の急性毒性 L(E)C50 がある場合の最小の L(E)C50 慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうの L(E)C50 ACR ミジンコ 藻類 20 - - 10 10 5-10 50 10-10 100 - ACR 10 10 ACR 10 ACR 10 100 ACR アミン類 100 アミン類以外 10 魚類 100 31

リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における有害性評価 優先 No.64:2,6- ジ -tert- ブチル -4- メチルフェノール 栄養段階 ( 生物群 ) 種名影響内容ばく露期間エンドポイント毒性値 生産者 ( 藻類 ) Pseudokirchneriella subcapitata 生長阻害 72 時間 NOEC 0.237mg/L 一次消費者 ( 甲殻類 ) Daphnia magna 繁殖阻害 21 日間 NOEC 0.069mg/L 二次消費者 ( 魚類 ) Oryzias latipes 成長阻害 42 日間 NOEC 0.053mg/L 採用する毒性値 種間外挿の UF 急性から慢性への UF(ACR) 室内試験から野外への UF 不確実係数積 UFs 3 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小の NOEC 2 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうの NOEC 1 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の NOEC 3 つの栄養段階の急性毒性 L(E)C50 がある場合の最小の L(E)C50 慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうの L(E)C50 - - 10 10 5-10 50 10-10 100 - ACR 10 10 ACR 10 ACR 10 100 ACR ACR ミジンコ 藻類 20 アミン類 100 アミン類以外 10 魚類 100 32

リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における有害性評価 優先 No.49:1,2,4- トリメチルベンゼン 栄養段階 ( 生物群 ) 種名 影響内容 ばく露期間 エンドポイント 毒性値 生産者 ( 藻類 ) - - - - - 一次消費者 ( 甲殻類 ) - - - - - 二次消費者 ( 魚類 ) Pimephales promelas 死亡 96 時間 LC50 7.72 mg/l 採用する毒性値 種間外挿の UF 急性から慢性への UF(ACR) 室内試験から野外への UF 不確実係数積 UFs 3 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小の NOEC 2 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうの NOEC 1 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の NOEC 3 つの栄養段階の急性毒性 L(E)C50 がある場合の最小の L(E)C50 慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうの L(E)C50 ACR ミジンコ 藻類 20 - - 10 10 5-10 50 10-10 100 - ACR 10 10 ACR 10 ACR 10 100 ACR アミン類 100 アミン類以外 10 魚類 100 10000 33

平成 27 年 7 月 24 日開催三省合同審議会議事録抜粋 環境省 環境省 現時点では このについてはこういう取り扱いをせざるを得ないのかなというふうに思っております ただ QSAR の活用をできるだけ拡大していくべきだという考えは私どもも変わりませんので それの手法は引き続き開発というか 向上を進めていきたいと思っておりまして 日化協さんのほうには審査済みの新規化学のデータのご提供をお願いするなど いろいろデータを増やしていきながら ドメインを広げていくとか 精度を上げていくという取り組みを進めていって 使えるような場面になったものから使っていきたいというふうに思っております ただ 現時点でこのについてはこういう扱いにせざるを得なかったということで御理解いただければと思っております ( 中略 ) また 正規のプロセスからすれば ここでは有害性情報について不確実性がある場合には やはり法律に基づいて事業者さんに情報を求めるというのが本来のプロセスなのかなと思います ただ それよりは むしろ今のこの不確実性を 暴露のほうの不確実性を減らすほうがある意味手っ取り早いというか それをまず最初にやるべきなのではないかということで今のこの記述にさせていただきまして もし有害性のほうを何かしら減らすのであれば むしろ法律に基づく求めなどが本当は適切なプロセスになってしまうというようなことであります 出典 : 経産省ウェブページ (http://www.meti.go.jp/committee/summary/0003776/pdf/h27_01_gijiroku.pdf) 34

リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における有害性評価 優先 No.33: アクリル酸 n- ブチル 栄養段階 ( 生物群 ) 種名 影響内容 ばく露期間 エンドポイント 毒性値 生産者 ( 藻類 ) Pseudokirchneriella 生長阻害 72 時間 NOEC 0.077mg/L subcapitata 一次消費者 ( 甲殻類 ) Daphnia magna 繁殖阻害 21 日間 NOEC 0.136mg/L 二次消費者 ( 魚類 ) Cyprinodon variegatus 半数致死濃度 4 日間 LC50 2.1mg/L 採用する毒性値 種間外挿の UF 急性から慢性への UF(ACR) 室内試験から野外への UF 不確実係数積 UFs 3 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小の NOEC 2 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうの NOEC 1 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の NOEC 3 つの栄養段階の急性毒性 L(E)C50 がある場合の最小の L(E)C50 慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうの L(E)C50 ACR ミジンコ 藻類 20 - - 10 10 5-10 50 10-10 100 - ACR 10 10 ACR 10 ACR 10 100 ACR アミン類 100 アミン類以外 10 魚類 100 35

