1. 現状 1) 立地本市は東京都特別区と多摩地域の境にあり都心から約 20km の西方に位置し面積は 10.73k m2と全国でも小さな都市のひとつです市の区域は南北 3.1km 東西 6.4km と横に細長く市西部から市東部にかけて緩やかに傾斜しています地質はローム質 ( 火山灰質

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あいぞうりゅうとう
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1 市の緑を取り巻く各種環境の変化と緑の果たす役割を踏まえ市内の緑の現状課題を示します 13

2 1. 現状 1) 立地本市は東京都特別区と多摩地域の境にあり都心から約 20km の西方に位置し面積は 10.73k m2と全国でも小さな都市のひとつです市の区域は南北 3.1km 東西 6.4km と横に細長く市西部から市東部にかけて緩やかに傾斜しています地質はローム質 ( 火山灰質 ) であり湧水地となるはけを市域内にほとんどもたないため自然河川などの水辺には恵まれていません 2) 緑の変遷かつて本市では人々の生活と原野や農地雑木林と農家や屋敷林が溶け込む風景が広がっていましたしかし戦後の急激な人口増加に伴い住宅地が増加する一方農地や屋敷林が減少し市内の緑地や自然地の減少が進行しましたその結果全国でも人口密度の高い都市のひとつになりました一方市内の緑の都市構造の基本的な骨格は次のように形成されています市域東部の都立井の頭恩賜公園と西部の都立小金井公園を結んで西から東に流れている玉川上水そしてその分水であり市域の北側を流れる千川上水は清流復活事業として昭和 61 年と平成元年に相次いでよみがえりましたまた市域中央部にある成蹊学園と都立武蔵野中央公園は緑の拠点でありこれらをつなぐグリーンパーク遊歩道などと市内に点在する屋敷林や社寺林が武蔵野の面影を残していますこのように残されている歴史的な緑と市街化された住宅地における個々の緑が複合し緑豊かな住宅都市としてのイメージが定着しつつあります 14

3 3) 緑化行政の歩み年度主な施策昭和 46 年市民参加で緑化施策や計画の検討を行う緑化市民委員会が発足する昭和 47 年市役所の組織に緑の保護育成と公園行政を担当する部署として緑と花の課を設置する昭和 48 年全国に類を見ない緑をテーマにした武蔵野市民緑の憲章を制定する昭和 58 年武蔵野市立公園条例を施行する昭和 60 年武蔵野市みどりの保護育成と緑化推進に関する条例を制定し民有地の緑の保全育成支援が始まる緑化市民委員会を緑化環境市民委員会に改正する昭和 61 年玉川上水の清流が復活する平成元年千川上水の清流が復活する公園緑化基金条例を制定する平成 5 年市民が緑の情報提供や活動を行う緑のまちづくりレポーター制度が始まる平成 6 年大木シンボルツリー 2000 計画が始まる平成 9 年緑の基本計画 ( むさしのリメイク ) を策定する武蔵野市緑化に関する指導要綱を制定し建築に伴う緑化指導が始まる平成 10 年仙川水辺環境整備基本計画 ( 仙川リメイク ) を策定し親水化整備が始まる平成 12 年武蔵野市緑ボランティア団体事業助成要綱を制定し緑ボランティアの活動への支援が始まる平成 14 年さらなる緑化推進にあたり緑化環境専門委員を設置する平成 15 年保存樹木剪定事業要綱を制定し民有地の大木の保全策を充実させる平成 18 年千川上水の管理が都から市に移譲される緑の基本計画改正のための検討委員会を市民参加で設ける 15

4) 緑の現況 (1) 概況緑被率平成 17 年に実施した自然環境等実態調査によると市内の緑被地 ( 樹林地草地農地の合計 ) は 257.63ha 緑被率( 市の面積に占める緑被地の割合 ) は 24.

