別紙 1 平成 29 年 6 月 9 日 労働政策審議会 会長樋口美雄殿 労働条件分科会 分科会長荒木尚志 同一労働同一賃金に関する法整備について 本分科会は 標記について検討を行った結果 下記のとおりの結論に達した ので報告する 記 別紙 記 のとおり

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別添 同一労働同一賃金に関する法整備について ( 報告 ) 1 基本的考え方〇我が国の非正規雇用労働者は 現在 全雇用者の 4 割を占めるに至っている 昨今の雇用情勢の回復等により いわゆる 不本意非正規 である労働者の割合は低下傾向にあるが 一方で 30 歳代半ば以降を中心に 子育て 介護等を背景

Microsoft PowerPoint - 2の(別紙2)雇用形態に関わらない公正な待遇の確保【佐賀局版】

短時間 有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針 について ( 同一労働同一賃金ガイドライン ) 厚生労働省雇用環境 均等局有期 短時間労働課職業安定局需給調整事業課

等により明示するように努めるものとする ( 就業規則の作成の手続 ) 第 7 条事業主は 短時間労働者に係る事項について就業規則を作成し 又は変更しようとするときは 当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めるものとする ( 短時間労働者の待遇の原

1 なぜ 同一労働同一賃金 が導入されるのか? 総務省統計局労働力調査 ( 詳細集計 ) 平成 30 年 (2018 年 )7~9 月期平均 ( 速報 ) によると 非正規労働者数は 2,118 万人 ( 前年同期比 68 万人増加 ) 正規労働者数は 3,500 万人となっています 役員を除く雇用

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の業務について派遣先が九の 1 に抵触することとなる最初の日 六派遣先への通知 1 派遣元事業主は 労働者派遣をするときは 当該労働者派遣に係る派遣労働者が九の 1の ( 二 ) の厚生労働省令で定める者であるか否かの別についても派遣先に通知しなければならないものとすること ( 第三十五条第一項関係

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平成 27 年改正の概要 ( サマリー ) 一般労働者派遣事業 ( 許可制 ) 特定労働者派遣事業 ( 届出制 ) 26 業務 期間制限なし 26 業務以外 原則 1 年 意見聴取により最長 3 年まで 規定なし 規定なし 1. 許可制への統一 2. 派遣契約の期間制限について すべての労働者派遣事

Microsoft Word 建議と要綱の対応表

て 労働者派遣契約書に休業手当等の支払いに要する費用を確保するための費用負担等に関する事項を記載していないもの (1 派遣元事業所 ) ウ派遣料金額の明示派遣労働者に対して 書面の交付 ファクシミリを利用してする送信又は電子メールの送信の方法により労働者派遣に関する料金の額を明示していないもの (5

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Microsoft Word - 改訂 H28 H27施行状況記者発表(リード文)

共通事項 1 キャリアアップ 管理者情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 奨励金対象労働者数 ( 全労働者数 ) 9 企業規模 ( 該当

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Microsoft PowerPoint - 9月末公表(栃木県正社員転換・待遇改善実現プラン)

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 印 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働

指針に関する Q&A 1 指針の内容について 2 その他 1( 特許を受ける権利の帰属について ) 3 その他 2( 相当の利益を受ける権利について ) <1 指針の内容について> ( 主体 ) Q1 公的研究機関や病院については 指針のどの項目を参照すればよいですか A1 公的研究機関や病院に限ら

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Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書 記入例

今後 この政府のガイドライン案をもとに 法改正の立案作業を進め 本ガイドライン案については 関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえて 最終的に確定する また 本ガイドライン案は 同一の企業 団体における 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を是正することを目的としているため

今回の改正によってこの規定が廃止され 労使協定の基準を設けることで対象者を選別することができなくなり 希望者全員を再雇用しなければならなくなりました ただし 今回の改正には 一定の期間の経過措置が設けられております つまり 平成 25 年 4 月 1 日以降であっても直ちに希望者全員を 歳まで再雇用

法第 20 条は, 有期契約労働者の労働条件が期間の定めがあることにより無期契約労働者の労働条件と相違する場合, その相違は, 職務の内容 ( 労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度をいう 以下同じ ), 当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して, 有期契約労働者にとって不合

市報2016年3月号-10

3. 無期労働契約への転換後の労働条件無期労働契約に転換した後の職務 勤務地 賃金 労働時間等の労働条件は 労働協約 就業規則または個々の労働契約等に別段の定めがない限り 直前の有期労働契約と同一になるとされており 無期転換に当たって職務の内容などが変更されないにもかかわらず 無期転換後の労働条件を

Ⅲ コース等で区分した雇用管理を行うに当たって留意すべき事項 ( 指針 3) コース別雇用管理 とは?? 雇用する労働者について 労働者の職種 資格等に基づき複数のコースを設定し コースごとに異なる配置 昇進 教育訓練等の雇用管理を行うシステムをいいます ( 例 ) 総合職や一般職等のコースを設定し