リスク評価 ( 一次 ) 評価 Ⅱ における有害性評価 優先 No.53:p- ジクロロベンゼン 栄養段階 ( 生物群 ) 種名 影響内容 ばく露期間 エンドポイント 毒性値 生産者 ( 藻類 ) Pseudokirchneriella 生長阻害 72 時間 NOEC 0.83 mg/l subcapitata 一次消費者 ( 甲殻類 ) Daphnia magna 繁殖阻害 21 日間 NOEC 0.10 mg/l 二次消費者 ( 魚類 ) Pimephales promelas 生残 / 成長阻害 32 日間 NOEC 0.57 mg/l 採用する毒性値 種間外挿の UF 急性から慢性への UF(ACR) 室内試験から野外への UF 不確実係数積 UFs 3 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の最小の NOEC 2 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の小さいほうの NOEC 1 つの栄養段階の慢性毒性試験結果がある場合の NOEC 3 つの栄養段階の急性毒性 L(E)C50 がある場合の最小の L(E)C50 慢性毒性試験結果が欠けている栄養段階の急性毒性値が揃わない場合の小さいほうの L(E)C50 ACR ミジンコ 藻類 20 - - 10 10 5-10 50 10-10 100 - ACR 10 10 ACR 10 ACR 10 100 ACR アミン類 100 アミン類以外 10 魚類 100 36

評価 Ⅱ の結果 ( 平成 28 年 6 月 17 日 ) 4 のリスク評価 (1 次 ) 評価 Ⅱ を実施 名称評価項目評価結果 1,2- ジクロロプロパン 人健康影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 優先評価化学の指定の取り消しを行う ブロモメタン 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 人健康影響の観点でも優先評価化学であるため優先 指定の取り消しは行わない ナフタレン 生態影響 第二種特定化学に該当するとは考えられない 人健康影響の観点でも優先評価化学であるため優先 指定の取り消しは行わない 過酸化水素 ( 進捗報告のみ ) 生態影響 現時点では 第二種特定化学に該当するか判断できない 今後は 詳細用途分類ごとの排出係数の精査やモニタリングに係る検討 ( 測定方法 解析方法 地点選定 ) を行う 37

1. はじめに 2. 化審法における生態毒性試験 3. 化審法におけるリスク評価体系と評価結果 4. その他の情報 38

定量的構造活性相関 (QSAR) 化学の構造と性状との間に成り立つ量的関係のこと利用頻度が高い生態毒性 QSAR モデルは以下のとおり KATE 国立環境研究所において開発 部分構造等によるクラス分類を行い LogP との単相関により予測 ECOSAR 米国 EPA において開発 部分構造等によるクラス分類を行い 主に LogP との単相関により予測 TIMES Burgas 大学において開発 作用機序を考慮したクラスごとに 1 つ又は複数の記述子を用いて予測 39

定量的構造活性相関 (QSAR) 既存化学について 実測値と推計値の比較を行った結果 ( トレーニングデータセットを用いている ) 出典 : 環境省ウェブページ (http://www.env.go.jp/council/05hoken/y051-69/mat01-1.pdf) 40

定量的構造活性相関 (QSAR) 新規化学について 実測値と推計値の比較を行った結果 出典 : 経産省ウェブページ (http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/safety_security/kashinhou/pdf/002_02_00.pdf) 41

3 栄養段階生態リスク評価モデル (A-TERAM) A-TERAM: aquatic tri-trophic ecological risk assessment model 上智大学 ( 元国立環境研究所 ) の田中嘉成教授らが開発 平成 28 年 9 月 1 日公開 捕食 被食関係によって連結される 3 栄養段階の個体密度の動態を日単位でシミュレーション生態リスクを最上位種のメダカ個体群の年あたり増加率として評価 多くの化学について A-TERAM が予測した 10% の個体群増加率減少 (com-ec10) と PNEC を比較すると 化学の各生物種への作用の違いによって これらの値の相対値は大きく異なる 出典 : 国立環境研究所ウェブページ (http://www.nies.go.jp/ateram/index.html) 42

3 栄養段階生態リスク評価モデル (A-TERAM) メダカ個体群の増加率の低下 繁殖の低下 生存率の低下 メダカ急性毒性 メダカ繁殖毒性 成長の遅延餌の欠乏ミジンコ個体群の減衰繁殖の低下生存率の低下餌の欠乏藻類増殖率の低下 メダカ成長毒性ミジンコ急性遊泳阻害ミジンコ繁殖阻害藻類生長阻害 43

3 栄養段階生態リスク評価モデル (A-TERAM) その他の特徴は以下のとおり詳細は操作マニュアル & ガイダンスに記載 急性毒性情報だけでも評価を行えるよう 急性慢性外挿の機能あり 化審法の ACR ではなく 環境省の試験データを用いた独自の回帰式を利用 化学の生物体内への蓄積が長期的な毒性反応に与える影響を考慮に入れるため 生物蓄積性の情報 (BCF) も利用 ( 体内蓄積の影響が考慮されているのは魚のみ ) 化学の環境中濃度の設定は 定濃度 定常変動 季節変動の中から選択 その他にも CSV 形式の時系列データを直接入力することも可能 複数の化学による複合影響のシミュレーションも可能 利用者は 濃度加算モデル (CA モデル ) 若しくは 独立作用モデル (IA モデル ) を選択 ( ただし com-ecx の算定は複合影響に非対応 ) 44

毒性影響の大きさ 参考 PNEC の概念図 藻類甲殻類魚類 不確実係数積 UFs PNEC NOEC NOEC NOEC 化学の濃度 45

ご清聴ありがとうございました 46