その後は緑に関する様々な取組みの成果が表れほぼ横ばいまたは増加傾向にあります樹木地本市では緑被地の多くを樹木地が占めているため小さな都市でありながらも自然を身近に感じることができまた比較的良好な都市景観が形成されています市はこれまで樹木

4 4) 緑の現況 (1) 概況緑被率平成 17 年に実施した自然環境等実態調査によると市内の緑被地 ( 樹林地草地農地の合計 ) は ha 緑被率( 市の面積に占める緑被地の割合 ) は 24.0% です緑被地は調査を開始した昭和 47 年から平成 17 年の 33 年間で約 100ha( 東京ドーム約 21 個分 ) も減少したことになります特に昭和 47 年から平成 6 年までは減少の一途をたどって緑被率の推移いましたその後は緑に関する様々な取組みの成果が表れほぼ横ばいまたは増加傾向にあります樹木地本市では緑被地の多くを樹木地が占めているため小さな都市でありながらも自然を身近に感じることができまた比較的良好な都市景観が形成されています市はこれまで樹木特に大木については極力切らずにしかも自然樹形を保つことに力を注いできましたその結果枝を張り大きく成長した大木の存在が緑被率の維持に大きく貢献しています一方失われた樹木地 ( 昭和 47 年から平成 17 年の間 ) の分布をみると主に吉祥寺駅の北側や西久保武蔵境駅の北側といった住宅地で緑の減少が顕著であることがわかります樹木地分布状況 ( 平成 17 年 ) 16

66ha( 東京ドーム約 3 個分 ) 増加したにもかかわらず民有地の緑は 7.3ha( 同約 1.

5 民有地と公有地の緑民有地と公有地の緑の割合をみると緑被地の 64.4% は民有地にあり多くが民有地の民有地と公有地の緑の割合緑に依存している状況ですしかし平成 6 年以降は民有地の緑の占める割合が年々低下しています平成 6 年から平成 17 年までの 11 年間で市全体の緑が 14.66ha( 東京ドーム約 3 個分 ) 増加したにもかかわらず民有地の緑は 7.3ha( 同約 1.5 個分 ) 減少しました民有地の緑が減少している主な要因として 1 土地の固定資産税や相続税が土地所有者にとって大きな負担となり都市の貴重な緑である屋敷林や樹林を開発や売買または物納せざるを得なくなっている 2 樹林や樹木が成長するにつれ近隣住民からの落ち葉などへの苦情が増え所有者の維持管理の負担が増していることがあげられます現在市では民有地の緑を保全するために保存樹木保存生垣保存樹林環境緑地などの制度によって維持管理に対する支援を行うとともに売却時には可能な限り公園緑地などの公有地として購入し緑を担保しています昭和 47 年から平成 17 年までの期間 (33 年間 ) に失われた樹木地消失面積約 26ha 17

6 (2) 公共の緑公園緑地市内の公園緑地は 178 か所 61.6ha 整備されています ( 平成 19 年 8 月 1 日現在 ) 一人当たりの公園緑地面積は平成 7 年度末には 4.2 m2でしたが現在は 4.57 m2となっています都立の井の頭恩賜公園小金井公園武蔵野中央公園の大規模な都市公園のほか遊歩道や借地公園苗木畑も配置されています都市公園の約 7 割は面積 1,000 m2以下であり小規模な公園が多いことが特徴です近年特色ある公園づくりが進められビオトープ親水雑木林の保全防災農業など様々なテーマをもった公園緑地が整備されています配置をみると東西方向に玉川上水や千川上水沿いの緑玉川上水によって結ばれている都立の小金井公園と井の頭恩賜公園の緑に加え成蹊学園都立武蔵野中央公園社寺林の緑があります南北方向には都立武蔵野中央公園と玉川上水をつなぐグリーンパーク緑地や市役所前の桜並木がありますこれら東西南北を結ぶ緑と水がネットワークを形成し動植物の生息移動空間また人々のレクリエーションの場としての機能を果たしています市内の公園緑地現況 18

7 道路の緑街路樹は平成 19 年現在 26 路線に 2,108 本植栽帯は 26 路線で総延長 12.2km となっています拡幅未整備の幹線道路 ( 五日市街道井の頭通りなど ) の街路樹の植樹は進んでいません水辺の緑本市の水辺は仙川の他に玉川上水と千川上水がありいずれも都の事業に周辺自治体が協力連携した結果清流が復活し貴重な水辺になっています玉川上水は文化財保護法による国の史跡に指定され都の計画に基づいた保存管理が行われ千川上水は平成 18 年度より武蔵野市に管理が移管されています仙川は従来のコンクリート護岸から親水空間への改修整備が仙川水辺環境整備基本計画 ( 仙川リメイク ) に基づき進められています学校の緑公共教育施設 ( 市立保育園小中学校都立高等学校など ) の緑被率は平成 6 年の 13.7% から平成 17 年には 20.8% と大きく増加していますしかし公共教育施設を除く市の施設が 35.2% であることと比較すると依然低い状況にとどまっています現在 12 校ある全ての市立小学校にビオトープが整備されていますこのほか屋上緑化や緑のカーテンも一部で実施され平成 19 年度には校庭の芝生化も一部試行的に実施されるなど様々な取組みが行われています 19

