IHE workshop in 新潟 標準規格 (DICOM( 2008 年 1 月 26 日 日本 IHE 協会 ITI 技術委員会 Co Chair 日立メディコ中島隆
DICOM 2
DICOM とは Digital Imaging and Communication in Medicine ACR ( 米国放射線学会 ) と NEMA ( 米国電気機器工業会 ) が合同で制定した 医療情報交換のための標準規格 医療分野における通信プロトコルのデファクトスタンダードのひとつ情報交換の媒体としてネットワークまたはオフラインメディア (CD( CD-Rなど ) を使用する 画像のやり取りでのみでなく 画像検査全体に関わるワークフローの改善を目的として拡張されている 3
電子カルテ電子カルテシステムシステム (EMR) (EMR) 放射線部門情報放射線部門情報管理システム管理システム (RIS) (RIS) 患者情報検査オーダ情報 EMR Server HL7 検査実施情報 RIS 端末 システム間の情報の流れに標準規格を適用 Image/Report Viewer 画像管理画像管理システムシステム (PACS) (PACS) RIS Server モダリティモダリティ 患者情報検査オーダ情報 DICOM 検査実施情報 DICOM レポート情報 画像情報 DICOM Report Server Modality 画像情報 DICOM Image Server 4
DICOM の特徴 標準的なネットワーク環境に対応しているオブジェクト指向に基づいて情報が定義されている Conformance Statement ( コンフォーマンスステートメント : 適合性宣言書 ) によって サポート範囲の明確化が必要である追加 / 拡張 / 修正が継続的に行われている 新機能追加や比較的大きな変更は Supplement( ( 補遺 ) 比較的小さな変更は Correction Proposal( ( 修正提案 ) DICOM はオープンな規格であり 規格書は インターネットから無償で入手可能である 5
DICOM 規格の構成 (1/4) DICOM 規格書は複数のパートから構成されている 2007 年度版は 以下の 18 のパート ( 分冊 ) からなる Part 1 : Introduction and Overview ( 序文と概要 ) Part 2 : Conformance ( 適合性 ) Part 3 : Information Object Definitions ( 情報オブジェクト定義 ) Part 4 : Service Class Specifications ( サービスクラス仕様 ) Part 5 : Data Structures and Encoding ( データ構造と符号化 ) Part 6 : Data Dictionary ( データ辞書 ) Part 7 : Message Exchange ( メッセージ交換 ) Part 8 : Network Communication Support for Message Exchange ( メッセージ交換のためのネットワーク通信サポート ) 6
DICOM 規格の構成 (2/4) Part 9 : Point-to-Point Communication Support for Message Exchange ( メッセージ交換のための 2 点間通信サポート )( 注 ) Part10 : Media Storage and File Format for Media Interchange ( 可搬電子媒体を用いたデータ交換のための保存とファイルフォーマット ) Part11 : Media Storage Application Profiles ( 可搬電子媒体保存応用プロファイル ) オフラインメディア Part12 : Media Formats and Physical Media for Media Interchange ( 可搬電子媒体を用いたデータ交換のための媒体フォーマットと物理媒体 ) Part13 : Print Management Point-to-Point Communication Support ( プリント管理 2 点間通信サポート )( 注 ) ( 注 )Part9, Part13(Point-to-Point 接続 ) は 現在 リタイア ( 削除 ) されている 7
DICOM 規格の構成 (3/4) Part14 : Grayscale Standard Display Function ( グレーススケール標準表示関数 ) Part15 : Security Profiles ( セキュリティ プロファイル ) Part16 : Content Mapping Resource ( コード等のマッピング ) Part17 : Explanatory Information ( 説明のための情報 ) Part18 : Web Access to DICOM Persistent Objects (WADO) (DICOM オブジェクトへの Web アクセス ) 8
DICOM 規格の構成 (4/4) 最新 の DICOM は 18 巻 ( リタイアを除くと 16 巻 ) の DICOM Base Standard( 規格書本体 ) と 複数の Supplement( 補遺 ) および Correction Proposal( 修正提案 ) からなる DICOM Base Standard( 規格書本体 ) + Supplement( 補遺 ) + Correction Proposal( 修正提案 ) 9
DICOM は成長を続けている Base Standard - 2006 Base Standard - 2004 Base Standard - 2003 Supplements Correction Items Supplements Correction Items Supplements Correction Items 10