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目次 問 1 労使合意による適用拡大とはどのようなものか 問 2 労使合意に必要となる働いている方々の 2 分の 1 以上の同意とは具体的にどのようなものか 問 3 事業主の合意は必要か 問 4 短時間労働者が 1 名でも社会保険の加入を希望した場合 合意に向けての労使の協議は必ず行う必要があるのか

Microsoft Word - 別添 報告書


第22回規制改革会議 資料3

この冊子を手に取っている皆さんへ

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スライド 1

Microsoft Word - 21教育訓練の考え方について(更新)_

Microsoft Word - ①(様式第1号)キャリアアップ計画書

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

務が他の職種の職務と明確な差異がある場合には 解雇回避努力の内容として 配置転換や職務転換に限られず 退職金の上乗せ 再就職支援等をもって解雇回避努力を尽くしたとされる場合があり 他方 限定された職務が高度な専門性や高い職位を伴わない場合 あるいは当該職務が他の職種の職務と差異が小さい場合には 解雇

事業者が行うべき措置については 匿名加工情報の作成に携わる者 ( 以下 作成従事者 という ) を限定するなどの社内規定の策定 作成従事者等の監督体制の整備 個人情報から削除した事項及び加工方法に関する情報へのアクセス制御 不正アクセス対策等を行うことが考えられるが 規定ぶりについて今後具体的に検討

規定例 ( 育児 介護休業制度 ) 株式会社 と 労働組合は 育児 介護休業制度に関し 次 のとおり協定する ( 対象者 ) 育児休業の対象者は 生後満 歳に達しない子を養育するすべての従業員とする 2 介護休業の対象者は 介護を必要とする家族を持つすべての従業員とする 介護の対象となる家族の範囲は

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 ( 事業所情報欄 ) 1 事業主名 ( - ) 2 事業所住所 3 電話番号 ( ) 5 雇用保険適用 - 事業所番号 4 事業所の 担当者 - 都道府県所掌管轄基幹番号枝番号 6 労働保険番号 - ( 代理人 社会保険労務士による提出代行者または事務代

Microsoft PowerPoint - 020_改正高齢法リーフレット<240914_雇用指導・

平成30年版 少子化社会対策白書 概要版(PDF版)

改正要綱 第 1 国家公務員の育児休業等に関する法律に関する事項 育児休業等に係る職員が養育する子の範囲の拡大 1 職員が民法の規定による特別養子縁組の成立に係る監護を現に行う者 児童福祉法の規定により里親である職員に委託されている児童であって当該職員が養子縁組によって養親となることを希望しているも

2 賞与 3 手当 4 福利厚生 5 その他 第 4 派遣労働者 1 基本給 2 賞与 3 手当 4 福利厚生 5 その他 第 5 協定対象派遣労働者 1 賃金 2 福利厚生 3 その他 第 1 目的 この指針は 短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律 ( 平成 5 年法律 -

Microsoft Word - 様式第1号 キャリアアップ計画書記入例(全国版)

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

資料9

日商協規程集

改正労働基準法

2 職務専念義務 秘密保持義務 競業避止義務を意識することが必要である 3 1 週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合には 雇用保険等の適用がな い場合があることに留意が必要である 企業 メリット : 1 労働者が社内では得られない知識 スキルを獲得することができる 2 労働者の自律性 自主性を

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佐藤委員提出資料

( 様式第 1 号 ( 共通 )) 共通事項 1 キャリアアップ管理者 情報 ( 氏名 ): 役職 ( 配置日 ): 年月日 2 キャリアアップ管理者 の業務内容 ( 事業所情報欄 ) 3 事業主名 4 事業所住所 ( - ) 5 電話番号 ( ) - 6 担当者 7 企業全体で常時雇用する労働 者

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Microsoft Word - 介護保健最新情報vol.583.doc

「高年齢者雇用安定法《のポイント

資料1 短時間労働者への私学共済の適用拡大について

株式会社フロンティアビジネス 別紙 1 1 処分内容 (1) 労働者派遣法第 21 条第 2 項に基づく労働者派遣事業停止命令 ( 労働者派遣事業停止命令の内容は 3 のとおり ) (2) 労働者派遣法第 49 条第 1 項に基づく労働者派遣事業改善命令 ( 労働者派遣事業改善命令の内容は 4 のと

(セット)Q&A (2)

23 歳までの育児のための短時間勤務制度の制度普及率について 2012 年度実績の 58.4% に対し 2013 年度は 57.7% と普及率は 0.7 ポイント低下し 目標の 65% を達成することができなかった 事業所規模別では 30 人以上規模では8 割を超える措置率となっているものの 5~2