(3) 民間の緑保存樹木市の制度である保存樹木には 60 種 675 本が指定されており旧計画策定時に比べ 18 種 281 本増えています樹種ではケヤキが最も多く次いでサクラシラカシイチョウとなっており

強度の剪定により活力度評価の低いものもみられます樹林地学校や団地など大規模敷地を除く 300 m2以上のまとまった緑を抽出すると市内全体で 43 件 (83,800 m2 ) であり

m2を超えるものは数件にとどまっています多くの樹林地は屋敷林の形態をなしています保存樹木樹林地分布社会通念上安定した樹林地 ( 社寺林 ) とその他の樹林地接道部緑化総延長は 63,538mで

8 (3) 民間の緑保存樹木市の制度である保存樹木には 60 種 675 本が指定されており旧計画策定時に比べ 18 種 281 本増えています樹種ではケヤキが最も多く次いでサクラシラカシイチョウとなっており屋敷林として残されているほか学校や工場研究施設などの大規模敷地で見られます指定本数が最も多い地区は吉祥寺北町次いで中町吉祥寺本町吉祥寺東町となっていますこれらの樹木の樹勢は概ね良好ですが強度の剪定により活力度評価の低いものもみられます樹林地学校や団地など大規模敷地を除く 300 m2以上のまとまった緑を抽出すると市内全体で 43 件 (83,800 m2 ) であり五日市街道などの旧来からの街道から少し入った地区や練馬区境界付近都立井の頭恩賜公園沿いの地区などに広く分布しています規模は 1,000~2,000 m2が最も多く 4,000 m2を超えるものは数件にとどまっています多くの樹林地は屋敷林の形態をなしています保存樹木樹林地分布社会通念上安定した樹林地 ( 社寺林 ) とその他の樹林地接道部緑化総延長は 63,538mで旧計画策定時の総延長 55,496mから大きく増加しています接道部緑化率は 21.5% 5,007 か所で旧計画策定時と同様に延長 10m 未満のものが大半を占めています地区別では関前の接道部緑化率が 29.4% と最も高く吉祥寺本町が 12.4% で最も低くなっています接道部緑化状況接道部緑化総延長の推移 20

9 農地旧計画策定時には 42.2ha で市域面積の 3.9% を占めていましたが現在は 33.9ha まで減少し市域面積の 3.1% となっています地区別では関前や八幡町境で他の地区より農地が多くなっていますが近年減少傾向にあります市民農園は市内に 6 か所 539 区画 (1 区画 12 m2 ) が整備され市民の農体験の場となっています平成 20 年 4 月からは7か所 595 区画に増える予定です農地分布宅地開発等指導要綱により創出された公園緑地開発行為及び中高層建築物の建築に対して計画的なまちづくりと緑豊かで良好な居住環境の促進を目的に宅地開発等指導要綱を設け指導を行っています要綱を定めた昭和 46 年から平成 19 年 9 月までの指導件数は 1,665 件です指導によりこれまでに創出された公園緑地は都市公園が約 9.4ha( 市管理の市立公園約 3.5ha 所有者の自主管理の公園約 5.9ha) であり緑地は約 51ha です宅地開発等指導要綱により創出された公園 ( 市管理自主管理 ) 10ha 8ha 6ha 4.7ha 4.7ha 4.9ha 5.3ha 5.4ha 5.8ha 5.9ha 4ha 2ha 0ha 3.0ha 3.0ha 3.0ha 3.1ha 3.2ha 3.5ha 3.5ha ~ 平成 12 年平成 13 年平成 14 年平成 15 年平成 16 年平成 17 年平成 18 年市管理自主管理宅地開発等指導要綱により創出された緑地 60ha 40ha 35ha 36ha 37ha 39ha 44ha 46ha 51ha 20ha 0ha ~ 平成 12 年平成 13 年平成 14 年平成 15 年平成 16 年平成 17 年平成 18 年 21

