図 1. 滑走するマイコプラズマ (A) ニューモニエのネガティブ染色電顕像 接着器官が矢印で示してある (B) モービレの走査電子顕微鏡像 に知られているように, マイコプラズマにはペプチドグリカン層がないが, 菌の形態は比較的安定で動物細胞で見られるアメーバ運動のような変化は全く観察されない 運

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1 日本細菌学雑誌 62( 3 ): , 日本細菌学会 平成 19 年小林六造記念賞受賞論文 マイコプラズマ滑走運動の分子メカニズム ユニークな生体運動 宮田真人 大阪市立大学大学院理学研究科生物地球専攻細胞機能学研究室 大阪市住吉区杉本 ヒト異型肺炎の主な原因であるマイコプラズマ (Mycoplasma pneumoniae) は, 動物細胞や固形物の表面にはりつき滑るように動く 滑走運動 を行う その運動は, 動きが顕微鏡下で一目でわかるほどに速いものである マイコプラズマが宿主に寄生することに滑走運動は必須であるが, これまでにそのメカニズムが調べられたことはなかった 筆者らはもっとも観察の容易な Mycoplasma mobile の滑走装置とタンパク質を発見し, 構造と, そこで起こっている反応を調べた それらの結果から滑走運動メカニズムを説明するモデルを提案した さらにその知見をもとに,Mycoplasma pneumoniae の滑走メカニズムの研究も進めている マイコプラズマの滑走運動が, これまでに研究されたどんな生体運動とも本質的に異なっていることが明らかになった 1. はじめに 今年日本で流行している マイコプラズマ性肺炎 ( あるいは マイコプラズマ肺炎 ) は小学校高学年の子供がよくかかる病気で, マイコプラズマ = ニューモニエ (Mycoplasma pneumoniae)( 以下, ニューモニエと略 )( 図 1A) という細菌によって起こされる この肺炎は, 症状が比較的軽く, 患者が通常の生活を送れることから, 英語では walking pneumonia と表現される (90) しかし, マイコプラズマ肺炎は異型肺炎全体の約 6,7 割, 全肺炎の約 1 割をしめ, あなどれない存在である マイコプラズマ は系統上は モリキューテス綱 に含まれる モリキューテス綱は 200 以上の種を含み, ほとんどの種類は宿主の組織に接着するための仕組みを発達させている (64) さらにニューモニエを含む 12 種は細胞の片方の端に接着器官, あるいはヘッドと呼ばれる膜突起を形成し, その突起で動物細胞や, ガラスや, プラスチックにはりつき, すべる様に動く 滑走運動 を行う ( 図 2A)( myco1.htm)(7,34,52,92 96,98) その速度は淡水魚のエラにネクローシスを起こすマイコプラズマ = モービレ (Mycoplasma mobile)( 以下, モービレと略 )( 図 1B) では毎秒 ミクロン, すなわち細胞長の毎秒 3 7 倍にま Makoto MIYATA Molecular mechanism of Mycoplasma gliding; a unique biomotility Department of Biology, Graduate School of Science, Osaka City University で達する ( 図 2B)(67) マイコプラズマのゲノムにはバクテリアの運動メカニズムとして知られているべん毛や線毛の遺伝子も, 真核生物の運動のほとんど全てを担っているモータータンパク質 ( たとえばミオシンの様な ) の遺伝子も見つからない (29) このことは, この現象が現在の生物学では説明できない ミステリー である ( 正確には であった ) ことを意味している 筆者らは 1997 年からこのミステリーに挑戦し, 以下に述べることを明らかにした 幸いなことに筆者は 2002 年にも本学会誌で総説を著す機会に恵まれたため, 本稿ではそれ以降の進展を中心に解説する (91) 2. どのように滑走する? 筆者らは最も速く滑走する種, モービレを主に用いて研究を行ってきた モービレは名前からもわかるように, 生きていさえすれば常に動き続ける性質を持っている またガラスなどの固形物にはりついたときにのみ動くことができる このことは顕微鏡下でモービレを観察するとガラスからはずれた菌体がブラウン運動のみを行い, 決して動かないことから容易に知ることができる 滑走運動は膜が細く突き出た部分 ( ヘッドと呼ばれる ) に向けて起こる 進行方向は時々刻々変化するが, 他の運動性の細菌で見られるような動き方の顕著な変化は観察されない すなわち, 進行方向の変化は菌体のガラスへの接し方に依存し, 任意に起こっているように見える 進行時における菌体軸を中心とした回転も, ゆらぎ程度にしか存在しない (57) 一般 347

2 図 1. 滑走するマイコプラズマ (A) ニューモニエのネガティブ染色電顕像 接着器官が矢印で示してある (B) モービレの走査電子顕微鏡像 に知られているように, マイコプラズマにはペプチドグリカン層がないが, 菌の形態は比較的安定で動物細胞で見られるアメーバ運動のような変化は全く観察されない 運動の速度は上記のように毎秒 ミクロンだが, これは生育に至適な 25 C でのことで, 滑走速度は温度に依存して直線的に変化する (55) すなわち, 全菌体の平均速度が 12 C では毎秒 0.5 ミクロンだが,36 C では毎秒 4 ミクロンに達する 菌体はときどき左右に揺れるが, それを注意深く観察するとヘッド近辺でガラスに結合していることがわかる 以下に詳しく議論するが, この, ガラス結合を行っている部分に滑走の装置が局在している 一方, マイコプラズマ肺炎を起こすニューモニエはどうだろう? こちらはモービレより少し遅く, 生育の至適温度である 37 C では毎秒 ミクロンの速度で滑走し (8), 滑走速度は温度に依存する (69) 運動はカルチャーの状態に依存し, 古いカルチャーでは動いている菌体の比率が低い 若いカルチャーでも全ての菌体が動くわけではなく, 動きは菌体の分裂増殖サイクルに依存する (17) すなわち, マイコプラズマは二分裂を経て増殖するが (50,56,72, 73), 分裂期にある菌は滑走しない 菌体の片側の端はやはり細く突き出ており, この部分は 接着器官 あるいは チップ と呼ばれる 滑走中の菌体を注意深く観察するとこの接着器官でガラスに結合しているのがわかる 菌体はモービレよりずっとやわらかく, 滑走時に菌体の後部が細かく揺らいでいる ごく最近まで, 毎秒 ミクロンという速い滑走速度はモービレのみの特徴であると考えられていた しかし, 淡水に住むカメから単離された 3 種のマイコプラズマはモービレとほぼ同じ滑走速度を示すことが明らかになった (32) しかもそのうち 1 種はモービレではなくニューモニエと近縁であった このことは生育環境が滑走速度の大きな決定因子になっていることを示唆している 3. 