いる 〇また 障害者の権利に関する条約 においては 障害に基づくあらゆる差別を禁止するものとされている 〇一方 成年被後見人等の権利に係る制限が設けられている制度 ( いわゆる欠格条項 ) については いわゆるノーマライゼーションやソーシャルインクルージョン ( 社会的包摂 ) を基本理念とする成年

改正後のパートタイム 有期雇用労働法で求められる企業の対応について 岡山労働局雇用環境 均等室

2 継続雇用 の状況 (1) 定年制 の採用状況 定年制を採用している と回答している企業は 95.9% である 主要事業内容別では 飲食店 宿泊業 (75.8%) で 正社員数別では 29 人以下 (86.0%) 高年齢者比率別では 71% 以上 ( 85.6%) で定年制の採用率がやや低い また

(3) 始業 終業時刻が労働者に委ねられることの明確化裁量労働制において 使用者が具体的な指示をしない時間配分の決定に始業及び終業の時刻の決定が含まれることを明確化する (4) 専門業務型裁量労働制の対象労働者への事前通知の法定化専門業務型裁量労働制の導入に当たり 事前に 対象労働者に対して 1 専

女性の活躍推進に向けた公共調達及び補助金の活用に関する取組指針について

2 ちょっと得する! 経営情報 第 96 号 厚生労働省作成のリーフレットでは 雇入れ時の説明内容の例 及び説明を求められたときの説明内容の例として以下の事例を挙げていますので参考にしてください 雇入れ時の説明内容の例 賃金制度はどうなっているか どのような教育訓練があるか どの福利厚生施設が利用で

Microsoft PowerPoint

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改正労働者派遣法 平成24年10月1日施行

(2) 特定機関からの報告の受理及び聴取に関すること (3) 特定機関に対する監査に関すること (4) 外国人家事支援人材の保護に関すること (5) 特定機関において外国人家事支援人材の雇用の継続が不可能となった場合の措置に関すること (6) その他 本事業の適正かつ確実な実施のために必要なこと 3

報酬改定(処遇改善加算・処遇改善特別加算)

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第 7 派遣元事業主の講ずべき措置等 派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針 ( 平成 11 年労働省告示第 137 号 ) ( 最終改正平成 29 年厚生労働省告示第 210 号 ) 第 1 趣旨この指針は 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 ( 以下 労働者派遣法

特定個人情報の取扱いの対応について

Taro-別紙2


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(問)被用者保険の被扶養者に対する2年間の経過措置になる軽減額は、他の被保険者の保険料で補填すると考えてよいのか

(2) 労働者人口の減少 一方労働人口は減少しつつあり 推計値では 2025 年には 6300 万人まで減少見込みとなっております 問題点 以下のような状況の中で今後どのように労働者を確保して 企業を活性化させるか? 条件 1 労働者人口が減少する 2 フルタイム労働者が減る 3 未熟練従業員が増え

スライド 1

定していました 平成 25 年 4 月 1 日施行の 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律 では, 継続雇用制度の対象者を限定できる仕組みの廃止について規定されていますが, 平成 25 年 4 月 1 日の改正法施行の際, 既にこの基準に基づく制度を設けている会社の選定基準につい

事務ガイドライン ( 第三分冊 )13 指定信用情報機関関係新旧対照表 Ⅰ-2 業務の適切性 現行改正後 ( 案 ) Ⅰ-2 業務の適切性 Ⅰ-2-4 信用情報提供等業務の委託業務の効率化の観点から 内閣総理大臣 ( 金融庁長官 ) の承認を受けて信用情報提供等業務の一部を委託することが可能とされて

- 調査結果の概要 - 1. 改正高年齢者雇用安定法への対応について a. 定年を迎えた人材の雇用確保措置として 再雇用制度 導入企業は9 割超 定年を迎えた人材の雇用確保措置としては 再雇用制度 と回答した企業が90.3% となっています それに対し 勤務延長制度 と回答した企業は2.0% となっ

することを可能とするとともに 投資対象についても 株式以外の有価証券を対象に加えることとする ただし 指標連動型 ETF( 現物拠出 現物交換型 ETF 及び 金銭拠出 現物交換型 ETFのうち指標に連動するもの ) について 満たすべき要件を設けることとする 具体的には 1 現物拠出型 ETFにつ

平成 31 年 4 月 1 日から平成 34 年 3 月 31 日まで 63 歳平成 34 年 4 月 1 日から平成 37 年 3 月 31 日まで 64 歳 4 定年について 労働者の性別を理由として差別的取扱いをしてはなりません ( 均等法第 6 条 ) ( 退職 ) 第 48 条前条に定める

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スライド 1

(2) 総合的な窓口の設置 1 各行政機関は 当該行政機関における職員等からの通報を受け付ける窓口 ( 以下 通報窓口 という ) を 全部局の総合調整を行う部局又はコンプライアンスを所掌する部局等に設置する この場合 各行政機関は 当該行政機関内部の通報窓口に加えて 外部に弁護士等を配置した窓口を