(4) 市民協働市内の公園緑地を拠点とし緑化や維持管理活動を行う緑ボランティア団体は平成 19 年現在 22 か所の公園緑地を拠点に 20 団体が活動し市民は総勢 400 名にのぼりますこのほか市は自然環境について啓発を行う NPO 団体やさつき展や菊花展を通じて緑化に取組む団体など

配布といった活動が行われ延べ 600 名を超える市民が活躍してきました市民意識武蔵野市市民意識調査 ( 平成 19 年 6 月実施 ) では本市に住み続けたい理由及び施策の満足度においていずれも緑に関する回答が上位を占めており武蔵野市の将来像については静かで緑に恵まれた住宅都市への回答が最上位となっています

10 (4) 市民協働市内の公園緑地を拠点とし緑化や維持管理活動を行う緑ボランティア団体は平成 19 年現在 22 か所の公園緑地を拠点に 20 団体が活動し市民は総勢 400 名にのぼりますこのほか市は自然環境について啓発を行う NPO 団体やさつき展や菊花展を通じて緑化に取組む団体など様々な団体と協働事業を実施していますまた春秋の公園緑地花壇の植付けには毎年約 1,500 名の市民が参加していますまた平成 5 年度から平成 18 年度までの 14 年間にわたり実施してきた緑のまちづくりレポーター制度では地域別のグループに分かれてみどり塾の受講活動展樹名板づくり花壇の手入れ活動レポートの作成配布といった活動が行われ延べ 600 名を超える市民が活躍してきました市民意識武蔵野市市民意識調査 ( 平成 19 年 6 月実施 ) では本市に住み続けたい理由及び施策の満足度においていずれも緑に関する回答が上位を占めており武蔵野市の将来像については静かで緑に恵まれた住宅都市への回答が最上位となっています市が行っている緑に関するイベントや講座についても多くの市民が参加していますこのように緑への関心が高く緑豊かな環境を望んでいる一方で近隣の公園緑地や住宅の樹木などに関する苦情は年々増加傾向にありますこれは個々の市民がもつ緑に対する考えやニーズの多様化価値観の違いが背景にあります緑の保全や創出を市民一人ひとりがどのように考え取組んでいくか改めて問われています 22

2. 緑の役割緑は市民の生活環境を様々な面で支えておりその価値はますます高まっていますここでは特にその機能を都市環境改善生態系保全レクリエーション都市景観構成防災の 5 つに分類し緑のもつ役割についてまとめます都市の緑がもつこれらの効果は省エネルギー型社会への寄与や二酸化炭素吸収などを通じて地球環境の保全にもつながります 1) 都市環境改善私たちの生活が便利になる反面

11 2. 緑の役割緑は市民の生活環境を様々な面で支えておりその価値はますます高まっていますここでは特にその機能を都市環境改善生態系保全レクリエーション都市景観構成防災の 5 つに分類し緑のもつ役割についてまとめます都市の緑がもつこれらの効果は省エネルギー型社会への寄与や二酸化炭素吸収などを通じて地球環境の保全にもつながります 1) 都市環境改善私たちの生活が便利になる反面エネルギー使用により地球に負荷をかけています緑は成長に伴い二酸化炭素を吸収するため地球温暖化の防止に効果があります都市における公園緑地や樹林は植物の蒸発散作用や日射反射率が大きいことからアスファルト面に比べ温度が低く保たれるためヒートアイランド現象による気温の上昇現象を緩和する働きがあります近年増加傾向にある真夏日や熱帯夜の解消につながります成蹊学園による気象観測のデータによると武蔵野地域の温度は 80 年前は 13.4 度現在が 15.6 度で 2.2 ポイント上昇しています都市における緑の役割緑にはこれらのほかにも大気中の浮遊粒子を葉に吸着させ大気を浄化する機能や騒音を和らげる機能雨水の保水機能など多くの効果があり都市の生活で生じる環境負荷を減らす大きな役割を果たします ( 出典 : 緑の政策大綱,3p, 建設省,1994) 2) 生態系保全人間をはじめとする生物は緑を基盤とする自然の生態系の中で生かされていますそのため生態系のピラミッドが崩れると全ての生物の生存が危うくなる恐れがありますその中で樹木をはじめとする植物は光合成により二酸化炭素を吸収し酸素を供給するほか野菜や果物などをつくり出す生産的な役割を担い鳥や昆虫大型動物の生息繁殖を支えていますまた都市に存在する雑木林や農地のような人の手が入った自然も生物の生息空間として重要であり玉川上水やグリーンパーク緑地などのネットワークは小動物や昆虫の移動のための回廊にもなります生態系ピラミッド ( 出典 : ビオトープ - 復元と創造 -,4p, 自然環境復元研究会編, 信山社,1993) 23