滑走運動の系統関係細菌の中にはマイコプラズマ以外にも固形物表面にはり ついた時にのみ運動するものがいくつか知られている 過去にはそれらは 滑走運動 としてひとくくりにされていたが, この 10 年ほどの間にそれぞれの仕組みが少し明らかになった (46,93) それによると, マイコプラズマ以外のものは 3 つにまとめることができる (i) 線毛によるもの, 緑膿菌, 藍藻, ミキソコッカスの S motility など (77), (ii) スライムの分泌によるもの, 一部のシアノバクテリア, ミキソコッカスの A motility(59,89) など,( ただしごく最近にミキソコッカスの スライムによる推進力 を否定する論文が発表された (49) )(iii) サイトファーガ フラボバクテリアのもの, 菌体表面の多糖か, タンパク質の流れによるメカニズムが提唱されている (47) これらの運動は全てマイコプラズマから系統的に遠く離れたグラム陰性菌に見られること, 必要な遺伝子に類似性が見られないこと, 同じ 滑走運動 といっても顕微鏡下で見られる菌の挙動が全く異なること, などから, マイコプラズマの滑走運動とは全く関係がないと考えられる 滑走運動が観察されている 12 種類のマイコプラズマはモリキューテス綱の中で系統的に離れた 2 つのグループに属している 4 種はモービレに代表される Mycoplasma pulmonis のグループに, 残りの 8 種はニューモニエに代表される Mycoplasma pneumoniae のグループに属している (18) どちらも菌体の片方の端に形成される膜突起で固形物にはりつき, 突起方向に動くこと, 比較的スムースな動きであること, 速度もあまり違わないこと, などから同じ仕組みで動くように思われる しかし, それぞれのグループの滑走に必要なタンパク質の間にアミノ酸配列の相同性は全く見られない (82,84) このことから 2 つのグループのメカニズムが異なるものであるという議論がなされている (29,62) 生命現象一般における, 同じメカニズム の定義は何であろうか? 原始的な 滑走運動メカニズム から進化の過程で 2 つに分岐したことが明らかになった場合に, 同じメカニズム と呼べるのであろうか? 筆者には, 固形物表面にはりついてそのままに能動的に動くメカニズムを進化の過程で構築することは, そんなに容易なことで 348

3 日本細菌学雑誌 62( 3 ),2007 図 2. マイコプラズマ滑走運動の軌跡 (A) ニューモニエの滑走運動 10 秒のビデオから選んだ画像を紫から赤へと変化するように異なった色をつけ,1 枚の画像に統合した 画像中の軌跡は滑走速度, 滑走の方向, 他の軌跡との時間的な関係を示している (B) モービレの滑走運動 4 秒のビデオから選んだ画像を (A) と同様に処理した 図 3. モービレの滑走タンパク質遺伝子ゲノム上にタンデムに存在している タンパク質それぞれの役割が下に示してある はないように思われる しかし同時に, 滑走運動することがマイコプラズマの生き残りの絶対条件であること, 進化の中で世代の短いマイコプラズマが多数回の選択をうけてきたことを思えば, マイコプラズマの進化の中で 2 回の滑走運動メカニズムの構築が起こることが可能であるとも思われる 答えは 2 つのマイコプラズマグループの滑走の装置とメカニズムがさらに明らかになったときに得られるのかも知れない (51) 図 4. モービレ菌体表面におけるタンパク質の局在菌体表面に存在するタンパク質それぞれに対する抗体で染めた K, I, N&O はそれぞれ MvspK, MvspI, MvspN&O の局在を示している MvspN と MvspO は共通の配列を持ち, 抗体はその部分を認識している poly はコントロールで, 表面の多数のタンパク質が染められている 4. 滑走の目的と病原性 マイコプラズマの接着が寄生性に重要なことはよく知られている ではマイコプラズマは何のために滑走するのだろうか? マイコプラズマ以外の運動性の細菌のほとんどは化学走性をもち, よりよい環境を求めて移動する そしてそれらの化学走性の全ては二成分制御系 (Two component system) に依存している (6,99) 驚いたことにマイコプラズマのゲノムには二成分制御系の遺伝子が見つからない (29) マイコプラズマは走性なく動いているのか, あるいは運動と同様に未知のメカニズムによる走性を持つのである ジョージア大学の Duncan Krause らは, 接着はできるが滑走はできないニューモニエの変異株を作製し, その株のヒト気管上皮細胞への接着過程を調べた その結果は, 繊毛先端にはりついてからの細胞表面への移動に, 滑走運 動が決定的な役割を果たしていることを示していた (31, 41) モービレは淡水魚のエラから単離され, 同器官に炎症を起こすことが知られている (35,36,78 80) エラは常に水で洗い流される状態にあるため, モービレは滑走することで宿主にとどまることが可能になっているのかも知れない (68) さらにもう一つの可能性は, 動き回ることによって過密状態を緩和しているというものである マイコプラズマは組織にしっかりとはりつくため, 動かなければすぐに過密状態に陥り全個体が死滅してしまうと思われる 5. モービレ滑走運動メカニズムの研究淡水魚病変組織から単離されたモービレは医学的, 産業的な観点からはそれほど重要な存在ではない そのため 349

4 表 1. 滑走タンパク質の特徴 タンパク質 Gli123 Gli349 Gli521 P42 遺伝子 ID MMOB1020 MMOB1030 MMOB1040 MMOB1050 アミノ酸数 1,128 3,181 4,684 (4,728) a 356 予想分子量 123, , ,863 (520,568) 42,003 等電点 アミノ酸含量の特徴 Cys (0%) Cys (0%) Cys (0%) Cys (0%) Asn (14.8%) Asn (12.0%) Asn (13.5%) 膜貫通セグメント N 末端付近 N 末端付近 b C 末端付近 なし モチーフ なし 菌体内局在 neck ND c 菌体内分子数 ND 変異株の性質 接着も滑走もしない ND タンパク質の機能 装置の形成 固形物結合 力伝達 ATP 加水分解 a : エドマン分解により,43 番目と 44 番目アミノ酸の間におけるプロセスが示された b : もう一つの膜貫通セグメントが, プロセスされてしまうアミノ末端側に予測される c :ND は未決定 図 5. モービレのくらげ構造ネガティブ染色像 トライトンで細胞膜を除去することによって可視化された 1997 年まではあまり注目されていなかった しかし今日では, その特筆すべき滑走活性から, いろんな分野で研究されるようになってきている 1) 滑走タンパク質著者らは滑走も接着もできない変異株を取得してそこで失われているタンパク質を探すこと (58), 