スライド 0

(1) はじめに 何故この 3 点のみご案内させていただくのかと申しますと 他の要件と比較し導入がしやすい点にあります 非正規労働者の職業訓練や賃金テーブルの見直し 法定外の健康診断制度は導入する敷居が若干高く また それらは一度制度として導入してしまうと助成金の申請期間が過ぎた後も通常続けざるを得

監査に関する品質管理基準の設定に係る意見書

参考資料No.7 参議院における附帯決議

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日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

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はじめてのマイナンバーガイドライン(事業者編)

ための手段を 指名 報酬委員会の設置に限定する必要はない 仮に 現状では 独立社外取締役の適切な関与 助言 が得られてないという指摘があるのならば まず 委員会を設置していない会社において 独立社外取締役の適切な関与 助言 が十分得られていないのか 事実を検証すべきである (2) また 東証一部上場

事務連絡 平成 26 年 4 月 23 日 各実施機関実施責任者殿 各実施機関事務連絡担当者殿 文部科学省科学技術 学術政策局 人材政策課 科学技術人材育成費補助金により雇用する研究者等に係る人件費の取扱いについて 旧科学技術振興調整費 ( 以下 旧調整費 という ) の課題を実施する研究者等の人件

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参考資料 5

別紙 1 平成 29 年 6 月 9 日 労働政策審議会 会長樋口美雄殿 労働条件分科会 分科会長荒木尚志 同一労働同一賃金に関する法整備について 本分科会は 標記について検討を行った結果 下記のとおりの結論に達した ので報告する 記 別紙 記 のとおり

別紙 2 平成 29 年 6 月 16 日 労働政策審議会 会長樋口美雄殿 職業安定分科会 分科会長阿部正浩 同一労働同一賃金に関する法整備について 本分科会は 標記について検討を行った結果 下記のとおりの結論に達した ので報告する 記 別紙 記 のとおり

別紙 3 平成 29 年 6 月 9 日 労働政策審議会 会長樋口美雄殿 雇用均等分科会 分科会長奥宮京子 同一労働同一賃金に関する法整備について 本分科会は 標記について検討を行った結果 下記のとおりの結論に達した ので報告する 記 別紙 記 のとおり

別紙 平成 29 年 6 月 9 日 労働政策審議会労働条件分科会分科会長荒木尚志殿労働政策審議会職業安定分科会分科会長阿部正浩殿労働政策審議会雇用均等分科会分科会長奥宮京子殿 労働条件分科会同一労働同一賃金部会職業安定分科会同一労働同一賃金部会雇用均等分科会同一労働同一賃金部会部会長守島基博 同一労働同一賃金に関する法整備について ( 報告 ) 本部会は 同一労働同一賃金に関する法整備について 平成 29 年 4 月 28 日 から平成 29 年 6 月 9 日までの間に計 6 回にわたり精力的に検討を深めてきた 結果 下記のとおりの結論に達したので 報告する 記 別添のとおり 厚生労働大臣に建議すべきである

別添 同一労働同一賃金に関する法整備について ( 報告 ) 1 基本的考え方〇我が国の非正規雇用労働者は 現在 全雇用者の4 割を占めるに至っている 昨今の雇用情勢の回復等により いわゆる 不本意非正規 である労働者の割合は低下傾向にあるが 一方で 30 歳代半ば以降を中心に 子育て 介護等を背景とした時間や勤務地の制約等により 非正規雇用を選択する層が多いことも事実である 〇正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間には賃金 福利厚生 教育訓練などの面で待遇格差があるが こうした格差は 若い世代の結婚 出産への影響により少子化の一要因となるとともに ひとり親家庭の貧困の要因となる等 将来にわたり社会全体へ影響を及ぼすに至っている また 労働力人口が減少する中 能力開発機会の乏しい非正規雇用労働者が増加することは 労働生産性向上の隘路ともなりかねない 〇賃金等の待遇は 労使によって決定されることが基本である しかしながら同時に 正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の是正を進めなければならない このためには (1) 正規雇用労働者 - 非正規雇用労働者両方の賃金決定基準 ルールを明確化 (2) 職務内容 能力等と賃金等の待遇の水準の関係性の明確化を図るとともに (3) 教育訓練機会の均等 均衡を促進することにより 一人ひとりの生産性向上を図るという観点が重要である また これを受けて 以下の考え方を法へ明記していくことが適当である 雇用形態にかかわらない公正な評価に基づいて待遇が決定されるべきであること それにより 多様な働き方の選択が可能となるとともに 非正規雇用労働者の意欲 能力が向上し 労働生産性の向上につながり ひいては企業や経済 社会の発展に寄与するものであること 〇その上で 不合理な待遇差の実効ある是正のため 昨年末に政府が提示した 同一労働同一賃金ガイドライン ( 案 ) について 関係者の意見や改正法案についての国会審議を踏まえ 当部会で審議し 最終的に確定していくとともに 確定したガイドラインの実効性を担保するため 労働者が司法判断による救済を求める際の根拠となる規定の整備 1