3) レクリエーション緑は都市生活をする市民にやすらぎやくつろぎなどを提やすらぎ感と緑被率供しスポーツをはじめとするアウトドアレクリエーションだけではなく健康増進や休息を兼ねた自然とのふれあいの場日常的に緑に接することによるストレス軽減の場としての役割がありますまた社会参加の場として利用されることにより地域のつながりを深め

12 3) レクリエーション緑は都市生活をする市民にやすらぎやくつろぎなどを提やすらぎ感と緑被率供しスポーツをはじめとするアウトドアレクリエーションだけではなく健康増進や休息を兼ねた自然とのふれあいの場日常的に緑に接することによるストレス軽減の場としての役割がありますまた社会参加の場として利用されることにより地域のつながりを深め身近な自然が子どもの健やかな成長を促すなどの側面ももちます都立武蔵野中央公園は整備前から市民に親しまれていた原っぱを活かした公園でスポーツのほか紙飛行機や凧揚げなどにも利用されています吉祥寺西公園は現地で市民フォーラムを行ってどんな公園にしたいかを検討しコブシとシラカシの大木を残した原っぱとして整備したもので子どもの遊び場だけでなく各種イベントの開催場所としても親しまれています ( 都市の人間環境,45p, 品田譲, 共立出版,1987 に加筆 ) 4) 都市景観構成街路樹や生垣屋敷林公園緑地の樹木などの緑は人工物で覆われた都市景観を和らげる働きがありますまた雑木林や大木農地などは人と緑が密接に関わってきた本市の歴史と文化のシンボルとなっています優れた緑の景観は私たちのもつ美意識や感性を育みまちの個性や文化を印象づける重要な要素です市民に親しまれてきた成蹊学園のケヤキ並木や中央通りの桜並木は四季の移り変わりを伝え人と人とのふれあいを育んできた代表的な例といえます武蔵野八幡宮 5) 防災緑は地震や水害風害などの自然災害や火災などの人為的あるいは二次的な災害から市民を守る働きがありますこれまでに起こった震災の例をみても街路樹による火災の延焼遮断効果や地震に弱いブロック塀の生垣化による安全な避難路の確保避難地災害復旧拠点としての公園緑地の活用などまちの緑は市民生活を安全なものとしてくれます市内には4か所の防災広場があり約 160か所ある市立公園には約 70 基の防火水槽が設置されていますまた市立公園の整備改修に伴い防災倉庫や災害用仮設トイレなどを備え災害時の拠点としても活用できるようになっています阪神淡路大震災時に公園が延焼防止効果を発揮した様子 ( 出典 : 防災公園計画設計ガイドライン ( 財 ) 都市緑化技術開発機構ホームページ ) 24

3. 課題 1) 緑の質の向上身近な自然の保全と創出市内の緑は住宅地の緑や街路樹などの市民に身近な自然が多いことが特徴となっています緑には都市環境改善や生態系保全レクリエーション都市景観構成防災などの機能があります今後も緑の多面的な機能に着目し質の高い緑を保全していくことが重要です生態系の保全特に雑木林や水辺などの都市に残された緑と水の空間は