基本用語 11
DICOM 基本用語 Conformance Statement Service Class SCU SCP SOP Tag 12
Conformance Statement ( コンフォーマンスステートメント ) 適合性宣言書 装置の DICOM サポート範囲 を明記した文書通常 DICOM 対応機器の販売元から提供される なぜ必要か? DICOM は膨大な規格であり DICOM 対応と言っても 実際は DICOM 規格の一部を実装しているに過ぎない システム導入の際には各々の機器の サポート範囲サポート範囲 の確認が必要となる その際に参照されるのが本文書である Conformance Statement を自社の Web サイトで公開しているベンダーもある 13
Service Class ( サービスクラス ) DICOM で提供されるサービスの種別 DICOM Service Class の例 Verification Basic Worklist Management Study Management Storage Storage Commitment Query/Retrieve Print Management 交信確認基本ワークリスト管理スタディ ( 検査 ) 管理データ保存データ保存委託データ問合せ / 検索 ( 取得 ) プリント出力管理 14
SCU ( エス シー ユー ) SCP ( エス シー ピー ) Service Class User の略 DICOM のサービスを利用する ( 要求する ) 側の呼び方 Service Class Provider の略 DICOM のサービスを提供する側の呼び方 画像を送りますので保存して下さい 画像を受け取って保存します SCU Storage Service Class SCP 15
SOP ( エス オー ピー ) または ( ソップ ) Service Object Pair の略 オブジェクト ( 対象 ) とサービス ( 機能 ) を組合せた表現 オブジェクト何を? MR 画像を サービスクラスどうする? 保存する つまり MR 画像を保存する MR Image Object + Storage Service Class = MR Image Storage SOP Class MR 画像を送りますので保存して下さい MR 画像を受け取って保存します SCU MR Image Storage SOP Class SCP 16
Tag ( タグ ) 荷札 DICOM データエレメント ( データ要素 ) の属性の識別子 全てのデータエレメントに属性を識別する タグ が付く 2 つの 16 進数 ( グループ番号とエレメント番号 ) の組合せ DICOM Tag の例 Tag Attribute Name ( 属性名 ) ( 0010, 0010 ) Patient s Name ( 患者氏名 ) ( 0010, 0020 ) Patient ID ( 患者識別子 ) ( 0010, 0030 ) Patient s Birth Date ( 患者生年月日 ) グループ番号 (0010: 患者情報グループ ) エレメント番号 17
DICOM データのダンプ例 Tag Attribute Name VR Length Value (0008,0000) Group Length UL 4 "732 0x000002DC" (0008,0008) Image Type CS 22 "ORIGINAL PRIMARY AXIAL" (0008,0016) SOP Class UID UI 26 "1.2.840.10008.5.1.4.1.1.2 " (0008,0018) SOP Instance UID UI 54 "1.2.392.200036.9116.2.2.2.1762554606" (0008,0020) Study Date DA 8 "20060409" (0008,0022) Acquisition Date DA 8 "20060409" (0008,0023) Content Date DA 8 "20060409" (0008,0030) Study Time TM 10 "104556.000" (0008,0032) Acquisition Time TM 10 "104846.000" (0008,0033) Content Time TM 10 "104846.750" (0008,0050) Accession Number SH 8 "MOF5063 " (0008,0060) Modality CS 2 "CT" (0008,0070) Manufacturer LO 8 "TOSHIBA " (0008,0080) Institution Name LO 12 "TOSHIBA_MEC "... 注 ) 実際にはデータに含まれない 注 )Transfer Syntax ( 転送構文 ) が Implicit VR ( 暗黙的 VR) の時にはデータに含まれない 18
基本機能 19
DICOM 基本機能 - 代表的なサービスクラス Basic Worklist Management Study Management Storage Query/Retrieve 20
Basic Worklist Management 基本ワークリスト管理 Modality Worklist(MWL MWL) Modality Worklist Management (MWM) と呼ばれることもある モダリティ 本日の MR 検査の予約リストを下さい RIS SCU 本日予約されている MR 検査は 10 時 00 分田中雅人 頭部 10 時 30 分鈴木一郎 腹部 11 時 00 分佐藤みゆき胸部 SCP 種々の条件 ( 例 : 日付 患者 ID モダリティ種別など) をキーにして予約検査リストの検索を掛けることが出来る 21