労働者に対する待遇に関する説明の義務化 行政による裁判外紛争解決手段等の整 備など 以下に示す法改正を行うことにより 企業内における正規雇用労働者と非正規 雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消を実効ある形で進め どのような雇用形態を 選択しても納得が得られ 個人個人が 自らの状況に応じて多様な働き方を自由に選択 できるようにしていく必要がある なお 法整備と併せ 非正規雇用労働者を含めたそれぞれの労使において 職務や能力等と賃金等の待遇との関係を含めた処遇体系全体の確認 共有や 職務や能力等の内容の明確化 それに基づく公正な評価の推進とそれらに則った賃金制度の構築等が可能な限り速やかかつ計画的に行われるよう 非正規雇用労働者を含めた労使の対話を促進することが重要である また そのための支援措置についても検討する必要がある 併せて 中小企業 小規模事業者等各事業主の実情を踏まえた丁寧な支援も必要である おって 働き方改革の実現に向けては 改革の基本的な考え方と進め方を示し そのモメンタムを絶やすことなく 長期的かつ継続的に取組を進めていくことが必要である このため 働き方改革実行計画 を踏まえ 改革全般にわたり 法制面も含め その目的達成のための政策手段について 引き続き検討を行っていくことが求められる また 法施行後 政策効果を検証 評価するプロセスも重要である 2 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備 (1) 短時間労働者 有期契約労働者 〇現行法においては 正規雇用労働者と短時間労働者 有期契約労働者との間の待遇 差については 3 つの考慮要素 ( ) を考慮して不合理と認められるものであってはならな いとされている ( パートタイム労働法第 8 条 / 労働契約法第 20 条 ( いわゆる 均衡待遇 規定 )) 1 職務内容 ( 業務内容 責任の程度 ) 2 職務内容 配置の変更範囲 ( いわゆる 人材活用の仕組み ) 2

3 その他の事情 〇現行法の規定は 正規雇用労働者と短時間労働者 有期契約労働者との間における個々の待遇の違いと 3 考慮要素との関係性が必ずしも明確でない このため ある待遇差が不合理と認められるか否かの解釈の幅が大きく 労使の当事者にとって予見可能性が高いとは言えない状況にある 〇こうした課題を踏まえ 待遇差が不合理と認められるか否かの判断は 個々の待遇ご とに 当該待遇の性質 目的に対応する考慮要素で判断されるべき旨を明確化すること が適当である ただし 個別の事案に応じ 非正規雇用労働者を含めた労使協議経過等を踏まえ 複数の待遇を合わせて不合理と認められるか否かを判断すべき場合があると考えられる こと 待遇の性質 目的 は実態を踏まえて判断されるものと考えられることに留意が必 要である 〇また 考慮要素として内容を明記しているのは 1 職務内容と 2 職務内容 配置の 変更範囲にとどまっており 3 その他の事情の解釈による範囲が大きくなっている 一方で 職務の成果 能力 経験 といった要素については 現行法でも 賃金決 定に際し勘案を求めている要素でもあり ( パートタイム労働法第 10 条 ) また 一般にも待 遇差の要因として広く受け容れられていると考えられる こうした状況を踏まえ 考慮要素として その他の事情 の中から 新たに 職務の成 果 能力 経験 を例示として明記することが適当である また 労使交渉の経緯等が 個別事案の事情に応じて含まれうることを明確化するなど その他の事情 の範囲が逆 に狭く解されることのないよう留意が必要である 〇さらに 現行法においては 1 職務内容と 2 職務内容 配置の変更範囲が同一であ る場合の差別的取扱いを禁止するいわゆる 均等待遇規定 は 短時間労働者について のみ規定されており ( パートタイム労働法第 9 条 ) 有期契約労働者については規定され ていない このため 同じ有期契約であっても 短時間労働者であれば 均等待遇規定 の適用 がなされるにもかかわらず フルタイム労働者であれば適用がない現状となっているが 3