13 3. 課題 1) 緑の質の向上身近な自然の保全と創出市内の緑は住宅地の緑や街路樹などの市民に身近な自然が多いことが特徴となっています緑には都市環境改善や生態系保全レクリエーション都市景観構成防災などの機能があります今後も緑の多面的な機能に着目し質の高い緑を保全していくことが重要です生態系の保全特に雑木林や水辺などの都市に残された緑と水の空間は様々な植物や動物が生息する重要な空間です生物とそれを取り巻く環境がつくり出す生態系は一度失われると同じものを創り出すことは容易ではありません武蔵野の風景の保全農地や雑木林など市内の貴重な武蔵野の風景も時代の流れによりその姿を変えており武蔵野らしさや私たちの感性を育む質の高い緑が少なくなっています今残されている環境や風景を今後も積極的に保全していくことが重要です 2) 協働の活性化市民の自主性と意識の向上現在市が市民団体への支援をどこまで行うかの線引きが明確でないため要望に応じてその都度現場対応をしていますそのため協働を推進しつつも未だ行政主体で行っている状況です市と団体の役割分担を明確にし市民が自立して活動していける支援制度の構築が必要ですすそ野の拡大今後はさらに活動者のすそ野を広げ団体活動の活性化や活動団体の増加につなげることが期待されます 25

3) 民有地の緑の保全創出市民の共有財産としての理解促進と一定の市民負担の必要性民有地の緑は全体の約 65% を占めておりこの緑を保全するとともに新たな緑を創出していくことが重要ですしかし民有地の樹林や大木などの落ち葉への苦情は多く維持管理していく難しさは増すばかりですそのため緑を保有する土地所有者の負担について理解を求める取組みとともに

14 3) 民有地の緑の保全創出市民の共有財産としての理解促進と一定の市民負担の必要性民有地の緑は全体の約 65% を占めておりこの緑を保全するとともに新たな緑を創出していくことが重要ですしかし民有地の樹林や大木などの落ち葉への苦情は多く維持管理していく難しさは増すばかりですそのため緑を保有する土地所有者の負担について理解を求める取組みとともに地域で緑を守り育てていく仕組みが必要です緑の環境整備に必要な財源の確保成長時代から成熟社会へと変化する中ゆとりと潤いに満ちた快適な生活を送るためには緑の保全と創出は不可欠です様々な公益的な機能を持つ豊かな緑を市民共有の財産として次世代に引き継ぐためにも緑を成熟社会における必要不可欠な社会資本としてとらえ緑の環境整備に必要な財源を確保することが必要です緑化指導の徹底建築確認申請に伴う行政指導である緑化に関する指導要綱により民有地の緑化指導に取り組んでいますしかし規制だけでなく支援や啓発と組み合わせるなど運用の改善を図る必要があります現在は土地利用に関係なく一律に敷地面積の 20% の緑化を求めていますが用途地域や地域特性に応じたきめ細かな指導基準づくりも課題としてあげられますまた宅地開発等指導要綱による緑化指導がまちづくり条例に移行する動きを踏まえ緑化指導の総合的な再構築に向け検証する時期にきています開発や相続による民有地の減少緑の減少の原因としては維持管理の問題以外にも市街化の進展に伴う農地の宅地化住宅の建替え売却のための敷地分割があげられます緑の量を確保するという観点から地面だけではなく建物の屋上や壁面を使った緑化の重要性も高まっています開発などによって減少した緑を開発前の状態あるいはそれ以上に増やすよう取組む事業者が見られる一方緑化への配慮が十分でない事業者も見られますこうしたばらつきをなくし充実した緑化空間を確保するよう誘導を図る必要があります 26

