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したり 相互作用への影響が懸念されます このため 通常はリガンドとして使用することをお奨めします 固定化は 末端ビオチン化した核酸をセンサーチップ SAに添加することでビオチンーアビジンの親和性で固定化できます 最長 200 base 程度の核酸まで固定化できます 核酸が長くなると 静電的な反発や デキストラン鎖との立体障害によって固定化が困難になります なお 末端にアミノ基を導入した核酸は アミンカップリング法でセンサーチップ SAに固定化できます センサーチップ表面との静電的反発を抑制するため 固定化緩衝液に陽イオン界面活性剤 (CTAB) を添加することでアミンカップリング法での固定化が可能となります (4) 脂質 Biacoreで測定できる脂質とは POPCあるいはDMPC 等のリン脂質 糖脂質あるいはガングリオシドのことを指します 脂質の相転移温度が室温よりも低い場合には リポソームの作成が困難で 固定化もできないため注意が必要です 脂質は通常リポソームとして取り扱います カイネティクス解析が目的の場合には リポソームは定量化が困難であるため アナライトとしてではなくリガンドとして用いることが多いです 固定化する場合は 目的の脂質を1~5% 含むPOPCあるいはDMPC 等のリポソームを調製し 脂質を一重膜で固定化できるセンサーチップHPA あるいは二重膜で固定化できるセンサーチップL1 に固定化します (5) 低分子化合物分子量 1,000 Da 程度以下のものを指します 使用機種の検出限界分子量以上であれば リガンドとしてもアナライトとしても用いることが可能です リガンドとして用いる場合は 官能基 ( -NH 2 (1 級アミン ) -COOH -SH -CHO -OH ) の有無 立体障害等を考慮し センサーチップCM5に固定化するか ビオチンを導入して センサーチップ SAに固定化します 何れの場合にも センサーチップ上のデキストラン鎖との立体障害を回避するために 親水性の高いスペーサーを介して固定化することをお奨めします (6) ウイルス 細胞アナライトとして用いることが多いです Biacoreシステムは センサーチップ表面より約 300 nmの範囲の質量変化を捉えています このため 分子サイズの大きいウイルスや細胞を固定化するよりも 質量変化を起こすアナライトとして使用する方が 相互作用シグナルが得られ易いです 固定化する場合には ウイルスまたは細胞表面上のタンパク質のアミノ基を利用してアミンカップリング法で固定化するか 表面タンパク質を認識する抗体を利用したキャプチャー法 ( 以下 <サンプルの精製度 > 参照 ) で固定化している例があります なお 膜タンパク質がターゲットの場合には 可溶化ドメインを固定化したり 膜分画または膜タンパク質を脂質に埋め込めた状態でセンサーチップ L1に固定化する方法などもあります

<サンプルの精製度 > センサーチップ上に直接固定化する分子は 精製度が高いことが最も重要な条件です 精製度の低いサンプルを固定化した場合には 目的リガンドの固定化量が定量し難く さらに相互作用測定時に得られる結合レスポンスがどの固定化分子由来のものかも評価し難いです よって 固定化分子の精製度は90% 以上であることが望ましいです なお 精製度が高くても 安定化剤としてウシアルブミンやゼラチンなどが含まれていると これらの分子が固定化され目的分子が固定化できない 固定化量が少ないなどのトラブルの原因となりますので注意が必要です 精製度が低いリガンドを固定化する場合の対応策として 抗リガンド抗体や抗タグ抗体を利用するキャプチャー法があります キャプチャー法では 抗リガンド抗体または抗タグ抗体をセンサーチップに固定化し センサーチップ上で抗体との特異的親和性を用いてリガンドを捕捉精製する方法です タグ (GST His Fc など ) を持つリガンドの場合 タグに対する抗体を固定化することで間接的に固定化することが可能です ただし サイクルごとにリガンドを捕捉しなおす必要があるため 化学結合による固定化に比べてサンプル量が必要となります キャプチャー方式の一例 リガンド アナライト キャプチャー分子 弊社では 次のキャプチャーキットを販売しています GST Capture Kit (BR-1002-23) GST 融合タンパク質用 Mouse Antibody Capture Kit (BR-1008-38) マウス抗体用 Human Antibody Capture Kit (BR-1008-39) ヒト抗体およびヒトFcタグ付きタンパク質用 Human Fab Capture Kit (BR-28-9583-25) ヒトFab 用 Biotin CAPture Kit (28-9202-33) またはBiotin CAPture Kit, Series S (28-9202-34) ビオチン化サンプル用 Hisタグタンパク質の固定化には キレート作用を利用してキャプチャーできるセンサーチップ NTAをご使用ください Series S Sensor Chip NTA 3 枚入り (BR-1005-32) Sensor Chip NTA 1 枚入り (BR-1004-07) 3 枚入り (BR-1000-34)