有期契約労働者についても 均等待遇規定 の対象としていくことが適当である なお 定年後の継続雇用の有期契約労働者に関する差別的取扱いの解釈については 退職一時金及び企業年金 公的年金の支給 定年後の継続雇用における給与の減額に対応した公的給付がなされていることを勘案することを認めるか否かについては 引き続き検討を行い 追って解釈の明確化を図っていくことが適当である 〇おって 比較対象となる正規雇用労働者について 現行は パートタイム労働法では同一の事業所に雇用される 通常の労働者 とし 労働契約法では同一の使用者に雇用される無期契約労働者としている しかしながら 近年は非正規雇用労働者自身が店長などの事業所の長であり 同一の事業所内に正規雇用労働者がいないケースも見られる このため 同一の使用者に雇用される正規雇用労働者を比較対象とすることが適当である (2) 派遣労働者 〇現行法においては 1 派遣先の労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ 2 同種業 務に従事する一般労働者の賃金水準 3 派遣労働者の職務の内容 職務の成果等を 勘案して賃金決定を行う配慮義務にとどまっている 〇一方 派遣労働者の実際の就業場所は派遣先であり 待遇に関する派遣労働者の納得感を考慮する上で 派遣先の労働者との均等 均衡は重要な観点である また 派遣労働者の業務内容は 派遣元の正規雇用労働者 ( 内勤社員等 ) とはまったく異なることが多く 派遣元の正規雇用労働者を比較対象とした賃金 ( 特に基本給 ) の均衡の判断は 現実的に容易とは言えない 〇しかしながら 派遣先の労働者との均等 均衡により派遣労働者の賃金決定を行う場合 派遣先が変わるごとに賃金水準が変わり 派遣労働者の所得が不安定になることが想定される また 一般に賃金水準は大企業であるほど高く 小規模の企業になるほど低い傾向にあるが 必ずしも派遣労働者が担う職務の難易度は 同種の業務であっても 大企業ほど高度で小規模の企業ほど容易とは必ずしも言えない このため 派遣労働者の希望が大企業へ集中し 派遣元事業主において派遣労働者のキャリア形成を考慮した派遣先 4

への配置を行っていくことが困難となる ( 逆に より難易度の高い職務を担当できるよう 計画的に教育訓練を行ったり職務経験を積ませ 段階的に処遇を改善するなど 派遣 労働者のキャリア形成に配慮した雇用管理が行われていても 派遣先の賃金に引っ張ら れて派遣労働者の賃金が下がり 派遣労働者 派遣元事業主双方にとって納得感がな いこともあり得る ) など 結果として 派遣労働者の段階的 体系的なキャリアアップ支援と 不整合な事態を招くこともあり得る 〇こうした状況を踏まえ 1) 派遣先の労働者との均等 均衡による待遇改善か 2) 労使 協定による一定水準を満たす待遇決定による待遇改善かの選択制とすることが適当で ある 〇具体的には 以下のような制度設計とすることが適当である 1) 派遣先の労働者との均等 均衡方式 ⅰ) 派遣労働者と派遣先労働者の待遇差について 短時間労働者 有期契約労働 者と同様の均等待遇規定 均衡待遇規定を設けた上で 当該規定によることとす ること ⅱ) 派遣元事業主が ⅰ の規定に基づく義務を履行できるよう 派遣先に対し 派 遣先の労働者の賃金等の待遇に関する情報提供義務を課す ( 提供した情報に変 更があった場合も同様 ) とともに 派遣元事業主は 派遣先からの情報提供がない 場合は 労働者派遣契約を締結してはならないことすること ( なお 派遣先からの 情報は派遣元事業主等の秘密保持義務規定 ( 労働者派遣法第 24 条の4) 対の 象となることを明確化すること ) ⅲ) その他派遣先の措置 ( 教育訓練 福利厚生施設の利用 就業環境の整備等 ) の規定を強化 2) 労使協定による一定水準を満たす待遇決定方式 派遣元事業主が 労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数代 表者と話し合い 十分に派遣労働者の保護が図られると判断できる以下の要件を満 たす書面による労使協定を締結し 当該協定に基づいて待遇決定を行うこと 1 同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準と同等以上であること 2 段階的 体系的な教育訓練等による派遣労働者の職務の内容 職務の成果 能 力 経験等の向上を公正に評価し その結果を勘案した賃金決定を行うこと 5

3 賃金以外の待遇についても 派遣元の正規雇用労働者の待遇と比較して不合理でないことただし 1) 派遣先の労働者との均等 均衡方式 によらなければ 実質的な意義を果たせない待遇 ( 例 : 給食施設 休憩室 更衣室の利用 ) については 省令で明記の上 2) 労使協定による一定水準を満たす待遇決定方式 の対象としないことが適当である また 派遣元において労使協定が周知されるよう必要な規定を設けるとともに 労使協定の有効期間を定めることや 労働基準法施行規則の規定を踏まえた過半数代表者の選出等に関するルール 労使協定の状況等を行政が把握できる仕組みを規定するなど 省令等において 労使協定の適正性を確保するための措置を講ずることが適当である 〇なお これらの規定 ( 上記 1) 及び 2) ) の履行に際しては 派遣元事業主に派働者の待遇改善を行うための原資の確保が必要となることから 派遣先に対し 派遣料金の設定に際し 派遣元事業主が上記 1) 2) の規定を遵守できるよう 必要な配慮義務を設けることが適当である さらに 1) 2) どちらの方式によるかを派遣先や労働者が知りうるようにすることなどの についても必要な措置を講ずることが適当である (3) ガイドラインの根拠規定の整備〇こうした短時間労働者 有期契約労働者 派遣労働者の均等待遇規定 均衡待遇規定等について 解釈の明確化を図るため ガイドライン ( 指針 ) の策定根拠となる規定を設けることが適当である 3 労働者に対する待遇に関する説明の義務化非正規雇用労働者 ( 短時間労働者 有期契約労働者 派遣労働者 ) が自らの待遇をよく理解し 納得するためにも また 非正規雇用労働者が待遇差について納得できない場合に まずは労使間での対話を行い 不合理な待遇差の是正につなげていくためにも 非正規雇用労働者自らの待遇の内容に加え 正規雇用労働者との待遇差に関する情報を 事業 6