滑走を特異的に阻害するモノクローナル抗体を作製してその標的を探すこと (42,74), の 2 つの方法で, 滑走運動に直接関与する 3 つのタンパク質を同定した それらは非常に大きな分子量を持っており, ゲノム上にタンデムにコードされていた ( 図 3)(74,82,84) 著者らはそれらを Gli123 などと名づけた これは Gliding protein 123 kda の略である それぞれのタンパク質の特徴を表に示す ( 表 1) 2) 滑走タンパク質の細胞局在これらのタンパク質に対する抗体を用いて免疫蛍光顕微鏡法で細胞局在を調べた 3 つのタンパク質はどれもヘッドの基部に局在していた ( 図 4)(42,74,82,84) このことはモービレがヘッド付近でガラス表面に結合している様に見えることと一致する (57) 著者らは, 滑走の装置が存 図 6. モービレ滑走装置の模式図在していると考えられるこの部位を新たに, ネック と名づけた さらに免疫電子顕微鏡法で得た菌体像を立体視することで, 滑走装置がネックの全周に帯状に存在していることを明らかにした 著者らはまた, 滑走とは直接関係のない Mvsp という表面タンパク質が, ヘッドのみ, ネックのみ, あるいはネック以外の部分のみに局在していることを明らかにした (42) Mvsp タンパク質は,(i) その遺伝子がゲノム上に 16 コピーのクラスターとして存在している, 350

5 日本細菌学雑誌 62( 3 ),2007 (ii)90 アミノ酸の共通のリピートが多数存在している,(iii) イムノドミナントである,(iv)N 末端側に膜貫通セグメントか脂質結合部位が存在している, などの理由から抗原性変化をになうタンパク質であることが示唆される (29) さらに, これらのことは抗原性変化のタンパク質も菌体表面で局在していることを意味している ひょっとすると一般的に抗原性変化のタンパク質は菌体上で局在していて, そのことが抗原性やその変化と関係するのかも知れない 3) 滑走装置周辺のアーキテクチャー装置はどのような形状をしているのだろうか? ネガティブ染色電子顕微鏡法で詳細に観察すると, ネック表面は多くの細い繊維でおおわれているように見える 滑走のタンパク質がネックに排他的に存在することを考えれば, この繊維が滑走装置に含まれることは想像に難くない 単離された Gli349 分子の形状が繊維状であること ( 後述 )(1), Gli349 は細胞外部から抗体がアクセスしやすいこと (82), などを考えるとこの繊維が Gli349 である可能性が高い 菌体をトライトン X100 で処理するとくらげに似た構造が現れた ( 図 5)( 投稿中 ) このくらげ構造は, 格子模様があって硬く見える 傘 に数十の柔らかい 触手 が結合した構造である 触手には直径が約 20 ナノメートルの 180 回転対称の粒子が周期的にくっついている 触手は滑走タンパク質それぞれがない変異株では触手がよりこわれた状態になっており, このことはくらげ構造が滑走装置と密接にかかわっていることを意味している 近年, アクチンオルソログの MreB と, チューブリンオルソログの FtsZ が細菌のほとんどに存在していることが明らかになった (15) 一般的に MreB は細胞形態の維持と染色体分配を,FtsZ は細胞質分裂をになっている しかし, モービレのゲノムにはどちらの遺伝子も存在しない 著者らはくらげ構造を単離し, ペプチドマスフィンガープリンティング法で 10 個の構成タンパク質を同定した そのうち 6 つの遺伝子はゲノム上でクラスターを形成していた 10 個の構成タンパク質のうち 6 つは既知タンパク質との配列相同性が見られないものであった また 2 つはプロトン駆動力で ATP を合成する,ATP 合成酵素のサブユニット, アルファとベータのそれぞれに明らかな相同性を示した しかし, ゲノム上の近辺に ATP 合成酵素の他の 6 つのサブユニットは見つからず, 代わりに別の位置に ATP 合成酵素の全サブユニットがコードされている このことから, くらげ構造を構成しているタンパク質はATP 合成やプロトンの輸送とは別の機能を持っていると考えられる 同様の例が細菌べん毛のタンパク質輸送や, 細菌のエフェクター輸送を行う,III 型分泌システムでも見られる (2,26) すなわち ATP のエネルギーを用いてタンパク質輸送を制御する構成要素がATP 合成酵素の明らかなホモログである 次に菌体と固形物表面との間の相互作用を調べるために, 雲母板表面を滑走しているマイコプラズマを化学的に固定し, 切片を作製して電子顕微鏡で観察した 菌体と雲母をつなぐ構造ははっきりとは観察されなかったが, 菌体 と固形物表面の間の距離が約 25 ナノメートルであることが明らかになった 菌体と固形物表面の間を結ぶ構造は rapid freeze/fracture/deep etch/replica 電子顕微鏡法で明らかになった (54) 数十本の約 50 ナノメートルの足のような構造がネック周辺の細胞膜から突き出し, 先端部分で固形物表面に接していることが観察された この構造が固形物表面をつかんだり離したりして菌体を前方向に引っぱっていると考えられる 考えられる機能, 形態と大きさなどから考えて, あし 構造は主に Gli349 タンパク質で構成されていると考えれられる 菌体構造の全体像を図 6 に示す 4)Gli349 タンパク質このタンパク質は 3181 のアミノ酸で構成されており,N 末端近辺に膜貫通セグメントが存在している 滑走タンパク質の中でこれが最初に見つかったので, その性質が最もよく解析されている (42,82) このタンパク質に対するモノクローナル抗体は滑走速度を抑制し, 最終的には菌体をガラスから外してしまう そのため,Gli349 タンパク質が滑走中における固形物結合をになっており, 何らかの動きを行っていると考えられる Gli349 はタンパク質のゲル電気泳動 (SDS-PAGE) のゲル中でブロードなバンドを形成すること, またプロテアーゼ処理に感受性であることから分子全体が柔らかい性質を持つものと考えられる (48) このタンパク質をモービレの菌体から単離精製し, その構造を解析した (1) ゲルろ過による解析は単離された Gli349 タンパク質がモノマーであることを示していた ロータリーシャドウイングによる電子顕微鏡観察から, 分子が約 100 ナノメートル長で, 八分音符 ( ) のような形状をしていることが明らかになった ( 図 7) それらは片方の端に直径約 14 ナノメートルの球状の部分を持っており, 著者らはこの部分を フット と名づけた フットからそれぞれ 43,20,20 ナノメートルの 3 つのロッドがこの順につながっており,1 つめと 2 つめのロッドを結ぶヒンジは柔らかく, それに対して最後のヒンジは硬くて曲がり角は約 90 度だった また分子像の相当数は, この部分がおれたたみ可能であると想定することで説明できるものであった モノクローナル抗体を用いた解析から, フット側が C 末端側であることが明らかになった 原子間力顕微鏡 (AFM) による水中での観察を行ったところ, 一番長いロッドは非常に柔らかかった さらにアミノ酸配列を詳細に解析すると,Gli349 の配列の 60% が約 100 アミノ酸からなる弱いリピート配列から形成されていた (48) このリピート配列はこれまでに報告されたどのような配列とも相同性はなく, また三次元構造も未知のものであると予想された またリピート配列以外の部分は菌体のプロテアーゼ処理に対して感受性であることから, リピートを結ぶ部分ははっきりとした立体構造をとっておらず, 柔らかく, また外部に露出していることが示唆された Gli349 分子に対する知見を図 6 の下の部分にまとめた 短いロッドの端が N 末端で, そこには膜貫通セグメントが存在する 2 つの短いロッドが細胞膜近辺に存在し, 分子が固形物表面についている場合 351