<サンプルの数 > 測定したいサンプルの組み合わせが複数ある場合 数が少ない分子群をリガンド 多い分子群をアナライトにした方が センサーチップの使用枚数が少なくなります ただし サンプル数の多い分子群であっても 同一のタグを持つ ( すべてGST 融合タンパク質であるなど ) 場合には 捕捉リガンドを変えることができるキャプチャー法を用いると センサーチップの使用枚数は少なくなります <サンプルの分子量 > システムの測定原理上 分子量が大きいほど 結合で得られるレスポンスは大きいです 従って 分子量の小さい分子をリガンドに 分子量の大きい分子をアナライトに使用する方が望ましいです ただし 高感度のシステムでは低分子化合物 ( 分子量 200 Da 程度 ) をアナライトにしても リガンドの固定化量が十分であれば測定できます * システムによって検出限界が異なります 予め システムのスペックをご確認ください <サンプル量 > 一般的に化学結合で固定化する方法であれば必要なサンプル量が少ないため サンプル量の少ない分子をリガンドとして用いることが多いです 化学結合でリガンドを直接固定化する場合やビオチン化リガンドをセンサーチップSAに固定化した場合には 一度固定化したリガンドは適切な再生溶液で洗浄することで 繰り返しの相互作用測定が可能です <サンプルの安定性 > サンプルの安定性の良い分子をリガンドに用いることが多いです 化学結合でリガンドを直接固定化する場合やビオチン化リガンドをセンサーチップSAに固定化する場合 一度固定化したリガンドは再生操作を行い 繰り返し相互作用測定に使用することが可能となります リガンドが再生条件に対して安定なほど 再現性良く繰り返し測定がおこなえます <サンプル表面の官能基 > センサーチップCM5への分子の固定化は 固定化分子の表面の官能基 ( -NH 2 (1 級アミン ) -COOH -SH -CHO -OH ) を センサーチップ表面のカルボキシメチルデキストラン (CMデキストラン ) と化学結合させることでおこないます このため 固定化分子表面にはこれらのいずれかの官能基が必要です 低分子化合物を固定化する際には 官能基の有無だけでなく その官能基 ( もしくは導入した官能基 ) の有無がアナライトとの相互作用に与える影響も考慮する必要があります さらに 立体障害が懸念される場合 スペーサーの導入が必要となる場合があります 化学結合以外の固定化では 各種条件 ( サンプルの種類やタグの有無など ) を満たす必要があります

<サンプルの等電点 > 強塩基性や強酸性のサンプルは 中性付近の緩衝液下で荷電しています これらのサンプルは センサーチップ表面のカルボキシル基に対して静電気的な結合や反発を示すため リガンドとして使用する方が実験を進めやすいです < 実験目的 > カイネティクス解析やアフィニティー解析が目的の場合には アナライトの精製度が高く 濃度が既知である必要があります さらに 予め解析モデルを想定して測定系を組む必要があります 例えば 多量体をアナライトとすると解析モデルがないため 速度定数および解離定数の算出はできません このような場合には 多量体をリガンドとします