主から適切に得られ 事業主しか持っていない情報のために 労働者が訴えを起こすことが できないといったことがないようにすることが重要である (1) 短時間労働者 有期契約労働者 〇現行法においては 短時間労働者については 事業主に対し ⅰ) 特定事項 ( 昇給 賞与 退職手当の有無 ) に関する文書交付等による明示義務 その他の 労働条件に関する文書交付等による明示の努力義務 ( 雇入れ時 )( パートタイム労働 法第 6 条第 1 項 第 2 項 ) ⅱ) 待遇の内容等に関する説明義務 ( 雇入れ時 )( パートタイム労働法第 14 条第 1 項 ) ⅲ) 待遇決定等に際しての考慮事項に関する説明義務 ( 求めに応じ )( パートタイム労働 法第 14 条第 2 項 ) が課せられている 〇しかしながら 有期契約労働者については 上記 ⅰ)~ⅲ) のいずれも課されておらず また 短時間労働者 有期契約労働者のいずれについても 正規雇用労働者との待遇 差の内容やその理由等について説明が得られる制度とはなっていない 〇このため 短時間労働者 有期契約労働者のいずれについても 上記 ⅰ)~ⅲ) に加え 短時間労働者 有期契約労働者が求めた場合には正規雇用労働者との待遇差の内容やその理由等について説明が得られるよう 事業主に対する説明義務を課すことが適当である その際には 短時間労働者 有期契約労働者が 説明を求めた場合の不利益に対する不安から説明を求められないようなことにならないよう 事業主に対し 説明を求めたことを理由とする不利益取扱いを禁止することが適当である 〇なお 待遇差の比較対象となる正規雇用労働者については 一般に 非正規雇用労働者と同一の事業所に職務内容が同一又は類似の無期雇用フルタイム労働者が存在する場合にはそれと比較することが適切と考えられるが 画一的に法定することはせず 事業主に説明を求めた非正規雇用労働者と職務内容 職務内容 配置変更範囲等が最も近いと事業主が判断する無期雇用フルタイム労働者ないしその集団との待遇差及びその理由並びに当該無期雇用フルタイム労働者ないしその集団が当該非正規雇用労働 7

者に最も近いと判断した理由を説明することとする ( この場合であっても 非正規雇用労 働者が司法判断の根拠規定に基づいて不合理な待遇差の是正を求める際の比較対象 は当該無期雇用フルタイム労働者ないしその集団に限られるものではない ) など 個別 事案に応じた対応を含め 施行に向けて考え方を整理していくことが必要である (2) 派遣労働者 〇現行法においては 派遣労働者については 派遣元事業主に対し 1 待遇の内容等に関する説明義務 ( 雇用しようとする時 )( 労働者派遣法第 31 条の 2 第 1 項 ) 2 待遇決定に際しての考慮事項に関する説明義務 ( 求めに応じ )( 労働者派遣法第 31 条の 2 第 2 項 ) が課せられている 〇派遣労働者についても 派遣元事業主に対し 上記 (1) の ⅰ)~ⅲ) 及び派遣労働者 が求めた場合には待遇差の内容やその理由等についての説明義務 不利益取扱禁止を 課すことが適当である なお 派遣労働者の場合 短時間労働者 有期契約労働者と異なり 雇入れ時でなく ても 派遣先の変更により 待遇全体の変更があり得る このため 上記 (1) のⅰ) 及びⅱ) の説明義務については 雇入れ時に加え 労働者派遣をしようとするときを加えることが 適当である 4 行政による裁判外紛争解決手続の整備等 現行法の均等待遇規定 均衡待遇規定は民事的効力を有する規定と解されている 一方で 非正規雇用労働者にとっても 訴訟を提起することは大変重い負担を伴うもので あり これらの規定が整備されて以降も 訴訟の件数は限られている実態にある 非正規雇用労働者がより救済を求めやすくなるよう 行政による履行確保 ( 報告徴収 助 言 指導等 ) の規定を整備するとともに 行政 ADR( 裁判外紛争解決手続 ) を利用しうるよう 規定を整備することが求められる (1) 短時間労働者 有期契約労働者 8