6 図 7. モービレのあしのタンパク質,Gli349 菌体から精製したタンパク質をロータリーシャドウイング法を用いて観察した (A) フィールド像 (B) 典型的な分子像を並べたもの には長く柔らかいロッドが膜から突き出している この部分は, 分子が固形物表面についていない場合には菌体表面に沿って存在していると考えられる フットは C 末端側で, 固形物表面への結合を行っている 著者らはこれまでに, 滑走しているマイコプラズマのガラス結合を阻害する 2 つのモノクローナル抗体を取得しているが, どちらもおりたたみ可能なヒンジ近辺に結合する そのため, このドメインが構造変化のホットスポットであると思われる C 末端に近い,2770 番目のセリンがロイシンに変わった変異株は固形物表面に結合することができず, 結果として滑走できない そのためこの辺りの構造が結合に重要であると考えられる 5)Gli521 タンパク質このタンパク質は 4728 個のアミノ酸からなる ORF としてコードされている 両末端に膜貫通セグメントが存在するが,N 末端側はプロセスされる (74) 滑走するモービレをガラスにはりつけたまま動きを止める抗体の標的, として同定された そのため, 著者らはこのタンパク質の役割はモーターであるか, あるいはモーターからあしに力を伝える ギア であると考えた しかし Gli521 の遺伝子のす ぐ下流にコードされている P42 に ATP 加水分解活性が認められたため, 現在では Gli521 の役割がモーターからあしに力を伝えるギヤであると考えている (61) Gli521 のない変異株は固形物表面への結合もせず,Gli349 タンパク質の量も少ない (74) このことは Gli521 が Gli349 の足場としての役割も果たしていることを示唆している Gli521 タンパク質を単離精製してその性質を解析した このタンパク質も基本的にモノマーだが, ロータリーシャドウイングで見た分子像はそれぞれのアームが約 130 ナノメートルの三つ又形状だった ( 図 8) 同じく三つ又形状をとる クラスリン は, 真核細胞の膜の裏打ちを行うことで小胞を形成することがよく知られている Gli521 もモービレ菌体のネック部分の形態形成, 維持をになっているのかも知れない プロテアーゼによる部分分解を行うとGli521タンパク質は 3 つに切断される このことと三つ又形状に何らかの対応があるかも知れない 滑走を阻害するモノクローナル抗体は,3736 から 4020 番目のアミノ酸から構成される領域に結合する このことは, この部分が菌体外部に向いていて, 滑走メカニズムの中で構造変化を起こしていることを意味している 6)Gli123 タンパク質このタンパク質は 1128 のアミノ酸からなっており,N 末端側に膜貫通セグメントが存在している (84) ゲノム上では Gli349,Gli521 タンパク質の上流にコードされている ( 図 3) このタンパク質を欠失した変異株では Gli349, Gli521 タンパク質の細胞局在と安定性が損なわれる また Gli123 タンパク質は Gli349,Gli521 タンパク質と同じ位置に同じ分子数が存在している これらの観察はこのタンパク質が他の滑走タンパク質に結合サイトを提供し, 滑走装置複合体の形成に重要な役割を果たしていることを意味している このタンパク質に対する抗体は菌体外部から分子にアクセスできるが, 滑走運動を阻害することはない このことは滑走メカニズムの中でGli123が大きな構造変化を行っていないか, あるいは動く部分が外部からはアクセスできない位置に存在していることを意味している 7) 滑走時の結合対象マイコプラズマの滑走運動はガラス表面で観察される しかし自然界ではマイコプラズマは動物組織上を滑走するため, 本来の結合対象は動物細胞の表面構造か細胞外マトリクスのはずである ガラスを血清でコートするとモービレはそのガラスにはりついて滑走するようになるが, コートしたガラスをプロテアーゼ処理するとモービレはガラスにつかなくなる (28) これらのことは血清中のタンパク質成分が動物組織の表面構造と同じ構造を有しており, それが滑走に必要なガラス結合を行っていることを示唆している 放射活性で測定したニューモニエの結合対象がシアル酸であることが, 以前に報告されていた (65) そこで著者らは, ニューモニエの結合を阻害する物質がモービレの滑走に与える影響を解析し, 以下の結果から, タンパク質に結合したシアル酸 ( 実際には N-acetylneuraminyllactose)( 図 352

7 日本細菌学雑誌 62( 3 ),2007 図 8. モービレのギアのタンパク質,Gli521 菌体から精製したタンパク質をロータリーシャドウイング法を用いて観察した 上段は Gli521 の典型的な分子像を並べたもの 下段は真核生物のクラスリン (85) 図 9. シアル酸の構造 9) がモービレのガラス結合を仲介すると結論づけた (60) すなわち,(i) ガラス結合は N-acetylneuraminidase で阻害される (ii) ガラス結合は N-acetylneuraminyllactose で阻害される (iii)n-acetylneuraminyllactose のついたアルブミンをコートしたガラスにモービレは結合する (iv) 滑走速度はガラス上の N-acetylneuraminyllactose の濃度に依存する 上述のように,Gli349 の C 末端側が固形物表面への結合に関与している しかし, この部分のアミノ酸配列にシアル酸結合タンパク質の特徴は見つからなかった このことはニューモニエの結合タンパク質,P1 アドヘジンの配列にもあてはまる これらのことはマイコプラズマのタンパク質が新規のシアル酸結合タンパク質であることを示しているのかも知れない あるいは, これら あし のタンパク質に結合した別のタンパク質がシアル酸結合をになっているのかも知れない 8) エネルギー源生体運動のメカニズムを考える上で, 