15 4) 公有地の緑の充実新たな緑の確保本市は市全域が市街化区域であり人口密度が全国第二位の過密都市であるため公園用地の候補地が少なく街区公園の標準面積 2,500 m2以上の規模がある用地の確保は困難となっていますまた民間の土地需要が高く市が公園用地を取得することは極めて厳しい状況にあります特に駅周辺の商業地では用地確保が困難であり都市公園法の改正で新設制度変更された立体都市公園制度や借地公園制度などにより民有地を活用した緑地やオープンスペースを確保する仕組みを検討する必要がありますニーズの多様化への対応近年高齢化による健康への関心が高まっているほか施設のバリアフリー化へも広く関心がもたれるようになっています身近に自然と触れ合える場が少なくなっていることもあり子どもから高齢者まで利用できる身近な憩いの場としての公園緑地の在り方が問われています現在市民ニーズを反映した公園づくりを目指しワークショップ手法を取り入れていますがニーズが反映される反面樹木の多い公園は敬遠される傾向にあります理由としては落ち葉清掃の手間や見通しが悪くなって防犯上の問題が生じることなどを懸念するためですその結果整備される公園が緑の少ないものになりがちで場合によっては整備前より緑が減ってしまう状況にありますが一方で樹木の多い姿のまま公園として整備してほしいというニーズもあります公園の新設にあたっては市民ニーズを取り入れた施設とすることはもちろん既に整備された公園にも対応が必要なものがあります公園のリニューアル市内の公園は 20 年以上経過した公園が多くかつて求められていた 3 種の神器 ( ブランコすべり台砂場 ) があるだけでは多様化した市民ニーズを十分に満たすことはできません市内全体の公園改修をどのように進めていくか基本的な考えを整理する時期にあります学校の緑化地域社会の拠点の一つである学校は子どもの自然への感性を育む場としての役割とともに地域の緑化モデルとなるような役割が期待されていますすでに市内全ての小学校にビオトープが整備されているほか試行的な屋上緑化の実施や農作物を育てる取組を行っている学校もありますしかし学校職員が本来の教育に加えて緑の維持管理を行うことは負担が大きく地域ぐるみで学校の緑を支えていくための共通認識を形成する必要があります街路樹の樹形確保市道の街路樹や公園のシンボルツリー公共施設等の樹木は自然樹形に保ちながら剪定管理を行っていますが沿道の条件により制約を受けている箇所もあり必ずしも自然樹形を保つことのできない状況もあります街路樹の質を高める上からも自然樹形を基本とした維持管理を検討する必要があります 27

5) 地域の特性を活かした緑化市にはそれぞれの個性をもつ 3 つの駅圏域があります自然環境等実態調査の緑の市民意識調査で居住する地域の緑に満足していると回答した一番の理由は 3

こうした地域の特徴を踏まえ緑の保全整備を推進していくことが課題となります市内の緑の分布は地域差が生じており武蔵境地域では多く吉祥寺地域では少ない状況です吉祥寺地域は

今後三鷹駅前で開発が進められている地域にも同様の働きかけが必要です武蔵境地域は駅北口周辺に公園緑地が少なくその整備が課題となりますしかし他地域に比べ農地が多く残されています

16 5) 地域の特性を活かした緑化市にはそれぞれの個性をもつ 3 つの駅圏域があります自然環境等実態調査の緑の市民意識調査で居住する地域の緑に満足していると回答した一番の理由は 3 地域いずれも身近に公園緑地があるでした次に多い理由は吉祥寺地域は個人住宅の庭の緑が豊かである中央地域は道路の街路樹が多い武蔵境地域は樹林地や農地が多いことがあげられていますこうした地域の特徴を踏まえ緑の保全整備を推進していくことが課題となります市内の緑の分布は地域差が生じており武蔵境地域では多く吉祥寺地域では少ない状況です吉祥寺地域は新たな公園緑地の用地の確保は難しい現状があり商業施設などに緑を増やせる空間を見つけ整備することが重要です中央地域は大規模住宅団地などに緑化を働きかけており一定の成果をあげています今後三鷹駅前で開発が進められている地域にも同様の働きかけが必要です武蔵境地域は駅北口周辺に公園緑地が少なくその整備が課題となりますしかし他地域に比べ農地が多く残されています吉祥寺地域は商業地などの緑化や住宅地などの緑の保全中央地域は生産緑地や屋敷林などの緑の保全と敷地規模の小さい住宅地などの緑化武蔵境地域は農地の保全と活用が地域の特性を活かして緑化を進める際のポイントになります 28

中井町緑の基本計画（概要版）

中井町緑の基本計画（概要版）中井町緑の基本計画 ( 概要版 ) 平成 23 年 3 月中井町 1 計画の概要 1. 緑の基本計画とは都市緑地法第 4 条に基づき緑の保全や公園整備市街地の緑化など町の緑全般のあるべき姿と実現に向けた様々な取り組みを示す計画で住民や事業者と行政が一体となって緑地の保全及び緑化を計画的かつ効果的に推進していくための指針となるものです 2. 緑の基本計画の目的緑の将来像を明らかにし町民や事業者と行政が一体となって実現していきます