〇短時間労働者については 現行のパートタイム労働法において 行政が必要と認めた場合の事業主に対する報告徴収 助言 指導 勧告の規定が設けられた上で 法による義務範囲が明確な規定に関しては 公表の規定が設けられている また 行政 ADR( 裁判外紛争解決手続 ) として 労働局長による紛争解決援助や 調停の規定も設けられている 〇一方 有期契約労働者については 労働契約ルールを規定する法である労働契約法 に均衡待遇規定が設けられていることから こうした行政による履行確保や行政 ADR の 規定がない 有期契約労働者についても 短時間労働者と併せてパートタイム労働法に諸規定を移 行 新設することにより 行政による履行確保措置の対象とするとともに 行政 ADRが利 用できるようにすることが適当である 〇なお 現状では 均等待遇規定については報告徴収 助言 指導 勧告の対象としているが 均衡待遇規定については 報告徴収 助言 指導 勧告の対象としていない しかしながら 均衡待遇規定に関しても 解釈が明確でないグレーゾーンの場合は報告徴収 助言 指導 勧告の対象としない一方 職務内容 職務内容 配置変更範囲その他の事情の違いではなく 雇用形態が非正規であることを理由とする不支給など解釈が明確な場合は報告徴収 助言 指導 勧告の対象としていくことが適当である なお 均衡待遇規定については 従来どおり 公表の対象とはしないことが適当である また 行政 ADR については 均等 均衡待遇を求める労働者の救済を幅広く対象としていくことが適当である (2) 派遣労働者 〇現行の労働者派遣法においては 派遣元事業主 ( 労働者派遣事業を行う事業主 ) に対し 行政が必要な報告徴収 指 導及び助言 改善命令 事業停止命令 許可取消しを行いうる規定が整備され 派遣先 ( 労働者派遣の役務の提供を受ける者 ) に対しても 行政が必要な報告徴収 指導及び助言 勧告 公表を行いうる規定が整備されているが 上記 2 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備 及び 労働者に対 3 する待遇に関する説明の義務化 についても それぞれの規定の趣旨に応じ これらの行 9

政による履行確保措置の対象とすることが適当である また 派遣労働者についても 上記 2 労働者が司法判断を求める際の根拠となる規定の整備 及び 3 労働者に対する待遇に関する説明の義務化 について 労働局長による紛争解決援助や 調停といった行政 ADR( 裁判外紛争解決手続 ) を利用できるようにすることが適当である その際には 均衡待遇規定については 短時間労働者 有期契約労働者と同様 解 釈が明確でないグレーゾーンの場合は報告徴収 指導及び助言 改善命令 事業停止命 令 許可取消しの対象としない一方 職務内容 職務内容 配置変更範囲その他の事情 の違いではなく 雇用形態が非正規であることを理由とする不支給など解釈が明確な場 合は対象としていくことが適当である また 行政 ADR については 均等 均衡待遇を求め る労働者の救済を幅広く対象としていくことが適当である 5 その他〇上記のほか 短時間労働者には 国による施策の基本方針の策定 就業規則の作成 変更時の意見聴取 ( 努力義務 ) 通常の労働者への転換 労働者からの相談体制の整備 雇用管理者の選任等の規定が設けられている 同じ有期契約であっても 短時間労働者であれば これらの規定の適用がなされるにもかかわらず フルタイム労働者であれば適用がない現状となっているが 有期契約労働者についても同様に これらの規定の対象としていくことが適当である なお 雇用対策法施行規則 ( 第 1 条の3 第 1 項第 1 号 ) において 定年の年齢を下回ることを条件として労働者の募集及び採用を行うこと ( 期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る ) が可能とされており この場合は定年後継続雇用者は応募対象とならないこととなる また 派遣労働者については 労働者派遣法における別途の法制により同趣旨が達成されているものも多いが 就業規則の作成 変更時の意見聴取 ( 努力義務 ) については 派遣労働者についても同様に 派遣元事業主の努力義務として新たに対象としていくことが適当である 10

6 法施行に向けて ( 準備期間の確保 ) 〇上記の法改正は 事業主にとって 正規雇用労働者 非正規雇用労働者それぞれの 待遇の内容 待遇差の理由の再検証等 必要な準備を行うために一定の時間を要す る したがって 施行に当たっては 十分な施行準備期間を設けることが必要である さらに 各事業主における賃金制度等の点検等に向け 十分な周知 相談支援が必 要であり その際には 業種 職種 地域毎の状況も念頭に 中小企業 小規模事業者等 各事業主の実情も踏まえ労使双方に丁寧に対応することが求められる また 以下の点等については 実効ある労働者保護の観点 実務上現実に対応できるようにする観点の双方から 施行段階において検討を深めることが適当である 派遣先の労働者の賃金等の待遇に関する情報提供義務の具体的内容 (2(2) の1) のⅱ) 一般の労働者の賃金水準 や労使協定の詳細(2(2) の2) 待遇差に関する説明義務の具体的内容 (3(1) 及び (2)) 等 11