直接のエネルギー源は必須の情報である この情報を得るために著者らは種々の薬剤の運動に与える影響を調べた その結果, 運動速度は膜ポテンシャルには全く依存しないが, 菌体内の ATP 濃度減少に比例して減少することが明らかになった (28) このことは滑走メカニズムが ATP に依存することを示唆している 真核生物の鞭毛のエネルギー源を明らかにしたのは, トライトンモデルという実験である (14) そこ では細胞膜をトライトンで透過化し,ATP を加えて運動を再活性化する このことにより, 直接のエネルギー源が ATP であることが証明され, さらに精子内部における反応を研究することが可能になった 著者らがモービレを用いて同様の実験を行ったところ, モービレの運動は膜の透過化と共に停止した (83) 膜を透過化したモービレを ゴースト と名づけたが, ゴーストは ATP の添加によって 5 秒以内にもとの速度にまで再活性化し, その動きは 1 時間以上持続した この実験から著者らは直接のエネルギー源が ATP であると結論づけた P42 は Gli521 の遺伝子の下流にコードされる 356 アミノ酸からなるタンパク質である ( 図 3) このタンパク質のアミノ酸配列は ATPase を示唆するようなモチーフを持たないが, そのタンパク質は活性を持ち, その性質はゴーストの実験から予測される モーター のものと一致していた (61) このことは滑走メカニズムのモーターがこのタンパク質であることを示唆している 9) さらなる滑走の性質菌体の尾部にプラスチックビーズを結合させ, このビーズに光ピンセットかよく制御した液体の流れによって負荷をかけることでモービレが出している力を測定した (55) 滑走の速度はかけた負荷に比例して遅くなった また最大力は温度に依存せず 27 ピコニュートンで, これはモービレの菌体を動かすのに必要な力の 1800 倍だった (1 ニュー 353

8 トン (N) は,1 キログラムの物体を 1 秒間で毎秒 1 メートルの速さまで加速する力 ) 菌体表面には約 450 の滑走装置ユニットが存在する (82,84) ある瞬間を見たときに,4 分の 1 のユニットが固形物表面に接することができるともし仮定すると, それぞれのユニットは最大で 0.24 ピコニュートンの力を出すことになる この数字はミオシンやキネシンなどのモータータンパク質の最大力,3 5 ピコニュートンに比べてずっと小さい さらに著者らは, あしの動きにかんする情報を得るために,50 から 1000 ナノメートルまでのいろんな高さのステップを作製してモービレに上り下りさせてみた (24) 400 ナノメートル以上の高さのステップはあまり上らないが, これはモービレの細胞の大きさを考えると容易に理解することができる 逆に, モービレはステップ下りが苦手で, たいていは崖に沿うように曲がってしまう また, 細い溝を作ってはめた場合も決して運動方向が逆転することがない これらの観察はあしが柔らかく, 主に足場を引っぱることで動いていると考えると理解しやすい モービレは赤血球の表面もガラスと同じように滑走するが, その様子を微分干渉顕微鏡で観察すると赤血球膜がモービレの方向に引っぱられているように見える (13) この観察は赤血球膜を小さなビーズでマークすることにより確かめられた 10) メカニズムの特徴とパワーストローク ( ムカデ ) モデルメカニズムは ATP のエネルギーで結合と解離を繰り返す といった点でミオシンやキネシンのようないわゆる モータータンパク質 と共通点がある しかし, マイコプラズマの滑走運動には以下にあげるような特徴がある (i) 滑走の装置の半分は外部に露出している (ii)atpase と固形物への結合部位は約 50 ナノメートル離れている (iii) レールであるシアル酸には方向性がない (iv) 動きを止めてしまうのに必要な力はユニットあたり0.24ピコニュートンと小さい (v)gli349 の最も長いロッドが柔らかいため, メカニズムには押すようなステップはないと考えられる これらの特徴とこれまでに得られた他の結果を考慮して, 著者らはメカニズムをパワーストローク ( ムカデ ) モデルで説明しようとしている (51,92,94,97) すなわちそれぞれの滑走ユニットはメカニカルサイクルの中にあり, サイクルは一連の状態 ( 図 10,a から f) と (i) ストローク, (ii) 動き,(iii) 解離,(iv) 戻り,(v) ゆるい結合,(vi) 強い結合, からなる移行ステップ, から構成される ここでの大きな仮定は, 図中の稲妻でマークされるように, あしにかかった張力がステージの進行を誘導することである ステージ (a) ではあし (Gli349) が固形物表面のシアル酸に強く結合する あしにかかった力があしの上部の構造変化を誘発し,(i) のストロークになる この誘発は仮定である ユニットはステージ (a) で新しい ATP 分子を待っている, なぜなら ATP がトライトンによる細胞膜の透過化で失われた時にゴーストは動かなくなるからである ステージ (b) ではより強い張力があしにかかり, 実際の動 き (ii) が起こる あしの長さが約 50 ナノメートルであることと滑走速度が毎秒 2.5ミクロンであることを考えると, このステップは遅くとも 10 ミリ秒以内に起こらなくてはならない 外力によって止められる場合 ( ストール ) はこのステップで止まると考えられる ステージ (c) ではあしにかかる張力が減少し, この変化がステップ (iii) における, あしのシアル酸の解離を誘発する 張力の減少はまた, ステージ (e) の様にもとのコンフォメーションへの戻りを誘発する そしてユニットはゆるい結合状態 (f) を通って強く結合した状態へ戻る Gli349 に対するある抗体は, 滑走するマイコプラズマをガラスから解離させるが, また滑走速度も抑制する 実測した最大力 ( ストール力 ) が, 計算からえた, マイコプラズマ菌体を通常の速度で引っ張るのに必要な力の 1800 倍と大きいので, 滑走速度の低下は抗体によって機能するあしの数が減少することでは説明できない そのため, ゆるい結合状態 (f) があるために抗体によって誘発される, 引きずり力 を考える必要がある この, 抗体による菌体のガラスからの遊離はステップ (v) の逆反応を介して起こるのである 著者らは菌体あたりに約 450 の滑走ユニットが存在していると考えている これが正しいとすると, ユニットは菌体を前方向に引っ張る時に協同的に働く必要がある 一般的に, ミクロスケールでは分子間相互作用の影響は強調される あしは柔らかいため, その動きは特殊な方法で制御しなくても, 物理的に協調すると考えられる ここに示したサイクルはまだあくまで作業仮説の段階である しかし, これまでに滑走を特異的に阻害する 3 つの抗体を単離し,4 つの滑走と結合に影響を及ぼす変異点を同定したが, これらエフェクターの滑走タンパク質における標的位置を決定すると, この作業仮説がこれらの効果をよく説明することが明らかになった 作業仮説はモービレにおける観察をもとに提案された これは当然,M. pulmonis のようにゲノム中に容易にオルソログの見つかる, 近縁種には当てはまるものと思われる (9, 29) しかしニューモニエグループの種はどうであろうか? 