Study Management スタディ ( 検査 ) 管理 Modality Performed Procedure Step(MPPS MPPS) モダリティ 撮影を開始します 患者氏名 : 田中雅人撮影部位 : 頭部撮影開始時刻 :10 時 00 分 了解! RIS SCU 撮影が終了しました 撮影終了時刻 :10 時 20 分撮影条件 : 了解! SCP 22
Storage データ保存 モダリティ 画像を送りますので保存して下さい 画像サーバ SCU 画像を受け取りました 保存します SCP 保存の対象は 画像には限らず レポートや波形データなども対象となる 23
Query/Retrieve (Q/R) データ問合せ / 検索 ( 取得 ) この患者さんの検査リストを下さい 画像ビューア / ワークステーション はい これが検査リストです では この検査の画像を送って下さい 画像サーバ 画像を送ります SCU 画像を受け取りました SCP お望みの画像を全て送り終わりました 24
HL7 25
HL7(Health Health Level 7 ) とは 組織としての名前 :HL7.inc: HL7 規格を開発 改良する ユーザとベンダーで構成される非営利団体 1987 年に米国で発足し 約 30 カ国の国際支部 約 2200 人の会員 ANSI 公認の SDO( 規格制定団体 ) 規格としての名前 医療情報を表現し交換するための規格 ( メッセージの規格 ) 2001 年改定声明 : 医療情報の包括的枠組みに関する標準 メッセージだけではなく 永続的オブジェクト にも展開 26
メッセージ規格 : 二つの用語 トリガーイベント : 通信のきっかけメッセージタイプ : メッセージを構成する単位 トリガーイベント HL7 規格は 現実世界の医療行為 ( イベント ) により システム間のデータフローが必要とされる という仮定の基に書かれている 例えば 患者が入院する というイベントでシステム間でメッセージ交換が必要となる システム A メッセージの送信 ACK メッセージの受信 システム B メッセージの受信 ACK メッセージの送信 27
メッセージセグメント属性表 (PID セグメント ) この表の 1 行がフィールドを表現している Health Level Seven, Version v2.5 から引用 28
メッセージの例 MSH ^~ & HIS RIS 20030120100000 ORM^O01 20030120000010 P 2.5 ~ISO IR87 ISO 2022-1994<cr> PID 12345678^^^^PI 東京 ^ 太郎 ^^^^^L^I~ トウキョウ ^ タロウ ^^^^^L^P 19501214 M 東京都港区虎ノ門 ^^^^1050001 ^PRN^PH^^^03^35068010<cr> PV1 O 01 D12345^ 中田 ^ 隆 ^^^^^^^L^^^^^I<cr> ORC NW 200301200001 20030120100000 D12345^ 中田 ^ 隆 ^^^^^^^L^^^^^I 01<cr> ORC PA 20030120000100 20030120100000 D12345^ 中田 ^ 隆 ^^^^^^^L^^^^^I 01<cr> OBR 1 200301200001 1000000000000000^X 線単純撮影 ^JJ1017-16P 200301201030 D12345^ 中田 ^ 隆 ^^^^^^^L^^^^^I ^^^^^R<cr> セグメントの区切りは <cr> OBX NM 01-02^ 体重 62 kg P<cr> フィールドの区切りは エレメントの区切りは ^ 29
IHE 30
標準規格だけでシステムが作れるか? DICOM/HL7 は実装する時に様々な解釈が可能 標準規格の解釈の違い解釈の違いによる相互運用性の低下 各社の実装で異なる解釈が入ると繋がらない 期待する情報連携が実現しない これを回避するために打合せや改造開発で工数が掛かる コストや品質に問題を起こす可能性がある 31
標準規格採用の課題 (DICOM) DICOM Data Set 1 Patient ID オーダ番号 は Placer Order Number に入れて送ろう 2 3 4 5 Patient Name Placer Order Number Filler Order Number Accession No. オーダ番号 は Accession Number に入っていると思ってるよ RIS 1 患者 ID DICOM MWM 1 患者 ID Modality 2 患者氏名 2 患者氏名 3 オーダ番号 3 4 4 5 5 オーダ番号 32
IHE Integrating the Healthcare Enterprise DICOM とHL7 などの使い方のガイドを作る活動 標準規格を実装で確実に利用する対策 何をするとき どの規格を どう使うか を決めるということ 規格自体を決めているわけではない 何を シナリオ : 統合プロファイル 統合プロファイル どう使う ガイド文書 : テクニカルフレームワーク 機能 : アクター情報伝達 : トランザクション (DICOM HL7 など ) 33
DICOM 参考情報 Official Site : http://medical.nema.org/dicom/2007/ Editor s s Site : http://www.dclunie.com/dicom-status/status.html HL7 HL7 協会本部 :http://www.hl7.org/: 日本 HL7 協会 :http://www.hl7.jp/: 34