著者らはニューモニエの接着タンパク質,P1 アドヘジンに対する抗体が, 抗 Gli349 抗体のモービレに対する効果と同じようにニューモニエの滑走速度を抑制し, 最終的には菌体をガラスから遊離させてしまうことを見いだした (69) このことは 2 つのグループ間におけるメカニズムの共通性を示唆しているのかも知れない 11) メカニズムの完全な理解のために上記のモデルはこれまでの実験結果をよく説明するが, あくまでも作業仮説である 前出のように著者らは細胞のヘッドとネックの内側に存在するくらげ様の細胞骨格を発見した この構造は Gli521 タンパク質と作用することが示唆されているが, 滑走メカニズムにおける役割はまだわからない それは滑走装置を機械的に支えているのだろうか? 滑走のタンパク質を輸送しているのだろうか? あるいはもっと直接的な役割を果たしているのだろうか? 滑走メカニズムのイメージをもっと具体化するには以下の情報が 354

9 日本細菌学雑誌 62( 3 ),2007 図 10. モービレ滑走メカニズムのモデルネック部分に多数存在する滑走ユニットの 1 つに注目している 6 つの状態からなるサイクル あしにかかる張力の変化でサイクルが進む ( 稲妻で表された部分 ) 図 11.MvspI と滑走装置ユニットの形態左が MvspI で, 右が滑走装置ユニット 有効と思われる (i) 装置の全体と原子レベル像,(ii) 蛍光ラベルと力測定による装置の実際の動きの検出と解析, (iii) 作業仮説の数学的検証,(iv) 運動系の再構築 12) 滑走メカニズムの起源滑走タンパク質のアミノ酸配列は他のどのタンパク質とも似ていないため, 滑走メカニズムの起源は現時点ではわからない 一般にマイコプラズマは動物の組織に寄生するため, 発達した抗原性変化のメカニズムを有している Mvsp タンパク質は上述のように抗原性変化を行っていることが示唆されており, そのアミノ酸配列は Gli349 タンパク質と同様に約 90 アミノ酸からなるリピートから構成されている (29) その中で最も大きな分子量,220 k をもつ MvspI はネック以外の菌体表面に大量に存在している 著者らはこのタンパク質を単離し, 性格づけと分子の形態観 図 12. ニューモニエ接着器官の内部に見られる細胞骨格細胞膜を界面活性剤で部分的に溶かしたもの 左が菌体先端部 (ii) 縞のある対になったプレート,(iii) ロッドの先端 ( ターミナルボタン ),(iv) ホイール複合体, がそれぞれの番号で示してある 察を行った タンパク質はホモダイマーで C 末端側の柔らかい部分が N 末端側の球状の部分から突き出していた このタンパク質のアウトラインは図 11 で示すように滑走ユニット全体の形を彷彿とさせるものであった これらの事実は滑走タンパク質と抗原性変化のタンパク質の起源が共通であることを示唆するのかも知れない 6. ニューモニエ滑走運動の研究 ヒト肺炎の原因菌であるニューモニエの滑走と接着に関する研究のはじまりはモービレよりずっと早く,1970 年代初頭に遡る (63) 滑走装置には, 接着と滑走に必須な多数 355

10 図 13. 接着器官のアーキテクチャーこれまでの知見を統合して示してある のタンパク質が存在しており, よく組織化された内部構造を特徴としている ( 図 12)(51) ニューモニエでは, モービレと異なり 1996 年に報告されたゲノム情報をベースにした若干の遺伝学が使える 1) 接着器官の超分子構造接着器官とその内部のアーキテクチャーは 1970 年代初頭に見つかったが, その構造の詳細な解析はあまり行われてこなかった ごく最近になってエレクトロンクライオトモグラフィー (ECT) を含む電子顕微鏡を用いた構造研究がなされ, 構造の詳細が少しずつ明らかになりつつある (20,21,75) 以下に現在の知見を概観する 接着器官は以下のように大きく分けて 5 つのパートから形成されている ( 図 13) (i) 表面構造 ( ナップ, けば ),(ii) 縞のある対になったプレート,(iii) ロッドの先端 ( ターミナルボタン ),(iv) ロッドの根元 ( ボウル, あるいはホイール ),(v) 密度の低い部位 以下にその詳細を解説する (i) 表面構造 : 菌体をネガティブ染色法で観察すると接着器官表面にはナップと呼ばれる構造が見られる (25) 似た構造がニューモニエグループの他の種, すなわち Mycoplasma genitalium,mycoplasma pulmonis,mycoplasma gallisepticum で観察される (36) 最近の ECT による研究でも接着器官表面に膜タンパク質が集中していることが報告されている (21,75) それぞれのユニットは高さが約 16 ナノメートルで, それは菌体側の約 10 ナノメートル長のストークと, 先端側の高さ 4 8 ナノメートルで 8 ナノメートル幅の球状の部分から構成されている また, この構造は細胞膜を貫通しており,24 ナノメートルまで細胞質側に伸びておりその先端が少し膨らんでいる 滑走運動が菌体と固形物の間で起こる現象であることを考えると, この構造が あし としての役割を果たしている可能性が大きい (ii) 縞のある対になったプレート : 接着器官の切片像を 図 14. ニューモニエの接着関連タンパク質の局在 P65 と HMW3 がそれぞれ青と緑で示してある 位相差顕微鏡像と蛍光顕微鏡像を別々に取得し, オーバーレイした (33) 観察すると中央には高密度のコアがあり, その周りは低密度の部分で囲まれている (25,76,86,87) 菌体をトライトン X-100 で処理すると細胞骨格とおぼしき不溶構造が現れる それは厚みのあるロッドとバスケット状構造を形成する繊維ネットワークから形成されている ロッドは切片像における高密度コアに対応すると考えられる これが接着器官を支え, バスケット状構造が菌体のその他の部分を支えていると考えられていた (37,53) しかし, トライトン不溶構造をDNaseで処理するとバスケット状構造は消失するため, この構造は核酸である可能性が強い ロッド構造は見かけ上 2 つの部分に分けられる ひとつは縞のある対になったプレートで, もう一つは先端の構造 ( ターミナルボタン ) である 最近の ECT を用いた研究により, この縞のある対になったプレートは約 7 ナノメートルのギャッ 356

11 日本細菌学雑誌 62( 3 ),2007 プで隔てられた, 異なった厚みの 2 枚のプレートからできていることが明らかになった (21,75) プレートは柔軟性があり中央より少し根元側で約 150 度湾曲していることが多い (iii) ロッドの先端 ( ターミナルボタン ): 高密度コアの先端側は膨らんでおり, 細胞膜に結合している この膨らんだ部分はターミナルボタンと呼ばれている (4,53,87) これらの特徴は単離されたロッドでも観察される ECT で観察されたターミナルボタンは 3 つのパーツに分かれており, 先端のパーツは細胞周辺の膜タンパク質に結合している (21,75) (iv) ホイール複合体 :Hegermann らはクライオ切片法による電子顕微鏡観察から印象的なモデルを提案した (20) すなわち, ロッドが根元部分で ホイール複合体 と繊維で結ばれているというものである ECT でも類似の構造が観察された ただしこの場合には繊維は見られず, 構造は ボウル状 をしている (21,75) (v) 低密度エリア : 高密度コアを取り巻くように観察される ここには密度の高い物質が観察されない Hegermann らはこのエリアにロッドと細胞膜をつなぐスポークが存在することを示唆している Seybert らは ECT でロッドの根元の部分に同様の構造を見いだしている しかし Henderson らはこの部分が他の細胞質とは異なる性質の液体で満たされており, ロッド周辺で発生した力と動きを伝える働きをしている可能性を指摘している 2) 接着のタンパク質接着は病原性決定因子であるため, 接着タンパク質と 10 の必須タンパク質が同定されてきた これらは全て接着器官に局在している ( 図 14)(4,38,51,53) そのため現在では, 接着器官に局在するかどうかを見ることが, 接着に必須なタンパク質を見つけ出す方法のひとつになっている (33,70,71) 接着に関係するタンパク質は一般的に, 滑走にも必須である なぜならマイコプラズマは結合しているときにのみ滑走できるからである 最近はニューモニエでもある程度の遺伝子組換え実験ができるようになったため, 接着に関連するタンパク質が次々に見つかりつつある (5,19,33,39) これらのタンパク質はその菌体内における局在などから,5 つのグループに分類される (i)p1 アドヘジン (MPN141): 膜貫通セグメントを持つ 170-kDa のタンパク質で, シアル酸かグリコリピドを介する固形物への結合と滑走運動をになっている (40,63,65,69) (ii) P1 アドヘジンに結合し, 機能を補佐するタンパク質,P90, P40( この 2 つのタンパク質は同じ ORF(MPN142) にコードされている ) など これらのタンパク質は P1 アドヘジンと同様に接着器官を含む比較的広い範囲に局在している P1 アドヘジンとこれらのタンパク質で形成される複合体が, 電子顕微鏡像ではナップとして観察されているのかも知れない (43,45,70,71) (iii) ロッドの中央部に存在するタンパク質 :HMW1(MPN447) と HMW2(MPN310) これらはロッドの形成に必須であることから, これらが縞 のある対になったプレートの構成成分である可能性がある (39,44,71) (iv) ロッドの根元に局在する, ホイールの構成要素と考えられるタンパク質 P41(MPN311),P24 (MPN312),P200(MPN567) が含まれる (31,33) (v) 接着器官の先端に存在し, ターミナルボタンを構成すると考えられるタンパク質 P65(MPN309),P30(MPN453), HMW3(MPN452)(33,66,70,71,81) これらのタンパク質のうち P200 を除く全てはゲノム上の 3 つのローカスにコードされている (37) すなわち,(i)P1 アドヘジン, P90,P40 ともう 1 つの ORF をコードする P1 オペロン (ii)p65,hmw2,p41,p24 をコードする crl ローカス, (iii)p30,hmw3,hmw1, と他の 6 つの ORF をコードする HMW オペロン 多くの細菌のシステムで見られるように, それぞれのグループのタンパク質は同じ場面で機能しているように思われる 逆にこれらのローカスに存在しているORFは接着や滑走に何らかの機能を果たしていると思われる HMW1,HMW3,P65,P200, は SDS-PAGE で分子量から予測されるよりもずっと遅く移動するという特徴を持っており, これはこれらのタンパク質の半分以上の領域をしめる acidic proline rich(apr) ドメインにおけるアミノ酸含量の偏りに由来する (3) この特徴はこれらのタンパク質が接着器官に特有の環境の中で働いており, その 環境の特殊性 が接着器官中の低密度部分に反映されているのかも知れない ニューモニエのゲノムには細菌のアクチンホモログである MreB は存在しないが, チューブリンホモログである FtsZ は存在しており (11,22), 実際にタンパク質として発現している (27) しかし FtsZ は明らかに接着器官に局在しているというわけではなく, このタンパク質が接着に直接関連している可能性は低い 3) 滑走のみに関与するタンパク質上述のように接着と滑走に必須のタンパク質が多数見つかってきたが, これらは滑走メカニズムに直接的な解を与えるものではない そこでさらに滑走メカニズムにかんする情報を得るために,2 つのグループが 滑走に関与して接着に関与しない 遺伝子の同定を試みた すなわち, トランスポゾンを用いてランダムに変異を導入し, コロニーの形状から動くことのできない変異株を選択し, それぞれの菌体の挙動を解析した バルセロナ大学の Piñol らのグループはニューモニエとごく近縁の M. genitalium からこの条件に合う 2 つの変異株を同定した (62) またジョージア大学の Krause らのグループはニューモニエから 11 の新規遺伝子を同定し, 最終的に 3 つに注目した (16) これらの結果は滑走運動のミステリーをすぐに解き明かすものではなかったが, 以下のように, マイコプラズマ研究者に示唆とツールを与えた (i) 同定したほとんどの変異体では運動能力は完全にはなくならなかったため, これらの遺伝子がコードするタンパク質の滑走メカニズムへの直接の関与には疑問が残る なぜなら, その遺伝子が滑走運動メカニズムに本当に必要なら, トランスポゾンの変異株の中に動 357

12 かないものが存在するはずだからである あるいはその遺伝子が滑走だけではなく生育にも必須なのかも知れない (ii)m. genitalium で同定された mg386 遺伝子の産物はニューモニエの P200 のオルソログである P200 はニューモニエの接着器官のホイール ( ボウル ) の部分に局在していることが知られている ニューモニエの変異株の形質も, このタンパク質が滑走運動メカニズムにかかわっていることを示唆していた ホイールとこのタンパク質は, 他のタンパク質構成成分よりも滑走により直接的にかかわっている可能性がある (iii)mpn387 遺伝子の産物を欠くニューモニエは全く動くことができないため, このタンパク質は滑走メカニズムに直接関与していると思われる (iv)p41 タンパク質を欠くニューモニエの変異株では, 接着器官のみが菌体からちぎれて滑走し続ける この観察は菌体内局在から想像されるこれらのタンパク質の役割と一致する すなわち, ボウルが接着器官を菌体の他の部分に結びつける役割をしているのである ここで観察される, ちぎれた接着器官のピースはメカニズムに必要な装置の特定と, 解析の重要な手がかりになると思われる (30) 4) ニューモニエの滑走メカニズムモデル接着器官のロッドの端は周辺構造に結合しており, ロッドはフレキシブルで湾曲がある この観察から, シャクトリムシモデル が提案された (21,75) しかし, 滑走するマイコプラズマを光学顕微鏡下に観察すると, 接着器官は比較的硬いように見えるため, 現時点では著者はこのモデルにあまり肯定的ではない (51) シャクトリムシに似たモデルに, ロッドが固形物表面への結合と解離を伴った収縮と伸長をくりかえす, 収縮 伸長モデルがある (88) これらの論争は, あしを含む接着器官の詳細構造をリアルタイムに解析することで決着が付けられると思われる 著者らは P1 アドヘジンに対するモノクローナル抗体を加えると滑走速度が抑えられ, 最終的には菌体がガラス表面から外れてしまうことを見つけた (69) この現象は, モービレで提言したパワーストロークモデルをベースにした, 以下の 3 つのシナリオのどれかで説明することができる 1 つ目では, 抗体が結合することで P1 アドヘジン分子のガラスからの解離が遅くなり, 新たな引きずり力が発生し, さらに再結合の阻害も起こる 2 つ目のシナリオは,P1 アドヘジン分子の全てではなく限られた分子が推進力を生むサイクルを回っており, 他の分子は静的な結合を行って菌体をガラス上に保ち, また通常の滑走では引きずり力を発生している この場合, サイクルを回っている P1 アドヘジン分子の数が抗体の結合により減少し, 通常の速度で菌体を推進するのに必要な力が足りなくなる 3 つ目のシナリオでは,2 つ目と同様に,P1 アドヘジン分子の全てではなく限られた分子が推進力を生むサイクルを回っている しかし速度は引きずり力で決まっているのではなく, 全 P1 アドヘジン分子のストローク時間の合計で決まっている この場合には P1 アドヘジン分子の数の減少がそのまま菌体の滑走速度を抑制する 7. おさそい 著者らが 1997 年に マイコプラズマ滑走運動の研究 を始めた当初, このテーマを扱っている研究者はおらず, この興味深い現象は, マイコプラズマ研究者の記憶の彼方に消え去るところであった 著者らが研究開始時に抱いていた当面の目標は, この 10 年間でそれなりに達成されたと自負している (10) 現在, このテーマはそれにかかわる遺伝子とタンパク質が同定され, 装置の構造の輪郭が見え始め, ゴーストや蛍光ラベル実験などで反応を追うこともできる様になった これは, 実験結果を基に具体的な仮説とそれを検証するための実験計画が立てられること, さらには, 他分野の研究者がそれぞれの発想でこのテーマに参入することができる下地ができたことを意味している (12, 23) 著者は, 本稿の読者の中から新たな同業者が生まれることを期待している マイコプラズマ性肺炎は, 多くの人がかかるが重い病気ではない そのため, 医学的な必要性は他の感染症と比べて低いかも知れない しかし基礎科学としておもしろく, 美しいストーリーを展開できれば, このテーマがいつの日か何らかの形で社会に貢献するものと信じている 謝 1999 年に入会した新参者の私に, 貴重な学会賞を下さった細菌学会に感謝します これまでに私と共に研究を行い, エキサイティングな時間を共有してくれた共同研究者諸氏と, マイコプラズマの滑走運動に興味を抱いて, コメントあるいはサポートを下さった諸兄に感謝します 本稿に未発表のデータと図を提供して下さった, 国立感染症研究所の見理剛博士, 研究室のアダン純, 中根大介, 野中孝裕, 各氏に感謝します 文 1) Adan-Kubo, J., Uenoyama, A., Arata, T., Miyata, M. (2006): Morphology of isolated Gli349, a leg protein responsible for glass binding of Mycoplasma mobile gliding revealed by rotaryshadowing electron microscopy. J. Bacteriol. 188, ) Akeda, Y., Galan, J.E. (2005): Chaperone release and unfolding of substrates in type III secretion. Nature 437, ) Balish, M., Krause, D.C. (2002): Cytadherence and the cytoskeleton. p , In Herrmann, R., Razin, S. (eds), Molecular Biology and Pathogenicity of Mycoplasmas., London, Kluwer Academic/Plenum Publishers. 4) Balish, M.F. (2006): Subcellular structures of mycoplasmas. Front. Biosci. 11, ) Balish, M.F., Santurri, R.T., Ricci, A.M., Lee, K.K., Krause, D.C. (2003): Localization of Mycoplasma pneumoniae cytadherenceassociated protein HMW2 by fusion with green fluorescent protein: implications for attachment organelle structure. Mol. Microbiol. 47, ) Bourret, R.B., Charon, N.W., Stock, A.M., West, A.H. (2002): Bright lights, abundant operons fluorescence and genomic technologies advance studies of bacterial locomotion and signal transduction: review of the BLAST meeting, Cuernavaca, Mexico, 14 to 19 January J. Bacteriol. 184, 辞 献 358

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